1141(08/4/17)-1160(5/25)

今日の禁断 練炭

 「北京ヴァイオリン」というドラマ、ついこの間ずっとやっていたのを見ていました。その時に、なんとも入って行きにくいドラマだという感想を持ったものでした。なにしろ、それぞれのキャラクターの行動パターンがまるで読めないのですよ。つまり、その行動の動機が、見ているものには全く理解できないのです。なぜ、シャオチュンはいきなり髪を染めたのか、とかね。ドラマの進み方も、多くのエピソードが最終的にひとつのものに収束するでもなく、漫然と関連のないまま延々と続いています。なによりも、シャオチュン役の子供が、なんとも可愛くないのですね。変に大人びていて、長く見ていると非常に疲れるキャラなのですよ。
 実は、このドラマが出来る前には同じタイトルの映画があったというのです。それがかなりよい評判だったので、ドラマも見てみようという気になったのですが、もちろんその時にはその映画は見てはいませんでした。それを、BSで放送してくれるというので、ある種の期待を持って見てみることにしました。確かに、その映画のことを悪く言う人はいなかったような記憶がありましたから、もしかしたらそれは十分に鑑賞に堪えるものかもしれない、と思ったのです。
 その期待は、やはり正しいものでした。これは本当に面白い映画でしたよ。父と子の深い愛情は丁寧に描かれていますし、シャオチュンの音楽に対する思いもきちんと伝わってきます。映画ならではのカットバックの手法で、出生の秘密など必要な情報も、まさに感動的な形で知ることが出来ます。
 どうやら、ドラマを作った人は、映画では描ききれなかった細かい背景などを親切に加えることによって、物語をさらに感動的に出来ると勘違いしてしまったのでしょうね。確かに、映画で説明不足の部分をドラマで「そうだったのか」と理解することは出来ますし、それが必要だったな、と思われるエピソードもなくはありません。しかし、映画として成立するだけの要素は、2時間の映画の中にすでにきちんと収まっているということも、ダラダラと長いだけのドラマを見て、逆に気づかされます。最後の、北京駅での、コンチェルトの演奏、これこそは映画ならではの「あり得ない」シチュエーション故に、紛れもない感動を呼ぶものでした。
 シャオチュン役のキャストは、映画の方が数段素敵です。父親役は同じ人(リウ・ペイチー)ですが、映画ではきちんと感情移入が出来るのにドラマではそれが出来なかったのは、おそらくドラマでは必要以上のことをやらされているために、役作りが散漫になってしまったせいなのではないでしょうか。
 音楽の設定も、映画の方が数段しっかりしていました。特に、最後のチャイコフスキーを演奏するときのオーケストラと指揮者は、きちんと本物を使っているので、余計な突っ込みをしなくても済みます。ガーシュウィンなどがバックで流れていたのも、マニアック。やはり、監督のチェン・カイコーのこだわりが、きちんと反映されていたのでしょう。教授役で出演もしてますしね。彼はドラマでもスタッフに加わっていますが、おそらく現場では殆ど口を出さなかったのではないでしょうか。
aventure number : 1141 date : 2008/4/17


今日の禁断 スピルバーグ

 夕方の5時頃、83万のキリ番が出ました。実は、82万の時はここに書くのを忘れてしまっていたので、どのぐらいで1万なのか、ちょっと分かりません。まあ、別に最近はコンスタントに推移していますから、特にアクセスを気にすることはないのですが、一応記念ですので。
 ところで、このサイトのトップページなどに出ているアクセスカウンターは、色々変遷を経て、今ではプロバイダのものを使っています。結局一番安定して使えるというのが、最大のメリットでしょうね。その他に、細かいアクセス解析をするために、別のところを利用しています。ページの左上に出ているバナーが、その解析を行っているページの印ということになります。これも、色々使ってみて、最終的に今のものに決めたのですが、例えば生ログなども全部見ることが出来るので、非常に重宝しています。トラブルらしいトラブルも今までは殆どなかったのも、使い続けていた要因です。ところが、最近になってなんだかここもおかしくなってきたようですね。いきなり、そのバナーが表示されなくなってしまって、その間のログが全く記録されなくなってしまうのですよ。それだけなら別に大した問題ではないのですが、このバナーは、scriptを読み込むようになっているので、これがつながらないとページそのものがなかなか表示されないようになってしまうのです。私はそれが分かるので構わないのですが、見に来た方がこれに遭ってしまうと、かなりいやな感じを持ってしまうかもしれませんね。ご自分のパソコンがおかしいのでは、と思ったりするかも。さいわい、その症状は1日以内に収まってしまうことが多いのですが、また起こるようなら、もうこのscriptは外してしまおうとも考えています。実は、そのために別のところのアクセス解析も同時に使っているところなのです。
 今の解析がヤバいのは、今まで毎週アップされていたアクセスランキングが1ヶ月近く更新されないのでも分かります。ここの音楽のジャンルでは、うちのサイトが常に10位以内に入っていて、最高で4位にまでなったこともあるのですが、こうなってはもう見限るしかありません。
 と、唐突ですが、毎週見ているドラマでは、最近は「クリミナル・マインド」が面白くなってきました。「行動分析」あるいは「プロファイリング」という耳慣れないものを犯罪捜査に応用しているFBIのチームの話です。例によって、単なる事件の解明だけではなく、出演者それぞれの個性が見物です。今やっているのは第2シーズン、それの14話と15話が前後編になっていたのですが、そこに出てきた多重人格の犯人をやっている人に、何か見覚えがありました。いきなり他人の家へ侵入してそこの住人を残虐に切り刻むという役どころなのですが、そのひげ面の中のやさしい目が、確かに以前見たことがあったのです。しばらく考えながら見ているうちに、やっと思い出しました。あまりにもかけ離れた役だったので、なかなかたどり着けなかったのですが、それは「ドーソンズ・クリーク」の主人公役、ジェームズ・ヴァン・ダー・ビークだったのです。今やトム・クルーズ夫人となったケイティ・ホームズや、ミシェル・ウィリアムズといったハリウッド女優も出演していたドラマでしたが、彼がその後どうなったのかは気になっていたところ。あの映画オタクの好青年に、こんな役で再会できるとは。
aventure number : 1142 date : 2008/4/19


今日の禁断 弦セレ

 きのうは、「仙台フルートフェスティバル」の本番でした。名前の通り、ただのコンサートではなく、多くのゲストを迎えてソロあり、アンサンブルありのバラエティあふれる構成、ロビーでは楽器メーカーによるクリニックやグッズ販売などが行われるという、仙台のフルート関係者が一堂に会するビッグ・イヴェント・・・だった時期も、確かにありました。しかし、今ではフルートのアンサンブルが弦楽器のパートを演奏して(チェロなどは本物を使います)、他に正規の管楽器が入るという「フルート・オーケストラ」の演奏だけになってしまいました。私の担当はアルト・フルート、オーケストラのヴィオラのパートを演奏します。
 会場は青年文化センターのコンサートホール、少し早めに着いたのですが、もうすでに椅子や譜面台は並べ終わっていました。ちょうどその頃、ホールのスタッフが録音用のマイクのセッティングをしているところでした。三点づりを下まで降ろして、そこにマイクを2本、定規のようなものを使って角度を決めてセット、そのまま上に上げていきます。それを見ながら、同じアルトのマニアKさんと色々ライブ録音についてのおしゃべりです。私は、この間のオペラシティで仕込んだ知識を披露、かなりマニアックな会話だったことでしょう。と、さっきまでマイクをセットしていたスタッフが近づいてきて、「なにか、録音についての要望はありませんか?」などと聞いてきましたよ。我々の話に耳を傾けていたからなのでしょうか。それとも、一応主催者にそのように聞くようになっているのでしょうか。それはよく分かりませんが、このホールでこんな風な対応をしているなんて、ちょっと新鮮な驚きでした。大体こういうところでは全てお任せみたいなイメージでしたからね。もっとも、実際に「こうして欲しい」などとは、なかなか言えないものでしょうけどね。
 ゲネプロから本番と、いつも通りのスケジュールで進んでいきますが、今年の場合はなにか吹いていて余裕のようなものが(あくまで今までとの比較ですが)あるような気がしていました。割と真面目に普段の練習に参加していたせいなのでしょうか。ただ音符を演奏する、というだけではなく、その音符が全体の中でどんな役割を果たしているのか、などというようなことが、自然にイメージとして浮かんでくるのですよ。これはなかなか楽しい感じ、本番でも楽しんで演奏できそうです。
 本番になったときには、確かに余裕はありました。というのは、演奏しながら全然関係のないことがどんどん頭をよぎってくるのです。ところが、それは演奏を邪魔するようなものではなく、しっかり集中できている上で、他のことも考えるだけの余裕がある、という状態なのですよ。こんな本番なんて、初めてでした。
 後半のベートーヴェンの7番では、本当に大変な細かい音符を一生懸命刻んでいる間にも、他のパートのワクワクするようなテーマを十分に楽しみながら演奏する、という気持ちのよい体験でしたよ。おそらく、ニューフィルではその逆の立場になっているのでしょうね。弦の人達は果たして私たちの音を楽しんで聴いてくれてはいるのでしょうか。
aventure number : 1143 date : 2008/4/21


今日の禁断 パガニーニ

 この前、テレビでベルリン・フィルのコンサートを放送していました。人気のある「ヴァルトビューネ・コンサート」の2007年のものです。まだ1年も経っていませんから、きっと初めての放送なのでしょう。確か、その前の年のコンサートも録画して、DVDにしてあったはずです。ただ、その時あまりデッキの調子がよくなくて、おしまいの方にかなりのデジタル・ノイズが入ってしまっていました。あの時は、ピッコロを吹いていたハーゼルが、指揮のラトルから楽器を取り上げられて、指揮棒を渡され、代わりに指揮をする、というサプライズ(多分、前もって仕組んであったのでしょうが)がありました。そのハーゼルの指揮の部分が、ちょうどそのノイズのまっただ中になってしまっていたのです。
 今回見たものは、「ラプソディ」というテーマ。ただ、選曲はずいぶん地味な感じ、野外でやるコンサートにしてはちょっと渋すぎるような気がします。なんせ、ドビュッシーの「ラプソディ」ですからね。ソロのクラリネットは首席のフックスです(字幕には「フック」とありました。Fuchsをそういう風に発音するのでしょうか)。
 木管のメンバーは、前の年と同じでしたね。フルートはブラウ、可愛い女の人、ハーゼルの3人。パユは降り番でした。ヴィオラのトップは、日本人の清水直子さん、表情たっぷりに弾いていました。良く見ると、駒のところから細いケーブルがつながっています。マイクの他に、こんなピックアップも付けて音を拾っていたのですね。今まで気がつきませんでした。清水さんだけではなく、ヴィオラ全員の楽器にケーブルは付いているのが、はっきり分かります。そこで、ヴァイオリンなども探してみると、ちょっと分かりづらいところはありますが、やはり良く見ると付いていました。さすがに管楽器にはなかったようですがね。
 曲が渋い分、演奏もあんまり盛り上がりません。最後のエネスコあたりになって、やっと少し盛り上がってきたでしょうか。あとは恒例の「ベルリンの風」を待つばかりです。今回のラトルはまたなにか面白いネタを披露してくれるのでしょうか。
 その曲が始まって、ラトルはやはり指揮台を降りてなにかをしようとしています。そのうち、なんと、ピッコロのハーゼルのところへ歩いていきましたよ。今年も同じネタ?ラトルが指揮棒をハーゼルに持たせ、彼がいやいや指揮台に歩き出していくのを見ていると、突然、これは前の年のものと同じであることに気が付きました。そうなんですよ。確か、半年ぐらい前にこれは放送されていて、しっかり見ていたものだったのです。2時間近く見続けてから、その事に気づくなんて、いかに前に見たときにいい加減だったかが分かります。最後しかおぼえていないんですからね。そう言えば、ラフマニノフを弾いたハフが、普通のコンサートと違って上手から出てくるために、指揮台の上に乗ってからピアノの前に座る、という場面も、何となく思い出しました。
 なんという無意味な2時間を過ごしてしまったことでしょう。でも、これで、もう1度新しいDVDを作ることが出来ます。ダビングしてみたら、今度は最後まできちんと何ごともなムーブが出来ていましたよ。
aventure number : 1144 date : 2008/4/23


今日の禁断 トリスタン

 このほど、仙台に新しくオープンした「東京エレクトロンホール」というところへ、初めて行ってみました。なぜ、仙台にあるのに「東京」などとう地名が入っているのかは分かりません。きっとホールを造った人の名前なのでしょう。「東京凡太」なんて人もいましたからね。

 これが、そのホールの外観です。なんだか、昔からある「宮城県民会館」と良く似た建物ですね。建っている場所も、同じ場所じゃないですか。まさか、「新しいホール」って、県民会館の名前だけが変わったところですか(間違った使い方)。
 なんて、ご存じの通り、最近の流行を取り入れたつもりになっている浅はかな自治体が、ホールの名前だけを企業に買ってもらうという「ネーミング・ライツ」が適用された結果、今まで慣れ親しんだ名前を使うと罪になる(わけはありませんが)ので、仕方なくこんなへんてこな呼び方をせざるを得なくなってしまいました。でも、「CCレモンホール」なんていうのに比べたら、まだマシかも。

 というわけで、明日のニューフィルの本番のための最後のリハーサルが、その「東京〜」で行われたということです。初めて中に入ってみたのですが、別に特段変わったところはありませんでした。ただ、入り口付近の椅子が新しくなっていましたね。それと、自動販売機のコーナーが、今まで開店休業状態だった売店のスペースに出来ていました。そこには飲み物だけではなく、こんなパンを売る自販機も置いてありましたよ。仕事があって慌ててコンサートに駆けつけた人のためには、なかなか重宝するのではないでしょうか。

 いつものように、楽器を運び込んだり、山台を組んだりしているうちに、リハーサルが始まる時間が迫ってきました。と、客席になんだか場違いの初老の人が、と思っていると、それが指揮者の保科さんでした。なんだかいとも気楽に来てみました、みたいな感じで、まわりの人に威圧感を与えるようなことは皆無、得難いキャラクターですね。
 練習が始まると、初めて入ったハープに、色々注文を出しています。声が小さいのでよく聞こえないのか、なかなか指示が伝わらないようなもどかしさがありますが、何回か繰り返すうちに、体で感じ取るようになってくるのでしょう。オケの方も、しっかり指揮者を見てさえいればその大きな流れにいつの間にか乗ることが出来るというのがだんだん分かってきたようですね。最初の曲が終わったあとに、誰を立たせるか、などということまできちんと打ち合わせていましたから、明日はきっと素晴らしいコンサートになることでしょう。
aventure number : 1145 date : 2008/4/25


今日の禁断 餃子

 演奏会の本番前のリハーサルは「ゲネプロ」と呼ばれます。指揮者によってそのやり方は色々ですが、プログラムを全部通したりすることはあまりありません。ちょっと気になる細かいところを確認して、軽く流す、というあたりが多くの指揮者が取る方法でしょうか。たまに、全曲やられたりすると、本番になって疲れが出たりしますね。
 今回の指揮者保科さんは、メイン曲のドボ8に関しては、殆ど音を出させない、というゲネプロにはあるまじきことを行ってしまいました。それは、別に「全てを本番に賭けろ!」といったような精神的なことを要求した結果ではなく、単に前半の2曲に時間を十分に取ったために、もはやシンフォニーを通すだけの時間は残っていなかった、というだけの話なのですがね。
 結構私などは、最近は本番はまずナーバスになることはありません。その日のリハーサルでやれた通りのことが、本番でもきちんとできる、という自信というか迷信のようなものがすっかり出来上がっているのです。これは、今までの経験からの裏付けがありますから、リハーサルさえちゃんとできれば本番はなんの心配もプレッシャーもなく演奏することが出来ます。万一リハーサルで失敗したとしても、そこだけに集中してリベンジを果たそう、という意識が働き、まず本番ではうまく行くものです。
 今回のコンサートは全乗り、しかもピッコロも吹かなければなりませんでしたから、ちょっといつもとはコンディションの整え方が違ってきます。なにより、ずっと休みがあったあとでいきなりピッコロを吹く、というのが、かなりのプレッシャーでした。それは「愛の死」の最後のクライマックスなのですが、この曲だけはかなり時間をかけてやってくれたので、十分なシミュレーションを行うことが出来、本番も何と言うことなく出来ました。確かに、本番でのこの曲は、出色の出来でした。オープニングのチェロのパートソロが、ピッタリユニゾンで音程も表情も決まっていたのはすごいものでした。これが2回目、3回目と同じくらい出来ていたとすれば、もはやプロの域だったのでしょうがね。
 シンフォニーでの一番の不安なところは、やはりピッコロの最初の音でした。ですから、ここだけはぜひとも本番前に1度は吹いておきたかったところです。案の定本番はやや不本意な出来でしたね。
 まあ、今までのリハーサルのスケジュールや、当日の時間配分などはもはや過ぎたこと、本番さえうまくいけば全てOKとなるのがこの世界です。「もしかしたら」と思っていましたが、保科さんはやはり譜面台も置かずに全曲暗譜で指揮をなさいました。リハーサルの段階でその片鱗は見せていたのですが、本番でこれをやってくれるとはカッコよすぎ。休みの多い前半では、保科さんのひたすら美しすぎる左手の動きに、惚れ惚れしてしまいました。

 お客さんは、前回の茂木さんの時に肉薄する900人以上の入場者数、指揮者の知名度が低いことを考えれば、これは驚異的な数字です。打ち上げの席でやはり茂木さん同様私たちを褒めすぎてくれた指揮者の言う通り、これはニューフィルの底力が上がってきた証しなのでしょうか。公式サイトでは、とりあえず指揮者の写真をアップしてみました。
aventure number : 1146 date : 2008/4/27


今日の禁断 ゴリ


 連休初日となったおとといの日曜日、街に用事があって車を走らせていると、「フォーラム」の前を通りかかりました。と、3つ(系列のものも合わせると5つかな)のスクリーンを持つ、その仙台で唯一のシネコンではない映画館の前には、前から見たいと思っていた「うた魂」のポスターが貼ってあるではありませんか。もはや市内の他の映画館ではとっくに終わってしまったというのに、こんなところでまだやっていたとは。急遽車を停めて時間を確かめると、あと1時間ほどで始まります。街での用事を済ませるとちょうどというタイミング、思いがけなく見ることが出来ることになりました。
 ご存じのように、これは高校の合唱部が舞台の映画です。主人公はその合唱部でソプラノのパートリーダーを務めている、いわばエリート、自分の歌声と、そして容姿には絶対の自信を持っている、という設定ですが、好きな男子から「歌っているときの顔が面白い」と言われて、歌うことへの自信をなくしてしまいます。いやあ、確かに、コンクールなどに出てくる高校の合唱部というのは、どうしてあんなに必要以上に面白い顔で歌っているのでしょうね。ですから、これは全ての合唱団へ向けての問いかけとなっているはずなのですが、物語としてはその事には深く関わらず、主人公がさる男声合唱を聴いて「合唱の魂」を知り、歌への情熱を取り戻す、という確かな成長譚として進んでいくのです。
 その男声合唱団のリーダーから、「合唱で一番大切なのはなんだ」と聞かれて、主人公は「きれいな声で、正しい音程で・・・」などと言っていると、「そんなんじゃなくて、大切なのはソウルだろう」と決めつけられるのを見ていると、私たちも遙か昔に同じようなことをやっていたことをはたと思い出しました。私が入っていた大学の男声合唱団は、まさにこの番長が集まった合唱団のような、ちょっと荒っぽい考えで音楽を作っていたところでしたので、理屈だけは一人前でした。他の合唱団が一緒になった何かの討論会で、「合唱をするときの正しい姿勢とはなんだろうか」などと、大まじめに語り合っていたものです。それに対して、さる女声合唱団のメンバーが「日本語を美しく歌うことです」などと言おうものなら、みんなして冷笑していたのですから、なんと恥ずかしい。
 そんな、ありがちな葛藤を盛り込みつつ、あくまでギャグのセンスで物語は「あり得ない」シチュエーションを繰り出してきます。現実を知っているだけに、そこからはさらにおかしさがこみ上げて来るという、おそらく制作者も予想しなかったほどの効果が、実際に合唱に関わってきたものには「ツボ」としてきいてくるのですよ。コンクールで優勝したグループが「アンコール」で別の曲を歌うなんて、あり得ないでしょう?でも、この映画ではそれこそが重要なポイントになってきて、感動を呼んでいるのですからね。このコンクールの場面では「本物」の合唱団が、きちんと演奏しているカットが入ります。そこで「本物」の男声合唱団が歌っている千原英喜の「リグ・ヴェーダ」は、インパクトがありましたね。
 ひとつ、ちょっと残念だったのが、薬師丸ひろ子が演じているエキストラの顧問の先生の扱いです。あれだけ「男声合唱団」との関わりの伏線を張っておきながら、あの結末はまさに拍子抜け、私は絶対、合唱をバックに尾崎を歌うと思っていたのですが。
aventure number : 1147 date : 2008/4/29


今日の禁断 アンタール

 定期演奏会が終わったばかりですが、今度は次の演奏会へ向けての準備が始まることになります。もちろん、すでに指揮者や曲目は決まっていますから、あとは渡されたパート譜をひたすらさらうことになるわけですね。チャイコフスキーの1番とリムスキー・コルサコフの2番、そしてボロディンの「中央アジア」という、全て今までやったことのない曲というのですから、予習も大変です。
 中でも、リムスキー・コルサコフは、おそらく仙台初演、かなり珍しいものですから期待もひとしお、フルートが3本必要なので、全員総出で取り組むことになります。ただ、この曲に関しては、楽譜の面でちょっとした問題がありました。なんでも、作曲者が何度も改訂を行った結果、全部で4種類もの版が存在することになっているのだそうです。曲だけでも珍しいのに、そこにこんな複数の版が有るということになると、いったいどれを使うのか、分からなくなってきますよね。なにしろ、この曲が指揮者の希望として候補に挙がった段階で、実際に聴いたことのある人はマニア揃いのニューフィルの団員の中で誰もいなかったのですからね(1人ぐらいいたかな?)。仕方がないので、私が持っていたCDをみんなに聴かせて、曲の概要を知ってもらったぐらいです。もちろん、その時点では版のことはなにも考えてはいませんでした。ネットで少し調べてみても、細かいところで違っているだけで本質的な違いはないような感じでしたからね。
 パート譜が渡された時点で、スコアも見せてもらえることになりました。指揮者の新田さんが指定してきたのはKALMUSから出版されている「1875年の第2稿」、もちろん、渡されたのはその版の楽譜です。早速私が持っていたCDを聴きながらスコアを見てみると、全く同じ音でしたので、どうやらそれは「第2稿」によるもののようでした。でも、ネットの情報によると、「第3稿」も、細かいところで違っているだけのようなので、断言は出来ないな、とは思っていました。
 そんな時に、「自分が買ったCDが、楽譜と全然違っている、小節もあっていない」というような人の情報が入ってきました。その人が買ったものは「1876年版」と表記されているのだそうです。そんなちょっと不思議な年号(第2稿は1875年)が入っているCDといえば、思い当たるのはスヴェトラーノフのものだけです。ネットでは「第3稿」だといわれているものですね。実は、これも手元にあったのですが、殆ど同じだと思って聴いてもいませんでした。そんなことだったら、ぜひちゃんと聴いてみなければ。
 スヴェトラーノフ盤を聴いてみると、あるわあるわ、第1楽章の最初からいきなり弦楽器の終わりの音がスコアでは伸ばすようになっているものがスッパリ切れていたりと、はっきり違っているのが分かります。そのあとに出てくるフルートソロも、音が違っていますし。そして、半分ぐらい来たところで、全くスコアを追えなくなってしまいました。構成がそこで全く変わっていたのです。小節数の違いどころではありません。そこは全く別の音楽になっていましたよ。
 第2楽章は、曲自体は殆ど変わっていませんが、キーが半音高くなっていました。第3楽章では、最初のテーマのリズムが違います。フィナーレでは、ソロの楽器が異なるなど、オーケストレーションが各所で違っています。せっかく買ったというのに、スヴェトラーノフ盤では全く役に立たないのですね。かわいそうに。
 実は、第1楽章には、フルート3本でとんでもない超絶技巧を披露しなければならない箇所があります。それが、ここで聴いた「第3稿」では、全然違うもっと吹きやすそうな音に変わっていましたっけ。そこだけでも第3稿にして欲しいものです。
aventure number : 1148 date : 2008/5/1


今日の禁断 仙山線

 このところ、筍掘りをやる日には決まって雨が降る、というジンクスが出来上がっていました。今日だって、予報では決して芳しいものではなかったはずです。しかし、蓋を開けてみれば、まさに格好の「筍掘り日和(@姫)」になっていましたよ。青空の下、心地よい風が吹き渡る中で、このニューフィルの公式行事は行われることになりました。
 前もって、今まで来たことのある、いわば前科、ではなく実績のある人にはメールで開催の連絡をしていました。しかし、その中で「出席します」という返事をくれたのは、このところの常連、というか、その人たちの予定に合わせて開催日を決めたという人だけ、当たり前の話ですね。その他の人はことごとく「法事があります」とか、「実家でお見合いがあります」、あるいは「連休はヨーロッパへ行きます」といった、「ほんとかな?」と思えるような理由を付けて出席できない旨を告げてきていました。まあ、でも常連の2家族が来てくれれば、いつものように竹やぶの隅から隅まで掘り尽くしてくれることでしょう。
 まず、時間きっかりにSさん一家が、去年のマイスコップに加えてなんとマイツルハシを抱えてやってきましたよ。気合いが違いますね。それにしても、毎年見ていると、お子さんたちの大きくなるのが早いこと。男の子たちは、筍よりも、まず池にいるザリガニに興味がありそう。私に向かって、「おにいさん、あっちにザリガニがいるよ」ですって。足をすべらせて靴を泥の中に入れてしまっても、めげずにザリガニに挑戦です。一方お父さんは、ツルハシでものすごいペースで筍を掘っていますよ。少し遅れると言っていたしできさんたちが来るまで、残っているのでしょうか。

 ザリガニを相手にしている間竹やぶを留守にしていたら、その間になんと「び」さんがやってきていましたよ。ついに筍掘りデビューですね。といっても、実際に掘ったりすると疲れるので、もっぱら笹の葉をどけて筍が生えているあたりを見つけて、それをお子様たちに教えてあげる役目でした。
 次にやってきたのは、出席とも欠席とも言っていなかった響ちゃんご一家です。なんと、響ちゃんのガールフレンドのご一家も一緒ですよ。もちろん筍掘りなんて初めて、嬉しそうに掘っていました。

 でも、「列車マニア」だという響ちゃんは、筍よりも近くを通る電車に興味がありそう。警報が鳴り出すと、線路が見えるところまで走っていって、一心に眺めていましたよ。
 しできさん一家が到着した頃には、もう殆ど筍はなくなってしまっているかと思いました。でも、よく探すとあちこちにまだいくらでも生えています。今年はちょっと不作のような感じがあったのですが、これだったらいつも通りの収穫が期待できますね。
 そんなわけで、総勢16人という、史上最多の参加者となった今年の筍掘りは、お天気にも恵まれて滞りなく終了しました。
aventure number : 1149 date : 2008/5/3


今日の禁断 BBS

 このところ、ほかのホームページの掲示板に書き込みを行う、ということを一生懸命やっています。つまり、今度開催される「ヴォーカル・スペクトラム」というアメリカのア・カペラのグループのコンサートを知ってもらうために、主に合唱団のサイトの掲示板を探し出して、そこに「コンサートの御案内」という書き込みをして、公式サイトへのリンクを入れよう、というものなのです。日頃、そういう書き込みを「される」というのは頻繁に体験していますので、そういうものがいかにうざったいものであるかは重々知っています。ですから、本当はこんなことはやりたくはないのですが、なにしろ知名度の低いアーティストですから、背に腹は替えられません。もし、どこかで見かけたら、そんな具合でやむなくやっているのだ、ということをお察し下さい。
 しかし、こうやって色々な掲示板を訪れてみると、さまざまなフォーマットがあるのがよく分かります。特にまごつくのが、リンクの入れ方です。ニューフィルの団員用の掲示板あたりが一番使い慣れているタイプなのですが、そこではURLをコメントの中に書くと、それがそのままリンクになってくれますから、例えば「詳細はこちら」といって、その次の行にURLを書けば、読む方もすぐにリンク先が分かる、という、分かりやすい形です。しかし、どうもそういう形は主流ではないようで、行ってみた殆どの掲示板では、URLが表示されることはなく、タイトルの脇に「家印」とか「Home」という表示などが現れる、という形式になっていました。まあ、普段これを使い慣れている人が見るわけですから問題はないのでしょうがね。
 もちろん、書き込みが出来るのはアクセスになんの制限もないところに限られます。そういう無防備な掲示板というのは、えてして全く関係のない書き込みで「アラシ」に遭っていることが多いものです。まあ、大半のところは管理が行き届いているようでそんな問題のあるものは見当たらなかったのですが、ひとつだけ「クール○」という団体のサイトの掲示板は、見事に無法地帯になっていましたよ。悪いことに、その掲示板は画像も自由に入れられるようになっているものですから、なんとも見るに堪えない、というか、つい見入ってしまうような画像が満載なのですよ。さすがにここに投稿するのははばかられたので、書き込みはやめました。だれか知り合いがいらっしゃれば、ホームページの管理者に言ってあげた方が良いですよ。
 ニューフィルでも、オープンな掲示板はすでに掲示板としての役目を果たしていなくなっていますので、「有害な」書き込みを削除するという最小限の管理を施しているだけです。業者の案内などは放っておいても構わないでしょうから。書き込みがあると携帯に届くようになっているのですぐ対応できますから、おそらく殆どの人の目に触れることはないはずなのですが、最近別のオーケストラに対する中傷が頻繁にあるのが気になっています。そことはリンクしないでくれ、という一見穏やかに見えて悪意に満ちたもの、あまり頻繁に来るようなら、ログは携帯に残っているのでIPを公開しますからね。
aventure number : 1150 date : 2008/5/5


今日の禁断 スプライト

 職場にある自動販売機は、設置されてからもう10年以上経っています。実は、その前から別の機械も使っていたので、その操作はもう慣れたものです。メーカーが違っても基本的な操作方法は殆ど変わらないようになっているので、一通りのことは自然にマスターしてしまいました。料金箱にお金がつまってしまったときでも、分解して修理する、などということも簡単に出来ますよ。
 その自販機が、ある時から「ホット」が使えない状態になってしまいました。ホットの飲料というのは、変質しやすいのであまり長期間機械の中に入れておくことは出来ません。ですから、ホットをやっている間はあまり品物を入れないようにして、ほぼ毎日品出しをするようにしています。もうそろそろホットも終わる時期かな、と思った頃、機械を開けてみるとホットにしておいたカラムが全然暖まっていなかったのですよ。自販機というのは、カラムがブロックに分かれていて、あるブロックは「コールド」と「ホット」に切り替えられるようになっています。冬場はそこを「ホット」にして、お茶やコーヒーを温めるのですね。そこで、そこをコールドに切り替えてみると、冷やす分には問題がないのです。ただ、暖められないと。まあ、ちょうどシーズンも終わることですから、とりあえず使えなくても支障はないので、中に残っていたコーヒーを全部取りだして(一度暖めたものは、もう冷やして使うわけにはいきません)、サービスを呼ぶことにしました。
 結局、大元の基板がもうだめになっているということが分かり、修理をするのはあきらめ、新しい機械に交換することになりました。別に、これはメーカーの機械を置かせてやって、ただ管理しているだけですから、もう全てお任せ、あと数日したら新しい機械が運び込まれることでしょう。
 この機械が入った頃は、自販機には缶だけではなくPETボトルの飲料も入れられるものが広まっていました。ただ、この機械は中古だったので、未対応、ちょっと悔しい思いをしたものです。しかし、その後コーラやファンタなどで、PETボトルのようにキャップが付いた「ボトル缶」というのが登場します。これだと、普通の缶と同じサイズですからこの機械にも入ります。やはり、プルタブよりもキャップの方がずっと扱いやすいですもんね。
 ところが、最近になって、このボトル缶がどんどんなくなってきているのに、お気づきでしょうか。現に、ノーカロリーのコーラは、もう完全にボトル缶からプルタブ缶に変わってしまいました。メーカーの話では、なんでも、そもそも関西などではボトル缶なんて売っていなかったんですってね。それで、合理化のためにどちらか一方しか製造しないようになったためアンケートを取ってみたら、圧倒的にプルタブ缶の方が支持が多かったんですって。絶対それは違うと思うのですがねぇ。飲み残しも気が抜けてしまいますし。

 でも、新しい機械には、ちゃんとPETボトルも入れられるそうですよ。でも、あれは500mlですからね。300mlのボトル缶が、1回分としては手頃だったのに。
aventure number : 1151 date : 2008/5/7


今日の禁断 DAT

 きのうは、重要な予定が2つも入っていたので、それまでの1週間ぐらいの間は不安な日々が続いていました。特に、朝の予定、胃の内視鏡検査は、かなりストレスが募るものでした。健康診断のつもりでほぼ毎年同じ所で受けていたのですが、ある時から「2年に1回で良いですよ」という医者の言葉に従って、少しそのスパンを伸ばしていました。それでも、さすがに2年まるまる間を空けるのは怖かったので、1年半とか中途半端な間隔で受けるようにしてました。しかし、今回は何かとスケジュールが重なり、検査を受けようというモチベーションが湧いてこなかったので、結局2年の間隔となってしまいました。
 医者がそう言ったのですから、なにも心配することはないのかもしれませんが、私の身の回りには毎年検査していたにもかかわらず悪性の腫瘍が見つかって、部分切除の手術をしなければならなかった人がいましたので、2年も調べていなければ胃の中はどうなってしまっているかは分かったものではありません。そう言えば、最近何となく胃がもたれるような感じがありますし、脇腹が痛いのはしょっちゅうです。この前の検査の直後に出来た腫瘍は、2年近く経って、もはや取り返しのつかないほどに成長しているのかもしれません。
 そんな心配が心のどこかにあるものですから、楽しいはずの連休もどっぷり遊びまくるという気には到底なれませんでした。筍をみんなで掘るのも、もうこれが最後かな、とか。
 そして検査の当日になりました。予約は朝の8時半ですから、15分ほど前には着いていました。大体早めにやってもらえることが多かったものですから。しかし、今回に限って、もう9時も過ぎているというのになにも始まりません。あまりよい兆候ではありません。それからしばらくして、やっと検査は始まることになりました。

 その日には、午後にもう一つの予定がありました。6月に行われる「ヴォーカル・スペクトラム」のコンサートの、ホールとの打ち合わせです。音響や照明など細かいことを担当の人と相談しなければならないので、東京からこのグループを呼んだ本人がやってくるということになっています。その人と一緒にホールへ行って、私も実務の担当として必要なことをチェックしておく、ということなのです。そもそも私はこのコンサートに関してはホームページを作るぐらいで勘弁して頂こうと思っていたのですが、なぜか「会場係」のサブということに、いつの間にかなってしまっていました。そして、責任者であるチーフの人が、東京の人とホールの担当者の双方が都合がよい日に出張が入ったとあって、私が行かざるを得なくなったという、いかにも気の重い役目です。
 でも、とりあえずホールとの折衝は何度かやったこともありますし(喧嘩になったこともありました)、音響関係は私の専門ですから、打ち合わせ自体は滞りなく終わりました。来れなかったチーフや、ほかのスタッフのために話し合いの内容をまとめて送ったりもしました。そんな雑務をこなしていれば、余計なことを考えなくても済みますからね。
aventure number : 1152 date : 2008/5/9


今日の禁断 クラプトン

 私のロイド・ウェッバー初体験となったのは、1973年に公開されたノーマン・ジュイソン監督作品の映画版「ジーザス・クライスト・スーパースター」でした。いったいその映画をどこで見たのか、という記憶は全くなくなっているのですが、その強烈な印象は今でもよくおぼえています。サントラ盤も買いましたし、楽譜までも買って、その音楽には親しみました。ですから、この映画は、字幕なしでも完璧に言葉が分かる(というか、全てが歌詞でセリフは全くありません)という、数少ない私のレパートリーになっています(その他は「ウェスト・サイド物語」と「卒業」でしょうか)。BSなどでも何回か放送されていたので、確かVHSには録画したものがあったはずです。しかし、最近はもっぱらDVDしか見れないような環境になってしまいましたから、それもどこへ行ってしまったのか。と思っていたら、なんとハイビジョンで放送してくれるというではありませんか。早速録画をしてDVDにダビングしました。せっかくのHD画像なのですから、フルスペックで録画しておきたいのはやまやまでしたが、HDの残量も少ないし、ディスプレイを導入する目処も立っていないので、とりあえずNTSCで保存です。ブルーレイを買う頃には、もう1度放送してくれるかもしれませんし。
 確かに、DVDにしてしまうのはもったいないほど、おそらくHD用に新たにテレシネを行った画像は、鮮明そのもの、傷ひとつ見当たらないほどクリアなものでした。最近知ったのですが、あくまでミュージカルの映画化ではなく、その前に出たアルバムを元にして映画を作ったというのが、ジュイソンのやり方だったのだそうです。ですから、砂漠の真ん中にロケ隊が乗り込んでくる、というイントロは、今でも斬新なアイディアとして、引き込まれずにはいられないものとなっています。
 ただ、音声が、新たにマスタリングが行われたのか、今まで聴いていたものとちょっと違うような気がしました。シンガーたちの声が、かなり生々しいのです。つまり、ほとんどリバーブなどがかかっていない、「素」の声が、そのまま聞こえてくるのですよ。ちょっとこれは辛いものがあります。それぞれの歌手、もちろんレベルはかなり高い人たちばかりですが、こんな録られ方をされるとアラが目立って仕方がありません。この音、劇場で聴くとどんな風に聞こえるのか、確かめてみたい気がします。
 そして、これも最近知ったのですが、主役の3人がブロードウェイのオリジナル・メンバーをそのまま起用した、と巷間言われているのは正しくなく、マリア役のイヴォンヌ・エリマンと、カヤパとピラト役がそのままスライドしただけだというのです。これは、オリジナルキャストのCDを注文してみて分かったこと。それによると、映画でイエス役だったテッド・ニーリーは、その時はコーラスの1人でした。

 そのニーリーの歌と演技が、この映画の最大の魅力なのでしょう。その後、彼は舞台にもイエス役で立つようになります。そして、驚くべきことに、彼は今でもイエスを歌っているというのですよ。こちらでその詳細が分かりますが、いってみれば「ジーザス」の全米ツアー、ここで、もう60歳を超えた彼が、タイトル・ロールを演じ続けているというのですから、これは驚異的なことなのではないでしょうか。
aventure number : 1153 date : 2008/5/11


今日の禁断 カラヤン

 定期演奏会が終わると、普通は次の週からは練習が始まるのですが、今回は連休とぶつかってしまったために1週間お休みのあとで初練習となりました。こんなに休んでしまうと、なんだか合奏の仕方も忘れてしまいそう、さらに、定期演奏会のことなどはすっかり昔の思い出になってしまいました。
 家の電球が切れたので、スペアを買いに行ったりと用事を済ませていると、ホールに着いたのはいつもより遅い時間でした。もう椅子並べは終わっていますが、なんだか室内が暗い感じです。どうやら、天井の間接照明の部分が点灯していないようですね。しかし、そのスイッチを入れても、全く点く気配がありません。そこで事務室に連絡を取ってみると、係員が来て「その照明は、使わないことになりました」ですって。まあ、二酸化炭素排出削減かなにかの名目で、極力使用電力を押さえようという浅知恵を働かせたのでしょうね。しかし、我々オーケストラにとっては、これはちょっと困った措置です。こんなに暗いと、楽譜が見にくくなって練習になりませんよ。その事をいうと、「掛け合ってきます」と言って一旦事務室へ帰り、また戻ってきました。なにやら、元の電源を入れたので、しばらくしたら点くはずだ、と言うのです。確かに、それから5分ぐらいしたらいつも通りに天井が明るくなり、やっとまともな練習が出来るようになりました。普段、この会場はダンスなどに使われることが多いので、少しぐらい照明をケチっても構わないだろうという発想があったようですね。次回からは、うちが使うときにはきちんと明るくなるように手配してくれるそうですが、環境に配慮する、という御旗の元に、本当に必要なものまで削ってしまうという考えが蔓延しているのは本当に困ったものです。そのうち、「昔はろうそくで演奏していたではないか」などという人が現れたりしないとも限りません。でも、バッハはそのために失明したのですからね。
 新しい楽譜とともに、新しいメンバーもそこここに見られました。ヴァイオリンあたりはパートが変わって、いつも遠くにいる人が木管のすぐ前に来たりと、なかなか新鮮な感じになっています。今日のところは、まずチャイコフスキーを全曲通す、というのが目標です。
 少しゆっくりめに始めたのですが、1楽章の最大の木管の難所、十六分音符でB-durとGes-durのコードを交互に吹くというところは、みんな大変そうでした。私は、おとといまではちゃんとした指で練習していたのですが、CDに合わせて吹いてみるととても付いて行けないことが分かって、急遽替え指に変更したのでそんなに辛くはありませんでしたが。
 2楽章も、フルートはとても細かい音符のオブリガートが出てきます。それはほぼ完璧にさらったところで、やはりCDに合わせてみると、なんだかそのウィーン・フィルのフルート奏者は入りが早いようでした。私の譜割りが間違っているのかと心配になって、もう1度念入りにさらって、今度はベルリン・フィルの音源に合わせてみると、そのツェラーのものとはピッタリ。どうやらウィーン・フィルの人(誰とはいいませんが)は、休符+3つの音符を、三連符として吹いていたみたいですね。そんなシビアな練習をしておいたので、今日は問題なく吹けました。
 みんなも、何ヶ所かあぶないところがありながらも、なんとか最後まで通ってしまうのですから、確かにニューフィルのレベルは高くなったものです。来週の「アンタール」ではどうなることでしょう。
aventure number : 1154 date : 2008/5/13


今日の禁断 ティーカップ

 この間の練習のあとには、恒例の懇談会がありました。「懇談会」というよりは「反省会」と言った方が良いような話し合いなのですが、定期演奏会までの練習を謙虚に振り返り、今後の取るべき道を模索する、みたいなものでしょうか。その話を録音しておいて、それを議事録に起こすのが、私の役目です。もちろん、それはそのまま「かいほうげん」のコンテンツとなります。それを聴きながらタイピングをしていると、その時の模様が蘇ってきました。なかなか過激な発言をしている人もいたなぁ、とか。いや、実は私自身もかなり過激なことを、つい喋ってしまいました。最初はパート内で欠席する人が多かったことを謝ろうと思っていたのですが、前に発言した人が、「代奏を立てれば済むことではない」とズバリ言い切ってくれたものですから、常々そんなことも感じていたこともあって「自分のパートを全うできなければ、オケにいる意味はない」などと言ってしまいました。そのくせ、今回は私自身が派手に代奏を頼んで東京に行ったりしていたんですけどね。
 まあ、今時フルートでオーケストラの中で吹くことが出来るなんて、非常に幸運なことであるのは、しっかり自覚しておかなければならないことです。入りたくても入れない人のことを考えれば、そもそも練習を休むことなどはできないはずだ、ぐらいの気持ちを持たなければいけないということを、実は自分自身に言い聞かせたものだ、と受け取ってください。
 しかし、中には、今まで例えば岩手県でオーケストラに入っていたのだから、仙台に転勤してきたらそこのアマオケに入れるのは当然だ、みたいな乱暴な考えを持って生きている金管奏者などもいたりします。そういう人に限って、入ったは良いけどまわりと馴染めないで辞めさせられたりするものです。そうなると、その人は逆恨みで、そのオケのことをあることないこと「2ちゃんねる」に書き込むとか、最初から入団をお断りしたうちの掲示板にも、「そんなオケとリンクしているなんて、良識を疑う」などというとんでもない書き込みをすることになります。そういう人が「良識」などと口にすること自体が不思議なのですが、それが分かっていればそもそもトラブルなど起こすことはなかったのでしょうね。その投稿は毎日繰り返されました。その度に削除しているのが面倒になってきた頃、ちょうどタイミングよく、その掲示板のサイトがパスワードの変更の手続きを要求してきました。なんでも経営母体が変わったので、新たなパスワードを設定して欲しいというのです。常々この掲示板には不満がありましたし、別にちゃんと認証がきいて外部の人がアクセスできない掲示板もきちんと運用されていますから、もはや業者の宣伝以外の書き込みはなくなってしまったこの掲示板は、なんの必要もありません。即刻、キャンセルして、削除してしまいました。今回掲示板を廃止したのは、そんな偶然が重なった結果だったのです。
aventure number : 1155 date : 2008/5/15


今日の禁断 伊達政依


 84万のキリ番がでたのは、午後1時頃だったでしょうか。それはともかく、今年の筍は、当初思っていたほど軟弱なものではありませんでした。最初の頃こそあまり生えてこなかったので、恒例の「筍掘り大会」の開催も危ぶまれたのですが、連休後半にはなんとか生えそろい、盛大に掘りまくったというのは、ご存じの通りです。例年ですと、その頃掘り尽くしてしまえばあとはもう出てこないものなのですが、今年は違いました。あれだけ掘ったというのに、まだまだ出てくるのですよ。お陰で、余計な竹が伸びないように、毎日それを掘ってしまうという作業を続けなければなりませんでした。その時期のものは、もはや新しいものでもちょっと食べてもおいしくないほど固くなっていますからね。
 ところが、きのうそんな作業をしていると、1本だけ、シーズンはじめに採れるのと変わらないようなずんぐりした形の筍が見つかりました。こんなおいしそうなの、捨ててしまうのはもったいないのでそれだけは持ち帰って下茹で、さっき皮を剥いてみたら、ほんとに柔らかそうな実でしたよ。「青葉祭り」のすぐ前だというのに、こんなこともあるんですね。
 というわけで、例年だととっくに筍のシーズンは終わった頃に開催されるそのお祭りが、今日から始まりました。明日は青葉神社から御神輿を運び出すパレードも行われるはずです。
 ところで、そんなかつての城下町だった仙台を思い起こすようなお祭りで主役を演じるこの青葉神社、実はその時代にはまだ出来てはいなかった、という「トリビア」は、ここを訪れる方でしたら先刻ご承知のことでしょう。この神社は明治時代になってから作られたものだ、ということを、幾度となくここに書いておきましたからね。そして、城下町の時代は、このあたりには「北山五山」というものが山並みにそびえていた、ということも、ご存じのことでしょう。そもそもの起源は、まだ伊達家が福島にあった頃に、「京都五山」や「鎌倉五山」を模して、「伊達五山」というものを作ったことによります。それぞれ伊達家の開祖付近の人物を祀るために造ったお寺がちょうど5軒あったので、それをまとめて、そのように呼んだのです。
 伊達家が仙台に移ってきたときに、このお寺たちも仙台に移転、北山の地にそれぞれ伽藍を展開したので、それ以来「伊達五山」は「北山五山」と呼ばれるようになりました。それは西から資福寺、覚範寺、東昌寺、満勝寺、光明寺という臨済宗のお寺だったのですが、程なく満勝寺だけは北山から新坂通りへ移転したために、そこは外し、代わりに資福寺の西にあった曹洞宗のお寺、輪王寺を加えて、新たに北山五山と呼ばれるようになりましたとさ。というのが、現在広く知られている「北山五山」の概要なのですが、実はこれはなんの根拠もない風説、「ガセビア」だったのです。場所は変わろうが、満勝寺は今でも北山五山のメンバーですし、そもそも「五山」という考え方は臨済宗に限られたもの、曹洞宗の輪王寺としては、そんな風に呼ばれても当惑するばかりなのかもしれません。
aventure number : 1156 date : 2008/5/17


今日の禁断 手抜き

 今では年賀状に使うことも殆どなくなってしまった「プリントゴッコ」という印刷機がありましたね。いえ、実際は今でもちゃんと販売されているのでしょうが、ひところの勢いはもうありません。逆に、これだけのパソコン年賀状が広がっているご時世に、よく頑張っているな、という気がするほどです。
 しかし、いつぞやも書きましたが、私の職場ではこれはなくてはならないアイテムです。しかも、ハガキ用のものではなく、もっと大きなB5までの大きさで印刷できるという、今時は普通の文房具屋さんなどには絶対売ってない代物です。これを使って、お土産用の紙袋にうちの職場の名前などを印刷する、というのが、何年かおきの私の仕事になっています。まとめて1000枚ぐらい作っておくと、しばらくはもつものですから。
 こういう珍しいものは、消耗部品などの入手も大変です。原紙となる「マスター」も、この大きさのものはお店には売ってませんから、この日に備えて注文して取り寄せておきました。その他のインクとかライトなどは、まだ普通に買えますので、大丈夫です。仕事の前の日に、買っておきましょう。
 必要なものは全部揃ったので、いよいよ印刷開始です。まず、原紙を作らなければなりません。ライトを4個セットして、電池も前に1回使っただけのものがありますから、それを装填、下に原稿を置いて上からおさえると・・・ん?ライトが光りませんね。これは、前にも経験したことがありますが、まだ使えそうでも電池の電圧が少しでも落ちているとだめなのでした。仕方がないので、コンビニで買ってきましょう。
 新しい電池に買えたら、難なく原紙は出来ました。あとはマスターの間にインクを挟んで、その裏に圧着用のパッドを取り付けます。これは発泡ウレタンが貼ってあるものなのですが、触ると弾力がなくなっています。もう新しいものに買い換えた方が良いのかもしれませんね。
 あとは、ひたすら白い袋を置いた上にマスターを押し当てる、という作業の繰り返しです。ただ、問題は、このインクがなかなか乾かないので、出来たものを重ねて置いておくことが出来ないと言うこと、ですから、広い書院に来て作業をしています。出来たものを畳の上に広げておくのですね。
 そのうち、インクが薄くなってきたので、詰め替え用とマスターとパッドを外そうとしたら、パッドが張り付いています。剥がすと、ウレタンが見事にマスターにくっついていました。もうこれでは使い物になりません。あとはだましだまし、なんとか作業を続けます。
 と、ここはちょっと母屋から離れたところにある部屋なので、誰も来ないはずなのに、なんだか人が歩いているような気配がしますよ。注意していると、どうやら天井裏を動物が走り回っているようですね。そういえば、だいぶ前に天井の電気配線を点検したときにハクビシンがいるようだ、と教えてもらったような気がします。これだけ走っているのですから、おそらく間違いはないでしょう。今のところ、ここにいるだけのようなので実害はないようですが、いずれ駆除しなければいけないでしょうね。

 間にお昼が入ったので、一休みしてあとで再開してみると、インクが固まってしまったのでしょうか、うまく印刷できないようになっていました。前はこんなことはなかったようなのですが、インクを改良して乾きやすくしたのでしょうか。そういえば、さっき印刷したものは殆ど乾いていました。前は一晩おいておかなければならなかったような。仕方がないので、もう1枚マスターを作って午後の部のはじまりです。
 今回も1000枚作って、作業は終わりました。ネットで調べてみたら他のものは交換部品が手に入るのに、マスターパッドだけは売ってませんでした。次に印刷するときには、いったいどうしたらいいのでしょう。
aventure number : 1157 date : 2008/5/19


今日の禁断 ファゴット

 きのう練習に行ったときには、ホールの中は別に暗くはなかったので、先週の約束通りニューフィルが使うときにはしっかり天井の間接照明を点けてもらえるようになったのでしょうね。考えてみたら、もう20年以上もここを使っているわけで、おそらく今使っているグループの中では最古参のはずでしょうからね。
 そのうち、新鮮な顔ぶれが、「おはようございます」とか言って、ホールに入ってくるというのも、なんだか良い感じ、管楽器にも、大学を出たばかり、いや、正確には「学部」を出たばかり、という人が2人も入ってきましたから、弦楽器の3(4?)人と合わせて、かなりの力を持つ勢力となっています。平均年齢もだいぶ下がったことでしょう。実は、この人たちの大部分とは、私は同じステージに立ったことがあるのですよ。それは、去年の8月に行われた「100周年記念演奏会」、この大学のオーケストラと、現役、OBを合わせた合唱団とが合同で演奏するというものでした。もちろん、私は男声合唱団のOBとして参加していました。1度などは、オーケストラの練習場に「取材」にお邪魔して、写真を撮ってきたたこともありますから、この人たちはなんだか仲間のように感じられてしまいます。実際に、ヴァイオリンの人に聞いてみたら、私が練習を見に行ったことをおぼえていてくれたりしましたしね。
 そこで、一番新しい木管の人が、そのコンサートに出ていたかどうか、ちょっと確かめてみようと、その時のDVDを見直してみることにしました。これを作るまでには、サンプルなどを何度もチェックしていたのですが、実際の製品をきちんと見たことはありませんでしたし。そうしたら、その彼は確かにオケの中で演奏していました。ただ、ヴァイオリンの人は人数が多いのでちょっと・・・。1人だけ、前半のステージでセカンドのトップサイドにいたのがそうではないかと思うのですが。そうだとすると、この画像にはニューフィルの団員が3人入っていることになります。

 練習の方は、いよいよ「アンタール」の初合わせとなりました。なんたって仙台初演は間違いのないところですし、アマチュアでこれを演奏するのも日本で何番目ぐらいの貴重なレパートリーということになりますから、これはかなり画期的なこと、仙台で初めて生「アンタール」が音を出した瞬間を体験するのですからね。とは言っても、まず楽譜がものすごく見づらいものであるため、かなりの混乱は予想されていました。なにしろ、小節の休みが「1」なのか「4」なのかさえ判別できないものなのですからね。ですから、とてもチャイコフスキーのように何ごともなく最後まで通る、などということはあり得ません。指揮者も、「これは『三角帽子』より手ごわいかも」などと弱音を吐いてますし。それでも、なんとか最後まで行って、それぞれに課題が明らかになったことでしょう。私の場合はピッコロ担当なので、意外と指は簡単だったのが収穫でした。ただ、「音」に関しては間違いなくあと一ランク上を目指す必要が出てきたな、という感じです。まだ半年もあるから、大丈夫でしょう。
aventure number : 1158 date : 2008/5/21


今日の禁断 記念講堂

 今年も「せんくら」は10月の連休に開催されるそうですね。しかし、この日はあいにくニューフィルの定期の1週間前、しっかり指揮者練習の予定が入っていますから、どうせ行けないと思って最初から関心はありませんでした。最近になって早々と案内のチラシなどが出回ってその概要が分かってくると、なかなか面白そうなものが見つかってきます。去年聴きに行った山下洋輔が今年も出演しますし、そのコンサートに飛び入りで出演していたはずの茂木さんも、「初出演」などと紹介されていますよ。スケジュールが合っていれば、ここで茂木さんに「指揮」されるのはニューフィルだったはずなのですが、なんせ定期演奏会の予定がすでに固まっていたので、別のアマオケが出演することになっています。内容を見ると、やっぱり「のだめ」みたいなコンサートのようですから、引き受けなかったのは正解だったのかも。
 他の出演者を眺めていると、なんと高橋悠治などという名前があるではありませんか。こんなすごい人が来るなんて、初めて知りました。「冬の旅」とあったので、もしや斎藤晴彦か、と思いましたが、歌手は岡村喬生、まだ歌っていたんですね。このコンサートのコメントが「2人合わせて140才」などというとんでもないものでした。誰が書いたのか知りませんが、ちょっと悲しくなるようなコメントです。まあ、輸入CDに日本の業者がつけるコメントに比べれば、こんなひどいものでも許せる気になりますがね。それはともかく、仙台で悠治が聴けるなんてすごい!と興奮してみても、日程を見ると、どう頑張っても絶対に行けない時間帯ですから、あきらめるしかありません。今回の定期はほぼ全乗りですから、降り番の時間もありませんし。
 それでも、12日の7時過ぎとか、13日のものはなんとか聴けますから、リストアップして、「友の会」の特典の先行発売に行ってきました。といっても、実際に行ったのは愚妻なのですが、そこで同じ「ぴあ」なのに、お店によって全く対応が違っていた、と憤慨して帰ってきましたよ。去年までは1人で一度に何種類でもチケットを買うことが出来たのですが(それで、去年私はひどい目に遭いました)、それはやはり他のお客さんに迷惑だろうと、今年からは2件しか買えないようになっていました。それはそれでいいのですが、なんと、そこで指定席なのに席が選べないようになっていたというのです。なんでも、最前列の端から機械的に割り振っていたのだとか、それでは、朝早く出かけていって並んだ意味がありませんよね。というか、そもそも「指定席」というものの意味がなくなってしまいます。
 それは「藤崎」での対応、ところが、そんな最前列しか買えないのでは仕方がないと、「エスパル」に行ってみたところ、そこでは全く自由に席を選ぶことが出来たというのですから、驚いてしまいます。いったいこの催し物の事務局は、プレイガイドに対してどのような指示を出していたのでしょうね。
 これで、この連休はびっしり予定が入ってしまいました。実は、最初の日に合唱関係の予定もあったのですが、もちろん、ニューフィルの指揮者練習をサボることは、私には考えられません。
aventure number : 1159 date : 2008/5/23


今日の禁断 エルトン・ジョン

 「ヴォーカル・スペクトラム」の本番まであと2週間を切ってしまいました。やはり知名度の低さはいかんともしがたく、チケットの売れ行きは芳しくありません。というか、かなり悲惨です。コーラス好きの方でしたら、絶対聴いて損はしませんから、ぜひ、いらして下さいね。6月6日、電力ホールで7時開演です。当日券もありますが、ネットで予約して頂くと、前売り券の値段(500円オフ)で買えますので、ご利用下さい。
 そんな臨戦態勢の中、きのうスタッフによる細かい打ち合わせがありました。場所と時間はメールで回ってきたのですが、そこには「○○ホテルのロビー」とありました。実は今はそういう名前のホテルはなくなっていて、実際には「エクセルホテル○○」というのですが、他にそういう名前の付くところでちゃんとした「ロビー」をもっているところはありませんから、そこに間違いないでしょう。おそらく、「ロビー」というのも、ロビーの続きで一段低くなっている「ラウンジ」のことでしょうし。
 約束の時間より少し早くホテルに行ってみると、まだ誰も来ていませんでした。それよりも、肝心の「ラウンジ」の前に、なんだか門のようなものが出来ていて中に入れないようになっています。そして、「○時より結婚式が行われるため、貸し切りになっています」などとも書いてありますよ。確かに、そこには椅子がたくさん並べてあって、まるで教会のようなセッティングになっていますし、牧師さんのような人もウロウロしています。さらに、その入り口からロビーに向かって絨毯が敷いてありますよ。これが、おそらくバージンロードになるのでしょう。会場を指定した人は、こんな予定があることなど知らなかったのでしょうね。
 とりあえずロビーには空いた席があったので、そこで打ち合わせをはじめることにしました。そのうち、華やかなドレスの若い女の子などが集まってきて、どうやら結婚式が始まる雰囲気になってきました。花婿っぽい人が中に入っていって、ウェディング・ドレスの花嫁が、おそらく父親と一緒に、さっきのバージンロードの前にスタンバイしています。我々は別にどいてくれとも言われないので、そのまま打ち合わせを続けていますが、なんとも居心地の悪い思いです。
 そして、牧師さんのMCで結婚式は始まりました。賛美歌を歌ったりと、普通の教会の結婚式そのものです。最近はこんなオープンな式もあるようですから、なかなか楽しい体験となりました。
 その式の中では、ソプラノの歌手の人が2人、場面によって色んな歌を歌って、座を盛り上げるという進行でした。その中で、ヘンデルの「私を泣かせて下さい」が歌われたのには、ちょっと驚いてしまいました。だって、確かにきれいな曲ではありますが、これが「リナルド」の中で歌われる場面というのは、捕らわれたお姫様が婚約者以外の男に結婚を求められて、それに抵抗して歌う、という、全面的にハッピーな歌ではないのですからね。でも、他の人の話を聞いてみると、どうやらこの曲は最近の結婚式の定番なのだそうです。あまり固いことを言うことはないのかも知れませんがね。何と言っても、昔から誰も疑うことのない定番中のの定番、ワーグナーの「結婚行進曲」だって、結局そのカップルは次の日には別れてしまうのですからね。
 もう1曲、これはオルガンだけでホルストの例の「惑星」のテーマによる聖歌「I Vow To Thee, My Country」が演奏されていました。この曲、確かにダイアナ皇太子妃の結婚式で使われたものですが、同時に彼女のお葬式の時にも歌われたものだ、というのは、考慮しなくてもよいのでしょうか。
aventure number : 1160 date : 2008/5/25

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