今日の禁断 |
ルーヴル |
カウンターはいつの間にか58万になっていましたが、「ダ・ヴィンチ・コード」の原作は、何でもハードカバーと文庫本を合わせて1,000万部を売り上げたそうですね。ちょっと気になるのは、例えば文庫本の場合だと3冊になっているのですが、これは全部買った人を「1部」と数えるのでしょうか。それとも、3冊だから「3部」なのでしょうか。すごく気になります。それと、「上」だけ買ってあとは読むのをやめた人はどのぐらいの割合なのでしょう。まさか、「中」だけ買って読む人なんていないでしょうが、それぞれ「何部」売れているのかも、気になります。まあ、いずれにしても、とてつもない数の人が読んでいる、というのは事実なのでしょう。私のまわりでも4人までは確実に読破しているようですし。
そして、いよいよ先週映画が公開されました。何かと忙しくて行く暇がないうちに、1号様に先を越されてしまったのは癪でしょうがありません。早速「見ましたよ」なんてメールをくれるものですから、意地でも見に行こうと思って、買い物と練習というタイトなスケジュールの合間を縫って、ついに見にいくことになってしまいました。
これだけ話題の作品ですから、さぞ混んでいるだろうと思っていたら、意外にガラガラなのにはちょっと拍子抜けでした。しかし、内容の方は大きな失望もない代わりに、ことさら驚かされることもなかったというものです。まさに、原作を読んだ時に予想した通り、原作の良い点と悪い点が、そのまま忠実に映画になっていた、というところでしょうか。というより、これは原作を読んだ人が、その情景を実際にスクリーンで体験するといった程度の意味しかないもの、読んでいない人にとってはこれほど不親切な、ということは、映画自体では完結していない作品もないということになります。最初に出てくる「パズル」にしても、絶対必要な説明が省かれてしまっていますから、それだけで納得できる人など、まずいないはずです。「ビューティフル・マインド」であれだけスリリングな謎解きを描いてくれたロン・ハワードが、こんな間抜けなプロットしか作れなかったのは、ひとえに原作の間抜けさのせいなのでしょう。あるいは、これだけ見て混乱してしまった人に原作を買わせる、という魂胆だったのでしょうか。
ジャン・レノが演じた警部の設定を原作よりはるかに深みのあるものにしたりしていますし、「ロスリン」での「謎解き」も、原作をはるかに超えるまさに映画ならではの盛り上がりなのですから、その気になればもっと納得のいくものだって作れたに違いありません。しかし、いくら頑張っても、結局、ダメな原作からはダメな映画しか作れない、ということなのでしょう。ですから、私が一番映像として見てみたかった「導師」にしても、あの程度のものにしかならなかったのでしょうね。
キリスト教関係者が、この映画の上映にいちゃもんをつけたというのが大々的に報じられていますが、それは単なる宣伝用の誇大な情報なのでしょう。この映画は、他人に宗教的な影響を与える力など全く持たない、ただの娯楽大作なのですから。
ペルトっぽいサウンドをふんだんに散りばめたハンス・ジマーの音楽は、なかなかのものでしたが。 |
aventure number : 0773 |
date : 2006/5/27 |
|