0781(06/6/9)-0800(7/12)

今日の禁断 落ち穂拾い

 今、甲府にいます。前にもちょっと書いた、親戚の結婚式のために、けさ仙台を発って、午後にこちらに着きました。今回、初めてのことですが、パソコンを持ってやってきました。今まで旅行したことは何度となくあったのですが、いつも1泊しかしていなかったので、JPに関しては行く日の朝に前の日に作っておいた更新分のファイルを更新して、帰ってきてから夜遅く次の日の分を更新するということで、このところしばらく続いている「連日更新」の記録を維持してきたのでした。しかし、今回の旅行は2泊、どう頑張っても1日は更新できない日が出来てしまいます。それで、パソコンも持っていこうと思い立ったのです。最近は、どんなホテルでもインターネットに繋げるLANが完備していますから、それを実際に使ってみたい、というのも、持っていった動機でした。旅先からホームページを更新するなんて、いかにもかっこいいじゃありませんか。ホテルのLANなんて使ったこともありませんが、説明を読むと何の設定もいらないようなことが書いてあったはずですから、おそらく大丈夫でしょう。
 そこで、甲府駅からまっすぐホテルに行って、部屋に入ってすぐしたのが、インターネットの接続の確認でした。一応LANケーブルも持ってきたのですが、ここにはそれも完備しています。ですから、ケーブルをスロットに入れるだけで、接続は完了するはずです。電源を入れてブラウザを開くと、いつも家でやっているのと全く同じ感じでトップページが開きました。全く何の問題もありません。簡単すぎて物足りないほどです。メールも受信してみましたが、いつもの通り、大量のスパムが届きましたよ。そこで、いよいよホームページの更新です。これも、すでにさっき「おやぢの部屋」を送信したばかり、きちんと更新できてるでしょう?
 ところが、やはり問題はあったのです。実は、今度発行する予定の日程表の件で連絡が入ったので、早速それの返事と一緒に、出来上がったワードファイルを送るという、それこそ「旅先のビジネスマン」みたいなことをやろうと思ったのです。しかし、メールを送ろうとすると、なぜかエラーが出てしまってうまくいきません。ホテルのLANというのは、メールの受信は出来ても送信は出来ないものなのでしょうか。そういえば、説明書きには「メールに関しては、プロバイダにお問い合わせ下さい」などと書いてありますね。そこで、もしやと思って、もう一つ加入しているプロバイダのアドレスを使ってやってみたら、これが送信出来るではありませんか。やはり、プロバイダの相性があったのですね。明日は今度は東京のホテルに泊まります。そこでは、果たしてどういうことになるのでしょうか。
 新宿からの中央線の旅は、私にとっては初めてのものでした。もちろん甲府というのも、処女地です。ただ結婚式に出るだけだと思って何のリサーチもしておかなかったのですが、ホテルに着いてみたら「山梨県立美術館」などという文字があちこちで見当たります。そうだ、ここは、あの「ミレー」ですっかり有名になったあの美術館があったところだったんですね。こんな所、もう一生来ることもないのでしょうから、ぜひ行ってみたいものだと、タクシーを呼んで行ってみようと思ったら、最終入館時間が4時半だというのが分かりました。その時はもう4時20分。せっかくタクシーが来たのにこれではもう間に合いませんから、運転手さんのお薦めの、いつでもやっている「武田神社」に行ってみることにしました。
 さすがご当地、その、武田信玄の居住地があった場所に作られたという神社の宝物殿の前には、こんな「石像」がありましたよ。
aventure number : 0781 date : 2006/6/9


今日の禁断 貸し切り

 きのうは仙台はザーザー降り、東京でもかなりの雨が降っていましたが、山梨県に入ったら雨は止んでいました。奥深い山の中を走る中央線、その緑の木々で覆われた険しい山の中腹あたりに、真っ白な雲が湯気のように立ち上っているのが、非常に印象的でした。甲府に着いた時も、雨こそは降っていませんでしたが、空は厚い雲に覆われていて、楽しみにしていた富士山を見ることは出来ませんでした。結婚式が行われたホテルに泊まったのですが、その甲府有数の高層ホテルの客室からは、眼前に広がる富士山が見えるはずなのですが、何も見えません。ちょっとでも雲があると、見えないものなのだそうです。まあ、仕方がありません、あきらめましょう。
 今朝になって、カーテンを開けて窓の外を見てみても、相変わらず雲が広がっていて、正面に見えるはずの富士山は見えません。しかし、右手の方は少し晴れ間が出てきたようで、南アルプスの雪を抱いた山々が見えています。もしかしたら・・・。
 そんな、私の願いが通じたのか、それから小一時間もした頃、突然、その誰でも知っている稜線が、くっきり空の中に現れたではありませんか。
こんな間近に見える富士山なんて、もちろん初めて、願えば叶うこともあるんですね。
 そもそもこのためにやってきた結婚式は、なかなか新鮮なものでした。ホテルに付属のチャペルでの式、花嫁が父親に伴われてバージン・ロードを歩くというものですが、その時の父親の仕草などを注意深く観察するのは、もしかしたら将来こんなことをやらされることになる可能性が全くないとは言えない立場にある私としては、ぜひとも必要なことでした。花婿の許に娘を託したあと、ぼんやり立ちつくすような間抜けなことだけは避けたいと、心に誓うのでした。あ、そんな機会があれば、ですけどね。
 披露宴も、最後に出たのはかなり前のことですから、まさに日進月歩の披露宴業界の様相を身をもって体験することになりました。例えば、ケーキカットなどというのは、私が知っているのは形だけナイフを入れる、というただの儀式のようなものだったはずですが、今日見せてもらったのは「ファースト・バイト」というもの。実際にカットしたケーキを、新郎新婦がお互いに相手に食べさせる(噛ませる=biteでしょうね)という、神聖な儀式としてはかなり行儀の悪いイベントです。でも、今ではこれが主流になっているそうなのですね。あとは、「新婦」の御挨拶というのも、ちょっと馴染みのないものでした。当然、殆ど涙声の挨拶になりますから、両親、特に父親にとってはたまったものではありません。これだけは絶対やめて欲しいと、そんな可能性もないとは言えない私は、切に願うのでした。
 披露宴が終わったのが3時、それから衣装やお土産を宅急便で発送したりして、ホテルを出たのが4時ちょっと前、まだ間に合うので、昨日行けなかった県立美術館のリベンジです。とは言っても、帰りの電車が5時ですから、30分もいられなかったという強行軍、しかし、甲府まで行って来たのに、なぜここに行かなかったのかと一生悔やむことだけは避けたいというだけのものでした。まあ、ミレーもみれーたし。
 そこから東京のホテルに行って、LANを試したら、さすが東京、メールは何の問題もなく発信出来ましたよ。
aventure number : 0782 date : 2006/6/10


今日の禁断 金髪

 おとといは、「メールが送れない」などと言いながらも、ホームページの更新はちゃんとできたのは、ご存じの通りです。そして、きのう東京のホテルに着いて、同じようにLANでインターネット接続をしたところ、「さすが東京」、メールは送信も受信も問題なく出来ました・・・ということを書いて、意気揚々とHPを更新しようと思ったら、なぜかそのLANではFTPに接続できないのですよ。これでは、更新したファイルが送れませんから、きのうの時点の更新は不可能、自宅に帰ってついさっき「10日」付けのファイルを送ったところですから、形だけでも「連続更新」が達成できたと、思ってみて下さい。ホテルのLANにこういう落とし穴があったとは。結局、FTPに関しては「一勝一敗」ということでした。
 そして、今日の朝になりました。せっかく東京を経由して甲府に行くのですから、帰りはまるまる1日遊んでこようというのが、当初の目論見でした。一応、この間「眺める」だけで終わってしまった「東京ディズニーシー」に行ってみようということは考えていて、ガイドブックなども用意、「海底二万マイル」なんか良いかな、などと考えてはいました。しかし、今朝のテレビの天気予報では、前の日までのものとはガラリと変わって「1日中雨」という予報になっているではありませんか。外を見てみると、確かに傘をさして歩いている人がいますし。こんな雨中をディズニーシーに行ったって、面白いはずがありません(空いてはいるでしょうが)から、ここは潔くあきらめて、「プランB」を採用することにしましょうか。それは、「劇団四季」です。ネットで調べてみると「キャッツ」の当日券が12枚だけあるということ、行くだけ行ってみて、それが手に入れば見ることにする、という、大胆な予定に変更です。
 開演は午後1時ですが、当日券の発売は11時から、おそらく、その前にはたくさん並んでいるのでしょうから、出来るだけ早く出発する事にします。五反田駅に着いたのは10時ちょっと前、これから歩いて劇場に向かうと、果たしてどのぐらいの人が並んでいることでしょう。と、私の前を、何だか同じ方向に早足で歩いていく人がいます。もしかしたら、この人も競争相手? 何とか追い越そうとしますが、かなり足が速く、追いつくことすら出来ません。大通りから「ソニー通り」へ曲がりましたから、やはり目指すは「キャッツシアター」、と思ったら、彼は正面ではなく裏手の方へ向かう気配、実はその前から「もしかしたら」とは思っていたのですが、慌てて前へ回って顔を見てみたら、その人は思った通り、ミストフェリーズ役の蔡さんではありませんか。ちょっと小柄で、キビキビとした身のこなしにもっと早く気づいていれば、サインぐらいもらえたかも知れなかったのに、残念!
 結局、前売り券売窓口には一番乗りでした。それでも発売時間には10人近く並んでいたでしょうか。おかげで、一番後ろですが、一階真ん中のよい席をゲット出来ました。「一番後ろ」といっても、この劇場は殆ど円形ですから、ステージが恐ろしく近くに見えます。それでいて、客席の中も全て見渡せるという理想的なロケーション、必要なものは全て見えて、楽しむことが出来ました。今までは「S回転」と「ジェリクルギャラリー」という、手に入りにくい所でしか見たことがなかったという、ある意味贅沢な思いをしていたのですが、ステージをきちんと見るのは、今日のような「余り物」の方がよかったという、これも結果的に嬉しい思いが出来ました。
 一年半ぶりとなる「キャッツ」、半分ぐらいはキャストが変わっていたようですね。でも、初めて聴いた早水さんのグリザベラは、とことん「濃い」表現で、思い切りのめり込んで聴くことが出来ました。デュトさまをやった種井さんも、深みのあるベル・カント、これからが楽しみです。村さんは、やはりガス=グロールタイガーが一番似合うキャラ、ファントムは、出来ればやらないで欲しいものです。
aventure number : 0783 date : 2006/6/11


今日の禁断 山梨ワイン

 リゲティに続いて岩城宏之までが。どちらの訃報も、最初に知ったのはブログから、私のブログに別件でコメントがあったので、そちらに行ってみたら、そういう情報がネットで流れていた事が分かりました。リゲティの方は、そのあと今朝の新聞を見たら載っていたのですが、岩城さんはとても間に合いません。そう、私はやはりネットよりは新聞の方にまだ未練が残っている人種、きちんと印刷されたフォントで書かれたものの方が重みがあると思っていますから、ネットでニュースを見るという習慣は殆どありません。
 しかも、私がとっている新聞は、○○新報のようなローカル新聞ではなく中央紙ですから、いきおい速報性には全くそぐいません。例のサッカー問題にしても、締め切りの関係なのでしょうが、記事は日本チーム優勢のまま終わるのではないか、という予測の上で見切り発車したあとがミエミエでした。写真のレイアウトも、記事をしっかり読まなければ、まるでニホンが勝ったのではないかと思えるようなものでしたし。ですから、試合終了間際にあんな事になって、担当者はあせった事でしょうね。何しろ時間との勝負ですから、中には明らかに辻褄が合わないような表現もあったりして。こんな面白いこと、ネットでは絶対にあり得ないでしょうから、そんな楽しみがあるのも、新聞が好きな理由です。
 リゲティ、でしたね。このサイトでも、「2001年」がらみで、私としてはかなり気に入っているコンテンツも作っていますし、「おやぢ」でも新作が出れば取り上げていましたから、かなり馴染みのある作曲家ではありました。なによりも、最後まで「厳しい」作風を貫いた、という点で尊敬の対象ですらありました。この現代にあって、曲を作るということがどういう意味を持っているのか、真剣に考える時には必ず検討の対象となるべき作曲家です。彼の作品「レクイエム」が「2001年」で採用されたことはコンテンツに詳しくありますが、そこでも疑問を提示したように、サントラの音源が一体どのような課程で使われることになったのか、それを知っている映画監督も作曲家も亡くなってしまった今となっては、検証するすべは失われてしまったのが、残念です。もう一人の証人、フランシス・トラヴィスは、まだご存命なのでしょうか。
 サッカー問題は、ニューフィルの練習場にも影を落としていました。指揮者のKくんは、ブラームスの練習も終わりに近づき、みんなの緊張が持たなくなったと見ると、「最後の○分、緊張して行きましょう」と、実際はその緊張がなくなって惨めな失点を繰り返したのですから、何の効果もない煽り方をしていましたね。ちょっと時間が過ぎたら「ロスタイム」とか。そんな中で、偶然チェロの音符の指示がよく分からないようなディスカッションがあったので、スコアを見比べてみたら、やはり、リストアップされてはいなかったヘンレ版との違いが見つかりました。さらに、別な箇所ももう1件。この分では、まだまだ違っているところが見つかりそうですね。とりあえず、この2件はあしたにでも譜面をスキャンして、追記としてアップする予定です。
aventure number : 0784 date : 2006/6/13


今日の禁断 ミゼット

 ご存じのように、ネット書店Amazonに注文する時には、合計金額が1500円を超えると送料がかかりません。最近とみにちゃんとした本屋さんへ行くのが億劫になっているので、「のだめ」と「鎌倉ものがたり」の最新刊を注文してみようと思いました。「鎌倉〜」は、仙台の本屋さんでは新刊が出てもまず見かけることはないので、こちらの方が確実、もっとも、いまは「3丁目〜」がブームで西岸さんも注目されていますから、事情は変わっているかも知れませんがね。しかし、この2冊の値段は、合計しても990円、これでは送料免除になりません。唐沢なをきあたりで新しいものはないかと検索してみましたが、何もありません。と、Amazonのページをあちこち見ていたら、この前見たそれこそ西岸良平原作の映画「ALWAYS 三丁目の夕日」のDVDがもうすぐ出るということではありませんか。しかも2割引、迷わずこれを「隙間ふさぎ」として、一緒に注文しましたよ。こっちの方がはるかに高くなってしまいましたが。
 その荷物が、今日届きました。コミックの方は後回し、まずはDVDです。私が買ったのは、もちろん「豪華版」の方、分厚いケースを開けてみると、特典のおまけが出てくるは出てくるは。紙製の「メガネ」を組み立てて見る「立体写真」なんてものも入っていますよ。その中でも私のお目当ては、メーキングが収められている特典DVDです。特に、VFX関係のメーキングはぜひ見てみたいと思っていたものですから、本編より先にまずそちらをパソコンで見ることにしました。
 最初に入っていたのは、普通のメイキング、クランクインから始まって、撮影の日程通りに丹念なレポートを楽しんでいると、見慣れたシーンの裏側を見ているだけでまたまたウルウルしてきてしまうのですから、どうしようもありません。なによりも、セットにものすごい手間がかけられているのには驚いてしまいます。「鈴木オート」などは、ちゃんとした2階建ての家をまるまる建ててしまったのですからね。
 ロケ地も、全国に及んでいたのですね。動くSLの現物を撮るために京都まで行ったり、客車は大井川鉄道とか、電車通りも滑走路を使っていたとか。昔のたたずまいを残す場所を求めたのでしょう、岡山などでもロケをやっていたとは。VFXではどうしても出せない雰囲気は、こういう場所を実際に探して撮影する他はないのでしょうね。
 そして、後半はそのVFXです。「こんなものまで」と驚かされるほど、実写と変わらないものが今では出来るようになっていることがよく分かります。上野駅の改札口の遠景の人物や、都電は、全て合成されたものだったなんて。そして、ゴールデン座の看板も合成だったというのには、本当にびっくりしました。あの錆び具合とか、本物よりリアリティがありますよね。
 そう、へたをしたら本物より本物らしいものを作ってしまえるのが、今のVFXなのですね。何も知らないで見たら、「作り物」だとは気づかないまま、物語を決して邪魔することのないこの技術、これがあったからこそ、あれだけクオリティの高い映画が出来上がったのでしょうね。
aventure number : 0785 date : 2006/6/15


今日の禁断 ゴム飛行機

 おととい届いた「三丁目」のDVD、「禁断」を書いた時にはまだメイキングの一部しか見ていなかったのですが、それから全部きちんと見て、すっかりハマってしまいましたよ。あの時にはまだ見ていなかった「オープニングの秘密」みたいなタイトルが、すごいものでした。前にこの映画を見た時にも書いたのですが、このワンカットで延々と続くオープニングがものすごいインパクトを持っていたものですから、この部分を見ただけでもう完全に「三丁目」ワールドの引き込まれてしまいましたよ。ですから、当然これは最初からねらって作った物だと思っていたのに、意外にも監督の山崎さんは、当初はこんな風にすることは全く考えていなかったそうなのですね。ここをワンカットにする事を提案したのは阿部さんというプロデューサーの人、現場のスタッフは絶対不可能なことですし、出来たとしても、手間をかけたほどの効果もないということで断固反対するのですが、阿部さんはとことんワンカットにこだわったということだったのですね。この阿部さんというのは1949年生まれ、まさに、この映画の時代をリアルタイムに生きた人ですから、どうしても最初のツカミにこのシーンが欲しかったのでしょうね。決定的だったのが「出来ないのなら仕方ない」みたいな彼の言葉だったのも、面白いですね。監督の山崎さんは本来VFXの人ですから、技術者としてのプライドに火がついて、「やってやろうじゃん」ということになったのだそうです。もちろん、この阿部さんのこだわりが確実な効果を発揮していたのは、ご存じの通りです。
 本編の方には、DVDならではの音声メニューのバラエティがなかなかのものでした。見たいと思っている殆どの作品はBSで見ることが出来ますから、今回のようにDVDを買うことなどまずないので、最近のこういう周辺の「おまけ」については全く知らない世界だったのですが、けっこうすごいことになっているみたい、英語の字幕が出せたりもするのですね。そして、一番面白かったのが、「映画館泣き笑いバージョン」という音声トラックです。これは、実際に映画館で見ているかのように、まわりの人の笑い声や、すすり泣きの声がダビングされたものなのです。と言うと、まるで「フレンズ」のような、アメリカの「シット・コム」みたいに、いかにもパターン化された馬鹿笑いを連想するかも知れませんが、これが本当に共感できる「SE」だったものですから、一緒になってつい笑ったり、そして泣いたり。エンドロールが終わったら、今度は拍手と歓声まで入っていましたよ。ほんと、かつての映画館では、確かにこんな拍手が巻き起こる状況が成立していたそうですからね。私は知りませんが、例えば月光仮面がオートバイに乗って現れると、見ていた人が一斉に拍手をしたとか、スクリーンの中の虚像ですらリアリティを持って接していた時代というのが、確かにあったそうなのです。ですから、これはもしかしたら、そんな「昭和30年代」をさりげなく再現したものなのかも知れませんね。
 この中には時間的な制約でカットせざるを得なかったシーンも入っています。「泣く泣く」カットしたものだそうですが、その中でこれは絶対入れておいて欲しかったものがありました。それは、竜之介が、淳之介に鈴木オートにテレビを見に行きたいと言われた時に「ボクはあんなものは見ないんだ」と気取る場面です。そのあと彼は誰よりも熱心に「力道山」を観戦して、揚げ句に調子の悪くなったテレビを直そうとして逆に壊してしまうことになるのですから、これを入れておけばその落差が強調されて、より面白くなったと思うのですが。
aventure number : 0786 date : 2006/6/17


今日の禁断 若秩父

 夕べのクロアチア戦、私は当然NHKのハイビジョンで見てました。地上波の民放でも放送していたようですが、私はあの中継のアナウンサーの絶叫がとことん苦手、というか、憎しみすらも抱きたくなるような不快な物だと常々思っていますから、少しでもおとなしい(もちろん、本質は変わりませんが)公共放送を選びました。しかし、あのクロアチアのユニフォーム、「お茶の井ヶ田」のパッケージに似てません? といわれて頷ける人は殆どいないでしょうが、あそこのあまり高くないお茶の袋とそっくりのデザインなのですね。お茶の袋がたくさん走り回っているという、何だか「アリス」みたいなシュールな光景を、私のような「サッカー音痴」はとことん楽しむ事になるのです。
 そんな「サッカー音痴」というか、ほとんど「スポーツ音痴」の山下達郎が毎週やっているFMの番組は欠かさず聞いているのですが、ここ2週間はこのところのイベントに合わせて、サッカーとかスポーツに関連した曲を流すという特集を組んでいました。もちろん、この番組は全て達郎の趣味で作られている物なのですから、スポーツに関心のない彼が進んでそんな企画を立てるはずはありません。放送局の上層部が、局全体でこの国民的行事を盛り上げるために、各番組の担当者に「ご無体な(達郎)」制作方針を強要したという事なのです。そこで、達郎が作った番組のプランが、サッカーに限らずスポーツに関係のある曲で構成するという物でした。先週は洋楽編、これは、普段かからないようなラテン系の曲がたくさんかかっていましたね。そして、今週(つまりきのう)は邦楽編というわけです。
 いつも、リアルタイムでは聴けませんから、職場のMDでの留守録を月曜に仕事をしながら聴くというのが、毎週の恒例行事、今日も早速プレイバックを聴き始めました。そこで最初に流れたのが、灰田勝彦の「野球小僧」ですから、いきなりのフェイントです。まさか、こんな曲で始めるとは。達郎は、「スポーツネタ」というノルマを逆手にとって、何だか面白い番組を作ったな、という感触がここでまずありました。そのあとバスケット、テニスと続いて、最後の曲が「相撲」という事になりました。確かに相撲も立派なスポーツです。「相撲といえば、この曲しかありません」と言った時、私には予感がありました。「なぎらけんいち(健壱)の」で、その予感は的中、あの名曲「悲惨な戦い」をフルバージョン、カットなしでかけてくれたのです。この曲をきちんと聴いたなんて、それこそ何十年ぶり、しかも、デジタルリミックスで「いい音」になっていますから、昔、それこそアナログのシングル盤で聴いたのよりもっと生々しい音でしたから、鳥肌が立つほどのものがありましたよ。
 しかし、日本全国がワールドカップで異常なほどの盛り上がり、それを更に盛り上げようというラジオ局の思惑を見事に逆手にとって、こんな、かつては「放送禁止」だった、それこそ力が抜けてしまうような曲を放送してくれた達郎の見事な手腕には、感服です。そういえば、「シビレ節」のオリジナルバージョン、そして、あの「金太の大冒険」を初めて聴いたのも、この番組ででしたっけ。
aventure number : 0787 date : 2006/6/19


今日の禁断 冷房

 ここだけをご覧になっている方は分からないかも知れませんが、最近「禁断」が一部「おやぢ」と化しています。つまり、私が持っているブログ「おやぢの部屋2」というのは、今まではサイト版の「おやぢの部屋2」をそのままコピーしたものだったのですが、その中にこの「禁断」のコンテンツも少しずつ混ぜていく、という事を始めているのです。実際にそれを初めて行ったのが、3月の合唱のコンサートのあとでした。珍しい写真をたくさん撮ってきたので、それを広く公開しようと思ったからです。というのも、ご存じの通り「禁断」はそもそも限られた人だけを対象に書いていたものですから、誰でも見られるのは2日分だけ、それを過ぎるとパスワードを知っている人にしか見られないところに収納するようなシステムを、ずっととってきました。基本的にそのスタンスは変わらないのですが、この頃は結構「多くの人に見てもらいたい」と思えるようなものが少しずつ混ざるようになってきたものですから、それを普通の人がブログで扱っているようにしてみたということなのです。プライベートなことはなるべく書かないようにしていれば、必然的にブログに転載されるものが多くなってくることでしょう。しばらく、そんな感じでやっていくつもりです。ですから、それに伴ってブログのコメントも少し変えなくてはいけないようになっていますね。まあ、それはおいおいと。
 さて、今日は練習日ですから、練習のことを書くというわけです。こういうものは、ブログにはなりません。
 最近は、とみに集合時間が遅くなってきているのは、何度も書いたことです。私は、出来れば最初に鍵をもらいに行くのは避けたいので、駐車場から練習場の明かりを見て、点いていることを確かめてから行くようにしています。今日あたりはとっくに明るくなっても良い時間だったのですが、まだ誰も来ていない様子でした。いつも最初に来る人はほぼ決まっているのですが、その人が何かの都合で遅れたりすると、そのまま、練習場を開けるのが遅くなってしまうのでしょう。そのうちBくんが歩いていくのが見えたので、続いて行ってみたら、やはり私は2番乗りでした。その次がKさん、そしてIさんと、これは最近の「早く来る人」のパターンです。別に早くも何ともないのですが、他の人があまりに遅いので、相対的に「早く」なってしまうという、ちょっと寂しい状況は、これからも続くのでしょうか。
 この前から演奏会の写真の注文を受け付けていますから、最初にまずそれを置くための机を出します。並べ終わった頃に、ちょうど写真担当のKさんが到着して、その上に写真を広げるという手順です。私は今まで代吹きなどをしていてほとんど暇がなかったのですが、今日は晴れて後半の「ロメジュリ」は降り番、ゆっくりと写真を選ぶことが出来ました。注文票に書こうと思ったら、管楽器では私が一番最初、そんなあせることもなかったのですね。
 それよりも、来週はもう新田さんが来るのですね。そちらの方は、マジであせらなければならないのかも知れません。へたをすると、来週初めて音を出す人なんかがいたりして。
aventure number : 0788 date : 2006/6/20


今日の禁断 付け睫毛

 モーツァルトの「魔笛」を見てきました。プラハ室内歌劇場という、私にとっては初めての団体、モーツァルトに関してはかなりの実績があるということでしたから、楽しみにしていました。会場はいつもの県民会館、3階席の2列目の左寄りなので、オケピットは左半分、つまり木管とファーストヴァイオリンが居るあたりが全く見えません。その代わり、右側の金管とティンパニはよく見えます。と、そのティンパニのうしろに、何か見慣れない楽器があるではありませんか。「もしや」とおもって、1階まで降りていって、ピットをのぞき込みます。それは予想したとおり、紛れもない「キーボードグロッケンシュピール」ではありませんか。この楽器があるというだけで、今夜の「魔笛」は私にとって特別の意味を持つことになりました。ご存じのように、こちらで私は、この楽器のこと、このオペラでの使われ方などについて詳しく調べたことがありますから、この楽器についてはいっぱしの知識があると思っています。しかし、今までCDやDVDでは聴いたことのあるこの楽器ですが、生で聴いたことはまだなかったのですよ。従って、今夜は私が今まで長いこと思いを寄せてきた楽器との、肌を通しての初対面、私にとってはまさに「初体験」となる大事な夜なのですね。
 プログラムを見ると、今回の来日公演の演目はこの「魔笛」と「フィガロ」。ですから、「フィガロ」のレシタティーヴォでチェンバロを弾く人が、ここではグロッケンを弾くことになります。出番は少ししかありませんから、その女性は始まった時にはまだピットに入っていなくて、出番近くの1幕フィナーレになってやっと楽器の前に座りました。そこで出てくるムーア人たちの踊りの場面で初めて聴いたグロッケン、まるでおもちゃのピアノのようにとんちんかんな響きが出ていました。これこそがモーツァルトがねらった音、普通使われるチェレスタでは絶対に出ない味です。満員のお客さんの中に、この楽器を聴いたことのある人などまず居るはずがありませんから、一体どのように感じたことでしょうね。
 そして、最大の見せ場が第2幕のパパゲーノのアリアです。しかし、ここではかなりの名人芸が必要なアルペジオで、完全に指がもつれてしまっていました。やはりタッチがチェンバロとはかなり違うのでしょうね。本当なら専門の「グロッケニスト」が必要なところなのでしょうが、そうもいかなかったのでしょう。でも、逆にモタモタ演奏したことから、思いもかけない「粗野」な印象が出ていましたから、そんな失態ではなかったようには思うのですが。
 もう一つのお目当ては、ご当地ソプラノ菅英三子さんの夜の女王です。仙台だけに出演するのだと思っていたら、全国くまなく出ることになっていたのですね。そのせいか、第一幕のアリアは「これが菅さん?!」と思ったほどの最悪の出来でした。しかし、第二幕の方の有名なアリアは、まさに完璧、力強く、コロラトゥーラも全く危なげのない、最高の演奏を聴かせてくれました。ところが、ここではお客が最悪。なんと、途中の間奏の部分で盛大な拍手をしたバカがいたのですよ。シンフォニーの楽章の間に拍手するのよりも、これは恥ずかしくてみっともないことです。
 今夜の演出は、なかなか突っ込みどころの多いものでした。その辺も含めて、近々ヒレカツ先生が何かを書いてくれるはずですよ。
aventure number : 0789 date : 2006/6/21


今日の禁断 ムラマツ

 59万のキリ番は、夕べの10時頃出ました。最近はキリ番の申し出があまりないようになっているのですが、今回はすぐ、「取りました」というメールが来ましたよ。それは毎日ここを訪れているという「超常連」の方、そういう人に当たって、なんか恩返しが出来たような気持ちです。早速豪華景品をお送りしますからね。
 おとといオペラを聴いたばかりだというのに(ヒレカツ先生も出来上がりました)、今日は仙台フィルの定期に行ってきました。「美人」フルーティスト、シャロン・ベザリーがロドリーゴの「パストラル協奏曲」を吹くというので、それがお目当てです。この超難曲、CDではさんざん聴いていましたが、生で聴くのは初めて、楽しみです。あ、ベザリーも「生」は初めて、これももちろん「楽しみ」。
 プログラムは、最初に「スペイン奇想曲」、こういう大音量の曲を聴くと、つくづくこのホール(もちろん、青年文化センターのコンサートホール)でしか定期演奏会が出来ない仙台フィルが気の毒になってしまいます。真の「輝かしさ」が、どうしても出てこないのですね。それよりも、ステージの前の方になると音が痩せてしまうのでしょうか、コンマスのソロがとっても空っぽの音に聞こえてしまいました。木管のソロはきちんと聞こえていたのに。ですから、コンチェルトのソリストも、ちょっとかわいそうなことになってしまうのでは、という予感はありました。
 編成を小さく並べ替えて、「パストラル」が始まります。管楽器はこんなに少なかったんですね。オーボエ、クラリネット、トランペット、ホルンがそれぞれ一人ずつ、弦もかなり少なくなっています。ボレロのようなものを着て登場したベザリーは、意外なことにかなり長身でした。譜面を見ながらの演奏ですが、思い切り譜面台を低くしているので、めくる時にかがむのが大変そう、というより、めくりそこねたらどうしようと、こちらが心配になってくるほどでした。最初の細かい音符の連続で、やはりいやな予感が当たりました。音がほとんど聞こえてこないのです。一つ一つの音符ではなく、かたまりとしか聞こえないので、時たま高い音が目立って聞こえてくるだけで、どんな音楽なのか皆目伝わってこないのです。何だかオケとずいぶんずれているようですが、それもゴチャゴチャになって確認すら出来ない状態、初めて聴いた人はなんてつまらない曲だと思ったことでしょうね。
 続く、それこそ「牧歌的」なテーマがオケで出てくると、ベザリーはそれに合わせてとても楽しそうに体を動かし始めました。それはほとんど「ダンス」と言っても良いくらい、演奏していない時にも表現に加わろうという気持ちがとてもほほえましく感じられます。どんな難しいパッセージでも軽々と吹いてしまう上に、こんな余裕を見せるのですから、ほんと、フルートを吹くのが楽しくてしょうがないのでしょうね。
 2楽章では、メランコリックな長〜いソロが出てくるのですが、これを彼女は全くノンブレスで吹いているように見えました。もちろんブレスはしているのですが、息を吸っている間に口の中にためた息を吐き出すという「循環呼吸」を非常にうまく使っているので、全く息を吸っていないように見えるのです。これは、さっきから、早いところで全然ブレスをしていなかったので「やっているな」とは思っていたのですが、こういうゆっくりとしたところでこれをやるのはとてつもなく難しいものです。このテクニックに関しては、彼女は完璧にその芸を極めた、と言えるのでしょう。ただ、聴いていると「息をしてくれよ!」と、逆にストレスになってしまいますが。
 バックのオケが、特に金管でかなり「事故」が起こっていたのが、このベザリーの軽やかなソロの足を引っ張っていて、ちょっと気になってしまいました。
 アンコールは「シランクス」、こういうシンプルな曲では、彼女の欠点がもろにさらけ出されてしまいます。なんと鈍くさいドビュッシーだったことでしょう。最後の音の伸ばしに付けられたディミヌエンドを、相変わらずミスプリントの「アクセント」のまま吹いているというセンスの悪さも。初体験の「パストラル」、出来ればもっとよいホールで、もっと音楽的な演奏で聴いてみたかったと、しみじみ思っているところです。
aventure number : 0790 date : 2006/6/23


今日の禁断 市民会館

 かつて、この街に於けるクラシックのコンサートと言えば、どちらも市電沿線にあった「仙台市公会堂」と、「川内記念講堂」で行われたものでした。公会堂の方は、なんせカラヤン指揮のベルリン・フィルが演奏した場所として、昔からのクラシックファンには語り継がれている、由緒正しい会場です。そのすぐ前が市電の「公会堂前」、そして、一つ南の停留所が「大町西公園前」、そこから広瀬川にかかる大橋を渡って、さらに仙台城址へ向かうと、かつての二の丸のあとの広大な敷地の中に、「記念講堂」が建っていました。私が生まれて初めて行ったクラシックコンサートが、この会場で行われたものであったのは、今にして思えばなんと幸運なことだったのでしょう。それは、「ウィーン・アカデミー合唱団」という団体のコンサート、ヘルムート・フロシャワーという、「ウィーン少年合唱団」などの指揮もしていた人が指揮をしていたはずです。その時にどんな曲が演奏されたのかはすっかり忘れてしまいましたが、2階席のほとんど最後列で聴いていたにもかかわらず、ものすごく大きな音がはっきりと聞こえてきたのにビックリしたという記憶は鮮明に残っています。収容人員は1500を超えるでしょうか、しかし、横に幅広く作られていたために、最後列でも音が痩せないという、音響的にも非常に優れたものでした。
 コンサートが終わってからその余韻をかみしめて市電の停留所まで歩くという至福の時を用意してくれたこの会場には、何回通ったことでしょう。しかし、しばらくして街の中心部に「宮城県民会館」が作られると、大きなコンサートはここで開かれるようになり、記念講堂では一般のコンサートは行われないようになってしまいました。この施設は、東北大学のもの、ですから、学内の音楽サークルなどは、その後もここで演奏を続けることになります。
 しかし、この建物は建築されてから50年の時を経て、さすがに老朽化が進んできたため、最近ではその学内向けにも使われることはなくなり、なんでも「博物館」として保存される、というような話が聞こえてくるようになってきました。一つの時代が終わりを告げることになったのですね。
 と、きのうの地元紙に、驚くようなニュースが載りました。この度100周年を迎える東北大学が、その記念事業として、この「記念講堂」を、外観はそのまま保存し、新たに「コンサートホール」として整備する、というものなのです。その記事によれば、「コンサートホールは1200-1500席の規模で、最新の音響装置を導入する。設備も質の高さにこだわり、仙台フィルハーモニー管弦楽団の活動拠点とする案も浮上している」(23日付河北新報)ということ、これはまさに、新しい音楽ホールがもう一つ誕生する、というニュースではありませんか。
 しばらく前、この街では自治体の手によって「音楽堂」が作られのではないか、という噂がありました。しかし、それは結局「白紙撤回」となり、その計画は今後も実現される見込みは全くありません。政令指定都市でありながらまともなコンサートホール一つないという、文化的にはとても貧しい街に住む私たちは、この恥ずかしい状態が未来永劫続くのではないかという、暗澹たる気分に陥っていたところでした。そこへ降ってわいたような、地元の国立大学のこの計画、行政がなし得なかった快挙に、諸手をあげて喜ぶべきなのでしょうか。
 しかし、紹介された「完成予想図」では、「まともな」コンサートホールに不可欠なオルガンの姿が見当たりません。もし、大学がきちんとオルガンまで設置されたホールを造ろうという気があるのなら、私もこの大学の卒業生です、16フィートパイプの1本分ぐらいはまかなえるだけの寄付を、喜んで振り込んでやろうではありませんか。
aventure number : 0791 date : 2006/6/24


今日の禁断 カイザー

 珍しく、1日中フリーとなったので、映画を見に行ってきました。といっても、まずその前に多賀城まで行かなければならなかったので、そこから利府までは一旦バイパスまで戻ってから、利府街道へ出ることになります。それでも10時前には着いてしまい、まだガラガラの駐車場に入れることが出来ました。しかし、車の割にはチケットブースはものすごい列、久しぶりの盛況のように見えました。別に何を見るのかは決めてなかったのですが、「バルトの楽園」は見たいと思っていました。しかし、時間を見てみるとあと2分ぐらいで始まるので、この列ではとても間に合いません。見るとしてもお昼過ぎの回でしょうか。他にやっているのが、「M:i:III」の先行上映です。字幕版は2スクリーンを使ってやっていますから、こちらの方が先に見られそう、全く見る気はなかったのですが、せっかくですから見てみましょうか。「エイリアス」のエイブラムスの初監督作品ですし。
 しかし、さんざん並んでたどり着いた窓口で「M:i:III一枚!」と告げると、カウンターのおねえさんはとても残念そうに「お客様、本日は先行上映ですので、招待券はご使用になれません」と答えたではありませんか。実は、ポイントがたまったので、それを使おうと引換券を持っていったのですが、そこには確かに「招待券」とプリントされていましたね。別に「招待」されたわけではないのですが、動かぬ証拠がそこにあるのでは仕方がありません。今日はお金を払って見るつもりはさらさらありませんでしたから、迷わず「バルト」に変更です。
 なかなか良い作品だとの噂があったので、期待をしていたのですが、前半は本当につまらないものでした。流れにぴりっとしたものがまるでなくて、本当にダラダラと話が進んでいきます。池辺晋一郎の音楽がひどかったのも、そう感じてしまった原因なのかも知れません。音楽自体もダラダラしている上に、演奏している人がほんとにヘタ、特に、会津藩のシーンで流れる男声合唱のひどさといったら、耐えられないものがありました。一つには、最近例の「三丁目」でセンスのよい音楽を繰り返し聴いたばかりということもあるのでしょう。程良く盛り上げる感じが気持ちよい佐藤直紀に比べると、池辺の音楽はあまりにもくどすぎます。もはや、こういうセンスは受け入れられない時代になっているのでは。
 ところが、「青い目」の大後寿々花が出てきたあたりから、俄然話の焦点が定まるようになってきて、見ていてもどんどん気持ちが入っていけるようになったのは、どうしてなのでしょう。それからの後半は、思い切りツボを刺激されて号泣状態になってしまったのですから、不思議なものです。おそらく、ベタに攻めてこられたせいなのでしょうね。ほんと、これが手だとは分かっていても、無防備でいるとやられてしまいます。前半の退屈さに、つい騙されました。
 クライマックスの「第九」も、なかなか作り込んであって、ほとんど突っ込みようもありませんでした。きちんと「両翼配置」になっていましたし。第三楽章で、ドイツと日本の田園風景が交互に出てきた時にはその美しさに圧倒されてしまいました。声楽を全て「男声」に直したバージョンの終楽章だけ、新たに録音された物、それまでのカラヤン/ベルリン・フィル(1982年)の音とはまるで違っていたのは、仕方のないことでしょう。
 エンドロールでそのカラヤンの映像が出てきたのは分かりますが、大賀典雄まで登場させてしまうと、ちょっと意図的なものを感じてしまいます。というか、この映像は作品のテーマにはそぐわない、はっきり言って必要のないものでした。そういえばタイトルの「バルト」も、てっきり「バルト海」のBaltだと思ったのですが、実は「髭Bart」だったのですね。なんと分かりづらい。
aventure number : 0792 date : 2006/6/25


今日の禁断 磁石



 1週間ほど前、駅前のロフトの中にある「ジュンク堂」に行ってみました。この店にはエスカレーターのすぐ前にちょっとしたディスプレイのスペースがあって、そこにお薦めの本などが展示してあるのですが、その中にあったのが、このちょっと見可愛らしい本です。これは英語版なのですが、その横には日本語版もありました。日本語のタイトルが「自殺うさぎの本」、ちょっとどぎつい訳ですね。
 オリジナルのタイトルは「The Book of Bunny Suicides」、赤い表紙の第1巻が最初にイギリスで発行されたのが2003年のこと、これは2004年にアメリカで発行されたペーパーバックス版です。そして、2005年の12月に青山出版社から日本語版が発行されました。緑の表紙が第2巻「Return of the Bunny Suicides」、何だか映画のタイトルみたいですね。これは2004年のハードカバーが2005年にペーパーバックスになったもの、日本語版はまだ出てはいません。
 第1巻の表紙にあるトースターの中に述べられているように、これは、「ただ、もうこれ以上は生きてはいたくないウサギ」を描いた絵本、というか、一コママンガ(中には多くのコマを用いたものもありますが)です。まるでディック・ブルーナの「ミッフィー」のように可愛らしいウサギたちは、どのコマでも何とかして死のうとしています。しかし、その方法がどれも非常にユニーク、とてつもない手間をかけたり、あり得ないような設定を考えたり、ですから、これはあくまでも「そんなバカなことまで」と思わせられるような究極のブラックユーモアなのです。もちろん、私はこういうものは大好きですからどのウサギもその「死に方」の面白さにとことん笑うことが出来ますし、それが著者アンディ・ライリーの目指したものであることは明らかです。しかし、こういうものを理解できないという人がいるのもまた事実、そういう人は読まなければ(見なければ)いいのではないかと思うのですが、なぜかくそ真面目に怒り出す人がいるから、やっかいですね。
 この本、イギリスではかなりのベストセラーになったということです。日本ではどの程度売れるのか、興味があるところですが、別の大きな書店を覗いてみたところ、どこでもこの本を見つけることは出来ませんでした。やはり、日本人にはハードルが高い「ギャグ」なのかも知れませんね。
 公式サイトの中に、「抜粋」ということで幾つかの「自殺」が公開されています。それを見て頂ければその面白さは(もちろん、面白いと思える人だけですが)少しは伝わるはずです。例えば14番目の、失恋したばかりの女性のすぐ横で、純愛もののビデオを見ようとしているウサギなんて、なかなかのものでしょう? 一番最初にある花のようなものにかじられているウサギはちょっと分かりづらいかも知れません。しかし、これは実際に第2巻を買ってみると、一番最後に「エピローグ」と言うことで、結末がちゃんとあります。第1巻の方はもっと手が込んでいて、画面は一面真っ黒、キャプションが「皆既日食の時に『ノミ』でジャグリングをしている2匹のウサギ」とあります。これも「エピローグ」では、日食が終わったあとで体中にノミをさされて倒れているウサギが見れる、という仕掛けです。
 私が一番ウケたのは、ここには公開されていない「長編」ものなのですが、ウサギが一生懸命パソコンの前でネット書店に注文を出しています。その本が766ページもあるハードカバーの「ハリー・ポッター」、注文し終わったウサギは、それからずっと入り口のドアの前に座り続けます。その本が配達されて、ドアにある郵便受けから落ちてきた時、その真下にいたウサギは・・・。ねっ、笑えるでしょう? もう一つ、キューブリックの「Doctor Strangelove」のパロディも秀逸です。最後のシーン、パイロットが馬乗りになっている、誤発射した核ミサイルの中には、i-Podに聴き入るウサギが。これなどは映画を見ていないと分からないネタ、その他にもかなりきわどい「考えオチ」が満載、なかなか深いものがありますよ。
aventure number : 0793 date : 2006/6/26


今日の禁断 クッション

 きのうは帰ってくるのが遅くなるのが分かっていましたから、更新は「おやぢ」だけ、「禁断」に関しては今日になってから書くことにしていました。案の定、ゆうべは家に着いたのが深夜の1時過ぎ、それから書く気力は全くありませんでしたよ。
 今日は、今年最高の気温になったそうですね。きのうがそんな日だったら大変なことになるところでした。今回の指揮者新田さんをお迎えしての初めての練習となる記念すべき日、まだほとんど人が来ていない旭ヶ丘のホールに足を入れた途端、ムッとする熱気に襲われてしまいました。ここにオケのメンバーが入ったら、温度はさらに上昇するのは分かり切ったこと、いかに渋い市民センターでも、事情を話せば冷房を入れてくれることでしょう。と思って、低姿勢この上ない口調で、事務所に電話をかけます。ところが、いつもだったら「本当はダメなんだけど、特別に入れてけっから」と言ってくれる事務所の人が、「今日は入れられないのね」と言い切るのです。「故障してんのっしゃ、窓、開けてけろ」。「・・・」絶句です。近隣からクレームが来るので窓を開けるのは禁止されている音楽団体が使うということは分かっているはずなのに、この段になって「故障」ですと。冗談ではありませんが、そんなことを言っても始まりません。とりあえずみんなが集まるまで窓を全開にして、少しでも涼しくしておく他はありません。
 1年半ぶりの新田さんは、髪も短くなって、何だか雰囲気が変わっていました。涼しそうなサラサラのシャツ姿で、しかし、その思いやりのある指揮ぶりは前と同じ、2時間ちょっとの練習で、ブラームス全曲での新田さんのやりたいことを、私たちに伝えてくれました。閉め切った部屋でかなり暑いはずですが、遠目には汗をかいた様子もなく、音楽に集中しているように見えました。しかし、根性のない私たちはもう大変です。途中の休憩で少し風を入れても、練習が始まればそこはまたもとの熱帯、終わって立ち上がったら、ジーンズは汗でびしょ濡れになっていました。
 今回新田さんが使ったキーワードでウケたのは、「糊しろ」。各パートでフレーズをやりとりする時に、それがきちんとつながるように「5ミリぐらいの糊しろを作って下さい」という使い方です。昔の工作の時間以来久しぶりに聞いたこの言葉、それが新田さんの口から出てくると、なんか可愛い感じです。
 練習が終わると、街へ繰り出して歓迎会です。会場はだれも行ったことがないという「隠れや」というお店。入り口は狭いのに中は迷路のように広がっている、まるで忍者屋敷のようなところです。あちこち曲がったり登ったり降りたりしてたどり着いた予約席は、屋根裏部屋のようなお座敷、立って歩くと頭をぶつけてしまいそう(いや、実際にぶつけていた人も多数)な、不思議な空間でした。そんな狭いところでぎゅうぎゅう詰めになりながら、新田さんを中心に音楽やフィンランドの話に花が咲きます。この間見た「かもめ食堂」の話題も出ていましたね。もちろん飲み放題、存分にソフトドリンクを頂きました。料理もカニを殻ごとまるまんま食べるという、新田さんも初体験のものは、姿を見さえしなければ、おいしいものでした。しかし、最後のデザートで出てきたのが、なんと「抹茶アイス」ではありませんか。せっかくの料理がこれで台無しになってしまったと思った人は、しかし、他にはいなかったようです。恐るべし抹茶パワー。
aventure number : 0794 date : 2006/6/28


今日の禁断 金港堂

 最初に泉中央の「ココス」が出来た時には、広い敷地の中に駐車場を挟んで本屋さんがありました。一番町に本店があるその本屋さん、かつては今はタワーレコードが入っている「フォーラス」にも広大な店舗を持っていたのですが、いつの間にかそんな支店が消えてしまって、今では最初からあった古めかしいお店しか無くなっているようですね。一番町にもう一つあった昔からの地元の本屋さんは、その本店すらも無くなっていますから、もう会社自体が無くなってしまったのでしょうか。
 そんな、まだ広々とした敷地の中にあった頃、なんとニューフィルの「技術委員会」ということで、みんなでここに押しかけたことがありました。と言ってもその事を覚えている人などほとんど残っていませんが、最初は近場の北仙台「ロイホ」でやろうと思ったのが、混んでて入れなかったためにはるばるここまでやってきたということでした。練習が終わってから、そんな回り道の末ですから、かなり時間も遅くなっていたはずです。確か、終わったのは2時か3時ごろだったのではなかったでしょうか。
 そんな大変な思いをしなくても済むようにと、その後は技術委員会の会場はもっと便利なところを確保するようになりましたが、そんな、今では誰も知らないような頃に入ったのが、この店に入った最後のことだったのです。
 いつの間にか本屋さんが敷地から無くなったと思ったら、その駐車場などもつぶされて、そこにはビルが建ってしまいました。「ココス」はどうなったのか、気にはなっていたのですが、その頃はあまりこちらには寄らないようになっていたので、その後の消息は分からずじまいでした。そして、たまたま「セルバ」に用事が出来た今日、本当に久しぶりに行くことになったのです。
 お店の前の駐車場はかなり狭くなってしまったようですから、そこは満車になっていました。ただ、店を通り越したところに別の、上の方に登っていく駐車場が見えますし、「ココスご利用の方は90分無料」などという案内がありますから、そちらに入ります。真新しいスロープだと思ったら、この駐車場、今日オープンしたばかりだったのですね。お店に入ってみると、その建物もほとんど出来たばかりという感じ、いつの間にか建て替えられていたようです。衝立がたくさんあって、個室のような造りになっていますから、一人で入っても恥ずかしくないような気がします。なによりも、ドリンクバーが例の利府のお店と同じ、最新のものであるのが嬉しいところです。喫煙席も奥の方にほぼ隔離された状態、こうなると快適さからいったらファミレスの中では最高のランクになりますね。メニューが2部置いてあったのですが、日替わりランチの中身がそれぞれでまったく違っていました。それを通りかかった店長さんに言ったら、慌てて間違ったのを下げて新しいメニューを持ってきましたし、接客もなかなかのものでした。これだったら、また来てもいいな。ただ、客が・・・。
 ファミレスですから、別に正装して行かなければならないということはありません。普段着で気軽に来れるのがこういうお店のいいところなのですから。ただ、人に不快な感じを与えないというのは、最低限の社会のルールです。私は、すね毛丸出しの男の足を見ると、とても食事をしようという気にはならない程不快になります。というより、私は人前ですね毛を見せるのはとても恥ずかしいことだと思っています。こういう場所にその様な服装で来る人は、羞恥心か社会のルールのどちらか、あるいは両方が欠けているに違いありません。
aventure number : 0795 date : 2006/7/1


今日の禁断 塩タン

 「市政117周年記念コンサート」(ちがうかな?)というのに行ってきました。最近、こういうおかしな数字を堂々と使うのがはやっていますよね。でも、こんな言い方を許してしまえば、「記念」という言葉の意味が変わってしまいます。今年は「生誕250周年記念」で盛り上がったのだから、来年も盛り上がって欲しいと「251周年記念」にする人など(本当はやりたいのでしょうが)いるわけはありません。
 これは、前もって往復ハガキで申し込んで、抽選に当たればただで見られるというコンサート、そのハガキを受付で座席表に交換してもらって座るという仕組みです。その座席、いつぞやのNHKの公開放送の時のように、機械的に前から順番に、というような乱暴なことはしないで、主催者が「最も良い席」だと判断した部分から、順番に「悪い席」になるように、きちんと配列されているのだそうです。ですから、早く(開演は7時ですが、交換は5時から)来た人にはそれなりの良い席が割り振られるという、考えられた方法がとられているということなのです。なんでこんなことを知っているかというと、前にも書いたように関係者に知り合いの女性がいるので、そんな情報がいとも簡単に手に入るのですよ。
 会場はイズミティ、そんなに早く行けるわけはないので、6時頃たどり着いたら、もうすでに開場も始まっていました。もらった席は後ろから10番目ぐらい、他の人はどうかわかりませんが、私にとってはかなり良い席です。やはり、抽選に当たった人はチケットを無駄にしないようで、開演前にはほとんど満席になっていました。
 実は、私はコンサート自体に関しては、あまり情報がありませんでした。この前のコンクールにナミ様と一緒に参加して1位を取ったピアニストの演奏会、ということしか、最初は知らなかったのです。ですから、最初はリサイタルだと思っていました。大ホールでリサイタルはすごいなと。最近になって、それは「コンチェルト」だというのがわかりました。序曲があって、シューマンのコンチェルト、最後はラフマニノフの2番だと。コンチェルトを2曲なんてすごい、と、その時は思っていました。
 前半のシューマン、私が注目していたのは左のペダル、ここからだと足元がよく見えますから、ペダルを踏んでいるかどうかがよく分かります。確かに左ペダルをよく使っているのですが、ナミさまほどの音色の変化は感じられません。それと、ナミさまの場合何度も味わうことが出来た「ハッとする瞬間」がほとんど、というか、全く無かったのが物足りないところでした。やはり、コンクールの順位などというものは当てにはならないものなのですね。この曲だけでかなりバテているようで、こんなんで後半のラフマニノフなんか弾けるのでしょうか。
 と、休憩になったらピアノを動かし始めたではありませんか。もしかして、シューマンとラフマニノフで使うピアノを変える? そこで、はたと気が付いて曲目をよく見てみたら、最後の曲はラフマニノフの「交響曲」第2番でした。なんという勘違い。
 この曲は、2年前に同じオーケストラ(あ、今日のオケは仙台フィル)で聴いています。指揮者と会場が変わると、こんなにも響きも音楽も変わるものかと、びっくりしてしまいました。客層が全く異なるため、楽章の間でしっかり拍手をしていたのには参りましたが。
aventure number : 0796 date : 2006/7/3


今日の禁断 エアコン

 急に暑くなったり、大雨が降ったりと、ヘンな「梅雨」ですね。今日も夕方、練習に行こうと表に出たら、こんな見事な虹がかかっていましたよ。しかも2本。最近よく虹を見る機会があるのは、だから、こんなヘンなお天気のせいなのでしょう。この虹、ちょっとわかりにくいのですが、夕焼け雲の中にかかっていました。それを見て私は、「北山三丁目の夕日」だ、などと叫ぶのです。この間いつもの練習場に行った時もきれいな夕焼け、その時は「旭ヶ丘三丁目の夕日」と言ったりするのですね。家にいる時に虹がかかれば、もちろん「本沢三丁目の夕日」です。
 今日の練習は、歩いてすぐ行けるところ、お馴染みの会館です。前もって他の人が来てもいいように鍵を開けて電気を点けておいたのですが、よく見ると部分的に暗い部分が見つかりました。天井のライトが消えているところが数カ所あったので、まずその電球の交換です。そうやって準備をしておいて、後は始まるまで一仕事、「おやぢ」の原稿を一つ仕上げてしまいましょう。
 原稿も書き上がり(これは、多分一週間ぐらい先にアップになります。最近ストックがたまりすぎ、嬉しい悲鳴です)、七時ちょっと前に行ってみたら、もうすでに3人ほど来て音を出していました。木管だけだと思ったらホルンの人も来ています。そうでした、今日はホルンも混ざった分奏ということになっていたのですね。「ちょっと遅れる」と言っていたオーボエの人もやってきた時点で、なんとブラームスは全てのメンバーが代奏なしで揃っていましたよ。言ってみれば当たり前のことなのかも知れませんが、都合と相談しながらやっているアマチュアにしてみればこれはまさに「快挙」少なくとも意識の上ではしっかりニューフィルにプライオリティを持っているという現れでしょう。
 ホルンと木管が向かい合う形で、丸くなっての練習、やりたいところは沢山あるのですが、後半には別の曲も控えていますから、時間もそんなに取れません。ホルンが入っていつもとは違ったアンサンブルが楽しめますから、もっとやっていたいのですが、次第に次の乗り番の人も集まって、別の部屋で音出しなどを始めていますから、3楽章までやったところで、おしまいです。
 その時点で、「ロメジュリ」のメンバーも全員揃っていました。素晴らしい! 今度は、降り番が出るので、その人が指揮を担当、普段の練習のように全員前を向いた形で着席となりました。私はと言うと、この曲は降り番、ニューフィルのメンバーとしてはそのまま帰ってしまっても良いのですが、なんせ会場の後かたづけをしなければいけません。電気を消して鍵をかけるというのが、私の仕事、それまでは待っていなければなりませんから、こうして別の部屋で「禁断」を書いているところなのです。練習の前後に毎日の更新のネタが出来てしまうなんて、なんて効率のいいことでしょう。
aventure number : 0797 date : 2006/7/4


今日の禁断 クロアチア

 この「禁断」で2月末に南吉成のイタリアン、「ボーノ・マンマ」が閉店してしまったと書きましたが、その跡地がどうなったのかは、まだお伝えしていませんでしたね。あの時は、その前にあったお店が同じ経営者のアジア料理店だったので、やはり同じ親会社の「ひな野」あたりが? などと言っていましたが、その予想は見事に外れて、出来たのは「ひがしやま」という焼肉店でした。ここは、たくさんお店を持っているチェーン店、泉の方にあるお店には何度か行ったことがあり、割とおいしいことも知っていましたから、まずは一安心です。
 しかし、この新しいお店、オープンしたのは春のゴールデンウィークのあたりだったのですが、そこに最初に行ってみた時に、思いがけないことが起こってしまったのです。それについて語るには、私の持病のことを話さなければなりません。
 私は偏頭痛もち、20代の頃から悩まされていました。ひどい時にはあまりの頭の頭痛の痛さに起きていられない程のこともありました。頭痛だけではなく、ひどい吐き気も催すという、かなり辛いものでした。でも、長年付き合っているうちに、先の症状が予想できるようになって、あらかじめ心の準備が整えられるようになりましたから、次第にそれほど苦痛には感じないようにはなってきました。この頭痛の特徴は、前駆症状として視野の中にキラキラ光るものが見えてくるというものです。ただ、実際はそのさらに前駆症状というのがあって、何となく言いようのないモヤモヤ感が募ってくるのです。この段階が、実は最も嫌な感じの時です。キラキラが見え始めれば先が読めるようになるのですが、そこに至るまでのこの段階が、妙な不安感があって辛い時期です。キラキラがはっきりしてくれば、あとはルーティン・ワーク、それが段々大きくなって視野からなくなってしまうのを待っていればいいだけです。そうなれば、キリで部分的にえぐられるような頭痛が襲ってくるのですが、これはある時間が経てば必ず治まるものだとわかっていますから、容易に我慢できます。その頭痛はまるでウソのようになくなってしまい、その瞬間のすがすがしいことと言ったら。
 ただ、最近は症状がだいぶ軽くなっているようでした。頭痛そのものがそんなにひどいものではなくなってきましたし、場合によっては前駆症状だけで治まってしまって、頭痛そのものが全くない時もあるのです。さらに、この頭痛は前触れなく起こるものなのですが、その頻度も次第に低くなってきました。逆に、いつ来るかわからないという怖さはありますがね。
 と、長々と私の頭痛事情を書いてきましたが、その「ひがしやま」に初めて行った時に、しばらくぶりの偏頭痛、それも、久しく味わったことのなかったような、吐き気まで伴うものが起こってしまったのですよ。それは、お店に入っていざ注文しようという時にやってきました。こうなると、肉など食べる気にもなりません。せっかく焼き肉屋に来たというのに、家族がカルビかなんかを焼いているのを尻目に、私は野菜スープを半分飲み込むのが精一杯でした。
 そんな初体験の辛さにもかかわらず、このお店はしっかりお気に入りになりました。サービスでもらったドリンクバーで飲めるココアが、とてつもなく濃くて甘いのも気に入ってます。
aventure number : 0798 date : 2006/7/7


今日の禁断

 「トリック 劇場版2」を見てきました。実は、このところ映画館に行くたびにこのポスターが目に付いていたのですが、なんか私としては触手が動かないものがあったので、当初は全く見るつもりはありませんでした。つまり、このタイトルを見て、てっきり例えば「リング」のようなホラーだと思ってしまったのです。それが完全な誤解であることが、公開に合わせてテレビで放送された「劇場版1」を見ることによって明らかになりました。それは「ホラー」のかけらもない、非常に良くできたお笑いだったのですから。
 「1」を見ておいたおかげで、ストーリーにはすんなり入っていけましたし、脚本のクセもよく分かって、余裕を持って楽しむことが出来ました。とことん脱力感を誘う、エンタテインメントです。仲間由紀恵のキャラは「のだめ」でしょうか。
 もう一つ、楽しめたのは、私にとって最近のベストの作品だった「スウィングガールズ」と「いま、会いにゆきます」に出ていた平岡祐太と、「ALWAYS三丁目の夕日」に出ていた堀北真希が出演していたことです。2人ともまじめな役からお笑いまできちんと演じることの出来るなかなかの才能の持ち主、平岡くんなどは、「いま〜」に出てきた時には、前作とのあまりのキャラの違いに、一瞬別の人かと思ってしまいましたからね。もちろん、堀北さんも、「六さん」との落差に、びっくりしてしまいましたし。そもそも阿部寛にしてからが、この前見た「バルト」でのくそ真面目な役どころとは全くの別人、それを言ったら、仲間由紀恵は、なんせ「大河ドラマ」ですからね。
 生瀬勝久の部下ということで、一緒に温泉に入っていた人が、どこかで見た覚えがあるのですが、とうとう最後まで分かりませんでした。それが、今になってなんだったのかが分かりました。「朝ドラ」で宮崎あおいのお姉さんと結婚してすぐ分かれた、あの変態だったのですね。
 もう一つ、とても気に入った出演「車」が、トヨタの「パブリカ」です。車名がそもそも「パブリック・カー」から来ているとおり、「大衆のための車」というコンセプトで1960年代に開発された700ccのコンパクトカーです。後にモデルチェンジを繰り返して、排気量も大きくなっていくのですが、これは初代のモデルのよう、フェンダーミラーがガムテープで押さえられていたりと、細部まで凝った車です。こんな、今では名前すら残っていない車が実際に人を乗せて走っているというだけで、感激ものでした。
 エンドロールで流れた主題歌も、なかなか興味をそそられるものでした。タイトルは「ラッキー・マリア」、「Joelle」という人が歌っていますが、これはマスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲そのものです。クラシックではすでに「アヴェ・マリア」として、ボーカル曲としても有名になっているもの、ちょっと前の「ジュピター」の二番煎じでしょうか。
 一つ突っ込みを入れさせてもらいたいのが、片平なぎさの教団の人々の超能力に対するテンションです。大きな岩が移動するのを目の当たりにして信じ切ってしまった人たちはともかくとして、あの「詰め襟」の老人たちの「信仰心」というのは、一体どういうものなのでしょうか。あれだけしっかりマジックのネタ仕込みをやらされておきながら、「超能力者」として彼女を崇めている心情が、私には理解できません。
aventure number : 0799 date : 2006/7/9


今日の禁断 ゴールウェイ

 今回の「かいほうげん」、2ヶ月近く間が空いてしまいました。ですから、今日印刷したのはなんかずいぶん久しぶりのような気がします。でも、印刷そのものは午前中に始めたら、お昼過ぎには全部終わってしまいました。ただ、紙を折るのは印刷している時間にやれますが、意外と時間を食うのが製本です。全部で4枚の紙を挟み込むだけで、途中で嫌になるぐらいの時間がかかります。それが終われば、ホチキス止めです。いつも、この作業がちょっとしたトラブルのもと、なぜか、その日の調子によってうまくできない時があるのですよ。ほんのちょっとした加減なのですが、ステープルがまっすぐ入っていかなくて、内側に向かって曲がらなければいけないものが、外側を向いてしまうのですね。そうなると、いったんそれを外してもう一度やらなければいけませんから、イライラする事といったら。最初のうちはステープルを別のものにしたりとか、色々やってみたのですが、トラブルの要因がイマイチ特定できません。力の入れ方にも関係しているようなのですが、全く同じことをやっていてもうまくいく時とそうでない時があったりして。
 しかし、なんと今回は、一度も失敗することなく、全てのステープルを完璧に綴じることが出来ました。こんなことは年に数回あるかないか、まさに「奇跡」です。きっと、良いことのある予兆のはずです。欲しかったものが手に入るとか。
 とは言っても、印刷全体ではパーフェクトではありませんでした。両面印刷の裏面をセットして、まずテストに1枚プリント、なんの問題もなかったようなので、続けて「119枚」と打ち込んで印刷ボタンをクリックします。ところが、「念のために」と思って他のページと合わせてみると、ノンブルが見事に違っているではありませんか。慌ててジョブをキャンセル、すんでの所で120枚のお釈迦を作らずに済みました。このまちがいの印刷は4枚、ノンブルだけですので、そのまま知らん顔をして使っています。もしそれを受け取ったとすれば、まさにレアものですね。
 新田さんとの2度目の練習、この間のこともありますから、冷房にはかなり気を使って、昼間のうちから確認を入れておいたそうです。確かにロビーも含めて4階全体が見事に冷えていましたから、今日は暑さに悩まされることはないはずです。ただ、外は雨模様で肌寒いほどでしたから、逆に寒すぎて、薄着の人はかわいそう、なかなか難しいものです。
 前半はブラームス、そして後半に「ロメジュリ」をやる予定ですから、8時頃にはそちらのメンバーも集まってきました。しかし、ブラームスを1楽章と2楽章までやったら、残りは30分程度しかありませんでした。1度通して(結構、止まってしまいましたね)、あとは説明だけとほんの少し返しただけで、もう時間になってしまいました。実は、今日はフルートパートは一人お休みだったので、この曲も2番を吹いていました。ということは、これで全てのパートを吹いた、ということになりますね。どのパートも大変でしたが、弦楽器はもっと大変なのでしょうね。頑張りましょう。
 と、きのう帰ってから頼まれたチケットを取ったりしていたら、もう「禁断」を書く時間がなくなってしまったので、次の日になって書いています。9月にセミ・ロングランの「コーラスライン」、一般発売3日目でほとんど完売状態です。連番の席なんか、もうありませんよ。
aventure number : 0800 date : 2006/7/12

06/7/14-8/20