1621(10/11/24)-1640(12/31)

今日の禁断 画材店


 最近、あちこちで東野圭吾の原作でドラマや映画が作られていますね。WOWOWでも、新しい連ドラが始まるというので、それにちなんでだいぶ前の映画が放送されていました。そのうちの「秘密」は、前に見たことがあるのですが、その時にはまだ原作を読んでいませんでした。というか、その頃はまだ東野圭吾という名前も知らなくて、ただ竹内まりやがテーマ曲を歌っている、ということだけに興味があって見たようなものでした。でもその後彼の本で文庫になっているものはほぼ読んでしまうほどハマってしまい、もちろん「秘密」も読んだので、もう一度その映画を見てみようと録画はしておきました。これ、最近どっかの民放でドラマをやっていましたが、そちらは初回を見ただけで見切りをつけましたが、映画の方はそれよりもずっと出来が良かったはずですから。
 同じように、「変身」という作品も放送されたので、これはもう見終わったところです。映画になるぐらい有名な原作だったら、当然読んでいたはずだ、と、別に蔵書を確かめもせずに見始めたのですが、話の内容は全く記憶にありませんでした。別に、その主人公のように私が脳移植手術を受けて記憶が少し欠損した、というわけではないので、おそらく本屋でタイトルを見た時にすでに読んだ気になっていたのでしょう。ですから、結局全く新しいストーリーを体験したことになりました。
 しかし、この映画を見ただけでは、原作はとんでもない駄作だな、という感想を持ってしまうのではないでしょうかね。確かに彼の作品には出来の悪いものもありますが、この映画で見られるほど雑なプロットは、いくらなんでもかんがえられません。もちろん、かなり突拍子もない話ではあるのですが、これほど現実味のない描き方など、原作者はするはずがありませんからね。もしかしたら、私は実は原作を読んでいて、それが映画ではあまりに変えられていたものだから、こんなものは読んでいない、と思ったのかもしれませんね。
 この映画を見ているときに、東野作品では必ず味わえるはずの、登場人物への感情移入が全くなかった、というあたりが、いかに原作をないがしろにしたものであるかが如実に表れているのではないでしょうかね。そのあたりの描写は、彼はとても上手です。
 ただ、ここで主人公を演じたのが、玉木宏だというのが、ちょっと嬉しいところでした。この映画が作られたのが2005年。つまり、ここでは「千秋以前」の玉木宏が見られるのですね。「のだめ」のドラマが始まったのが2006年ですからね。この画像でも分かりますが、ここには、あのふてぶてしい千秋真一の姿は全くなく、なんともナイーブな若者、といった雰囲気が漂っていますよね。もしかしたら、玉木宏にしてみたら、この映画は「なかったことにしたい」ものだったのかもしれませんね。
 相手役の蒼井優というのは、原作ではどうだったのでしょうね。これはこれで、裏切られても決して見捨てないでどこまでもついていく、というひたむきさはよくあらわれていたとは思うのですが。でも、これだけの素材が揃っていれば、かならずウルウルくるところがありそうなものですが、それが全くなかったということは、脚本か監督に決定的ななにかが欠けていたのでしょうね。たとえば、彼女のセリフも、ああいう風な、ことさら自然さを装ったしゃべり方(しゃべらせ方)は、そういう系の映画には合っているのでしょうが、東野作品にはふさわしくないような気がします。
aventure number : 1621 date : 2010/11/24


今日の禁断 キャッシュカード

 きのう、ついに、職場に新しい複合コピー機がやってきました。見かけは今までのものより小振り、高さはずっと低くなっています。6年間に、これだけのダイエットに成功した、ということなのでしょうね。スリムになった分、身体能力もアップしているのでしょう。機械の据え付けが終わると、サービスの人と営業の人が二人していろいろ設定をやり始めました。当然、プリンターとして使うためのドライバーのインストールなどもやってくれます。ところが、それが完了したので、テストをやってみると、なぜかデータが機械に送られないのですよ。ちゃんとUSBケーブルは、パソコンにも機械にもつながっているというのに。前の機械の時も、散々やってみて結局ドライバーの件は解決しなかった、という苦い思い出がよみがえってきます。「またかよ」という感じですね。その時は、最終的にはポートを変えたら無事つながったのですが、そこをいろいろいじっても良くなりません。サービスさん、営業さんとも、頭を抱えてしまっていましたね。私も、すぐにプリントして練習に持って行きたいものがあったのですが、これでは次回になってしまうかも、とあきらめモードです。
 と、念のため、机の陰に引き回してあるケーブルを引っ張ってみたら、なんだか手応えがありません。そのまま引っ張ると、なんと先になにも付いていません。パソコンには確かにつながっているというのに。あ、でも、ケーブルの色が違います。そうなんですよ。少し長さが足らなかったので、延長ケーブルを付けていたんですね。それが、機械を動かした時に外れてしまったのですよ。これでは、いくら設定をいじってもデータが来るわけはありません。みんなして大笑いです。
 実は、最近の「かいほうげん」、203号と202号が、完売していました(別に売ってませんけど)。指揮者練習の時に配ったので、全員に行き当たったはずなのですが、なぜかあとから持って行く人が多くて、すっかりなくなってしまいました。そこで、「増刷」しようと思って、それぞれ2部ずつこの新しいプリンターで作ってみました。いやあ、そのきれいさと言ったら、ため息が出るほどでしたね。写真なんか全然違います。まるで、CDがSACDになったようなものですよ。って、聴いてない人には分からないでしょうが、視覚に置き換えると解像度と立体感がまるで違うのですよ。202号に載せたJAOのレポートなどは、せっかくの写真がひどい印刷で、写っている人の顔がとんでもないことになっていました。ですから、お詫びの意味で、2部のうちの1部はその写真と原稿を提供してくれたMさんにプレゼントです。次号からは、みんなにこのきれいな「かいほうげん」が届けられますから、お楽しみに。
 新しい機械には、ADFがついてきました。お金は出てきませんが(それは「ATM」)。今までこの「オート・ドキュメント・フィーダー」を使ったことがなかったので、どうしてこんなことが出来るのか、不思議でしょうがありませんでした。上から入れた原稿をいったんガラスの上に広げて、スキャンが終わったらそれをまた上に戻すんでしょ?そんな複雑な作業が、どうしてこんな狭い空間で行うことが出来るのでしょう。そのうち、ガラス面に、今までの機械にはなかったスリット状の部分があるのに気が付きました。そうか!原稿を広げるのではなく、このスリットの上を原稿が移動するだけだったんですね。上段の青いテーブルに乗った原稿は、下まで運ばれてスリットの上で顔を出し、また上へ戻って青いテーブルの下に出てくるのです。うん、そういえば、昔のコピー機は今みたいに止まった原稿の下をスキャナー・ヘッドが動くのではなく、ヘッドは止まっていて、原稿を置いた台自体が左右に動くんでしたよね。なんのことはない、昔の形に戻っただけじゃないですか。
 これが、ADF。原稿は、矢印のように動きます。

 赤枠の部分のスリットの上を原稿が動き、スキャンされます。ですから、ここは常に掃除をしておくように注意書きがありましたね。
aventure number : 1622 date : 2010/11/26


今日の禁断 3大B


 先日、「最後の」来日を果たしたニコラウス・アーノンクールが、手兵ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスと、アルノルト・シェーンベルク合唱団を率いてバッハの「ロ短調」を演奏した模様が、きのうBSで放送されていましたね。なんでも、今年の「NHK音楽祭」の一環なのだとか、そのおかげでこんな「貴重な」コンサートが居ながらにして味わえるのは、ラッキーです。
 とりあえず録画だけしておこうと思っていても、最初を聴き始めるとつい最後まで聴き続けてしまいたくなるような、それは突っ込みどころ満載の演奏でした。まずは、今までのアーノンクールからは考えられないような、実に穏やかな世界が広がっていたのが、とても意外、というか、ある意味当然のような気にさせられるものでした。なんと言ってもこれが日本で披露できる最後の機会になるわけですから、せめて最後だけでも「巨匠」としての印象を植え付けておきたいな、と考えたのかどうかは分かりませんが、彼の得意技であった突拍子もない演奏は影を潜めて、なんとも悠揚迫らぬ、最大公約数的な一般受けする音楽を提供してくれていたのには、変な言い方ですが「失望」していまいました。それでも、ソリストのレシュマンあたりには、彼本来の鋭角的なアーティキュレーションが徹底されていましたから、この穏やかさは決して彼の本意ではなかったのかもしれませんね。
 しかし、別の意味でまだまだチャレンジを忘れていないところも披露されていて、それはそれでなかなか微笑ましいものがありました。それは、合唱パートの扱いです。「Kyrie」の冒頭のトゥッティは、もちろん「合唱団」が歌っていたのですが、そのあとのフーガのテーマを、なんと、「ソリスト」たちが歌い始めたのですよ。もちろん、これは、今やバッハの声楽曲を演奏する際の主流を占めてしまった感のある、「原則1パート1人、場合によっては、要所をリピエーノで補強する」という方式を、ついにこの「古楽の祖師」もとり始めたということを明確に示すものでした。ただ、ここで起用されているソリストたちが、そのようなコンセプトに必ずしも合致した人選であったのか、という疑問は残ります。ソリストとしては優れていても(それが、バッハの様式にふさわしいかは、また別の問題です。たとえば、シャーデの「Benedictus」などは、バロックの様式とは別なところで訴えかけているとしか思えません)アンサンブルとしてきちんとやれるか、というのはまた別のスキルが必要になってくるのですからね。ここでも、この5人が作り出したものは、アンサンブルを語る以前のところで終わってしまっていました。
 大幅に譲歩して、このソリストたちの「合唱」を認めたとしても、今度はリピエーノとしての「本職」の合唱団との役割分担がなんとも不可解なものになってしまいます。こんな大人数、しかも、その透明とは言い難いキャラでは、到底良い結果など得られるわけがありません。
 オーケストラでは、かなり高齢の方がまだ演奏しているのを見ると、相応の歴史が感じられます。おそらく、創設以来の「伝統」を彼らはしっかり守り続けているのでしょう。日々新しいことが発見されているこのジャンルでは、そのような姿勢は極めて珍しいものに違いありません。ここでも、彼らがかたくなに守り続けている折衷的な様式感は、到底現代では通用しないもののように思われてなりません。なんと言っても、コンサートマスターあたりは楽器の構え方から奏法まで、まさに「モダン」そのものなのですからね。
 つまり、これがアーノンクールが唱えている「現代におけるバッハ演奏」なのでしょう。細かいことにこだわっていたのでは、バッハの崇高な精神は決して表現できないのかもしれませんね。やはり、こういう「巨匠」は日本人には尊敬いや、崇拝されることになっています。というか、日本のクラシック・ファンというのは、常にこういう崇拝の対象を探し求めているのでしょう。彼の作り出す音楽が、いかにつまらなくとも。
aventure number : 1623 date : 2010/11/28


今日の禁断 シチリア島

 先週あたりから、喉の具合が最悪です。いつもだと、しばらくすると良くなるのに、今回はだいぶ長引いています。ひどいのは、夜になって布団に入ると、気管のあたりがムズムズしてきて、咳が止まらなくなることです。この3日間ぐらい、そのためにほとんど眠られないような状態になっています。もっとも、咳をしている間はそんな風に思っているのですが、いつの間にか寝てしまっているみたいで、実際には必要な睡眠はとれているような気はするのですがね。
 そんな状態ですから、まず、おとといのパリンカの時は悲惨でした。最近は多少喉が痛くても歌えるような歌い方が出来るようになったので、とりあえず声を張れば歌えないことはないのです。ただ、ピアニシモなどを出そうとすると、情けないぐらい支えがなくなってしまって、「声」すらも出なくなってしまっていましたね。パートの人から「お大事に」とか言われてしまいましたよ。
 今日のニューフィルは、それほど影響はないような気はしていました。確かに、楽器を演奏すること自体は全く問題なく出来るのですが、吹き終わった後に、口の中から喉の奥までカラカラになってしまうような感じなのですよね。ですから、歌ったわけでもないのに、しゃべろうとするとすぐには声が出ないような状態になってしまいます。あと、しょっちゅう咳が出そうになりますから、休みのところで咳払いをしたりとか、結構やかましいことになっていました。
 実は、今日の「第9」の指揮者練習では、ピッコロ担当のAちゃんが、本物の風邪にかかってしまったとかでお休みでした。もう一人、今回は降り番のMすーも今日は都合が悪くて代吹きもできませんから、私がピッコロを吹くことになってしまいました。最近、「第9」のピッコロほど難しいものはないことを実感するようになっていたので、出来るだけ本番では吹かないようにしていたのですが、こんな練習の時だったら、かえってチャンスだと思って、挑戦してみることにしたのです。というのも、前にも書いたように、今度の定期ではヴェルディのピッコロが回ってきたので必死にさらっているところなのですが、その成果を実地に試してみるいい機会だと思ったのです。大体、今までの私のパターンだと、家で練習している時には問題なく吹けるところも、実際に練習で一緒に吹いてみると全く思ったようには吹けなくなっている、ということが多かったものですから、そこそこ吹けるようになったと思っても油断は出来ないわけですね。
 最近の特訓のおかげで、今までかなりの確率で失敗することの多かった高音のA以上の音が、ほぼ100%決められるようにはなっていました。これは大きな進歩です。なんせ、前に「アンタール」をやった時には、いきなり出てくるそのAが、練習の時にも五分五分の勝率だったものが、本番では見事にしくじってしまいましたからね。ヴェルディでは、もっと高いHが頻繁に登場します。それが、実際の合奏できちんと出せるかどうか、それを試してみようと思ったのです。本当はベートーヴェンの楽譜にはそんな高い音は出て来ないのですが、慣習的に最後の部分でオクターブ高く演奏することがあるものですから、目いっぱいそれをやってみるつもりでした。
 結果は、上々の出来でしたよ。長年オーケストラをやっていて、いまさらですが、人前でピッコロを吹いて、これだけきちんとHを出したのは、これが初めてのような気がします。うん、これだったらヴェルディも恥をかかないで済みそうです。
aventure number : 1624 date : 2010/11/30


今日の禁断 ルナ

 とうとう12月になってしまいましたね。1年の経つのが、なんと早いことでしょう。その分、世の中もどんどん先に進んでいるのでしょうね。この間街に行ったら、ほんの半月前に閉店したばかりのHMVがすでに他のお店(靴屋さんでしょうか)に変わっていましたからね。

 これで、一番町からはレコード屋さんは完全に姿を消したことになります。タワーレコードも最初はブラザートレンドビル、そのあとフォーラスに引っ越しましたが、今は駅前のパルコに入ってしまいました。もっと以前には、広瀬通りの北のブロックに「サンリツ」と、青葉通りの角から2件目辺りに「大一楽器」という、大きなレコード屋さんがありましたし、南町通りのそばにあるヤマハでも、レコードは扱っていましたね。「大一」は、演歌とか、そんなものが主体のお店だったような気がしますが、プレイガイドもやっていて、なぜか仙台にカラヤンとベルリン・フィルが来たときに、そこでチケットを買った覚えがあります。徹夜で並んだわけでもなく、朝早く行っただけで買えてしまったぐらい、簡単なものでした。NHKの主催だったので、そんなに高くなかったような気もします。とは言っても、実際の演奏はほとんど覚えてはいません。他のところではベートーヴェンのツィクルスなどをやっていたのに、仙台はドヴォルジャークの8番だったので、なんだか格が低かったように感じていたせいでしょうか。もちろん、その頃はフルートなんかやってませんから、いくらフルートが活躍していても馬の耳に念仏だったでしょうしね。
 レコード屋さん同様、一番町にたくさんあった本屋さんも、今では「金港堂」1軒になってしまいましたね。今あるのは本店だけですが、以前は支店がフォーラスにありました。あとは、「高山書店」というのもありましたね。そして、「丸善」も。それらがなくなった後には、ブランド品のお店とか、ファッション系のお店が入るようになって、街全体から「文化」の香りがどんどん消えて行ってしまうのでしょうね。
 そう、そんな文化施設の代表であったはずの映画館も、ここにはたくさんありましたね。広瀬通りの角には「東映ビル」というのがありますから、そこがかつては東映系の映画館だったことは分かります。しかし、その向かい側のフォーラスのところには、「日活」があったことをおぼえている人は、もう少なくなってしまったはずです。日活自体が早々と不振に陥って、その直営館も早い時期になくなったのですね。ヤマハのとなりあたりには「松竹」がありました。そこから数軒離れてあったのが、「名画座」です。その名の通り、昔の映画を安く見られるところでしたね。ディズニーの「ファンタジア」を初めて見たのはここでした。おそらく、私が最初にタバコを吸ったのもここの客席だったはずです。
 意外でしょうが、私も学生時代は煙草を吸う習慣がありました。ただ、「初体験」というのはなにかと恥かしいもので、人前でそれを行う自信がなかったものですから、誰にも見られないように、映画館の暗がりの中で、こっそりそんな禁断の果実をかじるきっかけを持ったのですよ。今では全く信じられないことですが、その頃は映画館と言えば煙草を吸いに行くところのようなものでしたからね。よくあんな煙たいところで、映画なんか見ていられたものです。あっ、自分で吸っているんだから、別に苦にはならないのか。
 そんな私も、今では煙草に手を出すことは全くなくなりました。それどころか、煙草の匂いがするところに行くだけで苦痛に感じるようになってしまうのですから、面白いものです。正直、煙草を吸ってきたばかりの人と面と向かって話をするのも苦痛だったりしますから。
aventure number : 1625 date : 2010/11/2


今日の禁断 パンケーキ

 前回の煙草ネタの続きになるのでしょうか。たまに行く国見が丘のロイヤル・ホストが、最近その前を通ったら何やら工事中のようでした。その工事が終わってリニューアル・オープンのチラシが入ってきたので、一緒に付いてきた割引クーポンを使いつつ、どこを直したのか見てみようと思いました。
 外側は、確かに新しく塗装し直したようには見えますが、色自体は以前と変わってはいないようでした。しかし、一歩中に入ると、落ち着いた渋い色に統一されていて、全く別のお店に来たみたいです。テーブルの間にも仕切りが少し高くなっているような感じで、なんだかCOCOSあたりに良く似たような雰囲気になっていますね。
 そして、うれしいことには、なんと店内が「全面禁煙」になっていたのですよ。以前は入口を入って右と左がそれぞれ喫煙ゾーンと禁煙ゾーンに分かれていたのですが、その区別は全くなくなり、ここで食事をする人は全く煙草を吸うことが出来なくなっていたのです。ただ、どうしても吸いたい、という人のためでしょうか、「喫煙室」という個室のようなものが設置されています。その入り口には「ご飲食はご遠慮ください」という表示がありますから、この中では本当に煙草を吸うことしか出来ないのですね。これは、ある意味大英断なのではないでしょうか。調べてみると、ロイホではすでにかなりの数の店舗がこのような「全面禁煙」仕様に変わっていたのですね。時代はもうそこまで来ている、と思いたいものです。「レストラン」と名のつくところでは、煙草を吸いながら食事をすることは全く許されなくなる、そんな社会が、もう少しで実現するのかもしれません。
 もっとも、そんな流れを敏感に察知して、私のお気に入りのとんかつ屋「櫻家」が店内から灰皿を撤去する日が来ることは、当分は望めないようですがね。
 もちろん、今では映画館やコンサートホールの中が全面禁煙なのは当たり前のことになっています。萩ホールなどでは、もっと厳しい「敷地内全面禁煙」というお触れを出しているぐらい、運営面では悪評高いこのホールですが、この点だけは大いに評価できます。
 今日行って来た「えずこホール」でも、「館内禁煙」は徹底されているようでした。しかし、ガラス戸を隔てた中庭にはしっかり灰皿が置いてあり、まだ、この悪癖を全面的に禁止するほどの度胸は持ち合わせてはいないようです。
 いよいよ明日は毎年恒例の「角田第九」の本番ですから、現地でのリハーサルが行われたわけです。まずは子供合唱団をフィーチャーした「サウンド・オブ・ミュージック」ですが、今年はなんと「第九」のソリストであるジュディスさんが、このステージでも歌ってくださるというサプライズがありました。

 そして、「第九」の練習が始まる段になって、「強風のため新幹線が遅れて、ソリストがまだ到着していない」というアナウンスがなされました。そういえば、ここに来る時にも、車に強い横風があたって、ちょっとおっかなかったことを思い出しました。実は、遅れてきたのはソリストだけではなく、わざわざここに参加するためにやってきた東京の合唱団の人たちもいたそうです。そんな助っ人もあったせいでしょうか。今年の合唱はいつになく充実しているような気がしましたよ。指揮者の寿一さんも満足げ。
aventure number : 1626 date : 2010/11/4


今日の禁断 コンポジション

 そしてきのう、恒例の「角田第九」の本番がありました。その日はリハーサルが10時から始まるのですが、安全を見て8時ちょっとすぎには出発です。と、前を走る鮮やかなワインレッドの車に、ちょっと見とれてしまいます。これは確か日産が最近出した「ジューク」という車、なかなかかっこいいですね。でも、3ナンバーだから、ちょっと辛いかな、などと考えていると、後に付いているロゴが、明らかに「JOKE」となっているのに気がつきました。本当は「JUKE」のはずですよね。限定でこんなのがあるのでしょうか。あるいは、自分で付け替えたとか。いやあ、「JOKE」だったら、本当に欲しくなってしまいましたよ。

 今回は、「第9」はいつもの1番ではなく2番を吹いています。久しぶりに吹くパートですが、いやぁ、楽ですね。何よりも、一人で緊張することがまずありませんから、いとものんびりしていられます。ただ、あまり緊張しないのも考えもの、今回はリハでも本番でも逆に途中で眠気が襲ってきて、それを振り切るのがものすごく大変でした。
 その分、合唱団がメインの「サウンド・オブ・ミュージック」では、目いっぱい緊張させていただきました。特に、最初のナンバーでは、ジュディスさんが歌いやすいようにキーが上がっていますので、前のアレンジをそのままトランスポートした楽譜では、やたら高い音が出てきます。初めはフルートで「ハイE」などという指定があったのですが、さすがにこれはピッコロに代わってもらいましたよ。出せますよ。私には。でも、そんなギリギリのテンションでしか出せないような音では「小鳥の声」ではなくなってしまいますからね。そこまでではなくても、普通のオブリガートでも異様に高いので、リハではついシャープを抜かしてしまったら、自分でもびっくりするぐらい目立ってしまいましたよ。
 休憩になったら、「子供合唱は写真を撮ります」と言っていたので、私もついていってその集合写真を撮ってきました。どうやら、全員女の子のようですね。

 ご覧のようにジュディスさんは「マリア」役ですね。隣の人は、「トラップ大佐」なんですって。ギターの弾き語りで「エーデルワイス」を歌っていました。もちろん、「第9」の時には、もっと素敵なドレスに着替えていましたよ(「マリア」が、ですよ)。
 写真を撮り終わって楽屋に戻ると(ここは「平土間ホール」という場所なのですが、コンマスのSさんが「大広間」と間違えたので指揮者にさんざんイジられていましたね)、みんなはもうお弁当を食べ始めていました。

 去年までのおにぎり路線はやめたのでしょうか。なんだか主張の乏しいお弁当のような・・・。
 気を取り直して本番に臨みます。今回は合唱がずいぶん充実していたような気がします。2階席に空席が目立ったのがちょっと気になりますが。

 演奏が終わったら、もう4時半近く、私は、6時までに町内会の用事で自宅に帰らなければいけなかったので、最速で着替えをして、まだ混んでいない駐車場を抜け出し、一路仙台へ向かいます。バイパスは楽勝だったのですが、市内に入ったところで、もう「ひかペー」が始まっているの気付きました。このまま二番丁を進んだのでは間違いなく大渋滞に引っかかって遅刻、そこで西公園通りまで大きく迂回して、6時5分前に到着です。そこで役員会を1時間。それが終わると、パリンカです。歌い終わる頃には、ずっとひどかった咳も、すっかり出ないようになっていましたよ。
aventure number : 1627 date : 2010/12/6


今日の禁断 イタリアン

 前に、練習会場の申し込みをしようと思ったら、すでにいつも借りている日がふさがっていた、と激怒していましたが、ふたを開けてみればなんということはなく、希望した日はすべて取れていたのだそうです。どうやら市の行事に使う可能性があったので、必要のないところまで何股もかけて押さえていたものを、ちょこっと苦情を申し入れたら即撤回したのだとか。そんな噂を聞いて、更に腹が立ってきました。まったく、お役人というのは、使う人のことを全く考えずに好き勝手なことをやっているのですね。 
 そんないわくつきの会場で、「第9」が終わってまだ2日しか経っていないというのに、もうニューフィルでは次の演奏会へ向けての練習が始まりました。いつも通りの火曜日に市民センターに集まったメンバーは、早くも気持ちを切り替えて新しい曲に向けての挑戦を始めているかのように見えます。とは言っても、木管の中では重要なパートが欠席したりしていて、ちょっと出鼻をくじかれる思いです。フルートなどは、前から休むかもしれない、という人がいたので、代吹きの体制は万全だったというのに。
 そう、私は前半に予定されていたチャイコフスキーは降り番だったので、本当はゆっくり行けばよかったのですが、急遽2番を吹かなければならなくなって、焦って練習していたところなのですよ。1番は前に吹いたことがあったのですが2番は全くの初見(つまり、1番の時には、2番を吹く機会は決してめぐってはこないのです)、結構面倒くさいものです。というのも、1番のパート譜は前に使ったものが残っていて、いろいろな書き込みがありますから、ずっと吹きやすいのですね。特に、この曲ではやたら臨時記号が出てきますから、途中で調がわからなくなって、半音違う音を吹いてしまいがち。それを防ぐために、間違えやすい音には前もって「シャープ」や「ナチュラル」を書いておくのですね。2番はそんな「下準備」をしていないまっさらの譜面ですから、もう嫌になるぐらい音を間違えてしまいましたね。
 そして、後半は正規のパート、ヴェルディのピッコロです。そのために、ケースからピッコロを出して席につこうとすると、なにかと口うるさいKくんが「シチリアのピッコロって、難しいですってね。大学の時、ピッコロの人が『吹けない』と言ってましたよ」などと、余計なことを話しかけてきます。その難しいピッコロを吹くために、私はいつになくナーバスになっているというのに。
 実際に合奏の中で吹いてみると、本当に「難しい」ところはなんとかなりそうな感じでしたが、逆になんでもないところで油断して変な音を出す場面が頻発、課題は山積です。
 「第9」の時に撮ってきた写真で、コンテンツが充分になりましたから、今年最後の「かいほうげん」を作っているところです。しかし、他のページは全部埋まったというのに、1ページ目だけが何のネタもありません。ここは一応、演奏会などの決定事項などを通知するスペースになっているのですが、このところ特段新しい情報もなかったのですよ。それでも、なんたって「顔」ですから、なにかインパクトのある写真ぐらいは載せなければなりません。そこで、本体の中で使おうと思っていた写真を、ここに持ってくることにしました。こんなんです。

 定期の打ち上げの時に出てきた料理を全部組み合わせたものです。前にも書きましたが、フライドポテトと同じ皿に盛られている「揚げトマト」が絶品でしたね。デザートのケーキまでありましたし。
aventure number : 1628 date : 2010/12/8


今日の禁断

 12月に入ったとたん、世の中がすべて駆け足で過ぎて行くように思えるのは、単なる錯覚なのでしょうか。今日も今日とて、きのうの段階でもう確定していたと思っていた「かいほうげん」の割り付けを、単なる思い付きだけで大幅に変えてしまったものですから、それだけで半日つぶれてしまいましたよ。この間の「角田第九」が毎年新聞で取り上げられるのは分かっていたので、そのスペースを最後のページに取っておいたのですが、いざ、その写真入りの記事を見てみると、かなりインパクトのあるものだったので、ちょっとその場所では違和感を持たれてしまいそうになり、すでに出来上がっていた「角田」の特集の中に押し込んでみたのですよ。これで、コンセプトがはっきりして、ぐっと完成度の高いものに仕上がったのでは、と自画自賛です。試し刷りをしていると、ほんとに写真が前のプリンターとはけた違いにきれいに印刷出来るので、改めて感激しているところです。
 ところが、そんな作業が一段落したので、一度電源を落として少し休ませ、またパソコンを立ち上げようと思ったら、起動が進まなくなってしまいました。ここはあわてず、まず電源を切って再起動です、しかし、何度繰り返しても最初の段階で止まってしまって先に行きません。これには焦ってしまいましたね。せっかく作った「かいほうげん」が、これでは印刷が出来なくなってしまいますよ。最後の手段で、電源コードを抜いてもう1度さし直したら、何事もなく起動出来たので、とりあえずは一安心ですが、なにはともあれバックアップは取っておかねば。予想外の仕事で、どんどん時間がなくなって行きます。
 そんな、1秒たりとも無駄に出来ないような生活をしていると、ほとほとゆとりのある時間が欲しくなってきます。なにしろ、いろんなところに首を突っ込んでしまった結果、合唱だけでも今のところ3つの団体に関係するようになっています。東京に歌いに行くのはやめたというのに、ですよ。この際ですから、そのうちの2つをやめてしまうのも手かな、と思うようになってきました。1つは、最終的な演奏会は出ないのに、なぜか練習だけには参加しているという、自分でもよく分からないようなスタンスにいるものですから、なにかと居心地がよくありません。というか、ほかの人から無駄な期待を持たれる前に、きっぱりと自分の意志を示した方が親切なのでしょうしね。
 そして、もう1つは、本番はOKでもそのための練習がことごとく他のものと重なっている、というものです。なんとか折り合いをつけようと思っても、全く同じ時間にやっているものですから、そもそも両立させるのは無理、かといって本番だけなどという、私が周りの人だったら絶対嫌がるようなことはしたくありませんから、これもやめることにしましょう。うん、これでだいぶ気が楽になりました。
 楽器の方でも、やめればすっきりする、というところがあります。いつも本番の一ヶ月前あたりになって急に練習に参加した本番に臨む、といういい加減なことをやっているのですが、これも正直「なぜそこまで?」と思っています。とは言っても、長い付き合いですから結局来年も出ることになるのでしょうね。
aventure number : 1629 date : 2010/12/10


今日の禁断 あゆみ

 先日、「一番町からは、『金港堂本店』を除いて書店が消えた」と書きましたが、きのうお歳暮を送りに(「贈る」ではありません。「贈る」ために「送る」手配をしに行ったと)行ったところ、餃子屋さんの向かいの、かつてパチンコ屋だったところに、突如本屋さんが出現していたのにはびっくりしてしまいました。

 こんな感じで、生花スタンドがたくさん飾ってあったりするのは、まさにパチンコ屋の開店の風景、いや、そもそもパチンコ屋の外装をほとんど変えていなかったものですから、まさか本屋とは思わないで、素通りしてしまうところでしたよ。通り過ぎて数歩歩いてから、なんだかいつもと様子が違うことに気がついて、改めてそれが本屋さんであることを確認した、という感じです。中に入ってみると、もちろんパチンコ台やスロット台などはなく、本棚がずらりと並んでいましたね。当たり前ですが。かなり広いスペースですから、どこに何があるのかも分からないほどです。お歳暮に急いでいたので、細かい探検はまたの機会にして、とりあえず音楽関係の本がありそうなコーナーを探してみることにしました。
 そこは、なかなか手ごたえのある感じのコーナーでしたね。かつては、そういうジャンルだとモールの中にある紀伊国屋が最も充実していたのですが、最近改装されたら、なんとも手狭になってしまったので、ちょっとがっかりしていたところでした。ここは、その紀伊国屋よりもしっかりしていましたね。そこに、私がまだ読んだことのない本があったので、さっそくそれを買ってしまいましたよ(こんな書き方をすると、私は他の本はすべて読んだように思われてしまいますが、もちろんそんなことはなく、これはただの文章上のトリックにすぎません)。
 そういう本を買うのは、もちろん「おやぢの部屋」のネタにするためです。このところ忙しくて新しいCDを聴けてなかったものですから、きのうアップするための原稿はおろか、アイテムさえもなかったという、まさに「落ちる」寸前の状態だったのですが、これを読めばもしかしたら穴を開けずに済むのでは、と思ったのですよ。
 それからは、それこそ寸暇を惜しんで、食事をしながらでもその本にかじりついて(しつこいようですが、実際に本を食べたのではありませんから)夕方までには読破してしまいました。どうやら、「おやぢ」1回分の字数になりそうな原稿も書けそうな気になったので、それから一気に書き上げて、晴れてきのうの更新となったのです。まさに綱渡りですね。
 でも、実はこのぐらいの修羅場は、今までに何度となく経験していたのですね。しかも、もっとシビアな条件のもとで。昔からの常連さんはご存じでしょうが、だいぶ昔に実際にCDのレビューでお金をもらって原稿を書いていたことがありました。自称「ライター」ですね。ホームページの更新などは、いくら落ちても誰にも文句を言われることはありませんが、そんな「プロ」の「ライター」はどんなことがあっても期日までに原稿を収めないことには、クビになってしまいます(いや、結局クビになったのですがね)。そんなことを毎月やっていたものですから、そんな、必要な字数の原稿を書く能力などはかなり鍛えられてしまいました。
 そんな風に、原稿を書くこと自体は何の苦もなく出来るのですが、問題はその元となるCDを聴いたり本を読んだりする時間がないことです。それもあって、前回のような「決心」が必要になってくるのですね。
aventure number : 1630 date : 2010/12/12


今日の禁断 トマト

 樫本さんがベルリン・フィルのコンサートマスターに正式に就任したというニュースは、ワイドショーなどでも取り上げられる、というレベルで広がっていますね。これも「クラシック・ブーム」のおかげというべきなのでしょうか。それにしても、ほんの1年とちょっとの短い試用期間で正式採用が決まったのですから、それは「快挙」というべきなのでしょうね。
 ニューフィルの場合も、そんな「試用期間」というのがありますよ。入団を希望した人は、2ヶ月間は「準団員」として音楽性や協調性、人格などをつぶさにチェックされて、その後に団員全員の投票で、団員にふさわしいか審査されるのです。というのはウソですが、そんなことをされたら、私などはとても入ることは出来なかったでしょうね。「人間性」で落とされてしまいます。いや、実はこの制度が出来てからは、確かそこで引っかかって団員になれなかったという人はいなかったはずです。もともと、弦は人数が少ないので希望すれば誰でも入れますし、管は一応素性の分かった人に声をかけて来てもらいますから、その時点で大体力は分かっているのですよ。昔、とんでもない人が入ってきた時に、その方をお断りするのに一苦労だった、ということがあったものですから、そういう場合を想定してこういう制度を作ったのですが、幸いそんな人はそれ以来現れていませんし。
 そんなニューフィルは、全体での練習は今日が今年最後、となってしまいました。あと1回残っているのですが、それは管と弦が分かれての分奏なので、もうヴァイオリンのあの人や、ヴィオラのあの人には会えないのですね。それを意識したのかどうか、今日の練習はなんだか弦の人がいっぱいいるように感じられました。その中には、なじみのない顔も見受けられます。あとで紹介されていましたが、新しい人が、それこそ「準団員」として入ってきたのですよ。こんな調子でどんどん入ってくれるといいですね。
 ですから、今年最後の「かいほうげん」も、みんなに配ったらそんなには余りませんでした。そう、いよいよ、新しいプリンターで作ったものがお目見えしたのですよ。印刷は今日の朝から始めたのですが、今までの機械と違って、何のストレスもなく印刷できるのがいいですね。前のやつは、大量にプリントするとたまに止まって、「点検」かなんかが始まるのですね。それが結構長いので、イライラしてしまいます。そういうことが一切なく、なんとも軽やかに印刷できるのは、本当に助かります。
 そして、写真の出来栄えは、本当にほれぼれするほどでした。ですから、表紙に印刷したのが、この間ご紹介した打ち上げの時の料理を集めた画像だったのですが、それを見たみんなは、口々に「おいしそう〜」と言ってましたね。「おせち料理みたい」と言った人もいましたが、それはちょっと違うでしょう。
aventure number : 1631 date : 2010/12/14


今日の禁断 カフェ

 先日の樫本さんに続いて、もう一人ワイドショーレベルで騒がれているクラシックのアーティストがいましたね。おかげで、「アメリカで一番有名なオーケストラはどこですか?」などという質問を、身近の人から受けるようになってしまいます。「ボストン・フィルってオーケストラ、ありました?」とかね。そうなると、はたと困ってしまいます。今アメリカで一番有名なオケって、いったいどこなのでしょうね。ちょっと前だったら「ニューヨーク・フィル」と答えておけば間違いはなかったのですが、今ではとても「一番」とは言えない状態ですからね。そもそも、今のこのオケの音楽監督が誰か知っている人って、いますか?あの権威ある「音楽の友社」から発行されている「世界のオーケストラ大事典」みたいな名前の文献には「ケント・ギルバート」とありますから、それが正しいのでしょう。
 この小澤の復活コンサート、舞台がニューヨークのカーネギー・ホールというのは、なんというタイミングなのでしょう。あと半年ほどで、私のたくさんの知り合いたちが、実際にこのステージでコンサートを開くのですから、この映像を見てさぞ盛り上がったことでしょう。サイトウ・キネン・オケに負けないぐらいの熱演を聴かせてください(こちらは合唱ですが)。
 この映像ではブラームスを振っているところしか見せてはいませんでしたが、このメイン・プログラムの前に演奏された日本人の新作とベートーヴェンのピアノ協奏曲は、別の人が指揮をしていたのですね。次の日も、小澤が振ったのはメインの「幻想」だけ、前半の武満はやはり別の人の指揮でした。そんな大役を任されたのが、下野竜也さんだったのは、もうご存じのことでしょう。さっきの「身近の人」には、「ニューフィルは、そういう人に2回も指揮してもらえたんだよ」と自慢しておきましょう。
 華々しく復活を果たし、脚光を浴びた人がいるかと思えば、逆に光がなくなってしまったところもありましたね。仙台市の冬の風物詩、「光のページェント」で、2ヶ所の配電盤の整流器から出火したという事故があったために、ひとまず点灯を中止、最初は「点検が終わればすぐに再開」みたいな情報が流れていましたが、結局その整流器を全部新しいものに交換することになって、全面再開は20日過ぎになってしまった、というのが今までの経過なのだそうです。確かに、「整流器」と言えば、ACアダプターのことですから、よく熱を持って火災を引き起こすなどという話はききますから、こんなことが起こっても何の不思議もありません。これを当て込んでツアーを組んでいたバス会社などが対応に追われている、というようなニュースが伝えられていますから、関係者はなにかとたいへんなことでしょう。なんと言っても、今やこの時期にはなくてはならない「観光資源」だっただけに、その損失には計り知れないものがあることでしょう。
 と思いつつも、このような事態になって、いっそこの催しをやめてしまったらどうだろうか、といったような議論が全く起こらないのにも、ちょっと不思議な思いを抱いてしまいます。これは整流器の事故だ、ということになってはいますが、本当は木の精(「気のせい」じゃないですよ)の仕業なのでは、と考える人はいなかったのでしょうか。ただでさえ老木となっているケヤキの大木たち、夜ぐらいはゆっくり休んで英気を養いたいと思っていても、体中に電球を巻きつけられて一晩中見世物になっているなんて、本当にかわいそうです。見かねた木の精のちょっとしたいたずら、そんな風に考えた方が、この時期にはふさわしいのではないでしょうか。なにも無理して続けることはありません。やめるべきだと思ったらやめるだけの勇気が必要です。
aventure number : 1632 date : 2010/12/16


今日の禁断

 きのう地上波で「オペラ座の怪人」の日本語吹き替え版をやってましたね。これは、もちろん作曲者ロイド・ウェッバー自身のプロデュースで2004年に映画化された、ミュージカルの古典ですね。翌年公開されたものを劇場に見に行きましたし、DVDも買って、隅々まで味わった作品です。かなり満足できるものだったのですが、ただ、ファントムを歌った(カルロット以外は、すべて役者自身が歌っていました)ジェラルド・バトラーだけは、あまりにもお粗末な声でがっかりしてしまいましたね。
 それが、セリフだけでなく、歌もすべて日本語によって吹き替えたものが放送される、というニュースは、実はだいぶ前から「劇団四季」を通じて伝わってきました。そうなんですよ。私も何度も見に行ったこのミュージカルの日本語版のプロダクションに参加している人たちが、この吹き替えを行った、というニュースですね。劇団四季のキャストはそれぞれの演目で主役級は必ず2人か3人は用意されていますが、ここで選ばれた人たちは、まさにベストメンバーという布陣でした。なんせ、ファントムはあの高井治さんなのですからね。そして、クリスティーヌは沼尾みゆきさん、ラウルは佐野正幸さんという、すべて東京芸大出身という実力者たちです。佐野さんあたりはステージではファントムも演じていますからね。
 いやあ、これは堪能しました。つまり、映画を見ているというのではなく、自宅で劇団四季のステージを鑑賞している、といった感じなのですよね。実際、歌っているときには歌手たちの口と歌は全然合っていません。ですから、画面はあくまでも「イメージ」にすぎないもので、そこで演じられているものはまさに「劇団四季」そのものなのですよね。高井さんの歌は、いつ聴いても本当に素晴らしいものでした。
 ただ、こうやってじっくり「劇団四季」を味わっていると、このカンパニーの最大の欠点である「訳詞」の問題が、さらにクローズアップされてしまいます。ごていねいに画面には歌になるとしっかり字幕が出るものですから、そのひどい訳詞にはいやでも目が行ってしまいます。音楽の持つリズムと言葉のリズムが、見事に乖離しているのですね。もっと美しく音楽に乗るような日本語の歌詞をあてることは、音楽をよく知っている専門の作詞家だったら決して不可能ではないはずなのですが、なぜこの劇団はそれをしようとはしないのでしょうか。

 まあ、世の中では専門の人でも(いや、専門のひとだからこそ)不思議な日本語を使っているものですから、仕方のないことなのかもしれませんがね。たとえば、これは、市内のデパートで見かけた、クリスマスケーキの予約の案内ですが、「完売ありがとうございました」という言い方は、ちょっとおかしいとは思いませんか?私は、2つの意味でおかしいと思います。まず、全部売り切ってご迷惑をおかけしているのですから、本来は「完売して申し訳ございません」と謝るべきもの。そして、「完売」したのは店側なのですから、お礼を言われる筋合いはなく、お客さんに対するお礼だったら、それは「買って」くれたことに対する感謝ですので「完買ありがとうございまいした」と言わなければいけないのではないでしょうか。ちょっと変な言葉ですが、「買春」という言葉があるぐらいですから、一向に構わないのでは。
 しかし、民放の映画放送というのは、日ごろWOWOWなどを見慣れていると、信じられないような無神経さでCMが入るのですね。しんみりしたラブシーンの後に、いきなり便器が登場したりするのですから、そのシュールさは許せる限界をはるかに超えています。そんなCMを全部カットしてみたら、2時間をちょっと切るぐらいの長さになってしまいました。元の映画は確か2時間半以上あったはずですから、相当のカットがあったのでしょうね。これも、いつもながらの無神経さです。
aventure number : 1633 date : 2010/12/18


今日の禁断 小丸せんべい

 ご近所にできた「○ンコスーパー新荒巻店」には、やはり良く行くようになってしまいましたね。なんだか、新巻鮭みたいな名前ですね。

 以前は坂の上にあった「○ジエスーパー」がご贔屓だったのですが、このところ足が遠のいています。近くにあるというだけでなく、品揃えも充実しているものですから、やはりこちらの方がなにかと行きやすいのですね。当初の予測とは大幅に変わってきたので、「○ジエ」さんにはお気の毒。
 たとえば、お店の中の通路の幅一つとってみても、「○ンコ」は広々としていますから気持ちよくお買い物が出来ますしね。しかし、それはあくまで比較の問題でして、いくら「広い」といっても、たとえばアメリカあたりの広大なスーパーの店内などに比べたら(いや、実際に行ったことはありませんが、テレビなどで見る限り、ということで)やっぱり狭く感じられてしまいます。ですから、そんなアメリカあたりの風習である、カートを押してまわって、手当たり次第に品物をその中に放りこむ、というような行動には、とても対応できないほどの「狭さ」ではあるわけですよ。ところが、そんなに「狭い」通路なのにもかかわらず、こういうお店には必ずカートが置いてあるのですね。私は、これが邪魔でしょうがありません。いくら小さめのカートでも、それが通路にある限り買い物かごを持った状態ではそのまま歩いて通ることは出来ないのですよ。もちろん、かごを持てないような力の弱いお年寄りなどには、このカートは必要なものでしょう。それはもう、弱者ですから少しぐらい邪魔だと思っても、そのために道を譲るくらいの思いやりの心は持ってます。しかし、健康そのものの大人があのカートを押して狭い通路の中を歩き回っているのを見ると、いったい何を勘違いしているのだろうと思ってしまいます。このカートは、本来こんな狭いところで使うようなものではありません。お店に置いてあるのは、これがないと確実に不自由になる人のためなのです。なくても済む人は、使ってはいけません!
 つい興奮してしまいましたが、急いでいるときに通路をふさがれてイライラした経験を持つ人って、多くないですか?もちろん私は、他人に迷惑をかけるようなことはしたくないので、生まれてこのかたスーパーでカートを使ったことは一度もありません・・・と。
 そんなスーパーで、また新しい飲み物を発見しました。

 サントリーから出た「レッド・ジンジャー」ですって。確か、去年の今頃もこのメーカーは「ラブモード・ジンジャー」というのを出してましたよね。毎年クリスマスのあたりにはジンジャーエールを出してみる、というのが、この会社の年中行事なのでしょうか。まあ、それもいいでしょう。「ことしのジンジャーは・・・」という感じで、ファンの間では盛り上がることでしょう。つまり、まんまと乗せられて、さっそく買って帰るということになってしまうのですね。
 さて、お味の方は・・・。ネーミングといい、色といい、去年のと同じような感じですが、味はちょっと違っていました。口に入れると、最初は生姜の味がかなり強く、それこそウィルキンソンの辛口を思わせるような感触です。しかし、そのあとにべとべとの甘さが襲ってきます。「辛さ」を「甘さ」で包んだようなものですね。最終的にはその「甘さ」が勝ってしまって、やはり物足りない味でした。来年はどんなのが出てくるのでしょうね。
aventure number : 1634 date : 2010/12/20


今日の禁断 炬燵

 今日の雨は本当にすごかったですね。なんたって、NHKの全国ニュースで仙台の雨の被害がトップに扱われたのですからね。このところ、「光のページェント」が中止になったこととか(今日、再開したそうですが)、こんな大雨とか、世間を騒がすことの多い仙台市です。
 ニュースでは半地下の駐車場が水に浸かってしまった映像などを流していましたが、高台にある私の職場でも、実は、あわや浸水、といった事態になっていたのですよ。もうだいぶ前、それこそあばんちゅうる・ナンバーの0001で書いたように、8年前の7月にも台風の大雨の影響で、中庭の池の水があふれ、床下浸水になってしまったことがありました。それに懲りて、水を外に逃がすようなポンプを設置して以来、そんなことは起きなくなっていました。水位が上がるとフロートが上がって、自動的にポンプが動くようになっているのですね。しかし、今日の、雷まで大々的に参加した大雨は、ちょっと異常でしたので、もしや、と思って中庭を見てみると、もう池の水はすっかり庭の中まで広がっているではありませんか。それは、建物の土台にまで押し寄せてきています。その土台には、地面から数センチのところに換気口が開いていて、7年前はそこから水が入ってしまったのでした。今はまだ大丈夫ですが、このまま降り続くとどうなるか分かりませんよ。
 そこで、そんな大雨の中、雨合羽を着て点検です。さっきのフロート付きのポンプは元気に動いていて、確かにせっせと水をかき出しています。しかし、もっと水がたまった時のために設置してある別のポンプは、配電盤のスイッチを入れないと動きません。その配電盤は、ニューフィルの練習場として使っている会館の、パイプ椅子が置いてあるスペースの後にあるので、まずそのパイプ椅子をどけなければ扉が開きません。やっと配電盤を開けて、ポンプのスイッチを入れて、現場のポンプを見てみると、確かにモーターが動いているような振動が感じられたので、たぶん作動を始めたのでしょう。しかし、こちらはほとんど使ったことがないので、いったいどこへ水を通しているのか、全く分かりません。なんとなく不安になりましたが、それ以上やることは見当たらないので、ひとまずこれで様子を見ることにしましょう。
 しばらくすると、雨がやんで空が少し明るくなってきました。池の水もみるみるひいて、もうあふれることはありません。少し水かさも減ったので、さっきのポンプの吸入口を見てみると、モーターは動いているのに、水を吸っている気配が全くありませんでした。どうやら、長いこと使っていなかったので、すっかり枯れ葉や泥が詰まってしまったようですね。大騒ぎして動かしたのに、全く何の役にも立っていなかったとは。
 しかし、12月にこんな大雨が降るなんて、異例のことなのだそうです。確かに、この時期だったらまず雪が普通ですよね。でも、雪でこんだけの量が降ったら、それはまたものすごいことになっていたことでしょうね。とても家へたどりつけなかったりして。
 でも、何事もなく家へ帰れたので、やっとのことで年賀状のデザインを考えてみました。今頃、ですね。もっとも、最近はこのタイミングがほとんど定着しています。例によってネットで素材を探してきて、それを加工、レイアウトを整えて出来上がりという手順です。今年選んだのは土鈴のウサギ、もともとはその周りに笹の葉やら破魔矢やらがくっついていたものを、私の技術でそれぞれのパーツに分解、それを再構成といういつもながらのやり方です。直接届かない方には、こちらでいつものようにお正月に公開しますから。
 しかし、今年はいつにもまして年末があわただしいような気がします。
aventure number : 1635 date : 2010/12/22


今日の禁断 オンキョー

 年賀状は、予定通りきのうのお休みの日に集中して印刷を行いました。まずは、原稿作り。基本的なデザインは去年使ったものをそのまま流用して、干支のイラストを今年のものに変える、というだけの手順なのですぐ終わるはずだったものが、意外に手間取ってしまいましたね。なにしろ、去年の年賀状の時とはパソコンが変わっています。そうすると、去年使ったフォントが使えなくなっているのですよね。まず、そこから修正を始めなければなりません。まあ、結果的にはフォントが変わって、マンネリを打破したという効果はありました。けがの功名ですね。今までの状況がずっと続くことはないということを早目に悟って、変化した状況に自分の方を合わせて行くのだ、という、なんだか人生訓を味わっているような感じでした。ほんと、自分と他者とのスタンスが常に変わらないなどということは、現実にはあり得ないことですからね。早い話が、当分音楽ソフトの主流でいると思われたCDの元気のなさのようなものですよ。あいにく、それはCDよりも高音質のSACDへ向かう、という流れではなく、より手軽な圧縮音源をネットで入手する、という方向へ進んで行ってしまいそうなのが、残念なことではありますが。ただ、逆にネットで高音質音源の配信、などということも始まっていますから、別の意味での期待もありますがね。なんでも、今までのPCMだけではなく、ついにDSDのファイルも配信が始まったそうですしね。なんと言っても、配信は「在庫」を持たずに商売が出来ますから、マニア向けのアイテムには格好のツールといえるのではないでしょうか。まあ、しかし、まだいろいろ問題はありますから、これに関しては様子見の段階がしばらくは続くことでしょう。
 いや、年賀状の話でした。フォントは直したものの、その他のところで愚妻のしょうもない要求をいちいち聞いていては、いつまで経っても終わりません。適当なところで折り合わせて、いよいよ印刷です。と、なんだか色が薄くなっています。なんせ、1年に1度しか使わないプリンターですから、まずヘッドのクリーニングが必要でしょう。ところが、いくらクリーニングをやっても改善されません。そこで、インクを確かめると、やはり2色ほど空っぽになっていました。これも、パソコンを変えた時にきちんとドライバーをインストールしなかったので(とりあえず、簡便型がOSに入っています)、インクのチェックが出来なくなっていたのですね。もちろん、そのためにスペアのインクは用意して・・・おいたはずだったのですが、全色揃っていると思っていたら、なくなったマゼンタはありませんでした。そこで、まずインクを買いに南吉成の電気屋さんまで行かなければなりませんでしたよ。
 そんな、いつも通りのヘマ続きの年賀状印刷でした。とは言っても、夕方までには全部の印刷が終わったのですから、まずは一安心、私の分はもうけさ出してきたので、無事元旦には届くはずです。
 ここで、今年やった画像の編集の実際です。結局使わなかったのですが、もともとは重なっていたウサギと破魔矢を、それぞれにわける、という作業を行いました。

 上の、元の画像はレイヤーなんかには分かれていないただのjpgファイルですので、重なった部分は手作業でそれぞれ抜き出さなければなりません。破魔矢の方は簡単ですが、ウサギは影などがあるので、別のテクニックが必要です。こんなことは、毎年の積み重ねでどんどん上達していきます。
aventure number : 1636 date : 2010/12/24


今日の禁断 砂肝

 大雨が降った後のクリスマス、どうなる事かと思っていたら、なんと雪が降ってしまいましたね。いや、それは別に特別のことではないのですが、今年のお天気があまりにもヘンだったので、つい突っ込みたくなってしまいましたよ。
 イヴの夜に降り出した雪は、きのうになっても降り続き、久しぶりに雪かきが必要なほどの積雪になっていました。とは言っても、道路などはすっかり雪は溶けて、交通の障害になるようなことはありません。実はきのうはパリンカの忘年会があったので、どうやって自宅から地下鉄の駅まで行こうか、ちょっと迷っていたものですから、雪などほとんど積もっていなかった職場の駐車場にいともすんなりと車を置いて地下鉄に乗れたので、すっかり安心してしまいました。
 会場はCATVビルの向かい、つまり、地下鉄は勾当台公園で降りることになるのですが、そこに着いたのが再開なった「ひかぺー」が点灯した直後だったため、出口はものすごい混雑でした。こんな時間に歩いて来たことなんてしばらくなかったので、その人の多さには改めて驚かされました。「七夕」よりも多かったかもしれませんね。今年はまだ写真を撮ってなかったので、雪の中のイルミネーションを携帯で撮影です。前に写っている女の子は、なんの関係もありません。

 ついでに、これはページェントが中止の間も点灯していた、AUツリー(というのかどうかは分かりませんが)です。ちょっと地味ですが、趣味はいいですね。

 なぜいつものデジカメではなく携帯だったかというと、飲み会には邪魔なので持ってこなかっただけの話です。財布だけをポケットに入れて、身軽になって忘年会に参加というわけですね。初めて行ったその「鳥心」というお店は、すぐに分かりました。前もって「焼鳥屋さんらしくないお店」と聞いていたので、いかにもダイニング風のしゃれた外観でも、迷わずに入れました。さすがに、料理は本当においしいものばかりでしたね。皮焼があんなにトロトロしている焼き鳥なんて、初めて食べましたよ。
 私はいつもの通りソフトドリンクだけだったのですが、生ブドウジュースやウーロン茶も、一味違っていましたね。そもそも日本酒のこだわりのお店のようで、1升ビンが多量にまわっています。そんな中で、本当においしそうなお酒があったので、ついに禁を破って、ほんの一口なめさせてもらいましたよ。うん、これはおいしかったです。でも、いくらおいしいと言っても本気で飲んだりしたら後で大変なことになるのは分かっていましたから、本当に一口だけでした(それでも、家へ帰ったら少し頭痛がきましたからね)。でも、他の人はなんだかとんでもないことになっていたりしましたよ。普段おとなしい人が、人が変わったように辛辣なことを言い始めたりして、ちょっとなだめるのに大変だったりして。
 なぜか、忘年会は終わったというのに、今日も練習がありました。訳が分かりませんが、スケジュールの関係でそうなってしまったのでしょう。市民センターに行ったら、駐車場でそのきのうの人が、私に「きのうはなんだかご迷惑をかけたような気がするのですが、すっかり記憶がなくなっています」などと謝ってきました。いえいえ、私は結構楽しんだぐらいで、なんの迷惑も感じなかったのですが、彼はすっかり恐縮していましたよ。そんなことがあって、またワンランク親しみが増したパリンカです。
aventure number : 1637 date : 2010/12/26


今日の禁断 国立


 なぜか、朝ドラの中で脈絡もなく鳴りまくっている「第9」です。尺を合わせなけれならないために、属和音で次に続くように作ってある所でも強引に主和音で終わらせてしまっているのは、笑いを取りたいための年末サービスなのでしょうか。
 そんな「第9」シーズンまっ盛りの中、BSでN響の演奏をやっていましたね。別にN響だから見るなどということはこのところはなくなっていましたが、今年の指揮者がヘルムート・リリンクだというのでは、ぜひ見ておかなければなりません。この宗教音楽の大家は数々の宗教曲、合唱曲を演奏、録音していますが、ベートーヴェンの「第9」を演奏したものはまだ体験したことがないので、とても楽しみです。
 放送されたのは、12月22日に行われたコンサートの録画でしたが、まず、リリンクの指揮棒の持ち方を正面からのカメラの映像で見てみると、今まで後ろ姿しか見たことのなかった彼のコンサートでは気がつかなかったような、不思議なものであることが分かりました。ちょうど「お箸」を持つような感じで、指揮棒をつかんでいるのですね。

 以前、茂木大輔さんに指揮をしていただいた時には、「リリンクの弟子だから、リリンクの指揮棒の持ち方を真似したのでは」と思っていたのですが、こうしてみると茂木さんは順手、リリンクは逆手と、全く逆の持ち方だったのですね。おそらく、こんな持ち方をしている人は、他にはいないのではないでしょうか。

 そんな外見は全くどうでもいいことで、要は演奏がどうだったのか、ということですよね。これは、最近のリリンクのバッハの演奏などと同じように、ピリオド楽器系のアプローチが随所に見られる、スリリングなものでした。1楽章の出だし、ヴァイオリンの刻みがよくあるモヤモヤしたものではなく、一音一音はっきりと聴かせる、というあたりで、まずそんなことに気づかされます。しかし、N響の、特に金管あたりの団員は、どうもそういうことには無頓着なように見えるのは、気のせいでしょうか。先日のマーラーの2番でもとんでもない醜態をさらしていたこのセクションは、指揮者の意図をくむなどという高次元の作業は出来ないのかもしれませんね。
 もちろん、楽譜はベーレンライターを使っていました。数々のチェックポイントはほとんどこの版でしか聴けない音程やリズムだったのですが、一番違和感のある4楽章のホルンの不規則なシンコペーションは、普通の形に直していましたね。
 おもしろかったのは、ソリストが入ってくるタイミングです。普通は2楽章の終わりで入場、3楽章と4楽章はアタッカで繋げる、ということが多いのですが、リリンクは3楽章が終わったところでたっぷりとした休みを取り、その間にソリストや打楽器奏者を入場させていました。この終楽章だけ性格が違うのだ、という思いの表れなのかもしれません。

 その時、打楽器奏者たちと一緒に入ってきたのが、ピッコロ担当の菅原さんでした。確かに、N響ではこのパートがアシを吹くことはありませんから、ここまで座っている必要はないわけです。その菅原さんが吹いていたのが、この、「GUO」のピッコロです。ここのフルートを菅原さんが吹いているのを見て、私も買ってしまったのですよね。ピッコロも出しているのは知っていましたが、実物を見るのは初めて。楽譜通りではなく、高い「B」や「H」をすべてオクターブ上で演奏していましたが、それがとても軽やかに聴こえてきましたね。これも欲しくなってしまいましたよ。
 ソリストたちが全く知らない人たちだったのですが、それぞれのソロ、ではなくあくまで4人のアンサンブルに徹していたのも、おそらくリリンクのコンセプトだったのでしょう。 
aventure number : 1638 date : 2010/12/27


今日の禁断 新宿

 今年もあと残すところ2日となってしまいました。例によって今年出演した演奏会(というか、ライブ、なんてのも含まれましたが)を振り返ってみましょうか。
  • 1月17日:男の合唱まつり(合唱団パリンカ他/青年文化センター)
  • 4月2日:マタイ受難曲抜粋(フルート/東一番丁教会)
  • 4月11日:仙台フルートフェスティバル(仙台フルートの会/青年文化センター)
  • 4月17日:第51回定期演奏会(仙台ニューフィル/川内萩ホール)
  • 4月25日:支倉常長が聴いた音楽(東北大男声OB/川内萩ホール)
  • 5月29日:かやの木コンサート(合唱団パリンカ/東昌寺)
  • 5月30日:宮城県合唱祭(合唱団パリンカ/多賀城市文化センター)
  • 6月20日:第18回定期演奏会(合唱団パリンカ/若林区文化センター)
  • 8月29日:合唱コンクール県大会(合唱団パリンカ/名取市文化会館)
  • 9月26日:合唱コンクール東北大会(合唱団パリンカ/山形県県民会館)
  • 10月10日:アーケードライブin一番町一番街(合唱団パリンカ/一番町商店街)
  • 10月10日:ホームカミングデー・コンサート(東北大男声OB/川内萩ホール)
  • 11月6日:第52回定期演奏会(仙台ニューフィル/川内萩ホール)
  • 11月22日:本間雅夫の音楽'10(合唱団パリンカ/イズミティ小ホール)
  • 12月5日:角田第九演奏会(仙台ニューフィル/えずこホール)
 なんと、今年の本番は15回、私の生涯で最高の出演回数でした。なんせ、4月には毎週週末に本番などというすごいスケジュールをこなしていたのですからね。もっと凄いのは、10月10日の「1日2回公演」です。いや、同じ場所で2回ではなく、一番丁と川内という、かなり離れた場所ですから、普通の交通手段では間にあいません。ワープかなんかを使ったんでしょうね。実は、今だから言いますが、この前の日には東京までオルフェイ・ドレンガーの演奏を聴きに行っていたんですよ。当然、翌日のリハーサルなどもあったのですが、それはパス、オペラシティで極上の男声合唱の響きを堪能してきました。会場には、知った顔がいっぱいいましたね。つまり、去年までは参加していた「コール青葉」の人たちが、ほぼ全員、このコンサートに来ていたのですよ。もうとても東京まで練習に行っている余裕がなくなってきたので、この合唱団には参加していませんが、思いもかけないところで顔を合わせることが出来ました。来年はこのオペラシティで行われる「コール青葉」を、そういう名前になってからは初めて、お客さんとして聴きに行く予定です。
aventure number : 1639 date : 2010/12/29


今日の禁断 ウルトラマン


 「のだめカンタービレ」の第25巻が、もう出ていたんですね。そのことを知ってあわててさる本屋さんへ走ったら、棚にはサンプルしか置いてなくて、レジに持っていくとすぐさま「はい、のだめ」と現物を渡してくれるというシステムでした。よっぽどの売れ筋なんですね。いまだに。
 ご存じのように、「のだめ」自体は23巻で終わっていましたが、そのあとで「オペラ編」というのが引き続き連載され、単行本2巻分で、それも終わったという、今度こそ本当に「最後の」のだめです。本編では、予想もしなかったブレイクぶりに、不自然にストーリーをふくらませてしまった跡がミエミエでしたが、この「オペラ編」では、「魔笛」を上演するためのカンパニーが立ちあげられて、そこに千秋の指揮と、R☆Sオケの演奏が加わるという設定で、本番を迎えるまでの経過を描くというものですから、きっちり「終わり」が見えている分、無理のないコンパクトなストーリー展開が実現できています。とは言っても、上下2巻の上巻にちらっと出てきただけの人が下巻にいきなり現れたりして「この人だれ?」状態に陥ってしまったのは、相変わらずですが(それは、片平さんの奥さん)。
 そのストーリーに絡ませて、上演された「魔笛」を、「読んだだけで聴いた気分にさせようとしている」手法も相変わらずでしたね。これだけ有名なオペラですから、おそらくそんなに抵抗なく入って行けたことでしょう。峰くんが演出しているというこのステージでも、モノスタトスとその奴隷たちが、パパゲーノのグロッケンの音で踊らされてしまうというシーンでマイケル・ジャクソンの「スリラー」の振りをつけるというのが、なかなか秀逸でしたね。おそらく、専門のオペラ演出家には決して浮かばない発想でしょう。ただ、マンガとしては笑えますが、実際のステージでこれをやったら、かなり設定が難しくなるでしょうね。ここだけ異様に浮いてしまいそう。上巻にはなかったのですが、「取材協力」の中に指揮者の下野さんの名前がありましたから、彼あたりが言いだしたのかもしれませんね。下野さんは、こういう面白いことが大好きだったはずですから。
 そのシーンで、本番にいきなりのだめがグロッケンのパートを弾く、というサプライズが、ストーリー的には重要な意味を持っているのでしょう。しかし、そこで出てきたのがヤマハのチェレスタだったのには、いつもながらの軽い失望が伴います。なんたって、最近はこのパートは楽譜の指定通りキーボード・グロッケンを使うのが主流ですからね。そんな、決して最先端の情勢までは反映させない、というのも、のだめの特色だったのでした。
 直接オペラには関係ないエピソードとして、のだめのリサイタルの模様が最初に紹介されます。会場があのサントリー・ホールですから、すごいですね。ここで、いつもの突っ込みです。このホールのステージは、迫りで山台が作れるようになっています。もちろん、これはオーケストラなど大人数のアンサンブルの時に使われるもので、今回のようにステージにピアノ1台しかないようなときには、まず使われることはありません。そのピアノ、15ページでは確かにスタインウェイだったのに、それからたった2ページで別のピアノに変わってしまっています。つまり、このピアノの絵は、本編の20巻21巻で使ったのと同じ、限りなくスタインウェイに近いのだけれど、フレームの鉄骨が1本足らないという素材なのですよね。さっきのモノスタトスも、54ページと135ページは全く同じ、このコピペという最先端技術は、いまやマンガを書く上では欠かせません。
aventure number : 1640 date : 2010/12/31

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