今日の禁断 |
エントロピー |
待望の東北新幹線が、やっと仙台まで開通しましたね。それなりに重要なことなのでニュースでは確実に取り上げられるだろうとは思っていましたが、まさかあれほどの扱いになるとは、予想していませんでした。なにしろ、地方局では仙台駅から生中継で列車が走りだす瞬間を伝えたり、なんと東京のワイドショーのスタッフが、実際に1番列車に乗って仙台まで来たりしていたのですからね。やはり、新幹線の開通というのはいわば「復興」の象徴なのでしょうから、まあ大騒ぎしたくもなるのでしょう。でも、そんな映像からも、仙台駅の駅舎の外壁を修理するために設けられた足場が見えたりするのが、なんとも生々しいですね。
そして、それに続いて起こった運休騒ぎの方は、実は私にはしっかり予想が出来ていました。正直言って、あれだけの被害があったものが、たった1ヶ月半やそこらで復旧するなんて、とても信じられませんでしたから。そもそも、そんな長期間走らせていなかったものが、そう簡単に元通りになるわけがありません。実際にお客さんを乗せて走らせてみなければわからないようなトラブルが、きっと起こるのではないか、と思っていたのです。きのうの停電事故も、結局原因が分かってそこが改善されたのですから、こんな風にしばらくはトラブルが続くはずだ、と思って鷹揚に構えていればいいのではないでしょうかね。原発とは違って、こちらは大事故になる前に確実に止めることは出来るのでしょうし、そこで見つかった不具合を直しさえすれば、きちんと元に戻すことが出来るのですからね。それに、まだまだ余震の可能性は残っていますから、それで停止してしまうことだって確実にあるはずですからね。
新幹線は、そんな風に、きちんと修理をしさえすれば、間違いなく震災前の姿を取り戻すことは出来ますが、その原発ではとてもそんなことは言っていられないのは、もはやだれしもが知るところとなりました。ですから、地震によっていま停止している原発は、そのまま動かさないでおけばいいのに、と思うのも、至極当たり前の考えだと思うのですが、世の中にはそうは考えない人もいるのですね。女川にある原発に、県と町の代表の人が訪れたというニュースをやっていましたが、それを見ていると、どうも関係者は今止まっているこの原発を、また動かすことを考えているようなのですね。とても信じられません。あ、そんな時に必ず出てくる勘違いも甚だしい反論である「足らない電気はどうするのだ」というのは、全く無視しましょうね。電気が足らないことと、「フクシマ」の二の舞になることを同じ次元で話すことの無意味さは、誰にでも分かることなのですから。
今は電気が足らないとか言っていますが、それは何十年もかけて電気を無駄に使う社会を作って来てしまったから、今になって困っているだけの話です。考えてみたら、エアコンにしても、あれだけ自然に反したことをやっているものもないのではないでしょうか。つまり、熱湯に氷を入れたらぬるま湯になる、というのが、自然の法則なのですが、エアコンの原理は、その逆、ぬるま湯から熱湯と氷を作り出すという作業なのですからね。そのためには並々ならぬエネルギーが必要になるのは自明の理です。しかも、エアコンの場合、確かに「温度が下がる」ところを作り出すことは出来ますが(氷)、その分、「温度が上がる」ところも出来てしまうのですからね(熱湯)。それで高くなった温度を、さらに下げようとするという、なんとも愚かなスパイラルに陥ってしまっているのですよ。
震災の日、電気がすべて消えた時に見上げた夜空は、美しい満天の星でした。仮に、夏の暑い日に日本中のエアコンを切ったとしたら、もしかしたら打ち水と団扇だけでしのげるぐらいになっているかもしれませんよ。 |
aventure number : 1701 |
date : 2011/4/26 |
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