1221(08/9/24)-1240(11/1)

今日の禁断 みなとみらい

 この間「萩ホール」に行った時にもらってきたチラシ、もう1回貼り付けてみます。

 なかなか素晴らしいデザインのチラシなのですが、上の方にはめ込んである文字がちょっと気になっていました。上から「バーガンディ」、「チェリー」、「シュー・ボックス」と書いてあるような気がしませんか?おそらく、これはこのホールのキャラクターをストレートにあらわした単語を並べたものなのでしょう。 
 「シュー・ボックス」はすぐ分かります。これはもちろん、このホールの形をあらわす言葉でしょう。ホールの形には色々あります。この萩ホールは、かつては多目的ホールでしたから、それは「プロセニアム」という呼ばれ方をする形をしていました。これはオペラハウスなどによく見られるように、ステージと客席との間に仕切があって、その一部が窓のように開いているホールのことです。ステージの上は舞台装置などをつり下げるために吹き抜けになっていますから、オーケストラなどが演奏する時には、ここを反響板でふさいで音が逃げないようにする必要があります。今回音楽ホールとして改修する時に採用したのが、「シュー・ボックス」タイプのホールです。その名の通り靴を入れる箱のように直方体、つまり、どの面も長方形になっている箱のような形をしているホールです。それは、「客席」ではなく「ホール全体」がそのような形になるということで、ステージも当然その直方体の中に入り、客席とステージを隔てていたプロセニアムが存在しなくなります。それによって、音は自然にホール全体へ広がり、美しい響きが生まれる、とされています。東京オペラシティのコンサートホールが、その見本。同じようにステージがむき出しになったものでも、サントリーホールやミューザ川崎のようにステージのまわりを階段状に客席が囲んでいるものは、「ワインヤード」と呼ばれていますね。
 「シュー・ボックス」のコンサートホールは別に珍しいものではなく、仙台市内でも青年文化センターのコンサートホールや、「けやきホール」はこのタイプ、毎年「第9」を演奏している「えずこホール」もそうですね。
 チラシの他の2つの単語は、このホールの内部の色をあらわしているのでしょう。「バーガンディ」というのは、実は初めて聞いた言葉なのですが、調べてみるとブルゴーニュワインの色だとか、←こんな色だそうですから、まさにホールの壁面の色ですね。「味噌樽」ではなく「ワイン樽」でした。そうなると、「チェリー」というのは、多分ステージの色なのでしょう。

 このように、このステージはかなり派手な色遣いになっています。明るい「チェリー」と、渋い「バーガンディ」の対比が、このホールの特色だということなのでしょうか。
 ところで、この「バーガンディ」のスペルは、いくら調べても「burgundy」以外にはありませんでした。このチラシにある「burgandy」という単語自体が、英和辞典には載っていないのですよ。うすうす気にはなっていたのですが、どうやらこれはミスプリントのようですね。こんなチラシやポスターが出回ってしまったら、ちょっと恥ずかしいのでは。
aventure number : 1221 date : 2008/9/24


今日の禁断 ベスト

 「かいほうげん」の版下は、きのうの段階でほぼ仕上がっていました。新入団員などの団員関係のデータも全部入れ終わり、その他には特段新しい変更などもなかったので、これで完成だと思いました。タイトルのページに入れるものが、次の定期演奏会の曲目だけ、というのがちょっと寂しい気はしたのですが、オーケストラにとってはこれが一番肝心なことなのですから、それだけで1ページを使ったってなんの文句も出るわけはありません。テキストは極端に少ないものですので、後はデザインのセンスでページ全体を整えればいいことになります。そこで、その演奏会の曲目の作曲者の写真を捜してみました。
 次回は全ての曲が同じ作曲家なので(しつこいようですが、こういうものを「チクルス」とは言いません)、ラフマニノフさんの写真だけがあればいいことになります。ただ、私の部屋に山のようにあるCDの中には、そのラフマニノフの交響曲やピアノ協奏曲のものはほとんどありません。というか、自慢じゃありませんが交響曲に関しては1枚もないのですよ。ピアノ協奏曲もかろうじて1枚とか。ただ、この手のものは、まず買うことがありませんでしたから、そのピアノ協奏曲にしても、お目当てはカップリングの「ピアノ協奏曲『黄河』」などという、ヘンなものだったりします。そのCDには、あいにく写真はありませんでした。一瞬途方に暮れてしまったのですが、その時、私はラフマニノフのCDは実はとてもたくさん持っていたことに気づきました。そうなんです。私のコレクションにはオケ関係のものより多いのが合唱関係、ラフマニノフといったら、その合唱作品でとても好きな曲があって、それはかなりの種類のものを持っていたのでした。その「晩祷(正確には「徹夜祷」)」という曲は、交響曲第2番やピアノ協奏曲を作ったのと同じ人のものとは到底思えないような地味で渋い無伴奏の合唱曲です。つまり、私にしてみれば、今度演奏する曲の作曲家と、「晩祷」の作曲家を結びつけるのがちょっと困難だったのですね。
 こちらの方は潤沢にCDがありますから、表紙に使えそうな大きな写真も2種類見つかりました。そのうちの、ちょっと真面目そうなものを選んで、スキャンすればページはきれいに埋まりましたよ。しかし、その時ハタと、「角田第9」の正式の告知をまだ「かいほうげん」上ではやっていなかったことに気づきました。指揮者の日程なども少し変わっていましたから、これはぜひ載せておきたいものです。事務局にはもう要項が届いていたので、それをFAXしてもらって、割り付けてみると、ページの半分ぐらい必要でした。さっきの写真のスペースが、まるまるこの記事で埋まってしまうことになります。せっかくの写真なのになくしてしまうのは惜しいので、レイアウトに一工夫、ちょっと裏技を使って写真を入れてみました。これが大成功。見た目も、今までになく斬新なものになった・・・はずです。正直、怪我の功名という感じで新境地を開拓出来たな、と思っているのですが、どうでしょうか。それは、あした見てみて下さい。
 あしたは新田さんの練習ですから、人も揃っていて「かいほうげん」を配るには絶好の日和です。しかし、同時に「アウトレット日和」でもあるので、くれぐれも渋滞にはご用心。そのあたりを、団長のパシリで掲示板に書き込んでおきました。
aventure number : 1222 date : 2008/9/26


今日の禁断 ゲイシャ

 新田さんとの2回目の指揮者練習、今回の会場は仙台港のアクセル・ホールです。ご存じのように、ここのすぐお隣に最近出来たのが「三井アウトレットパーク」、連日たくさんのお客さんが押しかけているのはニュースなどでも報道されていますし、実際にこの間行った時にもその渋滞ぶりは大変なことは分かっていました。練習は土日ですので、当然渋滞は予想されます。そこで、だいぶ前から車で来る人には充分余裕を持ってくるように、とのお達しが出ていました。前の日には、念を入れて「この道は絶対通ってはいけません」というような書き込みまで掲示板になされましたから、抜かりはありません。混むのが分かっていてわざわざその道を通る人はいませんからね。
 そこで、まずきのうは午後からの練習だったのですが、お昼前には出発することにしました。コースも、当然混むであろう45号線や産業道路は避けて、ちょっと遠回りになりますが利府街道を通って、いつか通ってみた仙台港までまっすぐ行ける道路を使ってみようと思いました。
 ところが、予想に反して、その道路をまっすぐ行って、ここからが混むはずだ、という45号線との立体交差のところで見通してみても、渋滞の「じ」の字もありませんよ。ほんとに何ごともなく、いとも簡単にアクセル・ホールに着いてしまいました。オープンの時にはあれ程の人の波だったものが、半月もするとここまで収まってしまうんですね。
 ですから、こんなに早く着いたら、まだ誰もいないと思っていました。ただ待っているのも退屈だな、とか。しかし、中に入ってホールの前のお食事コーナーに行ってみたら、なんとそこにはヴァイオリンやチェロのメンバーが一番大きな机を囲んでお昼ご飯を食べていたではありませんか。私よりもっともっと用心して早く出てきた人がいたのですね。
 新田さんも、ですから、遅れることはなく余裕を持って到着しました。なんだかこの前とちょっと印象が変わっていたのは、ヘアスタイルが変わったせいでしょうか。上が土曜日、下が日曜日のファッションです。


 前回の指揮者練習の時にはそんなに細かいところまで注意はされなかったのですが、今回はがっちり絞られた、という感じです。アンサンブルのちょっとした注意とか、歌わせ方のポイントなど、かなり突っ込んでの要求がなされていたようですね。時には頭を抱えてしまうようなところもあったりして、なかなかその要求には届かないような我々だったのでしょうが、きっと新田さんはいつものように根気よく付き合って下さることでしょう。もう一ランク、上を目指したいものです。
 最近フィンランドに行ってらした新田さんは、お土産のチョコレートを持ってきて下さいました。我々があまりに素っ気ない演奏をするものですから、「お土産を間違えました。チョコレートではなく、ウオッカにすべきでした」ですって。
aventure number : 1223 date : 2008/9/28


今日の禁断 廃墟

 指揮者練習で絞られている(ほんと、2日目は汗だくでしたね)間、愚妻は盛岡で合唱コンクールの東北大会に出場していました。30近くの団体の中から、全国大会に進めるのはたったの3団体、なかなか厳しいものがあります。しかし、県大会の録音を聴いた限り、彼女の合唱団がその3団体の中に入るのはそんなに現実味のない話ではないような感じがしていました。合唱のCDはさんざん聴いていますが、それらの市販の外国の合唱団のCDに比べても、決してひけをとらないどころか、レベル的にははるかに凌駕していると感じられるものもあるぐらいでしたからね(常連の方はお分かりでしょうが、私は知り合いや身内だからといってお世辞を書くようなことはありません。逆に、淡々と書いてある場合は、実は相当ひどいものだったりしますから)。
 ですから、コンクール当日の夜に「『ダメ金』だった」というメールを受け取ったときには、ちょっと意外な気がしてしまいました。金賞は取ったものの、全国大会に行ける3位以内には入れなかったということなのですからね。まあ、あと一歩ということだったのでしょう。
 しかし、帰ってきてから詳しいことを聞いてみると、どうやら事情はそんな簡単なものではありませんでした。その順位は全部で5人の審査員の票を集計して付けるものなのですが、その中には「1位」を付けていた審査員もいたというのです。「3位」だっていました。ところが、一人の審査員がなんと「16位」などというあり得ない順位を付けていたために、結局3位以内には入れなかったというのですよ。
 まあ、個人の趣味の問題もあるのかもしれませんが、合唱関係者でありながら、この合唱団を聴いて25団体の中の16位にしか評価出来ないなんて、いくらなんでも信じられません。他の4人はすべて高い評価を下しているのに、ですよ。審査員を決めるのにはどういう手順を踏むのかは私などには分かるはずもありませんが、ここまででたらめな評価を下して平然としているような人を審査員にするということ自体に、問題があるのではないでしょうかね。というか、審査員としての能力のない人を審査員にしてしまったという、これは主催者の痛恨のミスなのではないでしょうか。
 ですから、これからは審査員の資格を問うための審査、というものが必要になってきますね。いや、現にスポーツの世界ではしっかり行われていることではありませんか。サッカーの審判などは、かなり厳しい審査を通ってなるのものだと聞いてます。スケートかなんかで、あまりに他の人とかけ離れた審査を行った審判がクビになったってこと、ありませんでした?
 聞くところによると、この方は昔からあちこちで同じような問題を起こしているそうなのですね。当然主催者には苦情も寄せられていることでしょうが、今回もこんな「不祥事」を起こしたとしても、この方はずっと審査員に居座っていることでしょう。おそらくそれだけの「力」を持った方なのでしょうが、そんな人を野放しにしておいて、結局恥をかくのはご本人なのではないでしょうかね。とりあえず私は、この方が指揮をしている合唱隊のCDは決して買うまいと心に決めました。真の美しさの分からない人に、聴き手を感動させる演奏など出来ると思いますか?
aventure number : 1224 date : 2008/9/30


今日の禁断 仙台放送

 いよいよ10月、もう定期演奏会の月になってしまいましたね。今年の秋の演奏会は、会場の都合で少し早めのスケジュールですから、もう本番まで2週間しかないじゃないですか。あせりますね。
 その1週間前、11日には、「萩ホール」でのコンサートがあります。最初、これがこけら落としだと思ったのですが、実はそうではなく、その前の日に行われるのが正式のこけら落としなんだそうです。こちらは、聴きに行く予定。
 なんたって、まだ工事中のホールに入って練習出来たのですから、まだ公式のホームページなどが出来る前に写真を撮ってネットに流すことが出来ました。それは「禁断」だけではなくブログにも転載してあったのですが、数日前までは、Googleで検索すると公式サイトをさしおいてそのブログが最初に出てきていたのですから、すごいものです。そうなってくると、やはり多くの人の目に付くのでしょう、きのうあたりのアクセスがすごいことになってしまいましたね。きっと、関係者あたりもご覧になっていることでしょう。
 11日のコンサートだと思っていたものは、実は「記念式典」でした。つまり、新しいホールが完成したことを祝う式典の中で、アトラクションとして我々の演奏がある、という位置づけなのですね。1年前に「100周年記念コンサート」をやった時に演奏した「祝典序曲」もそのまま使い回すことが出来ますし。ということは、あの時に国際会館でやった「記念式典」と同じようなものになるということです。となると、なんかいやな予感がしては来ませんか?その、去年の「記念式典」の時にそれを仕切った業者には誰しも不快感を抱いたはず、今回は、その恐れはないのでしょうか。
 そんな不安は、現実のものになりました。その時と全く同じ業者が、今回も式典の進行を取り仕切るということになっているんですって。ですから、あの時と全く同じように、前半に式典を行っていたステージを、数分のうちにオーケストラと合唱が入れるようにセッティングして、演奏が始まる、という段取りになっているのだそうです。こういう複雑な進行を支えるためには、やはり強力な指導力を持つリーダーが必要になってくることでしょう。きっとまた、あのオールバック氏が、意気揚々とリハーサルの采配をふるうのかもしれませんね。考えるだけでもむしずが走る思いですが、まあ今度は様子が分かっている分こちらが有利、もっと鮮明な写真でも撮って来ることにしましょうか。
 そんな完璧なリハーサルを行うために、我々出演者は朝の7時半に会場に集合しなければならなくなりました。確かその日は多賀城で指揮者練習があったはず、この本番が終わった後すぐ車で向かうことになるのでしょう。終わるのが夜の7時半ですから、12時間まるまる練習ということになりますね。最後まで、居眠りをせずにいられるでしょうか。
aventure number : 1225 date : 2008/10/2


今日の禁断 ボストン

 新しくできた音楽ホール「川内萩ホール」の「内覧会」というのが開かれたので、行ってきました。ネットなどでそういうものが開催されるというのは知っていましたのですが、なんの関係もない一般の人が行っても構わないのか、という不安はあったので、ちょっとためらっていたところに、今度の合唱団経由で案内がまわってきました。どうも、あまり参加者がいないようなのでたくさん来て欲しいような感じだったので、喜んで行ってみることにしましたよ。なにしろ、ホールの音響設計を担当した方が、自らその説明をして下さる、ということでしたから、それはぜひ聞いてみたいと思うじゃないですか。私はある意味、「ホールおたく」ですからね。それと、「デモンストレーション」として、ピアノやヴァイオリンの演奏もある、ということでしたから、このホールの客席での聞こえ方をチェックする又とないチャンスですし。
 基本的にマスコミや音楽業界へ向けての内覧会なので、しっかりプレス用の席が用意されています。

 しかし、他のお客さんはやはりそんなには来ていませんでした。私は、2階席の一番前に座って、もっぱら音を聴くことに専念。見ると、2階席の真ん中あたりが招待席で、西澤元総長の名札なども貼ってありましたから、音響的にはこのあたりが自信のポイントなのかもしれませんね。

 ステージには大きなスクリーンが用意されていました。床下に収納してあったものを、吊りカンでぶら下げているのですね。会議などにも使えるような装備なのでしょう。

 音響設計を担当した鈴木先生のお話は、やはりもっとも面白いものでした。さっきのスクリーンに資料を写しだして説明をするのですが、一番ウケたのは「コリオラン序曲」のゲネラル・パウゼでの残響の様子を、Pyramixみたいな画像で「見せて」くれたことですね。そんな、かなり基本的なところからのホールの音響の話は、なかなか興味深いものでした。そして、実際のこのホールの改修の経過も、「前」と「後」の図面を重ねてはっきり分かるように示してくれていました。予想通り、横幅を狭くして、プロセニアムを取り払った、ということでしたね。このあたりの資料が、スクリーンだけではなく手元でも見られたらなお良かったのですが。
 そして、いよいよ「生」演奏が始まりました。最初はピアノ・ソロ。練習している時点で、伴奏のピアノの音がとても柔らかく聞こえていたので期待していた通り、それはとても柔らかいにもかかわらず芯のある輪郭のはっきりした音でした。残響が決して楽器の邪魔をせずに、豊かな響きを産むことのみに貢献しているという、最初にこのホールで感じた印象は、間違ったものではありませんでした。その響きの傾向は、どっしりと落ち着いた感じ、それは特に低音が豊かに響いているせいなのでしょう。オーケストラなどではどんなバランスなのか、早く聴いてみたい気がします。
 それと同時に、残響に邪魔されない分、演奏者の力量がストレートに聴衆に伝わってくる、という、ちょっとおっかない面も明らかになったのではないでしょうか。真に感動を引き起こすことの出来る演奏家なのかそうでないのかが瞬時にさらされてしまうこのホール、すごいものを作ってしまったものです。

 前から気になっていたのが、ステージへの入り口の位置。今日の話では、以前は客席だったところまでステージを前に出したということですから、これは前にもってくることが出来なかったのですね。今日はソロでしたが、オーケストラで指揮者が出てくる時は、ちょっと間抜けな歩き方をしなければいけないかも。
 終わって外に出てみると、雑草がきれいに刈り取られていて素敵な空間が広がっていました。そういえば、運営担当の志賀野先生は、この広場を使って「日本のタングルウッド」を実現したい、というような壮大なヴィジョンを語っておられましたね。

 建築設計についてのお話をされたのは、とても大学教授とは思えない、まるでビジネスマンのような小野田先生、その先生によるリサーチの結果、「他の大都市にあって仙台にはない」ものだった、1,000人以上収容出来る音楽ホールが、ついに完成しました。
aventure number : 1226 date : 2008/10/4


今日の禁断 バーテン

 やっと、ドラマ版の「SATC」を見終わりました。映画を見るための予習としてざっと見るつもりだったものが、見始めてみるとそんなおざなりな見方をしたのでは申し訳ないような面白いものだったため、ついていねいに、つまり、1日に1本か2本というペースで見るようになったものですから、見終わった時にはとっくに映画は終わってしまっていましたよ。いずれはWOWOWで放送されるでしょうから、それまで待っていることにしましょう。その前に、今度は「吹き替え版」のオンエアがあるといいますしね。もうすっかり字幕版の声に慣れてしまっていますから、初めて聞く吹き替えはどんなものなのか、ちょっと怖いような気がします。いずれにしても、最初のうちはDVDにダビングしないで消去してしまっていましたから、その分はきちんと録画し直して保存しておくことが出来ることでしょう。
 なんせ、6年も続いたドラマですから、波あり谷あり、さまざまに彼女たちを取り巻く環境は変わっていきます。もちろん、それはこの手のドラマの常套手段で、少しでも長く続けるための方策ではあるのですがね。ですから、キャリーの相手にしても、最終回での結末が果たして最初から用意されていたものであったかは、疑問です。本当は、エイダンあたりで収めてしまう、というのが、最初のプランだったのではないでしょうかね。いや、そもそもそんなプランなど、初めからなかったのかもしれませんし。
 ですから、そんな結末よりは、その課程を楽しむ、というのが、こういうドラマの正しい見方になるはずです。その中で重要なキーワードが「relationship」という言葉なのではなかったのでしょうか。字幕ではこれを状況に合わせてさまざまに訳していたようですが、単に「恋愛」という男女間の「つながり」だけではなく、友人同士の「つながり」も、ここでは重要なポイントになっていましたね。もちろん、常に貫かれているものは4人の友達同士の「relationship」であることは明らかです。
 私自身がもっとも惹かれたキャラクターは、ミランダの恋人(→夫)のスティーブです。どんな状況にあっても常にミランダのことを思い続けているというひたむきさ、これは心を打ちます。
 唐突ですが、指揮者の末廣誠さんをひたむきに尊敬している、という方から、サイトを作ってリンクしたので、出来れば相互リンクして欲しい、という連絡がありました。こちらがそのサイトです。末廣さんのエッセイを読んで、その人柄に惹かれ、コンサートにも行くようになったという、まさに「追っかけ」ですね。ページのあちこちに貼り付けてある末廣さんのとても可愛らしいイラストが和みます。全く非公式の(ご本人には知らせたそうですが)ものですが、熱い思いは伝わってきます。ぜひ、立派なファンサイトになるよう、応援していきましょう。
 そんな気持ちを込めて、秘蔵のこんな写真を送ってあげました。
aventure number : 1227 date : 2008/10/6


今日の禁断 イギリス

 この前の「萩ホール」の内覧会、マスコミや音楽関係者も来ていたそうなのですが、直後のニュースや新聞の記事の扱いはそれほど目立つものではありませんでした。NHKの7時台のニュースはちょっと見られなかったので9時台のを見てみたら、もうやってはいませんでしたしね。後で合唱団の人に聞いたら、7時台にはやっていたそうなので、1回しかオンエアに値しないネタ、ということだったのでしょう。うちで取っている朝日新聞も、一応写真は載っていましたが、そんなに大きな記事ではありませんでした。
 ところが、今日になって、その「朝日」で、大々的に紙面を割いてこのホールのことを特集しているではありませんか(あ、もちろん地方版だけですがね)。そこでは関係者のインタビューなども交えて、幅広い見地からこのホールのこれからの役割、みたいなことが語られていました。その中で「客席が800のホールで定期演奏会をやっているプロのオーケストラは、仙台フィル以外にはない」という指摘が、なんとも恥ずかしいものでした。だったら、格好のホールが出来たのですから、こちらに移ってくればよいと思うのですが、なかなかそうもいかないのが実情なのだそうです。なんでも、このオケは仙台市から膨大な補助を受けている関係で、仙台市の施設以外での定期演奏会の開催が不可能なんですって。おかしな話ですよね。だったら、あんな欠陥ホールではなく、しっかりした音楽ホールをさっさと造ればよいのに、とは誰でも思うことじゃないでしょうか。ホールを造る機会は、今まで何度もあったのに、その都度話は立ち消えになっていたのですからね。このホールは、仙台市が造らなかったものだから、大学がその隙間を埋めるために造ったことになってしまった理想的な音楽ホールなのですよ。恥ずかしいとは思わないのでしょうか。
 いえ、実はこの新聞記事を読んで、私自身がとても恥ずかしい思いをしてしまったのですがね。私が前に書いたものの中に「タングルウッド」というのがありましたよね。ところが、この記事では「グラインドボーン」とあるではありませんか。これは、企画担当の方が、「ホールの前の芝生を使って屋外コンサートをやってみたい」、と言っていたのを受けて書いたものなのですが、その方が言ったのが、最初は確かに「グラインドボーン」だと思っていたのですが、しばらくして「禁断」を書く頃にはもしかしたら「タングルウッド」じゃなかったのか、と思うようになっていたのですよ。だって、グラインドボーンでは、芝生の上にブルーシート(ではないか)を敷いてお弁当を食べることはあっても、そこでは野外演奏などはやってはいないはずですからね。迷った揚げ句使った「タングルウッド」は、見事に私の記憶違いでした。ああ恥ずかしい。
 その記事のもう一つのポイント。それは、ブログにトラックバックしたことがある、ぐらいの薄〜いおつきあいのある音楽ライターの山尾敦史さんがここに来ていて、インタビューを受けていた、ということでした。確か去年の「せんくら」にやってきて、ルポをなさっていましたね。そんな縁でのご招待だったのでしょうか。彼のブログでもしっかり「長く」触れられていましたね。あの同じ場所に山尾さんがいたなんて。知っていれば、サインぐらい頂いていたのに。
aventure number : 1228 date : 2008/10/8


今日の禁断 LED

 888,888の前後から、すさまじいアクセスがあるファイルからのリンクであったために、89万も気づかないうちに終わってしまっていました。
 今日は「萩ホール」の公式のこけら落としの日です。このホールは交通の便は悪いくせに、駐車場はほとんどありません。ですから、そこに入れようと思ったらかなり早く行かなければなりません。私が着いたのは開演の1時間以上も前。それでも歩いてホールに向かう人がたくさんいたので、入り口の前には開場を待つ人でさぞや長い列が出来ているのでは、と思ったら、誰もいません。こんなに早くもうお客さんを入れていたのですね。
 しかし、受付に行ったら、指定席のカードを渡されました。早く来た順に、前からの席を機械的に割り振っていたのですね。私の席は前から10番目、これではあまりにも前過ぎるので、もっと後ろ、出来れば二階席に変えてもらえないかと聞いてみても、「その様に言われておりますので」と、なんとも融通の利かない答えです。仕方がありません、前でも我慢しましょう。この前は二階で聴きましたから、ステージに近いとまた別の聞こえ方もするかもしれませんし。
 ホールに入ってみると、ステージではまだ山台を組んだりして準備中でした。それはいいのですが、なんだかホール全体が煙っています。オペラや、ロック・コンサートなどでこんな風になっていることが良くありますが、なぜクラシックのコンサートで?と思っていると、そのわけはしばらくして分かりました。実は、このコンサートの前半には能の「高砂」が演じられるのですが、そのリハーサルが始まったら、客席を真っ暗にしてステージの後ろからレーザーを出しているのです。そのためのスモークだったのですよ。なんと斬新な。そういえば、ステージまわりには夥しい照明機材が設置してありましたね。
 本番の「高砂」は、こんな感じ。

 なんでも、能舞台の「松の木」をイメージしたものなのだとか、なかなか素晴らしいアイディアですね。このコンサートのコンセプトは、このホールの機能をフルに体験してもらうこと、なのだそうです。うん、こんなこともできるんですね。
 その照明プランは、レーザーこそないもののその後のピアノや声楽、ヴァイオリンといったクラシックのアーティストの演奏の時にも貫かれていました。ちょっと普通のコンサートとは勝手が違っています。ソリストは真っ暗な中にステージに登場、真ん中に来た時にやっと照明があたってお客さんに分かる、といったような、それこそロック・コンサートのノリですね。そんな中で、レーザー用のスモークが、いつまでたっても晴れないのが気になります。普通の照明だと、これは逆にゴミゴミとしたイメージしか与えられませんから、かえって逆効果のような気が・・・。
 と思っていると、最後の合唱のステージになったら、「カルミナ・ブラーナ」でいきなりまたこのレーザーの登場です。

 これには思わずのけぞってしまいましたね。それからは、もう演奏を聴くどころではありません。次の「第九」でもそんな照明やらレーザーの嵐、それがなまじ音楽にシンクロしているものですから、その醜悪さは際立ちます。さらに、エンディングでは後ろのライトが一斉に点灯して「目つぶし」までやるのですから、これには驚きを通り越して、腹が立ってきました。これはちょっと勘違いをしているのではないか、という思いです。私たちは音楽を聴きにきたのであって、いくら色んなことが出来ることを見せびらかしたいからといって、こんな場末のキャバレーのような安っぽい光の中での演奏などは全く望んではいないのですよ。ましてや、それで音楽の「解説」までやってもらおうなどとは、さらさら考えてはいません。このホールの企画担当者は、これからのクラシックのコンサートで本当にこんなことをやるのを目指しているのでしょうか。これだけ素晴らしいホールを造っておきながら、こんなお粗末なことしか考えつかないのだとしたら、これは非常に残念なことです。少なくとも、ソフト面ではこのホールの権威は地に落ちました。
aventure number : 1229 date : 2008/10/10


今日の禁断 仙石線

 指揮者練習の怒濤の2日間が終わりました。私としては、その上にコンサート(と言って良いものか)の本番が入っていたのですからすごいものです。
 まずきのうは、朝の6時に起きて7時半からのリハーサルに向かいます。ここでの演奏は、あくまでこのホールの開館記念式典のアトラクション、という位置づけ、いわゆる「こけら落とし」は、その前の日に行われたレーザー・ショーが、それに当たるものなのでした。そのあたりの位置づけが、その場にならないといまいち理解出来なかった、というのが不思議なところです。最初の頃は、我々の演奏が「こけら落とし」、その前の日には「前夜祭」が行われるのだ、ということでしたからね。もっとも、アウトレットモールの「プレオープン」ではないのですから、こけら落としの前に前夜祭を行うこと自体が、そもそもヘンだな、と気づくべきでした。
 というわけで、これはあくまで大学としての式典、それを仕切るのはお馴染み、こんな方でした。

 でも、今回はリハーサルでこの方が表に立って指示をする、という場面は全くなかったのが、救いでしょうか。それよりも、細々と実際の動きを計画してそれを父親ほどの年代の人を相手にしっかり説明していた現役の学生の働きには、とても感心しました。
 コンサート自体はあくまで付け足しですから、集まった人もこんな感じ、ちょっと寂しいですね。2階席などはほんの少し、ですから前から2列目に座って熱心に聴いてらした音響設計の鈴木先生の姿もよく見えました。

 式典は12時に終了、それからメンバーはお弁当を食べながらのレセプションというのに参加して労をねぎらったのでしょうが、私は次の予定が控えているので、お弁当だけもらってきて、それを車の中で食べながら、多賀城へ向かいます。おっと、運転しながら食べたのではなく、運転席で急いで食べた後走り出した、ということですが。

 私は何回も行ったことがあるので、別になんとも思わなかったのですが、このホールの外観は史跡をイメージしているもので、ちょっと変わっています。まるで大きなお屋敷のよう。ですから、初めて来た人はこれをホールだとは思わないであちこち探し回っていたそうですよ。もちろん私は迷うことなく、しっかり音出し前に着くことが出来ました。絶対遅れると思っていたので、これは奇跡です。合唱モードからオケモードに変換して、別に眠くもならずに最後まで新田さんの練習に参加です。チャイコフスキーの2楽章が一番最後というのが微妙。最後の最後にバテてしまって、かなり不本意なことになってしまいました。
 帰りに、なんと新田さんを仙台まで送ってくる、という大役を仰せつかってしまいました。色々お話ししたのですが、家へ帰ってよくよく考えてみるとヴァンスカの件は打ち上げの時にすでに新田さんとお話ししたことがあったのに気づきました。これもバテていたせいでしょうか。いや、それは、その前に新田さんが私のサイトを見ていると聞いて、パニくってしまったせいなのでしょう。
aventure number : 1230 date : 2008/10/12


今日の禁断 聖母

 今年の「せんくら」も、ニューフィルの指揮者練習のためにほとんど行くことは出来ませんでした。なによりも、「生」高橋悠治に会えなかったのはかえすがえすも残念なことです。もっとも、私が練習をしている間でも愚妻はヒマでしたから、その模様を聞くことだけは出来ました。しかし、演奏ではなく「不細工な顔ね」というだけの感想ではなんにもなりません。でも、昔の顔を思い出の中にしまっておく方が良かったのかもしれませんね。禿げた藤島新みたいに。
 それでも、練習が終わってからいくつかのものには行くことが出来ました。それが波多野睦美さんとタブラトゥーラ。CDでは聴いたことがあったのですが、まさかこんなバンドだったとは想像だにしていませんでした。最初のうちはおとなしく座って、リコーダーの超絶技巧やリュートの素朴な音色に耳を傾けていたのですが、曲が進むにつれてフィドル奏者が首を振ったりしてハイになってきたので、なにか起こるかな、と思っていたら、最後には全員総立ちに「させられて」、踊り狂っていたんですからね。いやあ、楽しかった。つのだたかしが、あんなに面白い人だったなんて。
 いや、実はそもそものお目当ては波多野さんだったのですよ。あの声はぜひ生で味わいたいとずっと思っていたのですが、しっかり堪能出来ました。ベル・カントでは絶対に出ない味、もしかしたら訴えかける力から言ったらこちらの方がずっと上回っているのではないか、と思わせられるような、静かなインパクトでした。これで、もう少し顔が小さければ言うことはないのですが。
 そして、最後の日に行ったのが「小顔」の菅英三子さんです。とは言っても、菅さんはすでに体験済み、例の「レーザー・ライティング」のコンサートではカッチーニの「アヴェ・マリア」などを聴きましたし、その次の日には「共演」していましたからね。このコンサートでは日本の曲ばかり、中西あかねさんのピアノ伴奏で、メインはその中西さんの曲でした。実はこの曲、女声合唱のバージョンもあって、そちらではすでに2回ほど聴いたことがありました。こねくり回した曲ではなく、コード進行のはっきりしたシンプルなメロディです。ですから、合唱で聴いた方が素直に味わえるような気がします。ソロで歌う時には、もしかしたら波多野さんのような歌い方の方がすんなり聴けるのかもしれません。まあ、それは好みの問題でしょうが。
 アンコールで、武満徹の「小さな空」を歌ってくれたのは、何よりのプレゼントでした。もちろん、これは半年前に合唱で歌ったものですからね(あの時は、余計な伴奏でぶちこわしになってしまいました)。
 終わってロビーに出ると、CDを買った人のためのサイン会が始まりました。でも、あまり買う人はいなかったようで、菅さんはなんだか手持ちぶさたのようでした。そのCDはソロアルバムではなくて、「第9」やマーラーの交響曲ですから、菅さんの声を聴くのにはちょっと、というものばかり。ただマーラーの8番には、とても美しいソプラノのソロがあるので、それが聴けるのなら買ってもいいな、とは思ったのですが、ご本人に聞いてみたら「私はそっちじゃなくて、いつもペラペラ歌っている方です」っておっしゃっていました。結局、そっちのソプラノではあまり面白くないので、CDは買いませんでしたが、とっても気さくな菅さんに触れられて、幸せでした。
aventure number : 1231 date : 2008/10/14


今日の禁断 火山

 今大騒ぎとなっている金融危機などは、私の生活にはなんの関係もないと思っていましたが、意外と身近にまでそんな影響が及んでいたのに気づかされました。もうすぐ来日して東京でシベリウスの交響曲ツィクルス(これが正しい使い方)を開催することになっていたアイスランドのオーケストラが、来日費用を工面する目処が立たなくなって、日本でのコンサートが取りやめになってしまったというのです。東京だけではなく地方都市(その中には仙台市は含まれてはいませんが)でもコンサートが予定され、もうすでにチケットも販売されていたので、主催者はその対応に大わらわなのでしょうね。
 この「アイスランド交響楽団」というオーケストラにしても、「ペトリ・サカリ」という名前の指揮者にしても、それほど有名なものではありませんからそんなに大騒ぎにはならないのでしょうが、これがウィーン・フィルなんかだったら、大変だったでしょうね。いや、もしかしたら、これからそんなメジャーどころでもそんなことが起こるのかもしれません。怖いですね。
 確かに有名ではないオケと指揮者ですが、実は彼らが録音したシベリウスというのはその筋ではちょっとした評判にはなっていました。そのCDを輸入して販売していた会社では、この来日に合わせて、今まで出ていた単発のCDを集めて急遽国内仕様のボックスを作り、大々的に売り出していたところでした。おそらく、コンサート会場で「お土産」用に山積みにしておいて、今聴いたばかりのシベリウスの感動を反芻するためにたくさんの人が買っていくことを当てにしていたのでしょうが、それは見事に「絵に描いた餅」になってしまったのですね。お気の毒に。まあ、このメーカーのことですからバーゲン品みたいなものだったのかもしれませんが。
 そんなバーゲン好きの味方、アウトレット・モールが、この前の仙台港に続いてもう一つオープンすることになりました。それが今日のことだったので、そんなところへ一番乗りするのが大好きな愚妻は、出勤前の私をつかまえてそこまで送っていくことを強要しました。それが朝の8時半のことです。いくらなんでも、その時間だったら車で行けるだろう、という目論見です。ところが、そこへ向かう道はかなり混んでいました。やはり同じような思いで向かっている人は多いのかな、と思いましたが、どうやらそれはいつもの渋滞だったようで、目的地に近づいたら新しく出来た駐車場などはガラガラ、警備員が手持ちぶさたにしてました。そこはなんでも2000台ぐらい入る駐車場なのだそうですが、夜のニュースを見ていたら、お昼過ぎには満車になったのだとか。土日などは大混雑なのでしょうね。なんでも、そこに入りきらない車のために臨時の駐車場を用意しているのだそうですが、愚妻が持ってきた地図によればそれはそこから2、3キロ離れたところにあります。ですから、またシャトルバスに乗らなければならないのだそうですね。なんだか、アイスランドに比べたら「平和」って感じがしませんか?
aventure number : 1232 date : 2008/10/16


今日の禁断 フーミン

 定期演奏会では初めてとなるニューフィルの多賀城でのコンサートが終わりました。以前、確かにここでコンサートをやったことがあったのですが、それは定期ではなく、その頃行われていた「トヨタ・コミュニティ・コンサート」というタイトルだったのですね。あの時は冠コンサートと言うことで、豪華なゲストも迎えられましたし、集客もトヨタの販売店さんが頑張ってくれたお陰で、満席のお客さんを迎えられたはずでした。
 しかし、今回はいつも仙台で行っている自前のコンサートですから、いくら仙台の通勤圏とは言っても、なかなか足を運ぶ人はいないのでは、という懸念は最初からありました。
 そんな逆風をはね返すように、指揮者の新田さんもご自身のブログなどでは呼びかけて下さっていましたね。有り難いことです。その新田さん、本番の日の練習では、こんなスタイルで現れました。

 確か、前にどこかで見たことがあったと思ったのですが、やはりこれはラハティ交響楽団のTシャツでしたね。しっかり表裏、ポーズを取って下さった新田さんは、やっぱりお茶目。
 しかし、やはり当日練習となれば、出来てないところは山積ですから、その中で最優先に解決しておかなければならないところは厳しくやらざるを得ません。「アンタール」では、前の日になって初めて入ったハープにみんなが少しでも慣れるようにと、重点的に押さえていきます。
 私は、といえば、いつものとおり、ゲネプロでとんでもないミスをするのはお約束、交響曲の第2楽章のオーボエソロのオブリガートで、とんでもないことをやって失笑を買うことになります。もっとも、これをやっておけば本番ではそこに集中してミスはなくなる、というはずだったのですがね。
 なにしろ、前半の「アンタール」でのピッコロでほぼ燃え尽きてしまいましたから、交響曲のトップはかなり辛いものがありました。そうなることを予想して、一番ヤバい、2楽章の最後を成功させるために、その前のフォルテを4楽章のピッコロのために控えている響ママに手伝ってもらう(というか、まるまる代わってもらう)ことが出来たので、そこで充分な休養を取れて、まずまずの出来にはなりました。しかし、さっき間違えたところでは、あれ程ひどくなくてもちょっと指がもつれたりして、まだまだ修行が足りません。
 でも、極めつけは1楽章の後半、ユニゾンでスケールが半音ずつ上がっているところでしょうね。数え間違えた私は、その最初のスケールで1小節早く飛び出してしまったのですよ。なんと恥ずかしい、と思っていたら、その次にはクラリネットが同じように飛び出していましたね。何ということを、と思っていたら、その次のスケールではオーボエまで飛び出してしまったのですから、すごいものです。すっかり、私のミスが他のパートに伝染してしまったということ、今風邪が大流行だそうですが、もっとすごい菌をばらまいてしまいましたよ。

 これが、客席です。やはり集客は苦戦を強いられました。入場者数は566人ですって。
aventure number : 1233 date : 2008/10/18


今日の禁断 柳川

 定期演奏会が終わった次の日ぐらいは、ゆっくりしていたいものなのですが、こんなお天気の良い週末にそんなことが出来るわけもありません。まずは、マンションの防災訓練。防災グッズなどの説明はなかなかのものでした。でも、携帯トイレなんて使いたくありませんね。
 午後からは、かなり楽しみにしていたコンサート、大阪にある「日本一」の男声合唱団が、仙台の合唱団とのジョイントをやるというので、いつかその合唱団が公開リハーサルをやった時に行ったことのある教会へ向かいます。急に決まった話なので、お客さんの入りを心配していたぐらいですからそんなに早く行っても誰もいないだろうと思ってゆっくりしていたら、なんとその教会の前は長蛇の列、中に入るともう後ろの2、3列ぐらいしか空席はありませんでしたよ。それでもお客さんは後から後から入ってきますから、せいぜい6人しか座れないはずのベンチシートに「8人まで座れますから、どうぞ詰めて下さい」と、主催者は叫んでいます。
 なにを隠そう、その「仙台の合唱団」とは、愚妻が入ったところです。その指揮者が指揮をしている他の2つの団体のあとに、初めて愚妻付きのこの合唱団の「生」を初体験です。

 演奏したのは、コンクールの時に持っていった、隅々まで完全に仕上がっている曲です。本当に隙のない、練り上げられた表現と、良く溶け合う声には改めてこの合唱団の素晴らしさを感じます。それと、急なことで会場が取れなくて急遽取ったこの教会が、また素晴らしい響きでした。時たま外を通る宣伝カーの音がもろに聞こえてくる、などというサプライズもありますが、それさえなければ、まさに合唱には理想的な会場です。

 そして、後半が、合唱コンクールの全国大会で何年も連続して金賞を獲得しているという「なにわコラリアーズ」です。曲目を見た時に、マンティヤルヴィの「シュード・ヨイク」が入っていたので、楽しみだったのですが、それは期待通りの素晴らしさでした。というか、この曲は本当はこんな曲だったというのが、生で聴いてみて初めて分かりました。最初に演奏した多田武彦の滑らかさはまさに絶品なのですが、「絵日傘」はちょっと平板。実は、これは仙台の合唱団が歌っていたのを聴いたことがあるのですが、その時に感じた存在感には到底及ばないもの、という印象でした。
 それが終わって一旦家へ帰ってみると、郵便受けにしできさんからのDVDが入っていました。きのうの演奏会が、もう編集されてDVDになっていたなんて、相変わらずなんという仕事ぶりでしょう。早速見てみましたが、カメラのあった最後列での音だと、弦楽器も充分に良く聞こえていたのではないでしょうか。ただ、「アンタール」の最初、響ママのソロが出てくるところでいきなり子供の叫び声が聞こえていたのがもろに入っていたのにはびっくり。いや、これは許し難いことですね。こういう「暴力」には、ぜひとも未然に防ぐ方策が必要です。
 公式サイトの方でも、こちらに新田さんの写真をたくさん載せました。
aventure number : 1234 date : 2008/10/20


今日の禁断 ウンスク

 定期演奏会が終わると同時に、次の演奏会へ向けての準備が始まります。私の場合は今回はかなりヘビー、「第9」はまあ今までの蓄積がありますから、それを食いつぶしていけば良いのですが、ラフマニノフは全くの初体験、かなり大変です。
 前にも書いたように、ラフマニノフの交響曲などはCDさえも持っていないという、正直あまり関心のない曲なのですが、実は1回だけ生で聴いたことがあります。それは、もう4年以上前の仙台フィルの定期演奏会でした。その時も、お目当てはラフマニノフではなく、その前に演奏された韓国の現代作曲家のピアノ協奏曲の仙台初演です。そこでソロを弾かれたピアニストの大井さんとは、その前になぜかコンタクトが取れていたので(つまり、彼がフランスのレーベルに録音したクセナキスの作品の関係で)招待券を頂いていました。演奏が終わった後でお礼にとステージ裏に御挨拶に行って、四方山話。そうしたら、その後のラフマニノフを大井さんも客席で聴くことになり、私の隣の席が空いていたので、並んで座ることになってしまいました。ものすごいピアノを弾く方ですが、私と同様ラフマニノフの交響曲は聴いたことがなかったとおっしゃっていました。
 曲が始まると同時に、大井さんはのけぞってしまわれましたよ。まさか、こんな軟弱な曲だとは思わなかったのでしょう。もう肩をヒクヒクさせて、必死になにかを我慢なさっている様子がうかがえます。そして、3楽章が始まったら、声には出しませんが完全に爆笑モードでした。私も、このリアクションには全く同感出来てしまうというのが、なんか嬉しい体験でしたね。
 ですから、そんな曲をよもや自分が演奏することになるなんて、全くの想定外、18ページもあるパート譜を前にして、途方に暮れているところです。まあ、そんなことを言っていても、合奏が始まればどんどんインスピレーションが湧いてきて、だんだん共感出来るようになるのでしょうが、まずその前に自分のパートの仕上がりが来週までに完了するのか、かなり心配です。
 そんな練習の合間に、ブログ版の「おやぢの部屋」に、こんな

バナーを貼り付けてみました。実際に行ってみてクリックしていただければ分かるのですが、これは登録している音楽関係のブログのランキング用のバナーなのです。ブログを訪れた人がここをクリックすることによってポイントがたまり、それがランキングに反映されるという仕組みのようなのですが、まだいまいちそれがどのようになっているのかが理解出来ないでいるところです。どうやら、1週間ごとにリセットされて新たにランキングが始まるような感じ、私の場合はまだ始めてから1週間もたっていませんから、「NEW」なんて表示になっていますが、最高で12位まで行ったこともありましたね。「イベリコ豚」という人がやっている「セバスチャン」だけには負けたくない、というのがとりあえずの目標です。
aventure number : 1235 date : 2008/10/22


今日の禁断 津和野

 ラフマニノフの譜読みは順調に進んでいます。久しぶりのたくさんの量の音符と格闘しながらも、どうやらきちんと流れて吹くことは出来るようになりました。ただ、なにしろ馴染みのない曲ですから、どのぐらいのテンポなのか、感じがつかめないのがちょっと困ります。楽譜に書いてあるメトロノームの数字は、あまり当てにしないようにしていますから。ですから、まずなにか音源を聴いてみようと思ったのですが、ご存じのように私はこの交響曲のCDは持ってはいません。そこで、そんな時の救い主、NMLを使って聴いてみることにしました。検索したら10種類以上のものがあったので、なにも困ることはありません。しかし、別なところで、ちょっと問題が。大体練習をするのは職場のお昼休みと決めているのですが、実は、職場のPCはブロードバンドに対応していないのですよ。メールをやりとりするぐらいならなんの不自由もないのですが、ちょっと大きめの添付ファイルなどがあると大変です。ですから、この音声ファイルも、一番軽い「FM並み」というモードでしか聴くことは出来ません。しかし、「FM」と言えば実際はかなりのクオリティを持っているものですから、そこそこの音では聴けるはず、と思って聴いてみたのですが、これがよくもぬけぬけと「FM並み」などと言えたものだ、と思うほどのひどい音なのですよ。部分的にちょっと聴くぐらいだったら我慢出来ますが、この交響曲を全曲聴くなど、とても耐えられないような、ほとんど「雑音」と変わりのないレベルの音なのです。やっぱり、人に頼らずちゃんとCDを買ってきた方が良いみたいですね。
 それはそうと、このところの「萩ホール」体験でちょっと思いついたことがあったので、コンテンツを一つ作ってみました。このホールは、以前は多目的ホールだったものを音楽専用のホールに改修したものですので、そのあたりをまとめてみようと思ったのです。実はだいぶ前から構想はあったのですが、やっと材料が揃って、HTMLを作る作業が出来るようになりました。その作業の一端を、ご紹介。
 その時のネタによって作り方は色々なのですが、今回はテキストと画像を並行して集めることから始めました。読んでいただければ分かるのですが、今回のテーマは「プロセニアム」、まず、そんなものがはっきり分かるような写真がないか、捜してみました。ニューフィルのリハーサルの時などにたくさん撮った写真の中から、なんとか使えそうなものは見つかったのですが、いまいちかな、と思っていたら、岩沼に行った時に理想的なアングルで新しく撮ることが出来ました。もう一つ、シューボックスタイプのホールのサンプルとして、最初にオペラシティに行った時に確かいいやつがあったはずだ、と思って捜してみたのですが、なかなか見つかりません。私の場合、撮った写真はMOに保存してあります。それぞれ「ニューフィル」とか「職場」に分けて、べつのMOにしまってあるのが、そういう合唱関係のものをどこに入れたのか分からなくなってしまったのです。今は「職場」に入れているのが、それだけは「ニューフィル」の中にあったのですね。
 写真が揃うと、テキストもそれに応じて出てきます。やっと両者がうまくかみ合うようになって、後は一気に仕上がることになります。もちろんこれは、次回の「かいほうげん」のページを埋めるのにも役立つというものです。
aventure number : 1236 date : 2008/10/24


今日の禁断 いべりこ


 「仙台Walker」というムックが、発売されたそうですね。「なんとかWalker」の仙台版ということ、これで、仙台もおしゃれな街の仲間入りが出来た、などと、どこかで紹介されていましたっけ。別に、この手のガイドブックはいくらでもありますから、そこで紹介されているお店をまるまる信用するわけではありません。行ったことがあるお店などが大々的に紹介されていることがありますが、そこってそんなにおいしかったの?と思うようなところが大半ですからね。ただ、この本の場合は、ネットによるランキングで、紹介するお店を決めているそうなので、結構当てになるような気がします。やはり、「業界」の人ではなく、アマチュアの人の感覚の方がまともなのは、どこの世界も同じことです。
 嬉しいことに、そこでは、私がトンカツでは仙台で一番おいしいと思っているお店が、最高位にランクされていたのです。それは、川平の「櫻家」というお店なのですが、お肉といい、コロモといい、揚げ具合といい、なんとも繊細な仕事ぶり、まるで芸術品のような素晴らしさです。毎週食べに行っても良いぐらいの、おいしいお店です。ただ、ここには一つ難点があって、店内が喫煙自由なのですね。それで、ご存じのようにある時タバコを吸っている人のすぐ隣りに座らざるを得なくなったために、「禁煙にしなければ、もう来ない!」と啖呵を切って飛び出してきたことがあったのですよ(こういう話は、だんだん大げさになっていくものです)。
 それ以来、本気でもう行くまいと思っていたのですが、そんな致命的な欠点があったとしても、やはりあの味は忘れられません。タバコはもちろん、到底許されることではありませんが、だからといってあのトンカツを食べないというのは、そんなに長くもない人生では、とても大きな損失のような気がしてきたのです。そんな風にランキングで1位にもなったことですし、ここは一つ過去は忘れてヨリを戻してみようと思いました。
 そのお店に入る前に、密かに期待していることが2つありました。一つはテーブルの上から灰皿がなくなっていること、そしてもう一つはその「仙台Walker」が大々的に飾られていることです。しかし、残念なことにその期待は両方とも裏切られてしまいました。灰皿は仕方ないとしても、確か、以前別の雑誌に載った記事はカラーコピーをして貼ってあったはずですから、間違いないと思ったのですがねぇ。でも、よく考えてみると、今回の記事ではこのお店の場所についてかなりいい加減な記載があったことを思い出しました。最寄りの駅が「北仙台」だというのですよ。地下鉄にしてもJRにしても、その駅からここまで歩いたのでは優に1時間はかかってしまいます。そんなところがマスターの気に入らなかったのかもしれませんね。それとも、そもそもマスターはこの記事を読んでいなかったのでは?
 久しぶりの「上ロース」は、以前と変わらず、まさに絶品でした。これを食べる幸せを棄てるのは、本当にばかげたことです。でも、お店の片隅からかすかに漂ってくるタバコの匂いは、やはり気になるものでした。何と言ってもネットランキング1位のお店ですからね。そんなところは当然全席禁煙というのが、今の常識なのですがね。
aventure number : 1237 date : 2008/10/26


今日の禁断 未就学児

 先日久しぶりの新しいコンテンツが出来たことをお伝えしましたが、実はその次の日にももう一つアップしてあったのでした。トップページを隅々までご覧になれば気づくかもしれませんが、おそらくまだ誰も見てはいないことでしょう。それは、「アンタール」の第1稿に関するネタです。新田さんからお借りした楽譜を元に第2稿との相違点をリストアップしたもので、すでに「かいほうげん」では公開されています。というか、これはそもそも第2稿のスコアがないことには何のことだか分からない、という極めてマニアックな内容ですので、そんなものをサイトにアップしても見ている人にはあまり意味のないことのように思えて、もう少し練ってからにしようとは思っていました。例えば譜例を付けるとか、MIDIを作るとか、今まで他のものでやってきた手法ですね。でも、結局そこまでやったところでマニアックであることには変わりがないと悟り、そのままのデータだけを掲載することになりました。まあ、こんなものでも、なにが起こるか分からないネット社会ですから、意味を見いだすことのできる人がいるかもしれませんからね。もちろん、こんなことをやっているのはここだけなのだ、という歪んだ優越感を持つには充分のものですし。
 というわけで、これで定期演奏会の総括も終わったことですし、いよいよ次の曲目への挑戦が始まることになります。その初めての合奏が、ついさっき終わったばかりです。信じられないことですが、ラフマニノフの交響曲第2番が、とにかく最後までさしたる破綻もなく演奏出来てしまいましたよ。もちろん、それは単に表面的につながっていた、というだけのことで、その裏ではさまざまのドラマが展開されてはいたのですがね。かく言う私も、指はごまかすわ、完全に落ちてしまったところはあるわで散々でした。「悲惨」と言った方が良いかもしれませんね。3楽章あたりは楽勝だったのですが(それでも、ソロで音価を間違えて、早く終わってしまったような)、4楽章はあれだけさらっていたというのに、合奏の早さには全く付いていけなかったのですから悲しくなります。最初の段階でこれだけ吹けなかったのはマーラーの1番以来でしょうか。もっとも、あの時は甘く見てそれほど練習はしていなかったのですがね。
 そういえば、木管楽器のローテーションの関係で今回は初めてのオーボエの人とコンビを組むことになりました。おそらく木管の中では最年少と最年長の組み合わせ、なかなか刺激になることでしょう。あ、もちろん私が最年少の方ですよ(ん?)。なんでも、「第9」でもまた別の人と組むことになるのだそう。しばらく新鮮な体験が続くことになります。めげてばかりはいられません。
aventure number : 1238 date : 2008/10/28


今日の禁断 スキンヘッド

 最近は、テレビといえばドラマばかり見ていて、音楽ものはなかなか見ることがなくなっています。N響のライブなど、まさにハードディスクの「肥やし」になってしまっています。DVDに保存しておくほどのものでもないので、さっさと見て削除してしまいたいのですが、そんな時間があったらたまったドラマを見ていた方がよいので、なかなか空き時間は増えることがありません。
 そんな中で、最近2本ほど面白いものを見ることが出来ました。一つは今年のベルリン・フィルのヨーロッパ・コンサート。モスクワ音楽院のホールという、なかなか面白い形をした(シューボックスなのに、プロセニアムがある)会場での演奏、曲目もロシア物かと思いきや、最初だけストラビンスキーの「3楽章の交響曲」だっただけで、あとはブルッフとベートーヴェンでした。そのメインが7番だったのですが、ここでラトルはなんだか見慣れない楽器を使っていました。コントラファゴットが2本も追加されていたのですよ。ベーレンライター版の楽譜を見てみても、この曲にコントラファゴットが使われることはありませんから、これはラトルのアイディアなのでしょうか。と思いながら、ネットを調べてみたら、これはベートーヴェンが8番を初演した時に用いた編成だったことが分かりました。コントラが入るようなばかでかい編成で、ピアノとフォルテの対比を付けたのだそうです。この時に一緒に演奏されたのが、3回目か4回目のステージとなる7番だったので、ラトルはこの「故事」にのっとって、コントラを加えたのですね。でも、ベートーヴェンでコントラが2本並んでいるのはいかにも異常、その8番の初演の時には木管は全部倍管だったのですが、このベルリン・フィルは各パート1本だけ、そこにコントラだけ2本入れてもあまり意味がないような気はしますがね。
 もう一つは、このところ集中的に放送されているカラヤンの映像の中で、まだ見たことのなかった「ラインの黄金」です。これは、色んな意味で本当に興味深い物でした。まず、録音が、CDで出ているものとは別、もう少し後にザルツブルクで行われたものなのだそうです。CDの「リング」では、もっとも後の「黄昏」でも1969年の録音ですから、ゴールウェイはかろうじてこの「黄昏」だけには乗っていて、その音を聴くことが出来るのですが、もちろんそれ以外は別の人でした。ところが、ここでは明らかにゴールウェイらしい、芯の通ったフルートが聞こえるので、調べてみたらやはりそうでしたね。
 その音に合わせて、映像は後に撮影されていますから、中には歌っているのとは別の歌手が演じていることもあって笑えますが、ローゲ役のシュライヤーは、絶対にシュライアーには見えないメークで登場していても彼自身でした(このシュライアーの歌は絶品)。もちろん、カラヤンが監督をしているのですが、その面白さといったら、つまり、カラヤンには指揮者の才能はあっても映画監督の才能は全くなかったことがはっきり分かってしまうのですからね。彼がやっているのは、完璧にスコアの指示を忠実に映像に直すことだけだったのです。これほど音楽と演技がシンクロしている映画もないことでしょう。「ライン川」といえば川の映像ですし、「小人」といえば、本物の「小さい人」が出てくるのですからね。その結果、映画としてはまさにB級の安物SFのような物になってしまっています。そこには、クリエーターとしてのひらめきは、なにも感じることは出来ません。もっとも、これには彼の他の映像作品に比べて際立った長所があります。それは、カラヤン自身の映像が全く登場することがない、ということです。
aventure number : 1239 date : 2008/10/30


今日の禁断 多賀城


 今、仙台では「劇団四季」の「美女と野獣」のロングラン公演が行われています。半年間「東京エレクトロンホール宮城」のような公共の施設を、同じ団体が借り切るなどということは、以前では考えられないことだったのですが、最近ではそんなに抵抗もなくいとも簡単に認められているようです。四季サイドは、そんなことも自分たちの「文化を地方にも広める」という姿勢が認められた結果だ、などと、さも手柄のように語っていましたが、もちろん、そんなのは自分勝手な言い分に過ぎないのは明らかです。そんな中央の「文化」がごり押しでのさばってきた結果、地元の「文化」は活動が制限されてしまっているのだ、と、つい最近市内からは遙か離れた場所でしか定期演奏会を開けなかった結果、集客では惨めな結果に終わってしまったアマチュア・オーケストラのメンバーは一様に考えているのですから。
 そんな歪みが端的に表れてしまったのでしょうか、きのう、私が初めて見に行ったそのホールの空席状況は、まさに息をのむほどのものでした。かつてこの同じ場所で行われた公演には何度となく足を運んできたものですが、これほどまでにお客さんが少ないのには初めて出会ったような気がします。なにしろ、2階席のセンターなどはほんの数人しか入っていないのですからね。長いことこのホールを使っている私の勘ですと、せいぜい60%か70%の入りでしかないはずです。前の2つの公演の平均が90%以上だというのですから、これはとんでもなく悲惨な数字なのではないでしょうか。
 今回の演目は、ご存じ、ディズニーのアニメが、ディズニーの手によってミュージカル化されたというもの、これがその最初の試みで、その成功に気をよくしてその後多くのプロダクションが生まれることになったそうです。「ライオン・キング」とか。その「ライオン・キング」のジュリー・テイモアの演出は最悪ですが、こちらはアニメの世界をそっくりそのままステージに移したという、なかなか素敵なものでした(といっても、実はアニメの方はちゃんと見たことがありません)。いかにもアニメ的にデフォルメされた建物なども可愛らしいですし、なによりもお城の中のセットがすごいものでした。このホールのステージで、良くあれだけ出来るものだと驚くほど、転換も見事でした。さらに技術的なことでは、PAがとてもいい音でした。東京の四季劇場よりもヴォーカルなどはクリアに聞こえますし、ヘンな歪みが全くありません。
 集団のダンスは、まさにお手の物、イリュージョンなども交えた演出も、度肝を抜かれました。ティーカップは、本当に首だけがテーブルに乗っていたのでしょうか。このあたりの迫力は、文句なしに感動を呼ぶものでしたね。
 ところが、肝心の歌がいけません。いや、ビーストの佐野さんなどは本当に素晴らしい声なのですが、主人公であるベル役の西さんが、あまりにひどいのですよ。正直、彼女が歌っている間は耳をふさぎたくなるほどでした。確か、前に他の役で聴いたことがあったはずなのですが、その時にはそんなに悪いとは思わなかったのですがね。一体どうしたことでしょう。
 そういえば、このステージには仙台出身の赤間さんが、アンサンブルの一員として出演しているのですよね。もしかしたら、チーズおろしなどをやっていたのが、そうなのでしょうか?Hさん。
aventure number : 1240 date : 2008/11/1

08/11/3/-12/11