1241(08/11/3)-1260(12/11)

今日の禁断 ガーディナー

 今、家の中ではモーツァルトのレクイエムが鳴り響いています。いえ、別にだれかが亡くなったとか、そういうわけではないのですが(亡くなったとしても、そんなことをする家はないだろう)、愚妻の合唱団が今度の演奏会でやることになっているので、その音取りのためにのべつCDをかけているのですよ。私にとっては耳タコな曲なのですが、自分で歌ったことはありません。そんなに難しくなさそうなのに、実際に歌うとなると大変なのだそうです。言葉がなかなか付かないとか。でも、これだけ頑張れば、きっと2月の本番では素晴らしい演奏を聴かしてもらえることでしょう。楽しみです。
 そういう辛気くさい曲ではなく、もうちょっとおめでたい宗教曲を、また別の合唱団が演奏するというので、行ってきました。

 何度も聴いたことのある私も実はOBだったりするこの合唱団が今回手がけたのは、ヘンデルの「メサイア」全曲でした。正直、この曲はあまり好きではありません。「ハレルヤ」があまりにも有名、というか、俗っぽくなってしまっているものですから、全体がなにか薄っぺらなような印象があるのですよ。実際はそんなことはなく、特に第3部の多彩な構成はとても魅力的なのですが、なぜか全曲を聴いてみようというほどの気にはならないのですね。今回も、途中でかなり猛烈な眠気に襲われたのは、やはりあまり好きではない曲だったせいなのでしょう。
 しかし、そんな中で、まさに目を見開くような瞬間が何度も訪れたのは、幸せなことでした。一つは、ソプラノ・ソロを歌った鈴木美紀子さんという、素晴らしい才能に巡り会えたこと。それは、完全なピリオド唱法を身につけた、まさに世界でも通用するほどの洗練された歌い方だったのです。地元出身、地元の音大を卒業された方ですが、ヨーロッパでバロック唱法をマスターされたということなのですね。BCJなどにも参加されているとか、こんな方の声が仙台の、アマチュアの合唱団の演奏会で聴けるなんて、まさに奇跡です。この曲、ソプラノのソロはなかなか出てこないのですが、最初に出てきたアリアで、もう完全に魅了されてしまいました。声はあくまでも伸びやか、細かいメリスマも完璧に決まっています。それからは、ソプラノのソロが出てくるのが楽しみでしょうがありませんでした。もちろん、最後の最後まで、彼女のソロは素晴らしい感動を与えてくれました。おそらく、仙台にいればこれからも彼女の声を聴く機会はたびたびあることでしょう。本当に楽しみです。
 もう一つ、驚いたのは、オーケストラ(これはプロです)の中のトランペットの素晴らしさです。「ハレルヤ」で、今まで聴いたこともなかったような細やかな表情の付いたピッコロトランペットが聞こえてきたものですから、ちょっと注目していたら、第3部のバスのアリアの長大なオブリガートはまさに完璧に吹ききっていましたね。
 あ、もちろん、主役の合唱団も、よく練られた演奏を披露してくれました。特に男声は、見た目よりも遙かに若々しい声で、とても安定したハーモニーを担っていました。
aventure number : 1241 date : 2008/11/3


今日の禁断 千昌夫

 「小室哲哉」で、世の中は、大騒ぎですね。カリスマ・ミュージシャンとして、誰も及ばない地位と名誉、そして財産を手に入れた人が、借金地獄にあえいだ後の詐欺事件、とくれば、メディアが、そして大衆がほおっておくわけはありません。到底手が届くはずがないと思っていた人が、自分たちより遙かに低級なものに落ちぶれた姿を見て快感を覚えるというのは、この国の人たちの何よりの娯楽なのですからね。そんな快感を与えつつ、この騒動は、まだまだ続くことでしょう。
 小室さんといえば、私にとってはあるショックとともに思い出に残っているミュージシャンです。それは、渡辺美里が歌った彼の最初のヒット曲、「My Revolution」。私は昔バンドをやったりしていましたから(というのは、多分知っている人はあまりいないはず)、そのバンドで演奏するためにヒット曲をコピーしたりするのが、私の担当でした。メンバーの中にはコードだけでは弾けない人もいたので、きちんと譜面を書いたりもしていましたよ。ですから、大概の曲はコード進行などは簡単に聴き取ることが出来ていました。ところが、この「My Revolution」だけは、全く手に負えなかったのですよ。聴いた感じはなにも難しいことはないように思えても、コードを解析しようとしても、今までの知識の中にあるものとは全く結びつかない不思議なものだったのです。その結果、不遜な言い方をすれば、「自分にはこんな曲は作れない」と思ったのですね。つまり、自分に出来ないことが出来る小室さんを、その時点で尊敬してしまったのです。
 それからの彼の活躍ぶりは、ご存じの通りですね。800曲、ですか。あのビートルズでも200曲ちょっとですから、すごいものですね。ただ、彼の場合はあまりにも時代の潮流に乗りすぎてしまったため、そんな時代が去った後はなんの意味もなくなってしまう、という残酷な運命が待っていたのでしょうね。彼が作ったものは間違いなく「ヒット曲」、つまり「流行歌」でした。しかし、それはある時代の「流行」の中でしか通用しないものだったのです。
 でも、「流行」の限界を的確に見極め、その作品を普遍的な財産として大切に出来るだけの才覚があれば、これほどまでの破綻はなかったのでしょうね。さらに、彼の場合は、ひたすら浪費に走ったのも、敗因でした。
 クラシックの世界でも、似たような人はいますよね。とてつもない才能を持っていて、数々のヒット曲を生産。でも、金銭感覚がだらしなかったために、経済的な苦労が絶えなかったという音楽家が、昔いなかったでしょうか。そう、あのモーツァルトの生き様と、小室さんとは、どこか似通ったものがあるとは思いませんか?
 モーツァルトと違うのは、小室さんの場合は早死にし損なったために、これからもずっと生きていかなければならない、ということです。刑事罰を受けた後には、一生借金を返すために働き続けることになるのでしょうね。演歌歌手で、そんな人がいましたが、あんな風にひたすら「営業」を続けていくのでしょうか。ゴム長を履いて。
aventure number : 1242 date : 2008/11/5


今日の禁断 ER

 今、トップページには2種類のマーキーが踊っています。一つは、このサイト開始以来のアクセス数がついに90万になるはずだ、という案内。この数字が多いか少ないかは見解が分かれるところでしょうが、一つの区切りとして大々的にお知らせしているところです。もしかしたら今日中に出るかもしれません。キリ番の近似値を踏んだ方には、豪華景品を用意していますので、どうぞお見逃しなく。
 もう一つは、マイケル・クライトンが亡くなった、というものです。その表現は多少の誤解を招くかもしれませんが、彼は別に「このサイトの生みの親」なわけはなく、単に「タイトルの生みの親」と言うだけの話ですから、ご安心下さい。つまり、彼が書いた「ジュラシック・パーク」という小説のタイトルを、ホームページだぞ、ということで「ジュラシック・ページ」ともじったのが、このサイトの始まりだった、というだけのことですから。もちろん、常連の方はお分かりでしょうが、私にはクライトン個人への思い入れなどは全くありませんから、このマーキーは「シャレ」だと受け取って下さいね(たまに、真面目にリアクションを返す人がいるので、念のため)。
 きのうは、木曜日のニューフィルでした。メニューは交響曲の2楽章以降とピアノ協奏曲を全曲通すというヘビーなものです。先週のリベンジで、交響曲の4楽章は徹底的にさらっていたはずなのですが、合奏前に軽く吹いてみると、1箇所、なんだか初めて吹くようなところが見つかってしまいました。いえ、確かに何回もさらっていたところなのですが、どうもしっくりいきません。これがこの曲の恐ろしいところ、同じような繰り返しが何度となく出てくるのですが、その度に微妙に音が変わっているのですよ。そして、この場所は、その中でも極めつけの「ヘンタイ」だったのです。案の定、他はまずまず吹けていたのに、ここだけは完璧に落ちてしまいましたよ。ところで、この楽章で、間違いなくフルートのソロなのに、いくら一生懸命吹いても決して他の人には聞こえないだろうな、というところがあります。CDを聴いても、まず聞こえてはきません。これもラフマニノフのいやなところ。これほど吹いていてむなしさを感じることもありません。これで、ひとまず定期の練習は終わりですから、後は「角田第9」が終わってからの勝負です。
 協奏曲の方は実は降り番なのですが、1番担当がお休みなので代吹きでした。こちらはいたってヒマ、休みのカウントさえ間違えなければ楽勝か、と思っていたら、3楽章でとんでもない落とし穴が待っていました。ここには「アド・リブ」という表示の、少し小さい音符で書かれた部分が何ヶ所かあるのですが、そこはまず本吹きの人に任せようと、ろくすっぽさらっていなかったら、これがとんでもない早さが必要なところでした。オーボエとユニゾンのところは大丈夫でしたが、これがソロになるところもあって、ヤバいのなんの。それから、この曲は実際にピアノの音がないとなかなかイメージがつかめない、というのもはっきり分かります。
 そこで、ここをご覧になっている方へのお願いです。ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を弾ける方は、ぜひニューフィルのリハーサルに参加して頂きたいのです。なにしろピアニストが来るのが本番の直前なので、このままでは恐ろしくてしょうがありません。もちろん、お知り合いを紹介して下さっても結構です。ご連絡をお待ちしています(そんな人はなかなかいないだろうな、とは思いつつ)。
aventure number : 1243 date : 2008/11/7


今日の禁断 クープラン

 宮城県美術館というのは、このところ改修工事で閉館していました。それを知ったのは、演奏会のポスターを置きに行った時、駐車場がガラガラなので変だと思ったら、1年間のお休みだったんですね。それがやっと終わって、最近リニューアル・オープンしたという噂を聞いていたところ、知り合いの娘さんがロビーコンサートに出演するというので、見に行ってきました。その方のチェンバロと、オリジナル楽器とのアンサンブルという、なかなか生では聴くことの出来ないコンサート、しかも無料ですから、これはそそられます。
 このロビーコンサートは今までに何度となく行われていたのですが、実際に聴くのは初めてです。天井の高いエントランスの内装は石造り、階段の部分の壁面をバックにしていますから、ひょっとしたらかなりの音響が期待出来るのではないか、と思っていたのですが、ちょっとそれは「外れ」でした。なにしろチェンバロにしてもフラウト・トラヴェルソにしても、音が非常に小さい繊細な楽器ですから、このあまりにも広い空間では直接音を聴くのがやっと、残響などは全くありませんでした。その上に、ここは普通のお客さんが通る場所ですから、騒音のレベルもかなりのもの、ちょっと、そんなところでまともな音響を期待するのが間違っていました。

 でも、私はたまたま空いている席がなかったので、ほとんどチェンバロの真後ろで立って聴くことになってしまったのですが、そこだとその楽器の生の音をそのまま聴くことが出来ました。チェンバロのソロでバッハの「フランス組曲」を弾いてくれた時には、その2段鍵盤の楽器の、鍵盤による音色の違いや、カプラーを使った時と使わない時の違いなどが良く分かりました。これは、得難い体験です。
 ちなみに、この楽器は仙台の木村さんという方が作られた楽器なのだそうです。会場でも調律などをなさっていましたが、この方は実はかつて中央通りの今は下着やさんになっているビルの地下で「無伴奏」という音楽喫茶を経営されていた人なのですよ。小池真理子の小説のモデルにもなったこのお店は、もっぱらバロックなどを中心にしたコレクションを、お客さんのリクエストに応じて流していたのですが、たまにその木村さんも参加したリコーダーのアンサンブルなども、お店の中で聴かせていました。そんな趣味が昂じて、今では日本でも有数なチェンバロ制作者になってしまったのですからね。なんだか素敵。

 このコンサートは、実はメインは「バロック・ダンス」でした。オリジナル楽器のアンサンブルに合わせて、その方面では有名な方が、やはり楽器のように復元された当時のダンスを踊ってみせる。というものです。いかにも雅な宮廷舞踊という感じ、楽しく拝見させていただきましたが、こも前の「せんくら」の時に行った「タブラトゥーラ」のノリとは全く別物であることにも気づかされました。私としては、あちらの方により惹かれます。
aventure number : 1244 date : 2008/11/9


今日の禁断 三軒茶屋

 急に寒くなって、もはや夜などはコートがないと外には出られないほどになってしまいましたね。それを見越したわけではありませんが、おととい、新しいハーフコートを買ってしまいました。大体、私はあまり服を買ったりはしませんし、一度買ったものは本当にボロボロになるまで着たりする方なので、こんな買い物は珍しいことです。暖かいフードが付いていて、なかなか気に入ってます。
 実は、それはお店のマネキンが着ていたものなのですが、なんか直感的にこれは私が着るべきものだ、みたいな不思議な感覚が襲ってきて、ほとんど衝動的に買っていました。そして、お金を払っていると、なにやらサービス期間中だということで、マウスパッドを付けてくれたのです。これも何かの縁なのでしょうね。職場で使おうと思って袋を開けてみると、それはかなり立派なマウスパッドでした。普通は、ウレタンか何かに固い塩ビのようなものをコーティングしただけのものなのですが、それだと使っているうちにそのコーティングが剥がれてきてしまいます。ところが、これは頑丈な人工皮革で覆われていて、まわりはミシンできちんと縫ってあるという、手間がかかったものでした。早速、今まで使ったものを棄ててそれにしてみたら、使いやすいのなんの、表面がとても滑らかなので、細かい作業もとても楽に出来ます。
 廃棄した今までのマウスパッドは、渋谷タワーかなんかでもらった、小錦のイラストが書いてあるものでした。こんなもの、どこでもらっても同じようなものだと思っていたのですが、まさかこんなに違うとは。ですから、買ったコートよりも、このもらったおまけの方が、よっぽど価値があるように思えてしまいます。こんなこともあるんですね。これで、ほんとうに使いづらかった「小錦」と、やっと別れることが出来ました。それが一番嬉しいことです。
 当然、その新しいコートを着て練習に行きました。エレベーターの鏡に映る姿がとても若々しく見えて、なんだかいい気持ちでしたね。ホールに行くと、見慣れない人がいたと思ったら、それはチェロの新入団員だとか、これも嬉しいことですね。管楽器は定員一杯のメンバーが揃っていますが、弦楽器の人にはまだまだ入ってきて欲しいものです。
 そして、1年ぶりの「第9」です。フルートパートは当日出られない人がいるために、2人でやることになっています。しかし、これだと途中で休んだり出来ませんから思いきり集中しなければいけません。そんな、最大限に集中して吹いていたら、最後の4楽章の終わり頃になって、突然喉に切れるような痛みが走りました。歌っていてこんなことになるのは良くあるのですが、フルートを吹いている時には初めての症状、よっぽど熱が入っていたのでしょう。そうなると、咳は出そうになるし、息は出来ないし、ちょっと大変でした。でも、その後では喉の力が抜けたようになって、すごく楽に吹けるようになっていました。ちょっとしたポイントが見つかったのかもしれませんね。
aventure number : 1245 date : 2008/11/11


今日の禁断 インフルエンザ

 毎朝メールをチェックすると、一晩の間にたまっていたスパム・メールがごっそり出てきます。それはまず50通は下らないもので、時には100通以上出てくることもあります。ところが、けさ開けてみたら、それはほんの30通ぐらい、増えることはあっても減ることはまずないものが、こんなに減ってしまったのにはちょっとびっくりしてしまいました。どうやら、それは私が入っているプロバイダーが新しく導入したスパム・フィルターのお陰だったようです。そういえば、しばらく前に「もうすぐ導入します」みたいな案内が届いていたような気がしていましたが、それがけさから運用を始めたのでしょうか。
 職場に行って、同じメールボックスを開けてみると、やはりプロバイダーから「今日から始めました」という案内が入っていました。それから観察していると、このフィルターの威力はものすごいものであるのが分かります。今までは、1時間も開けないでおくと20〜30通のスパムが届いていたものが、スッパリなくなってしまったのですよ。ですから、職場ではサーバーからは消去しないように設定してあるので、家へ帰って開けてみるとその溜まった分がごっそり出てきていたものが、今日はほんの2、3通、それは確かにスパムではないものの、全く必要のないメールでしたがね。
 こんなに見事により分けられてしまうと、なんだか不安にもなってきますね。果たして、本当に必要なものまでが棄てられてしまうのではないか、と。もし、私にメールを送っても返事がない時には、そんな可能性を疑ってみて下さいね。
 でも、これもしばらく経てばまた新手のスパムが現れるといういたちごっこの繰り返しになるのでしょうね。ほんとに、ネットというのは煩わしいものです。
 煩わしいと言えば、今年から新しい制度となった基本健康診断も、煩わしいものでした。私のような准自営業の場合、国民健康保険に入っているので、今までは区役所などで一括して行う日に行って、検診を受けていました。そこでは必要な検査が全て1箇所で済んでしまいますから、ほんの1時間ほどあればそれで終わり、あとは、その結果が郵送されてくるのを受け取るだけのことです。しかし、今年からは、そのようなものが一切廃止され、それぞれが自分の行きつけの病院へ行って受けるように変わってしまったのです。そうなると、普通の病院ですから、普通の患者さんがうじゃうじゃいる中を、空いた時間に検査をしてもらう、ということになります。しかも、そういう病院では眼底検査の設備がありませんから、それだけはわざわざ別の眼科まで行って受けなければならないのですよ。
 それだけではありません。検査の結果も、自宅に送られてくるのではなく、検査を受けた病院に取りに行かなければならないのです。つまり、今までは1回出向くだけで済んでいたものが、最低でも3回は病院に足を運ばなければならなくなってしまったのです。おまけに、そこは行きつけのところですから、なんのかんのと看護婦さんが話しかけてきたりしますからね。本当に、世の中はどんどん煩わしくなっていきます。
 あ、もう一つ変わったのが「メタボ検診」が加わったこと。当然ながら私は「非該当」でした。
aventure number : 1246 date : 2008/11/13


今日の禁断 山車

 ちょっと用事があって街まで行ってみたら、そこは「宮城デスティネーション・キャンペーン」と、「ゴスペル・フェスティバル」がごちゃ混ぜになっていました。「デスティネーション・キャンペーン」というのは、地元の人でさえ一体何なのかいまいち把握出来ていない、という不思議なキャンペーンなのですが、どうやら今がそのシーズンの真っ最中らしくて、このあたりでは連日わけも分からず盛り上がっています。多分、これは他の地方の人をこちらに呼び込もう、というものなのでしょうが、一体その「他の地方」に人たちには、それが伝わっているのでしょうか。東京あたりに住んでいる人は、ぜひお教え下さい。
 そんな、地場産品やらの即売会のテントを縫うようにして、特設のステージがあって、そこでゴスペルのグループが演奏している、という、なんともシュールな世界が、市役所前から一番町まで延々と続きます。牛タンの匂いの中でのゴスペル、これは異様です。お互いの主催者が日にちを譲らなかったために、こんなことになってしまったのでしょうか。そういえば、「せんくら」をやっている時には「YOSAKOI」が我が物顔で街中を闊歩していましたね。
 そんな喧噪の中を抜けて、一番町の端にあるヤマハにたどり着きました。なんでも、フルートの新製品が出たそうで、その開発に協力したフルーティストの工藤重典さんがミニコンサートを開く、という案内をもらったものですから、聴きにきた、というのが「用事」の正体でした。あまり広くないホールは、フルートの先生や生徒、そして私のようなアマチュアの「笛吹き」で一杯、その前で、まず工藤さんとヤマハのフルート開発担当者とのトークが始まります。工藤さんの話は、今、世界の最先端でなにが起きているのか、というのがまざまざと分かるというすごいものでした。
 続いて、その新しいフルートを使ってのコンサートです。楽器はオール金、管体と頭部管だけ金、銀の3種類を、曲ごとに使い分ける、というものです。工藤さんのライブを聴いたのはずいぶん前のことになりますが、その時に比べるとずいぶん芸風が変わったような印象を受けてしまいます。一つ一つの音をとても大事に扱う、という態度は、昔はあまり感じられないものでした。一回り大きくなって、いい演奏家になったな、という気がします。
 楽器は、金よりは銀の方が、より細かい表現が可能になっているな、という感じでした。アンコールを吹く時に「皆さんの希望で、どの楽器を吹くか決めます」と言った時に、すかさず「銀!」と言った人がいたのは、同じように感じたからなのでしょうね。
 プーランクのソナタはオール金の楽器で吹いたのですが、なんだか楽譜と違っているところが聞こえてきます。ピアニストの楽譜の表紙を見ると確かにCHESTER版でしたから、それは工藤さんによる変更だったのでしょうか。
aventure number : 1247 date : 2008/11/15


今日の禁断 こたつ


 きのうの日曜日、愚妻だけが練習というスケジュールだったため、私はすっぽり予定がなくなってしまいました。そこで、久しぶりに映画館へでも行ってみる気になりました。どのぐらい「久しぶり」だったかというと、ポイントの有効期限が切れる寸前だった、と言うぐらいの久しぶり、ほんと、最近はわざわざ劇場まで映画を見に行く時間なんて、すっかりなくなっています。
 今さら「ポニョ」でもありませんから(まだやってました)、楽しめそうなもの、と、「容疑者Xの献身」を見ることにしました。実は、最近はいつも東野圭吾の文庫本を持って歩いて、時間待ちの時に読むのが習慣になっています。いまいちツメは甘いものの、登場人物の描写がなかなか丁寧で、うっかりしていると感情移入してしまいそうになるほど、気に入ってるものですから。
 この原作は、実はまだ読んではいません。原作を超える映画などというものには「いま、会いにゆきます」以外お目にかかったことがありませんから、おそらくこれはしばらく、そう、この映画の思い出が完全に消え去るまでは読むことはないでしょう。これは、映画としては非常に完成度の高い作品でしたから、わざわざ原作を読んでそれを貶める必要はさらさらないわけでして。
 というのとはちょっと矛盾するのですが、まず原作が非常にしっかりしているな、というのが素直な感想でした。(おそらく)原作に忠実に脚本が出来ているのと、それをいかにもな映画的な編集で崩したりはしていないために、プロットが非常に分かりやすく伝わってくるのですよ。これは、テレビドラマのノウハウがそのまま生かされていた結果なのでしょう。映画としての「表現」を云々する前に、こんな平易なことがクリアされていない作品が、なんと多いことでしょう。基本は最初に犯人と、その手口が分かっているという「コロンボ」タイプのミステリーなのですが、実は最後まで見ている人には決して分からないトリックが潜んでいた、というのがミソでした。これは見事、伏線がちゃんとあったのですが、それ自体には気づいたものの、それがどんな意味を持っていたのか、ついに分かりませんでしたからね。
 キャストの中では、堤真一がさすがでした。「三丁目」からはとても想像出来ない地味〜な役作り、正直、最初に出てきた時には全く分かりませんでした。そんなひたすら静かで地味な演技だったものが、最後のどんでん返しのシーンで見せるあの狂気。あのシーンは、実はフォーカスアウトで松雪泰子がフレームインした瞬間から、もう私は号泣モードに入ってしまったぐらい、見事に裏切られ、その結果とんでもないインパクトを与えられてしまいました。こういう思いにさせられるのが、私の場合「良い映画」になるのですよ。
 そして、改めて劇場で見る大画面の迫力にも圧倒されました。いや、ただの迫力ではなく情報量のなんという違い、導入の爆発シーンというサービスカットで、それはまざまざと見せつけられたものでした。そんなハイスペックの中では、主演の福山雅治はちょっとかわいそう。演技はともかく、あのセリフは大画面の中ではもろに拙さがばれてしまいます。
aventure number : 1248 date : 2008/11/17


今日の禁断 指定席

 いよいよ冬将軍の到来、なんでも泉ヶ岳では初冠雪が観測されたとかで、もはや本格的な冬のような感じの今日この頃です。あしたには平地でも雪が積もるぞ、というデマが飛び交っていますから、そろそろタイヤも交換しなければいけません。なにしろ、もうすぐ「第9」ですから、それまでには換えておかなければ心配です。と思い立ったものですから、お天気の良いうちにと、早速冬タイヤへの交換作業を行いました。しかし、朝のうちは晴れていたものが、急にそれこそ雪でも降ってきそうな厚い雲に覆われてきたかと思うと、いきなり雨が降ってきたものですから、ジャッキアップを終えた状態で、ひとまず中断です。「水を差される」というやつですね。でも、そのにわか雨はすぐにやんでしまい、それからはいつものように順調に作業は終了、ちょっといい汗をかきました。これで、「第9」は安心です。
 きのうは、その「第9」の、指揮者練習でした。少し早めに行ってみると、団員は殆どいないのに、昔ヴァイオリンにいたY子さんが来ていました。彼女は「第9」の会場のそばにお住まいですから、確か、退団されたあとに1度に参加されたこともあったような気がしますが、とにかくしばらくぶりのご対面でした。そろそろ復帰なさってくれるといいのですが。そのあと、先週入団されたチェロの人がやってきて、その2人ですぐに椅子を並べようとしています。団員たちは、「まだ人が集まっていないので、もう少し待ちましょう」みたいなことを言っていますが、新入団員にそんな思いをさせるなんて、なんだかすごく恥ずかしいような気がしましたよ。
 1年ぶりの寿一さんは、一回り大きくなったように見えましたが、単なる錯覚だったのでしょうか。今年の要求は「重みのある音」、まだまだ弦も管も穴だらけですが、本番までにはその要求にこたえられるように頑張ろうじゃないですか。
 ここで、一つお知らせです。再々このサイトでご紹介している「川内萩ホール」では、12月10日の水曜日の午後5時半から、「音響実験」というものを計画しているそうなのです。これは、ホールの満席時の音響特性(残響時間、などでしょうね)を、実際に客席を満席の状態にして測定する、というものです。ただ、「実験」とは言っても、そんな堅苦しいものではなく、ピアノの野平一郎さんと、ヴァイオリンの漆原啓子さんのスペシャルコンサートを聴く、というのがメインになっています。一足先に、このホールでのコンサートを体験してみたいという方には、またとない機会です。ちょっと微妙な日にちと時間ですが、ぜひいらしてみて下さい。ニューフィルの団員は、団長がとりまとめていますから、掲示板をご覧下さい。もちろん、団員以外でも大歓迎、こちらに案内のチラシをアップしてありますから、往復ハガキで申し込んでみて下さい。
aventure number : 1249 date : 2008/11/19


今日の禁断 未曾有

 今日の「禁断」はちょっと手抜き。前回御案内した萩ホールの音響実験ですが、主催者は予想以上に人数が集まらないので困っているそうです。単に人数を揃えるのではなく、ぜひ音楽関係者、愛好家の方に参加していただきたい、という思いがあるそうなので、ぜひ聴きに行ってみようではありませんか。こちらは、その案内チラシの表側、申込み先(往復ハガキ)などはそちらをご参照下さい。
 そして、今日になってチラシの裏側のテキストが入手出来ました。こちらもお読みになれば、さらに興味が湧くのではないでしょうか。

●東北大学百周年記念会館 川内萩ホールの満席時音響測定へのお誘い

 このたび、東北大学の100周年記念事業の一環として,創立50周年を記念して建設された川内記念講堂を全面的に改装し、極めて高品位の本格的音楽ホール(川内萩ホール)が建設されました。本事業においてその音響設計を担当した当研究室では、満席時におけるホールの音響特性を予測し、それらが全て設計通りの性能を達成していることを確認しております。しかし、ホールの真の響きは予測ではなく実際にホールを満席状態にして測定することでしか明らかにできないものです。そこで今回,仙台市内の多くの皆様にご協力いただきまして、満席状態における音響測定を企画致しました。このような試みは世界的にみてもほとんど行われておらず、学術的に極めて意義深いデータが得られると考えられます。

●音響測定

 川内萩ホールの音響設計を担当した立場からホールの音響特性について解説をした後、今回の音響測定の趣旨を説明させていただいた上で、実際の音響測定を行います。具体的には,皆様に座席にご着席いただき、ステージ上に設置したスピーカから測定用信号を放射座席及びその周辺に設置したマイクロホンによって音を収録という作業が行われます。測定には10分程度の時間を要しますが、正確な測定のために、皆様には測定のあいだ音を生じさせる行為(会話など)をお控えいただく必要がございます。なお、今回の測定でスピーカから出力される音の強さ(耳元で最大80dB)は地下鉄の車両内における騒音(約90dB)よりも小さく、聴力への悪影響のない安全なレベルのものです。

●スペシャルコンサート

 測定後に一流の音楽家お二人をお招きしてのスペシャルコンサートを催し、ご協力いただきました皆様に川内萩ホールの響きを体感していただきます。出演予定者は、ピアニストの野平一郎氏とヴァイオリニストの漆原啓子氏です。お二人とも国内外でご活躍のみなさまおなじみの音楽家です。
 是非、本趣意にご賛同いただいた上でご参加いただければ幸いです。
aventure number : 1250 date : 2008/11/21


今日の禁断 ケーゲル

 別に、最近家の中でモーツァルトのレクイエムが鳴り響いているからなのではないのですが、このところ何かと新しいCDが出たりしています。といっても、それらは新録音ではなく、昔の録音の再発だったり、あるいは今まで発表されたことがなかったものが、何かのはずみに発見された放送音源だったりしますから、かなり古いものがほとんどです。「おやぢ」などをやっているとついつい新しいものに目が向きがちですが、そんな昔の演奏を聴いていると、なんとも言えない感慨が湧いてくるものです。なんと一生懸命にやっているのだな、とかね。
 そんなものを聴くに付け、果たしてその頃の人は、この曲の成り立ちについてどれだけのことを知り得ていたのか、という思いが募ります。
 今でこそ、どこからどこまでがモーツァルトの仕事で、その他のどの部分はジュスマイヤーとかフライシュテットラーなのかがほぼ完璧に分かっていますが、そんな知識が得られるようになったのは、実はそんなに前のことではなかったはずです。つまり「バイヤー版」というものが作られる以前には、今までの「ジュスマイヤー版」の成り立ちなどあまり知られてはいなかったのではないのか、という疑問が湧いてきたのですよ。ですから、そんな昔の人がどの程度の認識を持っていたのか知りたいな、という気にはなりませんか?
 そこで、その頃の演奏家が使っていたおそらく唯一の楽譜のはずのブライトコプフ版のリプリントであるドーヴァー版を、今さらながらですが、入手してみました。でも、そのスコアではすでに「M」とか「S」という表記で、どの曲のどのパートを誰が作ったものなのかが、明記されていましたね。ですから、大まかな知識は確かにあったことになります。特に、まるまるジュスマイヤーが「創作」した部分は、昔からしっかり認識されていたは間違いないはずです。
 ただ、スコアなど見たことのない普通のリスナーの間では、今でも漠然と「後半の曲がジュスマイヤーの作品」みたいに思っている人が、結構いるのではないか、という気はします。たとえば、偶然見つけたこちらのサイトを読んでみると、明らかにそんな「誤解」を犯していることがうかがえます。これを作った人は、堂々と演奏論をぶちまけるなど、音楽についてそれほど無知ではないような気がするのですが、そんな人でもこの有り様なのですから、普通の人だったらもっといい加減な知識しか持っていないことがうかがえますよね。要するに、モーツァルトは決して曲順に作曲したわけではないのですよ。
 そんな細かいことをまとめてこのサイトの目玉コンテンツにしたのは、もう10年近く前のことになるのですね。それはいつの間にか、ネット上ではかなりの「権威」になってしまっているようです。そういうテーマのことが書いてあるページを見てみると、良くこれが引用されたり、リンクされたりしています。なかには私のことを「プロ」だなどと持ち上げているサイトなどもありましたし。一方ではこちらのように「アマチュアでも・・・」と、正当なご評価も見られますが。そう、私は一介のアマチュア、好奇心だけが取り柄のウェブライターです。
aventure number : 1251 date : 2008/11/23


今日の禁断 ふれあい

 今年も、「コール青葉」の合宿です。すっかり年中行事と化していますね。この合宿は何と言ってもスケジュールのタイトさでは比類がないことで有名ですが、今回は合宿に行くまでにもそのタイトさを味わうことになってしまいました。新幹線の最寄りの駅は那須塩原なのですが、仙台から行く上り列車は、たいがい素通りしてしまいます。ですから、一旦郡山で降りて、そこから「なすの」という列車に乗り換えなければなりません。その乗り換え時間が、わずか5分しかないのですよ。隣のホームとかですと問題はないのですが、一度下の通路に降りて一番遠いホームまで行かなければなりません。なんせみんな私より遙かにお年寄りのメンバーばかりですから、果たして時間内にたどり着けるか、もし、仙台からの列車が遅れて着いたりしたら、どうなるのか、心配の種は尽きません。
 帰りは帰りで、会場から駅までのバスが出発したのが4時45分。新幹線の発車時間は5時半ですから、45分しかありません。普通に走っても40分はかかる道のりだというのに。
 しかし、そんな心配はあったものの、なんのトラブルもなく緊張感あふれる合宿は無事に終了しました。今回最も楽しみだったのは、初めてお願いした外部のプロの指揮者によるレッスンです。この樋本先生という日本有数の合唱指揮者の方、この日は我々以上にタイトな日程、岡山で行われていた合唱コンクールの全国大会(そう、愚妻の合唱団がもしかしたら行っていたかも知れないコンクールです)の審査が終わってから空路こちらに向かい、夜には東京で別のお仕事があるということで、実質1時間半しかここには居られないというのです。
 予定通りに現れた先生、とても熱心に、かつポイントを押さえて濃厚なレッスンを繰り広げて下さいました。私はオケの指揮者では、それこそブザンソン・ウィナーなどというすごい人なども経験していますが、実は、合唱でプロの指揮者の指導を受けたのは、これが初めてのことなのでした。やはり、オケでも合唱でも、指揮を専門の仕事となさっている方の迫力というものは共通しているな、というのが素直な感想です。曲の隅々まで、どのパートもしっかり頭に入っているのはもちろんですが、歌詞と音楽が一体なにを訴えているのかに、的確なイメージを持っていることが良く分かります。そしてなおかつ、そのイメージを押しつけではなく納得出来る形で伝えるテクニック、これが今回は格別でした。思っても見なかったような巧みな比喩で、練習の後半は爆笑の嵐、曲の最後まで行って、ぴったり時間通りに終わってしまうのですからね。それにしても、「智恵子抄」の歌詞でこれほど楽しめるとは。

 お昼休みがほんの少しあったので、外に出てみると葉牡丹を植え込んだ花壇がありました。それを見ていた先輩が、「なんか字が書いてあるな」と言っています。しかし、私には何のことだかさっぱり分かりませんでした。別に看板があるわけでもないのに。もしやと思って、建物に入って2階から見てみたら、

確かに、この施設の愛称が、しっかり書いてありました。
aventure number : 1252 date : 2008/11/25


今日の禁断 OB

 ニューフィルが今度演奏する「第9」のコンサートでは、もう1曲合唱団と一緒のステージがあります。このところ、その曲目は「サウンド・オブ・ミュージック」のメドレーがメインになりつつあるようです。去年あたりから、ナレーター(ソリスト)なども入れたりして、変化に富んだステージを作り上げていましたね。
 今年も、やはり同じような曲がありますので、その伴奏の練習が行われました。同じ「サウンド・オブ・ミュージック」でも、曲目や編曲が去年とやや変わっているというのが、ポイントです。毎年毎年新たな挑戦を試みているのでしょうか。この編曲をなさっているのがKさんという方なのですが、たまにどうしても演奏出来なかったり、非常に演奏しにくいところが出てくるのが、ちょっと辛いところです。でも、編曲自体はなかなか洗練されていて聴き応えのあるものなのですがね。
 確かに、去年も吹いたはずなのに、全く初めて吹くようなところがあったのは、やはり新しいバージョンだったせいでしょうか。イントロのフルートとピッコロのリズムがなかなか決まらなくて、ちょっとご迷惑をかけてしまいました。その前に出てくるピッコロの鳥の声も、確か前にはなかったような。そんな譜面を相手に、まずは団内指揮者が一通り譜読みを兼ねて通してみたあと、本番で指揮をなさるいつものK先生の登場です。この方は、「第9」では合唱指揮を担当、専門は合唱なので、この「サウンド・オブ・ミュージック」も、歌のパートを自ら歌いながら指揮をする、というのは前回と同じスタイルでした。それと、この先生は駄洒落が大好きな方で、毎年その対応には困惑させられているのですが、今年もやっぱり出ましたね。「ドレミの歌」の途中で、「ドシラソファミレド」と低い音を出して笑いをとる部分があるのですが、その最後の低い「ド」がなかなか出せなかったので、「ドーしても出ませんね」ですって。
 そんな和やかな練習が続いて、すっかり楽しい雰囲気になってしまいました。たまにはこんなのもいいものですね。
 練習が終わったところで、「ちょっと宣伝です」と言って、2種類のチラシを置いて行かれました。一つは先生が毎年行っている「メサイア」ですが、もう一つが、再三ご紹介した、萩ホールの「音響実験」のチラシです。私などはPDFで送ってもらったものしか見ていなかったのですが、ちゃんと印刷されたチラシの現物も、いつの間にか作られていたのですね。最初は合唱団などの口コミで集めていたようですが、それではなかなか満席にはならないと気づいて、遅まきながら広く募集を始めた、というような印象が強いのですが、どうなのでしょうか。もうそろそろ申込みの締め切りなのでしょうが、果たして充分な人数は集まったのでしょうか。
 実は私も、先日の合宿の時に、夜の懇談会で仙台代表としてこの催しのことを長々と喋ってきたところなのですがね。
aventure number : 1253 date : 2008/11/27


今日の禁断 電気


 けさ、朝日新聞の土曜版を見てみたら、吉幾三の「俺ら東京さ行ぐだ」のことが書いてありましたね。この曲が作られてからもう24年も経っていたというのにも驚きましたが、なんと、今この曲がネットを中心に大ブレイクしているそうなのですよ。オリジナルではなく、「ヒップ・ホップ」として、他の曲のサンプリングなども交えて様相は変わっているのですが、「テレビもねぇ、ラジオもねぇ」という「語り」というか「叫び」の部分は、ラッパーがラップで「歌って」いるそうなのです。というか、吉幾三自身も参加しているとか。つまり、この曲が「元祖ラップ」として再評価されている、というのですね。
 その記事の中で、この曲が作られた背景のようなものが紹介されていました。なんでも吉さんが入院していた時に友人から貸してもらったレコードを聴いていたら、それが当時は日本ではまだ珍しかった「ラップ」で、吉さんはそれにすっかりはまって、そのノリでこの作品が出来上がったのだ、というのです。つまり、作曲者である吉さんは、これをまさに「ラップ」として作ったのですね。しかし、もちろんその当時はそんなことは明らかにはされてはいなくて、例えば「秋田音頭のようなもの」みたいな言い方が、この曲に対してなされていたような気がします。この記事の中でも、「当時、この曲で『ラップ』を連想した日本人は少なかったろう」と言いきっています。
 ですから、私はそんな「数少ない日本人」の1人になるのでしょうね。この曲を最初に聴いた時、「これはラップだ」と思いましたからね。確かに、当時私のまわりで「ラップ」などという言葉を知っている人はまずいませんでした。「サランラップなら知ってるけど」でしたものね。でも、なぜか私はそんな黒人のムーブメントが、ポップ・ミュージック(絶対に「洋楽」なんて言葉は使いたくありません)の中に浸透していたことはよく知っていました。そして、それが日本語によって日本のポップスの中に取り入れられたものが、この曲だと、瞬時に思ってしまったのです。
 確かに、この曲には本来のラップが持っていたハチャメチャなエネルギーが、「笑い」の形に昇華されています。そこにこそ、完成度の高いエンタテインメントとしての価値があったのでしょう。
 もちろん、それからしばらくしてラップは「きちんと」輸入されることになりました。しかし、それらは例外なく、黒人の作り上げた文化をそのままなんの考えもなく日本に導入したものに過ぎませんでした。黒人の仕草やしゃべり方を、そのまま日本人が真似をすれば、同じようなエネルギーが伝わるのだろうという、まさに勘違いの産物だったのです。彼らの最大の誤算は、日本語でも英語と同じようなグルーヴが出せると考えた点でしょう。しっかり韻を踏んだつもりでいるそのライムは、いたずらに薄汚いものでしかありません。外国の文化を無批判に受け入れてきた日本人が犯した、また一つの過ちが、この「日本語ラップ」なのです。
 そんなラップが蔓延している中での、この「俺ら東京さ行ぐだ」の注目は、もしかしたらそんな欺瞞に敏感な若者の、抵抗の現れだったのかもしれませんね。
aventure number : 1254 date : 2008/11/29


今日の禁断 男声

 いよいよ12月になってしまいましたね。なんだか今年は11月がものすごく早く過ぎてしまったような気がします。いつの間にか1ヶ月が経ってしまったというような。あまりに早かったものですから、月初めの恒例行事、コラムの更新を、すっかり忘れてしまっていましたよ。私がそれに気が付いたのは、お昼過ぎに職場のパソコンでメールを受けた時でした。熱心にご覧になって下さっている方から、「コラムがまだ更新されていません」というお叱りのメールが届いていたのです。3日ぐらい前まではちゃんと心がけていたというのに、きのうは思い出しもしませんでしたからね。
 結局、ついさっき更新してアップしましたので、もう大丈夫ですが、あぶないところでした。実は、そのメールが来てすぐ、コラムの内容は「JURASSIC〜」の画像と一緒に出来てしまいました。こういうものはせっぱ詰まると簡単に出来てしまうものなのですね。ですから、その時点でアップしておけばもう少し早めに更新は出来ていたはずなのですね。しかし、ここがサイトの辛いところで、1つや2つのページを直すぐらいでしたら職場から出来ないこともないのですが、このコラムのようにリンクなどを手直ししなければならないものは、ちょっと厄介になってきます。つまり、自分で作ったサイトというのは、自分のパソコンの中に作ったものをそのまま丸ごとサーバーに送ってあって、それをその都度必要に応じて更新する必要があります。ですから、他のパソコンで更新しようとすると、更新しようとするファイルを一旦ダウンロードして、それを更新してからアップロードするという手順を踏まなければなりません。そして、その更新したファイルは、きちんと元のパソコンで上書きをしておかないと、何かの拍子に更新する前のファイルが送られてしまうことになってしまいます。そんな複雑なことは、まずどこかでミスを起こすに決まっていますし、なによりもトップページ用のバナーのテンプレートが、職場のパソコンには入っていないことにも気づいて、今回は職場での更新は断念しました。
 そんなわけで、ブログに比べて、普通のサイトを更新するのはかなり手間がかかるということを、再認識してしまいました。気が付いてみたら、良く訪れるようなところは、もう例外なくブログに変わっていましたからね。もちろん、私はいかに面倒くさくても、今のサイトとブログの二本立てというスタイルは、ずっと守っていくつもりです。なんたって、10年続けてきたのですからね。もう、更新はほとんど習慣と化しています。
 逆に、これからホームページを始めようという人は、ブログを知ってしまったらなかなか普通のサイトを作るのはハードルが高くなってしまうでしょうね。現実に、私の後輩の合唱団では、今まであった公式サイトを作る人がいなくなってしまって、完全に「廃墟」になってしまっています。一応ブログで近況報告などはやっているようなのですが、そのブログの存在を公式サイトから知らせることもしていない(というか、できない)ので、どの程度知られているのか。ですから、そんな方面にまでも私の手を借りたいというような要望が来ています。果たして、どうなることでしょうか。
aventure number : 1255 date : 2008/12/1


今日の禁断 宮学

 以前からご紹介していた「萩ホール」の音響実験ですが、どうやら締め切り間際になって申込みが殺到して、満席になることが確実になったそうです。いや、それだけではなく、こちらにあるように、往復ハガキによる申込みが予想以上に多かったため、「抽籤」をしなければならなくなったそうなのです。ネットであれだけ宣伝して(つまり、私も加担した、ということ)、なおかつ立派なチラシを印刷して各方面に送っていたのですから、まあ当然のことなのでしょうがね。ちょっと心配していましたが、なんとか無事「実験」は開催出来るようになったようです。
 ところで、私などは「30人集めて下さい」と泣きつかれて応募した口ですから当然チケットはいただけるのでしょうが、チラシやネットを見て応募した人の中には、「落選」してしまう人が出てくることになるのでしょうね。かわいそうに。それよりも、人数を集める見返りとして、萩ホールを格安で使わせてもらえる、という口約束が反古にされてしまうのではないか、ちょっと不安になってきます。いや、最初からそんなに期待はしてはいませんでしたがね。
 というわけで、この前の練習の時に、K先生からまでチラシを預けられて、一体どうなることかと思ったこの騒動も、どうやら一件落着のようです。あとは、まず当面の「角田第九」に全力を注ぐことになるのでしょう。そういうわけで、仙台で最後の指揮者練習がきのう行われました。いつものように早めにホールへ行ってみると、相変わらず団員は少ないものの、なんだか見慣れない若い女性が2、3人出入りしていました。そういえば、去年も角田の合唱団の関係者が見学に来たことがありましたから、もしかしたらそんな関係の人なのでしょうか。しかし、いよいよ合奏が始まるという時になると、10人以上の「若い女性」が、ホールの後ろにズラリと並んで座っていましたよ。正確には1人だけ「若くない女性」がいましたが。なんか、「角田」というイメージからはちょっと遠いような、もう少し華やかな人ばっかり、この人たちは一体何者?
 すると、「第九」担当の寿一先生は、最初に「今日はM学院の生徒さんがいらっしゃっています」とおっしゃいました。それで、彼女たちの正体は分かりました。女子大生だったのですね。どおりで(なにが?)。しかし、依然としてなんの目的でいらっしゃったのかは、明らかにはなりません。なんだか変な緊張が走ります。
 でも、なにしろ後ろですから良く分かりませんが、練習の間中、彼女たちはおとなしく座って聴いて(見て)いたようです。休憩になっても、トイレに行く人をのぞいてはずっと椅子に座っていました。結局、練習が終わるまで、彼女たちが一体どんな目的でひたすら座っていたのか、分からずじまいでしたよ。一体、あれはなんだったのでしょう。
aventure number : 1256 date : 2008/12/3


今日の禁断 エロイカ

 いよいよあしたからは、「角田第九」のリハーサルと本番で、大河原まで行ってこなければなりません。まるでそんな予定に合わせたかのように、明日の夜からは雪になるかもしれない、などという予報が出ていますので、もしかしたら今シーズン初めての雪道走行になるかもしれませんね。時間に余裕を持って、ゆっくり行ってくることにしましょう。なんでも、次の日も朝早く行かなければならないので、あしたは近所にお泊まりする人たちもいるそうです。宴会で盛り上がって、かえって疲れなければいいのですが。ま、オケの場合は別に歌うわけではないので、いくら飲んでも演奏に差し支えることはないでしょう。この間の「コール青葉」の合宿では、別に大騒ぎしたわけでもないのに、次の日には全く高い音が出なくなってひどい思いをしましたからね。
 実は、年内には今年最後の「かいほうげん」を出さなければならないな、と考えていたら、夏に、高松のJAOに行ってきたMさんから、大量の原稿と写真が届きました。読んでみると、あの時期の高松はものすごく暑かったそうですね。きっとこれを読めば、今の冬の寒さも吹っ飛んでしまうことでしょう。そこで、それを編集してみると、それだけで充分なページ数が確保出来ることが分かったので、「第九」開けの練習には発行出来そうな目処が立ってしまったのですよ。つまり、Mさんのレポートだけで5ページ、それに末廣さんの連載3ページがあれば、あとはいつものコンテンツに今度の「第九」の写真を入れるだけで、楽々16ページは埋まってしまうのです。
 末廣さんの原稿は、毎月雑誌に連載されている物です。以前はいちいちテキストを打ち込んでいたのですが、最近では昔より遙かに性能の良くなったOCRで読み込んでいます。しかし、これも完璧な物ではないので、必ずチェックはしなければなりません。しかし、何度か校正をやっているうちに、読み込みのエラーではなく、そもそもの雑誌の印刷で間違っていることが分かる物も出てきます。「緩楽章」なんて、もしかしたら末廣さんが最初に間違えていたりして。毎回最低3箇所はそんなのを発見しますから、雑誌のミスプリントなどはなくなることはないのでしょうね。我々がいつも使っている楽譜だって、ミスプリのないものの方が珍しいぐらいですからね。
 もちろん、「かいほうげん」を完成させるためには「第九」でしっかり取材をする、ということが必要になってきます。出来ればさっきの宴会なども写真に収めたいのですが、そこに私が参加することは不可能でしょうから、もしそのグループの中で写真でも撮られる方がいらしたら、ぜひご一報下さい。それと、もう一つの問題は、今回は私は全乗りなので、ステージから客席の写真を撮ることは出来ても、ステージ上の演奏者を撮ることは出来ないということです。これも、降り番の人を口説いて何とかしなければなりません。結局、私に出来るのは、お弁当を撮影することぐらいしかないのでは、という気もしますが、一体どうなることでしょうか。
aventure number : 1257 date : 2008/12/5


今日の禁断

 きのうと今日は、大河原の「えずこホール」で、「第九」でした。毎年のことですから、なにか変わったことをしてみようと思い、いつも気になっていた新しい道を開拓してみることにしました。会場の「えずこホール」に行くためには、4号線のバイパスを右折して、ホールの前の道に出るのがごく一般的、バイパスにある大きな案内板にも、そんな道しか書いてありません。しかし、その交差点で右折するのがなかなか難しいのですよ。対向車線からは車が途切れることはまずありませんし、右折の信号が出るのはほんのわずかの時間なので、何回も信号待ちをしないとなかなか曲がれないのです。いつだったか、私の後ろを走っていた同じメンバーの車が、いつの間にかいなくなっていたかと思うと、会場にはずっと前に着いていた、ということがありました。つまり、その一つ前の交差点を曲がると、はるかにすんなり行くことが出来るということなのです。その人に聞いてみると、なんだかかなり面倒くさい道で、地元の人でないと分からないような道なのだそうなのです。
 いずれにしても、確かに道はあるはずなので、土曜日は少し早めに出て、そこを実際に通ってみようと思いました。もちろん、そのためにネットでしっかり地図を確認しておくのは忘れません。ただ、こんな辺鄙なところですから、「ストリート・ビュー」はまだ適用されていませんから、実際の風景を見ることは出来ませんでした。
 地図をプリントして、いよいよ出発です。その交差点は今までいつも横目で見ていたところですから、すぐ分かりました。そこを右折して、最初に曲がるべき道があまりに狭かったので、無視してしまったら、実はそこが行きべき道でした。しかし、別に大回りしても同じところに出るので、それは大丈夫。しかし、しばらく行くと、なんだか地図からは全く想像出来ないようなところに出てしまいました。あとで調べると、そこを行けば良かったのですが、なんだか違うような気がして、何度か戻ったり、別の道を行ったり、どんどん時間だけが経っていきますよ。でも、どこを通ったのか分からないのに、いつの間にか会場のすぐ前には出ることが出来ました。
 ですから、日曜日にはリベンジで、今度は地図通りしっかり近道をおぼえることが出来ました。来年からは、役に立つことでしょう。
 リハーサルの写真は、幸い2人の降り番のメンバーに、たくさん撮ってもらうことが出来ました。私の撮った分も合わせて、全部で90枚、これだけあれば「かいほうげん」を埋めるのは簡単なことです。というか、実は空いているページが1ページしかなかったので、逆に選ぶのが大変になってきます。

 こんな、私が映っている写真もありますよ。
 リハーサルはいつものようにとても和やかに行われました。K先生の時は、歌の終わりを木管が伸ばしている間、合唱もずっと伸ばしていなければならないのですが、その合唱が途中でなくなってしまったので、「合唱、お願いだから伸ばして下さい、合掌します」という、いきなり全身の力が抜けてしまうものでした。寿一さんは、毎年お馴染みの「合唱が立ち上がる時の注意」というネタです。
 私自身は、今回の「第9」で、初めて自分の音を客観的に聴くだけの余裕が出てきたような気がします。第3楽章が全部きちんとコントロール出来るようになったのは、多分進歩なのでしょう。
 それにしても、満員のお客さんの前での演奏は、気持ちがいいものですね。
aventure number : 1258 date : 2008/12/7


今日の禁断 バレエ

 おととい本番をやったばかりなのに、もう次の定期演奏会へ向けての練習です。というか、もう始まってはいたのですが、「第9」のために中断されていた、ということです。1ヶ月のブランクのあと、果たしてこの難曲は通すことは出来るでしょうか。
 まずは、ピアノ協奏曲から。私はこの曲は降り番なのですが、合奏開始の時間になってもまだ本吹きの人が来ていなかったので、とりあえず1番の席で待機です。3楽章の「アド・リブ」も、いきなりでは吹けるわけがありませんから、一応さらっておきます。チューニングが終わった頃、1番担当の人がやっと現れたので、2番の席に移ってスタンバイ。フルートはなかなか出番がありませんから、余裕で間に合いました。しかし、2番の出番はまだまだ、やっと音が出てきたあたりで、2番の人の到着ですので、今度は3番の席に移って2番のパートを吹いています。そのうち、準備の出来た2番さんが席に来て、やっと私は本来の降り番の席(そんなものはありませんが)へ行くことが出来ました。あとは、スコアを見ながら見学です。
 しかし、ピアノ協奏曲のオケパートだけの練習というのは、なかなか全体のイメージが湧かなくて、大変なものです。全部の音を弾くことはありませんから、大体の感じでおつきあいしてもらえるようなピアニストの方、いらっしゃいませんでしょうかね?
 そして、後半は交響曲です。4楽章などは、ほとんど毎日さらっていないと忘れてしまうほどの面倒くさい譜面なのですが、果たしてどうなっていることでしょう。しかし、思ったほど「忘れて」はいなかったようで、練習指揮者も一安心。私も、この前まで吹けなかった1楽章の弦とのユニゾンも、なんとかそれらしく収めることができるようになっていました。
 しかし、やはり4楽章は相変わらず大変です。落ちることこそなかったものの、やはり合奏のテンポになると指がついて行かなくて休んでしまうとことが続発、もっとシビアな練習をしないといけないことが分かってしまいました。でも、吹けないまでも、少しは楽しくなってきたような気はします。
 そのあとは、場所を変えて技術委員会。来年秋の末廣さんのマーラーのカップリングの討議です。末廣さんからは「モーツァルトで」という希望が出されていたので、条件に合うような曲はそんなにないだろうと思っていたら、例によって脈絡のない希望曲のオンパレード、なんだかげんなりです。しかし、なんとか良心的な方針が出て、とりあえず末廣さんに提案する数曲の候補曲は決まりました。その中には、私が提案した「レ・プティ・リアン」も含まれています。というか、こういう条件ではこれしかないだろうということで、自信を持って提案したかったものの、おそらく誰も聴いたことはないだろうと思い、音源を用意してパートリーダーに配ってあったのです。反応はさまざまでしたが、とにかく候補から外すことはないということで、こういう結果になりました。これは末廣さんのお気に入りなのではないかと、密かに期待しているのですが、どうなることでしょう。
 あ、91万のキリ番は、けさの10時半ごろにでました。
aventure number : 1259 date : 2008/12/9


今日の禁断 クロイツェル

 「萩ホール」の「音響実験」に行ってきました。なかなか人が集まらなくて苦労しているということだったので、出来る限り協力してあげようという気になっていたところが、間際になって申し込みが殺到して逆に「お断り」しなければいけない事態になってしまったというように、常に手際の悪さが露呈してしまうのは、このホールの宿命なのでしょうか。それでも、いつだかのこけら落としのように座席券を機械的に前の方から配布する、というようなことはなく、「音のよい」ところから先着順に割り振っているようになっていたのは、わずかな進歩でしょうか。でも、5時半の開演、4時半の受付開始ということだったので、4時半少し前に着いたときには、すでに受付は始まっていてかなりの人がロビーに入っていました。それでも、私の席は3番目に音の良い2階の左サイド(黄色の3番)だったので、一安心です。

 しかし、初めて満席の2階席に座ったのですが、ここの座席の間隔は昔と全く変わっていないのですね。考えてみれば、1列ごとに床にかなり急な段差が付いていますから、それを直すだけの余裕はなかったのでしょうね。それと、ロビーからここに来るまでの通路がものすごい急勾配、開場したのが5時だったので、ロビーいっぱいにあふれていたお客さんがそこに殺到したものですから、ちょっとおっかない感じでしたよ。

 ステージの上には無指向性のスピーカーが置いてあり、客席のあちこちには、ダミーヘッドとレベルメーターが設置されています(↓)。あとはホールが「満席」になれば準備完了、なのでしょうが、まだまだ最前列とか2階席の左端などはガラガラ、と思っていると、なんだかいかにも学生っぽい団体が列をなして入ってきて、すっかり埋まってしまいました。どうやら、高校あたりに大動員をかけたようですね。
 5時ちょうどに、まず音響設計の鈴木先生のお話が始まります。この時点で、私の目に付くところでは下手のバルコニーに少し空席がありました。

 先生のお話は、最初は前の「内覧会」の時と全く同じネタでした。しかし、あの時は時間もあまりなかったので細かいことは省略したようで、今回はもっと詳しい話になっていました。その時にスクリーンに出てきたのが、改修前の記念講堂内部の2枚の写真です。これが欲しかったので、こちらのコンテンツに使わせていただきました。同じアングルの新旧ホール、これだったら今回の工事の様子が一目瞭然です。
 そして、本日のメインイベント、音響実験が始まります。と思ったら、2分程度で全ての「実験」が終わってしまいました。ステージのスピーカーからちょっとした音を出すだけ、あとは、それぞれの場所でとらえた音を解析するのでしょう。ちょっと聴いた感じでは、残響に低音成分がずいぶん含まれているような感じでした。落ち着いた音に聞こえるのはそのせいなのでしょうか。この頃にはさっきの空席もすっかり埋まって、完全に「満席」になっていました。きっと満足のいくデータが取れたことでしょう。
 最後は、漆原啓子さんと、野平一郎さんの演奏で、バッハ、ドビュッシー、ベートーヴェンというプログラムの「スペシャル・コンサート」。この楽器の組み合わせは、すでに2回聴いていますが、今回は満席と言うことで、空席の時ほどの豊かな響きはなかったような気がします。しかし、私が座っていた2階席まで、演奏家の息づかいが良い意味でも悪い意味でもきちんと伝わって来たというのは、やはりここがまれに見る良い音響のホールである証しなのでしょう。早く、オーケストラなどの大編成の音を聴いてみたいものです。つまらないことですが、コンサートが始まっても実験で使った紙やケーブル(矢印)がステージの上に残っていたのは、ちょっと興ざめ。
aventure number : 1260 date : 2008/12/11

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