1021(07/8/22)-1040(9/29)

今日の禁断 わかめ

 前回で、「100周年」のリハーサルの様子がテレビで放映されたことをお伝えしました。そこから、放送局のサイトにリンクして、ストリーミング配信でその内容は見ることが出来るようになっています。これは、「100周年」の公式サイトでも同じようにリンク、仲間の間でも見ることが出来るようにしました。ただ、これはあくまで見ることしか出来ないもので、普通のDVDのように、画像としてキャプチャーすることは出来ないようになっています。例えば、映像を一時停止して「プリントスクリーン」でモニターの画像を保存しようとしても、まわりのものは全てコピーできても肝心テレビの画面は真っ黒になっているのですよ。ですから、画像を残そうと思ったら、実際に録画したDVDなどを使うしかありません。私が録画するのを忘れたために、だれか他にいないかと思ってあちこち聞いてみたら、1人だけきちんと録画していた人がいたので、その人(仮にHさんとしておきましょう)からDVDを頂くことにしました。
 別に急がなかったのですが、Hさんは昨日ちょうど旭ヶ丘に来る予定があったということで、市民センターの前で待ち合わせて現物を受け取ります。その時にHさんが言うには、私がリンクした映像と、彼のDVDとは違っているそうなのです。自宅で見た時には自分は映っていなかったのに、ストリーミングの画面にはちゃんと入っていると。
 これについては、ちょっと思い当たることがあったので、家で両方を比べてみると、確かに思った通り、ストリーミング映像は地デジ仕様のハイビジョンのワイド画面、頂いたDVDは3対4の地上波仕様だったのです。これだと端に写っている人は1人ぐらい切れてしまいます。そして、Hさんはまさにその「端の人」でした。だれか、地デジで録画していた人はいないでしょうかねぇ。
 練習の方は、お盆休み開け、集まりが悪いのかと思いきや、近年にないほどの弦楽器の参加者で、ちょっと驚いてしまいました。やはり、弦は人数が揃ってこそのものですね。3楽章の最初の部分のファーストの細かいニュアンスも、これだけいればきちんとそれが出せるようになるのですから。
 休憩時間に机の上になにやら「お土産品」が積み上げてあったのは、この週末に酒田で開催されたJAOのフェスティバルに行ってきた人が持ってきたものでした。酒田名物でしょうか、海産物だけでまとめたお煎餅の詰め合わせなどが、ウケてました。7人も参加してきたので、原稿が楽しみです。最初に届くのは、誰のでしょう。
 そろそろ本番モード、チラシの画像などもまわってきたので、ご覧下さい。担当の響パパは例によってこの中になにかを隠し込んでいるそうなのです。分かりますか?
aventure number : 1021 date : 2007/8/22


今日の禁断 坂本サトル

 「100周年」に関係して、河北新報が特集号のようなものを出していましたね。記念祝典に向けて、大々的に宣伝をしようということなのでしょう。大学の100年の歴史やさまざまな業績を紹介するのはもちろんですが、なんと言っても目玉は明日とあさって片平キャンパスで開催される「祭」です。野外コンサートも開かれるそうで、出演するアーティストの紹介にも余念がありません。なぜか、「さとう宗幸」などという、この大学には縁もゆかりもないもない人がメインなのが笑えます。もしやと思いながら、目を皿のようにして隅々を見てみたのですが、あさって行われる「市民コンサート」のことには、全く触れられてはいませんでした。インターネットのレベルでは、やっとこの「祭」と同列に扱われるようになったので、少しは期待をしていたのですが、やはり活字メディアではこの仕打ちでした。
 でも、そんな理不尽な目に遭ったからといって、黙って引き下がるような私達ではありません。なんでも、明日は「祭」の会場に乱入して、みんなで宣伝活動やチケット売りをやろうじゃないか、ということになっています。ほとんどやけっぱちのようにしか見えませんが、これが冷たい仕打ちに対する精一杯の抵抗です・・・なんちゃって。
 現実にお客さんが入るかどうかはその日にならなければわかりませんが、私が担当しているオンラインチケット予約に関しては、このところ毎日のように申込みが続いていました。ほとんど来ないのではないかという予想は見事に外れたことになります。結局20人以上の人が自由席にもかかわらず予約してくれたのですから、これはなかなかのものだったのではないでしょうか。地域的にも、北海道や山梨、愛知などという遠隔地からはるばる聴きに来るという人がいるというのも、すごいことです。
 もうあとは当日券でも対応できるので、早々と申し込みを締め切って、受付のための準備をします。当日の受付の様子は一体どういうものなのか私には皆目見当が付きません。そこで、全く経験のない人がやらされても間違いなく処理できるような方法を考えているところです。多少手間はかかりますが、申し込んだ人の分だけ封筒を用意して、そこに名前と枚数と金額を印刷しておくのです。そこにチケットを入れておいて、もらった代金をそのまま同じ封筒に入れておけば、絶対に間違うことはありません。どうですか?
 そんな仕事と同時進行で、ニューフィルの仕事もやらなければなりません。そろそろチラシとチケットの印刷が出来上がるという情報が入っていたので、大急ぎで企画書を作っていたら、もうきのう現物が出来てきたので、今日の午前中には全てのマスコミやフリーペーパー向けの発送が終わっていましたよ。
 前回ご紹介したチラシも、印刷されたものを見たら、「隠し映像」がはっきり分かりました。バックのいかにもイギリスを思わせる石畳の中に、なぜか日本人の老婆がうずくまっている姿が見えてはきませんか?そう、ちょうど日付が入っているあたりです。このお婆さんの名前は「石田 たみ」。
aventure number : 1022 date : 2007/8/24


今日の禁断 ホロホロ

 いやあ、どうなることかと思った「第9」の2回公演、何とかやりおおせました。まず心配だったのがお客さんの入り具合でした。当初の見込みが大幅に外れて、もろに大学の行事とバッティングしてしまったものですから、チケットも1回公演で十分間に合うぐらいの枚数しか売れてはいませんでした。ですから、間際に必死になってPRに努めた結果がどの程度まで聴衆増につながるのかが、もっとも懸念されていたのです。しかし、蓋を開けてみれば、いちおう外見上はそれは杞憂に過ぎないことがわかりました。これが昼の部の客席、

そして夜の部です。

 ぱっと見、1階席はほぼ満席のようです。実際はオケの陰になっている前の方の席はガラガラだったのですが、昼の部で1000、夜の部でも700ぐらいは入っていたそうなのです。ですから、これはニューフィルのお客さんの上限と下限ぐらいの数、2回やってそれぞれそのぐらい入ったのですから大したものです。
 とりあえず、今日はここまで。もう少し細かい報告は、明日の国際センターでの式典のあとの演奏が終わってから、また。
aventure number : 1023 date : 2007/8/26


今日の禁断 ミラーボール

 たびたびお伝えしている、私が出た大学の「100周年」、きのうがその最大のイベントと言える「記念式典」の日でした。会場は川内にある国際センター、世界的な学会や国際会議などがよく開催されるVIPの集まるスポットです。そんな場所に私のような下々のものが立ち入ることなど、本当は出来ないのですが、この日は堂々と正面玄関からタクシーで乗り付けます。そう、私達は、その前の日に世界初演を行ったこの「100周年」のための新しい曲を、その式典の最後に歌うべく、この晴れがましい場所に集結したのです。
 この式典は、なんせ100年に1度のイベントですから、主催者としては力が入っていたことでしょう。進行に手落ちがあってはいけませんから、そういうことにかけては専門、数多くのイベントを手がけている業者に協力を仰ぐことに余念がありません。音声、映像とも、経験を積んだ業者ならではの最新の機材を駆使して、最高のものをお届けしようとする意気込みが、伝わってはきませんか?

 国内のみならず、外国からもこの式典のために数多くの重要人物が参加しています。そんな人たちを前にしての演奏ですから、落ち度は許されません。出入り1つにしても、入念なリハーサルが用意されていました。それを仕切っていたのが、この人物です。

 ○×(まるばつ)エンタープライズとかいう、そのイベント会社の、ディレクターか何かなんでしょうね。まるでテレビの世界から抜け出してきたような、口ひげを生やし、髪をオールバックに決めたこの男は、業界用語を駆使して、その場にいた全ての人たちを、自分の意のままに操ろうとしていました。この男にとって誤算だったのは、ここに集まっている人たちは、決してその様な「業界」には馴染むことのない、ごく普通の市民だったということです。彼が流暢な口調で、まるで自己暗示にかかっているように「スマートな」言葉を発しても、それがそこにいる人たちに伝わることは、決してなかったのです。私達合唱団員が一様に抱いたのは、「この男、一体なにを言ってるんだ?」という、疑惑の念です。しかし、自分の発する言葉にすっかり酔いきっているこの男には、そんな思いなど伝わるはずもありません。ほとんどその男の言うことは無視して、今まで何度もトレーニングを行ったことを実行した結果、場面転換として用意された場つなぎの映像の尺「8分」に十分収まる、「6分」で、私達は見事に「式典」のステージを「コンサート」のステージに作り替えてしまったのです。
 リハーサルが終わって、長い長い時間、私達は控室で待機させられました。あれ程周到な準備をしていたにもかかわらず、式典の開始が30分も遅れてしまったというのです。いちどきに殺到した来賓を、受付がさばききれなかったのだと。実は、その受け付け、始まる前にちょっと目にしていたのですが、ちょっとこれでは混乱は避けられないと、感じていました。この配置ではとても大人数には対応できないことは、長年同じような受付を経験してきたものには、即座に分かってしまいます。この辺の段取りを仕切ったのも、もしかしたら「まるばつ」エンタープライズだったのかもしれませんね。
 式典も最後に近づいたので、ステージ裏に移動です。ここには楽屋があるのですが、そこにはその日に「表彰」を受ける各分野の「功労者」の「文化・芸術」部門での受賞者、小田和正の部屋がありました。もしかしたら本人がここに帰ってくるのではないかとカメラを用意していたのですが、結局撮れたのはこの名札だけでしたが。

 私達の出番は、「祝典曲」のあと、「青葉もゆる」で締めくくられました。しかし、そのあとで「まるばつ」が用意した段取りの、ダサいこと。ステージも客席も真っ暗にして、ビートのきいた音楽が聞こえてきたかと思うと、そこにはまるで場末のキャバレーのような下品な照明が舞っていたのでした。このイベント屋さんは、絶対なにか勘違いをしています。少なくとも私には、これが世界の叡智を集めた大学の100周年を祝う式典の最後を飾るのにふさわしいものであるとは、全く思えませんでしたよ。100年後にはこんな失態を演じないように、今回のことを教訓として生かして欲しいものだと、真面目に考えてしまった自分が笑えます。
aventure number : 1024 date : 2007/8/28


今日の禁断 チューバ

 今回の演奏会では、「第9」をオーケストラではなく合唱の側から経験するという、非常に得難い体験をすることが出来ました。そうなってくると、今までは決して分かることのなかった、こういう曲の中での合唱の立場というものが、実にはっきり見えてくることになります。もしかしたら、オーケストラだけやっていたのでは一生気づくことのないようなことにも気づかされることになったのかもしれませんね。
 今回まず問題になったのは、合唱の場所でした。私などは毎年えずこホールで「第9」を演奏していますから、合唱団がどのように並んでいるのかはよく知っています。あの狭いホールに、まず合唱団がきちんと座って待っていられるだけのスペースを作った上で、ステージを前に継ぎ足してまでして、オーケストラを乗せていたのですよね。ですから、この県民会館のだだっ広いステージだったら200人ぐらいの合唱など、楽々オーケストラの後ろに入るはずだと私あたりは考えていました。もちろん、ちゃんと座って待つだけのスペースを確保した上でです。実際、少し前にはここで「第9」をやっていたのですからね。あの時は、合唱は100人ちょっとでしたが、別に窮屈な思いもせず演奏できたはずです。両サイドはまるまる空いていましたし。
 あのころの写真を探していたら、ちゃんと、その時の山台の写真が見つかりました。

 このように、しっかり山台を組んだ上に、合唱用のひな壇を乗せていたのですよね。きちんと椅子も並べて、歌い始めるまでの間は座って待っていられるようにしていました。
 ところが、今回は最初から「とてもステージには乗り切らないのではないか」という声が聞こえていたのです。全員が乗ったのなら、それは奇跡、もちろんそうなるためには、合唱は立っているしかありません。長年このホールを使っている私には、絶対そんなはずはない、合唱が座っても十分乗るはずだ、と思えるのですが、そんな声には耳を貸そうとせず、担当者はひたすらあせりまくっていました。場合によっては指揮台だけ少し客席に迫りだそうとか。
 実際にステージのセッティングをしたのはオーケストラの人たちですが、リハーサルに行ってみると、なんと合唱はベタに立つようになっているではありませんか。オーケストラもベタ、最後列に薄い山台が敷いてあるだけです。と言うことは、合唱の最前列はオーケストラより1段下がったところになってしまいます。なんでも、県民会館の担当者が、山台を組んだ上に合唱を乗せることは出来ないと言ったのだとか。そんなこともあるのですね。ほんの6年前には出来たことが、今は出来なくなっているなんて。もし、もう1度合唱の入る曲をニューフィルがやることになった時、どういう対応をするのか、楽しみです。なにしろ、前の楽器が構えると、指揮者が見えなくなることもたびたびでしたから。
 結局、オーケストラの前はかなり余裕が出来てしまい、指揮者などは楽々ヴァイオリンの前を歩いてこれるぐらいでした。これを前に出しておけば、合唱が座るスペースなど簡単に出来たはずなのに。
 その結果、「第9」の前半はステージ裏に待機していなければならなくなった合唱団は、こんな風にまるで難民のように床に座らざるを得なくなってしまいました。この時ほど、オーケストラのメンバーをうらやましく思った時はありません。なんせ、彼らはどんな時でも椅子に座っていられるのですからね。

 もし、ニューフィルでこんな事態になりそうになったら、なんとしても合唱の方のために座る場所を確保してあげようと、固く心に誓う私でした。
aventure number : 1025 date : 2007/8/30


今日の禁断 ブリジット

 日本のテレビドラマって、どうしてあんなにつまらないのでしょう。東北大学から100周年記念の表彰を受けた小田和正がテーマ曲を歌っている(余談ですが、この大学がこのアーティストを表彰した意味が、私にはさっぱり分かりません。彼がこれほどまでに高名なミュージシャンになるにあたって、大学が関わった要素というのはなにもないのではないでしょうか)朝の連続ドラマなどは、いつぞやの仙台を舞台にしたドラマ(「○花」でしたね)に劣るとも勝らないひどい出来なのではないでしょうか。旅館の女将を目指す女性の逞しい生き方を描いているのだそうですが、その「女将」というのが、なんとも不思議な設定になっているんですね。そもそも「女将」というものは、宿屋の主人の奥さんあたりが自動的になるものなのではないでしょうか。この主人公は、最初のうちはそういう資格がないにもかかわらず、「女将修行をさせて下さい」と言っていたのですからね。結果的には旅館の跡継ぎと結婚したからよかったものの、一時は「結婚しなくても女将を目指します」なんて無茶苦茶なことを言っていたんですよ。こういう、最低の設定の甘さが丸見えのドラマには、どうしても入り込むことは出来ません。
 ですから、私が見るのはもっぱらアメリカあたりのドラマに限られてきます。これだと、いくらデタラメなことをやっていても、とりあえず外国人が演技をしているというだけでなにもかも許せる気になってしまいます。それと、なにより面白いのが、あちらのドラマの作り方。前もって回数が決まっている日本のものとは全く違っていて、評判が悪ければ即刻打ち切り、その代わり面白ければいくらでも連続して制作されることになりますから、その辺の辻褄の合わせ方がとてもスリリング。前もって準備されたものではないだけに、そのデタラメさ加減が逆にとてつもないエネルギーとなって現れてくるのですよ。

 今一番気に入っているのは「ミディアム」という、超能力を持った女性が主人公のドラマ。その能力を生かして、検事局で捜査に協力しているという設定ですが、殺伐とした捜査の謎解きだけではなく、3人の女の子の母親でもある主人公の家庭を巡るエピソード(娘たちにも超能力が備わっています)がとても暖かく描かれていて、心が温まります。こういう脚本を見ていると、あちらのものの水準の高さが思い知らされます。2番目の女の子が、すっごく可愛いんですよね。
 これはWOWOWで放送されているのですが、珍しいことに吹き替えではなく字幕スーパー付きの原語です。主人公の独特のまったりとしたしゃべり方が、これだとよく分かります。ところが、たまにこれが吹き替えに変わることがあるのです。初めてそれを見た時にはまるで別のドラマを見ているような気になりました。それぞれのキャラが、英語の時と全く変わって見えてしまうんですよね。
 調べてみたら、これは初回放送の時には字幕、再放送の時には吹き替えになっていることが分かりました。どちらでも構いませんから、是非一度ご覧になってみて下さい。
aventure number : 1026 date : 2007/9/1


今日の禁断 ウィーン

 ニューフィルの定期演奏会の企画書を発送したのは10日ほど前のことでした。あの時には発送に必要なチラシしか預かってこなかったので、それを送ってしまったら私の手元には現物が1枚も残りませんでした。そのあとコンサートの本番とか、レセプションがあったのですから、その時に何枚か持っていけば効果的な宣伝が出来たものを、と、後になってから後悔しているところです(先に後悔する人は殆どいませんが)。
 しかし、今では大量のチラシと、そしてポスターが車の中にいつも積んである状態になっています。おととい、50枚ずつ袋に詰められたチラシと、ちゃんと丸めて持ち運びし易いようになったポスターを段ボール箱一杯に預かってきたのですよ。そう、これは恒例のポスター貼りのためのものです。さっそく昨日の日曜日には、久しぶりになんの予定もなかったので町に出かけて、その途中で5箇所ばかりに配ってきたところです。
 最初にメディアテークに行ったらば、なんだか不思議な格好をした人がたくさんその辺をうろうろしていました。かぶり物をかぶっている人もいます。なにやら、パフォーマンスだったようですね。実は、入り口に「今こんなことをやっていますので、ご協力下さい」みたいなことが書いてあったのですが、誰もそれを読んではいなかったようで、ひたすら「なにが起こっているんだ」という素振りを見せている一般の人がたくさんいました。私などは、そういう人を見ている方が面白かったぐらい、もしかしたら、このパフォーマンスの目的は、そういう人を見て楽しむところにあったのかもしれませんね。それはともかく、2階の図書館に行っていつものようにポスターとチラシをお願いした時の担当者が、全く使えない人だったのには参りました。いかにも無能そうなメタボの男(いえ、別にメタボだから無能だというのではありませんが)は、最初からやる気の無さを全身でアピールしていたのです。「チラシは30枚しかお預かりできないんですよ」と、今まで聞いたことのないようなことを言い出したので、「それって、最近変わったんですか?今までそんなことを言われたことはありません」と、ちょっと攻撃的に迫ったら、とたんにオドオドし始めて、「それでは、全部お預かりして、30枚だけ置かせて頂くということで」などと、すごすごと引き下がりましたっけ。どうも、この施設は当初から相性がよくありません。
 それに比べると、博物館はいつ行っても気持ちのよい対応です。今回も、満面に笑みを浮かべたあまりきれいではない職員が、自分の名札を示しながら「○○が承りました」と元気よく答えてくれましたよ。
 そういえば、この前にチラシ配りをしたのは、東京のコンサートに腰が痛いのを我慢して行ってきた直後だったことを、その腰の痛みとともに思い出しました。半年間で、全く不自由のない体に回復したのは、有り難いことです。本当に、あの時はどうなることかと思いましたから。
 その時にはまだ独身だった甥が、その間に結婚して、昨日新婚旅行から帰ってきた時にくれたお土産がこれです。12インチヴァイナルの紙ジャケに入った、これは小さな袋に詰められたチョコレートです。LP本体に見えるのはパックの台紙です。いっそ本体もチョコレートだったらすごいのですが、割れてしまいますね。

 ヨーロッパからのお土産にはむかつくような思い出しかないのですが、これだったら喜んで受け取れました。
aventure number : 1027 date : 2007/9/3


今日の禁断 古希

 ブログ版「おやぢ」のカウンターが7万になりました。2ヶ月半で1万ですから、少しペースが上がっているのかもしれません。まあ、ブログの場合全く関係のないトラックバックなどがありますから、アクセス全てが好意によるものではないというのが現実には違いありません。こんな数字に一喜一憂するのはばかげているのかもしれませんがね。でも、いちおう記念ですから。

 そんなわけで、インターネットというのは悪意が渦巻いている世界だと考えた方が間違いありません。悪意を持ってアクセスするという事態を前提にして、いろいろなシステムが構築されているのも、致し方のないことでしょう。そんな、ほとんど「老婆心」とも言えるような現実に、つい最近遭遇したばかりです。
 ニューフィルの団内連絡用の掲示板は、私が契約している2つのプロバイダーのうちの1つのDTIのものを使っています。簡単にパスワードの認証をかけられるので、ご存じのように団員しか知らないパスワードがないと入れないようになっていますね。これも含めて、今では全部で4つ、あちこちのサイトに使っています。その中の1つが、例の「100周年」のサイトです。これは別に認証はかけず、誰でも書き込めるようにしています。練習が始まった頃から、ぼつぼつと投稿があるにはありましたが、まあ、ほとんど「開店休業」状態でした。連絡事項についてはしっかりサイトの方で知らせていましたから、そんなに必要ではありませんでしたし。
 演奏会が終わった時点で、「感想をお寄せ下さい」というような告知があったことから、事情は俄然変わってきました。そこで歌った人たちが、思い思いの体験談を投稿するようになったのです。しかし、そこで不思議な問い合わせが寄せられるようになってきました。なんでも掲示板の投稿フォームに記入していざ投稿しようとすると、エラーメッセージが出て、送ることが出来ないというのです。そこで書いた文章も消えてしまうと。そんな趣旨のメールはほぼ毎日届きます。仕方がないので、投稿文を送ってもらって、それを私が代行して投稿するというのが何件ありましたか。不思議なのは、私がやっても何の異常もないのに、他のメンバーは軒並みエラーとなってしまうということです。こんなことってあるのでしょうか。
 もっと早く気づいていれば良かったのですが、今日になってDTIのサイトのFAQを調べてみたら、この件についてはちゃんと答えが載っていたのですよ。それによると、「不正投稿を防ぐために、投稿画面を20分以上開いていると、投稿ボタンを押してもエラーが出るようになっている」ということなのだそうです。確かに、「送れない」といってきた人たちのことを思い浮かべてみると、かなり高齢の方々ばかりです。なんせ、「50周年の時もに『第9』を歌いました」というような人もいるのですから。そういう人たちにとっては、ネットの掲示板に投稿するということはかなり時間のかかることに違いありません。ちょっと長い文章を考えていたりしたら20分ぐらいすぐ経ってしまいますよね。試しに私も20分放っておいて投稿してみたら、見事にこんなエラーメッセージが出ることが確認できましたよ。

 まったく、心ない人がいるためにこんな制約まで設けなければならないのですから、迷惑なことです。なんにせよ、原因が分かったので、これからは安心して眠ることが出来るでしょう。
aventure number : 1028 date : 2007/9/5


今日の禁断 ヤマハ

 いよいよチケットプレゼントも始まり(トップページでやってます)、演奏会モード全開となりました。チラシ配りも私の担当分はほぼ完了しましたし、お手伝いをお願いした方からも「終わりました!」という報告が続々寄せられていますから、計画していた分は近々配り終わることでしょう。
 チラシ配りとともに、早々とマスコミなどに送りつけた企画書の効果も、ぼちぼち現れ始めています。最近は、いくら「記事に取り上げて下さい」とお願いしてもなかなか実現しなくてちょっとめげていたところなのですが、なんと朝日新聞に記事として掲載されたというので、ちょっと嬉しくなっています。自分の家で「朝日」をとっているにもかかわらず、他の人からの情報でそれを知ったというのが、ちょっと間抜けですがね。この記事の現物はいずれ「かいほうげん」に載せるつもりですが、その内容が私が作った企画書をきちんと参照して書かれたものだというのが、嬉しいところです。もっとも、そういう風に書いて下さい、というために企画書を送るのですから、それが当たり前のことなのですが、自分が書いた文章の一端がこんな風に紙面を飾っているのが、ちょっと誇らしげに思えたりするのですよ。
 「こんな風に」といっても、読んでいない人には分かるわけはありませんが、今回企画書を作るにあたって強調したかった茂木さんと「のだめ」との関連をきちんと、というか、まさにそれが、記事の前面に押し出しされてあったのです。おそらく、茂木さん自身はあまり嬉しくはないのかもしれません。なにしろ、プロフィールを送ってきた段階で「出来れば『オーボエ奏者』という肩書きはなくして下さい」とお願いしてきたぐらいですから、あくまで「指揮者・茂木大輔」という表記にこだわっているのでしょうね。しかし、正直私自身は茂木さんの指揮に接したことはありませんから、やはり手っ取り早く関心を引きそうな「のだめ」をフロントに持って来たいわけでして。ですから、この記事を読んで「生茂木」を見たいと県民会館に足を運ぶ人がいたりすれば、大成功なのですが。
 もう一つ、嬉しかったことがサイトの方でありました。「おやぢの部屋」ではCDとともに書籍のレビューも手がけていますが、最近取り上げたヴァイオリンに関する雑学の話に対して、ブログ版で著者ご本人からのコメントが寄せられたのですよ。それがどんなものかは直にサイトを見て頂ければよいのですが、私がちょっと突っ込んだ部分に関して、とても誠実に答えを返してくれています。サイトもブログも連日そこそこのアクセスを記録していますが、その中にこんな方のものが交ざっていたというのがちょっとした驚きです。自分の考えている以上の広がりがすでに出来上がってしまっているのかもしれませんね。正直2日に1本というアップはかなりハードなものがありますが、こんな状態になっていれば手を抜くことなど出来るわけがありませんね。
 実は、ご本人からのコメントというのは、これが初めてではありません。ただ、それらが果たして本物のご本人なのかを確かめるすべはありません。その点は十分注意する必要はあるのでしょうね。なんて書くと、とたんになりすましのコメントがあったりして。それはそれで、面白いのですがね。
aventure number : 1029 date : 2007/9/7


今日の禁断 二期会

 きのうは、ハイビジョンで延々10時間にわたって小澤征爾の演奏を特集していましたね。いちおう「ハイビジョン」の映像+5.1サラウンド音声というのが目玉になっていますから、あまり古いものは使えないために、せいぜいサイトウキネンの最初の頃のものぐらいからしか紹介はされていませんでしたが。そもそも、きのうの松本でのコンサートを「生中継」するというのが最大の呼び物だったのですから、他はまあ添え物という感じでしょうか(その生中継が終わる頃に、75万は出ましたね)。
 そんな中で、1つだけ1985年頃のドキュメンタリー・フィルムが混ざっていたのが、面白いところでした。これも、16ミリフィルムを今回のためにわざわざハイビジョン用にリマスターしたということがやたらと強調されていましたね。音声の方はどうだったのかは、私には判断は出来ませんが、やはりサラウンドに「リマスター」してあったのでしょうか。スタジオのゲストに「僕は見たことがありません」などと言わせて、そのドキュメンタリー自体がさも初めて放送される貴重なもののような印象を与えていましたが、これはかつてさんざん放送されたもの、私もしっかり見たことがありました。
 一体いつ頃見たのかはおぼえていませんが、それがかなり昔のことだったのは、今回改めて見たことによって、その頃は気が付かなかったさまざまな発見があったことでも分かります。例えば、小澤がタングルウッドで指揮のレッスンをしているシーンで登場する日本人のことも、昔は誰だか分からなかったものが今でははっきりその方を特定することが出来るようになっていましたから。映像の中で小澤から「トツカサン」と呼ばれている、この当時24才だった青年は、この中ではとことんダメな指揮者志望の若者のように描かれています。あんまりダメなものですから、小澤が自宅に招いて、「食事をしながら話を聞く」というのを提案します。それも指揮の先生の役目の1つなのだというわけです。ところが、次のシーンになったら、確かに自宅のようですが、食卓の上には酒瓶しか乗っていなくて、当の「トツカサン」はそれにも手を付けず、ひたすら椅子の上で下を向いて固まっています。小澤はというと、「話を聞く」のではなく、べろんべろんに酔っぱらってグダグダと小言をたれているだけなのです。「あんたはねえ、心をちゃんとしないとダメなのよ」みたいな調子です。
 本番の前には、ステージ裏で「トツカサン」は完全に正気をなくしています。小澤がなにかアドヴァイスをしようとしても、「僕は今、そんな余裕がないので、後にして下さい」とか、完璧にあがりまくっているのですよ。こんなダメな人がまともな指揮者になどなれないだろうというのが、制作者の意図だったのかもしれませんね。確か、昔見た時にはそんな感想を私も抱いたものでした。
 しかし、残念ながら、この方は今では日本国内ではまずまずのポストを獲得している「一流の」指揮者になってしまいました。つまり、私が昔の映像を見てその方だと分かる程度の「有名さ」は持ちあわせるほどの人になっていたのです。彼がもしこのフィルムを見たとしたら、どんな気持ちを抱いたことでしょう。マネージャーが「契約違反だ」と騒ぎ出したりして。
aventure number : 1030 date : 2007/9/9


今日の禁断 イトオン

 週末は何かしら合唱関係のスケジュールが入るようになって久しくなりますが、この間の日曜日には、ついにダブルブッキングならぬトリプルブッキングになってしまったのですから、大変なものです。もっとも、それは全ての予定が重なったというだけのことで、実際に全ての練習に参加する人は殆どいなかったはずですが。もちろん私も「2つ」で済みましたし。ただ、残りの「1つ」に、愚妻が加わっているものですから、結局3箇所の練習場に足を運ぶことにはなってしまいました。
 最初に行ったのはイズミティ。これは、もうすぐ本番を控えている、ちょっと正体がはっきりしないコンサートです。なにしろ本番の前の日がニューフィルの本番ですから、おおっぴらに不参加を表明出来ました。ほんと、こんなものまでに関わっている時間なんてありませんよ。そこに愚妻を送ってから、駅前まで走って「コール青葉」の練習場へ向かいます。
 そこで、相変わらず「セカンド1人」というハードな練習をした後、ほんの少し時間が残っているはずの「男声OB」の練習のために、今度は片平キャンパスです。近くの駐車場に車を置いて練習場のそばを歩いていると、なにやら合唱の声が聞こえてきます。やってますね。と思いながらその声の元を見てみると、人影がありません。なんだか、部屋が真っ暗なのですよ。一体どうしたことかと思ってそこに入ってみると、確かに部屋の中は真っ暗でした。しかし、なにやら窓際付近で歌っている一団の影が見えます。「富士山」を歌っているので、これが「男声OB」であることは間違いないのですが、この異様さは一体どうしたことでしょう。
 急いでその合唱に加わって歌っていると、その歌が終わると「ご苦労様でした」と言って練習が終わってしまいました。近くの人に話を聞いてみると、なんでもその日は停電で明かりが付けられなかったんですって。仕方がないから外の光だけを頼りに窓際に集まって練習をしていたものが、いよいよ日が暮れて楽譜も見えなくなったので、終わりにしたということなのだそうです。最初にここに来た時に「時代に取り残されたところ」という印象を抱いたのですが、それは正しいことでした。この21世紀の世の中に、まだ電気が通っていない場所があるのですからね。
 きのうは、平日でもこの間の「100周年」の仕事が待っていました。あの時収録したCDやDVDの業者との打ち合わせです。差し迫っては、2回演奏したうちのどちらのテイクを採用するか、ということです。基本的には指揮者の意向を尊重するということで、それの返事待ちなのですが、我々係のメンバーにも2種類のCDが渡されて、参考までに聴いてくれということです。
 今日になって、それを、とりあえず合唱が出ている部分だけ比較して聴いてみました。歌っている時は、もう夜の部ではかなりバテて居たような気になっていましたが、この録音を聴く限り、合唱はどちらも大変素晴らしい出来になっています。ですから、もっぱら違いはオーケストラの方に現れていました。やはり昼の部の方が確実に勢いがあります。夜の部は疲れて集中力がなくなっているのがありありと分かってしまいます。
 もしかしたら、一番疲れていたのは「第9」の指揮者だったのかもしれません。昼の部では、この方が元気よく声を出しているのがはっきり聞こえるのですよ。男声合唱の部分で1オクターブ下の音を歌っているのが、しっかり録音されて、ちょっと邪魔。しかし、夜の部では同じ場所ではほとんど聞こえてきませんから、やはり「製品」としてはこの方がベターなのかも。
aventure number : 1031 date : 2007/9/11


今日の禁断 ワタナベ

 私の職場では、よく袋を使います。なにか催し物があるとお土産一式を紙袋に入れて、それを受付で手渡すのです。そういう袋を使い始めたのは、もう10年以上も前のことになるのでしょうか。最初は手提げ用の紙の取っ手が付いたものを使っていたのですが、程なく、そのタイプのものは非常に使いづらいことが分かりました。袋に詰めたものを前もって用意するのですが、それを一時しまっておく時に、その手提げがかなり邪魔になるのですよ。その部分が結構かさばるために、箱に入れてもあまりぎゅうぎゅう詰めには出来ません。
 そこで、3年目ぐらいからは、手提げの紐が付いているのではなく、袋の横に穴が空いていて、そこに手を入れるタイプのものに切り替えました。ちなみに、そういうタイプの袋のことを「手抜き袋」というのだということも、その時に知りました。こういう業界用語には、他の世界から見たら面白い呼び方が色々あるものです。
 この袋は、たまたま電話帳で調べた、ちょっと遠くですが車の置きやすいお店で買っていました。まとめて何千枚と買っていたので、そんなに頻繁に行くことはなかったのですが、注文すれば同じものが必ず手に入るので、ずっと愛用していました。
 ところが、最後に3年分ぐらいまとめてこの袋を買った後で、しばらくしてこのお店の前を通ったところ、そのお店がなくなっていたのです。どこかへ引っ越してしまったのでしょうか。とりあえずはたっぷり在庫がありましたので、その件は別に気にはしていませんでした。
 今年のお盆にその袋もとうとう底をついてしまい、いよいよ新たに買わなければいけなくなった時に、最も気になったのはあのお店の行方です。まずそこの電話だった番号にかけてみましたが、案の定「もう使われておりません」というメッセージでした。そこで、電話帳を調べてみたらそのお店と同じ名前の包材会社があったので、そこに電話をしてみたら、やはりそのお店はそこの直営店で、転居したのではなく、もう閉店してしまったというのです。ただ、同じ袋はそこで注文できるというので、まずは一安心、いつものように大量に発注しました。
 今日、品物が届いたという連絡があったので、車で取りに行くことにしました。人手がないので、配達はやっていないというのです。前のお店でも取りに行っていましたから、別に苦にはなりません。最近何かと用事がある愛宕橋の付近にあるその会社へ向かいます。
 前もって住宅地図で場所は調べておいてあったので、そこがかなり辺鄙な所であるのは分かっていました。どうやらその前にはかなり細い道が1本通っているだけのようです。古い方の愛宕橋を渡って、新しい愛宕橋の下をくぐり、曲がりくねった道を行くと、前方が開けて広瀬川の堤防のような所へ出ました。その先が、目指す会社です。ところが、どこまで行っても道が狭くて、Uターンは出来ません。とりあえず車を停めて会社の人に聞いてみると、「帰りはバックで行くしかありませんね」ですって。すごいところに会社を作ったものです。
 袋は無事手に入りましたが、まだ問題は残っています。その袋に印刷するのに「プリントゴッコ」を使っているのですが、それは葉書用ではなくB5の大きなもの、どこに行ってももはやそんなものは売っていません。マスターは確かあと2枚ぐらいしか残っていなかったはず、それを使ったあとは一体どうなるのでしょう。
aventure number : 1032 date : 2007/9/13


今日の禁断 瑞巌寺


 藤澤恵麻を久しぶりにテレビで見ました。だれそれ?と思われた方はいらっしゃいませんか。私だって、名前だけ言われてもきっと分からなかったはずです。しかし、何年か前のNHKの朝の連続ドラマ「天花」で、そのタイトルロールを演じた人と言えば、思い出す人もいることでしょう。仙台を舞台にしたドラマでしたから、楽しみにして見始めたところ、とんでもなくひどいお話だったのですっかり落ち込んだという思い出があります。なにしろ、脚本がとんでもなくデタラメ、韓国や中国のどうしようもないドラマのさらに上を行くデタラメさでしたから、とても真面目にプロットを追うような気にもなれません。そして、主人公役のこの藤澤恵麻が、とことんアホだったことが、脚本のダメな所を上塗りしたものですから、たまりません。このドラマは、見ているだけで恥ずかしくなるような思いを、半年間視聴者に強いることになったのです。
 藤澤恵麻がどれほどアホだったかというと、彼女はまず自分の役に対してなんの明確なヴィジョンも持つことは出来なかったのです。ひたすら演出家の言うままに(つまり、演出も最悪だったと)自分がそのシチュエーションでどんな役割を与えられているかをまったく理解することなく、その場限りの「熱演」を繰り広げていただけだったのですよ。
 今日WOWOWで見たのは、三谷幸喜の最新作「社長放浪記」のオンエアでした。まるで、かつて森繁久彌や三木のり平が出ていた映画のタイトルを思わせるものですが、内容はそのリメークでもなんでもなく、ただタイトルを借りただけというよくあるオマージュの形です。伊東四朗演じる「社長」が、その身分を隠して若い女性と話をするために害虫駆除の男になりすましていたところに、社長の退陣を迫る専務(三宅裕司)が社長に似ているところに目を付け、彼を社長の替え玉(もちろん、本人なのですが)に仕立てて、後継者のジュニアに社長職を譲るように仕向けるという、かなり複雑な筋立てになっています。もちろん、三谷幸喜のことですから、綿密なプロットでそのとんちんかんな話から見事に爆笑を誘うものに仕上げていました。細かいことを言えばいくらかのボロは出ているのですが、それはもう一人加わっている佐藤B作たち、役者の有無を言わせないとてつもないパワーで、納得させられてしまうものです。
 その、「若い女性」というのを演じていたのが、藤澤恵麻でした。彼女にとってはこれが初めての舞台だそうです。初めてにしては声もよく出て居ましたし、確かに「女優」という存在感のようなものはNHK時代よりは備わってきているようでした。しかし、三谷幸喜が彼女に求めた役どころというのは、まさに「天花」そのものの、なんにも考えていない天然ぶりだったのです。つまり、そこでの彼女の仕事は、まわりでなにが起こっていても、決してそれには巻き込まれることのないマイペースさを演じることだったのですね。しかし、それは「演じる」のではなく、限りなく彼女の「地」に近いものでした。それは、三谷自身が新聞に連載しているエッセイでも言及していましたし、今日の番組のプレトークで伊東が「あの子、普段もあんな風なのかな」と言ったことでもうかがい知ることが出来ます。三谷は、キャスティングにあたって、まさに「天然」ぶりを「地」で演じることの出来る役者を見つけていたのですよ。
 「天花」は、その様な希有なコメディエンヌとしての才能を持った女優のデビュー作として、見るべきだったことに、今気づきました。そう、あのドラマはまさに破天荒な、そしてシュールな「コメディ」だったのです。
aventure number : 1033 date : 2007/9/15


今日の禁断 リング

 久しぶりに、なんの予定もない週末になりました。こんな時にはのんびりと日頃の疲れを癒すのがいちばん、なにもしないでブラブラ過ごそうかな、と思っていました。しかし、こんなヒマになってしまうと、逆に猛烈になにかをやりたくなってくるから不思議です。そこで、しばらく新しいコンテンツを作っていなかったので、この際1つでっち上げてやろうと思い立ちました。作ろうと思ったのは別の動機もありまして、今週発行予定の「かいほうげん」を荒く編集してみたところ、もう1ネタないことには16ページが埋まらないことが分かったからです。もっとも、こちらの方は本来ならJAO酒田のレポートが入るはずのスペースですから、あくまでそれのバックアップという意味なのですがね。果たして、この2、3日のうちに参加者からの原稿が届くことはあるのでしょうか(と書いておけば、きっとだれかが送ってくれることでしょう)。
 コンテンツとは言っても、最近はもっぱら新しいこととしてはひたすら「おやぢ」を書くことしかやっていませんから、そこのネタの使い回しということになります。最近立て続けに翻訳物のレビューを書きましたので、それを2本合体させて、1つのものにまとめたということです。片方は英語を日本語に訳したもの、昔出ていたその訳本を後生大事に取って置いたために、今ではとんでもない貴重なものになっています。他人が持っていないものを持っているという優越感でしょうか。そんな貴重だったものが、最近別の人の手によって翻訳され、誰でも簡単に入手できるようになってしまったのです。ちょっと、しゃくな気がするじゃないですか。そもそも、今回の訳者にはちょっとした因縁がありまして(いえ、そんな大げさなものではなく、私の単なる思いこみなのですがね)どの程度のものなのか確かめるという意味でも、それを読んで昔の訳と比較をしてみたかったのです。
 確かに、昔の、翻訳を専門にはしていない人の訳に比べると、今回の訳はきちんと意味は通るようにはなっているようには感じられました。同じ場所を比べてみると、まったく反対の意味に訳されているような箇所もありましたから、どちらかが誤訳を犯しているのは明らかです。もちろん、原文はもう絶版のようで、中古品がかなりの高額で売られていましたが、そんなものを取り寄せて読むほどの熱意まではありませんから、「おやぢ」ではそれをそのまま併記しておきました。状況的には旧訳が誤訳であるのは明白なので、それを見てもらおうと思ったのです。しかし、ブログのコメントには、意外にも誤訳云々よりも文章の質を比較するものが寄せられました。新訳は、日本語としておかしな文章であるというのです。うん、それが分かってもらえれば、実は私は満足なのですがね。
 そして、もう1件はあの「のだめ」。こちらは逆に日本語を英語に訳したものが2種類出ていたので、その比較です。こちらも都合よく実に痛快な誤訳が発見できました。そこで、新しいコンテンツでは2種類の誤訳を取り上げて、こちらは「おやぢ」では載せられなかったそれぞれのセリフを掲載して、十分1本分の量のものに仕上がりました。
 ただ、サイトではその長さでよかったのですが、「かいほうげん」にそれを収めてみると、ちょっと長すぎて、今度は16ページに収まらなくなってしまいます。ですから、こちらは「のだめ」だけでまとめることにしました。ジョン・カルショーなんて、そちらの読者にはあまりにマニアック過ぎますからね。
aventure number : 1034 date : 2007/9/17


今日の禁断 北目町

 半年前に、横浜のJVCのマスタリングセンターに行って、CDのマスタリングの立ち会ったことは以前の「禁断」に書きました。あちらは東京のコンサートの音源でしたが、今回、先日の「100周年」の時の録音でも、同じような現場に立ち会うことになってしまいました。しかし、同じクラシックのコンサートを録音したものでも、担当した業者によってこれほどの違いが出てくるなんて、なんとも刺激的な体験でしたよ。

 これが、今回マスタリングを行ったスタジオです。使用機材はあの「プロ・ツールズ」、今や最も多くのスタジオで活躍しているソフトです。といっても、実はこれが実際にどれほどの機能を持っているのか、イマイチ把握出来ていないのですがね。そこで、最初に行ったのが、残響を加える作業です。このあたりから、横浜との思想の違いが明らかになります。あちらは、いかにして録音したものをそのままマスターに移すか、という点に最大の力を注いでいたはずです。そのために、ケーブルやクロックを吟味して、その場にいた私たちが最も納得のいく音を選んだあとは、なにも手を加えずにそのままコピーをするだけという、いわば最もシンプルな考え方でした。もちろん、それが出来るのは、録音した段階で適度の残響も取り入れて、十分なホール感が備わっていたという、絶妙のマイクアレンジがあったからなのでしょう。
 しかし、今回は県民会館のステージの上に設置したマイクだけの録音です。その生のCDを聴いた時には、とてもこのままではお金を払って聴いてもらうものは提供できないと、正直思いました。こちらは、最初からプロ・ツールズで残響を加えることを前提に録音をしていたのですね。最初に「こんなもんでどうですか」と提示された音は、いかにもわざとらしい残響の付いたものでした。音が切れたあとも、はっきりあとで付けたと分かるようなエコーが残ります。これではあまりにもやりすぎなので、極力少なめに付けてもらうよう何度か試していくうちに、かなり自然な、まあこれだったらホールで実際に聞こえていた音にかなり近いだろうというものが出来上がりましたので、音の方はそれで決まりです。
 ただ、その音を決めるのにもっぱら使っていたのが、写真にあるヤマハのモニターです。確かに、このスピーカーは、それこそどこのスタジオでも使っているものですが、やはり、もっとたっぷりとした音で聴いてみたかったものです。たまに上にあるJBLなども聴かせてくれるのですが、やはり「こちらでモニターした方が、多くのユーザーには馴染みます」と言って、ヤマハに戻ってしまいます。確かに、ハイエンドのリスナーはそうはいないのかもしれませんが、この辺で済ませてしまうという考え方は、やはり「XRCD」を作っているところとは根本的に異なっているのでしょう。
 そのあとの、拍手の長さや曲間の長さを決めるのは、全く同じ手順でした。手順的には「ピラミックス」よりこちらの方が簡単に出来るような気がしたのは、気のせいでしょうか。
 ここまで来て、我々は大失敗をしたことに気づきました。「祝典曲」にもトラックを打たなければならないのですが、誰1人として楽譜を用意していなかったのですよ。この曲、実は4つの部分が休みなく演奏されるのですが、合唱の部分だけを歌っていた私たちには、楽譜のないところでその切れ目を正確に指摘することは不可能だったのです。結局、それは後日、私が楽譜を見ながらCDを聴いて、時間をメールで教えてあげるということになってしまいました。これはこれで、なかなか大変です。来週は映像の編集にも立ち会わなければなりませんし。
aventure number : 1035 date : 2007/9/19


今日の禁断 青きドナウ

 もうお彼岸だというのに、真夏のように暑い日が続いています。普通はお彼岸になると自動販売機も「ホット」を始めるのですが、とてもじゃないけどそんな気にもなりませんよ。ほんと、こんな暑い中で「ホット」を飲む人などいるわけがありません。
 そんな中で、夕べの管分奏は、私の職場の会館で行われました。その準備をするために、棟続きになっている会館へ行ってみると、そこはまるで別世界、ヒンヤリとした冷気に包まれています。外見的には同じような建物に見えるのですが、実はこの会館は鉄筋コンクリート造りになっていますから、こんな風に結構温度差が出てくるのでしょうね。これだったら、別にエアコンなどを入れなくても十分涼しく練習できるのでは、と思ったぐらいです。
 確かに、まだ誰もいないうちは、程良い涼しさで気持ちがよいぐらいでした。しかし、やはり人数が集まってくると、ちょっと蒸し暑いかな、という感じになってきましたので、締め切ってエアコンを入れることにしました。設定は24度になっていましたが、おそらく今まで使っていた人がそのぐらいでよかったのでしょうから、それは変えません。というか、これではこの「クール・ビズ」(この言葉、来年あたりは絶対他の言い方に変わりますよ)の時代には低すぎる設定ですから、寒くなってしまわないか心配です。
 練習は、編成の小さい「スコットランド」だけを金管と一緒にやることになっていました。小さいといっても、15人ぐらいにはなりますから、かなり音は響き渡ります。元々響きやすい部屋ですから、トゥッティでは部屋中に音があふれている感じ、旭ヶ丘のような響かないところに比べるとずいぶん違った感じです。吹いていても、苦労しないで音が出るように感じられますから、気持ちは良いのですがここに慣れてしまうと他の所に行った時に苦労するのかもしれません。
 そもそも、もう明日には茂木さんがやってきて初めての指揮者練習になるのですから、そこまでのレベルにはなっているのだ、と思いたいところです。細かいところもチェックしつつ、あとは合奏待ち、みたいな感じで練習は進みます。
 この頃になっても、部屋の中は一向に涼しくはなりません。暑い、というほどではないのですが、隣のオーボエなどはしきりに汗を拭いていますから、温度が下がっていないのは確かなので、設定を22度にしてみました。この2度の違いは大きなものがあり、今度は寒く感じられるほどです。最初から、このぐらいキンキンに冷やしておけばよかったと、今ごろ気づきます。部屋が広いので、設定温度自体はあまりあてにならないのですね。
 この「スコットランド」、いつの間にか私がプログラムに曲目紹介の原稿を書かなければならなくなっていました。他に何人かあたったのだけれど、ことごとく断られてしまったので、最後に私の所へ回ってきた、という最悪のケースです。私が今まで書いたのは、オペラ・アリア集とか、ハチャトゥリアンのフルート協奏曲とか、自信のある分野だけでした。こういうベタな曲は、逆にとても苦手、どうなりますか。といっても、普通の評論家然とした解説を書くつもりは全くありませんから、頼んだ人が後悔するようなものが出来上がるのは必至。今考えているのは、茂木さんつながりで「のだめ」と「スコットランド」との関連性を述べること。分かる人は分かるでしょうが、ちょっとマニアック過ぎるかな。
aventure number : 1036 date : 2007/9/21


今日の禁断 ダルマ

 いつになく暑いお彼岸ですから、自販機の飲み物もよく売れます。きのうも「かいほうげん」の印刷が一段落付いたので、売れ具合をチェックしてみたら、かなり減っていたので、補充をすることにしました。自販機の扉を開け、コーヒーの入った箱を抱えていったところ、ちょっと足を滑らせて見事に転んでしまいました。その時、左足を変な風にねじってしまったのでしょう、すぐには起きあがれないほどの痛みが襲ってきたのです。何とか立ち上がろうとすると、痛いなりにも足は動いたので一安心、もし骨折でもしていたらこんなことでは済まないはずです。
 痛さもだんだん少なくなってきたので、そのまま座って仕事を続けていたのですが、しばらくして足を見てみると、左足の甲が異様に膨らんでいるのが分かりました。これは紛れもなく捻挫の症状ではありませんか。実は、私は捻挫にかけてはある意味プロ、学生時代などは1週間に1度はちょっとしたことで捻挫になってしまうという事を繰り返していたものでした。ですから、捻挫をした時にどうなるかというのは熟知していたのです。それから何十年かぶりの捻挫、こうなってくるとやはり歩く時にはびっこを引かなければダメになってしまいます。とりあえず車を運転するのには不自由はないので薬屋に行って湿布薬を買って、貼っておきましょう。
 そんなわけで、歩く時以外は普段と変わらないというアクシデントの中、土日と連続して行われる、茂木さんとの初めての指揮者練習に向かいます。きのうは青年文化センターのシアターホール。実は、コンサートホールでは最近何かとご縁のある合唱団の定期演奏会が行われるので、駐車場は混むのは分かっていましたから、かなり早めに行って、ギリギリで地下2階に停めます。案の定、コンサートホールの前には知った顔がたくさんたむろしていたので、ここまで来てなぜ演奏会を聴かないのか説明をしなければなりませんでした。
 茂木さんはラフなTシャツ姿、まず「スコットランド」を、いきなり全曲通してしまいました。しかし、一度も止まることなく最後まで通せたのですから、すごいものです。弦の人達は、いつの間にこんなに弾けるようになっていたのでしょう。演奏中、茂木さんはさまざまなパートに言葉で指示を出しています。かなり細かいことを言っているようなのですが、あいにく管が座っている場所では完璧になにを言っているのか聴き取れません。確かにフルートにもなにかおっしゃってくれたようなのですが、私としては「はい、分かりました」という素振りは見せたものの、なにを言われたのかはさっぱり分かってはいなかったと。
 そのあと小返しになったときには、さすがにきちんと喋ってくれましたが、基本的に早口で小さな声ですから、よほど集中していないと聴き取れません。それが茂木さんの戦法なのかもしれませんね。

 今日は朝から、今度はコンサートホールです。前日の続きで、「スコットランド」から始まります。弦楽器あたりは、かなり細かい注文が付けられているようで、コントラバスなどは1人1人音を出させられていました。音程など、かなりシビアな要求があったようです。しかし、我々管楽器に対しては、殆ど欠点を指摘されるということがありません。「素晴らしい」とか「なにも言うことはありません」という褒め言葉に終始、こういうことに慣れてない私たちは、逆に戸惑ってしまいます。4楽章、フルートとオーボエの掛け合いの所など、2人ともかなりヤバいと思っていた仕上がりだったのに、「フルート、オーボエ、完璧です」などと言われれば、なんだかなぁ、と思ってしまいますし。
 しかし、茂木さんは音楽の作り方はまさにプロの指揮者と言うべきものでした。あれだけ忙しい中で、よくもここまで、と思ってしまうほど、緻密に勉強されていたのには、正直驚いてしまいました。褒め殺しもそんな「プロ」のテクニックなのなら、最後まで貫いてくれることを祈るばかりです。
 今日になったら、まだ痛みは残るものの、歩くのにはなんの支障もないほどに回復していました。この程度のことで済んで、よかった、よかった。
aventure number : 1037 date : 2007/9/23


今日の禁断 私のお父さん

 スパムメールだけではなく、ブログでもスパムトラックバックというものが頻繁に寄せられています。「アイドルなんたら」とか、「女子高生なんたら」みたいなTBがあった時には、即削除、まあ、スパムでもなんでもアクセスがあるだけ良いのでは、ぐらいの鷹揚な気持ちでいれば、そんなにストレスも募りません。気をつけなければいけないのは、きちんと趣旨にのっとって寄せられたTBを削除してしまわないようにすることです。最近もタイトルを見ただけではなんの関係もないものだと思ってそのまま削除するところだった、結構役に立つTBがあったりしたばかりですから。念のためにと思ってリンクをたどってみたら、今月末に発売の「大人の科学」でテルミンの制作キットがおまけに付く、という記事でした。確かに本文にテルミンについてのコメントがあったので、それに関連してこんな役立つ情報を送ってくれていたのでした。2千なんぼかで、超小型だけど、しっかり本物と同じ音の出るテルミンが作れるというのですから、これは楽しみ、発売になったらさっそく本屋さんで買ってくるつもりです。
 もちろん、掲示板などにスパム書き込みが来るのは、もう防ぐことは出来ません。今までニューフィルやジュラシック・ページで使っていた掲示板は、もろにそんな書き込みであふれるようになってしまっていますから、殆ど使う気にもなりません。とりあえず、書き込みがあれば携帯にメールが届くようになっているので、その度に削除するということの繰り返しです。でも、団員専用掲示板のようにしっかりパスワード認証がかかっていれば、そんな心配は無用です。コール青葉の掲示板も同じこと、もう900以上のログがあったというのに、今までそんないたずら投稿は一度もありませんでした。
 ところが、100周年の掲示板では、そんな設定は行っていませんでした。そもそも仲間内だけのマイナーなものでしたから投稿自体も少なかったものが、最近になってスパムだけが目立つようになってきました。70歳以上の方が一生懸命書き込んだログのあとに、「女の魅力を感じさせて下さい」みたいな、いかにも場違いな投稿があるのですから、こんなみっともないことはありませんよ。パスワードを設定するのは簡単なのですが、そうなるとすべての会員にまた連絡しなければいけないので、それはちょっと大変。この掲示板は公開サイトからリンクしてあったので、とりあえずパスワード(これは、すでにみんなに配布してあります)が必要な会員サイトへリンクを移してみたのですが、掲示板自体のアドレスが知られていたようで、一向に改善はされませんでした。そこで、掲示板そのもののアドレスを変えることにしました。そうすれば、もはや会員パスワードがなければ掲示板のアドレスも知ることは出来ませんから、完璧にスパムを絶つことが出来るはずです。それは、新しい掲示板を登録して、今までのものを削除すれば簡単に出来ることです。ただ、ログは1つ1つコピーしなければいけませんし、投稿日時が変わってしまいますから、それもどこかに残さなければいけないという、かなり手間がかかるものでした。ログ自体がそんなに多いものではなかったので、何とか全部を移すことは出来ましたが、かなり大変な作業でしたね。人にこんな無駄なことを強いるのはれっきとした犯罪、インターネットとは、そんな犯罪者が大手を振って歩き回っているところなのですよ。
aventure number : 1038 date : 2007/9/25


今日の禁断 南町通り

 「100周年」の仕事は、まだまだ続いています。この前のCDのマスタリングに続いて、夕べはDVDの編集に立ち会ってきました。「オーサリング」と言うのだそうですね。前に聞いていたとおり、「セブンイレブンのあるビルの地下」の前でボスが待っていたので、場所はすぐ分かりました。確かにセブンの脇に地下へ行く階段がありますが、そこには居酒屋の看板しか立っていません。でも、地下へ降りるにはここしかないようなので、まるで飲み会に行くように、ボスとその階段を下りていきます。降りきったところが居酒屋の玄関、まだ宵の口でしたが、案の定「らっしゃい!」などという威勢のいい声をかけられてしまいます。スタジオはというと、その向かい側の地味な扉の向こう側でした。

 中へ入ると、この間とはちょっと違った感じでした。この写真の向かい側には、大きな液晶モニターが置いてあります。本番は5台のカメラで撮影していたので、それを同期させて流しながら、一番良いカットを選ぶ、というのが仕事だと思っていたら、実は殆どの編集はすでにオペレーターの方が済ませておいてくれていました。われわれが見てもなかなか自然な感じで、きちんとソロの楽器などがアップになっていたりしますから、どうやらこのあたりは全面的に任せても大丈夫なような感じです。ほんと、最初から最後までいちいちカットを選ぶ作業をやっていたらずいぶん時間がかかるのではと思っていましたから、一安心です。音の方はかなりマニアックな知識を持っているつもりですが、映像に関しては自分でやる気は全くないので、殆ど知らないことばかりです。最近ではデジタルで簡単にそういう編集が出来るようになっているみたいですね。しかも、あとからいくらでも修正がきくというのが、ありがたいところです。
 ですから、ここでの仕事は、テロップをどのように入れるかということを指示するのが、メインとなりました。どういう情報をどのタイミングで流すか、ということなのですが、このあたりになってくるとオペレーターさんとはかなり意見が分かれてくるようになってきました。というか、なかなかお互いのイメージが伝わってこないのですよ。そこで、「実際に作ってみますね」と言って、彼が開いたのがフォトショップ、これは私も毎日のように使っている馴染みのソフトなので、何をやっているのかはよく分かります。でも、なかなかテロップの画像が出来ません。何とか出来た1枚でだいたいの感じはつかめましたから、あとはお任せで、基本的に必要なデータだけの話になりました。
 その時になって、出演者全員の名前のデータがまだボスの手元に届いていないことが判明しました。プログラムの印刷に使った物がいくら催促しても届かないというのです。「もしかしたら、今夜届くかも」とか言ってますが、同じデータだったら、いっそのことOCRで現物のプログラムから取り込んだ方が良いと思い、それを提案してみました。「スキャンでデータが出来ますよ」と。そうしたら、オペレーターさんは「それだと、画質が変わってしまいます」などと言っています。スキャンと言ったので、画像を取り込むのだと思ったのでしょうね。
 結局、今朝になったらそのプログラム印刷用のデータがボスの所に届いていたので、転送されてきました。しかし、オケと合唱の名簿のうち、合唱はきちんとエクセルで届いたのに、肝心のオケの分が正体不明のファイルになっていて開けず、ボスは途方に暮れているようでした。どうせエクセルだろうと思って、拡張子を付けてやったら、簡単に開けたので、さっそくオペレーターさんに送ってあげましたよ。スキャンする手間が省けました。これで、来週にはサンプルが出来てくるはずです。
aventure number : 1039 date : 2007/9/27


今日の禁断 大人の科学

 「テルミン」を買ってきました。と言っても、7万円もするmoogの「Etherwave」なわけはなく、たった2300円の雑誌のおまけです。まあ、グリコの「食玩」みたいなものですね。

 こんな分厚い「雑誌」ですが、本体は下にくっついてる(簡単に剥がせます)薄っぺらなもの、そして、「テルミン」の部品は発泡スチロールに入っています。

 必要な工具はドライバーだけ。ただ、普通のものでは大きすぎますから精密ドライバーでないと。まず足をネジ止めです。

 心臓部の基板。もちろん、最初から出来ています。左の丸いのはスピーカーです。アンプ用のICチップが1個だけ裏側に付いていますが、あとはみな古典的なアナログパーツです。

 この基板を、本体にネジ止めします。スピーカーも裏板に固定。

 次は、「テルミン」になくてはならないアンテナの取り付けです。上蓋に固定するための治具も取り付けます。

 上蓋をかぶせ、ループアンテナの形をした電源スイッチを取り付け、ネジ止めすれば完成です。

 ほんの15分ぐらいで、こんなぐあいに完成してしまいました。本体の裏側が電池入れになっています。右の写真の前に付いている2つの穴は、ボリュームを回して、チューニングを行うためのものです。
 これに電池を入れてやって、スイッチを引っ張れば音が出るはずなのですが。なぜかなんの反応もありませんでした。仕方がないので、ネジを外して基板をいじってみたら、ほんのちょっとした加減で、いきなり「ブー」と鳴り出しましたよ。かなりデリケートなもののようです。音は出たものの、その調整が一仕事です。最初は、アンテナに手を近づけると本当は音が高くなるはずのものが、逆に低くなったりします。それを、2つのボリュームで2つの高周波発振機の周波数を変えてやりながら、微妙に調整しなければなりません。1度調整したものも、しばらく経つと全然別の高さの音になってしまったりします。とにかく不安定な「楽器」です。
 適当なところで折り合いを付けて、とりあえず歌わせてみました。本物の「テルミン」は、アンテナがもう1本付いていてそれでボリュームを調整できるのですが、これはそれが出来ませんから、音はひたすら鳴り続いています。音を出さないようにするためには、手を遠ざけなければいけないのですが、そこに行くまでにはとんでもない下降グリッサンドを経験しなければいけませんし。まあ、でも、ビブラートが好きなようにかけられるのが、なかなか面白いものでした。このなんとも言えないゆれ具合がまさに「テルミン」の命、どうやら、この楽器の根元的な味は、この「おまけ」にもきちんと生かされているようでした。
aventure number : 1040 date : 2007/9/29

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