0821(06/8/22)-0840(9/28)

今日の禁断 宮崎

 先週はお盆休みだったので、久しぶりのニューフィルです。練習所へ向かう道も、この間は地下鉄で行きましたから、かなり久しぶりになります。そうしたら、なんか見慣れない建物が新しく建ってたりしましたよ。1週間や2週間などと言ってられないほど、世の中は変わっていくのですね。
 そろそろ「かいほうげん」も出さなければいけないような時期になっています。タイミング的に来週あたり、と考えてはいたのですが、いくらなんでもそれは無理なようです。なにしろ、今回は新入団員が6人もいるのですから、その人達の写真を撮らなければいけません。それを全部今日の練習の時に撮ってしまうのは、ほとんど不可能に近いことですから。それでも、努力はしてみました。6人のうち4人までは、ちゃんとカメラに収めることが出来ましたよ。しかし、あとの2人は練習を休んでいたので、写真は絶対無理、やはり「来週発行」は、絵に描いた餅になってしまいましたね。しかし、こんなにいれば、新入団員紹介だけで2ページになりますから、これは大助かりです。そして、毎年恒例のJAOフェスティバルのレポートも、発行日にまで間に合うような手はずになっています。今回も左うちわで作業を進めることが出来ることでしょう。
 そんな、すでに新入団員として承認された(正確には来週承認ですが)人の他に、まだその時期には達していないけれどもすでにみんなと一緒に演奏に加わっている人が数人いて、弦楽器はいつになく充実した布陣になっていました。ヴァイオリンはファーストもセカンドも、休んでいる人がいるにもかかわらず8人ずつなのですから、立派なものです。
 休み明けということで、練習の方もなかなか調子が出ません。最初の頃は管楽器もメンバーが揃っていなかったので、音がなかったり、急遽代理で吹いている人がいたりと、ちょっとした穴あき状態でした。私も、お盆中はろくに練習も出来ませんでしたから、無駄な力が入ってしまって疲れること。前半がブラームス。2楽章に「30分」などと言っていたものが、細かいところをやっていたら1時間近く経っていましたね。それから4楽章というスケジュールですが、この楽章はそう簡単には終わりません。時計を眺めながら、最後などはよれよれになってしまっていましたよ。結局、私が解放されたのはもはや9時になろうという頃、やっと降り番となって、「ロメジュリ」を聴きながら帰り支度をするのでした。
 一人、駐車場まで降りてくると、4階の窓越しに「ロメジュリ」の音が聞こえてきます。窓を閉めていてもあれだけの音ですから、いくら冷房が壊れていたといっても、窓を開けたりしたらものすごい騒音だったのでようね。ただ、なんか迫力が足らないと思ったら、今日は打楽器の人が全員お休みだったのですね。
aventure number : 0821 date : 2006/8/22


今日の禁断 プラハ

 このところ、また暑い日が続いていますね。昼間は暑くてもいいですから、夕方になったら派手に夕立でも来てくれるとありがたいのですが、そんな気配は全くありません。本当にただ暑いだけの夏の終わり、どうにも救いのないものです。
 そんな、太陽の光などほとんど届かないような太陽系の彼方の世界で、今存亡の危機にさらされている「惑星」があるというのは、もうすでに大々的に報道されていますね。しかし、ほんの少し前「12個に増える」などといって大騒ぎしたのは一体何だったのかというほど、その動向は全く反対の方へ行ってしまっているのですから、すごいものです。こういうのを「コペルニクス的転回」と言うのでしょうか。もちろん、私がこの事態を予想していたのは、ご存じのはず。ちょっと前、18日に(もう、パスワードがないと見れませんが)私がここに書いたことがそのまま実現しそうなのですからね。今日の段階だと、その冥王星を残すか残さないか、という点だけが今では議論の対象になっているようで、あの時に「当て馬」として出してきた「セレス」などはもはやすっかり無視されているという印象、本当はどうなのでしょうね。ただ、泣いても笑っても、あと2時間ほどするとその結論が出てしまうのですから、明日の新聞は大にぎわいでしょう。しかし、こんな大きな、とても人間の手には余る問題を(だって、一番近い惑星にさえも、人間が実際に行ったことはないんですよ)、「科学者による挙手」で決めるというのもなんだかなあ、とは思いませんか?
 察するに、今この「挙手」の結果に一番やきもきしているのは、コリン・マシューズさんではないでしょうか。だれそれ? と思ったでしょう? この人こそ、ホルストの「惑星」に「冥王星」を書き足した作曲家です。前にも書いたように、今ではほとんど「冥王星付き」がスタンダードと化している「惑星」ですが、今回「冥王星は惑星ではない」という決定が出てしまったら、この曲の存在価値はなくなってしまいますね。はっきり言って、この曲はこれ1曲ではなんの魅力もないものです。「惑星」の中にあってこそ、生きていられるのであって、そんな後ろ盾を失ってしまえば、路頭に迷う他はありません。そうなった時に、一体誰が面倒を見てくれるというのでしょう。こんな数奇な運命を持つ曲なんて、逆に珍しいと、人気が出たりして。「6年間しか演奏されなかったクラシックの曲がある」とかね。これって、トリビアになりませんか?
 もっとも、まだ結論は出ていないのですから、これはあくまで仮定の話ですが。
aventure number : 0822 date : 2006/8/24


今日の禁断

 「冥王星問題」は、私の予想したとおりの決着を見ましたね。マスコミでは、もっぱら教科書会社が対応に追われている姿を伝えていましたが、もちろんホルストの「惑星」にまで言及しているところは皆無でしたね。当たり前といえば当たり前の話ですが。ですから、この問題がクラシック界に及ぼす影響については、これから徐々に明らかになってくる、ということになるのでしょう。さあ、これから「惑星」(しつこいようですが、ホルストが作曲したオーケストラのための組曲)を演奏する人たちは、どのような形でこの問題に立ち向かうことになるのでしょうか。あるいは、今まで「冥王星付き」でレコーディングしたものをリリースしていたレコード会社は、どのような対応をとるのでしょうか。まさか、「アイリス大山」のように、「商品に欠陥があることが分かりましたので、全製品を対象に回収し、新しいものと交換させて頂きます」みたいな謝罪広告を出したりはしないでしょうね。
 もちろん、マシューズの「冥王星」は欠陥でもなんでもなく、彼がこの曲を作った時にはまさかこんな事態になるなんて夢にも思わなかったはずですから、「運が悪かった」としか言いようがないものです。それでも、こんな「面白い」ことを実際に体験できるのですから、周りの人間にとってはこれほど「運の良い」こともありません。何と言っても、リアルタイムでこの歴史的な事件のフォローを見届けることが出来るのですからね。
 これは予想通りに事が運んだ例ですが、全く予想に反して事態が動いたという体験も、時を同じくして得たのですから、世の中は捨てたものではありません。実はこの前の「おやぢ」で、図々しくも自分が参加した演奏のプライヴェートCDを取り上げてあります。自分が参加しているCDで、このコーナーで扱ってもいいな、と思ったものは、例えばこの前の新田さんとのシベリウスとか、本当に内輪だけではなく、多くの人に聞いてもらいたい、と思えるようなものはありました。ただ、それではあまりにも客観性を欠いてしまうと思って、その時は差し控えていました。しかし、今回は、何と言っても録音が凄すぎました。今になって分かったのですが、この録音を担当した小貝さんという方は、吹奏楽の分野ではかなりの実績を上げておられた方なのですね。しかも、私自身、この方の名前をこのサイトで紹介していたことがあったのですよ。つまり、この方の名前を検索していたら、なんと私自身のサイトがヒットして、びっくりしてしまった、ということなのです。そんな予備知識がなくても、このCDを聴いたとたん、自分たちの演奏がこんな素晴らしい録音で残ったなんて、なんと幸福な、と思ったものです。そして、これだったら演奏には少し目をつぶってもらっても、他の人に聞いてもらう価値は十分あるのでは、とも思ったのです。そこで、レビューの中に連絡先などをリンクしておいたのです。もちろん、その時にはそれだけの価値があるということを表明したかっただけで、現実にこれを売り込もうなどと言う気持ちは全くありませんでした。いくら私が取り上げたところで、所詮はアマチュアのライブですからね。
 しかし、その「連絡先」の担当者から、実際に引き合いがあったという連絡をもらいました。これこそ全くの予想外の事態、またまたびっくりです。
 気をよくして、その担当者からのメッセージを。CDは多めに作ってあるので、希望には十分対応できますし、チケットがなかなか入手できないコンサートですから、ぜひ多くの方に聞いて頂きたい、ということです。よろしく。
aventure number : 0823 date : 2006/8/26


今日の禁断 大仙市

 毎年この時期に行われるものに、大曲の花火大会がありますね。毎年BSなどで生中継されているので、楽しみにしていたのですが、今年はハイビジョンでの放送、その同じ時間にBS2で「寅さん」をやっているので、見ることは出来ませんでした。1週遅れで再放送されますから、別にいいのですがね。ただ、そちらの方はNTSCですから、画質的には1ランク落ちてしまいます。しかし、幸いなことに、私の家にはハイビジョン用のディスプレイなどはありませんから、どちらで見ても全く変わりはありません。そう、ハイビジョンは、液晶とかプラズマの専用の画面で見てこそのもの、未だに25インチのブラウン管を使っていたのでは、そんな恩恵にはあずかることは出来ません。悔しいなー。
 しかし、いつまでもそんなことは言ってはいられません。なにしろ、あと5年もすると地上波のアナログ放送が終了してしまいますから、その時にはもはやブラウン管は使えなくなってしまうのですからね。って、本気にそう思いこんでいる人を見かけても、笑わないようにしましょうね。いかにもありそうな話ですからね。もちろん、これは間違い、ブラウン管自体はアナログであろうがデジタルであろうが使えることは言うまでもありません。
 ところで、この花火大会、毎年のことですがその人出はものすごいそうですね。こちらの商工会議所のサイトで、「注意事項」というのがあるのですが、それを見るとまさに「悲鳴」に近い訴えが聞こえてきます。なにしろ、4万人足らずの人口の町に一晩で70万人もの人が押し寄せるのですから、無理もない話です。道路なんかはほとんど麻痺状態になってしまうそうですし、なにより切実なのはトイレ。なんと「1時間待ち」ですって。つまり、「行きたい」と思って並んでも、実際に用を足せるのはその1時間後、しっかり計画を立てて並ばないことには「間に合わなく」なってしまうことも有りうるということですね。暗くて分かりませんが、雄物川は真っ黄色になっていたことでしょう。
 花火の放送から一夜明けて、昨日の朝はたまたま「題名のない音楽会」を見てしまいました。出ていたのは葉加瀬太郎、ごく普通のスタンスでモーツァルトのコンチェルトを弾くというので、まあ楽しめるかな、と思って見始めたら、それはとても「楽しめる」などという次元のものではありませんでした。この人、「ヴァイオリニスト」ですよね? プロの。でも、聞こえてきたのは、どうひいき目に見てもアマチュアのレベルの音、音程は定まらないし、指は回らないし、ほんと、もしこんな人がコンサートに現れたら、私は間違いなく席を立ってしまいそうなひどい演奏でした。
 今、「クラシック」がブームなんだそうですね。この人あたりは、そんな中で最も支持されているアーティストのはずです。ということは、この程度のものを「クラシック」だと思って嬉々として聴いている人が沢山いる、ということ、これはちょっと恐ろしいことではないでしょうか。とても「クラシック」とは言えないようないい加減な演奏しか聴く機会がなく、本当に素晴らしい演奏に巡り会えないのであれば、そんな「ブーム」には、なんの意味もありません。というか、聴衆も含めて「クラシック」をなめきっている風潮には、怒りさえ覚えます。
aventure number : 0824 date : 2006/8/28


今日の禁断 アンケート

 きのうは、練習が終わってから技術委員会、帰ってきたのが12時ごろでしたから、とてもそれから「禁断」を書く元気はなく、昼間のうちに作っておいた「おやぢ」をアップしてお茶を濁しました。というわけで、今日が「練習禁断」となります。
 一月以上の間隔が空いたあとの、新田さんとの練習です。しかし、最初に予定されているのがグラズノフだというのに、ピッコロ担当の人が音出し間際になっても現れません。遅くなる時には必ず連絡をよこすので、間違いなく来るはず、とは思っていても、一抹の不安はよぎります。最悪、私がピッコロを吹かなければなるかも知れないと、とりあえず音だけでも出しておこうと楽器をセットし、二息ほど吹き込んだところで、ピッコロちゃんが駆け込んできました。よかった、よかった。この曲のピッコロを初見では、ちょっと大変なところでしたからね。

 新田さんは、黒いTシャツに黒いパンツという、ボーイッシュなスタイルで、久しぶりのご対面です。そのグラズノフ、最初の練習となるわけですから、いろいろとまどいが、まずヴァイオリンが指揮のビートが分からなくて捕まってしまいます。それでも、何とか最後まで通してみました。私はヴィオラの席が空いていたので、そこに座って聴いていたのですが(ついでに写真も撮りました)、自分で吹かないである意味冷静に聴いていると、これはかなりすさまじい演奏であることが分かります。みんな、とりあえず勝手気ままに弾いているという感じ、お互いに聴き会っていないことがミエミエでした。
 ところが、そのあとで新田さんが、どのパートが重要で、どのパートが飾りか、ということを説明して演奏が始まると、全く音楽が変わってしまうのですから、すごいものです。ゴチャゴチャでとらえどころのなかったものが、スッキリまとまってくるのですからね。アンサンブルなんて、ほんのちょっとしたことで、ガラッと変わってしまうものなのですね。音のイメージも、「最初のオーボエは、ボロディンやリムスキー・コルサコフのように」といわれただけで、とてもはっきりしたものを感じることが出来ましたし。
 後半のブラームスは、4楽章がメイン、ここでも、アンサンブルの重要性を、嫌と言うほどたたき込まれます。思いがけないところでのパート同士のつながり、新田さんのヒントを元に、もう1度スコアを見直して確認です。本当は、他の楽章も一通りやりたかったのでしょうが、平日の練習時間帯では、あとは1楽章を見るのが精一杯、心残りでも、練習は終わらせなければなりません。あとは、来週の土曜日の集中練習ですね。
 きのうは、チケットも渡されて、いよいよ本番モードに突入です。トップページでチケットプレゼントも始まりましたので、奮ってご応募下さい。いえ、別にたいしたことではなく、このサイトの感想を1行以上書いて頂ければ、チケットをお送りしますよ。
aventure number : 0825 date : 2006/8/30


今日の禁断 青葉区

 火曜日の練習の時に渡されたのは、チケットだけではありませんでした。例によって、「広報係」としての私の仕事となるポスターとチラシが、大量に(本当にすごいボリュームと、重さです)渡されたのです。その場で、いつも手伝ってくれる人に少しずつお願いして、いよいよ今回も「ポスター貼り」作戦の始まりです。
 私の担当は、街中と郊外という、両極端にわたっています。まずきのうは、その内の「郊外」を中心に回ろうと思いました。お天気もよかったですし。そう、いつになく爽やかな空のもと、半年経った新車の窓を開け放って、新鮮な空気をいっぱいに吸い込みながらドライブに行こうと思い立ったのです。ただ、「窓を開ける」というのには、必ずしも風に気持ちよくなるというのではなく、エアコンをつけないで、少しでもガソリンを節約しようと言う根性が働いていたことは、正直に告白しなければならないでしょう。この新車、オートマティックのトランスミッションが、10年前のものとは格段の進歩を遂げていて、ロスの少ない無段変速になっています。そのため、加速などはとても滑らか、大きな道路ではついついスピードが出すぎてしまいます。それだけではなく、ロスが少なくなった分、燃費が非常に良くなっていたのです。今までの15%増しぐらいでしょうか。ですから、多少ガソリン代が上がったとしても、なんの苦にもならないはずでした。しかし、このところの高騰は、とてもそれでは吸収できないほどのものになっていましたね。そうなってくると、少し涼しい時にはエアコンを切って窓を開け、ガソリンの消費を抑えるということしか出来ることはありません。そんなわけで、多少の暑さは我慢して、まずは愛子へ向かうのでした。
 しかし、北環状線を過ぎて西道路へ入った頃になると、吹き込む風がなま暖かいものになっていました。風が当たって涼しくなるどころか、もろに熱風が体に吹き付けるのです。道路脇にある温度計は30度を示していました。これが我慢の限界、もはや、私の体はエアコンなしでは耐えられないようになまってしまっていたことを悟るのでした。
 愛子の広瀬文化センターに着いてドアを開けると、まるで温風乾燥機の中(実際に入ったことはありませんが)のような熱気がまとわりついてきます。この分では、今朝外に干してきた洗濯物も、良く乾いていることでしょう。
 西の外れの愛子から、南の外れの長町へ向かいます。いつもなかなか行けなくて後回しになっている太白区中央市民センターを、勢いに乗ってまず片づけてしまおうという魂胆です。そのあとは、若林区中央市民センターです。長町から行くには、4号線を上って荒町に入るのが順路になるのでしょうか。しかし、地図を見てみると、河原町から入ると、荒町の先の三百人町にすぐ入れるという道があるのを発見、行ってみると、確かに荒町から来るのとは反対からの道でした。一つ新しい道を見つけてしまいましたよ。
 そのあとは、いつもの通り連坊小路へ抜けて東口へ通じる広い道路経由で、宮城野区中央市民センターです。しかし、なぜか、ポスターを受け付ける「情報センター」(だったかな)には、シャッターが降りています。なんと、月末の棚卸しで休業ですって。とんだ誤算でした。
 めげずに、宮城県図書館まで行ってしまいましょう。これで、一日で5区制覇です。
aventure number : 0826 date : 2006/9/1


今日の禁断 コンポジション

 ニューフィルの団員専用の掲示板に、ふときのう立ち寄ってみたら、なかなか面白い書き込みがありました。団員の方は、是非一度アクセスしてみて下さい。「1週間」という期間限定で、秘蔵の禁断ファイルがダウンロード出来るようになっています。いえ、そんな怪しげなものではなく、練習に必ず役に立つ音声データですから、ご安心を。念のため、「ダウンロード」をただクリックすると、保存場所が分からなくなってしまいますから、WINDOWSの場合は右クリックして、メニューの中から「対象をファイルに保存」を選び、デスクトップに保存しましょう(別に、どこでもいいのですが)。以上、ニューフィル関係者だけのための連絡事項でした。
 それはともかく、去年の今頃の「禁断」を読み返してみると、大汗をかきながら合唱の練習に精を出していたことが分かります。今年も、同じ頃に演奏会があるので、やはり週末にはその練習が入ることが多くなってきます。ただ、いろいろの事情があって、去年とは大幅に練習の体制が変わってしまいました。そのせいで、会場はきちんと冷暖房が完備したところを使えるようになったのが、まず、嬉しいところです。そして、メンバーも、本当に心から参加したいという人が集まるようになって、練習の雰囲気が大きく変わっているのも楽しいものです。もちろん「楽しい」ということの裏には「厳しさ」が足りない、という現実が潜んでいるということになるのですがね。でもいいんです。本番が近づいて東京のメンバーと一緒にやる頃には、きちんと本番の指揮者によってしごかれることになるのですから、今のうちは和気藹々とやっていましょう。
 それにしても、男声の曲に決まったさる「難曲」を、今日初めてやってみたのですが、これはさすがにヤバすぎ。私などは、練習でやればいいと、ろくすっぽ予習もしていませんでしたから、ほとんど音が取れませんでした。確か、去年は練習前に必死になって音を取っていたはず、こんなことではいけません。次回までには、完璧に歌えるようにしておこうと、固く心に誓うのでした。
 夕食は、例のコンクール事務局の知り合いと一緒に外食です。「ココスがいいわ」というのですが、最近改装したところはどこも遠すぎ、仕方がないので、一抹の不安はありますが、吉成の、古くて薄汚いところに行ってみましょう。そんなに汚いからお客さんが来ないのか、お客さんが少ないからきれいに改装することが出来ないのかは分かりませんが、ここは、いつ来てもお客さんがあまりいません。店員もなんか活気がなく、うちのテーブルに運んでくるべきものを他のテーブルに持っていったりしています。メニューで大々的にお薦めしていたとんかつを頼んだのですが、これが最悪。とんかつには眼のない私は、もちろん、本当においしいものを食べたい時には「さくらや」に行くのですが、こういうファミレスでも、一応食べてみることにしています。大体どこでも、それなりに楽しめるもの(嘔吐屋のはいけました)なのですが、ここのはどうしようもありません。とんかつ云々を議論する前に、まず「食事」としての水準を全く満たしていないものなのですからね。肉はとんでもないクズ肉、それを、真っ黒になるほど「こんがり」揚げてあるだけ、そこには、料理をした人の「心」など、全く感じることは出来ませんでした。
 本当は「キャラメルクレープ」を食後に食べようと楽しみにしていたのですが、それは別の店に行った時にしようと、またまた固く心に誓うのでした。
aventure number : 0827 date : 2006/9/2


今日の禁断 小惑星

 きのう街に行ったついでに、CD屋さんなどにチラシとポスターを置いてきました。最初にレコライに行ったのですが、表に看板が出ていないので、ちょっと不安。エレベーターでショップのある3階へ上ってみると、フロア全体が真っ暗、そういえば、レコライは日曜日はお休みだったんですね。この前も日曜に来て、引き返したことがあったのでした。ただ、入り口の感じが何だか変わっていたのが、ちょっと気になります。まあ、あとでもう一度来てみましょう。
 そのあとは、HMVと新星堂です。ポスターは問題なく置いて来れましたが、店頭でちょっと面白いことが起こっていました。つい最近発売されたホルストの「惑星」の新譜(指揮はラトル)が、国内盤だけ「売り切れ」になっていたのです。この「惑星」は、「冥王星」付きのバージョン、おそらく今簡単に手に入るもので「冥王星」が付いたものはこれしかないはずですから、このところの「冥王星騒ぎ」で思いがけない脚光を浴びたのかも知れませんね。もちろん、これが発売されたのはこの騒ぎの前のことですから、メーカーもこんな事態は全く予想はしていなかったことでしょう。普通のペースでプレスをしたら、とても間に合わなくなって、泡を食って増産しているところなのかも知れません。ほんとに、何が原因で「ヒット」するのかなんて、誰にも分かりませんね。この分だと、逆に「冥王星」を付けてヒット狙いで新録音を出してくるメーカーも出てくるかもしれません。「ネッスン・ドルマ」よもう一度、という魂胆でしょうか。
 さて、ポスター貼りばかりに精を出しているわけにもいきません。いよいよ「かいほうげん」も本腰を入れて作り出さなければいけない時期になってきました。きのうまでは、全く具体的なイメージは出来ていなくて、今日から材料を点検、割付を考えて足らない物を用意しようと思っていました。そうしたらお昼頃、何だかやたらと重たいメールが届きました。開いてみると、WordファイルとPDFが添付されていますが、なんと全く同じものが5通、重たいはずです。なにかの手違いなのでしょうが、一体何が届いたのかと思ってしまいましたよ。それが、嬉しいことに「かいほうげん」用の原稿だったのです。しかも、しっかり写真なども張り付いた「完成品」で、4ページもありました。そう、もしかしたら覚えている人もいるかもしれませんが、去年も同じようにやはり完パケを送ってくれたあの人だったのです。「かいほうげん」はWordで作っていますから、私は何もしなくても、4分に1がすでに、この時点で出来上がってしまいました。ありがたいことです。
 それから、必要なものを調べてみたら、もうすでに16ページ分の素材はすっかり揃っていることが分かりました。穴埋め用にと、前から作っておいた(というか、このサイト用に作って、すでにアップしてあるもの)コンテンツは使わなくても済んでしまいましたよ。これで、あとは、この間の練習の時に休んでいた新入団員の方の写真を明日1枚だけ撮れば、めでたく全ての素材が整います。もし来なかった時は、「アイコラ」でも作ってみましょうか。
aventure number : 0828 date : 2006/9/4


今日の禁断 ベルリオーズ

 写真撮影は無事終了しました。これで、白い地に「NOW PRINTING」とか「SOON AVAILABLE」といった間に合わせの画像を掲載しないで済みます。お楽しみに。何たって、新入団員だけで6人ですから、久々の2ページ立てとなるわけです。壮観ですよ。
 今日の練習では、ファーストに何だか見慣れない人がいました。いつの間に入ったのでしょう。最近は弦だけの練習もなかったので、紹介されていれば分かるはずなのに。まあ、いずれ「入団希望者」のリストが届くのですから、その時にはこの謎は判明するに違いありません。つまり、こういう団員の出入りに一番敏感であるはずの私でさえ把握できないほどの「入団ラッシュ」が続いている、ということです。
 でも、フルートパート、今日は少なかったでしょう? 前半のブラームスで2人というのはいつものことですが、後半の「ロメジュリ」になってもその面子のままだったのですから、私としては久しぶりの「全乗り」になってしまいました。いろいろ都合があって欠席者が出てしまったのですが、「ロメジュリ」の1番担当の人は、今度の土曜日も休まなければならないということなので、私が代吹きをしなければなりません。ですから、私にとっては代吹きの予行練習という感じになってしまいました。このパート、前にも1度やったことがあったのですが、その時はほんとの「初見」でしたからかなり悲惨なものでした。それに比べれば、今日はかなり余裕を持って吹けたな、という気はします。しかし、最初の木管のアンサンブル、他の人がやった時にも「高い、高い」と言われていたので、めいっぱい低く吹いたつもりなのですが、面と向かって座っているその人が、やはり「高すぎる」というサインを送ってきました。うーん、難しい。
 先週の技術委員会では、来年春の定期演奏会の曲目を検討したのですが、その中の何曲かを絞り込んで指揮の工藤さんに打診したものが帰ってきたということで、休憩時間には臨時の技術委員会です。工藤さんは大規模な曲の方が良いという感触でしたので、どうやらその方針でまとまるみたいですね。しかし、この時期の演奏会は、やはり東京での合唱の演奏会が重なりますから、本番当日に指揮者練習が入らなければいいのですが。まあ、その時は今年のように負担の少ないパートを選ぶことになるのでしょうか。まだまだ、先の話ですが。
 しかし、考えてみれば、今回のパートは、何ごともなければ1曲だけに専念していればいいのですから、楽なように思えますが、今日みたいに代吹きが入ってくると、実はかなり大変なものであったことに気づきます。下手をすると、ブラームスの2番(フルート)以外の全てのパートを吹かなければならないことになってしまうのですからね。現に、もうすでにその半分はやってしまいました。土曜日にはグラズノフのピッコロもやりますから、もしかしたら本当に「全パート制覇」が可能になるかも知れませんよ。ブラームスの2番だって、昔本番で吹きましたから。
aventure number : 0829 date : 2006/9/5


今日の禁断 レオタード

 劇団四季が、「コーラス・ライン」を持って全国巡業を行っています。そしてその最終地が仙台、今日から11日間のショート・ランを県民会館で行います。前に書いたように、この演目はかなり人気があるようで、チケットは早々とソールド・アウトになっていましたし、そのために追加公演が入ったりもしていました。もちろん、これはブロードウェイのミュージカルなわけですが、映画にもなっていますから、その映画を見た人がステージも見てみたい、と、この盛況となったのでしょう。
 私も映画は見ていましたから、大いに期待をして、この初日の会場に足を運ぶことになるのです。ただ、映画を見たのはだいぶ前のことですから、ほとんど細かいところは忘れてしまっています。音楽も、一番有名な「One」以外は全く記憶に残っていません。ほとんど初めて見る感じで、舞台に臨みます。
 物語の大筋は、覚えていました。コーラスのダンサーを選ぶオーディションの中で、それぞれのダンサーの過去を語る、というお話でしたね。しかし、映画ではそれなりに引き込まれるものがあったような印象だったのですが、このミュージカルではなにかそのドラマの部分からは退屈な印象しか与えられません。というか、登場人物が多すぎて、誰が誰だか分からなくなってしまうのです。特に、今回は3階席で見ていましたから、顔なんかほとんど分かりませんし(その分、体つきがかなり強調されてはいましたが)。そもそもこの話は、かなりシニカルなものではないでしょうか。一番の見せ場、最後に合格者が決まる場面でのとてつもなく意地悪な演出家の仕打ちが、それを端的に象徴しています。有名な話ですから、バラしても構わないでしょうが、「次に名前を呼ぶ人は、一歩前に出て下さい」と言われて、呼ばれた人は本当に嬉しそうに前へ出てきます。そして全員が呼ばれた時に、「その人たちは不合格です。帰ってよろしい」と言われるのですからね。
 その意地悪な役が、映画ではマイケル・ダグラス、何ともニヒルで、「いかにも」という感じがありました。しかし、今回の加藤さんは、ちょっと「いい人」過ぎやしませんか?そう、ずっと感じていた退屈な思いというのは、加藤さんだけではなく、出演者全員がそんな「ダーク」な思いをきちんと表現出来ていなかったことから引き起こされたのではないかと、今気が付いたところです。特に、あの「新劇調」のセリフは、あまりにも明るすぎてこのミュージカルの世界にはそぐわない気がしてしょうがありません。
 それと、一部の人を除いて歌があまりにひどいのにも、ちょっとがっかりしてしまいました。もっとも、その分踊りにはかなり力が入っていたのでしょうから、それで差し引きゼロ、でしょうか。確かに、あれだけの踊りと歌を両立できる人は、なかなか居ないのでしょうね。
 シニカルな内容を引きずったように、エンディングも盛り上がらないでいつの間にか終わる、というちょっと寂しいものでした。あまりにひねくりすぎて、素直には楽しめない作品だな、というのが正直な印象です。
aventure number : 0830 date : 2006/9/8


今日の禁断 中野栄

 実はきのう、ブログの方で累積のアクセスが3万になったのですが、別のネタがあったのでそちらを優先させました。これが、きのうのアクセスレポートです。

 なんと、1日のアクセスがその日だけ200を超えていますね。これはなにかの間違いでしょう。というか、最近は一時なりを潜めていたトラックバックのスパムが連日のようにありますから、その影響かも知れませんし。ただ、スパムが来たのはこの日だけではないので、もしかしたら本当にアクセスがあったのかも知れませんがね。とりあえず、前回3万を達成したのが4月の20日だったので、1万とるのに4ヶ月半、その前の1万は5ヶ月半だったので確実に増えてはいるのでしょう。連日200もあったら、すごいのでしょうがね。
 そんなネット上のバーチャルなことはさておいて、今日はいよいよ半日を使っての指揮者練習です。今まで普段の練習日に細々とやっていましたが、ここで集中的にディープな練習となります。ただ、会場がアクセルホール、もちろん新田さんはここは初めてですが、どんな印象を持たれることでしょう。
 道が混んでいたので、ホールに着いた時にはもう椅子もセットされて、かなりのメンバーが集まっていました。所定の位置に座ってみると、スポットライトがあたってまぶしくてしょうがありません。というより、そのライトの熱でかなり暑くなっています。これはあとで気が付いたのですが、しばらく離れてからまた座ると、椅子や、その上に置いてあった楽器がこんがり焼けて・・・ではなく、ほんのり温かくなっているのです。これもあとから知ったのですが、ここは空調を入れるとすごい音がするのですね。それで、冷房も入っていませんから、暑いのなんのって。
 それよりも、やはりこのホールの音響は新田さんには辛かったようですね。最初ワルツを通してみたあと、遠くの楽器が全然聞こえないので少し前に出てくるように指示を出していましたっけ。
 前にも書いたように、今日は代吹きが入ったので、全部の曲を吹いてしまいました。前半のワルツのピッコロとロメジュリの1番を吹いただけで、暑さのせいもあってもう疲労は極致に達していましたよ。やはり年ですかね。ですから、後半の、本来の出番のブラームスでは、なにか集中力が途切れる瞬間が多くて、つまらないミスが続出してしまいました。2楽章で、お世辞でしょうが「管楽器が良くなっていました」と言われたのが、唯一の救いでしょうか。
 広報係の仕事として、ここにもポスターとチラシを持ってきました。この前来た時には2階のボードに「勝手に貼っておいて」と言われたのですが、一応御挨拶を、と事務所に行ったら、この前とは別の女の方が「お預かりします」と言って持って行ってしまいました。その人がその2階のボードに貼ってくれるのでしょうね。と思っていたら、休憩の時にサロンのようなところに行ったら、そこの一番目立つところに貼ってあったではありませんか。事務所を通すと、本当はここに貼ってくれるんですね。これからは、そうすることにしましょう。
aventure number : 0831 date : 2006/9/9


今日の禁断 エマイユ

 きのうと今日は、定禅寺ストリート・ジャズフェスティバルが開催される日です。きのうは練習に行く途中にチラッと市役所前を通ったので、盛り上がっているな、と分かりました。45号線へ行くために東へ向かって、かつて「レジャーセンター」などというものがあった本町公園のそばを通ったら、そこでもやっていたので、「定禅寺じゃないじゃん」と思ったものです。西公園から駅前まで、幅広くやっていますし、ループバスが会場の間を通っているぐらいですから、ほとんど街中全域でやっている、という感じでしょうか。もちろん「ジャズ」というのも、今では単なる記号に過ぎません。確かにビッグバンドやジャズコンボもありますが、沖縄音楽やらゴスペルまで含めるのですから、「ミュージック・フェスティバル」と言っても構わないくらいです。もちろん「クラシック」でエントリーしている人もいますし。
 ですから、実際にそれを味わうのは、今日になってからになるのですが、その前に、もう一つの予定がありました。それは、モーツァルトの「レクイエム」のコンサートです。ついこの間チェコのオペラハウスの演奏を生で聴いたばかりだというのに、今度はアマチュアの演奏です。どんなものでも「レクイエム」でありさえすれば、私にとっては価値のあるものなのですから、まずは、それを味わってみましょう。
 会場は青年文化センター。ホールの駐車場は当然満車でしょうから、隣の市民センターの駐車場に並びます。待っている間に目に付いたのが、いつもここに来るたびに気になっているこの看板。これ、絶対「テナソト」ですよね。

 このコンサートは、出来たばかりの合唱団の最初の定期演奏会だそうです。それでこの曲とは、かなりの意気込みが感じられます。それは、ほとんど、この合唱団と、今日もその伴奏で参加しているオーケストラを立ち上げた指揮者の意気込みなのでしょう。と言うのも、今日の演奏にはこの合唱団の他にもう一つ、やはりこの指揮者の方が関係している「なんたら」と言う合唱団が「賛助出演」しているのですが、名簿を見てみると本体よりもそちらの方が多いのですよ。まあ、でも、プログラムのライナーを書いているのはこの合唱団の人のようですから、かろうじて主体性は確保していたのでしょう。その解説の中で「バセットホルンとファゴット」などと書いてありますから、ちょっと期待をしてしまいますが、アマチュアでそれはあり得ないこと、実際、このオケはクラリネットを使っていました。
 合唱は人数が多いので、かなりの音が出ていました。特に、男声は立派、あるべきところであるべき音がしっかり確保できていたのではないでしょうか。それに比べると、女声はかなり見劣りがします。まあ、アマチュアですから。ただ、バリバリのプロである指揮者の方の音楽が、えらくアマチュアっぽいのはちょっと気になります。この曲であんなに盛り上げてどうするのだ、と。ですから、真に「プロ」として聴けたのは、アルトのソリストだけでした。
 アンコールも聴かずに(「アヴェ・ヴェルム・コルプス」をやることは分かっていましたから、ちょっとそれはこのメンバーではご勘弁願いたいと)会場を出て、地下鉄で「定禅寺」へ向かいます。いつものような、本当にやりたいことをやっている人たちの、あふれるばかりのグルーヴ、これは、たとえアマチュアでも決して失望させられることはありません。
aventure number : 0831 date : 2006/9/10


今日の禁断 エキサイト

 きのうの練習は、分奏の日でした。いつもの通り木管だけ「会館」でやるのだろうと思って行ってみると、ちょうど車がやってきました。それは「○ンツ」。木管でそんな車に乗っている人はいないので不思議に思って中に入ると、ホルンのKさんが椅子を並べていましたよ。どうやら、木管とホルンが一緒にやるということに話が進んでいたようですね。だから、この車のオーナーのUさんも来たのですね。指揮も、わざわざ練習指揮者を呼んで、きっちりやるという体制になっていました。これは新機軸。ただ、木管だけで合わせたいところもあるという事で、この編成では最初の半分だけ、ということになりました。主にホルンと絡む部分を中心に、頭からチェックしていきます。なかなかこういうことを集中してやる機会はありませんから、ちょっとしたことがほんの少しの注意で見違えるようになってしまったりと、なかなか有意義な練習となりました。
 そちらに結構時間を使ってしまったので、木管だけでのいつも合わないところの確認はほんの少しだけで終わってしまいました。こういう練習を、出来ればもう一度やった方が良いという声もあり、もしかしたら別に時間をとって木管だけの練習を行うということもあるかも知れません。確かに、これはぜひ必要なこと、というか、週1回の練習だけで、パートも全体練習もカバーするというのは、本来物理的に無理なことになってきているのかも知れませんね。トゥッティは毎週、そのためのパート練習を適宜行う、ぐらいのことをやらなければ、ちょっと辛いところまで来ているのかも知れません。まあ、どこまで望むのか、という問題になってくるのでしょうが。
 ネットの世界では、状況に応じて「改革」を行う、というのは当たり前のことです。最近のブログの隆盛は確かにめざましいものがありますが、ブロガーが増えるに従って、スパマー(スパムを送りつける人のことを、そういうのだそうです。初めて知りました)が増えるというのは、当然予想が出来たことでした。なにしろ、ネットほど堂々と犯罪まがいのことをやれてしまう場もありません。人の迷惑も考えずに、自分の欲望だけを垂れ流しにする「犯罪者」は後を絶ちません。そこで目を付けたのが、ブログのトラックバックです。本来は、同じ情報を共有するために相手のブログに自分のブログをリンクさせるというコミュニケーションのためのツールなのですが、この機能をそれだけで終わらせるようなもったいないことをする「犯罪者」ではありません。ところ構わず、自分のエロサイトや通販サイトに誘い込むトラックバックを送りつけることになるのです。身をもって体験してみると、これはすごいものがあります。ある時などは一晩に50件以上のトラックバックが届いているのですからね。トラックバック自体は必要なものですから、それを遮断するわけには生きません。スパムが来るたびに、一つ一つ削除するという、手間のかかることをずっと続けてきましたよ。
 さすがにそれも嫌気がさしてきたので、前から私が加入しているブログにはあった「リンクしていないところからのトラックバックは受け付けない」というフィルターを使ってみる気になりました。これでしたら必要なものは受け付けられるはず、もちろん、新規のものはリンクなどしていないでしょうから、それはちょっと問題でしょうが。
 ところが、今日になって、新たに「半角文字だけのトラックバックは受け付けない」という機能が使えるようになったではありませんか。これは、他のブログではとっくにやっていること、遅きに失した感はありますが、これでしたら、普通のものはきちんと受け付けて、スパムはほぼ完璧に遮断出来るはずです。なんでも、トラックバックの9割はスパムだとか。便利なものをとことん悪用する「犯罪者」は、決してなくなることはないのでしょうね。そして、いたちごっこという名の「改革」は、とめどもなく続くことになります。
aventure number : 0832 date : 2006/9/13


今日の禁断 カラフ

 62万のキリ番は、夕べの11時頃に出ました。まだお申し出はないようですが、この頃にアクセスしていた方、お知らせ下されば。
 この前、WOWOWで「トゥーランドット」をやっていました。と言っても、もちろんこの局ですから、オペラの舞台を放送していたわけではありません(昔は結構やっていたものですが。全く出演者のコメントのない「シチリア島」とか)。原題を「The Turandot Project」という、ドキュメンタリー映画です。だいぶ前にメータの指揮するこのオペラを、北京の紫禁城で上演するという噂を聞いたことがありますが、その時の模様を記録したものだったのですね。
 映画は、その前段階、フィレンツェで、中国の映画監督、チャン・イーモウが演出を手がけるプロダクションの模様が描かれます。この監督を指名したのはメータ、もちろんその時には紫禁城での上演も計画されていましたから、中国人にアピールするための人選だったのでしょう。ただ、同じ演出とはいっても映画とオペラとでは全く異なる能力が必要となってくるのは当然のこと、このあたりではこの監督の無能な面だけが強調される撮り方になっています。なにやら、瓦屋根みたいなものを合唱団に持たせるというのも、アイディア倒れになっているような違和感しかありません。中でもおかしかったのは、リューがトゥーランドットの髪に刺してあったかんざしを引き抜いて、それで喉を突いて自殺するというアイディアです。しきりと、これは中国人にしか思いつかない発想だ、みたいなことを言っていましたが、ちょっとこれは・・・という気がします。もっとも、紹介されていたのは断片的なシーンだけですから、きちんと連続した舞台を見れば、それなりの必然性を感じられるのかも知れませんが。
 そして、その後、いよいよ北京での野外上演の模様です。フィレンツェのものをそのまま持っていくのだと思ったら、衣装も演出プランも、全く別のものになっていたのですね。野外、しかもそもそもオペラの上演には不向きな建物の前で行うわけですから、それも当然のことでしょう。こちらの方は階段に合唱団を配置したり、軍隊を動員して群衆を沢山用意したりと、とんでもなく大がかりなステージとなっています。そして、ここで中国人の監督は、異常なまでの張り切り方を見せることになるのです。世界中の人が見に来るプロジェクトですから、大いに母国中国をアピールしようというのです。セットを動かすスタッフに向かって「きっかけが遅れれば中国が笑われる」と、檄を飛ばす始末です。
 その流れで、この映画の中での最大のクライマックス、その監督と、照明監督のイタリア人との対決が描かれます。イタリア人の用意した照明プランに、監督は不満を隠せません。「もっと明るくないと、せっかく作った中国の衣装が引き立たない」と。しかし、イタリア人はあくまで芸術的な見地から、彼の照明にこだわります。最終的に渋々イタリア人は明るくすることに同意するのですが、裏へ回ってのインタビューでの監督への憎悪には、とことん厳しいものがありました。ところが、雨が降ったためにリハーサルが流れてしまい、結局テストが出来ないので照明はもとのままでやるとなったときの、このイタリア人の「してやったり」という表情は見物でした。それに対して監督の何とも悔しくてしょうがない様子は、まるでこの監督の人間性まであらわしているようなものでした。
 映画では、オペラの最後のシーンをクライマックスに用いていましたが、それは「Nessun dorma」の大盛り上がりで終わっているのですね。アルファーノ版というのは、こういうものだと始めて知りました。なにしろ、私が見たDVDでは、このエンディングはベリオ版のもっと上品な終わり方でしたから。この監督は、もちろんベリオ版なんて絶対使わないはずです。
aventure number : 0833 date : 2006/9/15


今日の禁断 メータ

 前回の「禁断」はたまたま見た映画のことを書いたのですが、実はまさに今、その同じプロダクションのフィレンツェ歌劇場(という劇場は実際にあるわけではなく、正式には「フィレンツェ5月音楽祭」)の演目「トゥーランドット」が上演されているのですね。びっくりしました。もちろん、そんなものを見に行く時間もお金もない私は、少し早めなのですが、髪をカットに行くぐらいのことしかできません。定期演奏会の時に長からず短からずという状態にしておくためには、この時期に行っておかないとまずいので、いつになく早いペースで美容院に行くことになってしまいました。例によって、シャンプーから始まりますから、別のブースにあるシャンプー台へ行かされます。そこで店内に流れている、おそらく有線でしょう、BGMを聴くとはなしに聴いていると、何だかBGMにあるまじき不思議な音がしているのに気づきました。それはピアノのソロのようなのですが、まるでプリペアド・ピアノのように、不思議な変調がなされた音だったのです。どうやらジャズのようですが、ハービー・ハンコックみたいにピアノにそんな処理をして弾いているのか、あるいはシンセなのか、いずれにしても美容院で流すBGMにしてはぶっ飛んだセンスだな、と思って聴いていました。しかし、そのうちに、曲が変わってボーカルになると、その声もやはり同じような変調がかかっているではありませんか。うすうす気づいてはいたのですが、これはそういう音楽がかかっていたのではなく、装置の方に何らかの問題があって、そんな変な音になっていたのですね。とりあえず、このブースだけでそうなのであれば、それはスピーカーが悪いことになります。エッジのウレタンがくたびれてしまったとか。しかし、カットのために鏡の前の別の席に移っても、その音は同じままでした。そうなると、原因は有線のデコーダーかなんかの電気的な不良ということになります。有線の仕組みというのはよくは知りませんが、スクランブルのようなものが完全に解除されないとこんな音になるんではないか、という気がします。
 そこで、熱心に私の髪を梳いている、このお店の最古参の美容師さんに「これ、有線の音が悪くなっているので、言った方が良いですよ」と言ってあげました。美容師さんも、「そういえば、他のお客さんにも言われました」とは言うものの、「あまりよく分かりません」ですって。私は、2ヶ月前にここに来たときに、すでにこれには気づいていました。そこに1日中いる人が気づかないなんて。普通の人の耳なんて、そんなものなのでしょうかね。
 そんな話をしているうちに、なぜかその美容師さんは「仙台には、ちゃんとした設備のホールがないんですってね?」なんて言い出しました。そういうことは、われわれクラシックに興味のある人たちの間ではすでに常識ですが、それはごく限られた世界の中での「常識」だと思っていましたから、これにはちょっと驚いてしまいました。こんな、自分の店に流れている音の欠陥も気づかないような人でさえ、仙台にはまともなホールがないということを話題にするぐらい、それは広範な人の間に浸透しているのでしょうか。「長町あたりに作るという話でしたよね?」と、断片的な知識も持ち合わせているようでした。
 そこで私は、音楽ホールとして不可欠の3要素、収容人員、音響特性、オルガンの有無について、しっかりレクチャーしてあげましたよ。それらを全てクリアするホールは、ちょっとした都市には必ずあるようになったのに、仙台には一つもないということ、それを作るという計画もあったのに、それは「白紙撤回」されてしまったことも、もちろん付け加えました。
 ところで、東北大学の記念講堂をコンサートホールにリニューアルするという計画は、一体どうなっているのでしょう。
aventure number : 0834 date : 2006/9/17


今日の禁断

 きのうは、劇団四季の「コーラス・ライン」の千秋楽でした。今回は全国をまわる公演、それこそ1回しかやらないようなところもあるので、そういうところは初日=千秋楽ということで、お客さんは2度楽しめるのですが、仙台では11日の連続公演、その両方を味わおうと思ったら、2回行かなければなりません。というわけで、初日に続いてこの日もやってきました。
 普通、千秋楽というと大入り袋とか出るのですが、そういったものは何もありませんでした。やはり今回は「ロングラン」という感覚ではないのでしょうか。しかし、この日は、仙台の最後の日というだけでなく、全国公演の最後の日なのですから、なにかはあっても良いな、と思ったのですが。
 初日の時は3階席、時間ギリギリに飛び込んだので、PAなどは見ている暇がありませんでした。そこで、まず後ろにあるPAブースをのぞきに行きます。しかし、地方公演仕様でしょうか、コンソールなどは椅子の上に乗せてあるだけで、ことさらブースのようなものは設けられてはいませんでした。割とシンプルな、必要最小限のものしかありません。ただ、そのコンソールの脇の椅子の前に、マイクスタンドが立っていて、そこに座った人が話す位置にマイクがセットされています。おそらく、ザックがダンサーたちに質問をしているというシーンでは、加藤さん(キャストは初日と全く同じでした)はここに座って話しているのでしょう。
 席は、初日とはうってかわって、前から4番目という、思い切りステージに近いところです。ところが、ご存じのように県民会館は非常にステージが高くなっていますから、ここからだと「板」が見えません(あ、舞台の床のことです)。ですから、当然「ライン」も見えなくなるわけです。この席だけに座った人は、このミュージカルのタイトルのの意味を一生知ることはないのでしょうね。
 そんな前ですから、さぞPAがうるさいだろうと思っていたら、全然そんなことはなく、楽しめました。特に言葉や歌詞が、やはり3階とは格段の明瞭さで聞こえてきます。そして、ダンスの迫力は、すごいものでした。オープニングから、加藤さんあたりから汗が飛び散っているのが見えますからね。ひとしきり踊り終わって「ライン」に立ったキャストたちは、みんな汗びっしょりでした。
 ご存じ、これはダンサーのオーディションの話ですから、芝居として「下手な」踊りも見せなければなりません。それは、考えてみればとんでもなく難しいことになりますね。「下手さ」を演じるのですから、まずきちんとしたものを完璧に出来なければなりません。その上で、見ている人にいかにも「下手だ」と思わせるように踊るのですから、これは大変なこと、しかし、この人たちは、それを見事にやってくれていました。そんなことが判るのが、前で見たことの収穫でしょう。
 ただ、作品としては、やはり最初に見たときと同じような不満が残りました。まず、休憩なしで2時間半を持たせられるだけの吸引力というものが、完全に不足しています。居眠りすることこそありませんでしたが、途中で緊張が切れてしまって、退屈を誘われる瞬間が何度あったことでしょう。もし私が演出家で、そういう権限を与えられたとしたら、もっと思い切って2、3人のエピソードをまとめてしまうとか、ポールが足を怪我したあとの運びをもっと切りつめるとかしてみますね。今度から。
 拍手のタイミングなどは、初日とは比べものにならないほど自然なものがありましたし、カーテンコールでのスタンディング・オヴェーションでも、誰一人帰ろうとはしないのはちょっとすごいことでした。やはり、「千秋楽」の客層です。
aventure number : 0835 date : 2006/9/19


今日の禁断 修正テープ

 カウンターも62万を超え(キリ番の方の申し出もありました)、ますます快調(?)な歩みを続ける「ジュラシック・ページ」ですが、何と言っても「ジュラシック」で検索するだけで一番最初にこのサイトが出てくるというのがたまらない快感です。それ自体には全くなんの価値もないのですが、ヴァーチャルなところで偉くなったような気になるものですから。
 トップページだけではなく、なにしろコアなコンテンツが多いこのサイトですから、やはり各分野で検索結果が「1番」になっているものがたくさんあります。きのう「おやぢ」をアップした「デュリュフレのレクイエム」もそんな一つ、ほぼ全てのCDを網羅して、それぞれにコメントを付けたものなど他にはないでしょうから、言ってみれば当然のことなのかも知れません。しかし、こんな大それた地位を獲得してしまうと、逆にここで書いていることが全面的に、というか、ほとんど盲目的に信用されてしまうのではないか、という心配がわいてきてしまいます。ネットの怖いところは、どんな間違った情報でもなんのチェックも受けることなく流布されてしまうという点です。もちろん、中にはきちんと一次資料に基づいた立派なサイトもありますが、それらと「なんちゃって」サイトを見分けるのは至難の技なのです。もちろん、私の作っているものなどは限りなく「なんちゃって」に近いものですから、それをありがたがって一つの「権威」として受け止められるのを最もおそれているのですよ。それでも、ただ読んでもらう分には私が笑われるだけですから、別に構わないのですが、それを読んだ方のサイトやブログで引用されたりすると、それでは済まなくなってしまいますからね。
 そんなこととは関係なく、今日は「木曜」の練習です。夕方はめっきり涼しくなってきたので、もしやと思ったのですが、もうホールには冷房は入ってはいませんでした。最初のうちはちょっと暑いかな、という気がしたのですが、結局なんの問題もなく過ごせました。そんな季節なのですね。もうお彼岸ですし。
 なにかと都合がつかない人が多いようでスタート時にいまいち人数が集まらないのは、いつものこと、しかし、その代わりと言ってはなんですが、今回は団員以外のお客様がみえていましたよ。それは、団内結婚をしたカップルのお子さん。いつもは預けてくるのですが、今日は都合がつかなかったとかで、前半と後半でそれぞれお子さんを見ている人と練習に参加する人を交代することにしたのだそうです。まだ小さいのに、前半は泣いたりしないで外でお母さんとおとなしく待っていましたよ。後半にはお母さんが練習の番、外で退屈していた子をだっこして、お父さんが中に入ってきました。指揮者が止めて音が無くなったときに、その子は絶妙のタイミングで「ママ!」と叫んだものですから、みんなは大喜びです。ほんと、こどもって可愛いですね(「子供」って書くといけないんですってね。差別なんだとか。バカなことを)。
 もう一人、1号様もひょっこり姿を見せて、ポスターとチラシを持っていきました。また今回も、北部のホールに貼ってくれるのだそうです。いつも済みません。お土産まで頂いて、これはキリ番の景品になるかも。
aventure number : 0836 date : 2006/9/21


今日の禁断 掛川市

 今BSハイビジョンで「つま恋」をやっていますね。吉田拓郎とかかぐや姫が出演する野外ライブ、30何年か前にやって大騒ぎ、というか、ほとんど「伝説」とかになってしまったものを、同じ場所で再現しようというものを、生放送しているのだそうです。その、昔の「つま恋」の模様といえば、何だか暗闇の中でモゴモゴ動いている人がいるぐらいしか判らないようなとんでもない映像でたびたび目にしたものですが、今回はもちろんハイビジョン、髪の毛一本一本までがはっきり見える(あ、もちろん、フルスペックのモニターで見た場合に、ですが)鮮明な映像が味わえます。実は、この間井上陽水のライブもやっていたのですが、どちらを見ていてもはたと気づかされてことがありました。昔は、こういうフォークシンガーは、例外なく譜面台を目の前において歌っていたものでした。もちろん、譜面台に乗っているのは「楽譜」ではなく、「歌詞カード」なのですが、言葉が大きな意味を持つ彼らの歌の世界には、それまでの歌手が備えていた「暗譜」という概念は全く存在していないことを思い知らされたものでした。ところが、今の彼らの演奏の場には、その必須アイテムであった譜面台が見当たらないのです。しかし、ステージにはそれに代わるものが、ありました。それはテレビのモニター、そう、アメリカのいろいろな授賞式で良くお目にかかれるダイアローグ・モニターが、歌手の前に置いてあったのです。
 録画の映像や、そんな細かいツールにおける、この30年以上の間の進歩というのは、そんな風にものすごいものがあるのですが、そこで演奏されている音楽は、もちろん昔と同じものです。ただ、歌っている人がかなり年をとっていると。そして、このステージのまわりに集まった何万人かの人も、普通のこういう野外フェスとは何ともミスマッチなお年寄りが多いのが面白いところです。確実に、かつて「フォークソング」と呼ばれていた音楽は、「懐メロ」という地位を獲得したことが良く分かります。
 以前、ビートルズが現れたときに、日本のさる作曲家が、「音楽には、ある年齢でないと作れないものがある」と言いきったことがありました。20代のビートルズが作った歌を、20代のビートルズが歌うから意味があるのだ、みたいな。おそらく、その某林という作曲家は、こういう日本のフォークソングに対しても、同じようなコメントを語っていたことでしょう。それは、熟達を身上とするクラシックの作曲家の、拙い内容なのに多くの人の支持を集めているその種の音楽に対する精一杯の負け惜しみのように、私には聞こえたものでした。
 その作曲家の主張は、ほとんど間違っていたことが、この「つま恋」を見るにつけ明らかになったような気がします。若いときに作ったものだからといって、それは年を経て価値が薄れるものではないのだということを、この盛り上がりあふれる映像は伝えてくれています。もちろん、本家ビートルズの音楽が、もはや普遍的な価値を持っていることは疑いのないことです。しかし、こと日本の「フォーク」に関しては、やはり林光は正しかったのではないか、という思いにも駆られてしまいます。いかにも青臭い歌詞と、なんの工夫もないメロディラインには、「大人」の鑑賞にはとうてい堪えられないものが確かにあるのは、間違いのない現実なのですから。
aventure number : 0837 date : 2006/9/23


今日の禁断 コレルリ


 篠田節子の原作による「マエストロ」というドラマを、WOWOWの2時間枠でやっていました。コアな篠田ファンだったら、もしかしたらこのタイトルにはあまり馴染みがないかも知れません。それもそのはず、もともと1992年に出版されたときには「変身」というタイトルだったからです。それを大幅に書き直して、昨年文庫本として刊行されたときに、タイトルも「マエストロ」と変わったのだとか。クラシック音楽を扱ったものでは、二ノ宮知子など足元にも及ばないリアリティを表現することが出来る彼女のことですから、そのドラマとなれば大いに楽しみになるのは当然です。
 原作はどちらも読んだことはありませんから、それがドラマになったときにどれだけ削られ、あるいは付け加えられたのかは知りようがありませんが、明らかに沢山の要素を詰め込みすぎて消化不良を起こしているのでは、という感じはありました。2時間で完結させるためにはもう少し刈り込んだ方が良かったのでしょう。ただ、とにかく魅力的なエピソードがたくさんあって、どれを削るべきかといわれれば、私でも判断はつかないはずです。
 主役のヴァイオリニストは観月ありさ、これはどうにもならないことですが、やはり「右手」は見るからにシロート、ピアノあたりですと一生懸命練習すればある程度はサマになりますが、こればっかりはどうしようもありません。ですから、そういう点に関してのリアリティは、最初から放棄して臨まざるを得ません。しかし、例えばかつてのライバルと一緒に演奏しているシーンでは、それぞれのキャラクターの違いが、誰にでも分かるほどの分かりやすさで弾き分けられていたのはさすが。
 という程度の、まずまずの「考証」に基づいたドラマ、物語としては多少無理がなくはありませんが、偽ヴァイオリンをつかまされたあとの迫力は見物でしたね。このネタは、明らかにあの有名な○野氏の実話に基づいているのでしょう。もはや大昔の話ですから、今となってはスキャンダルがらみの生々しさはすっかりなくなったという、作者の判断なのでしょうか。
 一番楽しめたのは、やはりヴァイオリンの修復の話でした。それと、イタリアのオールドだと思って素晴らしい音に夢中になっていたのに、それが日本人の最近の作品だと分かったときのヴァイオリニストのリアクション。これこそが、この世界の「リアリティ」を最もあらわしているエピソードではなかったでしょうかね。物語としては、最後のシーンが最も重要なものになるはずだったのでしょうが、そこがあまりにも雑な作りになっていたのが、残念でした。
 この主人公のヴァイオリニスト、一度もコンクールで優勝していなかったことを、大きなコンプレックスとして抱えています。修業時代にコンクールで良い成績を修めるというのは、演奏家としてのハクを付けるためには欠くべからざることだというのも、また「リアリティ」です。
 ところで、いつもお馴染み、末廣誠さんの「ストリング」のエッセイの今回のテーマが「コンクール」でした。その中で末廣さんが書かれていることには頷くことばっかりでしたよ。合唱やブラスのコンクールについても言及しているのですが、一番ウケたのは「なんで大人になってもコンクールに出るのだ」というところ。高校生あたりが一つの精進の目標として評価してもらうために出るのは判るけれど、「一般」でそれはないだろうということです。コンクールというのは、キャリアを築くための段階に過ぎないわけで、それ自体を目的にしてしまうのはおかしいというのは、言われてみれば当たり前のことですね。幸い、私が今までに所属していた合唱団は、そんなものとは全く無縁、演奏会だけが目標でした。もちろん、今いるオーケストラでも、誰も「コンクールに出よう」なんて言いません。そもそも、そんなものは存在していませんし。
aventure number : 0838 date : 2006/9/25


今日の禁断 芸術祭

 天気予報では、今晩遅くになって今年一番の大雨が降る、という事になっていました。そんな日に練習で遅くなるなんて嫌だな、と思いながら会場に向かいます。しかし、駐車場についてもそんな雨が降りそうな気配はあまりありません。一応、折りたたみ傘を持っていますから、それをバッグに入れれば(最近のは、本当に小さく軽いものになっていますね)、わざわざ大きな傘を持っていく事もないでしょう。
 まだ、明かりが点いていないので、誰も来ていないのでしょう。鍵をもらいに行くのは嫌ですから、セブンに行ってみます。立ち読みコーナーには「S-Style」の最新号がありましたから、さっそく立ち読みです。この前の演奏会の時にはタイミング的に微妙でとうとう載せてもらえませんでしたが、今回は大丈夫、ちゃんと予定表に演奏会の案内がありました。ただ、プレゼントに関しては何のリアクションもありません。というか、うちのような素人のものは、この雑誌ではプレゼントとしては扱ってはもらえないのでしょうかね。確かに、紙面の上ではちょっと違和感がなくはありません。
 恒例の杏仁豆腐(最近は、もう棚にないなんて事はありません。完全復活です)を買って店を出ると、市民センター4階が明るくなっていますから、誰かやってきたのでしょう。実は、今日はお客さんの約束があるので、慌ててホールへ向かいます。
 「お客さん」というのは、さるピアニストの方。ちょっと前に私の知り合いからメールが来て、その方の知り合いがニューフィルの練習場に行って演奏会の宣伝をしたいので、よろしくお願い、という事だったのです。私は一面識もないのですが、HPがあるというので、顔と(写真がありました)お名前だけはチェックしておきました。音出しの少し前に見えたようなので、一応御挨拶、もう椅子は並んでいるのでチラシを置いてもらいます。団員の前で宣伝をしたいというので、チューニングの前にコンマスに時間を作ってもらおうと思って、コンマスを待ちます。
 しかし、時間になっても、コンマスは現れません。仕方がないので、私が前に出て、「ちょっと話を聞いて下さい」と大声を出して注目させなければなりませんでした。ほんと、恥ずかしい。でも、そのピアニストの方は、私より大きな声で、堂々と演奏会の事を喋っておられましたっけ。少しはお役に立てたでしょうか。
 いつかみたいに、Kさんが代わりのコンマスで、練習が始まります。前半の「ロメジュリ」では、一人がお休み、一人が遅くなるという事なので、最初は2番、その後はピッコロを吹くつもりで準備をします。いつもながらの代吹き人生。しかし、結局2番の人が来たのはもう終わる時でしたから、ピッコロの出番はありませんでした。後半のブラームスは、正規のメンバー、ウォームアップがしっかり出来ていたので、楽に吹けました。
 ずっと後ろに座っていた人は、入団希望者でしょうか。最後までいましたから、きっとそうでしょう。パートは何だったのでしょう。
 結局、雨は少し降っただけで、帰るときにはやんでいましたね。これから降ってくるのでしょうか。
aventure number : 0839 date : 2006/9/26


今日の禁断 トルコ風


 「ブラスト」、行ってきました。正確には、「ブラスト2なんたらミックス」というもの、今までは金管しか入っていなかったものが、今回は木管も入っているのだとか。去年、その本家「ブラスト」が来たときには、発売日に買いに行ってもすでに売り切れていたという苦い経験がありましたから、今年こそはと朝一で買いに行ったものです。しかし、何だかいつまでも売れ残っている感じ、今日も当日券が売られているみたいですし、もはや「ブラスト」熱は冷めたのでしょうか。あるいは「2」だから敬遠されたとか。
 しかし、前もってビデオで見ていたので、ある程度の予想はしてはいたのですが、その「ショー」としての完成度は驚くべきものがありました。なにしろ、開演前の陰アナからしてひねりがきいています。「携帯電話を使用中のお客さんを見つけたら、毛むくじゃらのお兄さんが連れ出しますのでご了承下さい」とかね。実は、これはショーの中身の伏線にもなっていたのですから、念が入ってます。それと、休憩時間と終演後にロビーでなにやらパフォーマンスがあるような事を言っていましたが、それも、「体力に自身のない方は、近づかないで下さい」などと、すごく気になる言い方をするじゃないですか。これでは、ぜひとも休憩時間には真っ先にロビーに出たくなってしまいますよ。
 その「ショー」ですが、普段ミュージカルなどを見慣れていても「凄い」と思わざるを得ないようなものでしたよ。あちらは歌って踊れればいいのですが(それでも十分大変です)、ここでは楽器を演奏しなければいけないのですからね。「春の祭典」をブラスの編曲で演奏する事がどれほど大変な事を知っている私は、その上に一人一人のミュージシャンが完璧なダンスを披露しているのを見て、思わず脱帽するのでした(この曲の頭のリリコーンは、ちょっとお粗末でしたが)。
 私の楽器、フルートも大活躍でしたね。オープニングの次にいきなりフルートアンサンブルで、小気味よい変拍子の曲を演奏したときには、聴き慣れた金管の響きとはちょっと違和感があった気がしたのですが、おそらくここあたりが「2」としての新機軸だったのでしょう。リーダー格の黒人プレーヤーは、ちょっと雑ですが(無理はありませんが)確かなテクニックで、その後にたびたび出てくるしっとりとした場面でも聴かせてくれていました。しかもこの方、フルートでの出番がないときには、チューバも吹いていたのですから驚きです。
 休憩時間には、パフォーマンスが行われるコーナーの前は、すぐ人でいっぱいになってしまいました。係員が必死で「床に座って下さい」とかがなり立てています。しばらくして出てきたのは金管五重奏+ドラムスという編成、MCとして、楽器は吹かないけれど、バトントワリングで思い切り目立っていた日本人のメンバーも参加しています。そこで、間近に楽器を見ると、やはりピンマイクとトランスミッターがくっついています。床の上のマイクでこれだけ拾えるはずはないと思っていましたが、これなら納得です。ただ、フルートは、楽器には何も付けていないように見えました。これは、一番最後、メンバーが全員観客席を通り抜けていくときにたまたま彼がすぐそばを通ったので、首の横にマイクがあるのが分かりました。これでは、遠くからでは見えません。
 そのエンディングは、トロンボーンがソロで気持ちよさそうに吹いていると、客席で携帯の着信音がする、というネタでした。あれだけ「電源を切れ」とやかましく言ってたのは、これだったのですね。本物の携帯が鳴ってしまったのでは、しゃれになりません。
aventure number : 0840 date : 2006/9/28

06/9/30-11/2