0801(06/7/14)-0820(8/20)

今日の禁断 ジュスマイヤー


 チェコのブルノにあるオペラハウスが、面白い演目で今全国を回っています。というか、その初日がここ仙台で行われるという、ちょっと異例のスケジュール、その「本邦初演」(実は、行ってプログラムを見るまで知りませんでしたが)に立ち会えるという、ラッキーな体験をしてきました。それはタイトルも「アマデウス」、もちろんこれは例のピーター・シェーファーの戯曲、そしてそれに基づく映画の題名と同じものです。このストーリーの元ネタとなったリムスキー・コルサコフの1幕もののオペラ「モーツァルトとサリエリ」を中心にして、その前後に「天才少年」が弾くピアノコンチェルトと、レクイエムを演奏するのだ、という風に聞いていました。
 会場の県民会館、開演時間になっても恐ろしくお客さんが少ないのはどうしたことでしょう。この間同じ会場で「魔笛」を聴いた時には満員だったというのに。実際、三分の一も入っていたか、という寂しい有り様、安い席はかなり入っているのに、高い席がガラガラ、一ブロックまるまる空席などというところもありましたよ。
 最初のステージはコンチェルトだというのに、緞帳が下りたまま、オケはピットに入っています。緞帳が上がると、次のオペラのためのセットの間にスタインウェイが置いてあって、予想通り、カツラを着けた「神童」くんの登場です。つまり、オケはピット、ピアノはステージ上という世にも不思議なコンチェルトが始まりました。まあ、これはご愛敬。
 「モーツァルトとサリエリ」を、まさか地元で生で見ることが出来る日が来るなんて、思っても見ませんでした。これも「モーツァルト祭」のお陰ですね。オケの編成は木管が1本ずつの「1管」編成、そこから出てきた音楽も、ちょっとリムスキー・コルサコフとは思えないような「ロココ風」のものだったのも意外でした。なんせCDですら聴いたことがなかったものですから、全てが好奇心の対象です。オペラの作りとしては、アリアのような目立って歌い上げるところのない、終始レシタティーヴォが続くというものです。最初はサリエリのモノローグで始まるのですが、えらく暗い印象です。そこにモーツァルトが入場してくると、途端に音楽がまさに「モーツァルト風」に変わります。その時点で、このオペラはことさらモーツァルトの作風を装ったものであることが分かります。実際にモーツァルトの曲が引用されている部分もありますし、「今できたばかり」といって披露する曲なども、いかにもモーツァルトが作ったように聞こえる凝ったものです。演出も、「死に神」などを登場させて、かなり見応えのあるものでした。正直、作品としての魅力はほとんど感じられませんが、パロディとしての突っ込みどころが満載で、そういう意味では大いに楽しむことが出来ました。
 そして、「レクイエム」です。オペラはもう終わったのだから、オケはステージに登るのかと思っていたら、相変わらずピットの中、緞帳も下りたままです。導入のオケが始まって緞帳が上がると、新たなセットが組まれていました。合唱が両脇にいて、その間に人が並んで出てきました。どうやらこれはダンサーのよう、そう、これは「バレエ版」レクイエムだったのですよ。以前「ハ短調ミサ」のバレエ版というのも見たことがありますが、あれはかなり抽象化された踊りだったものが、これはしっかりストーリーが入っています。さっきの「死に神」がメインのダンサー、それにモーツァルトが2人! おそらく、ドッペルゲンガーなのでしょう。まあ、気持ちは分かります。さっきのオペラと連動させて、「悲劇」を完遂させようというのでしょう。しかし、このダンスははっきり言って邪魔、それよりも、さっきのコンチェルトもそうでしたが、ステージ上とピットがまるで合わないものですから、ストレスが募るばかりです。そういえば、この曲、CDでは誰よりも熱心に聴いていますが、ライブで聴くのはこれがほとんど初めて、せめて初体験ぐらい、クラリネットではなくバセットホルンで聴いてみたかったものです。
 こんなマニアックなオペラとバレエ、決して県民会館が満席になるようなものではありません。ここに足を運ばなかった仙台市民の判断は、的を射ていたことになりますね。「コーラスライン」もきれいに売り切れましたし。
ヒレカツバージョン
aventure number : 0801 date : 2006/7/14


今日の禁断 デ・ニース

 ぐずついた天気が続いていますが、ひところのような「猛暑」がここではすっかり息を潜めたので、夜なんか楽ですねえ。ぐっすり眠れます。ただ、お天気が悪いので行楽には適していないでしょうね。愚妻は前々からの予定だったので、私を置いて女友達と旅行に行ってしまいましたが、これでは楽しめたのかどうか。
 と言うことは、私は丸2日間一人で暮らすことになります。そこで、こんなはっきりしないお天気の日本を抜け出して、イギリスにでも行ってみましょうか。目的は、今開催中のグラインドボーン音楽祭、ロンドンのヴィクトリア駅から列車に乗って、1時間半ほどの田園地帯の中にある小さなオペラハウスが、その会場です。
 今日の演目は、ヘンデルの「ジューリオ・チェーザレ」、なんのことはない、英語読みだと「ジュリアス・シーザー」なのですがね。オリジナル楽器による演奏ですから、ピットには見慣れない楽器が入っています。指揮者のすぐ向かいには、ものすごくネックの長い弦楽器がありますね。これは「テオルボ」というリュートの仲間、通奏低音を弾く楽器です。チェンバロが指揮者のすぐ横、指揮者と同じ方向を向いて奏者が座っていますから、指揮者とのコンタクトがうまく取れるのでしょうね。
 ステージの方は、そういう演出なのでしょうか、エジプトらしい風情はあることはありますが、一体いつの時代なのかよく分からないような衣装にはとまどってしまいます。それよりも、男の格好で女の声を出したりしていますから、この役は男なのか女なのか分からないのは大問題。明らかに男のひげ面なのに、声は女、しかもスカートをはいていたりしますからね。次の場では男の格好をしてますから、多分男、だと思うと、今度はブラを付けたり、とか。
 1幕が終わったので、お昼ご飯を食べることにしました。ここではみんなバスケットを持ってきていて、広〜い芝生の中でご馳走を食べるのが習わしなのでしょうが、私はそこまで用意はしていなかったので、モスバーガーでチリドッグとオニポテセットを食べましょう。ドリンクはもちろんジンジャー、モスチキンも付けます・・・えっ!?
 気を取り直して、2幕と3幕に挑戦、もちろんイタリア語で歌われていますが、きちんと英語の字幕がステージの脇にあるので、なんの不自由もありません。演出のクセもだいぶ分かってくると、どんどん面白くなってくるから不思議。次から次へと魅力的なナンバーが登場して、これは本当に200年以上前のバロックのオペラなのだろうかと思えるほど、これだったら、ミュージカルとほとんど変わらないノリではないですか。エジプト王なんて、まるで「ジーザス・クライスト・スーパースター」に出てくるヘロデ王みたいなキャラではありませんか。カーテンコールで、オーケストラがシンフォニアを演奏し始めた時などは、それこそ「キャッツ」みたいに手拍子をしたくなってしまいましたよ。
 まさかね。イギリスだって。パスポートも持っていないのに。4時間もかかるオペラのDVD、こんな時でないと見れないので、食事以外は外に出ないで集中して見ていたのですよ。これは、来週の「おやぢ」になるはずです。
aventure number : 0802 date : 2006/7/16


今日の禁断 アイヴィ


 前回の「禁断」では、タイトルにちょっと混乱があったのには、気づかれた方はまさかいないことでしょう。最初は「デ・ニエーゼ」と書いたものを、しばらくしてから「デ・ニース」と直したのですよ。これは人の名前、ほんと、外国の人の日本語表記には、悩まされます。
 あの時見ていたオペラは、本当に面白いものでした。その中で、もっとも目立っていた人が「Danielle de Niese」という名前のソプラノの人です。まだそんなにキャリアもないはずなのに、グラインドボーンで主役ですからね、大抜擢です。ソプラノといっても、いかにもバロックオペラに似合いそうなフットワークの軽さを持っている人、声もそんなに大きくはありませんが、細かいコロラトゥーラなどは完璧です。なによりもその芝居、というか、ほとんど踊り回りながら歌うというまるでミュージカルのような動きには完全に参ってしまいました。こんな人が出てくれば、オペラもミュージカルに肩を並べられるかな、と。
 ところが、それを原稿に書く段になって、この人の名前をどう読むのかということになりました。DVDは輸入盤ですが、一応日本語のコシマキが付いています。それによると、彼女は「ダニエル・ドゥ・ニース」となっていました。フランス語読みですね。普通でしたら、この読み方を信用してそのまま使うところなのでしょうが、実はこのDVDのレビューがすでに「レコード芸術」に載っていて、それを書いていたMさんという、イタリアオペラには極めて造詣の深い人が「ダニエレ・デ・ニエーゼ」といっているではありませんか。ドイツ語読みになるのでしょうかね。そのレビューの中でも、Mさんは彼女のことをよく知っているようですし、そもそもメーカーの解説など当てにならないということはよく知っていますから、ここはMさんを全面的に信頼するのがスジというものでしょう。そこで私はこちらを採用、その事について書いた「禁断」のタイトルも、その様にしたのです。(実は、「レコ芸」の広告ではなぜか「デ・ニエーゼ」が採られています。製品のサンプルを見て、誰かが進言したのでしょうか)。
 このDVDには、例によってエクストラ・フィーチャーが付いています。その中には、彼女のインタビューというのも入っていました。すっかり「デ・ニエーゼ」のファンになってしまった私は、彼女の素顔を知ろうと、そのチャプターを選択したところ、グラインドボーンにある彼女の家(シーズン中、借りているのでしょう)の前で、いきなり彼女自身がしゃべり出しました。「ハイ! アイム・ダニエル・デ・ニース」。そう。彼女は自分の名前を、その様に発音していたのです。そこで、慌てて「禁断」のタイトルを直したというわけなのです。もちろん、バナーも作り直しました(それはもう見れませんが)。こうなってくると、このメーカーは恥の上塗りですね。
 このエクストラ、彼女がウィグを付けるところも紹介されているのですが、そこで髪の間にピンマイクを仕込んでいるところも、堂々と見せてくれていました。オペラの映像で、首の後ろに細いケーブルがみえたので「もしや」と思っていたのですが、実際にマイクとトランスミッターを付けていたのですね。それを全く当たり前のようにあっけらかんと見せてくれたデ・ニース嬢、そんな態度も「オペラ」の殻を破るものなのかもしれません。
 DVDは去年のグラインドボーンを撮ったものでしたが、今年も同じものが上演されています。他のキャストは、指揮者も含めて全て別の人に代わったというのに、デ・ニースだけは続投です。確かに、彼女がいなければこの演出は成り立たないでしょうね。
aventure number : 0803 date : 2006/7/18


今日の禁断

 60万のキリ番は、ちょうど午後5時に出ました。その近辺を踏んでいた方、ご連絡ください。こんな、本当に「キリのいい」番号ですから、プレゼントははずみますよ。そんなに早い歩みではありませんが、着実に実績を重ねている、そんな感じでしょうか。せめて100万ぐらいまでは頑張りたいものです。
 今週は、月曜が「海の日」でお休みだったため、今日が練習日です。最初に降り番のグラズノフをやる予定、夕方になってもなんの連絡もないので、代わりに吹くことはなさそうだと、のんびりと本屋さんに寄ったりして、6時半過ぎに着きました。ちょうど椅子を並べているところだったのですが、見慣れない人がいます。並べ終わったあとで楽器を見たら、ヴィオラでしたから、新入団員だったのでしょう。そういえば、この前の「かいほうげん」に、分奏の時に入った人がいたと連絡をもらって載せた覚えがありました。結局誰も紹介しなかったので、管楽器の人は誰もその人の名前が分からなかったことでしょう。実は私も、果たしてその人がその人(変な言い方)だという自信はありません。
 もう一人、ステージに座って見学していた人は、見覚えがありました。もしかしたら、しばらく外国に行っていて、最近帰ってきたという噂のあるH子さん? と思ったら、練習のあとに話しかけてきて、やはり本人だと分かりました。今度の演奏会には団員として参加するんですって。頼もしいですね。そういえば、ヴァイオリンにもしばらく顔が見えなかったNさんが、私のすぐ前で弾いていましたね。こちらも、「何ごともなかったら」演奏会には出られるのだそうです。少しずつメンバーが増えそうな予感、これが現実になればいいですね。
 ただ、今の時点では決して十分な人数がいるとは言えません。開始時間になっても弦楽器を中心に、かなり集まりは少なめ、私の携帯に指揮者から「渋滞で遅れます」という電話があったのでコンマスに伝えたら、「まだ揃ってないので・・・」と、かえって喜んでいましたし。駐車場も混んでいたので、集まりが悪かったのもありますしね。
 そのうち、指揮者も到着して、これが最初の練習となるグラズノフの「ワルツ」が始まります。結局フルートは正規のメンバーが全員揃っていたので、私は買ったばかりの「レコ芸」を読みながら見学です。最初にCDで音を聴いた時から予想はしていましたが、これはかなりの難曲です。とても指定のテンポで通すなどということは出来ないで、ゆっくりていねいに繰り返しています。誰も演奏したことのない曲なのですから、これは当たり前のことなのでしょう。この前の新田さんとの「ポホヨラ」なんか、もっと大変だったはずですからね。
 1時間ほどでワルツは終わり、後半はブラームスの1楽章を、基本的な部分に注意して仕上げる、というものでした。ヴィオラが6人(7人?)もいたのに、チェロは2人というアンバランスな状態だったので、第2主題などは不思議な響きがしていましたね。やはり木曜日はこんなものです。
aventure number : 0804 date : 2006/7/20


今日の禁断 門前

 ちょっとした縁があって、さる女子高の合唱団の定期演奏会に行ってきました。仙台の南部にあるこの高校、昔から合唱のレベルは非常に高く、数々のコンクールで良い成績を収めているところです。そのコンクールの様子をテレビで見たことはありますが、「生」はまだ聴いたことがありませんでした。
 てっきり、会場は旭ヶ丘のコンサートホールだと思っていたのですが、チケットを見ると、何と、県民会館でやるのだというではありませんか。それも、開場前から並んでいないことには席がなくなってしまうかもしれない、などという噂も耳に入ってきます。これだけでも集客力がハンパでないことが分かります。

 ステージを見て、その集客力の根拠が分かりました。どうです。5列にもなっていっぱいに広がり、150人近くの団員がいるのですよ。一人10枚売っても、県民会館のキャパを軽く超えてしまいます。まあ、実際には私が座った2階席などは割と空いていましたから、1000人ちょっとという感じでしょうか。
 この写真は最初に校歌を歌った時で、団員が指揮をしていますが、指揮者のK先生が振っている時でも、この歌い方は変わりません。この大人数で繰り広げられる女声合唱、確かに素晴らしいハーモニーを聴かせてくれていたのですが、どこか醒めたところがずっと気になっていました。ふと気が付くと、歌っている人たちは誰も指揮者を見ていないのですね。本当かどうかは分かりませんが、私にはそうみえました。つまり、山台が一直線に組んであって、その上のメンバーは真っ正面のお客さんに顔を向けて歌っていたのです。真ん中の人ならともかく、両サイドの人など、これでは指揮者の顔が見えないどころか、ほとんど視界にも入らないはずです。しかし、指揮者を見ていなくてもそのアンサンブルは完璧でした。おそらく日常的に「内部で合わせる」という訓練を行っているのでしょう。そして、表現も、指揮者のサインなどに頼らなくても即座に出てくるように、徹底してたたき込まれているのではないでしょうか。その結果、全ての団員がお客さんと直接コンタクトしているかのような、こんな歌い方が可能になったのでしょうね。

 これは、ある意味とても素晴らしいことではないでしょうか。2番目のステージで3年生だけが行った演奏では、こんな風に全員が踊りながら歌うというパフォーマンスを披露してくれました(生足!)。もちろん指揮者なんかいません。何の「指揮」がなくても全員がきちんと揃って歌える素地が、この合唱団にはあるのでしょう。
 ただ、本番での指揮者とのコンタクトいかんによって、出来てくる音楽が大きく違ってしまうことを身をもって体験している私たちには、このような演奏のあり方にはちょっと懐疑的にならざるを得ません。先ほど感じた「醒めた」印象も、そんなところに由来していたのかもしれません。しかし、最後のアンコールで歌われた「ラストダンスは私に」では、そんな居心地の悪さなど全く感じられない緊密な表現が見られたではありませんか。もしかしたら、指揮者とのコンタクトは想像以上に深いものがあったのかもしれません。
 50年近くもの間、このK先生やその前のT先生などによって育て上げられたこの合唱団、しかし、現在この宝物のような団体が存亡の危機に立たされています。それは、このような女子高を(もちろん男子高も)廃止して、全て共学の高校にしてしまおうというバカな政策です。今日の会場でも、その事を訴えるプリントが配布されたり、団員や、来賓の同窓会長の挨拶の中でも、その様な意志が聞き取れる部分がありました。おそらく、今日演奏した人たちの中にこの政策を喜ぶ人など、1人も居ないのではないでしょうか。これがどんなメリットをもたらすものかは知りませんが、女声合唱という一つのかけがえのない「文化」を消し去ってしまうことだけは確実なことを、知るべきでしょう。
aventure number : 0805 date : 2006/7/22


今日の禁断 グリコ

 先日のキリ番、申し出がなかったので今回は該当者なしだとあきらめていたら、忘れた頃にメールが届きました。「ちょうど」ではなかったので、ためらっておられたようですね。この方は、実は何度もお会いしているのですが実際に声をかけたことはないという、お互いシャイな間柄の人、これを機会にHPのリンクなどもさせて頂きました。
 ところで、「ロッセリーニ」という人が作った「花言葉」というオペラ、知ってますか? 「ロッシーニ」じゃありませんよ。そんな珍しいものを仙台オペラ協会が上演するというのですが、それのプレイベントがあったので、行ってきました。確か去年までは指揮者の末廣誠さんがご自身で解説をしながら演奏(ピアノ伴奏)するということをやっていました。「禁断」でも取り上げたので、ご記憶の方もいらっしゃることでしょう。今年からこの団体の音楽監督(芸術監督?)が別の人に代わったので、どういう形になるのだろうと思っていたら、お話はあの佐藤淳一さんがなさっていました。指揮者は、本番の星出さんではなく、副指揮の渡辺修身さんです。

 その淳一さんが、開口一番「こんなオペラも作曲家も知りませんでした」とおっしゃっていたので、少し安心、CDにすらなっていない(1種類あるそうですが、ほとんど入手不可能だとか)曲ですから、私が知らなかったのは恥ずかしくもなんともなかったのですね。お話の内容は、淳一さんや、その場の出演者のお話でとても良く理解できました。ロルカの戯曲が原作、何ともシリアスなお話ですが、これは「ヴェリズモ」としては格好の題材ではないでしょうか。そう、初演が1963年と、時代的にはほとんど「現代」といって構わない作品ですが、その音楽はまさにプッチーニあたりから綿々と続いたそんな様式のイタリアオペラを彷彿とさせられるようなものでした。甘く美しいメロディを身上としているのは、このレンツォ・ロッセリーニという人は、イタリア映画界の巨匠ロベルト・ロッセリーニの弟で、兄のために多くの映画のスコアをものにしたということと、無関係ではないのでしょう。まさに、ニーノ・ロータや、エンニオ・モリコーネが、その映画音楽のテイストのままオペラを書いたら、こんな風になるのではという感じです。
 現実には、この2人は「クラシック」では全く別の作風を示しています。ところが、そのような「現代」作曲家に例外なく認められる建て前と本音の使い分けが、幸運なことにこのロッセリーニの場合には当てはまらなかったようです。そこからは、作曲年代からはとても信じられないような、純粋培養された「イタリアオペラ」の世界が広がっていました。そして、ほんの少しフランス風の味わいを加えたあたりが、彼のアイデンティティだったのかもしれません。
 このオペラ、数年前に新国立劇場で上演されたことがあったそうです。しかし、その時には縮小されたオーケストラが使われていました。ですから、今回はフルオーケストラでの「日本初演」ということになります。ピアノ伴奏でも十分うかがえたその甘美なサウンドは、オーケストラによってどれほどの輝きを聴かせてくれるのでしょうか。本当に楽しみです(って、まだチケットは買ってませんが)。

 帰り道に、スーパーで見つけたのが、こんな「東北夏祭り」バージョンのプリッツです。全部のお祭りがある中の、これが「仙台七夕」編、でも、吹き流しはともかく、こんな、「纏」みたいな、人が持って練り歩くような飾りは、私は見たことがありません。おそらくこれは、多くの心ある市民が「七夕」とは認めてはいないパレードかなにかで登場するものなのでしょう。味は「ずんだ味」、これはなかなかですがね。少なくとも「うに」よりはずっとまともです。
aventure number : 0806 date : 2006/7/23


今日の禁断 レオノーレ

 本当に久しぶりに見たような気がする青空でした。毎日毎日雨ばかりでいい加減嫌気がさしていた頃ですから、なにか救われた思いです。でも、ちょっと前の「天気予報」では、今頃は梅雨明けしていたはずではなかったのでしょうか。一瞬でも「本当かもしれない」と信じてしまった私が、とても恥ずかしく思えます。スーパーコンピュータやら、もろもろの学問的な裏付けで成り立っている天気予報ですが、これほど当てにならないものなのなら、それこそ下駄を放り投げて予想する方が、よほど当たる確率が高いのではないでしょうかね。
 そこへ行くと、私が出している「駐車場満車予報」の方はよっぽど信頼性が高いですよ。今日も、少し遅めに行ったら、私の2台あとで「満車」になってしまいました。そのために、練習の開始時間に間に合わなかったニューフィルの団員が多数発生してしまったのですが、先日の「かいほうげん」での「満車確立」はしっかり「100%」ですからね。
 こんないいお天気ですから、当然冷房が入っていると思ったのに、ホールはなんかじめじめした感じでした。言わなければ入れてくれないのでしょうか。これで人が集まればこのじめじめはもっと増えるのは目に見えていますから、早速事務室に電話をして冷房を入れてもらいます。しばらくすると、ロビーで「ガチャン」と大きな音がして、天井から冷気が降りてきましたよ。しばらく使っていなかったので、動き出すまでにワンアクションが必要なのでしょうかね。「どっこいしょ」とか。
 しかし、前にも聞いていたのですが、このの冷房も微調整が難しいらしく、一度入れたら思い切り温度が下がってしまうようなのですね。今日のような微妙な時には、やはり冷えすぎになってしまいます。前半のロメジュリは降り番、座って聴いていたら半袖では寒くなってきたので、駐車場まで降りていって、車に置いてあったシャツを持ってきて着込んでました。結局、休憩の時にもう一度電話をして冷房を切ってもらいましたがね。それでも、そのあとは残りの冷気で、全く暑く感じることはなく、快適に演奏することが出来ました。
 ところで、ちょっと決定が遅れていた来年春の指揮者が、工藤俊幸さんに決まりました。まだ仙台フィルの副指揮者をなさっていた頃に一度ニューフィルを振って頂いたことがありますが、それは、今調べてみたら1994年の秋のことでした。ということは、12年半ぶりの共演ということになるのですね。当然のことながら、その頃のメンバーで今も残っている人など数えるほどしかいなくなってしまいました。ほとんど初めてという感じで接するのも、新鮮な感じがするかもしれませんね。
 工藤さんといえば、例の三善晃のオペラ「遠い帆」の時に、副指揮者としてプロンプターボックスに入っていたことを思い出します。あれから外国に行かれたりして、様々な経験を積まれたことでしょう。決して短くない12年という歳月の中で、確実に変貌を遂げられた工藤さんに再会する日が楽しみです。
aventure number : 0807 date : 2006/7/25


今日の禁断 ソニー

 最近、携帯の方でもいたずらメールが増えてきたので、メールの「着信拒否」を設定してみようと思いました。実は、前にもやろうと思って一度断念しています。その時は、電話の着信拒否と同じ方法でメールアドレスをフォルダーに移せば、それで済むのではと思ったのですが、なぜかうまくいきませんでした。マニュアルを見ると、「この方法ではメールの着信拒否は出来ません」とありますし、この機種ではダメなのかなと、その時はあきらめてしまいました。しかし、これだけいたずらメールが来るのですから、それを阻止する機能が付いていないわけがありません。そこで、再度挑戦です。ていねいにマニュアルを読んでみると、アドレスを設定する時のようにサイトに行って設定を行えば良いことが分かり、早速サイトにアクセスです。しかし、その「メニュー」のサイトそのものが、マニュアルとは大幅に変わっていました。こういうものは常に変わっているものなのですね。何とか、同じ機能を持っていそうなリンクをたどって、目的は達することは出来ましたが、なかなか面倒なものです。と言うより、今の携帯は買ってから1年半ほど経っていますが、そんなに長く使っているともはやマニュアルは役立たなくなるものだから、さっさと買い換えろと言われたような気分です。
 そもそも、私の携帯はdocomoでも「mova」、今では「foma」が全盛でしょうから、もはや新しい機種には使われていないタイプのものです。別にテレビ電話などは無くてもいいのですが、メールの字数が少ないのがちょっとした不満でした。何しろ、全角で250字しか送れないのですから、いかにも物足りません。これでは時候の挨拶だけでメールが終わってしまいます。それよりも、他社の場合は2000字以上は当たり前、docomoにしてもfomaだったら2500字まで送れるのですから、そういう人から受信したメールの場合、字数が足らなくなって途中でメールが途切れてしまうということがたびたび起こることになります。そんな時、「続きが届かなかったので、もう一回送ってください」とは、なかなか言いづらいもの、「そんな短いメールしか出来ないなんて、ありえな〜い」と言われるのがオチですからね。我慢して、メールの続きを想像して悶々と過ごす日々が続いていたものです。ただ、最近movaでも「文字数を増やしてます」などと言っている人がいるという噂を聞いて、そんなことが出来るのかな、と思っていました。
 その謎が、今回の設定変更をやった時に、見事に解けてしまいましたよ。同じサイトに、「受信文字数の変更」という項目があったのを、見つけてしまったのです。これを設定すると、1回のメールで受信できる字数は250字と変わりはないのですが、残りを2通目以下のメールに続けて送ることが出来るというのです。その結果、最大8通、2000字まで受信できるようになるのですから、fomaや他社にひけをとりません。こんなこと、今まで知らなかったなんて。
 この設定を終わったところ、掲示板からの書き込み案内のメールが届きました。いつもだと本文の途中あたりで切られてしまうものが、ちゃんと2通に分けて最後まで届きましたよ。関係のないサイトの広告の、なんと多いこと。
aventure number : 0808 date : 2006/7/27


今日の禁断


 いわき市でエッシャー展をやっていると知ったのは、少し前の新聞広告ででした。ハウステンボスのコレクションを各地で公開しているものの一環だそうで、確か去年あたりは横浜でもやっていました。その時もぜひ行ってみたいと思ったのですが、つい機会を逃して残念だと思っていたところに、この情報です。すぐお隣の福島県で横浜と同じ、というか、長崎と同じものを見ることが出来るのであれば、これに行かないわけにはいきません。なにしろ、仙台からならば「常磐線」で乗り換えなしでいけますからね。
 最近はもっぱら新幹線ばかり利用しているので、在来線、しかも「常磐線」などというマイナーな路線は全くのノーマークでした。時刻表を調べて分かったのは、仙台からいわきまで行っている特急は3時間に1本しか無いということです。しかも、その「スーパーひたち」といういかにも早そうな名前を持つ特急でさえ、丸2時間もかかってしまうのですよ。新幹線だったら、東京を通り越して新宿まで楽々行けてしまう時間です。なんという。
 それしかないのでは仕方がありません。仙台を10時に発って5時に帰ってくるという電車を選び、いわきで美術館に行く時間を作る、というスケジュールを立てて出発です。車中4時間、現地3時間という無駄の多い時間配分ですが、これ以外にないのですからやるしかありません。
 指定券を取った時に「11号車」とあったので、一番後ろの車両だと目星を付けて駅のホームへ向かうと、電車ははるか前の方にありました。なんと、それは「8号車」が一番前、全部で4両しかない「特急」だったのです。車中のアナウンスを聞くと、いわきで前の7両を連結するのだとか、つまりあれですね、「はやて」の後ろに付いている「こまち」の立場、秋田の人の気持ちが良く分かったような気がします。しかし、この電車の冷房の凄さったらどうでしょう、「もしや」とおもって長袖のシャツを用意していたのですが、とてもそんなものではこの寒さはしのげません。いわきまでの2時間、震えっぱなしでしたよ。これでは「スーパーひやし」です。
 そういえば、仙台から常磐線に乗ったのなんて何十年ぶりでしょう。それも、相馬より先には行ったことがありませんから、これも私の「初体験」、いわきが近づいて海がすぐ目の前に見えてきた時には感激ものでした。
 エッシャー展は、本当に素晴らしいものでした。実は、ハウステンボスが出来るずっと前に、日本では最初の本格的なものが池袋の西武美術館で開かれた時に行ったことがあったのですが、その時には見たことがなかった初期の作品がたくさん展示されていました。エッシャーと言ってすぐ連想される「だまし絵」が確立される前の、風景とか本の挿絵、これがとても素敵でした。それと、版木の現物、これが見られただけでも、寒い思いをしてはるばるやってきた甲斐がありました。ボリュームもかなりのもの、一つ一つていねいに見ていたら、帰りの電車の時間はすぐに来てしまいましたよ。でも、この美術館は駅から歩いて10分ほど、前もってネットで調べておいたので全く迷うことなく往復できました。ただ、昼食だけはいくらネットで調べてもこれぞというところがなかったので、行ってから探そうと思ったのですが、たまたまランチの看板があったので入ってみたお店が大当たり、ドリンクが付くので「ジンジャーエール」と頼んだら、あのウィルキンソンが出てきたのですからね。思わずお店の人に「これ、ウィルキンソンですよね」と聞いてしまいましたよ。そうしたら、「はい、辛口でございます」ですって。なんか、「つながってるな」と感じられた一瞬、いわきにまで来てこんなお店に出会えるなんて。
aventure number : 0809 date : 2006/7/29


今日の禁断 牛タン

 もう7月が終わってしまいます。本当に早いものです。この間「1年の折り返し」みたいなことを言っていたと思っていたのに、それから1ヶ月の経つのが早かったこと。毎月この時期になって焦っているのが「コラム」です。先月こそ余裕を持って(といっても、1日前ですが)仕上げることが出来たのに、それで安心してしまったのでしょうか、今月分はやっとさっき思い出したところです。何とか「ネタ」だけは思いついて、画像が完成するところまではこぎ着けましたが、それに付けるコメントはこれから考えなければいけません。ふと思いついて数えてみたのですが、このコラムがほとんど100個も出来ていたのですね。まあ、このサイトが出来てから毎月欠かさず作ってきましたから当たり前なのですが、このネタだけで100個なんて、すごいものですね。まあ、この「禁断」だって800を超えているのですから、軽い、軽い(その800の時に誰からもなんのお祝いも無かったのが、悲しいといえば・・・)。
 ところで、このコラム、毎回字数が同じだって、気づいていました? そもそもこれの原型は「かいほうげん」の最後のページに書いていた「編集後記」なのですが、レイアウト的にこのスペースの大きさを毎回同じものに固定していますから、必然的に字数を同じにする必要が出てくるわけです。1字たりともはみ出したり少なくなることは許されません。文章の中身よりも字数を優先するというこの自らに課した試練は、結果的になかなかの練習になっているようですね。意味を変えないで字数を増減させるためにはそれだけたくさんの言葉や言い回しを知っていなければなりません。毎月1度の「言葉」のためのエクササイズ、その辺のコンパクトなゲーム機より、ずっと役に立っています。と、本当は今月の分を書き上げてから言えれば良かったのですが。
 月末ということで、夏の甲子園の出場校も、本当だったら今日で全て決まっていたはずだったと、テレビのニュースで知りました。そんな年中行事の足を引っ張ったのが、他ならぬ宮城県大会だということも、知りました。確かにこのところの大雨続きは、関係者にとってはいまいましいものだったことでしょう。なんでも、本当は決勝戦は3日前に行われなければ完全にスケジュールが破綻してしまうということでした。ですから、いっそのこと決勝戦だけその日に「先に」やってしまったらいいのに、と思ったものです。どうせ、ここに出てくる学校は決まっているのですからね。ダメですかね。
 もう一つ、「今月中」だったのが、ガソリンの価格だそうです。あしたから大幅に上がるそうですね。そういえば、きのう行きつけのセルフスタンドに行ったら、給油待ちの車が長蛇の列をなしていたのは、そういうわけだったのですね。このスタンド、セルフになってからはずっと愛用していたのですが、半月ほど前に「機械の交換」ということでしばらく休んでいました。確かに新しい給油機が入ったのですが、そこに初めて行ったら、そのまわりにやたらと人が付いて説明をしています。つまり、やり方が前の給油機とは違っているので、それをきちんと教えてあげる役目の人がいたのです。せっかくの「セルフ」なのに、これではかえって大変ですね。どこが違っているかというと、以前は「セルフ」とは言っても支払いはお店の中で対面でやっていたものを、完全に機械だけで出来るようになったのです。ガソリンの自動販売機ということでしょうか。ただ、なぜか、おつりだけは別の機械からもらわなければならないというのが不思議。
aventure number : 0810 date : 2006/7/31


今日の禁断 ココア

 きのうは練習日だったはずですが、「禁断」がなかったので不審に思われた方が少なからずいたはずです。確かに練習はあったのですが、私は「降り番」だったので、出席しなかったというのがその真相です。全体練習でしたら別に出番がなくても行っていたのでしょうが、きのうの場合はパート練習、「ワルツ」と「ロメジュリ」をきちんとやったら交響曲をやる時間はなくなるだろうということで、必然的に私は出番がなくなってしまいました。しかも、会場がいつもの「会館」ではなく、この日だけパルシティの音楽室が2部屋揃って取れていたので東口ということも、休んだ理由。「会館」だったら鍵を開けたりするためにどうしても行かなければなりませんからね。
 ところが、最近はこの「会館」で練習することが多かったものですから、つい習慣でこちらに足が向かってしまうメンバーがいるかもしれませんね。もちろん、そんなことは単なる可能性でしかない、と思っていたのですが、きのう練習が終わった頃に、「最初に会館に行ってしまいました」というメールが届いてしまいました。ご本人の名誉のために特に名を秘すその方は、7時過ぎにそこに行っても、電気も点いてなくて真っ暗だったので、練習日を間違えてしまったのかと、焦ってしまったそうなのです。結局、最終的には駅前まで行って練習に参加することは出来たそうですが、大変でしたね。演奏会まであと2回パート練習がありますが、それはどちらも「会館」ですので、もう大丈夫でしょうね。
 練習に行かなかったので出来た時間で、録画しておいたDVDが見れました。それは、初めて見る「ポーラー・エクスプレス」です。ここで「前に見ているではないか」と突っ込める人は、「禁断」の超常連のあなた。確かに私は、去年の2月にこの映画を見に品川のアイマックスシアターに行っています。しかし、その時に見たのはもちろんアイマックス、しかも3Dバージョンでした。その上吹き替え版でしたから、昨日見たテレビ版とは、サイズがまったく違います。もちろん立体映像でもありませんし。そして字幕版とくれば、これはもう全く別の映画、「初めて」と言ってもいいのではないでしょうか。実は、アイマックスを見た時には、その画面の迫力を追いかけるのが精一杯で(本当にジェットコースターに乗っているような体験も味わえました)、細かいところまでは味わうことが出来ませんでした。それが、今回はテレビの小さな画面ですから、「作品」としては細かいところまでチェックすることが出来ます。キャラクターの表情なども、何だか別の顔のように見えることも。実際、主人公の男の子がこんなひねくれた顔つきだったなんて全然気づきませんでした。これだったら、「サンタクロースなんか信じない」という男の子として十分納得できる顔です。しかし、この子はそれなりに手がかかっていてそんな違和感はないのですが、その他の、例えばアフリカ系の女の子などは、いかにもモーション・キャプチャーだけで作ったみたいなところがあって、表情が完全に死んでいます。このあたりが、CGアニメの限界、というよりは、テクノロジーに頼り切ったデザイナーのおごりでしょうか。CGで人間の顔を作ろうとするとどんな不気味なものが出来あがるかという、一つの見本、おそらく作った人にはその気味悪さは理解できていないに違いありません。
 しかし、中で歌われるデュエットやコーラスは、思った通り「吹き替え」とはまったく違ったものでした。こういうものまで吹き替えてしまおうというセンスも、もしかしたら制作者のおごりなのかもしれません。
aventure number : 0811 date : 2006/8/2


今日の禁断 豚汁

 東北の夏祭りは、まさに本番の喧噪の中にあります。いよいよ仙台でも明日から七夕祭りが始まりますから、街中も何だかいつも住んでいるところではないような、ちょっとよそ行きの表情を見せています。
 そして、毎年恒例、七夕前夜祭の花火大会が、今年も盛大に開催されることになりました。ところが、私はそんな日に限ってスケジュールが2つも入ってしまっていました。まずお昼過ぎからは、来年も開かれる東京での合唱のコンサートの、仙台での練習です。今年出演したことに味を占めて(ほんと、あれは得難い経験でした)、また出たいと思っていましたが、今回はもろもろの事情で仙台で練習をする体制が整っていませんでした。東京ではすでに5月から練習が始まっているというのに、一向に仙台組がスターとしないので、しびれを切らしていっそ東京まで行って練習に参加しようと思い始めた矢先、やっと「練習を始めます」という連絡があったのです。
 その会場は、まだ行ったことのない、小学校の中に最近出来たばかりの市民センターでした。その次のスケジュールのために車が使えないので、地下鉄で降りてしばらく歩かなければなりません。やっと梅雨が明けた炎天下、ほとんど溶ける寸前の状態になってたどり着いたその会場は、冷房完備の素晴らしい施設、去年までの幼稚園とは雲泥の差です。今年も、この演奏会が好きで集まった仲間が、久しぶりの再会です。早速、出来たばかりの安野光雅・森ミドリコンビの混声の新曲を初見で練習します。テナーは4人揃っていますから、十分です。と、3曲目には男声が4パートに分かれるところが出てきました。テナー4人のうち3人はトップテナー、やはり今年も「セカンド1人」の地獄になってしまいましたよ。でも、去年よりは声が出るようになったかな。
 和やかな練習が終わると、今度はその合唱団の母体となった合唱団のOB会の集まりです。なぜか、私がそこの幹事をやらされることになって、その初めての顔合わせです。その会場は本町、また地下鉄まで歩いて、「広瀬通」まで乗ろうとすると、車両の中は浴衣姿のギャルで蒸しかえしていました。そう、もう少しすると、その「広瀬通」を通行止めにして、花火大会が始まるのですね。地下鉄を降りて改札を通ると、私の目的地とは反対方向、つまり一番町に向かって、その浴衣姿と、それにくっついているむさいオトコが、群れをなして歩いていきました。地上に出ても、同じように似合わない浴衣と、もっと似合わないオトコを連れた若い女性がたくさん歩いていました。いつもは、車に乗って遠くの方から眺めていただけの花火ですが、こんなに「生」で見る人が集まっているところには、初めて遭遇しましたよ。
 その集まりは、ステーキやさんで行われました。他の人はビールから始まってワインなどを飲んでいましたが、もちろん私はソフトドリンク全種目制覇を目指します。珍しく「アイスティー」がメニューにあったので注文したのですが、「あいにく切らしてまして」ということで、その野望はかないませんでしたが。
 とても柔らかいステーキに舌鼓を打ち、話に花が咲いているうちに、花火の方はすっかり終わっていました。地下鉄の駅はその帰りの人でごった返し、チケット売り場の前には長蛇の列が出来ていましたっけ。今年の花火はどうだったのでしょう。
aventure number : 0812 date : 2006/8/5


今日の禁断 青葉

 最近、また新たに2つほどサイトを開設(一つは再開)しました。フレームを使ったり、壁紙に凝ってみたりと、いろいろ新しいことに挑戦して、さまざまな顔を持つサイトが出来上がるのを見るのは、なかなか楽しいものですよ。今回は、出来合いの掲示板をフレームの中に仕込んで、それをあたかも自前のものに見せるように、他のページをその掲示板そっくりにデザインする、ということをやってみました。こんな風にたくさんのホームページを管理していると、つい、必要な更新を忘れたりすることがあります。ニューフィルの公式サイトに、そんなところがあったのに今気が付いて、慌てて直したところです。「かいほうげん」が出た時にすぐ直せば良かったのですが、印刷が終わってしまうとそれでもう仕事が終わったような気になってしまうものですから。
 それは、団員のデータのページです。嬉しいことに、入団希望者や退団者を集計して、今現在の団員の総数を掲載しているテーブルの更新をやってみたところ、最近減少気味だった団員数が、少し持ち直してきたような感じが出てきたので、ちょっと安心しているところです。なにしろ、一時は100人を超えていたものが(もっとも、その時には「幽霊」団員も少なからず計上されていました)、70人台まで落ち込んでいたのですから、深刻なところもあったのですよ。それが、かろうじて80人まで持ち直したのですから、喜んでもいいのではないでしょうか。これは、このところ相次いだ新入団員が、大きく貢献した結果なのですが、実は、公式サイトのアンケート経由で、まだまだ入団希望者が弦楽器を中心に待機しています。この「入団ラッシュ」、しばらく続くものだと思いたいものですね。サイトを見て入団したいと思ったという人が少なからずいるというのも、嬉しいことです。今さらながら、インターネットの威力を再認識させられます。最近はブログなどお手軽なツールがおおはやりですが、しっかり作り込んだウェブサイトというものが、逆に大きな力を持つことになるのかもしれませんね。
 そんなニューフィルも、明日の練習にはもしかしたら欠席者が多くなるのかもしれませんね。何と言っても七夕の最終日ですから、こんなところへ来るよりも浴衣かなんかを着て街へ繰り出す方が良いに決まっています。もちろん、そんなものには縁のない人は、しっかり時間通り旭ヶ丘に来るに違いありませんが。しかし、明日は駐車場は間違いなく大混雑になるはずですから、くれぐれも余裕を持ってやってくるか、あるいは車を置いてきた方が良いかもしれませんよ。そもそも、「満車予報」にもある通り、明日は青年文化センターがお休みですから、普段そこに駐めている人がやってきます。そして、これが肝心なのですが、この格安の駐車場に車を駐めて地下鉄で街に向かう人が、1年中で一番多くなるのが、この七夕の時なのですよ。心して、準備をしておきましょう。
aventure number : 0813 date : 2006/8/7


今日の禁断 ギター

 きのうお約束(?)したように、今日の練習には車を置いて地下鉄で行ってみました。昼の間中はとても外を歩けるようなことは出来ないぐらいの炎天だったのですが、夕方ともなるとすっかり涼しくなって、駅まで歩くのもそんなに苦にはなりませんから。
 ホールに着いて下の駐車場の待ち状況を見てみると、予想していたほど車は殺到してはいないようでした。これだったら、そんなに待たなくても入れそうな感じ、ちょっと拍子抜けです。しかし、やはりそれなりに待たされている人はいたのでしょうか、集まりは極端に悪いのが気になります。音出しの時点でコンマスも間に合わなかったので、なんと、かつて「姫」と呼ばれていたKさんがチューニング、ちょっと懐かしい風景でした。すぐにコンマスのNさんはやってきたのですが、席に着こうとした時にKさんにそのままやっていて欲しいような仕草をしてちょっと「譲り合い」をしていたのが、可愛かったですね。時間が経てばそれなりに人も集まったので、やはりお祭りのせいで到着するのが遅くなった人が多かったのでしょう。それよりも、セカンドにはおそらく先週のパート練習の時に入ったのでしょう、新しいメンバーが加わっていたのが嬉しいことです。最後に名前を紹介されていましたが、やはりこの前に公式サイトから連絡をよこされた方でしたね。
 それとももう一人、まだほとんど人が集まっていない時に、楽器を持たないでやってきた方もいて、ずっと後ろに座って聴いていました。この方も、やはりHP経由でニューフィルのことを知った方のようですね。早々とアクションを起こして頂いて、入団の期待は高まります。
 練習の方は、きのうのうちにフルートパートが一人欠席することが分かっていたので、響ママにブラームスの2番を吹いてもらいました。今回のローテーションではこの組み合わせはありませんから、ちょっと新鮮な体験。それよりも、後半にやったグラズノフでは、私が2番を代吹きしなければいけないので、そちらの方が大変でした。一応さらってはいたのですが、本番のテンポになると、全く目が付いていきません。というか、セカンドの譜面はある意味ファーストより不自然な音型が多い分難しいのではないかという気がします。ですから、1回目はごまかしごまかし、音を抜きながら吹くというとてもひどい出来でした。2、3回繰り返しているうちにやっと慣れてきて8割ぐらいの音が出るようになりましたが、それでも完璧にはほど遠い出来、またいつか、代吹きの機会があったら、その時こそはちゃんと吹こうと、固く心に誓うのでした。
 家へ帰ってみると、夕食は「白いカレー」でした。最近そういうのが出来たというのを聞いて、早速買ってきて作ってみたとか、見た目はホワイトシチューですが、味は確かにカレー、言ってみればホワイトチョコレートのカレー版でしょうか。さっそくチェリッシュのように、「♪白いカレーに代えたのは、なにか訳でもあるのでしょうか」と歌ってみるのでした。
aventure number : 0814 date : 2006/8/8


今日の禁断 エッシャー

 入団希望ラッシュは、まだまだ続いています。今日も、公式サイトの「アンケート」経由のメールで、ヴァイオリンの方がお問い合わせをして下さいました。これで、「ホームページを見て、入りたくなった」というヴァイオリンの人が3人、いや、4人になったのでしょうか。募集をしていることもあるのでしょうが、ヴァイオリンに集中しているのが面白いところです。どこのオーケストラも弦楽器不足は深刻なのでしょうが、潜在的な入団希望者は、実はたくさんいるのかもしれませんね。そんな人をすくい上げるような働きが出来たのなら、これほど嬉しいことはありません。
 サイトの力に関しては、未だに本当はどうなのかが良く分かっていないところがあります。ただ、このところブログの「おやぢの部屋2」のアクセスがあり得ないほどの伸びを示していて、ちょっと気をよくしているところです。ここ2週間ぐらいの間、毎日のアクセスが90から100という、すごい数字を示しているのです。もちろん、こんなアクセス数は、他のブログに比べたら微々たるものなのですが、今までの平均が1日60から70ぐらいだったところにこのぐらい、ということになってくると、ちょっと驚いてしまいます。単に比較の問題だけなのですがね。もちろん、来週になったら元のレベルに落ちてしまうことも十分あり得るわけですから、これをもって「おやぢ」が市民権を得たと勘違いするのは、厳に慎みたいものです。ただ、トラックバックやコメントが割と頻繁にあるようになったのは、喜んでいいのかも知れませんが。ひところ山のようにあったいたずらトラックバックも、このところはやや沈静化のようですし。
 その「おやぢ」ですが、だいぶ前、多分半年以上前に注文したCDがやっと手元に届くという、忍耐強いことが最近ありました。もうほとんどあきらめていたものですから、喜びもひとしおです。さっそくそのレビューも出来上がって、もうしばらくしたら公開されるはずですが、そのCDのデザインがなかなか面白かったので、フライングですがここで紹介してしまいましょう。

 これがジャケットの一部、多分スタジアムのシートの写真なのでしょうが、なぜか番号が全くデタラメに付けられています。実際にこんな番号が付いていたら、指定券を買って座ろうとした人が困ってしまいますね。ですから、これはちょっといたずらをしてみた合成写真なのでしょう。

 ですから、多分そのシートが置いてあるスタジアムの客席の遠景なのでしょう、インレイのこの写真を見ても、「何かやっているのではないか」という勘のようなものが働くのは当然のことです。実際、この写真にはなにか違和感があります。どっか、不自然なのですね。何がそんな違和感を与えるのか、このCDの「おやぢ」がアップされるのは先のことですから、それまで考えていて下さいな。
aventure number : 0815 date : 2006/8/10


今日の禁断 MG

 お盆の帰省ラッシュという、相も変わらぬネタがブラウン管を賑わす時期となりました。と、書いて、こんな慣用句はもう通用しないことに、はたと気づくことになります。今や「ブラウン管」などというものはよほどの旧家にでも行かない限りお目にはかかれないものとなっているのですからね(うちにはこれしかありませんが)。かといって、「液晶ディスプレイを賑わす」みたいなうわついた言い方はちょっと、でしょう。別に実物がなくなっても、それが持っていた機能をあらわす時にその言葉を使う、というのは良くあることですから、別に構わないのかも知れませんがね。私のまわりには、「電車」のことを未だに「汽車」という人がいます。
 この時期に「帰省」をするということは、みんなが同時に休みを取るからです。なぜ休みになるかというと、同じ目的を持って訪れる場所があるからです。そんな所が職場なものですから、この時期は大忙し、なにかとこまごまとした用事で走り回っています。急に空模様が怪しくなったかと思うといきなり大雨が降ったりと、なかなかバラエティに富んだお天気でしたね。
 そんな日に、大学の後輩の合唱団がジョイントコンサートをやるというので、少し時間を作って、地下鉄で青年文化センターへと向かいます。どうせ駐車場は満車でしょうから、地下鉄の方がずっと早いはず。チラシやチケット(無料なので、整理券)には、会場が「シアターホール」とあったので、あのデッドなホールでの合唱もいいかなと思って階段に向かおうとすると、正面のコンサートホールにこの演奏会の案内が出ていました。受付に行ってみると、もう開場している時間なのに扉も閉まっていますし、ロビーの中にもほとんど人がいません。それでも、ちゃんとプログラムももらえましたから、ここでまちがいはないのだろうと思って、中に入ります。しかし、その時の客席にはほんの数人しかお客さんは入っていませんでした。そのうちの一人が声高に話しているのが、ホール全体にこだまして、何とも寒々しい感じ、客電がえらく暗めなのも、変な「場末感」を募らせてくれます。結局、開演時でもお客さんは60人ほど、ちょっと、というか、かなり寂しいものでした。
 しかし、そんな少ない入場者のお陰で、満席の時でもびしゃびしゃの残響が付いてしまうこのホールがさらに豊潤なエコーを持つことになりました。ジョイントコンサートですから、他の大学の女声合唱団と一緒に行うコンサートなのですが、全員がステージに乗っても20人、女声だけだと8人しかいないという、小さな所帯です。これが、この空席だらけのホールで歌うと、とてもそんな少人数とは思えないほどの「豊かな響き」が伝わってくるのです。ちょっと音程に難のあるその女声合唱も、歌い終わったあとにホールに響き渡る残響の美しかったこと。
 最後の混声のステージで、全員が浴衣姿で登場したのも、なかなか楽しめました。この楽しさが、もっとたくさんに人と共有できれば良かったのですが。
aventure number : 0816 date : 2006/8/12


今日の禁断 竹中直人


 「今さら」という感じですが、あの「のだめ」がテレビドラマになるという情報が入るようになってきました。もう何年も前に「映画になる」だのという噂が飛び交っていましたが、結局「ガセ」だと分かってがっかりしたことがあったので、今回もあまり素直には喜ばないでおこうと思っていました。期待していて裏切られる辛さは、人一倍知っているつもりですから。
 しかし、きちんとした公式サイトもあるのだといいますし、具体的なキャストやオンエアのスケジュールも耳に入ってくるようになると、これはしっかり「現実」であることが分かってきます。「のだめ」を最初に私に教えてくれたHさんあたりは、感涙にむせんでいるのでは。
 ドラマは1クール(と言うのでしょうか)、11回連続ということですから、話としては最初の頃の「R☆Sオケ」が出来るあたりまででしょうかね。作者も、まさかこんなに人気が出るなんて夢にも思わなかったでしょうから、本来の構想もせいぜいこのあたりまでだったはず、ストーリーとしてはなかなかまとまったものになるのではないでしょうか。正直、最近のヨーロッパへ行ってからの話は、ちょっと無理をしているのがありありとうかがえますから、それが正解ですよ。って、別にまだ内容が分かったわけではないのですが、それが普通の脚本家の「良心」というものでしょう。
 ちょっと凄いのは、そのオケのメンバーをきちんとオーディションで選ぼうとしていることです。今時、音大生は町にあふれかえっていますから、オーケストラ一つ分のメンバーなど、すぐ集まることでしょう。現実にリリースされたCDは覆面オケでしたが、ドラマに集まったメンバーだったら実際にコンサートをやったりすることもあるかも知れませんね。そして、そのCDやDVDが店頭を飾って、「クラシック・ブーム」はますますヒートアップする、と、本気で期待している業界人も、絶対いるにちがいありません。まあ、好きにやってください、というのが本音です。そんなことで「クラシック」の「裾野」が広がることなど、決してあり得ないのですから。
 私が一番楽しみにしているのは、言うまでもありませんが、ドラマの中に沢山取り込まれるであろうクラシックネタに対するツッコミです。原作では、最初のうちはこのように、とても素直な「まちがい」があって、楽しめたのですが、最近では意識してのことでしょう、とんでもない所で見当違いの「蘊蓄」を披露するようになってきています。もちろん、それは作者を取り巻くブレーンの入れ知恵なのでしょう。特に、ダブルリードの大御所が自らの楽器の周辺を語り始めれば、ちょっと「シロート」にはついていけないような世界が広がります。その最たるものが「バソン」です。実際にオーケストラに所属して活躍している管楽器奏者でも知らないことがあるというこの楽器などを登場させられては、もはや「恐れ入りました」と言う他はありません。もし、このレベルのものがドラマでも披露されるのであれば、受けて立とうではありませんか。今からファイトがわいて(死語)きますよ。
 のだめ役の樹里ちゃん、まさか山形弁を喋ったりはしないでしょうね。
aventure number : 0817 date : 2006/8/14


今日の禁断 合コン

 きのうは火曜日でしたが、ニューフィルの練習はお盆のためにお休みでした。私は1年中で一番忙しい時期ですから、これは大歓迎、ほんと、練習する暇もないほど出たり入ったりしていますから。
 そんなわけで、夕食は愚妻と一緒に外食です。ただ、このところ行くお店がマンネリ化して、どこへ行くかを決めるのが、いつも大問題になっていました。どこへ行ってもまずまずではあるのですが、なんか新鮮味が無くなってしまって、いまいちインパクトに欠けるようになってしまっていたのです。そこで、新しいお店を開拓しようと、最近出来たばかりの「中嘉屋食堂」に行ってみることにしました。ここはチェーン店ですから、仙台駅の中とか、長町のモールなどにお店があります。この間映画を見に行った帰りに、そのモール店に行ってみたのですが、お店の雰囲気もなかなかだし、食べた焼きそばも結構おいしかったので、そんな悪い印象はありませんでした。ただ、愚妻が食べた麻婆豆腐は、あまりおいしくなかったような。
 昨日行った新しいお店は、北郵便局の旧4号線を挟んで向かい側にあります。その付近が工事中なので、1車線が使えないようになっていて、ちょっと入り口が分かりづらくなっていましたが、ちゃんと看板が立っていたので、すんなり駐車場にはいることが出来ました。見ると、その中華のお店と同じ系列店でしょうか、カフェが同じ敷地内に並んでいます。その間に木製のテラスなどがあったりして、なかなかおしゃれなたたずまいですね。入ってみると、どうやら禁煙席は満席のようでした。見た感じガラガラでしたが、そこは喫煙席なのでしょうか。「少しお待ちください」というので待っていると、すぐ「禁煙席に御案内いたします」と呼ばれました。後をついていくと、なんと、個室に案内されたではありませんか。ちゃんと扉がついていて外からは全く見えないようになる、6人ぐらい入る部屋です。こんな大きなところを占領できるなんて、ラッキー!
 その扉を開けて、ウェイトレスが水とおしぼりを持ってきました。その水を一口飲んでみると、ほのかにレモンの味がします。多分、レモンスライスが浮かべてあったのでしょうね。喉も渇いていたので、料理を注文する頃にはほとんどコップが空になってしまったので、「お水、下さい」というと、そのウェイター(今度は男)はポットを持ってきたので、それをコップに注ぐのかと思ったら、「これ、置いていきますから」と、そのポットを丸ごと置いてくれました。見ると、確かに中には氷と共にレモンが浮かんでいました。これだけで、もうすっかり満足したような気になってしまいましたよ。
 肝心の料理は、私が豚肉のチンジャオロースーとシューマイ、愚妻が麻婆茄子と餃子というラインナップ、出来上がるまでにずいぶん時間がかかるのが、ちょっと気になります。レモン水だけでは間が持たなくなった頃、やっと料理が届きます。一番の楽しみはシューマイ。中華のお店では必ず注文して、そこの味を楽しんでいます。さっそく、その大きな造りのアツアツを楽しもうと一口ほおばると・・・なんか冷たい! 真ん中辺がまるで解凍されない冷凍食品のような感じです。どうやら、これは冷凍配送。肉の味も臭みがあって最悪でした。チンジャオロースーはまずまずおいしかったのですが、麻婆茄子がとんでもない味付けになっていました。まるで塩を間違えて入れたのではないかというほどの、およそプロの仕事とは思えない味なのです。ここは、どうやら愚妻が注文するものが軒並みまずいというジンクスがあるようですね。私が頼んだものも片方は×、これが全部ダメになるのは嫌ですから、もうここに来ることはないでしょう。こんな評判もありますし。
aventure number : 0818 date : 2006/8/16


今日の禁断 ラトル

 61万のキリ番、夕べのうちに出るのではないかと見張っていたのですが、12時を過ぎてもまだあと20カウントぐらい不足していました。これからが結構長いので、ついにあきらめて寝てしまったら、その直後、12時55分51秒に、「キリ番、とりました」という書き込みが掲示板にありました。しかもちょうど61万! おめでとうございます。
 ところで、このところ「惑星」に関する話題がにぎやかになっていますね。もちろん、この「惑星」というのは天体のことなのですが、われわれクラシックファンにとっては、普通はホルストのそういう名前の曲を連想してしまうものではないのでしょうか。実は、ちょっと前の「おやぢ」で、まさにその「惑星」(「曲」のほうね)を取り上げたばかりなので、新聞にこの文字が躍っていると、つい目が行ってしまいます。その「おやぢ」の中で、「もっとも、最近では冥王星を惑星と見なすこと自体に疑問も投げかけられているようですから、先行きは不安です。学問的には『惑星』ではないのに、曲としての『惑星』には入っている、などという事態にならなければいいのですが。」と書いていましたが、これを書いた時点では確かにそういう動きの方が優位だったはずなのです。それが、いつの間にか「減らす」ではなく「増やす」方に話が動いていってしまって、どうやらその方向で世界的な同意が得られるような流れになったようなのですね。
 今朝の新聞によると、これにはアメリカの科学者のメンツがかかっているのだとか。そもそも、冥王星を発見して、これを太陽系の惑星に認定しようとしたのがアメリカ人、しかし、ここにきて「やっぱり冥王星は惑星にはふさわしくない」というような議論が出てきたので、せっかく認めてもらったものがなくなるのはまずいと、他の3つの天体を持ち出して、冥王星の安泰を図った、というのが真相のようですね。その記事にあった日本の天文学者のコメントだと、「まともな科学者で冥王星を惑星と認める人はいない」のだそうなのです。牛肉輸入ではありませんが、この国の人のごり押し好きがここでも発揮された、ということなのでしょう。目的を達成させるためには手段を選ばないというこんなやり方に嫌悪感を抱くのは私だけでしょうか。
 それにしても、こんな遠くにあるものの大きさや重さが分かってしまうというのですから、その方面の学問の進歩は素晴らしいものがあります。さっきの「おやぢ」を書くために小惑星のことを調べたのですが、ちょっと昔の資料だとその数が2桁も少なくなっていたのですよ。今だと「30万個」はあるのだとか。そんな沢山のものを一つ一つ確認している人々の能力というか、執念というものは、到底私などには理解の出来ない世界です。それは、「天体望遠鏡」というツールの進歩によるものなのでしょうか。この方面の技術に関しては何一つ具体的なイメージがわいてきませんが、そんな遠くのものが分かるのであれば、すぐ近くにいる痴漢オヤジなんか、すぐ分かってしまいそうなものですが(それは、「変態望遠鏡」)。
 いや、マジで、オトコを騙してすました顔をしているオンナを見破る望遠鏡があればいいなと思っているところです。
aventure number : 0819 date : 2006/8/18


今日の禁断 津和野

 3月に行われた東京の演奏会、私にとってはフルのコンサートとしては何十年ぶりかの合唱の本番でした。あれから半年近く経って、やっとその演奏会のDVDが手元に届きました。愚妻あたりは、もうちょっと前にテスト盤を見る機会があったのですが、その日はちょうどニューフィルの定期の前の日だったので、私は練習に行っていて見ることは出来ませんでした。もうほとんどコンサートの余韻もなくなってしまっていましたから、まるで別の人の演奏を見るような感じで、そのDVDを見ることが出来ましたよ。
 もちろん、一番のチェックポイントは、そこで歌っていた私自身の姿です。私が最近もっぱら見ているのは、オーケストラの中でフルートを吹いている姿、ですから、大勢の他の人たちと全く同じことをやっている「合唱」という姿は、何だか凄く新鮮に感じられます。久しく味わうことのなかった「トゥッティ」の魅力ですね。ただ、そんな中にも、私のへそ曲がりな一面はしっかり現れているのですから、笑えます。前にも書きましたが、2曲目の男声合唱の曲で、他の人はみんな楽譜を持っているのに、私だけが持っていなかったのです。そもそも、この演奏会は「全曲暗譜」という至上命令があったのでその気になって暗譜をしたのですが、当日になって「やっぱり持とう」ということになってしまったのですね。ところが、その連絡がきちんと伝わらなかったので、楽譜を持たないでステージ裏に行ったら、みんなが持ってきていたので焦ってしまったというのが、真相です。結果、私だけが異様に目立ってしまうことになってしまいました。

 そんな個人的な感傷を捨てて、お客さんの立場になってこの演奏会を鑑賞してみると、これはとても素晴らしいものだったことが分かります。当日、2階席にカメラがあったのは確認できていましたが、実際には5台も使っていたのですね。そのスイッチングを行うために、スタッフに演奏した曲の楽譜を渡していたという話も後に聞きました。そうして出来上がった映像は、まるで放送局が作ったもののようなクオリティの高いものに仕上がっていました。ソリストなどもきちんと歌い出すタイミングでアップにしているのですから、これは綿密にカット割りを考えた結果であることが分かります。そして、そんな完璧な映像に、この合唱団は見事に応えた演奏をしていたのです。歌っていた時には多くの傷があったことを感じていましたが、こうして感パケになってみると、そんなものは全く気にはなりません。その代わり迫ってくるのが、全員の力が一体となって訴えかけてくる「音楽」です。もちろん、それぞれの曲での肌合いの相違はありますが、なにかしら伝わってくるものを、まさにストレートに感じることが出来るのです。
 中でも、最後のオリジナルステージの持つユニークさと完成度の高さは、今さらながら強烈なインパクトを伴って迫ってきます。私たちが現役の学生の時だったら絶対になし得ないような、それは「大人」として広い視野に立った、まさに「感動的」なものでした。

 来年も、さらにユニークさを増した形での演奏会の準備が進んでいます。このDVD以上の「感動」を、また作り出せるかもしれないと思うと、今からワクワクしているところです。安野光雅さんの作詞による新曲も披露されるはず、その時は、ちゃんと階段を用意して、すんなり歩いてステージに登れるようにしておきましょう。

 ゲストの森ミドリさんと小原孝さんに抱えられてステージに登る安野さん
aventure number : 0820 date : 2006/8/20

06/8/22-9/28