0701(06/1/29)-0720(3/4)

今日の禁断 謹賀信念

 最近の週末は殆ど何かの行事が入っていて、ゆっくり映画などを見に行く時間もありませんでした。この前「ALWAYS」に行ったのが去年の11月ですから、丸2ヶ月以上映画館にご無沙汰だった事になります。この間にも見たいものは沢山あったのですが、どんどん終わっていってしまいました。しかし、確か、去年のお正月に公開されていた「オペラ座の怪人」が、今年の2月にはもうWOWOWで放送されるのですから、1年待てば自宅のDVDに録画できるようになってしまうという、ものすごいサイクルで公開→DVD発売→放送が進むようになってきました。ちょっと前までは2年ぐらいかかったものですが、こうなってくるとわざわざ劇場まで足を運ぶ必要もなくなってくるような感じですね。もちろん、本当に素晴らしい作品であれば、劇場ならではの包み込むような映像と音声によって、テレビでは味わえない迫力と、そして「感動」を存分に得る事ができるというのは、紛れもない真実なわけです。
 今日、久しぶりの利府で見てきた「THE 有頂天ホテル」も、そんな、わざわざ見に行った甲斐のある映画でした。もちろん、三谷幸喜の脚本はいつもながらの隙のなさを見せています。というか、この人のストーリーの作り方に馴染むにつれて、「伏線」がもろに見えてくる、という意味でなのですがね。香取慎吾のドアボーイが、客に言った言葉が、見事に伊東四朗の総支配人の身の上に起こるなどというのが、その一例、もちろん、それだからこそ安心して絡みつくようなストーリーに身を任せられる事になるわけです。ほんと、これだけの登場人物と、それぞれに関わるエピソードをこれほど見事に最後まで世話を見てくれたのには、感心してしまいます。
 そんな、幾重にも交錯したエピソードを通じて見えてきたものは、「男の弱さ」でしょうか。言い換えれば「女の強さ」。冷静沈着だと思われていた役所広司の副支配人は、別れた妻が現れた途端に見栄っ張りのだらしない姿をさらし出す事になるわけですが、それに向かうあう原田美枝子の元妻のなんと逞しい事でしょう。その図式は、佐藤浩市の国会議員と、彼を巡る2人の女性の場合にも当てはまるはずです。彼が自殺するのではないかという事は、コールガールの篠原涼子には最初から分かっていた事ですし、元愛人の松たか子には、全ての行動パターンが読まれてしまっていたのですからね。ワンマン社長の津川雅彦が、愛人の麻生久美子に「これからは、ずっと一緒にいるからね」と言われた時の嬉しそうな顔と言ったらどうでしょう。何と言っても、最初から最後まで「弱さ」を見せ続けていたのが、「マン・オブ・ザ・イヤー」の角野卓造ですからね。
 キャストはまさに三谷ワールドのオンパレード、もっとも、「新選組!」の近藤勇と芹沢鴨が抱き合っている姿は、ちょっと異様でしたが。それと、とんでもないメークで最後まで誰だか分からなかった人もいて、あとでキャストを見て「やられた!」と思ったものです。オダギリジョーは何となく分かりましたが、まさか、唐沢寿明だったとは。
aventure number : 0701 date : 2006/1/29


今日の禁断 ストリング

 今日も、「かいほうげん」と日程表が同時発行ということになってしまいました。日程表は、実はあと2日待てば4月の「予定」が「確定」するのですが、そんなに待ってはいられません。何しろ、前回出した予定から、指揮者練習の日の会場が変わっているところが出てきているのですからね。2日連続で「アクセルホール」だったところが、1日目は旭ヶ丘、お間違えのないように。というわけで、日程表の上では定期演奏会の本番までの予定がしっかり掲載されたという「追い込み」状態にはなったわけです。「コール青葉」(そういう名前です)に負けてたまるか、というところでしょうか。
 しかし、実際のニューフィルは、まだまだ「追い込み」にはほど遠い状態でした。いつもより少し遅く、「もうみんな来て椅子並べは終わってるかな?」ぐらいのタイミングで旭ヶ丘に着いたのですが、その時点で私が一番乗りだったのですからね。まあ、雪もちらついていたし、なかなか時間通りには来れない事情があるのでしょうね。でもなあ・・・。昔(って、私が入った頃)は、確か6時半音出しで、結構集まっていたものですがねえ。まあ、再来週には末廣さんがやってきますから、その時にはもうこの時間には椅子のセッティングも終わって、ほぼ全員のメンバーが揃っている事を期待しましょう。
 おかげで、せっかくみんなが揃う合奏の時に配ろうと、発行日を1週間遅らせた「かいほうげん」も、何だかたくさん残ってしまいましたね。これが、すごく残念。今日でなければ意味のない記事もあったというのに。もちろん、今日受け取った人は、きちんとその場で読んでくれていました。おかげで、私も気づかなかった変換ミスを指摘されたりして。ほんと、あの原稿は印刷物を見ながらタイプしているものですから、こんなこともあります。キタラファンのIさん、見つけられましたか?
 ところで、その「かいほうげん」のホチキス止めが終わって、はたと、今日が31日である事に気づきました。月末には必ず行わなければならない「コラム」の更新がまだだった事を、今の今まで思い出さなかったのですよ。つまり、今日中には新しい「ジュラシック」を考え出さないと、毎日ここを訪れる500人(本当ですよ)の期待を裏切ってしまう、というよりは、そっぽを向かれてしまうという、まさに崖っぷちの状態だったのです。いつも、これを考えるのは画像、つまり「ジュラシック・パーク」のパロディの方が先、それに合わせてコラムを書くというのが普通のパターンです。今回も、文字の並び替えの方はすぐに出来てしまいました。まったく、これだけでっち上げて、もうネタは出尽くしたはずなのに、まだまだ出てくるのには我ながら感心してしまいます。今回のパターンでもう2、3個は作れそうですし。しかし、それから先がまったく進みません。こんな簡単なキーワードなのですから、すぐ書けそうなものですが、うまくまとめようとすると全然アイディアが湧いてこないのですよ。まさに時間との戦い、結局、いつぞやの「禁断」の使い回しで、お茶を濁すことになるのでした。
aventure number : 0702 date : 2006/1/31


今日の禁断 シャンソン

 昨日の雪には、ちょっとびっくりしてしまいましたね。そんなに降っている様子はなかったのに、いつの間にか積もっていたという感じ、淡々とマイペースで仕事をしているやつ、といった感じですか。一見力がないようで、実はものすごいものを秘めている、という、私があこがれるタイプです。今日になったら素晴らしい青空になったので、例によって雪かきに精を出す事になるのですが、天気予報ではまたすぐに大雪が降るのだと確信を持って伝えていますので、せっかく顔を出したアスファルトも、ほんの1日ぐらいでまた雪に覆われてしまうのでしょう。「汚れを包もうと、また雪が降る」という歌の歌詞を地でいってくれています。
 そんな歌詞を憶える作業も、佳境に入ってきました。全部で4つあるステージのうち、3つまではほぼ完璧に憶えられたはずです。あとは、ちょっと紛らわしい音の動きをチェックすれば、すっかり暗譜は完了するはずです。しかし、私のように内声を担当しているパートの場合は、暗譜以前の音取りの段階で、他のパートよりは難しい事を強いられている、という面がありますから、よくぞここまで、という感慨にふけっても、許されるのではないでしょうか。この間東京で練習があった時、帰りの小田急線で同期の人達と一緒になったのですが、彼らはトップテナーとベースという、「外声」担当。いみじくも、「内声があんな難しいことをやっているのは尊敬してしまう」と言われてしまったものですから。
 ところが、曲としてはそんなに難しくないはずの最後のステージが、実はかなりやっかいだと言うことに、みんな気づいてきたようです。中でも、小原孝さんが編曲したものは、ちょっと普通の「合唱」とは違う形、つまり、パートとしての動きよりはコードを重視したような作り方になっているものですから、憶えるのが大変になってきます。そして、私が今一番頭を悩ませているのが、彼のオリジナルの作品。アンコールで歌う予定の曲なので、曲名などを明らかにすることは出来ませんが、なかなかチャーミングで素敵な曲ではあるのです。ただ、その編曲が合唱団泣かせ。構成は普通の「歌」ですから、何度も同じフレーズが繰り返されるのですが、繰り返すたびにパートが微妙に変わってくるのですよ。1回目はソプラノがメロディーで、テナーはその3度上のハモりだったのに、2回目はその逆、3回目になるとユニゾンといった具合。そして、そんなパターンが、どんな法則にものっとっていない、というのが、最大の難関なのです。つまり、最初から最後まできちんと憶えないといけないということになるわけです。
 そこで、そんなめちゃくちゃな譜面を征服するために、メロディ部分だけに色を付けた楽譜を作ってしまいました。フィナーレのデータでもあればいいのでしょうが、手元にあるのは印刷譜だけ、それをスキャンして、フォトショップで色を付けるという荒技に頼らざるを得ませんでしたがね。
 なかなかのものが出来たので、他のみんなにも見てもらえるように、サイトにアップすることにしました。著作権の問題もありそうなので、きちんと認証をかけて限られた人にしかアクセスできないようにしたのまでは良かったのですが、ちょっとした手違いで(と言うか、手を抜いたため)、その認証が二重にかかるようになってしまっていました。その事を、早速見に来てくれた仲間からのメールで知って、慌てて直したところです。そう、画像だけ、別のフォルダに入っていたのですよね。
aventure number : 0703 date : 2006/2/2


今日の禁断 火の鳥

 「ブログ」というのが、殆ど一般名詞と化したような印象すらある昨今です。私の場合、何度も書いていますが、ブログというものを全面的には信用していないところがありますから、本来ならブログにしても良いようこの「禁断」も、かたくなに手作りのサイトとして書いています。しかも、普通に公開するのは最新の2本だけ、それ以前のものはバックナンバーとして認証をかけ、ほんの一握りの信用の置ける人の目にしか触れないような措置を講じています。インターネットで日記のようなものを公開する時の、これは私なりのポリシー、とりあえず書きたいことを書いて、そのあとは出来るだけ早く隠してしまうという、小心者の性でしょうか。
 ですから、私がブログとして活用しているのは、個人的な生活をさらけ出すというようなことのないコンテンツ「おやぢの部屋2」ということになるわけです。これでしたら、もしかしたら「役に立つ」新譜案内として、実際に活用している人が出てくるかもしれませんから。もちろん、これにしても、あくまでサイトのバックアップ程度の意味しか持たせてはいませんから、これだけのために書くと言うことはなく、ちゃんとサイト内の本家があって、そのコピーを違うフィールドに置く、といった意味合いが強くなっています。
 そんなことを言っていても、ブログの世界に足を突っ込んだからには、それなりの世話をみてやる必要があります。そこで、同じようなブログとリンクしあったり、RSSのリストを作ったりしています。このリスト、今までは「マイブログリスト」というところのものを使っていたのですが、なんと、ここが別のサイトに吸収されてしまう、という事が起こってしまったのですよ。もちろん、今まで登録していたログは全てこちらに移行する、という話だったのですが、実際には一つだけ移行できないところがあったりして、どうも信用の置けないリストのような感じはありました。実際、ここに切り替えてしばらくすると、これがリストとしてまったく機能していないことが、次第に分かってきたのです。ブログ(私の場合は「おやぢ2」)をエントリーする際には、こういうリストに拾ってもらうために「PING」というものを送信するのですが、それを送っても全くリストに反映されない、つまり、更新したものが新しくリストの先頭に来る、といった基本的な機能が全く働いていなかったのです。
 ただ、それはどうやら初期の「産みの苦しみ」だったようで、最近になってやっと落ち着いて動き出すようになったので、まずは一安心。まだちょっとあぶないところはありますが、そのうち一人前のRSSとして立派に使えるようになることでしょう。
 そんな、私がリストに登録しているブログの中に、下野竜也さんのものがあります。節分の日に「拙文」を書いた、などと、相変わらずのお笑いのセンスですが、最新のもので「しばらくブログを休みます」とあったのには、「やはり」と思わせられるものがありました。なにが「やはり」なのかは、おそらくこういうものを続けている人なら分かることではないでしょうか。
 そのブログの少し前のもので、「田園」のことに触れられていましたね。ここで書かれていた最初の演奏というのが、実はニューフィルとのものだったのです。ここにもある「ペータース版」とか児島論文とかは、私にとっても非常に懐かしいものです。その時の下野さんとの話を元に、こんなコンテンツも作っていましたしね。
aventure number : 0704 date : 2006/2/4


今日の禁断 左前

 週末は、例によって「コール青葉」の練習です。もうすっかり通い慣れた幼稚園でも、園庭はすっかり雪に覆われていました。そんな中に、いかにも幼稚園らしい雪だるまが立っていたのには、何かほのぼのとした気分にさせられました。スコップを鼻や腕に見立てているのが面白いですね。
 途中で行われる佐藤淳一さんのボイトレも、何回も体験しているうちに、柔軟体操→呼吸の練習→ハミングによる発声などのメニューが少しずつ身に付いてきたような「気」がします。もちろん、あくまでもそんな「気」であって、本当に身に付くはずなどありませんし、その先の段階の、淳一さんのような伸びやかな声が出せるなどというのは全く不可能な話なのですがね。ですから、もっぱら私にとってはとりあえず声が出せるだけでなんか別な可能性が開けているな、ぐらいの感じです。
 いつも感心している事務局の仕事ですが、この間の東京での合同練習の時の、全曲を通して演奏したものが、そのままCDになってメンバーに配られています。いよいよ暗譜に本腰を入れなければならなくなった段階に入っていますから、そのCDを、ついに車のCDプレーヤーにセットしてしまいました。しばらくの間はラジオを聴くのをやめて、このCDを車に乗っている間中、かけ続けることにしたのです。果たしてどの程度の成果が上がるか、期待することにしましょう。
 ラジオといえば、昨日地上波で「ラヂオの時間」を放送していましたね。実は、おとといも「みんなのいえ」をやっていたのですが、両方とも新聞には予定が載っていたものの、いわゆる「番組誌」には別の予定が書いてあったのですね。つまり、「THE 有頂天ホテル」があまりにも好調だったので、急遽予定になかった今までの監督作品を集中して放送したということなのでしょう。だから、「みんなのいえ」は見逃してしまったので、こちらの方はしっかり録画をしておこうと思ったのです。もちろん、地上デジタルのワイド画面で、です。
 この、監督第1作目の映画、1997年の作品だったのですね。今から9年近く前、私はまだインターネットも始めていない頃になります。その頃にやはり地上波でやっていたのを断片的にみたような記憶がありますが、改めて見てみたところ、同じものを見ても全く感じ方が違ってきているのがよく分かります。それが私にとっての「進歩」なのか「変化」なのかは分かりませんが。出演している俳優さんも、今とは大分立場、というかランクが変わっていて、なかなか面白いものです。一番「変わって」いたのはアカデミー・ノミニーの渡辺謙でしょうか。実は、私が最初に見た時には、彼であることすら分からなかったのですからね。ただ、いかにも映画的なあのシーン、原作の舞台の場合にはどのような処理をしていたのでしょう。それとも、これは映画化の際に付け加えたものなのでしょうか。
 もう1人、気になったのが奥貫薫。実は、今回見直して一番印象に残ったのが彼女だったのですよ。すごく生き生きしていて、良い感じ。たまたま、この前見た「ALWAYS 三丁目の夕日」が今週で終わってしまうので、もう一度見てきたのですが、ここにも彼女が出演していたのですね。しかし、こちらの方は全く異なる暗い役どころ、ちょっと悲しい「変化」でした。
 ところで、2回目を見て気づいたのですが、淳之介くんは女物のセーターを着せられていたのですね。こんな細かい仕掛けがあったとは。さすがです。
aventure number : 0705 date : 2006/2/5


今日の禁断 松戸

 今期最高の積雪、と、確かに昨日の天気予報では言っていました。夕べからの雪は今日は一日中降り続き、30センチを超えることもあり得るのだと。しかも、夜になるとまた大雪が降るのだ、と彼は言いきっていたのです。これを聞いて、私は非常に深刻な問題に直面することになってしまいました。今日の練習(あ、これはニューフィルの方です)が終わったあとに、いつもの場所で技術委員会が開かれることになっていたのですが、その場所というのが私の職場、そこへ車で行くためにはかなり急な坂道を登らなければなりません。練習のあと、深夜にそんな大雪が降ったりしたら、とてもたどり着くことは出来なくなってしまいますよ。
 確かに、朝に積もっていた雪はかなりのものでした。これでは、とても坂など上れそうにないので、車は坂の下にある駐車場に置いて、そこから石段を登って通勤です。これは大雪の時の私のパターン、ですから、今夜、もし坂道を上れない事態になっても、これをみんなに伝えれば問題は解決するはずです。そこで、まずその駐車場の雪かきを始めました。しかし、そこは砂利を敷き詰めただけの空き地ですから、スノープッシャーなどは役に立ちません。仕方がないので、車を走らせて、雪を押し固める戦法を取ってみました。ところが、少し深い新雪にバックで入り込んで、そこから前進しようと思ったら、車が空転してしまって、前へ進まなくなってしまったではありませんか。見てみたら、雪の下には氷の層が。前に降った雪が、いつの間にか凍ってしまっていたのですね。この駐車場、坂の途中に作ってあって、少し勾配が付いています。そこを上へ向かって進もうとしたので、滑って動けなくなってしまったのですね。これでは、みんなに来てもらっても帰りに出られなくなってしまうかもしれません。
 そのうち、降っていた雪が、何だか雨のようになってきました。坂道に行ってみると、近所の人が除雪をしてくれたので、殆ど雪はなくなっています。一部根雪になっていたところも、スコップではがすことができるぐらいになっていましたから、このままだったら楽々登ってこれるぐらいにはなっています。しかし、彼の予報は「夜中に大雪」ですから、油断は出来ません。雪は降らなくても凍結するおそれはありますから、融雪剤も撒いておかなければなりません。
 練習に出かける頃になっても、雪が降り出す気配はないので、一縷の望みを託しつつ、練習に専念です。ただ、もしもの時に備えて、技術委員会の出席者には、坂の下の駐車場の地図を渡すことも忘れてはいませんでした。
 練習が終わっても、地面が凍っている様子はありませんし、雪が降っていた痕跡もありませんでした。これなら大丈夫と坂を登ってみたら、楽々クリア、少し大げさに、「登れないかも知れない」と言ったのを真に受けて、石段を登ってきた人には、ちょっと気の毒。これは、彼、すなわち「斎藤さん」のせいにしておきましょう。
 突然の別れに際して、決して取り乱したりせず冷静に対処できるというのは、私が中学生の時に父親を亡くした経験があるからなのでしょうか。人は、いつかは私の前からいなくなるものだという事実を、いま、厳粛に受け止めているところです。
aventure number : 0706 date : 2006/2/7


今日の禁断 ヴァド

 大雪が懸念されたおとといの夜の技術委員会で決定した秋の演奏会の候補曲は、オーソドックスな古典派、ロマン派の作品にまとまっていました。それを指揮者の新田さんに送ったところ、即座に返事が来たそうで、その結果が技術委員長から回ってきました。非常に分かりやすい、「○○でお願いします」という回答でしたから、間違いなくメインはこの曲に決まることでしょう。久しぶりにきっちりした曲がやれそうです。何に決まったかですって?まあ、そのうち公になることでしょうから、待っていて下さい。それよりも、今はブルックナーを仕上げる方が急務。来週と再来週に来る予定だった末廣さんが急に来られなくなったということで、みっちり基礎練習に時間が割けるようになったのですから、この「ドタキャン」を良い方向へ持っていくことが、重要になってくることでしょう。
 そうなってくると、一月先の週末が初顔合わせということになってきます。そんな時に練習に出られないのですから、やっぱり今回はトップを降りていて正解ということになってしまいました。最初の練習で1番が代吹きなんて、最悪ですものね。
 ということは、東京の演奏会の本番まで、ついに1ヶ月ということになってしまったわけです。まだまだ先だと思っていたのに、もうそんな時期になっていたなんて。もちろん、私的には上々の仕上がりを見せていますから本番までのスケジュールは問題ありません。車にCDを乗せたのは思った通りの効果を見せていて、運転しながら、ということは、かなり集中力を欠いた(もちろん、運転に集中するのが大事ですから)状態で聞き流していると、殆ど反射的に言葉やメロディーが出てくるところとそうでないところがはっきり分かります。その、無意識では出てこなかったところだけをあとで楽譜で確認すると、無理なく憶えることが出来るというわけなのですよ。
 ところで、前に4〜5年ぐらい経った「2ちゃんねる」にこのサイトが取り上げられていることを書きましたが、つい最近、またまた、今度はコンテンツを名指しでリンクされる、という事態になってしまいました。これはいつものアクセス解析によるリンク元の特定で分かったことなのですが、こちらのように、「おやぢの部屋」の今のファイルにリンクされています。ターゲットになったのは、その中の2月3日の分の「レクイエム・ボックス」。とりあえず、ここでは別にやり玉に挙げられているわけではないので一安心なのですが、こういう場からリンクされたということ自体が、正直言って非常に不愉快です。私にとって、この掲示板は出来ることなら一生目に触れずに生きていきたいと思っているほどの醜悪なもの、それが、こういう形で見なければいけなくなってしまうなんて、たまりません。こういうところに書き込みをする人の文章が、まず、おそろしく稚拙。そして、最初からコミュニケーションを拒否しているその物言いからは、ひとかけらの知性も感じることは出来ないのです。
 そして、試しにここからリンクしてみて下さい。それは直リンクではなく、ワンクッション置いたものなのです。そこで現れるのが「人妻の○○」とか、「タダで即○○」といった、よだれが出そうになる(・・・っと)ほどうれしい(くないっ!)バナー満載のページなのですから、たまりません(あ、も、もちろん、これは「嫌だ」という意味ですよ)。強制的にこんなものを見させるリンクを仕込む掲示板なんて、どう考えてもまっとうなものではありませんよね。一応念のため言っておきますが、上の方の伏せ字とこの伏せ字は、同じものではありませんからね(そうでもないかな。「人妻のブラ」とか)。
aventure number : 0707 date : 2006/2/9


今日の禁断 上野駅

 先週の「トリビア」、久しぶりに「へぇ〜」と叫びたいようなものがありました。それは、「エスカレーターの片側を空けるのは間違った乗り方」というトリビアです。仙台あたりではまだどこでも見られる、という風習ではありませんが、東京などに行くと駅のエスカレーターでは見事に片側(どちらだったかは忘れましたが)に寄って立っている光景が見られます。そして、その空いたところを、急いでいる人が歩いていく、というものです。これが、早く行きたい人に対する「思いやり」なのだ、という、どこかで聞いた説明を、信じて疑うことはありませんでした。ですから、仙台という田舎で普段はそんな風習には無関係に暮らしている私が、たまに東京という「大都会」へ行った時などは、決して田舎者とバカにされることのないよう、エスカレーターに乗る時には細心の注意を払うことになるのです。連れがいる時などは、それがさも都会人の常識であるように、並んで立つなどということは意識して避ける、というのもその現れです。たまに誰も乗っていないエスカレーターに乗る時などは、反対側に立ってバカにされるのは嫌だとばかりに、誰か別の人が乗るまで待っている、とかね。
 しかし、その様な風習は、「正しいルール」でもなんでもなかったのだ、と、このトリビアは教えてくれたのです。こんな気持ちの良いこともありません。あの、大都会に住んでいる人達は、揃いも揃って間違ったことをやっていたのですからね。なにしろ、エスカレーターのメーカーの人が「それは間違い」というのですから、これ以上説得力のあるものもありません。それは、言われてみれば確かにもっともなことばかり、そもそも、エスカレーターというものは、真ん中に人が立っているものを運ぶように出来ているもので、それを片側に寄せたり、歩きながら乗るというのは、想定されていないのですからね。
 思うに、このトリビアは、こんな形を取っていますが、本当は業界が正しい乗り方をアピールするために仕組んだものなのではないでしょうかね。こういう間違った「風習」がこれだけ広まってしまった現状では、ちょっとやそっとの告知では効き目はありません。この人気番組を使えば、それはいとも簡単に出来てしまうのでは。
 一番良いのは、駅でエスカレーターに乗る人の前で、「真ん中にお乗り下さい」とアナウンスする事なのでしょう。そういうことをやっていなかったのは、駅の関係者も、こういう乗り方は本当は危険なものだという認識がなかったからなのかも知れません。でも、今さらねえ。ですから、本当に一番良いのは、この乗り方が原因で実際に事故が起こる、ということなのかも知れませんね。そうならないためにも、ぜひ「正しい」乗り方が広まって欲しいものです。
 近々東京に行きますので、アフター・トリビアで変化が起きたかどうかを実地に確かめてみることにしましょう。もちろん、私1人が反対側に立つ、などという「田舎者」の行動を取る自信なんて、ありませんがね。
aventure number : 0708 date : 2006/2/10


今日の禁断 伊勢丹

 「コール青葉」の練習では、今まで行ったことのない場所に行けるのが一つの楽しみです。今回は土日を使っての集中練習、1日目は代々木という都内でしたが、2日目は、なんと松戸まで行くことになってしまいました。実は、最初この地名を聞いた時は、ずいぶん遠くまで行くものだと思ったのです。松戸と言えば千葉県ではありませんか。いくら200人の合唱団が練習できる場所がなかなか無いからといって、そんなところまで行かなければならないとは、事務局も苦労が絶えないなあ、と思ってしまったのです。しかし、地図を見てみたら、そこは殆ど東京の隣町、常磐線の快速を使えば、ほんの20分程度で着いてしまうところだったのですね。これだったら、下手な都内よりよっぽど近くですね。
 と言うわけで、この間荒川に行った時に乗った常磐線に、また乗ることになりました。その時は三河島まででしたから、それから先は私にとっては初体験、処女地となるわけです。休日の朝方の常磐線は、乗っている乗客もまばら、ゆったり腰掛けて、幾つもの川を渡ると言う小旅行を楽しむことにしましょう。
 初めて降り立った松戸の駅前から、しばらく歩いたところに、会場の市民会館があります。渋いタイル張りの外見はなかなか立派なものですが、中にはいるとかなりの時代物であることが分かります。ロビーからホールへつながる入り口は、1枚扉、これでは全く防音効果がないという、宮城県民会館と同じ仕様です。ですから、その頃に作られたものなのでしょう。座席も、今時珍しい、それこそ昔の映画館に使われていたようなものですし、座ってみると前の席との間隔が異様に狭いのも、そういう昔の建物の名残なのでしょう。
 今日の練習は、本番前に全国のメンバーが一堂に会する最後のチャンスですから、朝の10時から夜の6時までという、ハードなメニューが用意されています。実のところ、前の日の男声だけの練習で、私は殆どエネルギーを使い切ってしまっていましたから、そんな長丁場はかなり辛いものがありました。事実、昼食のお弁当を食べて午後の部に入ったあたりから、疲労感はかなりのものに。その上、最近あまり調子が良くないと思っていた腹具合が、そのお弁当を食べたあたりでなおさら悪くなってきたみたいなのですよ。歌っている最中でも脂汗が出てきて、かなり危険な状態に陥っているのが、自分でもよく分かります。やっとの事で小休止となった時には、真っ先にステージを駆け下りてロビーにあるトイレに駆け込むことになるのでした。そのトイレ、この会館の他の設備とは全く対照的に、最新の設備が整ったものであったのには驚いてしまいました。おそらく、この部分だけ最近リニューアルを施したのでしょう。しっかりウォッシュレットの完備した個室で、私は満足して用を足すことが出来たのでした。
 しかし、それで安心したのは大間違い、しばらくしたら、又同じように具合が悪くなってきたので、小原孝さんや、森ミドリさんも交えた練習中も、気持ちはあの快適な個室の方へ、完全に向いてしまうことになったのです。密度の濃い練習が全て終わってステージ上の椅子が片づけられているのを尻目に、私はまたも真っ先にトイレへ駆け込んで、その快適な施設の恩恵にあずかるのことになるでした。
aventure number : 0709 date : 2006/2/12


今日の禁断 クッキー

 この間の松戸の練習には、本番の共演者が全て揃いました。4つあるステージの3つまでは、OBだけ(ピアノも)で演奏するオーソドックスなものなのですが、最後のステージが企画性を前面に出した楽しいものになっています。今年のテーマは「風」、それに沿った選曲がなされている中で、小原孝さんが編曲(オリジナル曲も1曲提供?)を担当、自身でピアノ伴奏も行い、森ミドリさんが安野光雅さんの詞によるオリジナル曲を2曲提供、そのうちの1曲でチェレスタの伴奏を弾いて下さいます。小原さんとはもう何回か合わせていましたが、今回は森さんも参加されて、晴れて全員が一堂に集まった、と言うわけです。
 実は、この日は森さんの誕生日でした。指揮者の提案で、森さんがステージに上がってくる時に、小原さんの伴奏で「Happy Birthday to You」を打ち合わせなしに合唱するというのが、こういう団体のお約束です。その森さん、ご自身のブログを持ってらっしゃいますが、こちらでその時の様子を書き込んでくださいました。我々のことを過分に褒めて下すっていますが、このときの森さんのピアノ伴奏(本番ではチェレスタ)も、とても素敵なものでした。陳腐な言い方ですが、「心に染みる」という言葉がとてもしっくり来るような、そんな優しい肌合いでした。
 ブログの中でも触れておられましたが、今回の安野光雅さんとのコラボレーションが、さらに発展しそうな気配、これが、我々の来年のレパートリーとなるのでしょうか。
 200人近い合唱を体験したあとでは、50人にも満たないオーケストラは、いかにも閑散としたものに思われてしまいます。自分の陣地も、前後左右にびっしり詰め込まれて身動きもならないほどの狭いものだったのが、こちらでは広々としたスペース、3畳間の下宿から、5LDKのマンションに引っ越してきたような感じです。椅子の横には、ポケットティッシュを置く余裕さえあります。そう、この1週間ほど、くしゃみや鼻水といった、まるで花粉症のような症状が続いているのですよ。合唱の時にも、いきなり大きなくしゃみをしたりして、しっかりまわりの顰蹙を買っていました。それで時折流れ出す鼻水を拭いながらの、ブルックナーです。歌いっっぱなしだった合唱に比べて、こちらはなんと暇なことでしょう。たまにある出番に備えて、休みを数える、というのが、何とも優雅です。しかも、楽譜は見ながら演奏するのが当たり前、というのがたまりません。そんな、同じ音楽であっても殆ど別の世界を同時に体験できるというのが、今回の楽しみです。
 暇にまかせて、指揮者の他のパートに対する指示などを聴いていると、いきなり「げぞうげん」などという言葉が聞こえてきました。「下増減」とでも書くのでしょうか。音を少し大きくしたり小さくしたりとか。しかし、スコアを見てみると、それは「gezogen」であることが分かりました。ブルックナーやマーラーに特有のドイツ語表記、こんな風に発音すると、まるで日本語のように聞こえてしまいますね。そういえば、「subito」も「ずびと」と言っていたような。
aventure number : 0710 date : 2006/2/14


今日の禁断 佐藤B作

 最近は、三谷幸喜にどっぷりはまっている、という感じですね。お正月に見た「古畑任三郎」の新作ドラマ、そして「THE 有頂天ホテル」と「ラヂオの時間」という映画についてはこの間書いたばかりですが、その間にもWOWOWでやっていた「12人の優しい日本人」の生中継のステージを見ていました。もちろん、リアルタイムの「生」ではなく、HDによる疑似「生」体験でしたが。こんな具合に、別に選んでいるわけではないのですが、これだけの頻度で私のまわりに彼の作品が露出されているということは、この作家が今の日本でどの程度の評価を受けているか、というあらわれになるのでしょう。
 そんな折、今日はついに劇場で生のステージを見ることになってしまったのですから、もはや私の中での「三谷率」は、かなり高いものになってしまっている、ということなのでしょうか。
 見に行ったのは市民会館、そこで演じていたのが東京ヴォードヴィルショーというのですから、これはちょうど2年前に見たやはり三谷幸喜の「その場しのぎの男たち」と同じ場所、同じ劇団ということになります。あの時は席がかなり後ろだったのでちょっと見えにくかったのですが、今回は気合いを入れて発売日に買ったものですから、前から9番目という、非常にステージに近い席でした。そこからは、ほんと、セットの細々したところまでよく見えます。全国を回る公演ですから、お手軽なものだと思っていた予想は見事に外れ、それは見事としかいいようのない、手の込んだセットでした。この作品、大分前に映画化されていますからそちらの方できっちりイメージが出来上がったもの、映画の中でのシーンがどのようにステージで再現されるのか(実は、本当はその逆のパターンなのですがね)というのがまず興味の対象、これだけ作り込んでいるセットを転換して、次はどのようなものを見せてくれるかが楽しみになってきます。
 ところが、驚いたことに、この芝居は全てこのセットの中だけで行われていったのです。そもそも、プロット自体が映画より凝縮された(これも、作業的には逆なのですが)ものですから、ここだけで十分ストーリーは展開できるのですね。というか、三谷幸喜は映画の台本を作るにあたっては、舞台とは全く別のものを作り上げようと考えていたのではないでしょうか。そこで、最も違いが出てきたのが「夫」松兵衛の設定。映画の場合、褌一丁で現れた木梨憲武はいかにも粗野で無教養なダメ男、お竜がなぜこの人と結婚したのか、殆ど理解できませんでした。ところが、舞台版では、かなりこの人に関するデータが詳しく提示されています(映画でもあったのかも知れませんが、殆ど記憶に残っていません)。元は京都の大店の息子だったというその「経歴」を物語るような、生活力はないけれど粗野ではないという、きちんとした外見、この方がやはり説得力がありますね。
 もっと言ってしまえば、映画版お竜の鈴木京香も、ちょっと崩れすぎ、というか、そういうシーンが多すぎて、今回のあめくみちこのような芯の強さがあまり出ていなかったような気がします。ですから、この物語の本質である四角関係(正確には「龍馬」も入れた五角関係)の妙は、今回の方が深く味わうことが出来ました。それは、「有頂天」にも通じる「女の強さ」に集約されるものなのでしょう。それを取り巻く男たちの、さまざまな温度の「弱さ」もまた、一際鮮やかに描かれていました。そして、もちろん、エンディングの大どんでん返し、これを目の前で生身の俳優さんによって演じられたものを見る喜び、やはり「生」は良いものですね。
aventure number : 0711 date : 2006/2/16


今日の禁断 恵比寿

 若い人達が集まったさる合唱団が、フォーレのレクイエムを演奏する、というのは、大分前から知っていました。定期演奏会として取り上げるのですが、この曲だけ、特別に外部の人にも呼びかけて、参加してもらう、という形を取っているのだとか、伴奏を弦楽合奏とオルガンという形に編曲するのだとかいうことが、どこからともなく伝わってきたのです。この曲に関しては、私はひとかたならない関心を寄せているものですから、この、かなり力の入った演奏会はぜひ聴きに行きたいと思っていたのです。ところが、本番の日はこちらの合唱の練習が入っています。何しろ1パート2人という超緊縮型の編成ですから(いや、本番ではちゃんと20人揃いますから)こちらの方を休むわけにはいきません。と思ったら、なんと、前の日に「公開ゲネプロ」というものをやってくれる、ということではありませんか。これを聴けば、問題は解決、ということになりますね。
 ということで、今日がそのゲネプロの本番(ちょっと変?)の日です。会場が細横町にある教会、実は、ずっと昔にここにあるホールのようなところでやはり合唱の練習をやったことがあったので、そこだろうと思って行ってみたら、「入り口」の案内は、その隣の礼拝堂の前に立っていました。ホールの方は確か靴のまま入っていけたような気がしたのですが、ここでは靴を脱いでスリッパに履き替えなければなりません。ちょっと「家庭的」な雰囲気です。その礼拝堂の中に入ってみると、半分ぐらいの席が埋まっていたでしょうか。寒いので大きなストーブが燃えています(いえ、正確には、ストーブの中で石油が、ですが)。そこでは、弦楽器の人達だけが揃って、「公開」の前の最後の練習でしょうか。席に着こうと思ったら、なんか、その弦楽器の方で手を振っているような気配がしました。お客さんの中に知り合いでもいるのだな、と思って顔を上げてみると、それはニューフィルのヴィオラのSさんではありませんか。なんと、その隣でもS'さんが手を振っています。よくよく見たらもう1人のヴィオラもS''さん。さらにチェロもS'''さんですし、コントラバスもHさんと、殆どがニューフィルのメンバーだったのですよ。事前には「石巻交響楽団有志」とかだと聞いていたので、少しは知っている人がいるかもしれない、と思っていたのですが、「少し」どころではありませんでした。私もびっくりしましたが、あちらもびっくりしたことでしょう。
 一応「ゲネプロ」などと言っていましたが、その弦の人達も一旦退場して、まず合唱団が真ん中の通路を通って祭壇の上に並び、普通の演奏会のように演奏が始まりました。ただ、服装が普段着、寒い場所なので、中にはコートを着込んだ人もいたということだけが、本当の本番とは違っていたところでした。合唱団は70人ぐらいでしょうか。本来の団員以外の人が混ざっているのですが、それが完全にメンバーとして溶け込んでいる、素晴らしい響きが味わえました。最初のトゥッティで、それは明らかになったのですが、始まってすぐのこの曲のチェックポイント、テナーのパートソロになったとき、彼らはちょっとすごいことをやっていました。本来テナーだけで歌う部分を、なんとアルトのパートがユニゾン(つまり実音で同じ音)で重なっていたのです。この部分、今までいろんな演奏を聴きましたが、完璧に歌えていたものなど殆どないという難所、これを、彼らはこんな形で、実に滑らかな表情を出すことに成功していたのですね。
 それにしても、彼らの声の伸びやかでしなやかなこと、これだけは、私達のおじさん、おばさん合唱団では絶対に出せないものです。若いって良いですね。ほんと、「Agnus Dei」の後半など、まさに理想的と言えるフォーレの世界が味わえました。
 ニューフィルの人達も大健闘、しかし、仙台在住のさる音楽家に依頼したというこの編曲には、ちょっと?が。それについては、「本番」が終わったあとで。
aventure number : 0712 date : 2006/2/18


今日の禁断 岩沼

 「コール青葉」の仙台練習、仙台だけの陣容でやるのはこれが最後になってしまいました。来週と再来週には東京から指揮者が参加、そして、その次の週には本番という、まさに「秒読み」の段階です。行ってみると、CDが山積みになっていました。先週東京でやってきた合同練習が、もうみんなに聴けるようになっていたのです。相変わらず、早い仕事ぶり、車に積んであったCDを、早速こちらに入れ替えることにしましょう。実は、前のCD、何回も何回も繰り返して聴いていると、失敗したところとか、間の指揮者の声とかが耳に付いて来たところなのですよ。それと、伴奏者が音を間違えているところなどもそのまま入っていますから、もう少し完成度の高いものが欲しかったところ、絶妙のタイミングでした。
 実は、昨日教会でのフォーレのレクイエムを聴いた帰りに、いつもの通り車の中でそのCDを聴いてきたのですが、いくら「隣の芝生は・・・」と言ってみても、ついさっき聞いたばかりの「美しい」演奏と比較してしまって、ちょっと辛いものがありました。なんと言ってもあちらは前日のゲネプロ、こちらは本番の2ヶ月前の練習ですからね(と言って、慰める)。それと、教会でレクイエムが演奏された、というのも、なかなか味のあるものでした。そうなんですよね。我々はつい、宗教曲でもなんでもCDやコンサートホールで聞くのが当たり前だと思ってしまいがちですが、そもそもこういう曲はきちんと宗教的なモチベーションがあって生まれたもの、特に、この作品の場合には「作品」というよりは、「心情の吐露」といった趣が強いものなのではないでしょうか。それにふと気が付いた時、この教会の中の空間は、単なる「ゲネプロ」の場ではなくなっていました。下手に「演奏会」用のいでたちではなかった分、お客さんとか入場料とか、余分な要素が排されて、もっと純粋な何かが伝わってきたような気がします。
 そこで、昨日ちょっと書きかけたことの続きになるわけですが、作曲者自身は、この曲をコンサートホールで演奏するような大きなオーケストラのために改訂する事には消極的だったと言われています。実際、最初に出版されたフル・オーケストラのための楽譜というのは、フォーレの手によるものではありませんでした。この、いわゆる「第3稿」は昔ニューフィルでも演奏したことがありますが、いかにもその場しのぎといった不思議なオーケストレーションには、面食らったものです。何しろ、フルート、クラリネットといった木管楽器は、「Pie Jesu」にしか出番はなく、それもほんの数小節だけだというのですから。ヴァイオリンも、弾いている時間より休んでいる方が多いという、普通の曲では考えられないような待遇です。それらは、メインはヴィオラという本来の編成を、無理矢理「普通の」編成に作り直したために生じたひずみなのですよ。ですから、今回の演奏会で小さな編成の弦楽器とオルガンのために「編曲」がなされたと聞いた時、もしかしたら、この本来の形の精神をくんだものが出来ていたのではないか、という期待をしたとしても、そんな見当外れではなかったはずです。ところが、昨日耳にしたその「編曲」は、残念ながら私の期待を満たしてくれるものではありませんでした。一番の落胆は「Sanctus」でのヴァイオリンの扱い。ここは、ぜひともソロで、超然とした音を聴かせて欲しかったところです。
 もちろん、この苦言は、この編曲を行った人へ向けてのものです。演奏していた方々は、アマチュアにもかかわらず持てる力を最大限に発揮した素晴らしい演奏をなさっていたと思います(オルガンのピッチも、きっと本番では修正されていたことでしょう)。
aventure number : 0713 date : 2006/2/19


今日の禁断 リンツ

 54万のキリ番、昨日の朝早く達成したのでしょうね。こういう時間だとなかなかチェックが行き届かないのか、まだお申し出はありません。前回より若干ピッチが上がっているのは、例の「2ちゃん」の影響なのでしょうか。
 今日の練習は、ブルックナーの4楽章とピアノ協奏曲の予定。ブルックナーの方は本当に大変な楽章ですから、通すだけでも大変です。でも、さすがにどうしようもないほどの崩壊ぶりはなくなってきて、途中で指揮者の勘違いで止まってしまった他は、まず穏当に最後まで行きました。やはり、積み重ねが大事なのでしょう。繰り返しやってみて、流れを体に覚え込ませることが必要、それにはまだまだ時間が必要な気がします。それから、いつもですとしつこく「返し」をやるところなのですが、2、3箇所軽くやっただけで、「ピーコンやるべ」ということになってしまいました。「ピーコン」は私は降り番ですから、こんなに早く終われるなんて、ラッキー、とばかりに、早々に帰ってきたというわけです。
 考えてみれば、まだ指揮者練習は全く行われていないにもかかわらず、定期演奏会まであと2ヶ月ということになっていたのですね。そうなってくると、いつものように演奏会へ向けてのさまざまな準備が始まってきます。その最初のものが、ポスターやチラシの印刷、そこで、数日前、「こんなのでいかがでしょうか」ということで、印刷担当から見本が回ってきました。こんなのです。
 彼のデザイン、毎回渋い写真をいろいろに加工して、素敵なものとなっていますが、今回はちょっと「謎」が入っているものに仕上がったようです。元の写真にタイルのようなフィルターがかかっていますが、その「元」はいったい何なのでしょう。これはかなり難しいですよ。というより、私自身も正解は知らされてはいません。そこで、一緒にこれが何なのか考えてみることにしませんか。
 今までの作品から推測すると、最近の彼のデザインの基本は演奏会での曲目にちなんだものとなっているようです。シベリウスの時のフィンランドの木漏れ日、チャイコの時のシベリアの森といった具合。しかし、その様な先入観にとらわれていては判断が迷わされてしまいます。ここは虚心にイメージが訴えかけるメッセージを受け取ることが重要になってきます。そうすれば、もしかしたら、これは風景ではなく、人物なのかも知れない、と思い当たるのはたやすいことでしょう。シベリウスの時も、CDのラベルなどには見事にシベリウスのポートレートが隠されていたのですからね。
 そこまで来れば、あとは簡単です。今回の演奏会のメインの作曲家はブルックナー、これは、あのずんぐりしたブルックナーの姿そのものではないでしょうか。目を細めてじっと見てみて下さい。かすかに「目」とか「鼻」が浮かび上がっては来ませんか?え?そうじゃないって?
aventure number : 0714 date : 2006/2/21


今日の禁断 キューブリック

 予想されたことではありますが、HDDレコーダーへ録画をしたはいいが、見る時間がなくてそのままになっているうちに、ディスク残量がどんどん少なくなってくる、というのが現実になってきました。もちろん、ハイビジョンモードで録画しておいても、それを見ることが出来るモニターなどはいつ手に入るか分かりませんから(というか、今のところは現行モニターで十分、下手にいい画面など見てしまったら後悔しますから、なるべく避けて通るようにしています)普通のSPモードで録画しているにもかかわらず、です。とうとう残り時間が一桁になってしまったので、DVDにデータを「移動」して、また潤沢なディスクにはなりましたが、そのDVDにしても結局は見ないで積み上げておくことになるのでしょうね。ただ、これはVHSのビデオテープに比べればはるかに体積の少ないものですから、しばらくは邪魔にはならないと思いますが。
 ですから、少しでも「不良在庫」をなくすために、時間を作ってそれらを見ることにしましょう。まず、「ライフイズコメディ!ピーター・セラーズの愛し方」です。仙台では「フォーラム」あたりでやっていたのかも知れませんが、シネコンなどにはかからない作品、これも東京でやっていたので見に行きたいな、と思っていたものです。主演が「シャイン」のジェフリー・ラッシュというのは、ちょっと「違うな」という感じだったのですが、見てみたらびっくり、まさにあのピーター・セラーズそのものがそこにいる、という感じでした。圧巻は「ドクター・ストレンジラブ」の扮装、これはメークはもちろん、仕草やしゃべり方まで本人そっくり、いや、デフォルメされている分こちらの方がはるかにリアリティがあるとさえ思えるものでした。片方の手が意志に反して動き出してしまうので、もう片方の手でそれを押さえる、という演技の、真に迫っていたこと。この作品の中では、セラーズはイギリスの空軍大佐、アメリカ大統領、そしてストレンジラブ博士の3役を演じていたのですが、この映画を見ると、さらにB−52の機長までセラーズがやる予定だったことが分かります。確かに、この機長まで演じていればこの作品はもっともっと面白いものになったことでしょうね。結果的にそれは実現しなかったのですが、その「4役目」を与えられて役作りに苦悶しているセラーズの姿が、まさに鬼気迫る迫力でした。
 映画としてもかなり凝った作り方がなされています。物語だと思って見ていると、それは映画のセットだったとか、ラッシュ(つまり、セラーズ)が、いつの間にか他の人の扮装で出てくるといったトリック。俳優としての生活と私生活、日常と非日常、それらが渾然一体となった人格がセラーズだったという演出プランなのでしょうね。
 2番目の妻役のシャリーズ・セロンも、「モンスター」でのトイレで見せただぶついた裸身が日常であるとすれば、これはまさに非日常と言えるほどの美しさでした。
 最近「ピンクパンサー」のリメーク版が出来たそうですが、ここでクルゾー警部を演じているのがスティーブ・マーティン、彼も「おかしい」人には違いありませんが、これを見ると逆にセラーズの凄さが際立ってしまいます。
aventure number : 0715 date : 2006/2/23


今日の禁断 天賞

 昨日の朝は、起きるなりパヴァロッティの歌う「ネッスン・ドルマ」が聞こえてきました。これは、真夜中に女子フィギュアを見ている人に「寝たら駄目だ」と言っているメッセージだと思ったら、そうではなく、金メダルを取った日本の選手が、フリーのバックにこの曲を使っていたからなのですね。しかし、「金」の威力は凄いもの、この国の総理大臣までが直接電話でお祝いを言ったりするのですから、たまりません。しかし、この人の口から、「トゥーランドット」だの「パヴァロッティ」だのという言葉が出てきたのには、がっかり。バイロイトにヘリコプターで乗り付けるほどの「オペラ通」と言われている人ですが、正直言って彼は私がオペラについては、Sさん(Aさん?)とともに、最も語って欲しくないと思っている人物なのですからね。
 気を取り直して、今朝、茶碗を洗っていたら、急須の注ぎ口が何かに当たったのか、くだけてしまいました。これではお茶が飲めなくなってしまいますので、お茶好きな私にとってはまさに非常事態です(万事急須)。すぐにでも新しいものを買わなければいけないのですが、あいにく、今日の行動予定の中にあるお店では気に入るものが見つからなかったので、これは先送りです。
 実は、今週いっぱい利府で「寅さん」の第1作目が500円で(もちろん、年齢に関係無く)で見られるというので、行ってきたかったのですが、ちょっと時間に余裕がなかったので、パス、お昼ご飯を食べに久しぶりに南吉成にやってきました。そうしたら、なんか様子がいつもと違います。休日には車を停めるのも難しいほど混雑していたはずなのに、駐車場はずいぶん空いています。そして、お目当ての「ボーノ・マンマ」に行こうとしたら・・・なんと、窓はカーテンで覆われ、室内の電気は消されている様子です。もしや、と思って入り口を見ると、そこには「1月22日をもって閉店いたしました」という張り紙が。しばらく来なかった間に、こんな事になっていたのですね。その前のアジア料理店に続いて、2度目の閉店となったのでした。もっとも、どちらも経営しているのは同じ会社ですから、すぐまた別のお店が出来るのかも知れませんね。「ひな野」とか。
 仕方がないので、別のお店でご飯を食べて、向かった先は八幡町に新しく出来たショッピングセンターです。もしかしたら、ここがオープンしたおかげで南吉成のお客さんが減ったのかも。かつてお酒屋さんの工場(とは言いませんね)があった広い敷地に作られた建物は、まだ全部が完成したわけではなく、スーパーやレストランが少しあるだけですが、1階の駐車場はすでに満車で、屋上まで上がらなければなりませんでした。なんでも、ここは「レキシントン・プラザ」という名前なのだそう、古い酒屋の「歴史」が息づいているから、というネーミングなのでしょうか。そう言えば、道路に面したあたりには古い門がそのまま残されていましたし、エレベーターホールの屋根も、かつての建物を彷彿とさせるものでした。もっとも、これは、先ほどのKさんの電話のように、いかにもわざとらしくとってつけたものではありますが。
 そこで、本当に「とってつけた」ような画像をお見せしましょう。これは、ブルックナーがオルガニストを務めていたリンツのザンクト・フローリアン教会の内部の写真です。どこかで見たような・・・。(カーソルをとってつけると)
aventure number : 0716 date : 2006/2/25


今日の禁断 B型

 昨日の「ネッスン・ドルマNessun Dorma」のネタ、心の中ではこれに関しての蘊蓄がいっぱい詰まった私のページをそれとなく紹介しようと思ったのですが、それではあまりにも自慢が鼻について、嫌みに感じられると思い、控えていました。そうしたら、こんなブログをアクセス解析で見つけてしまいましたよ。私がわざわざ書かなくても、代わりにしっかり紹介してくれていました。って、こんなリンクを張ったりすれば同じ事なのですが。
 さて、いよいよ本番を2週間後に控えて、「コール青葉」にも熱が入ってきましたよ。練習場に行ったら、本番当日と前の日のスケジュール表がもう出来ていて、みんなに配布されました。前日練習は本番のオペラシティとは別の場所、今度はなんと新小岩まで行かなければなりませんから、その案内も一緒に入っています。実は、私も密かにネットでこの会場(江戸川総合文化センター)の場所を調べて、地図とかをアップしてみたのですが、東京の事務局はもっと周到なものを用意してくれていました。その駅からの地図には、目印になりそうなものの写真まで貼り付けてあったのです。これは現地の強み、実際に行った時にリサーチしたのでしょうね。こればっかりは、いくらネットでも分かりません。もっとも、こういう感じの地図は私も日頃から作りたいと思っているもの、ニューフィルでまだ使ったことのない練習場に行く道などは、出来るだけ分かりやすく案内できるようなものを作ろうとしていますから、同じようなことをやってくれたわけです。写真にしても、この前の「かなん」の時などは、本当に現地まで撮りにいって作ろうと思っていましたからね。
 いずれにしても、マネージメントに関してはなんの不安もありませんから、後は音楽面での最後の仕上げだけが、必要なものになってきます。東京からも指揮者がやってきて、必然的に密度の濃い練習が行われることになりますから、時間が経つのが早いこと、全部のステージをやりおえても、まだまだ歌い足りないような気分になってしまうほどです。懸案の暗譜も、まず全ての曲でほぼ完了したという手応えを感じることが出来ました。というか、まわりを見渡しても、特に最後のステージの曲を、全て楽譜を離して歌っていたのは私の他にはあまり見受けられなかったほど、どうやら、声に自信がない分、暗譜に精を出した成果が現れたようですね。あくまで暗譜というのは「結果」だと思っていますから、楽譜が無くても歌えるような段階にまで達することが出来たという、これは私にとっては考えていた以上の仕上がり具合です。どうやら、なんの不安もなく本番のステージに臨んで、楽しんで演奏できそうな予感がしてきました。
 いつもは練習が終わってもすぐ帰ってしまうのですが、東京の指揮者を交えての打上があるというので、近くの「夢庵」までおつきあい。私の3年下の仙台の指揮者に、「○○さんは学生時代から全然変わってませんね」など言われて、気分を良くしたりして。やはり、今の私の原点というのは、学生の時のこの合唱団の中にあるのだな、と、再確認したものです。
aventure number : 0717 date : 2006/2/26


今日の禁断 市政だより

 またやってしまいました。毎月の月末恒例の「コラム」の更新、2、3日前まではきちんと憶えていて、早めに作っておこうと思っていたのに、結局今日になって慌ててやることになってしまったのですからね。先月作った時に、確か「今回のパターンでもう2、3個は作れそう」みたいなことを言っていたのに、それが何だったのかもすっかり忘れてしまっていましたよ。きちんとメモしておかないとダメですね。何とかそれらしいものは出来るには出来ましたが、それがその時に思いついたものと同じものだったのかは、もはや知るすべもありません。
 今日やっていたのは、桜の木の片づけです。いつぞやの強い風が吹いた日に、20年以上前に苗を植えたサクランボの木が、根本から倒れてしまったのですよ。毎年実がなるそばからカラスなどにつつかれてしまって、ついぞその実を味わったことがない、という情けないサクランボでしたが、風速40メートルとかいう強風で、あっさり倒れてしまうという、最後までだらしのない木でした。そんなに大きな木ではなかったのですが、倒れていると結構邪魔、もうすぐお彼岸で人も来るとみっともないので、細かく切って燃やしてしまうことにしました。幹の直径は20センチほどあったでしょうか。しかし、いつも竹を切っているチェーンソーで、それはあっけなく小さなかたまりに変わることになってしまうのです。
 小枝が沢山あったので、それが焚き付けになって、そんな太い幹も燃やせるほどの火が起こりました。しかし、さすがは1本の樹木です。午前中に始めたのに、それが全部灰になるまでには、優に丸1日かかってしまったのですからね。まんべんなく燃えるように世話を焼いていたら、煙はそんなに出ないものの、炎からのガスが結構強烈で、すこし喉を痛めたようです。本番まであと10日、それまでには元通りにしておかなければ。
 ニューフィルの本番はまだまだですが、本当だったらもう末廣さんが来ていて、それを受けてのパート練習になるはずでした。従って、前半でブルックナーをやってみても、いまいちポイントが定まらないで、殆ど練習らしい事もないまま、終わってしまった感じです。そこでの関心事はもっぱら室内の温度管理、一応扉を閉めた状態で始めてみたら、やはりとてつもない暖気がたまるにまかせる有り様で、どんどん温度が上がっていきます。そこで、耐えきれずに扉を開けて外気を入れて、始めて快適な温度になる、という事になるのです。しかし、そうなると今度は扉付近に座っている人が、もろに寒風を受けるということになって、それを避けようと扉を半開にしたりといった、「微調整」に腐心しなければなりません。
 そして後半はコンチェルト。またもや降り番の恩恵にあずかるのは良いのですが、びっくりするような時間に帰宅して、顰蹙を買うことになるのですね。まあ、そのおかげで、「禁断」も、そして「コラム」も、無事今日中にアップできるというわけです。さらに「おやぢ」のストックまで書けてしまいましたから、サイト作りに関しては絶好調です。
aventure number : 0718 date : 2006/2/28


今日の禁断

 この前の「Nessun Dorma」のリンク件ですが、昨日になって「私のブログで引用しました。事後承諾ですみません。」というメールが届きました。てっきり、その人がこの「禁断」を見て、慌ててフォローしに来たのかと思ってしまったのですが、これは全く別のブログでした。あの金メダル以来、この曲もすっかり有名になってしまったものですね。それとともに、私のサイトも。しかし、ブログからリンクしたからといって、こんなにていねいに連絡をよこした人は初めてですよ。無法地帯だと思っていたブログ社会にも、最低の礼儀をわきまえた人は、まだ残っていたのですね。
 ドライバーを頭に突き刺したり、斧を胸にたたきつけたりして人を殺すという事が平気で行われているような無法地帯は、もちろんこの平和な日本には存在しないと思いたいものです。そんな、いつもながらの狂気に近い世界が描かれたスティーヴン・キングの原作による「シークレット・ウィンドウ」も、HDの間に埋もれていたものをシャベルで掘り返して、見終わったところです。もちろん原作などは読んだこともなく、ひたすらジョニー・デップ目当てに放送を楽しみにしていたもの、ストーリーなどは二の次で、かっこいいデップに満足しました。ここで言う「かっこいい」とは、デップらしさがきちんと現れている、といったぐらいの意味でしょうか。「チャーリーとチョコレート工場」や「パイレーツ・オブ・カリビアン」でのちょっと作り過ぎなキャラにひいてしまったあとでは、こんな自然体の彼はとても素敵に見えます。一番気に入った仕草は、家政婦さんが捨てた原稿を机の上に置いたあと、キッチンに行って見えなくなった方へ向かって、手でピストルの真似をしたところ。いかにも茶目っ気たっぷりな、だからこそ逆の意味で非常に重要な伏線となっています。
 この話の結末は、すぐ分かってしまいました。ジョン・タトゥーロの行動が、あまりにも常軌を逸している、というか、現実味に乏しいと思い始めたら、とたんに先が読めてきたということ。それからは、「答え合わせ」をしているような気持ちで話の展開を追っていくという、もしかしたら「マニアック」かも知れないような見方が出来ました。
 一度見終わってから、制作者は一体どの時点で本当の伏線を張っていたのか確認しようと思って、もう一度最初から見直してみたら、もうそれはオープニングタイトルのすぐあとに、堂々と現れているのが分かりました。実は、最初に見た時もちょっと変だな?と思った部分、結末が分かってしまえば、この謎がすっかり解けてしまいましたよ。何とも抽象的な言い方に終始してしまった「禁断」ですが、やはりこればっかりは、まだ見てない人に言ってしまったら確実に恨まれてしまいます。デップの分かれた妻役のマリア・ベロ、どこかで見たことがあると思ったら、「ER」に出ていたんですね。といっても、一体どんな役だったのかは、はっきりと思い出すことは出来ませんが。
 音楽がフィリップ・グラス、きちんとホラーっぽい使われ方にも馴染むような音楽も書ける人なのですね。というか、彼の音楽はこんな風に映像と一緒になった時にその真価が発揮できるのかも知れません。つまり、音楽そのものにはさしたる訴えかけはないのだとも。
aventure number : 0719 date : 2006/3/2


今日の禁断 ノート

 昨日は3月3日、世間的には「ひな祭り」という事になっていますが、私にとってはこの日は別の意味を持つ特別なものなのです。1987年の3月3日は、私が初めてニューフィルの練習に参加した日、そう、この日は私の「ニューフィル記念日」なのですよ。ですから、私がニューフィルに入ってから19年が経ったという事になりますね。今日からは20年目に突入というわけです。いやあ、この私が同じ事を20年も続けていようとは。
 19年前にも、練習は今と同じ旭ヶ丘の市民センターでやっていました。まだ地下鉄もなく、今ある広い道路も通っていませんでしたから、市民センターのまわりはかなり殺風景なものでした。空き地が沢山あったので、車もただで停め放題という、夢のような状態でした。確か、今バスプールになっているあたりに、自由に車が置けたはずです。それが、地下鉄が開通することによって空き地が有料駐車場になり、時には満車で置けない事もあるようになってしまうのですからね。お隣に青年文化センターが出来てからは、車を停めるのにもっと苦労するようになったのですよね。まわりがその様に変わっていく中で、ニューフィルも変わっていきました。そして、私自身も確実に変わってきたはずです。それは、これから先もどんどん変わっていくことでしょう。そうなのです。私の中で変わってきたものがあったからこそ、19年も続けて来られたはず、変わることをやめた時、もはや演奏も、そして、それに関連した作業も、続けていくことは出来なくなってしまうことでしょう。
 去年から変わったのは、言うまでもなく合唱を始めたことでしょう。最初は恐る恐るでしたが、やっていくうちにみるみる昔の感触が戻って来るのが分かるという、楽しく、そして収穫の多い体験でした。もっとも、こればっかりはニューフィルのように全てに自信の持てる演奏が出来る、と言うのからはほど遠いもの、譜読みとか、音楽を作り上げる力は戻っては来ますが、肝心の声が到底普通の合唱団では使い物にならないものになってしまっているのは、つくづく感じさせられてしまいます。ただ、最近では高い音のファルセットが、割と楽に出るようになる時が多くなったというのが、嬉しいことでしょうか。今まで、テレビなどの歌に合わせてハモりを入れようとすると、頭の中で思っていた音と実際に出てくる声とが全くかけ離れていてがっかりしていたのですが、今では少しはそのギャップがなくなってきたような気がするぐらいですからね。
 そんな合唱への参加の機会も、あと1週間でひとまず終わります。悔いのないように最大限の力を注いでいるつもり、その一環が車の中での暗譜の練習なのですが、このところは細かいところをチェックするために、CDのトラックの頭に戻したり、少しだけ前に戻ったりと言うようなことをやりながら聞いています。おかげで、ほぼ不安がなくなるほどの状態にまではなったのですが、そんな、今まであんまり過酷なことをやらせていなかったCDプレーヤーが、かなりヤバいことになってきました。そうやってピックアップを動かすと、時に、トラッキングがうまくいかないことが起こるようになってきたのです。戻したはいいが、「ジー、ジー」と言うばかりで、さっぱり再生されないとか。もう寿命なのかも知れません。実は、この車を買ってもはや10年、ですから、それも当たり前の話なのですけどね。ここまで使えば本望だと、新しい新車が、2週間後にはやってくる予定。もちろんCDプレーヤーも新しくなりますが、その頃には合唱の本番は終わっているんですよね。
aventure number : 0720 date : 2006/3/4

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