今日の禁断 |
ひげ |
久しぶりに、フルーティストの瀬尾さんのコンサートが仙台であったので、行ってきました。と言っても、ソロのリサイタルではなく、瀬尾さんがパリで結成したアンサンブル「アンサンブル・フランセ」のコンサートです。メンバーは瀬尾さんと同世代の「仲間」たち、ピアノはお馴染みのローラン・ワグシャルですから、まさに気心の知れたメンバーということになります。なんでもチェロのメンバーが体調を崩したそうでキャンセル、しかし、代わりの人もやはり同じ仲間だそうですから、アンサンブルには支障がないはずです。
フルート、クラリネット、ヴァイオリン、チェロ、そしてピアノという編成は、ちょっと珍しいものです。フルートがなければそれこそ「タッシ」のように、メシアンの四重奏を演奏する編成になるわけですが、この形のオリジナル曲などは、ちょっと思いつきません。従って、プログラムの最初と最後の曲は、瀬尾さん自身が編曲したものです。そして、唯一、こんな変わった編成の曲、と言っても、やはり編曲ものには違いありませんが、シェーンベルクの「室内交響曲第1番」をウェーベルンが編曲したものも加わっています。その他にクラリネットとピアノだけでドビュッシーの「ラプソディ第1番」、ピアノトリオでラヴェルの曲が演奏されました。
と言うことは、瀬尾さんは全てアンサンブルの中のメンバー、ソロは1曲もありません。それでも、最初の「牧神」の編曲は、フルート・ソロが大活躍する曲ですから、存分に楽しめます。瀬尾さんのフルートはもちろんですが、クラリネットの人もすごく上手。「ラプソディ」は絶品でした。そして、ピアノが、いつもこのホール(あ、会場はあの青年文化センターのコンサートホールです)で聴きなれている楽器とは思えないほど、柔らかい音色を出していたのにも驚かされました。
初めて生で聴いたラヴェルとシェーンベルクは、それぞれに魅力のある曲でした。特にラヴェルの第3楽章は、とても美しいものでした。ソロを弾いたチェロの深みのある音色が、印象的です。シェーンベルクは、曲自体はつまらないものですが、メンバーの緊張感がその欠点をしっかり補っていましたね。
最後の「ラプソディ・イン・ブルー」は、ちょっとコメントしづらいものがあります。この曲をこの編成で演奏するには、かなり「捨てる」要素が出てくるはず、それをうまく処理すればオリジナルとはまた違った魅力が期待できるのですが、そのあたりがどうもうまくいっていないような気がしてなりません。リハーサルも十分に出来なかったのでしょうか、ヴァイオリンだけが不必要に煽り立てるために、全体の目指しているものがさっぱり見えてきません。
アンコールは、ガーシュウィンの最後をもう1度演奏するという文字通りの「アンコール」、やはり、このヴァイオリンだと白けてしまいます。瀬尾さんはアンサンブルのコンサートとして完結させたかったのでしょうね。このあとおまけで「シランクス」でも吹いてくれれば、少しは物足りなさも解消できたのかもしれませんが。 |
aventure number : 1162 |
date : 2008/5/29 |
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