1901(12/5/28)-1920(12/7/5)

今日の禁断 上戸彩

 きのうは、お天気の良い絶好の行楽日和でしたね。まずは、休みの日にもかかわらず、朝早く起こされて、一日は始ります。
 私はもう関係なくなってしまったのですが、きのうは「宮城県合唱祭」というものが、多賀城の文化会館で行われました。その名の通りの、県内のほぼすべての合唱団が集まる年に一度のお祭り、去年は震災の影響でもっと後の時期に別の会場で行われていましたが、2年ぶりにいつものところでの開催です。私は行くことはなくても、愚妻は朝一番に間に合うように会場に着かなければなりませんから、私が車で送って行くしかありません。本当は、終わってからも迎えに行かなければならないのでしょうが、あいにく今度は午後には私の方に用事がありました。それは、さる合唱団のコンサート、なぜ「お祭り」と同じ日にコンサートなんか出来るのか、と思うかもしれませんが、そこは宮城県の団体でありながら宮城県の合唱連盟には入っていないので、そんなことが可能なのですね。でも、他の仲間に聴いてもらえないなんて、なんかさびしいですね。つまり、それが午後いっぱいかかってしまうので、終わってから多賀城に行ってももう間にあわないのですね。
 それは、午後の3時が開演です。ですから、朝の9時半に愚妻を送ったあとは、えらく時間が空いてしまうことになります。そこで、せっかく東の方に行ったので、帰りに利府に寄って映画を見てこようと思いました。多賀城から利府だったら、30分もあれば行けますからね。見たかった「テルマエ・ロマエ」は10時半からですから、楽々間にあいます。
 もう始まってから1ヶ月も経ったのに、まだ1日5回上映されているというあたりが、この映画の人気を物語っているのでしょう。なにしろあちこちから「よかった」という声が聴こえてきているものですから、これは見ておきたかったんですよね。原作に忠実に作りさえすれば、間違いなく面白いものが出来るはずですからね。しかし、これはそんなマンガの人気にただ乗っかっただけのものではありませんでした。マンガでのツボを上手に生かしながら、後半は全く別の展開を用意して、驚くほどの完成度の高いものに仕上げていたのですからね。つまり、原作の4巻に出てくる「古代ローマガール」を上手に生かして、見事なオリジナルのプロットを作り上げていたのですよ。そこまでの期待はしていなかったものですから、もうこれには圧倒されてしまいました。
 それと、原作では絶対に無理な音楽での楽しみもふんだんに味わえました。ヴェルディやプッチーニがてんこ盛りなんですね。イタリア、だからでしょうか(なぜかフォーレまで)。エンドロールでは、おそらくヴェルディの最も有名な曲が使われていましたが、その中の肝心のテーマだけを本来ある場所ではカット、最後にだけ流すという、技巧的なことをやっていましたね。
 それからが、今度は時間との闘いです。映画が終わったのが12時半、コンサートが3時から萩ホールなのですが、駐車場のことを考えると2時までには着いていたいのですね。ただ、その前に一旦家へもどって、ベランダに干した洗濯物を取り込んでいかなければなりません。せっかくの良いお天気で乾いたものが、コンサートが終わってからでは湿ってしまいます。となると、もうお昼ごはんを食べている時間もありませんね。
 そんな、仙台へ向かう車中で聞いたのが、吉田秀和さんの訃報です。実は、「レコード芸術」の連載が、先月号では落ちていたので、「もしや」とは思っていたのですが、今月号ではきちんと原稿が入っていたので、まだまだ大丈夫だな、と思っていた矢先だったのですね。なにしろ、私とは因縁浅からぬ方ですから、心からお悔やみ申し上げます。その時点で、今日の夕ご飯は「櫻家」でヒレカツ、と思っていました。
 コンサートはなにかとちぐはぐなことが多くて、ちょっと楽しみが殺がれてしまったのが残念です。私は、このホールで一番音のいいステージ寄りのバルコニーで聴きたかったのですが、なぜかそこには入れないようになっていて、後ろ寄りのバルコニーにしか座れませんでした。

 でも、向かい側、下手ではちゃんとお客さんが入ってますね。つまり、入れなかったのは上手のバルコニーだけ、なぜそんなことになったのかと言えば、このホールの最大の欠点、バックスペースが恐ろしく狭いために、オケに合唱が加わる時には、お客さんも通るロビーで合唱が待機していなければいけないので、それを避けるためにこのバルコニーの入口からお客さんを締め出す必要があるのですね。

 この合唱団の指揮者は、なぜか岩手県の人、その人脈で、ソリストは岩手県の人、オーケストラは山形県の団体が使われていました。まあ、そんなことはどうでもいいのですが、その指揮者はおそらくオーケストラの指揮は専門外なのでしょう、あちこちで緊張感に乏しい部分が見られましたし、肝心の合唱もなんだか掌握できていない感じ、モーツァルト版「メサイア」がこれほど退屈に感じられたのは、間違いなくこの指揮者の責任です。
 吉田ヒレカツ先生だったら、どんなことを書くのかな、と考えながら、なぜか「櫻家」ではいつもの「特上ロースカツ」を食べてしまった私でした。
aventure number : 1901 date : 2012/5/28


今日の禁断 三吉

 きのうあたりまでは、「大気が不安定」(←いつ聞いても面白い言い方ですね)だったので、急に雨が降ったりしていたのに、今日は朝から雨の心配は全くなさそうな空模様でした。しかし、青空が広がっている、というわけでもないので、そんなに気温も高くはならないだろうという予報も、ありがたいものです。そう、今日は、年に一度の「かやの木コンサート」の開催日、最近はいろいろと制約があったので屋内でやっていたものを、久しぶりに「外でやってもかまいませんよ」というアーティストをお呼びすることが出来たので、「晴れて」本来の「かやの木」の前の屋外でのコンサートが実現することになったのですよ。「ばっくなんばあ」を見てみたら、最後に外でやったのは2008年のことでした。もう、外でやる時のノウハウも忘れてしまうほどですが、とにかくお天気が良すぎると聴いている人が暑くて大変だ、という記憶はあったので、こういうお天気は大歓迎です。
 外でのやり方を忘れてしまったのは、テント屋さんの方だったのかもしれません。今までだと、前の日の午後にはセッティングを完了していたのに、今回は当日の朝からテント張りに来ました。アーティストのリハーサルがあったので、早目に、とお願いしてあったのですが、実際はもう楽器や機材のセッティングが終わってから、やっと来てくれましたよ。おかげで、別のところで組み上げたテントを、ステージ部分までみんなして担いで運ばなければなりませんでしたよ。

 そのアーティストというのは、去年のお盆にバイソン片山のバンドと一緒にやってきた、津軽三味線の大御所、冨塚孝さんです。今回は、娘さん(キーボード奏者)とのコラボレーションです。娘さんは前もって打ち合わせにいらっしゃってて、その時にPA機材は自分たちのを持ってくるということでした。しかも、もしかしたら操作を私に手伝ってほしいみたいなこともおっしゃっていたので、まあ単純なアンプとスピーカーぐらいかな、と思っていました。しかし、実際に彼らがミニバンで運び込んできたものは、そんな甘っちょろいものではありませんでした。それは、とことんこだわったプロ仕様の機材だったのです。コンパクトにまとまったアンプは、コンソールも兼ねていて、グライコやエフェクターが入力ごとに付いているという、恐ろしいものでした。とても私などには操作できませんよ。それを、冨塚さんは、いとも楽しげに調整しています。マニア、だったんですね。娘さんのキーボードも、ラインで取り込みます。「リバーブはいらねえな」とか、打ち合わせていますし。

 本番は、お二人ともしっかりドレスアップ、PAの音も完璧で、津軽三味線の定番や、ピアノ伴奏の民謡、さらには、今回のサプライズ、「社長」のボーカルまで楽しませてくれましたよ。

 予報に反して、コンサートが始まる頃から、思いっきり青空が広がってきたため、やはり覆いのないところではかなりの暑さになってしまいました。テントからはみ出してしまったお客さんたちは、ちょっと辛そうでしたが、最後の「大漁歌いこみ」(冨塚さんは「大量使いこみ」などと、ネタにしていましたね。楽しい方でした)あたりでは手拍子も出て盛り上がりました。
 いつもの通り、私はコンサートが始まる前は本来の「総会」の受け付けをしていたのでしたが、その時にお手伝いに来てくれたおでん屋をなさっている総代さんとお話をしていたら、何でも、今年の筍は確かに丸森や白石のものは使わなかったけれど、愛島のものは問題なかったので、お客さんに出したそうなのです。ということは、仙台の筍だっておそらくなんの問題もなかったのでしょうね。来年は、Mさん(Dさん)も、お子さん連れで掘れるかな?
aventure number : 1902 date : 2012/5/30


今日の禁断 利府

 この間、久しぶりに映画館に行って映画を見てきました。それは、たまたま時間があったのと、ぜひ早いうちに見ておきたい、という要因があったので行けたもので、最近ではまず映画館まで足を運ぼうという気にはなりませんね。なんたって、始まる時間と終わる時間が決まってますから、待ち時間などが結構もったいないですしね。WOWOWで見るんだったら、録画しておいて好きな時に見られますから。
 まあ、でも、あの大スクリーンとか誰にも「うるさい!」と文句を言われないあの大音響のサラウンドは、確かに魅力的です。これからも映画館そのものがなくなることはないのでしょう。
 しかし、その映画館の中身は、実は少し前からかなり変わってきていることを、この前のテレビを見ていて知ることが出来ました。いや、だいぶ前からうすうす気づいてはいたのですが、その実態がより具体的に知ることが出来た、ということでしょうか。それは、映写機器のデジタル化です。つまり、今までのようにフィルムに光を当ててスクリーンに投影する映写機ではなく、デジタル・データをプロジェクターで投影するという方式の「映写機」が、最近では主流になっているというのですね。何でも、新しい機械を買う映画館がなくなったので、日本最大の映写機メーカーが倒産してしまったそうなのですよ。今では、「映写機」と言えば、デジタルのプロジェクターというのが、すでに常識になっていたのです。それに伴って、というか、どちらが先なのかは分かりませんが、「映画」を作るところ(「東宝」とか「松竹」)も、これからはフィルムではなく、データの配信にすべて切り替える方針を打ち出していることも、同じ番組で紹介されていました。
 もう、映画の世界ではそこまで状況が進んでしまっていたのですね。その結果、デジタルの映写機を買うだけの力がない小さな映画館などは、どんどん閉鎖されてしまっているのだそうです。確かに、今では映画を作る現場でもフィルムを使うカメラではなく、デジタルのハイビジョンカメラが使われていますし、CGなどを使う場合は、そのままデータを加工出来ますからなにかと便利ですしね。さらに決定的なのが、フィルムのプリントのコストなのだそうです。上映する映画館の数だけプリントすると、それだけで何千万円もかかってしまいますが、データのコピーだったらコストは殆どかからないでしょうしね。
 この間見てきた映画も、おそらくデジタルだったのでしょう。別に気にしていたわけではありませんが、フィルムの時にはリールを交換する時に必ず気づいていた「印」が、全くありませんでしたからね。画面の傷もないし、画質もフィルムと変わりませんから、見る方としては大歓迎のような気がしますが、実はデジタルにはまだまだ問題があることも、番組では伝えていました。今の規格はわれわれが見る分には充分にフィルムと同等の画質だと思うのですが、実はまだまだ劣っているそうで、さらに上の「4K」という規格が今開発されています。そうなると、それに関わる映写機などの機器も全部買い替えなければいけませんから、実際のコストはフィルムより高くなってしまうのだとか。データ自体も、そんなにちょくちょく変わってしまっては、保存にも問題があるというのです。古い規格のデータでは、新しい機械では再生できなくなることもあるのでしょう。ですから、今の時点では、100年以上続いて来た「フィルム」の形で保存するのが、一番信頼性が高い、というのは、そういうアーカイヴの専門家の話でした。
 こういう話を聞けば、これはまるでオーディオの世界と同じことではないか、と、思ってしまいます。そう、まさに映画での「フィルム」というのは、録音の「磁気テープ」と同じことになるのですよね。DSDだ、LPCMだと大騒ぎして、その解像度もどんどん高くなったとしても、結局アナログの「テープ」を超えるものはまだ出来ていないのですからね。
aventure number : 1903 date : 2012/6/1


今日の禁断 ヴァント

 ニューフィルの定期演奏会が終わってから、もう3週間も経ってしまったのですね。そのあとは職場のイベントの準備もありましたし、なによりもあの時にちょっと無理をして喉の調子を悪くしてしまってから、なかなか本調子にならないもので、ついこちらのサイトの仕事が後回しになってしまっていました。つまり、演奏会の前の日に発行した「かいほうげん」のコンテンツを、サイトのコンテンツに移すという作業がなかなかできないでいたのですね。
 それは、今練習しているブルックナー「交響曲第8番」の楽譜についてのトークです。ご存じのように、この曲を演奏する時に使われる楽譜は3種類あります。そのうちの「第1稿」はまだまだ珍しいものですから、まずアマチュアが演奏するようなことはないのですが、普通に演奏される「第2稿」では、校訂者の好みによって「ハース版」と「ノヴァーク版」という、多くの部分で違っている楽譜が、ほぼ五分五分の割合で使われています。今回、末廣さんの指定が「ハース版」だったものですから、ちょっと面倒くさいことになりました。ノヴァーク版のスコアは簡単にその辺のお店でも買えるような、ごく普通に流通しているものなのですが、このハース版ときたら、もともとの楽譜は既に絶版になって手に入りません。今買おうとすると、KALMUSの海賊版しかないのですよ。それも、ポケット・スコアは、もう版が擦り切れていて小さな文字や音符などは判読できないほどの劣悪なものなんですね。それでも結構な値段がしますから、ちょっと買うには抵抗のある商品なのですね。それで、あくまでノヴァーク版を持っている人のために、ハース版との違いを一覧表にして知らせようと思いました。なにしろ、ノヴァーク版というのは、ハース版の版下をそのまま使って、変更したところだけを手書きで直す、という風に作られていますから、そんなに大きくは変わっていないはずですから。それよりも、もっと大きな変更箇所は、3楽章や4楽章の「長さ」、つまり「小節数」が違うことです。でも、そこはまるまるページを差し替えれば済むことですから、簡単なことです。
 と思って、やり始めてみたのですが、実際はとんでもない違いが、たくさん見つかってしまいました。結局、それは「かいほうげん」では3ページ分にもなってしまいましたよ。差し替えるページは、実は他の人が用意してくれましたから、それを含めないでも、それだけの違いがあったということですね。ですから、これはその一覧表を見て直す人も、かなりの面倒くさい思いをしなければいけないことになりますね。ご苦労様です。
 でも、そんなことをいちいち調べた人は、ネットの上ではまだいないようなのですね。ですから、それをそのままネットにアップすれば、大変レアで重宝される資料になるわけです。楽譜の画像などは、「かいほうげん」を作った時のものがそのまま使えますが、それも本当は3ページでは足らないほど、もっと楽譜を入れたかったものを我慢した結果なので、サイトではきっちり必要なものも揃えようと思いました。そんな素材は先週のうちに、仕事の合間に作っておいたので、この週末でいよいよサイトのコンテンツ作りです。
 それが、先ほどやっと終わりました。こちらです。「かいほうげん」と違うのは、差し替え用のページを、きちんとPDFでダウンロードできるようにしたことです。これはポケットスコアのサイズに揃えてありますから(ちょっと大きめですが)、そのまま印刷すれば、挟んで使うことが出来ますよ。
 これで気が付いたのですが、その、ハース版にしか含まれていないものの中に、ここの219小節目から始まる、フルート3本の美しいコラールがありました。ノヴァーク版を使っていたら、ここが吹けないところでしたね。カラヤン盤でのゴールウェイは9小節間ノンブレスで吹いていますが、はたして私は出来るでしょうか。
aventure number : 1904 date : 2012/6/3


今日の禁断 トンペイ

 ニューフィルでは、この前の演奏会が終わった後は、1週間お休みを入れた後には次の演奏会へ向けての練習が始まっています。今度の曲目はブルックナーの8番、それだけでも1回のコンサートには充分の長さがありますが、管楽器のローテーションのことを考えて、もう1曲なにか、と指揮者に諮ったら、提案されたのがワーグナーの「ジークフリートの葬送行進曲」でした。いや、そもそもはフルートが4人メンバーがいるのにブルックナーでは3パートしかないので、その救済策に、とお願いしたのですが、その線でまず示されたウェーベルンの「夏風の中で」は、誰も知っている人がいなくて却下されてしまい、それなら「ワーグナー・チューバもあることだし」ということで、これに決まったというものなのですよ。その結果、フルートパートは出番が10小節もなくなってしまいました。意味ないじゃん。
 そのワーグナー・チューバは、ホルン奏者が演奏します。ブルックナーでもワーグナーでも、ホルン4本、ワーグナー・チューバ4本の、計8本が必要になってきます。今のところ団員は5人しかいないので、最低でも3人はエキストラを呼ばなければいけません。そういうものは、弦の場合は間近にならないと全員揃うことはまずないのですが、管楽器の場合は、人がいないとパートが抜けてしまいますから、極力普段の練習にも出てきてもらうようにしています。それで、もう初練習の時からぼちぼち来はじめていたのですが、3回目の今日になって、ついに8人全員が揃うことになりました。

 ワーグナー・チューバが4本揃って演奏されたのは、ニューフィル始まって以来のことになりますね。すごいところまで来てしまったものです。それだけではなく、ワーグナーには「バス・トロンボーン」という楽器も使われていますが、それも、今日初めて「葬送行進曲」を練習するのに合わせて、お目見えです。トランペットと言ってますが、演奏するのはトロンボーン奏者ですね。そう言えば、この前の「チンバッソ」も、トロンボーンの仲間なのに、演奏したのはチューバ奏者でした。

 と、管楽器パートは思いきり充実していましたが、あいにくヴァイオリンがほぼ全員出席しているのにこれしかいないのが、本当にさびしいですね。ブルックナーは、「長くて大変」みたいなイメージを持たれていますが、演奏していてこんなに美しさを感じる曲もありません。見かけは巨大ですが、その中に込められた音楽は、もっと繊細でピュアな感覚が反映されているものなのではないでしょうか。そのエキスである彼の合唱曲などは、ぜひ聴いて頂きたいですね。

 こんな写真を、ニューフィルのFacebookページにアップしたら、直後からコメントが続々入ってきました。もう15件ぐらい書き込まれているでしょうか。「いいね!」もかなり押されていますし、シェアもされているという、まさにFacebookならではのリアクションですね。思いっきり個人も特定できるような写真ですが、SNSでは、ウェブサイトやブログほどは気にしないのでしょうか。
aventure number : 1905 date : 2012/6/5


今日の禁断 オムレツ

 この前、愚妻の買い物に付き合ってロフトに行ったら、その一角に「ケロリン」コーナーがありました。例の、「テルマエ・ロマエ」ですっかり有名になってしまった、銭湯や温泉には必ず置いてある商標入りの黄色い手桶とか、それをモチーフにしたグッズが売られているコーナーです。前からこんなのってありましたっけ?というのも、3年前に金沢周辺に行ってきた時に、富山の物産展でこれを見て、「さすが富山」と思っていたことがあったからなのですよ。つまり、この「ケロリン」という薬は、「富山の薬売り」の薬なのですよね。ですから、こんなものはご当地富山でしか売っていないだろうと、その時は思っていました。その時に撮った写真です。

 それが、こんなところでも売られているのは、やはりあの映画や、原作のマンガのおかげなのでしょうか。いや、そもそも前からあったものに気がつかなかっただけなのかも。いずれにしても、せっかくだからと、そこでボディ・タオルを買ってきました。

 これが、なかなか大ぶりで、とても使いやすくて重宝しています。役に立たないキャラクターグッズではなく、しっかり使いやすさが追求されていましたね。
 ところで、この間のニューフィルの練習の時に、J子さんがこっそり私に手渡してくれた袋がありました。開けてみると中には手紙と一緒にこんなものが入っていましたよ。

 いや、「手紙」はウソですが、常々「ジンジャーエール」についてはいろんなことを書いているので、「こんなの見つけました」という感じで持ってきてくださったのですよ。

 ラベルを見てみると、作ったのは徳島です。「スダチ」なんてのが入っているのが、徳島らしいですね。「スダコ」じゃないですよ。

 缶には、開ける前の注意も書いてあります。底に沈殿物がたまっているので、まず缶をまわしてくれ、というのですね。そこであまり強く振ったりすると、開けた時に炭酸が吹きこぼれるので、あくまで「おだやかに」ということです。私も忠実にそれに従います。しばらくさかさまに置いておいて、泡が収まったな、という頃にプルタブを開けてみました。全然吹きこぼれはありません。そんなに炭酸は強くないみたいですね。
 コップに注いで飲んでみると、確かに「微炭酸」、味もまろやかで、ウィルキンソンの辛口のような刺激はほとんどありません。これは、やはり中に入っているレモンやスダチのおかげなのでしょう。お気に入りのフレッシュネス・バーガーで飲めるジンジャー・エールとよく似た味のような気がしました。

 コップの底を見ると、確かにかなりの「沈殿物」が残っています。いかにも「生姜汁」という、素朴な飲み物でした。ごちそうさま。
aventure number : 1906 date : 2012/6/7


今日の禁断 モリヤ

 もう梅雨入りしてしまったこの地方です。しばらくは雨模様が続くという分かりやすい天気予報が出ていますが、どうなることでしょう。そんな雨の中、青年文化センターで合唱のコンサートがありました。傘を持ってホールに入るのはいやなので、出来れば館内の駐車場に入れたかったのですが、愚妻の買い物に付き合っていたら少し出足が遅れてしまい、たった今満車になった瞬間に駐車場の入口に着くというタイミングの悪さでした。仕方がないので、お向かいの、いつもの駐車場です。

 この合唱団は、私が学生時代に大学の合唱団と掛け持ちで入っていたところです。その時に「初演」した曲がプログラムにあったので、それを聴くのが一番の楽しみでした。プログラムを見てみると、もっと懐かしい、福井文彦の「空・道・河」なんてのもあったので、ちょっと感激です。
 このコンサートは、この合唱団とゆかりの深い、主に仙台在住の作曲家の作品を集めたもののようでした。まずその福井文彦を聴いて、まさに合唱音楽の原点のような感触を満喫した後、時代は一気に現代に移って、なかにしあかねさんの作品。こうして並べてみると、この2つの時代の間の落差というものがいかに大きいかが、如実に分かってしまいます。いい、わるい、ではなく、音楽のあり方がたった50年やそこらで完全に変わってしまっているのですからね。
 それに続いて、私がいた頃のこの合唱団の指揮者、岡崎さんが自作を指揮する、というぜいたくな企画です。最近の作品しか聴いていないと、ずいぶん作風が違うように感じられましたが、最後の力強い盛り上がりなどは一緒でしたね。なによりも、岡崎さんにしてはいつものことですが、完全に暗譜して指揮をしていたのには、安心させられます。
 休憩後に、思い出の片岡良和さんの作品、「鹿踊りのはじまり」です。歌ったのはずいぶん昔のことでしたが、自分のパートはしっかりと覚えていましたね。難しくて苦労したところなども、はっきり蘇ってきましたよ。その時は、演奏会ではなく、放送のための録音でしたから、夜遅くまでNHKのスタジオで何回も何回も録音し直したことも思い出しました。ただ、そんな「歌いこみ」だけが記憶にあって、曲全体をきちんと聴き直したことはなかったので、改めてこうして聴いてみると、こんな曲だったの?みたいな気持になってきましたよ。つまり、あの頃「難しい」と感じていた不思議な音程などは、実はドビュッシーなどに使われているフランス風の和声が使われていたためだったことが、今になって分かったのですよ。ピアノ伴奏などは、もろドビュッシーの様式、これも、やはりそんな「時代」が反映された作品だったのですね。
 同じようにフランス音楽を取り込んだ三善晃の作品が最後に演奏されました。しかし、三善の場合は、それだけでは終わらなかったことが、これを聴くとはっきり分かります。単純な、まるでブルースのような歌に付けられた、ほとんどメシアンのような伴奏、素敵です。
 これだけの濃いプログラムを、合唱団の人たちはとても暖かい音色で歌いきっていました。男声などは、声も若々しかったですね。ご高齢のメンバーのためにステージ上に椅子が用意されていたのですが、それを使う人は誰もいませんでしたよ。
 コンサートが終わって駐車場に行くと、精算機の前が長蛇の列です。勝手知ったる駐車場ですから、私はそんなところには並ばないで、直接車に向かいます。こういう時には、ゲート前で精算する方がずっと早いことを知っているものですから。

 そう言えば、きのうこんなところででも「あの」チラシを配っているのを見てしまいました。あんだけ顔写真が出回っているのにいまだに捕まらないのですから、彼には勝手知ったるルートがあるのでしょうね。
aventure number : 1907 date : 2012/6/9


今日の禁断 エプソン

 この間、職場で大きな催し物があった時に、注文していたお土産が、その納入業者が倒産したために用意できなくなった、ということを書きましたが、それの代わりに別なところに発注したものは、無事に2日前に届きました。

 なんとも派手で品がなく、ちょっとこういう(どういう?)場所には似つかわしくないのですが、そこまで検討している余裕がなかったので仕方がありません。私はその日の午前中かかって、それを議案書と一緒にして袋に詰める、という作業を行いました。当日はお天気も良かったので、予定していたお土産はほとんどなくなってしまい、あとはほんの少ししか残りませんでした。袋詰めだけをやっていて、実際にはそれがどういうものかは分からなかったので、そのうちの一つを開けてみると、3種類のクリーナーが入っていました。黄色が雑巾のようなもの、赤いのがブラシ、そして青いのが手袋状のクリーナーです。どれも、百均あたりで売っているような、いかにも安っぽいグッズですね。
 でも、せっかくだからと、「雑巾」はコピー機のガラス面を拭くのに使っています。そして、青い手袋を、キーボードの間の塵を掃除するために使ってみたら、これがなかなかいいんですね。こんな風に手を入れて、キーの間を往復させたら、すっかりきれいになってしまいましたよ。百均も、なかなか侮れません。

 このキーボードは、この前に使っていたVISTAに付いていたワイヤレスのキーボードが壊れてしまったので、普通のUSBのものを買ってきたものです。ワイヤレスは当然電池が必要なのですが、それがある時から1日使うともう電池がなくなってしまうようになってしまったんですね。直すのもバカらしいので、普通のを買ってきて、この間新しい「7」に買い替えた時も、そのまま使っています。この新しいデスクトップは、使い始めて2か月経ちましたが、今まで使った中では最高のものですね。どんなパソコンでも必ずトラブルがあったものが、これはそういったものは全くありません。まあ、パソコン自体がそういう点での進化はあるのでしょうが、同じ「7」でもDELLのノートパソコンはちょっと期待外れでしたからね。サービスもなんだか不可解なところが多いですし、この次にDELLを買うことは決してないでしょう。
 でも、今日その職場の「7」を使って、ニューフィルの日程表をWORDからPDFに変換しようと思ったら、なんだかうまくいきません。いよいよ、調子が悪くなってきたのかな、と、これが今までのパターンだったので少しうれしくなってきたら、再起動をかけてもう一度やってみたら、単なる私の操作ミスだったことが分かってガッカリ、というか、なおさら信頼感が増したことになりました。WORDも「2007」から「2010」に変わっていたので、ちょっとした操作方法が違っていたのですよね。もちろん、無事にPDFは出来上がり、アップロードすることが出来ました。
 実は、そのペーパー版の日程表は先週アップしてあったのですが、きのうになってパート練習の会場が変更になった、という連絡があったものですから、そういう手続きが必要になってしまったのですよ。普通だと、これは月一ぐらいで発行しているもので、その間に変更があってもサイトの方だけを直して、ペーパー版は次に出るまでそのままにしておく、というやり方だったのですが、今回ばかりは新しいものを作らないと混乱を招きそうだったので、そういうことをやりました。ただ、今週はパート練習なので、実際に発行するのは来週になってしまいますがね。そんな、印刷をしたり、PDFをアップロードしたりというような作業が、何のストレスもなく出来るという今の状態が、ずっと続いて欲しいものです。
aventure number : 1908 date : 2012/6/11


今日の禁断 ポストイット

 きのうはニューフィルの木管パート練習、今まではブルックナーを全員で通していましたが、なんせ、この曲は常に金管が吠えまくっていますから、そんな中で吹いていても、木管は自分たちの役割が殆ど分からないのですよね。実際に木管だけを抜き出してみると、なんだかとんでもない和音が聴こえてきたりします。それはまず、各々のピッチがイマイチ、ということからくる現象なのですが、ちゃんと吹いても不思議な響きがするところもあったりします。それをスコアで確認してみると、「マイナー・セブンス」みたいな面白いコードになっていて、ブルックナーの意外なセンスに驚いたりすることになるのです。
 オーケストラのスコアから和音を特定するのは、実は結構難しいところがあります。ピアノの楽譜だったら、どの音符も同じ「調」で書かれているので、そのまま読めば難なく和音は分かります。しかし、オーケストラの場合は、楽器によって「調」が違うので、書かれた音符の「読み替え」が必要になってきます。木管の場合はクラリネットがB♭管やA管を使いますから、それによって書いてある音符の全音下とか、短三度下の音に読み替えなければいけません。最近はだいぶ慣れてきたので、ちょっと(数秒?)時間をもらえば、殆どの和音は分かるようにはなってきましたが、それでもホルンのF管などが入ると、ちょっと難しくなってきますね。
 そういう和音を、みんな持っているポケット・スコアで確認し合うのですが、今回演奏するブルックナーの8番のスコアは、売っているものではこんなひどい印刷のものしかありません。

 こんなスコアでは、とても和音なんて読み取れませんから、私は別に、団が買った指揮者用の大型スコアを借りてきて、自分用のポケット・スコアを作ってみました。こちらは充分明瞭な印刷なので、縮小してもこのぐらいきれいに見えます。

 どうせ、手間は一緒なので、私の分だけではなく、もう少し作ってみました。いや、あくまでも「私的目的」ですからね。これを、欲しがっている人にあげようと思ったのですね。つまり、みんなが持っているのは印刷はとてもきれいですが今の練習には使えない「ノヴァーク版」のポケット・スコアなものですから。パート練習をやっている間にも、実際にそのスコアとは違う音のところがあったりして、そのAさんにはこの「ハース版」をさっそく進呈です。きのうは全部上げてしまったので、来週また作って持って行きます。「とり置き希望」の方は、私まで。
 そうなんですよ。最初は、ハース版とノヴァーク版の違いなんて、カットした部分だけを差し替えればそれで済むと思っていたのですが(ほとんどの人はそう思っているはず)、実際に比べてみると出るわ出るわ、これだけで一ネタ出来てしまえるぐらいの相違箇所が見つかってしまったのですよ。ともに「原典版」と言っているのに、なぜこんなに違ってしまったのか、まあ、カット部分は「第1稿を挿入」ということで、説明はされていますがね。そこで、ちょっと思い当たったことがあったので、DOVERから出ている「初版」つまり「シャルク版」を調べてみたら、ハース版からノヴァーク版になった時に変わった部分は、すべて、この「初版」の形に戻っていたのですね。その部分、ハース版は限りなく「第1稿」に近くなっていました。つまり、ロベルト・ハースは、第2稿を校訂する時に、初版でシャルクによって加えられていた余計なものを取り除いただけでなく、第1稿の一部を挿入するとともに、それ以外の場所まで第1稿に戻していたのですね。これって、考えてみたらシャルク以上の「改竄」になるのではないでしょうかね。

 そんなことを、こんな風に色んなスコアを広げて考えていたところです。そのうち、ちゃんとしたレポートが出ることでしょう。
aventure number : 1909 date : 2012/6/13


今日の禁断 ゴリホフ

 松田聖子さんが「一般人」と結婚なさったそうですが、その「一般人」が私の知り合いの同級生だと知って、世間のあまりの狭さに驚いているところです。その知り合いは、さっそくマスコミからたくさんの取材を受けててんてこ舞いなのだとか、大変ですね。「世間を騒がせて、申し訳ない」というのは、こういうことなのでしょうね。
 と思っていたら、別の方面の知り合いが、やはり新聞の紙面を飾って「世間を騒がせ」ています。いや、別に芸能人と結婚したとか、まんが喫茶で捕まった訳ではなく、もうすぐ定期演奏会が開かれる、かつての私が所属していた合唱団が、今回ちょっと注目を集めそうな曲を新たに委嘱して初演する、という紹介記事なのですがね。カラーの写真が載っていましたが、2人ほど知らない人がいたでしょうか。あるいは、いたはずの人がいなくなっていたり。まあ、単にこの日の練習を休んだだけなのかもしれませんが、いつもこういうメンバーだったら、私もまた仲間になって楽しめるかもしれません。でも、正直この記事で取り上げられている初演曲の詩を作った人は、私はそれほど好きではないので、現実に歌いたいという気にはなれないのが、さらなるネックになってくるのでは。まあ、でも合唱曲となった時にどのぐらい「音楽」として伝わってくるものがあるか、という評価は、嫌いな詩人とはまた別の問題ですから、聴いてみないことには分かりませんが。

 でも、こんなに「騒がれ」てしまっては、この演奏会は満員間違いなしでしょうね。もうすでにホールのキャパ以上のチケットが出ているという噂ですから、その上にこんな追い風があったら、いったいどうなることでしょう。少なくとも、この間のニューフィルの入場者数を上回ることだけは確実でしょう。
 もし、この新聞のような活字媒体(今では必ずしもそうではありませんが)で起こったら間違いなく「世間を騒がせる」はずのものが、ネットの社会では平然と横行しています。というか、私自身が当事者になることも珍しくはありません。要は、私がこのサイトに書いたものが、まったく縁もゆかりもないサイトやブログで、そのまま使われる、というケースですね。そういうものは、直接メールを送ってちょっと注意をすると、いとも簡単に取り下げて削除してくれる場合もあります。もしかしたら、そういうところはまさか書いた本人が読むことはないだろうと思っているのかもしれません。そんなところにコピー元から「注意」のメールが来たりすれば、普通は恥かしくなってその部分は削除したくなるものなのでしょうね。それが、まっとうな人間の感覚です。
 最近も、同じようなことがありました。きのうの「おやぢの部屋」に詳しく書きましたので、実例はそれを見ていただくとして、こういう販促用のインフォに私の文章を使いたくなる気持ちは、よくわかります。正直、こういうものにかけては、そこらへんの「プロ」には負けないだけのスキルがあると思っているので、こういう風に実際のインフォにわたしの「おやぢ」がほぼ丸ごとコピペされたことについては、「ざまあみろ」みたいな気持もわいて来たんですよね。お前らが書くものより、よっぽどいいだろう、みたいな優越感ですね。これで、実際の執筆者のクレジットなんかがあれば、飛び上がって喜んでしまいますよ。
 ただ、実際読み比べてみると、最後の文章が、その前の文をカットしているために、趣旨があいまいになっています。それも含めて、こういう剽窃行為に対して抗議をしたいとも思っているのですが、そんなことをやっても何にもならないような気もします。つまり、こういうインフォ自体が、言ってみれば「使い捨て」ですから、そもそも書いたものに対する思い入れなどは何もないのですね。もうこんなものを書いた(コピペした)ことすら忘れている奴になにか言うことなんて、とても虚しいはずですよ。彼らは、決してまっとうな人間ではありませんから。
aventure number : 1910 date : 2012/6/15


今日の禁断 ドーバー

 きのうと今日の2日にわたって、また新しいコンテンツを作っていました。これも、今までと同じ、ブルックナーの交響曲第8番に関するものです。この間までは、主に実用的な用途をねらって、「ハース版とノヴァーク版の比較」とか、「ドイツ語表記の翻訳」といった「役に立つ」ものを作ってきましたが、今回は、そんなことをやっているうちに疑問に思えるところが出てきたので、それを調べてみた結果のレポートです。正直、演奏する時にはなんの役にも立たないものなのですが、私にとっては、久しぶりに充実した思いが味わえた調査でしたよ。要は、ハース版とノヴァーク版であれほど違っているおおもとの原因は何か、ということを突き止めたかったのですよ。詳細は、こちら、さっきアップしたばかりのホヤホヤです。もしかしたら、ミスタイプなどがあるかもしれません。
 ご覧のように、ここでは多くの譜例が使われています。前回の「ハース版とノヴァーク版」では、手元にノヴァーク版のスコアがあることを前提にして説明していましたから(そもそも、「かいほうげん」の記事ですから)、掲載したのはハース版の譜面だけ、ノヴァーク版は各自見ておいてくれ、というスタンスでした。でも、サイトで公開する時にはそんなスコアを持っている人の方が珍しいわけですから、これではあまりにも不親切、という気がしてしまいます。そこで、今回は必要な譜面をすべて載せることにしたのですね。これの用意が、実は一番大変でした。ハース版とノヴァーク版だけだったら、版の形も一緒ですから分かりやすいのですが、そこに「第1稿」や「初版」が加わると、全然譜面づらが違っているので、どこを取ってくるか、結構悩んでしまいます。あとは、ただ必要なところを切り取るだけでは、ちょっと見栄えが悪いので、いろいろ「お化粧」を施さなければなりません。細かいところで色んなことをやっていますが、それは普通は絶対に気づかないはずです。こういう作業を長年やっていると、だんだんその辺のコツが分かってくるのですね。だから、やっていてすごく楽しいのですが、きちんとやろうとするとそれだけ時間がかかることになります。やっぱり、丸2日はかかってしまうのですね。
 もちろん、1日の全部の時間をそれに充てるわけにはいきません。なんと言ってもメインはいつも通りの家事と、愚妻の送り迎えなどの雑用ですから、実際にはまとまった時間なんかほとんど取れません。少ない時間をやりくりして、集中しながらサイトを作る、そんなやり方の方が緊張感があって仕事がはかどるから不思議です。
 そんな貴重な時間を割いて、フルートのリペアを受けてきました。毎年メーカーの技術者の方が来て、無料で調整などをやってくれていたのですが、去年は予定されていた日の直前にあの震災でしたから、それからずっとやってもらってなかったんですよね。その間に、「オケコン」、「ブラ4」そして「チャイ4」のトップで酷使しましたから、もう楽器はガタガタになっていました。さすがに「ブル8」では、もう限界だな、という感じだったので、もう、来てくれないのならこちらから東京まで行って調整してもらおうかな、などと考えている矢先に、知り合いから「17日にメーカーが来ます」という連絡をもらったのでした。まさに、「濡れ手に粟」・・・ではなくて、「渡りに船」・・・もちょっと違うかな、とにかくグッド・タイミングでした。
 やはり、かなりバランスも狂っていたみたいで、調整が終わったら見違えるように跳躍が滑らかに出来るようになりました。これで、「ブル8」は安心です。
 さっきのコンテンツの最後に、ボウイングはブルックナーが指定したものではないかもしれない、みたいなことを書きました。それに関連してFacebookに、「誰か、自筆稿のファクシミリを見たことがある人はいませんか」とも書き込んでみました。私は、ブルックナーはボウイングなんか書いていなかった、と思っているのですが。
aventure number : 1911 date : 2012/6/17


今日の禁断 パーカッション

 前回、ブルックナーのボウイングのことをちょっと書きましたが、第4楽章の頭のボウイングは、団長が指揮者の末廣さんに問い合わせてところ、「スコアに従わないで」という返事だったのだそうです。今出ている原典版には、ボウイングの指示がかなり細かく書き込まれていますが、初版の楽譜を見ると殆ど付いてないので、なんか変だな、とは思っていたのですが、どうやらそれらはブルックナー自身が書きこんだものではないような気がしてしょうがありません。初版でも、たとえば「7番」あたりでは、本当に少しですがボウイングの指示があるところが見つかりますので、ブルックナーが実際に書かなかったわけではなく、本当に必要だと思ったところにはちゃんと書いていたのでしょう。少なくとも、今の原典版におびただしく付けられているボウイングは、すべてがブルックナー自身の指示ではなかったのだ、と、私は思っています。というか、末廣さんに限らず、この指示をことごとく守っている指揮者なんていないのではないでしょうかね。
 そんなことを、あちこちのサイトを探し回って確認してみたのですが、その際に、ブルックナーの8番の3楽章のコーダの部分に、ハース版とノヴァーク版とでは大きく違っているところがたくさんあったことを教えられました。この件は、マニアの間ではかなり有名な話だったようですね。私なんかは、まだまだマニアには程遠いところにいます。ですから、それは早速サイトの「ハース版とノヴァーク版との違い」の方に「追記」として書き加えました。さらに、もう一つの「4つの出版譜」の方には、これからちゃんと楽譜を入れて追加したいと思っています。
 その際に、楽譜だけではなく音でもその違いを聴いてもらおうと、音源も用意しようと思いました。ハース版の方は問題なく手持ちのカラヤンやヴァントのが使えそうでしたが、ノヴァーク版のサンプルとしてチェリビダッケのを聴いてみたら、彼は楽譜通りには演奏していないのですね。ま、それはそれでネタになりますが、これではサンプルには使えません。その他のノヴァーク版としてはアーノンクールのを持っているのですが、これは、なぜかパソコンにCDが認識されなくて、データを取り込めないのですね。CDに問題があったのでしょう。そもそも、ブルックナーの場合は、「第1稿」みたいな変わったものばかり集めていたので、まともなノヴァーク版で、その他に使えるようなものはないのではないか、と思って、もう一度探してみたら、懐かしいARTE NOVAのスクロバチェフスキが見つかりました。今は「出世」して、OEHMSに移行したんですよね。これは、ちゃんと楽譜通りに演奏していたので、使えます。
 そんな感じで、第3楽章の最後、「Y」から先のところは、何度も何度も、いろんなCDをとっかえひっかえ聴いてみたので、もう耳にタコが出来るほどになってしまいました。そこで、ニューフィルに練習に行ったら、今日のメニューは1楽章と3楽章。3楽章の最後はずっと休みなので、スコアを見ながら聴いていたら、その「違っている」場所のワーグナー・チューバの2番が、ハース版ではなく、「第1稿」のように吹いていました。そう、これも新しい発見なのですが、今までずっと「ハース版=第1稿」だと思っていたのに、ここでのハース版はほんの少し第1稿と違うことをやっているのですよ。もしかしたら、ハース版のスコアが間違っているのかもしれませんね。これは、そのワーグナー・チューバの2番を吹いているCちゃんに聞いてみれば、分かることでしょう。
 しかし、ブルックナーの「版」の問題は、やればやるほど複雑な事実が分かってきますね。そんなことも盛り込んで、試しに「かいほうげん」の割り付けを考えてみたら、もうこれだけでしっかり16ページ分埋まってしまっていることが分かりました。ですから、その気になれば来週にでも発行できるのですが、あいにく写真を撮ろうと思っていた人がお休みだったので、それは不可能になりました。まあ、まだ来年春の定期の曲目も決まっていませんから、その目処が付いてからでもいいのだ、ということなのでしょうね。
aventure number : 1912 date : 2012/6/19


今日の禁断 バルビローリ

 大型台風がやってきたために、きのう未明にはものすごい雨が降りましたね。自宅のすぐ横には梅田川が流れているのですが、夜中にはとんでもない大きな音を立てて水が流れていました。そういう時に心配になるのが、職場の排水事情です。実は、中庭にある池が、なぜかそのまま地下でお隣の神社の大きな池につながっているのですね。その池にたまった水は、他に流れる水路がないので、そのまま職場の池に流れ込み、全部その先の雨水溝に入ることになります。しかし、それはそんなに太い管ではないので、ある程度以上の水が流れてくるとあふれてしまいます。一回そんなことがあったもので、それを防ぐために、マスの中にポンプを入れて、水量が多くなるとフロートが上がってポンプが作動、別のルートから大量の水を流すようになっています。
 きのうの朝、職場に行ってみたら、そのポンプの排水口から勢いよく水が流れていました。やはり、かなり水がたまってしまったようですね。中庭に行ってみると、まだこんなに水がありました。

 お昼ごろになると、やっとその水も引いて、あとは神社からの水がちょろちょろ流れるだけになりました。でも、やはりまだポンプは仕事をしていて、一旦は止まるのですが、またすぐ水が出てくる、という状態を繰り返していました。「シシオドシ」みたいなものですね。ある程度水がたまるとそれがまとめて出てきて、また水がたまるまでは静かにしてる、というやつです。というか、なんか大量の嘔吐みたい。ただ、そんなのがなかなかおさまらないのがちょっと気になります。降った雨は相当のものだったのでしょう。
 しかし、今朝になっても、それは続いていました。もう、出てくる水はかなり少なくなっていて、「胃液まで吐いている」みたいな様子だったので、さすがにこれはおかしいと気づきました。いくらなんでも、もう普通に排水されているはずなので、こんなにポンプが動くことはないのですが。そこで、現場に行って、雨水マスを開けてみました。案の定、マスの中の排水口には、落ち葉などが詰まって、水が流れなくなっていました。手を突っ込んでそれをどけたら、勢いよく水はなくなって、ポンプのフロートも下がり、やっと停まることが出来ましたね。長いこと、お疲れ様でした。ほんのちょっとした邪魔ものをなくすだけで、何事も順調に動き出す、と言ったところでしょうか。
 ところで、この前の「禁断」に書いた、ブルックナーの3楽章の最後のワーグナー・チューバの2番の音ですが、ハース版のパート譜が簡単にネットで手に入るので見てみたら、なんと、スコアとは別の音だったではありませんか。それこそ、「第1稿」と全く同じ音だったのですよ。となると、スコアの音にはなんの根拠もないことになりますね。いくらハースでも、「第1稿」にも「初版」にもない音を使うことは考えずらいことです。となると、この部分はスコアのミスプリント?
 そこで、まず手元にあったハース版のCDを全部聴いてみると、スコア通りに演奏しているのはヴァントだけでした。カラヤンもマズアも、「パート譜通り」演奏しているのですね(つまり、この3枚しかもってません)。そこで、こんな時のために解約しないでおいたNMLで、そこにあるすべての「ハース版」を聴いてみましたよ。その結果は、スコア通りが9種類、パート譜通りが6種類でした。面白いのはカラヤンで、1954年には「スコア」だったのに、1975年には「パート譜」になっていましたよ。その間には第1稿も出版されましたから、それを見て考えを変えたのかもしれませんね。詳しくはこちらで(追記しました)。
 それにしても、NMLの表記のいい加減さには、改めてガッカリさせられます。「ハース版」と書いてあるので聴いてみたら「ノヴァーク版」だったり、英文と日本語が全く別だったり、ひどいものです。
aventure number : 1913 date : 2012/6/21


今日の禁断 パナソニック

 梅雨の晴れ間の、本当に気持ちの良いお天気の日に、ちょっとしたドライブに行ってきました。愚妻の実家で法事があるというので、三陸道を使って石巻の北部のひなびた町まで行ってきたのですよ。この高速に乗るのは、震災後初めてのことです。2年ぐらい行ってなかったでしょうか。その間に、なんだかずいぶん様子が変わっていましたね。なにしろ、あちこちで工事が行われています。しかし、震災で被害を受けたところの復旧工事などは、もうとっくに終わってしまったようで、今やっているのは道幅を広げる工事のようでした。高速とは言っても、この道路は殆どの区間が片側1車線、つまり、本来は片道2車線あるはずの片方の道だけを「交互交通」しているだけだったのですが、それをもう1本追加して、きちんと全線片側2車線にする工事なのでしょう。もうすでに道路は完成しているのに、コーンを立てて新しい車線は通れなくしているところが、最も工事が進んでいるところのようでした。その前の段階ですでに道路の枠だけは完成しているところとか、今、山を削っているところとか、工事のいろいろな過程が走りながら見れるのは、なかなか楽しいものでした。
 実は、不謹慎ですが、この高速は石巻の市内も走っているので、震災の跡を見ることが出来るのではないか、という気持ちもありました。震災直後は、この道は復旧のためのトラックでごった返した、という話を聞いていましたからね。しかし、そんなものは全く見ることはできませんでした。本当にあんなことがあったのかと思えるほどの、それは以前と変わらない街並みでした。
 いつもだと、一旦実家に行ってから、みんなと一緒にお寺に行っていたのですが、今回は直接お寺に集合、ということでした。Googleで調べると、今まで実家に行く時に下りていたインターから、途中で左に曲がった先にそのお寺があることが分かりました。まさかと思ったのですが、こんな田んぼの真ん中のようなところでも、しっかりストリート・ビューが見られるのですね。地図自体は、細い道が表示されないいい加減なものでしたが、航空写真と一緒にプリントしておいたものを頼りに行ったら、迷わずに着くことが出来ました。私の場合は、カーナビなど必要ありません。
 一番心配だったのは、お経を読んでいる時に正座させられるのではないか、ということでした。仙台あたりでは、葬祭会館がたくさん作られるようになって、お経の時でも椅子に座っていられる、というのが殆ど常識になっていますから、普通の畳敷きのお寺の本堂でも、ちゃんと椅子を置いてくれるところが増えています。ですから、市内だったら、あの正座の苦行からはほぼ100%逃れることが出来る環境が整っているのですが、こんな「イナカ」ではそんな配慮もない、昔ながらの作法がまだ主流のはず、ちょっと辛いだろうなあ、と思っていました。
 ところが、本堂に入ってみると、そこにはちゃんと椅子が並べてあったではありませんか。もう、時代はここまで来ていたのですね。今では、どんなイナカでも正座の苦痛に耐えてお経を聴くことはなくなっていたのでした。

 愚妻の実家は、かつては病院だった建物でした。しかし、医師であった父親は36年前に亡くなり(今回は、37回忌の法要でした)、築90年になろうというその家は、震災のために「半壊」の宣告を受け、来月にも解体されることになっています。そこで、かつての家族に、家の中にあったものを持って行ってもらおうというのも、今日集まった一つの目的でした。私にとってはそんなに何度も来たことのある家ではありませんでしたが、愚妻は生まれた時からの思い出が詰まっているところです。一つの「家」がなくなるということは、建物だけではなく「思い出」もなくなってしまうことなのでしょうね。

 でも、そんな「遺品」の中に、私の家に昔あったのと同じ扇風機を見つけた時には、うれしくなってしまいました。こんな立派な箱に入っていた、かなり高価な電気製品だったこともあったのですよ。あの扇風機が。
aventure number : 1914 date : 2012/6/23


今日の禁断 ブギウギ

 Facebookではもうアップしましたが、きのうは「古巣」の合唱団パリンカの定期演奏会に行ってきました。今回が20回目という節目、それに合わせてこれまで進めてきた企画が一気に集結したという、ものすごいコンサートになりました。なにしろ、「日本一」の男声合唱団である「お江戸コラリアーず」との共演+世界初演となる委嘱作品が2曲という豪華さですからね。
 そんな前評判に、今度は写真入りの記事が新聞に載る、という「事件」も加わって、前の日あたりは「開場を10分繰り上げる」だとか「できれば1時間前には会場にいらしてください」といった情報が飛び交っていたものですから、もう私などは1時間半前にホールの前に着いていましたよ。入口の前にはこんな衝立(指揮者のCさんの書)、いくらなんでも誰も並んでいませんでした。

 それでも、開場時間ともなれば後ろには長蛇の列が出来ていました。ホールに入ると、みるみる席が埋まって行きます。開演時間にはほぼ満席になっていましたよ。

 最初のステージはパリンカ。「エレミア哀歌」と「コンポジション」という不思議な組み合わせですが、まずは「祈り」から、という姿勢なのでしょう。間宮はお手の物、合いの手の掛け声が見事に決まって、まさに「東北」のグルーヴが繰り出されていました。

 そしてお江コラのステージです。ステマネが指揮者の譜面台を脇に置いたので変だな、と思ったら、1曲目はステージ中を踊りまわる、という演出だったのですね。まさに、アメリカの「グリー」の世界、いきなり楽しませてくれます。いや、その前からすでに彼らはエンタテイナーでした。袖から入ってくる時に、全員がまず客席に向かって会釈をしていましたからね。

 2曲目になったら、なんとこのホールの邪魔もの(もうすぐ撤去されます)の階段に乗って、「シェナンドー」を歌い始めました。合唱がここだけ、という配置は初めて聴きましたが、後が直接壁になっているので、ステージ上よりも声が前に出てきます。どこまでも滑らかで美しい響きがホール全体に漲ります。すごかったのはピアニシモ。男声合唱でこんなきれいなピアニシモは、ODでも出せません。ということは、「世界一のピアニシモ」?
 彼らは、退場の時も、一人一人お辞儀をしていましたね。あと、パリンカ同様女性の団員もいるのですが、男声と同じ黒スーツに蝶ネクタイ、カッコよかったですね。

 後半は、パリンカが和合亮一さんと高嶋みどりさんに委嘱した新曲の「世界初演」です。演奏の前に和合さんが自作を朗読してくれました。あんなドラマチックな方だったんですね。

 一歩間違えると、ただのアジテーションになりかねない作品を救ったのは、高嶋さんの音楽でしょうか。特に、合唱団の配置を変えてほぼア・カペラで歌われた2曲目は、まるでアルヴォ・ペルトのような澄み切った世界が広がる、感動的な音楽でした。

 ここまで聴いてくると、パリンカとお江コラとのそれぞれのキャラクターが、全く違っていることが分かってきます。でも、どちらも間違いなく男声合唱の魅力を真剣に追求してきた結果、ここまでになったのですよね。どちらも本当に捨てがたい味です。そんなごちそうをたっぷり味わったところで、最後は合同演奏です。もう、これはなんにも怖いものがない最強のタッグです。

 不思議なもので、パリンカの指揮者Cさんが振った三善は、まさにパリンカの音楽と、響きになっていました。同じことがお江コラのYさんが振った信長にも感じられるのですから、本当に楽しくなってしまいます。そのまま、アンコールの、これも世界初演、有名な「斉太郎節」と「遠島甚句」のマッシュアップ、「大漁歌いこみ」です。土臭さと優美さが混然となった、他では絶対に聴くことのできない最高の男声合唱でした。
 ここに来るまでには、なにかとご苦労が多かったことでしょう(と、他人のフリ)。本当にお疲れ様でした。間違いなく、800人の聴衆に素敵な贈り物が出来たはずですよ。 
aventure number : 1915 date : 2012/6/25


今日の禁断 ウェンガー

 前回の「禁断」は、久しぶりにブログにも転載してみました。ご存じのように、2日おきに書いているこの「禁断」は、出しておくのは2回分だけ、それより古いものはパスワードをかけて「一般人」には見えないようにしています。これが私の基本方針、身内にしか分からないようなつまらないことをダラダラ書いたものを、いつまでも曝しておきたくはないですからね。というか、ネットではそんな「読んでしまってから後悔する」みたいなブログが多すぎますから、それは避けたいな。と。
 でも、たまには、これだったら「全世界へ向けて発信」してもいいな、と思えるようなことが書けたりします。いや、そこまで行かなくても、これだったら多くの人に読んでもらいたいな、というようなものは、こんな風にブログにもコピーして、いつまでもアクセスできるようにしているのですね。
 ですから、おとといの「パリンカ」のコンサートのレポートは、そんな感じで演奏会の模様を報告するのと、私が感じたことをほんの少し公にして、みんなに知ってもらう、という意味でブログに転載したのですね。さらに、今回はそれをFacebookからリンクするという、ちょっと新しいことをやってみました。同じブログでも「おやぢ」は毎回リンクしてますから、手順は慣れたものです。まあ、こんなことで少しはアクセスが増えればいいな、ぐらいの感じでした。
 ところが、そのFacebookの書き込みをパリンカの団員の方がシェアしてくれたのですね。そのせいでしょうか。ブログにはエントリーごとにFacebookの「いいね!」ボタンが付いているのですが、そのパリンカの記事のところだけが、異様にポチされているようなのですよ。今現在で「86いいね!」ですよ。これまでブログでついたのは「4いいね!」ぐらいが最高ですから、これがいかに特別なものかが分かります。ご存じのように、Facebookの登録者がどこかで「いいね!」をポチすると、自分のウォールなりタイムラインにリンクが表示されるはずです。ということは、86人の人のFacebookに私のブログへのリンクが出来てしまった、ということになりますね。これは、なんだかとてつもないことなのではないでしょうか。
 そんな日に、ニューフィルに行ってみると、会場のホールではそろそろメンバーが集まって来て椅子並べも完了したあたりでした。そうしたら、団長がファゴットの人を隣の部屋へ呼んでいます。しばらくすると、その人はこんなものを持ってホールに現れました。

 なんだか、バスケのゴールみたいですが、こんな風に椅子の後に置いて、ちょうど頭のあたりに透明の板(ポリカーボネート製だそうです)が来るようになっています。

 ファゴットのすぐ後ろにはトランペットやトロンボーンが並んでいますが、これは、そんな金管楽器の音をまともに受けたら耳に障害があるということで開発された、遮音効果のある道具なのだそうです。商品名は「アコースティック・シールド」ですって。透明な板ですから、金管奏者もちゃんと指揮者は見えます。冗談ではなく、金管や、打楽器のすぐ前に座っているオーケストラ奏者は、難聴になったりするそうですね。私あたりは間に1人入っていますし、後はだいたいホルンですから、そんなに感じたことはありませんが、結構切実な場合もあるそうで。確かに、オーケストラのライブ映像を見ていると、こんな「シールド」が目に入ることもありますね。
 これも、なかなか珍しい写真なので、ニューフィルのFacebookページにさっそくアップして、それを私のFacebookにもシェアしておきました。こちらも、かなり「いいね!」が来てましたね。さらに、ドイツのオペラハウスのオケのオーボエ奏者からのコメントまで!
aventure number : 1916 date : 2012/6/27


今日の禁断 ポートレート

 この前の定期演奏会の時の公式の写真がやっと届いたので、さっそくニューフィルの公式サイトにアップ、パスワードさえ分かれば誰でもダウンロードできるようにしました。前と同じように、写真のサムネイルから、その写真のファイルにリンクを付けるという、一番分かりやすい方法で、写真を選べるようになっています。
 これは、大きな画像の一部のエリアを指定して、そこからリンクさせるという、「イメージマップ」というテクニックを使っています。実は、前回これをやった時には、あまりに面倒くさい作業だったので途中でいやになってしまうほどでした。なんせ、100ピクセル四方ぐらいの小さな場所を、全部で150回ぐらい、ひたすら指定していかなければならないのですからね。まあ、途中でその仕組みが分かってきたので、ある程度はコピペが使えるようにはなりましたが、それでも最終的には一つ一つ別な座標になるのですから、大変です。ですから、今回同じことを初めからまた繰り返すことだけは避けたいと思い、なんとか前に作ったマップをそのまま転用できないか、考えてみました。結局、座標は決まっているので、画像をそれに合わせればいいのだと気付き、前のものと同じ間隔になるようにサムネイルの画像を作成してみました。それは見事に成功、あとは、写真のファイル名を変えてやるだけですから、そんな作業はほんの数時間で終わってしまいましたよ。あんまり簡単だったので、かえって気が抜けてしまったほどです。ま、こんな風に、ひたすら楽をしたいために、いろいろ工夫して行くのでしょうね。人間は。
 データを全部アップして、最終的にチェックしてみたら、2枚ほどエラーが出てしまいましたが、それは単なる書き忘れでした。今はしっかり全部の写真にリンクされているはずです。これで、演奏会の後始末は全部終わった・・・はずだと思っていたら、まだ残っていることがありました。それはまたおいおい。
 こんな風に、日々進化を続けている私のサイト作りですが、最近、私が作ったサイトを他の人に引き継いでもらう、という一連の作業を経験しました。それは、合唱団「萩」のサイトです。私は参加していなかったのに、行きがかり上サイト作りだけは引きうけて、必要な情報を提供したり、練習の様子を紹介したりと、出来ることは殆ど協力してきました。去年のNYでの本番の演奏会が大成功のうちに終わったので、私の仕事はそれで終わりました。
 しかし、合唱団自体はまだまだ活動を続けるというのですね。そうしたら、役員の人が私に、「これからは自分たちでサイトを運営していきたいので、作り方を教えてください」と言ってきたのですよ。私としても、これ以上ズルズルと協力するわけにはいかないと思っていたので、そんな動きが出たのは大歓迎、さっそく、いろいろ教えてあげることにしました。
 しかし、その人は、パソコンに関してはかなりのスキルを持っていることは知っていましたから、サイトの作り方もある程度は分かっているだろう、と思っていろいろメールでやり取りをしていたのですが、実は、そういうことに関しては全くの初心者であることが分かって、ちょっと焦ってしまいました。もう、サイトのイロハから教えなければならないのですからね。私が使っているのと同じソフトを紹介したり、私が作った雛型のファイルを送ってもあげました。でも、まずそのソフトの使い方で、彼はつまずいてしまったようなのですね。結局、まず私が一通り作って、サーバーにアップしたのですから、やっぱり私が世話をしなければいけないことになってしまいそう。
 でも、そのうちに、ソフトが使えなかったのは、本当に初歩的なミスが原因だったことが分かりました。私も昔は同じようなことをやっていたのだな、と、ほほえましくなるようなことでした。それがクリアできたことで、やっと同じ土俵で話が出来るようになり、なんとか彼が自分で作ったものが公開されるようになりましたよ。でも、私から見れば、それはまだまだ未熟なものです。しばらくは、やさしくその「成長」を見守ることが続くことになるのでしょうね。
aventure number : 1917 date : 2012/6/29


今日の禁断 ピノキオ

 この間1箱まとめて買ったばかりだというのに、ウィルキンソンのジンジャエールのPET版がもう残り少なくなってきました。完全になくなってしまってからでは遅いので、さらにもう1箱ネットで注文したら、次の日にはもう届いていましたよ。もはや、コンビニやスーパー、さらには「ヤマヤ」に行っても全く見当たらなくなってしまったこのPET版ですが、こうやって注文すればちゃんと手に入るのですから、ありがたいものです。しかも、ネットでは、あのいやな甘さがあとあとまで口の中に残るという、人工甘味料がたっぷり使われているまがい物のジンジャエールまでちゃんと買えるようになっているのですから、こちらの「本家」もまだしばらくは手に入るものだ、と思いたいものです。なんせ、ビン入りとは違って、きちんと蓋が閉められますから、何回かに分けて飲むことが出来ますからね。これはとても重宝してます。1日ぐらい経って、ちょっと気の抜けたものも、なかなか捨てがたい味ですよ。
 もちろん、PETがいつなくなってもいいように、たまにはビン入りも飲んでいます。最近、この空ビンを、「ヤマヤ」で引き取ってもらえることを知りました。なんと、「1本10円」ですって。今まではそんなことは聞いてなかったので、飲み終ったビンは全部「ビン・カンの日」に出していたのですが、それが分かっていれば、今頃は大金持ちになっていたのに。1本10円だったら、1000本飲めば10000円儲かるんでしょ?
 それで、遅まきながら10本以上空ビンがたまったので、それを「ヤマヤ」に持って行くことにしました。レジに行くと、別のところに案内され、そこでビンを数えてもらったら13本あったので、130円の金券を発行してくれました。さすがに現金ではないのですね。でも、それをよく見ると、換金したこのお店でしか使えないようでした。さらに、なんとそれはその日のうちに使わなければいけないのですよ。なかなかいい商売をしているんですね。でも、どうせ飲むので、ちょっとお金を足して、ビン入りのジンジャエールを2本もらってきましたよ。
 昔はこんな空ビンのリサイクルなんてどこでもやっていたことなのでしょうが、最近は業者以外ではビンでの流通は減って、ワンウェイのPETに変わってきていますから、そもそも「空ビンを取ってもらう」という発想がなくなっているのでしょうね。リサイクルの原点であるビンの回収が、まだ消費者のレベルで行われているのを知って、ちょっとうれしくなりました。
 うれしいと言えば、震災後、長いこと閉館状態が続いていた県民会館が、2週間ほど前にめでたく再開したようですね。今日、用事があって行ってみたら、ちゃんといつもの通り、なにかの公演が行われているところでした。

 これで、市内のホールは殆ど使えるようになったのでしょうね。でも、ニューフィルが指揮者練習によく使っていた仙台港のそばの「アクセルホール」は、まだ使えないのでしょうか。
 今日行ったのは、ここで開催される仙台フィルと山形交響楽団の合同演奏の、マーラーの「復活」のチケットを買うためでした。もう1ヶ月前から発売になったいたのですが、ついつい億劫で買ってなかったのですね。もう良い席は殆どなくなっているだろうと思って座席表を見てみたら、殆ど売れてませんでしたね。だから、2階席の一番前の席が手に入ったのはいいのですが、なんだかちょっと拍子抜け。なんたって、「生」マーラーを聴く機会なんて、仙台では殆どないというのに。実は、私も、合唱が入ったマーラーを「生」で聴くのはこれが初めてなので、とても楽しみにしています。
 「生」マーラー同様演奏される機会の少ない「生」ブルックナーも、11月3日には同じこの県民会館で聴くことが出来ますよ。演奏は仙台ニューフィル、指揮は末廣誠さんです。
aventure number : 1918 date : 2012/7/1


今日の禁断 キューピー

 この間、パリンカの演奏会に行った時に、まだ開場前で誰も並んでいなかったので、椅子に座っていたら、黒い服を着たパリンカのメンバーが2階から降りてきました。ホールの楽屋はお江コラが使っているので、2階にある、おそらく「アトリエ」あたりが楽屋の代わりだったのでしょうね。これから最後のリハーサルがあるというので、みんなホールに入って行きます。それぞれに私に気が付いて軽く声をかけたりしてくれたのですが、一人だけ、わざわざ近づいてきて、財布を開けながら、「あなたにお金を払わなければならないんですよ」なんて話しかけてきました。この前仙台フィルが演奏したモーツァルトのレクイエムに合唱として参加したのですが、その時にギャラ(交通費?)が、パリンカに届いているので、払いたい、というのですね。その方は、いつの間にか会計さんになっていました。あの時は、「自由参加」という枠はなかったので、私は一応パリンカの「団員」としてエントリーしてたのですよね。ですから、ギャラもパリンカ経由で支払われるために、参加した2人分が会計さんのもとに来たのですが、私はもういないので、どうしようかと思っていたら、ちょうどここにいたので、やっと渡すことが出来たのでした。CD1枚買えるぐらいの金額でしたから、ちょっと嬉しかったですね。
 そうなんですね。仙台フィルでは、合唱団にもきちんと一人一人ギャラを払っていたのでした。でも、以前愚妻がヴェルディのレクイエムで出演した時には、そんなものは一切もらわなかったと言ってましたよ。ということは、団に来た人数分のギャラは、団の方の収入になっていたのでしょうか。あ、もしかしたら、こんなことは書いてはいけないことだったのかもしれませんね。どうか読まなかったことにしてくださいね。
 その愚妻は、ヴェルディに出たのとは別の合唱団にも入っているのですが、いきなり私に「コンクールのCDを人数分焼いてちょうだい」と言い出しました。何でもできると思っているのですね。まあ、出来ますが。でも、ただ焼くだけではなく、きちんとジャケットも印刷してくれ、と言うのですね。まあ、そんなことは簡単ですから一応引き受けましたが、面倒くさいですね。というのも、こういうものを頼まれれば、私としては半端なことはしたくないので、とことん凝ってしまうので、ついつい時間を忘れたりするのですよね。他にやることがあるというのに。
 結局、こんな2つの素材を渡されたので、



 最終的にはこんなジャケットに仕上げました。

 ちょっと見ただけではなんということのないもののように思えるかもしれませんが、この中には数々のスキルが投入されていますから、見る人が見ればそれなりの評価をしてもらえるはずなのですね。でも、愚妻にはそこまで分かるはずはありませんから、別に細かいことは説明しませんでした。もちろん、「ごくろうさま」と言っただけで、ジャケットに関しては何の言及もありませんでしたが、いいんです、決して他人には分からないようなところで、一人悦に入る、というのが、私のスタイルなのですから。
aventure number : 1919 date : 2012/7/3


今日の禁断 コンマス

 なんとも蒸し暑い一日でしたが、こういうお天気になってくるといよいよ私の職場もなにかと忙しくなってきます。1ヶ月後に迫った恒例の行事のための準備なども、ぼちぼち手がけなければいけません。まずは、その行事の案内のはがきの印刷です。なんせ、1000枚以上送らなければいけませんから、あて名と、そして本文を印刷するだけで丸2日かかってしまいました。それは、もう投函してしまったのでまずは一つ片付きましたが、あとはその日に発行する「会報」を作らなければなりません。でも、これは毎年作っていてほぼ「型」が出来上がっていますから、2日もあれば出来てしまうはずです。まだまだ、他のことをやっていても大丈夫です。
 「他のこと」というのは、別の「会報」、つまり「かいほうげん」のことです。こちらも、もう200回以上作ってきたのでいい加減「型」が出来てもいいはずなのに、いつも何か違ったことをやりたくなって来て予想以上に時間を食って、間際になってあわてる、というパターンが、逆に「型」として定着してしまっています。ただ、今回からは、今まで団内のさまざまな情報を事務局から提供してもらっていたのが、その「事務局」自体がなくなってしまう、という事態に陥ってしまったものですから、ちょっとやり方が変わってしまいました。いや、実を言えば、私がそんな「事務局」の仕事を一部引き受けなければならないようになって、それがほとんど「かいほうげん」に関係しているものですから、結局すべてのことを文字通り私一人でやらざるを得なくなってしまった、という状況になってしまったのですね。ま、結果的には情報が直接私のところに集まってくるようになったので、仕事自体は逆にやりやすくなった、という面はあるのですがね。つまり、今まではひたすら事務局からのFAXを待って、それに合わせて印刷のスケジュールを決めていたりしていたものが、もっと自由に出来るようになった、というようなことでしょうか。
 今回は、この間の定期演奏会の写真を掲載しました。と言っても、ただ載せるだけではなく、記録係の人が撮ってくれた写真をホームページからダウンロードできるようにしたばかりなので、それと連動させて「こんな写真がありますよ」という、いわばサンプルとしての写真を載せたのですね。と言っても、そんなに沢山は載せられませんから、弦パート1枚、管・打パート1枚にまとめてあります。それで、あの時に写真に入った人はほぼ全員収まることになったはずです。もし、抜けていた人が居ても、それは撮った時にそこにいなかったためなので、ガッカリしないでください。
 そんな風に、なるべく全員を載せようとした結果、一人、かなり重要な人がいなくなってしまいました。そこで、ちょっと荒業を使って、その人を別のところから持って来て、さも、そこにいたかのようにしています。

 つまり、この2枚の大きな写真に、ヴァイオリンパートは殆ど入っていると思ったのですが、実は小さな写真の人が抜けていたのです。その人が入った写真は、2人しか入っていないもので、そのまま使うのはちょっと無駄、それで、2種類の大きな写真の両方にダブって入っている人を、この方に差し替えようと思ったのです。どんなふうに差し替えたのかは、実物を見てのお楽しみ、ということで。3人ぐらいダブっているのですが、出来れば男性の方がいいかな、と普通は思うのでしょうが、意表をついてK子さんあたりと差し替えるのもいいかな、とかね。
aventure number : 1920 date : 2012/7/5

12/7/7-12/8/14