今日の禁断 |
ブルーレイ |
この前「おやぢ」に書いたグラインドボーンの「ジューリア・チェーザレ」、BSのハイビジョンで放送していましたね。いつも言ってますが、このように受信装置さえあれば誰でも無料で見る事が出来るものを、DVDというパッケージで「買う」というのは、どうも釈然としません。しかも、この曲の場合、DVDには無かった日本語の字幕が放送では付いているのですからね。もちろん映像はハイビジョン。その方式に対応したテレビさえあれば、DVDなど比較にならない解像度の高い画面を楽しむ事が出来るというものです。全く、どれをとっても良い事ずくめ、DVDにはとても勝ち目がないように思えてしまいます。
私も、すでにDVDは買ってしまっていたのですが、日本語字幕の魅力に惹かれて、録画をしておきました。それと、字幕以外にも確認したい事もありましたし。それは、やはりあのDVDを聴いたときに書いた、ソプラノ歌手の事です。クレオパトラを演じた若いソプラノの名前を日本語で表記するときにどのようにするのかという問題、私の中ではすでに解答は出てはいたのですが、それを天下のNHKがどのように扱うかに、興味があったのです。ご存じのように、この放送局は外国人の表記に関してはとても一般には通用しないような奇妙なものを、頑なに使い続けるという事を今までずっとやってきていました。さすがに、最近では「アバド」と言うようになりましたが、それまでは誰が何と言っても「アッバード」でしたからね。このソプラノでも、毎月発行されている番組案内誌には「ダニエレ・デ・ニエーゼ」という、今となっては誰もが間違った表記である事を知っているものが堂々と掲載されていたのですから、「やっぱり」と思ってしまったわけです。ですから、それを放送の中で実際に確かめたかったのです。
ところが、その、DVDには入っていない、日本語だけのクレジットが流れ始めたとき、私は驚いてしまいました。そのソプラノの名前が「ダニエル・デ・ニース」となっていたではありませんか。これには感激です。雑誌発表の時点では明らかに「デ・ニエーゼ」だったものが、どういう理由によるのかは分かりませんが、放送時には「デ・ニース」と、きちんと訂正されていたのですからね。担当者が、たまたまDVDのエクストラを見て間違いに気が付いたのかもしれませんね。しかし、私あたりは、このサイトを見て訂正した可能性もないわけではないのでは、と、我田引水の推測をして楽しんでいるところです。
そんなところで満足してしまいましたから、あとは一度見たものですので適当に聴き流していたのですが、しばらくしてなんだか様子がおかしいのに気づきました。音声と映像が少しずれているのです。正確には音声が少し遅れていて、口を開けてちょっと立ってから歌が聞こえるという状態、ほんのわずかなズレですが、それはとても気になるものでした。というか、DVDを見ていたときにはそんな事は全く気づきもしませんでしたよ。そこでもう一度DVDを見直してみると、それは完璧にシンクロされたもの、気づかなくて当然です。実は、こういう事はこういう外国の放送局から送られてきたものを放送するときには少なからず起こっていたのは、ずっと前から気づいていました。そして、それが、音声と映像が全く別のルートで(片方は海底ケーブルで、片方は通信衛星とか)送られてくるために、避けられないものである事も知っていました。しかし、楽器の演奏ならともかく、オペラでのこのタイムラグは、我慢の出来ない程見苦しいもの、それに気づいてからは、とても続けて見る気にはなれませんでしたよ。
これが、「放送」の実体なのでしょうか。きちんとシンクロしたものを見たかったら、商品としてのDVDを買えと。もちろん、わざとそんな事をやっているなんて思ったりはしませんがね。しかし、大画面でこの「口パク」を見たら、さぞ間抜けなことでしょうね。 |
aventure number : 0841 |
date : 2006/9/30 |
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