0541(05/4/16)-0560(05/5/22)

今日の禁断 ウィンザー

 仙台でも桜が開花、この土日は、お花見には絶好のチャンスです。しかし、毎年この時期は演奏会の前に当たっていますから、休みの日は練習でつぶれてしまうというのは、半ば年中行事と化しています。愚妻と一緒に、お弁当でも買い込んで東北線に乗って、車窓から大河原の桜を見る、などというミニ旅行は、私がニューフィルに在籍している間は実現することはないのでしょうね。もちろん、そんな例年と変わらず、今日と明日はしっかり指揮者練習の予定が入っています。五分咲きの桜を横目で眺めながら、お昼過ぎに一人愛子(あやし)へ向かう私の心の中には、後ろめたさがなかったといったら嘘になるでしょう。
 今日の練習は、最初は合奏ではなく分奏から始まることになっていました。それも、管の分奏は弦のあとですから、何も早くから行っていることはないのですが、やはり私としてはきちんと椅子並べから参加したい、という気持ちがありました。それよりも、まず音出しをきちんとしておきたかった、というのもありますし。つまり、管の分奏は「ポホヨラ」だけなので、始まった時点でしっかりウォームアップが出来ていないと、恥をかいてしまうからなのです。ですから、椅子を並べ終わったら、しっかり音出しをして、いったん楽器をしまい、弦の分奏を客席で聴くことになりました。
 新田さんが登場して、弦だけの合奏が始まります。しかし、その音はついこの間旭が丘で聴いたものとは全然違ったものでした。これがニューフィルだと言われればそれまでなのですが、演奏会間近になると、なぜこんなに良い音を出すようになるのでしょう。パートごとの音がしっかりまとまって、一つの流れをきちんと出していますし、時々ゾクッとするほどの厚い響きが聴ける時もありました。もっとも、午後のこの時間というのは、いつも睡魔が襲って来る時間帯、たびたび弦楽器の姿が夢の中に登場している瞬間がありましたから、現実とごっちゃになっていたのかもしれませんが。
 そして、1時間後には管の分奏です。こちらも、やはり緊張感の違いでしょうか、普段見られないようなまとまりが出てくるから不思議です。ただ、そのあとの合奏で管と弦が一緒になると、その「ポホヨラ」もとたんにちぐはぐな音楽になってしまうのですから、これも不思議、新田さんも何度も首をかしげていましたね。でも、最終的には「やっと、スオミの風が吹くようになりましたね」と言ってもらえたのは、少しは進歩があったと、喜ぶべきことなのでしょうね。
 休憩時間には、技術委員会。秋の定期の序曲決めです。その前に、少しおなかがすいたので、何かないかと思ってホールの中の自販機を見ると、なんと、コーラやコーヒーに混じって、「キットカット」などという「瓶」が入っているではありませんか。そんな飲み物が出来たのでしょうか。でも、「6個入り」と書いてあるので、やはり本物?と悩んでいたら、響ママが来て、「私買って、一つあげる」というので買ってもらうと、やはり普通のキットカットが瓶に入っていましたよ。
 委員会の結果ですが、この前の感触では当確間違いなしと思われた「イタリア奇想曲」だったので、スコアを東京の楽譜やさん(仙台にはありませんでした)に注文したところだったのに、蓋を開けてみれば別な曲に決まってしまいました。
aventure number : 0541 date : 2005/4/16


今日の禁断 MD

 昨日の「禁断」のタイトルは、「イタリア奇想曲」に代わって決まった曲にちなんだものだったのですが、誰も気がつかなかったみたいですね。「ウィンザー」といえば、あの有名な「ウィンザーのマイスタージンガー」ではないですか。これで、秋の定期演奏会の曲目は全部決まったことになります。
 今日の指揮者練習は朝の10時から、12時までが「フィンランディア」と「ポホヨラ」の予定となっています。練習が始まる前に、団長が前に出てきて、「今日は、新田さんの取材でカメラが入ります」と告げました。いったい何の取材なのでしょうね。練習が始まってしばらくすると、確かに大きなケースを抱えた2人の男の人がホールに入ってきました。どちらの人がカメラマンなのかは分かりませんが、2人ともそれぞれにカメラを構えて様々な角度から新田さんやオケのメンバーを撮っていました。いずれ、何かのメディアに登場するのかもしれません。もし見つけた方は、教えて下さい。
 そんなギャラリーがいたせいでもありませんが、練習の方はいい意味の緊張感を伴って進んでいきました。おかげで、11時半には、予定されていた分の練習が終わってしまいましたよ。もっとも、「ポホヨラ」の場合、ハープが入らないとどうにもならない箇所があって、そこは前日練習の時に、ということもあるのですが。しかもそこはフルートなど木管が大変なところ、最後まで気を抜くことは許されません。早く終わったからといって、午後の部を早めるわけにはいきませんから、結局昼食休憩をたっぷり1時間半取ると言うことになりました。コンビニで買ってあったパンを食べてしまえば、あとはヒマですから、同じ建物の中の図書館で読書、「ロッシーニはモーツァルトの生まれ変わり。したがって、彼が35歳で作曲の筆を折ったのは、それ以上作曲家として生きることを許されなかったことが運命づけられていた。」などという、興味深い本を読むことが出来ました。
 午後は交響曲、昨日できなかった4楽章を丁寧にやって、残りの楽章も軽く復習のあと、全曲を初めて通す、というメニューです。仕上がりとしてはまだまだなのでしょうが、曲がりなりにも全曲を休みなく通せたというのは、一つの収穫、確実に新田さんの描く設計図に近づいているのでは、と、我々は勝手に思いこんでいるのですが、本当のところはどうなのでしょう。
 ところで、この間の「かいほうげん」ですが、やはりこの練習の時に発行することは出来ませんでした。あの時も、秋の演奏会の曲目が、もしかしたらこの時期に決定するかもしれないので、発行するのは延期した方がいいのかもしれないという感触があったのですが、その予想が見事に的中、さらに、もう一つ練習予定日の変更などもあったので、今回ばかりは待っていて正解でした。22日には間違いなく発行できます。
aventure number : 0542 date : 2005/4/17


今日の禁断 SUOMI

 いよいよ今週末は定期演奏会、好評の「チケットプレゼント」も、発送のことを考えたらそろそろ終わりになりますので、ご希望の方は今日明日中にどうぞ。実は、先週チケットの売り上げ(というか、実際には単なる配布)枚数の調査を行ったのですが、木管の中では私が最もさばいていたことになっていました。このサイトでのプレゼントが功を奏したのですね。と言っても、実体はかなり低いレベルでの競り合い、今回はあまり売れていないようなのが、ちょっと心配です。やはり、全曲シベリウスというのは、マニアックなものなのでしょうか。
 最後の団内練習となった今日は、パート練習です。最後のチェックをパート内で行おうということで、会場の青年文化センターの練習室に行ったところ、なんとホルンのメンバーが入ってきたのですよ。金管のパートはパルシティのはず。何でも、急に木管とホルンが合流することになったのだそうです。たまにはこんな組み合わせも新鮮でいいものですね。ただ、交響曲でトップを吹いている人が軒並み欠席というメンバーの事情で、やったのは前半のポホヨラとフィンランディアです。今回、諸般の事情で、交響曲ではオーボエのトップをプロの方にお願いすることになったので、とてもこんな練習にまでは来ていただけなかったということなのです。その方は、仙台フィルの鈴木さん、それこそこのプロオケが出来たばかりの「宮城フィル」と言っていた頃からの団員で、おそらく木管の中では一番古いメンバーではないでしょうか。日曜日に初めて一緒にやったのですが、ニューフィルで木管にプロトラを呼ぶことはあまりないので、みんな緊張していたみたいですね。私は交響曲は2番でしたから別になんということはなかったのですが、1番の響ママあたりはかなりプレッシャーがあったみたい。でも、練習が始まってみると、純粋に音楽的な交流みたいなものが出来てくるものですから、なかなか楽しくやっていたようですね。きっと得るものも大きいはずです。
 ところで、先ほど、新田さんのサイトをのぞいてみたら、その、この間の土日の練習について触れられていました。あの時来ていた写真家のことと一緒に、私たちに「成長」があったと感じていただけたとの書き込みは、とても嬉しいものです。その期待に応えるよう、これをきちんと本番まで継続させて、さらに完成度の高いものが出来れば、ここまで磨き上げて下さった新田さんへの恩返しになることでしょう。なんか、ちょっと頑張ってみたいような気にはなりませんか?私にとって「この人のためならば、頑張ることが出来る」と思えるような相手など、今まで何人いたことでしょう。そんな対象に新田さんが加わりそうな予感、今度の演奏会は、素敵なものになるはずです。チケットプレゼント、ぜひお早めにお申し込み下さい。
aventure number : 0543 date : 2005/4/19


今日の禁断 とりたき書店

 今日は4月20日、「レコード芸術」の発売日ですね。一部CDショップなどではフライングで18日頃には手に入るところもありますが、普通の本屋さんでは20日の前に店頭に並ぶことはありません。もちろん、私は毎月買っているのですが、最近になってちょっと困ったことが起きています。今までずっと買っていた、通勤の時に使う何種類かの道の一つに沿った場所にあった本屋さんが、なくなってしまったのですよ。正確には、建物はそのまま残っているのですが、書籍は1冊も置いていない状態になっているのです。このお店の前には広い駐車場があって、車で行くには便利。ある日、その駐車場にはいつもの通り何台かの車が停まっていたので、そこに車を置いて立ち読みでもしようかと店の中に入ったところ、入って左手にある本棚には、商品が全くなくなって空っぽになっているのを見て、一瞬何が起こったのか把握できませんでした。右手にあるレンタルビデオのコーナーはそのままでしたので、どうやら本には見切りを付けて、ビデオだけでやっていこうということになったのでしょう。駐車していたのは、ビデオのお客さんだったのですね。
 ここは、小さいながら私が必要としている雑誌などはほとんど揃っていました。普通の本屋にはなかなか置いていない「音楽の友」がいつも2冊ぐらい入っているのも嬉しいもの、これは買ってもしょうがない雑誌なので、ここで立ち読みするのが毎月の恒例行事でした。「レコ芸」はなんと10冊近くが平積みになっていましたから、この近所にはこれを買っている人がたくさんいたのでしょうね。それから、文庫本なども、新刊のめぼしいものはほとんど手に入れることが出来ました。
 先月からここが「閉店」したために、「レコ芸」を買うためには、ちょっと遠くのお店まで行かなければなりません。ここは2階建てのかなり大きな店舗で、コミックなどはかなり充実しているのですが、本屋としては決して行き届いているとは言えないような管理がされています。文庫本の新刊が、ここで手に入ったことは1度もありませんでしたし、雑誌の並べ方もまるでデタラメ、最初行ったときは、「レコ芸」がどこにあるのか分かりませんでした。というか、普通だったら「レコ芸」と「ステレオ」は同じコーナーにあるものなのに、ここでは全く別の棚に置いてあるのです。ですから、今日も「ステレオ」のそばに「レコ芸」がなかったので、てっきり売り切れてしまったと思ってしまいましたよ。
 普通のタウン誌などは、レジの前に山積みになっていましたが、そこで見つけたのが「S-style」という雑誌。これはかつての「仙台タウン情報」がリニューアルしてこういう名前になったもの、前に企画書を「タウン情報」に送ったところ、この雑誌が「写真のデータを送って下さい」と言ってきたので、どんな扱いをしているのが気になっていたものです。確かに、その画像は使われていました。
 いやぁ、なかなかですね。「ピンク・レディー」の隣というのが、インパクトがあります。これからは、最初から「データ」を同封して企画書を送ることにしましょう。
 結局「レコ芸」は手に入ったのですが、今月号には「のだめ」が登場。これほどメジャーになるとは・・・。
aventure number : 0544 date : 2005/4/20


今日の禁断 ミヨー

 いよいよ明日は定期演奏会の本番、今日の夕方には会場の県民会館でのリハーサルが待っています。しかし、私にはそれまでに仕上げなければならない仕事が山積みになっていました。その最大のものは、例の「かいほうげん」の印刷、および製本です。結局、先週発行しなかったのは大正解だったわけで、最新の情報を盛り込むことが出来たのはいいのですが、あまり新しすぎて、ちょっと確認しなければならないものがあって、ギリギリ今日まで印刷することは出来なかったのですよ。もちろん、それは一番外側のページの話、中に入る部分はとっくに印刷が終わって、間に挟み込まれるのを今か今かと待っていました。プリンターの調子も絶好調、色の心配も、紙詰まりの心配も全く必要のない機械を、これほどありがたいと思ったこともありません。どんなにタイトなスケジュールでも、きちんと予定通りの時間でこなしてくれるのですからね。もう一つありがたいのは、たとえ120枚印刷するのでも、ジョブは1個だけ送ればそれで完了してしまいますから、印刷している間はパソコンを切って別のところに置いておくことが出来るのです。邪魔者がなくなって広くなった机の上で、印刷したばかりのものを半分に折る作業が、実に楽に出来るようになりましたよ(前のプリンターは、印刷の間中パソコンが動いていますから、その隙間でイジイジ折っていました)。もちろん、そのあとのホチキス止めも、存分に広いところでやれます。業者さんからちょっと面倒くさい電話がかかってきて30分ぐらい話をしていても、全くロスにはなりませんでしたし。
 もう一つの仕事は、日程表の印刷。もっとも、これはただ枚数を指定して印刷すればそれで終わりですから、「仕事」とも言えない簡単な作業なのですが。
 それが終わっても、集合時間まではまだまだありますから、サイト用の原稿(といっても、これは佐久間さんの下請け仕事。本格的なコンテンツにはなかなか取りかかれません)でも書いてしまいましょう。少しは昨日のうちに書いてあったので、ちょうど出かける頃には、1回分の「おやぢ」が出来上がってしまいました。そしてリハーサルと続くのですから、なんだかずいぶん充実した1日のような気がします。
 そのリハーサル、県民会館のステージや花道の床が新しく張り替えられていてびっくりする中での山台設営作業が、いつものような手際よさで進んだあと、新田さんの代理の佐伯さんという方の指揮で始まりました。最も心配だったのは、「ポホヨラ」で、今日初めて入るハープとの合わせだったのですが、特に大きな問題はなかったようですね。ただ、フルートが裸でトリルを始める部分のハープが、予想以上に慎重に入ってきたのは、ちょっと意外。おなじみのお姉さん、もっとすっきり勝負してくることを想定して、今まで練習していたのとはちょっと違うすっきりバージョンも密かに用意していたのですが、それは全く必要なく、今までの流れをもっと大げさにやればいいということで、一安心です。
 佐伯さんという方は、会場は別に暖房も入ってなくて涼しいぐらいなのに、半袖のTシャツ姿でも汗びっしょりというのですから、かなりの熱演。しかし、基本的に1回通しただけであとは注意事項を確認するという効率的な練習は、私たちにとってはありがたいものでした。明日は、新田さんで本番です。
aventure number : 0545 date : 2005/4/22


今日の禁断 ソフトドリンク

 「2月に初めてこのオーケストラと練習をしたとき、ここだったら必ず私が考えているシベリウスの音楽を作ることが出来ると確信しました。」とまでおっしゃってくれた新田さん、私たちを信頼するという強い意志によって、ついに私たちを変えることに成功したそのタクトからは、ついぞ私たちが経験したことのないような感動的な音楽が生まれていたはずです。この演奏会を聴くためにわざわざ遠方から訪れた「シベリウス協会」の方が、打ち上げでの挨拶で述べられていた「交響曲の後半では、新田さんの指揮や、ニューフィルの音ではなく、シベリウスの音楽だけが聞こえてきました」というコメントは、その証として大きな存在感をもって伝わってきます。
 前日の会場練習の段階から、交響曲の出だしの弦楽器の響きには、今までの練習では聴いたことのなかったような深みがありました。新田さんにとっては、この会場での最初の練習となるゲネプロで、その響きがしっかり鳴り渡ったとき、今まで忍耐強く(そう、彼女はフィンランド語のsisu/忍耐という言葉を、今まで何度用いたことでしょう)私たちを「その気」にさせてくれていた新田さんの努力が、本番で実を結ぶのではないかという予感はありました。私自身、最も自信のなかった「ポホヨラ」での高音Fisを、前の日にちょっとした加減でなんなく出すことが出来た瞬間、今まで重くのしかかっていたプレッシャーからいとも簡単に解放されて、すっかり力の抜けた状態で本番に臨むことが出来たのも、そう思えた要因の一つなのかもしれません。実際、この日の本番は私にとっては今まで経験したことのないような心地よいものでした。
 濡れ羽色の燕尾服という神々しいまでのいでたちで輝いていた新田さんが指揮台に上がり本番が始まります。1曲目の「フィンランディア」では、最初の金管を聴いてしまえばもう安心、あとは今まで何度となく繰り返してきたアンサンブルをきちんとこなせば、もう曲は終わっています。最大の難関だったはずの「ポホヨラ」、これも、今まで決して合うことのなかった出だしのアインザッツが見事に決まってしまうという「奇跡」を目の当たりにすれば、もう成功は確信できます。途中でヒヤッとする場面(新田さんは何ごとが起こったのか、と、目をむいておられました)があっても、隣で冷静に観察できるだけの余裕だってありましたし。そして交響曲では、凄みさえ感じさせられる弦楽器に乗って、私は1番フルートの響ママにぴったり寄り添っていればいいだけです。終わってみれば爽やかな後味が、とても気持ちの良いものでした。
 そのあとの打ち上げでの、先ほどのようなコメントを聞いた時、途方もない音楽を作り出した、まさにその現場に参加していたという実感を、まるで他人事のように味わっている私がいました。こんな素晴らしい体験をさせてくれるニューフィル、これからもずっとそこにいられる幸せを、今頃になってかみしめているところです。
 そんな幸せ感を伝えたくて、いつになく素早く公式サイトに写真などをアップしましたので、ご覧下さい。二次会の宴たけなわという真夜中の11時半に私に電話をよこして確認してから(もし私が2次会に出ないで帰ってしまっていたら、どうしたのでしょう)、会場の「ワインバー」にやってきた1号様、しかし、なぜかデジカメをもってくることはなかったため、あいにく「禁断の写真館」はありませんが。
aventure number : 0546 date : 2005/4/24


今日の禁断 東龍門

 今日の火曜日は、もちろん演奏会の直後ですから練習はありません。早々と家へ帰ると、郵便受けになにやら「ヨドバシ」の袋に入ったものがありました。開けてみると、それはCDとDVD、手紙が入っていて、しできさんが作った演奏会の記録であることが分かりました。わざわざここまで来て、届けてくれたのですね。いつもありがとうございます。すぐにでも見てみたかったのですが、あいにくちょっとした用事があって、2時間ほどタバコ臭い場所に缶詰という苦痛に耐えなければならなかったのは、ご近所のおつきあい。それが終わってやっとDVDをセットして見始めても、とても全部見ることは出来ませんでした。とりあえず、私が1番を吹いた前半と、最後に付いていた「オマケ」を、やっと見終わったところです。
 今までは、本番で割と満足していたような演奏でも、CDやDVDを聴いたりするとがっかりしてしまうことが多かったものです。しかし、今回は違いました。本番のステージで感じたままの充実感が、この記録の中にもしっかり収まっています。それよりもまず、演奏していては絶対見ることの出来なかった新田さんの後ろ姿が、とても素敵に撮れています。あの時のドレスは、一応「エンビ」と書きましたが、普通のオーケストラの男の団員が着ているような前に切り返しのあるタイプではなく、モーニングのように下までなめらかになっているタイプ。そして、素材がまるで鳥の羽のようなフワフワしたテクスチャーなのですが、それが新田さんの長い髪と重なり合って、キラキラ輝いているのは、とても美しいものでした。
 演奏は、「フィンランディア」も「ポホヨラ」も、アマチュア特有の危なっかしさなど全く感じられない、落ち着きあふれるものでした。これは、演奏していてはあまり分からなかったことなのですが、こうやって客観的に全体を聴いてみると、流れがとても自然に感じられます。「ポホヨラ」などは、実際はかなり危なっかしいところもあったのですが、それぞれの部分のつながりがやはりとても自然、。「交響曲」は、「オマケ」に入っていた最初と最後だけちょっと聴きましたが、こちらは非常にすっきりとした印象がありました。特に第4楽章のあのテーマが、決して感傷的にならずしっかり自制心が伴っているのに、そこからは確かな熱いメッセージが伝わってくるという、ちょっとすごい演奏。これこそが、新田さんが目指したシベリウス、それがしっかり「音」となって表現されているのを、しっかり確認することが出来ましたよ。
 「オマケ」には、恒例の打ち上げの模様が入っています。新田さんのご挨拶もノーカットで収録、これは永久保存、何か辛いことがあったときには、これを聞けばまたやる気が起こることまちがいなしです。その画面を見ると、すぐ気づかれると思いますが、新田さんの真後ろには「冷やし中華」という大きなポスターが貼ってあって、アングルによってはこれが新田さんに対するコメントのように見えることがあります。そのアングルに立って写真を撮っていたのが私、その写真をそのまま公式サイトにアップしたら、目ざとくそのあたりを指摘してくれた人がいました。ですから、今は「冷やし中華」なしのバージョンになっています。
aventure number : 0547 date : 2005/4/26


今日の禁断 本間ちゃん

 「楽天イーグルス」(本当はもっと長い、というかそれはタイプしたくもなくなるようなみっともない名前なのですが)は、まさに期待を裏切らない快進撃を続けてくれています。何でもいいんです。どうせそんなものだと誰しも思っているのですから、変に気取らずにのびのびとやってもらいたいものです。それよりも、なんせ50年ぶりに誕生したという新球団、そんな現場に立ち会えるという又とない体験を、喜びをもって味わうことにしましょう。最も興味深いのは、そんな50年前には考えることが出来なかったような、「商売」とのコラボレーションです。あの手この手を尽くして「利益」につなげようという、悲しいまでの奮闘ぶりが赤裸々に見えてきます。
 今までの球団と際だって異なっているのが、「応援歌」ではないでしょうか。例えば、どこかの球団が優勝したときに、それに便乗して「優勝記念セール」などを行っている店舗の中でのべつ流されている「応援歌」には、実に「応援歌」然とした垢抜けなさがつきまとっています。使い古された感情を鼓舞する歌詞と、扇情的で勇ましいメロディー、しかし、それは確かに本気になって「応援」してやろうという意気込みには満ちているものでした。もちろん、そこにあるのは純粋な応援の気持ちだけ、少なくともこのような曲を作った人たちは、それによって一儲けしようというような気持ちなどはなかったはずです。
 しかし、時代は変わりました。「楽天」が応援歌を作ろうとしたときには、そんな純粋な気持ちで「応援」のためだけに曲を作るなどということはもはや許されなくなっていたのです。そこで作られたのが「モー娘。」のあの「公式応援歌」でした。最初にあの曲を聴いたときは本当に信じられない思いに駆られたものです。いったい、あの歌を使ってどのように「応援」すればよいのか、と。そもそもあの曲に込められたものは「ヒット曲」として必要なノウハウ、特にCD購買層という非常に狭い範囲の好みをとことん反映させたものですから、一般大衆をターゲットにしたものではありませんでした。当然のことながら、この曲の目指したものは、球場で大声を上げて「応援」する人の趣味とは、完璧に相容れないものだったのです。そんなものを作っても、「商売」にはならないというこの時代の、ある意味必然だったのですよ。
 なぜか、「公式応援歌」というものは1曲だけには限らないものだったようです。「公式」というお墨付きは、「タイアップ」と同義語となり、「応援歌」という名の「ヒット曲」が、いったい何曲作られたことでしょう(ここで言う「ヒット曲」とは、ヒットすることを目指して作られた曲という意味です)。もちろん、それらは全て「野球を応援する」などと言う目的のために作られたものでないことは、言うまでもありません。その中でも最悪なのは、当地のFM局が作った曲。人気DJとストリート系の歌手が作って歌っているものですが、およそ「応援歌」らしからぬかったるさには、怒りさえ覚えます。特にサビの「♪イ〜グル」という5音階と、そこにたどり着くポルタメントの醜悪なことと言ったら。もちろん、それは趣味の問題ですから、「ヒット曲」としてはなんの問題もありません。問題なのは、「応援歌」という立場を悪用してのヘビー・ローテーション。
aventure number : 0548 date : 2005/4/28


今日の禁断 ロールキャベツ

 ついこの間、一番町にあった「東映」がついに閉館になってしまいましたね。かつて、ヤマハのそばには「松竹」があったことすら忘れている人たちには、この「東映」の、広瀬通を挟んで向かい側、いま「フォーラス」が建っているところには、かつては「日活」があったなどと言っても、信じてもらうことは出来ないでしょう。なんせ、北仙台駅前にも、いまの「TSUTAYA」の向かいには「北仙台ロマンス座」という、れっきとした(もっとも、最後の頃はポルノばかりやっていましたが)映画館があったというぐらい、市内の至る所に映画館があった時代など、今となっては全く信じられないことです。そんな姿は、映画産業の斜陽化と、最近ではシネコンの相次ぐ建設によって、見る影もなくなってしまっているのです。今、市内にある映画館といったら、駅西口の「東宝」と、中央通りの「セントラル」という昔からの小屋と、最近出来た「フォーラム」、そしてその別館のような「チネ・ラヴィータ」の4館しかなくなっています。ヒット作を中心に上映している「東宝」、「セントラル」も、早晩閉館の憂き目を見るのは明らか、そうなると、今後も生き残りそうなのは、シネコンでは扱わないマイナーな作品を中心にローテーションを組んでいる「フォーラム」グループだけということになってしまいますね。
 そんな、一度は行ってみたいと思っていた「フォーラム」ですが、やっと「チネ・ラヴィータ」に行くことが出来ました。実は、ここは昔から東口にあった「シネアート仙台」という映画館が一度つぶれて、最近「フォーラム」のスクリーンに併合されたというものです。「シネアート」時代に何回か行ったことがありますが、いかにも「場末」といったうらぶれた映画館でした。ところが、今日行ってみたところ、すっかり館内がリニューアルされています。一番変わったのが床の高さ。以前は段差があまりなくて、前の人の頭が邪魔になったものですが、その床の上にわざわざひな壇を作って、しっかり高さを確保していたのは、全ての人に良い条件でスクリーンを見せるのが最低の条件だというシネコンの姿勢に学んだ結果なのでしょう。これはありがたいこと、座ったのは一番後ろの席でしたが、なんの不快感もなく「コーラス」を見ることが出来ました。
 そう、大評判のこのフランス映画、まるで日本のテレビドラマのようなベタなプロットで、楽しめました。舞台となった寄宿舎の汚れ具合といい、中で使われるメインテーマ(監督が作った曲なのですね)の、ちょっとひなびたテイストといい、この作品全体のトーンと見事にマッチしています。「合唱の力で、悪ガキが更正する」というテーゼを、最後まで更正することのなかったユアン・マクレガー似の不良を登場させることによって裏切らせるのも、しゃれています。何よりも、マット・デイモン似の少年の可愛さに泣けた、と言うのは、一緒に見た愚妻の感想。
 終わってから、やはり1週間前にリニューアルが完了した「エスパル」の地下に行ってみました。なんだかこの前行った東京とあまり変わらないようなおしゃれな仕上がりにはちょっとびっくりです。長蛇の列が出来ていた評判の「浅草軒」のランチは、あまりにも量が少なくてがっかりでしたが。
aventure number : 0549 date : 2005/4/30


今日の禁断 キューブリック

 連休も中休み、暦通りの休みになった私は、職場の竹藪を見るのがこのところに日課になっています。先週は、ほんの少し、いつも一番先に生え始めるあたりに2本ほど出ていましたので、今年も期待できそうな予感、それで、今朝見てみたら、他のところからも続々出始めていましたよ。ですから、ペースとしては去年よりほんの少し遅め、といったところでしょうか。そこで、今年も恒例の「たけのこ堀り大会」を設定してみようと去年の「禁断」を見てみたところ、5月8日にやっていたことが分かったので、7日の土曜日にやることにしてみました。いつも通り、午後3時から5時ぐらいまでの見当で、好きなときに来てみて下さい。ただ、心配なのは当日の天気。今の段階では、その日は雨が降ると言うことなのですよ。まあ、最近の予報ほど当てにならないものもありませんから、それで日程を縛られるのもいやなので、しばらく様子を見て、間違いなく雨のようなら別の日に変更しましょう。
 たけのこのことばかりを考えているわけではありません。この2、3日、熱中しているものがありました。それは、発売されたばかりのジョン・カルショーの本です。
 カルショーといえば、イギリス・デッカの黄金時代を築いたカリスマ・プロデューサー、私などはショルティと組んで録音した「指環」全曲のLPの豪華ボックス入りセット(自転車の荷台に積んで、苦心惨憺持ち帰ったという、重量級のセットです)におまけで付いてきた彼の手記「Ring Resounding」ですっかり彼にハマってしまい、それ以来彼のプロデュースになる録音には一目置くようになったものです。その愛読書も、今では絶版状態、何でも古本屋では途方もない高値が付いていると言うことですから、これは私の宝物です。
 今回の本はそれではなく、もっと後に書かれた殆ど「伝記」といっても良いもの、「指環」以外の録音に関しての克明な記述があるというので、私のようなカルショーのファンにとってはこたえられないものです。夢中になって読み進むうちに、そこにはとんでもないことが書いてあるのを見つけて、びっくりしてしまいました。それは、カラヤンとウィーン・フィルの「ツァラ」。以前こちらのトークで、「2001年〜」に使われている音源について検証したことがありましたが、その答えが、まさにその録音を行った本人によって明らかになっていたのですから。さらに、昔から確かめてみたかったこと、映画のサントラにはどのような形で音源が提供されていたかもきちんと書かれていたのも嬉しいものです。あの音は絶対に板起こしではないと思っていましたが、やはりきちんとテープの形で提供されていたのですね。
 この本、中身はとても素晴らしいものなのですが、翻訳にはちょっと問題があります。これを訳したのは山崎浩太郎という定評のあるライターなのですが、その訳文に、とても業界人とは思えないような用語が使われているのです。例えば「配給」。たぶん「流通」というような意味を伝えたかったのでしょうが、これでは殆ど誤訳です。さらに我慢がならないのが、「注釈」の多さ。何しろ登場する演奏家全てに肩書きと生没年が書き込まれているのですから、読んでいて邪魔なことと言ったら。まさに親切があだになった好例(というか、悪例)、私には半端な知識のひけらかし以外には感じられません。
aventure number : 0550 date : 2005/5/2


今日の禁断 ストコフスキー

 前回のカルショーの本、「おやぢの部屋」でも早速取り上げられていましたが、やはり訳者に関しては問題が多いようですね。これは、カラヤン盤の「ツァラ」が「2001年」に使われていたことを述べた部分で、訳者による「注釈」として、「いまだにこれがベームとシュターツカペレ・ドレスデンによる演奏だと信じている人が多い」と述べていることに対するツッコミなのですよ。私の見解では、このように信じている人は決して「多い」わけはないと思えるのですがね。世に出ているベーム指揮による「ツァラ」の公式の録音は、オーケストラは「ベルリン・フィル」、もちろん、最初に出たこの映画のサントラ盤にどういう訳か(その理由は、この本によって明らかになりましたが)「ベーム指揮ベルリン・フィル」という表記があったため、これがサントラでの演奏者だと信じている人はいまだに多いというのであれば、それは十分に納得できます。しかし、「ベーム指揮シュターツカペレ・ドレスデン」などと言う、実在しない演奏に対してなど、「信じ」ようとしても信じることは出来るわけがないではありませんか。
 と、かなり強気な書き方をしてしまいましたが、実は、この本(もちろん「注釈」も含めて)を読んだあと、こちらに「追記」を書こうと思ってもう一度読み直してみたところ、私が書いたこのコンテンツには「ベーム指揮ベルリン・フィル」とあったので、一瞬びっくりしてしまったのですよ。1年以上も「間違った」ことをそのままにしてしまっていたのか、と。しかし、元の資料にあたってみたら、間違っていたのは、この訳者である山崎浩太郎氏の方だったことがわかりました。良かった良かった。もちろん、まちがいは誰にでもあるものですから、それだけを取り上げてまるで鬼の首を取ったように言いふらすのは、あまりフェアなことではありません。しかし、この訳者のような、前回書いたように徹底した「注釈」を施すことによって、この素晴らしい書物をさらに完璧なものに仕上げようという熱意(「独りよがり」とも言う)が満ちあふれている人の場合、このような初歩的なまちがいを犯すことはそもそも許されることではないのです。いたるところで「これはカルショーの思い違いだろう」と、客観的なデータを盾に他人のミスを許さない姿勢を貫いている本人自身がこんなつまらないミスを犯しているなんて、笑えません?
 しかし、「おやぢ」もブログ化されると、そのアクセスはものすごいものがありますね。あのレビューが、早速この方の目にとまることになってしまいましたよ。ご本人もあわてて「これはまずい」と言ったとか言わないとか。すごいものですね。
 この本はなかなかの売れ行きを見せているようですから、いずれ重刷されることでしょう。そのときにはこの部分はきっと訂正されるのでしょうね。その時には、また「改訂版」でも作りましょうか。
aventure number : 0551 date : 2005/5/4


今日の禁断 エキストラ

 昨日は、そもそも「禁断」には別のことを書く予定にしていました。しかし、あの「まちがい」ネタは誰かに先を越される前に、という直感が働いたのもですから、急遽ああいうものになってしまいました。ところが、書き上げてからあそこに書いたような事実が判明して、あわててそれを知らせるために、一度アップしたものを一部差し替えたのですよ。その間はほんの10分程度でしたから、詳しいことは書けなかったので、その辺の詳細を。
 あの訳者の方は、つい最近ご自分のホームページを開設したばかり、その記念に「期間限定」で、掲示板も開かれました。もちろん、そこには発売されたばかりのカルショーの著作に関する感想なども続々と書き込まれたのですが、その中に、私のブログのURLを掲載して、「ここで言及されてます」という投稿をした人がいたのです。そこで山崎氏もブログ版「おやぢ」を見に行ったのでしょう、「これはいかん、早速ホームページで訂正文を出します」という書き込みをしました。そこで、そのホームページを見に行ったところ、確かに「お詫びと訂正」が出ていました。迅速な対応はなかなか立派なことだとは思うのですが、こんな、個人のサイトで「お詫び」を出してどうなるものでもないような気はしますがね。どこぞの鉄道会社ではありませんが、いったい何について「お詫び」をしているのか、ちょっと別な方向を向いて話をしているのではないかという感はぬぐえません。そのとんちんかんな感触は、次の行でさらに深まります。情報を教えてくれた人に感謝しているのはいいのですが、この方は別にまちがいを発見したわけではないのですけどね。ちなみに、発端となった掲示板は、今日限りで閉鎖ですと。
 と、表面上は落着した一件に関しては、このぐらいにしておいて、本当は昨日書くはずだったことについて。「かいほうげん」にもチラシを掲載した「エマイユ・フィル」を、聴きに行ってきました。ニューフィルからもたくさん参加していますし、何よりも新しくできた「市民オーケストラ」がどのようなものなのか、やはり気になりますからね。プログラムもなかなか魅力的でしたし。中でも、1曲目の「牧神」は、確か私は生で聴くのはこれが初めてのはず、それだけでも聴きに行く価値はありました。そのほかの曲目は、モーツァルトの40番とマーラーの「巨人」という、超重量級、モーツァルトはかなりもっさりしたテンポで全て繰り返しをやっていたせいでもないのでしょうが、終了したのは、始まってから2時間を軽くオーバーする頃でした。そのため、予定ではこのコンサートより1時間遅れで始まっていた別のコンサートにも行くつもりだったのを断念せざるを得ませんでした。BCJなどで吹いている前田りり子さんのトラベルソをタダで聴けるはずでしたが。
 「エマイユ」には、ドビュッシーなど、弦があまりメインにならない場面では、なかなか魅力的な瞬間もありました。しかし、モーツァルトはかなり苦戦、マーラーも「良くやった!」と褒めてあげたい気持ちはやまやまなのですが、何しろ、愚妻の「昔のニューフィルみたいね」という、私より辛口のコメントには、心の中で「おっしゃる通り」と頷くしかなかったものですから。
aventure number : 0552 date : 2005/5/5


今日の禁断 山形県

 43万のキリ番は、ちょっと油断していたら4時頃に出てしまったようですね。夕方頃と読んでいたのですが、お昼前後に大量のアクセスがあったようで、その影響でしょう。そんな、一時的な(1時間100ヒット)アクセスはこんな時だけ。普通は1日370ヒットという今回の平均値あたりが普通のペースなのでしょうか。それこそ「毛を吹いて傷を探す」ような、あら探し目的でアクセスしている人もいるのですから、あまり多くなっても考え物です。まあ「のんびり」やっていきましょう。
 もちろん、このサイトのコンテンツを正当に評価して下さっている方もたくさんいらっしゃるわけですから、あまりネガティブなことばかりには煩わされない方がいいに決まっています。実は、そんな嬉しい出来事に出会ったばかりなのですから。
 このチラシ、天童市の合唱団の今度のコンサートのものです(「天混」って略称、なんかいいですね。ちょっと温泉みたい)。ニューフィルの団員でここのオケのトラを頼まれた人がいて、その人が私に送ってくれたものなのです。なぜ私に、という疑問は、このチラシの文面をよくご覧になれば、このサイトの愛読者であれば分かるはず。今回この合唱団が演奏するフォーレのレクイエムに、「ネクトゥー・デラージュ(ドラージュ)版」が使われるというのですよ。ご存じのように、いくつかあるこの曲の楽譜のうち、最もオリジナルの形に近いものであるにもかかわらず、最も演奏されることが少ないというもの、私はこの版による演奏が大好きですから、手に入る限りのCDを集めて、ここで公開しています。言ってみれば、私はフォーレのレクイエム、中でも「ネクトゥー・ドラージュ版」のマニアということになるわけですから、彼(彼女?)はこういう情報を私に伝えたい、という気持ちになったのでしょう。ところが、話を聞いてみると、さらに私に関係している事実が明らかになってきます。なんと、この合唱団がこの版で演奏しようという動機の一つに、このサイトの存在があったというのです。すごいものですね。私が好きなことをみんなに知ってもらいたいという単純な気持ちで作ったものが、一つの演奏会のレパートリーにほんの少しでも影響を与えることが出来たなんて。そのことを知って、ちょっと感激しているところです。
 ですから、そんな珍しいものを演奏しようというこの団体の決断には、大いに敬意を表したいと思うわけです。そして、出来ることなら天童まで出かけていって、まだ生では聴いたことのないこの版による演奏を実際に聴いてみたいと思ったのですが、この日はすでに別の予定でふさがっていたのですよ。この予定については、いずれまた書きたいと思いますが、もうチケットも入手してありますし、いろいろな意味で楽しみなコンサートなのですから、ちょっとキャンセルは考えられません。あ〜あ、誰か、私の代わりに天童にまで行ってはくれないでしょうかね。
 あ、それから連絡事項です。明日予定していた「たけのこ堀り大会」は、たけのこが殆ど出ていないため、とりあえず中止になりました。またやれそうなときには、再度連絡します。
aventure number : 0553 date : 2005/5/6


今日の禁断 倉埣

 愚妻の親戚の方が亡くなったということで、桃生町までお通夜に行って、今帰ってきたところです。おっと、「桃生町」という自治体はもうないのでした。正確には「石巻市桃生町」そういえば、高速を走っているときにも、「ここから『東松島市』」などという看板がありましたっけ。確か、ちょっと前までは「鳴瀬町」と書いてあったところです。こうして、世の中は変わっていくのですね。人の心のように。
 ところで、その「桃生町」へ行くには、三陸自動車道を矢本インターで下りて、「河南(かなん)町」というところを通っていきます。正確には、これも「石巻市河南町」なのですが、ごく一部の人にとっては、この「かなん」というのは要チェックな名前になっているはずです。そう、これが前回書いた「別の予定」というやつなのですが、「ネクトゥー・ドラージュ版」が演奏されるというまさにその同じ日に、「かなんホール」という場所で、あの瀬尾さんのコンサートが開催されるのですよ。この催しに関しては私は全くタッチしていないので、なぜこの場所でやるようになったかなどということは一切分かりません。とにかく、車で行けるところで瀬尾さんのコンサートがあるということで、行くことにしたのです。その「かなんホール」、実はごく最近出来たばかりの「遊楽館」という複合施設の中にあります。今日も、お通夜の会場へ行く道すがら、注意していたら、ここへの入り口を案内する看板が立っているのを見つけました。ただ、案内があったのは1箇所だけ、ここへたどり着く前に、矢本インターからは何箇所か分かれ道があるのですが、そこにはなんの表示もありませんでしたよ。果たして初めて訪れる人は無事会場まで行くことは出来るのでしょうか。
 この施設、コンサートホールの他に体育館やプールなどもあるという豪華なものなのですが、「ロビー」にパイプオルガンが設置されているというのが、極めつけのサプライズになっています。ホールにパイプオルガンが置いてあるコンサートホールを一つも持っていない私たち仙台市民にとっては、何ともうらやましい話ですね。ロビーにパイプオルガンを置いて、いったいどんな使い方をしているのか、再来週の日曜日にはじっくり取材をしてきたいと思っています。もちろん、コンサートの方も期待は満々、この前の瀬尾さんのにミニコンサートの時にも共演したピアニストが、それからどのぐらい変わったのか、あるいは変わらなかったのか、それを見届けるのも、今から楽しみなことです。
 お通夜の席では、思いがけず、地元の音楽関係者と話をすることが出来ました。彼(彼女?)はすでにこのホールに足を運んだそうですが、なかなかユニークな設計には驚いたということです。何でもステージの後ろが透明のガラスになっていて、外が見えるのだとか、これも、実際に見てみるのが楽しみです。そうそう、彼(彼女?)は、「第9」の話もしてましたっけ。今日は、あの末廣さんの指揮で、石巻で「第9」が演奏されていたのですね。ニューフィルからもたくさん参加したはず、どんな様子だったのでしょう。
aventure number : 0554 date : 2005/5/8


今日の禁断 かやの木

 職場で使っているインクジェットのプリンターが、とうとうおかしくなってしまいました。今、顧客向けのハガキの印刷をやっている真っ最中なのですが、紙送りがうまくいかなくなって、何回繰り返してもハガキが入っていかないようになってしまったのです。今日中に1000枚印刷して発送しないことには、大切な通知が間に合わなくなってしまいます。前から写真の色も汚くなっていたことだし、それに確か5年ぐらいは使ったはずですから、もう寿命なのでしょう。さっさと見切りを付けて、新しい機械を買うことにしましょう。
 と思って、近所の電気屋さんに行ってみました。最近はプリンターにスキャナーが付いた複合機とか、パソコンを使わなくてもデジカメをつないだだけで写真が印刷できるものとか、ずいぶん便利に、しかも安くなっていたのは、驚きでした。ところが、ずらりと並んだ高機能のプリンターをよく見てみると、今まで必ず付いているものだと思っていたものが、付いていないのです。それはパラレル端子。この前新しいパソコンを買ったときにもこれが付いていないものが増えているという感触はあったのですが、それに呼応するようにUSBだけを残して、このどでかい端子はものの見事に消え去っていたのですよ。実は、職場では、まだWIN95が故障もせず頑張っています。それにつなげるためには、どうしてもこのパラレル端子が必要なのに・・・・。
 結局、キャノンに1機種だけ、パラレル付きのものがあったので、それを買って帰って、無事印刷は終わらせることが出来ました。その、袋いっぱいのハガキを持って、旭ヶ丘へ向かいます。市民センターの前のポストに投函してたりしたら、すっかりおそくなってしまって、いつもはホールで「こんにちは!」などと言っている人たちにすでに駐車場で会ってしまうという、私にしては珍しい時間帯になってしまいました。ただ、そんな時間でもホールに来ている人は殆どいない状態、演奏会以来ですから2週間以上経って初めての練習だというのに、こんな出足はちょっと寂しい気がします。
 管は殆ど揃っているのに、弦は極端に少ない、というアンバランスな状態で、チャイコフスキーの5番が始まりました。私はこの曲はこれが3回目になります。今までの2回では、最初からすんなり通ってしまうことはなかったような気がしますが、今日は何ごともなく最後まで行ってしまったのですから、ちょっとすごい感じ。「慣れ」もあるのでしょうが、昔やったときとはメンバーも大きく変わっているのも、その要因なのでしょう。確実にレベルアップが実感されます。何しろ、昔は本番でもうまくいかなかったフルートパートの難所、第3楽章の真ん中が、見た目には停まらずにいけたのですからね。
 終わってからは、恒例の懇談会(反省会)。演奏会はすっかり昔のことのようになってしまいましたが、立ち止まって反省する点はしっかりチェックです。一番の問題は弦のメンバーの減少。確かに、以前は100人までいたことのある団員は、すでに、80人を切ってしまっています。管はしっかり定員を満たしているので、いかに弦が減ってしまったかが、如実に現れていることになります。「ケースを持っている人を見かけたらナンパしよう」などという話も出たぐらいです。もしあなたが一人でヴァイオリンなどを弾いているのでしたら、オケの中でアンサンブルをやってみることを考えてはみませんか?
aventure number : 0555 date : 2005/5/10


今日の禁断 月光

 一縷の望みをかけて、今朝、竹藪を覗いてみました。「雨後の筍」と言うぐらいですから、これだけ雨が降れば、もしかしたら新しい筍が出てきているのかもしれないと思ったからです。しかし、竹藪の中は雨が降る前に見たのと何ら変わるところはありませんでした。土の中から頭を出しているはずの筍など、どこにも見あたりません。どうやら今年も不作の年だったようです。最初のうちこそ生えてきそうな気配を見せたものの、それを掘ってしまったらそのあとは一切生えてこないという、一昨年と同じ状態になっていたようですね。こんな風になった次の年は逆に豊作になっていますから、来年に期待するということで、残念ですが今年の「たけのこ堀り大会」は中止とさせて頂きます。楽しみにされていた方、ごめんなさい。
 さて、今日は「のだめ」の発売日、近所の「TSUTAYA」に行ってみたところ、新発売のコーナーに大々的に平積みになっていましたね。50冊ぐらいはあったでしょうか、もはやすっかり売れ筋になってしまったという、最初から読んでいるものとしては嬉しい展開です。何しろ、「手塚賞」にまでノミネートされたのですから。
 実は、単行本が出る前に時々掲載誌「KISS」を読んでいたものですから、今回の第12巻は初めて読むような感じがしなくて、逆に話の流れが前後してしまってちょっと頭が混乱してしまいました。それでも見所は満載、何しろ千秋のパリでのデビューコンサートでのメインプログラムは、あのシベリウスの2番なのですからね。ただ、前プロの「マ・メール・ロワ」では細かい描写をしてくれているのに、「シベ2」はなんだかあっさり終わってしまうのが、ちょっと残念です。
 のだめの方は、相変わらずパリの音大でそれなりに頑張っているようですが、バッハの「平均律」のレッスンを受けるというあたりで、恒例のツッコミには充分なネタが提供されているのには、嬉しくなってしまいました。まず「平均律」について、欄外に注釈が付いているのですが、これが例えばここあたりを読んだことがあるような人にとっては、いかにも物足らない説明、と言うか、私が読んでもちょっと意味が分からないような観念的なものになっています。そして、「J・S・バッハ」についてもしっかり注釈があるのですが、これはいったいいつの時代のバッハ観なのかという、とても現代では通用しないようなバッハ像が紹介されているのです。こういう、クラシックにはなじみがない人が読むような場でこそ、このような権威丸出しのカビの生えた解説ではなく、もっと生き生きとした「人間としての」バッハの姿を教えてくれれば、逆にバッハに対して親近感がわくと思うのですが、どうでしょう。もう少し先にある「対位法」の説明も、私には全く理解できない文章でした。
 そして、やはり「まちがい」はありました。139ページに、その「平均律」を説明したと思われる5度圏の図が載っているのですが、その「C DUR」を12時と見た時の4時のところにあるべきなのは、ここに書かれている「DIS MOLL」ではなく「CIS MOLL」なのですよ(「DES MOLL」の「E」が「I」のように見えてしまったという言い訳は、5時のところが「AS MOLL」ではなく「GIS MOLL」になっているので、通用しません)。
aventure number : 0556 date : 2005/5/13


今日の禁断 クラシカ

 「おやぢの部屋」をリニューアルした「おやぢの部屋2」が始まって、2ヶ月が経ちました。その間に10アイテム入りのファイルが3つ満杯になって、きのうからついに4つ目に突入してということですから、コンスタントに2日に1本のペースは守られてきたことになります。最初はちょっと危なっかしいこともありましたが、さすがは私が見込んだ通り、佐久間さんの仕事ぶりはなかなかきちんとしたものでした。・・・というような話は、実はそれほど真実味を込めて書いているわけではなく、半分冗談なのですから、あまり本気にはしないで下さい。そもそも「佐久間學」などという人物がいるのかどうかも疑問、「吉田ヒレカツ」みたいなもので、もしかしたら架空の人格なのかもしれませんし(と言ってること自体がウソ・・・かも)。
 その「おやぢ2」には、そっくりそのままコピーされた「ブログ版」が存在しているのは、ご存じのことでしょう。私にしてみれば、とりあえず「ブログ」がどういうものであるかを身をもって知るためのいわばパイロット版のような位置づけでしたから、特別手をかけることもなく、ただテキストを貼り付けまくるという作業に終始していました。しかし、最近になってブログでなければ出来ないような面白い機能に気が付いて、ちょっと突っ込んで手を入れているところです。それは、「マイブロクリスト」というもの。最初は、さる有名サイトのブログでこれを発見したのですが、「はてなアンテナ」のように、その人が登録しているブログのリストになっていて、それがいつ更新されたかがその場で分かるようになっているものなのです。それを管理しているサイトに行ってみたところ、自分のブログのURLを入れるフォームがあって、そこに入力すると誰が私のブログをリストに登録しているのかが分かるようになっています。その結果、私のブログは4つのブログで登録されていることが分かりました。1つはリンクもされていてよく知っているところだったのですが、あとの3つは全くの新顔、よくぞ私のブログを見つけてくれたものだと、すっかり嬉しくなってしまいました。私の活動範囲をはるかに超えたところで、「おやぢ2」はしっかり認知されていたのですね。
 そこで、私もそのリストを作ってみることにしました。まず、その4つの「リステッド」は外せません。そして、今までブログとしてリンクしていたところも全部登録します。さらに、全くご縁はないのですが、最初にこのリストを発見した超有名サイトも加えます。そうしておけば、いつの日かそこに私のブログが登録されることもあるだろうという、かすかな望みのためです。
 ただ、リストは出来ても、それをブログの中に表示することが、なぜか「エキサイト」では出来ないのですね。そういう自由な書き込みが出来る「メモ」では、提供されるscriptタグを使うことが出来ないのです。もしかしたら私の思い違いなのかもしれませんが、現実に「エキサイト」でこのリストを見かけたことはありません(知っていたら、教えて下さい)。仕方がないので、「リンク」という形でここにリストを掲載することにしました。実際、更新すると同時にそれがリストに反映されるのには感激です。ただ、マイナーなブログの場合、少し時間がかかるようなのは、いくらかの温度差があるのでしょうか。
 1号様のブログをリストに入れるべきか、いま、悩んでいるところです。
aventure number : 0557 date : 2005/5/15


今日の禁断 ウルトラマン

 おとといの夜、教育テレビの「芸術劇場」でオペラをやっていましたね。「日本を代表する」2つのオペラグループの最近の公演を、それぞれハイライトで放送するというものでした。藤原歌劇団の「ラ・トラヴィアータ」と、二期会の「魔笛」という、いずれ劣らぬ人気演目でしたが、私たちにとっては、別の興味もあったはずです。それは、「魔笛」を指揮したのが、あの下野竜也さんだったということです。だいぶ前から、ご自身のブログでその時のリハーサルの様子などを書いておられましたから、この公演のことは知っていましたし、今月の音楽雑誌などにもレビューが載っていましたから、実際に見てみたいという思いはありましたが、まさかNHKが撮っていたなんて。
 その「魔笛」、なかなか楽しい演出で、「お話」自体は非常に楽しめました。ユニークなのは、音楽の部分はちゃんとドイツ語で歌いますが、地のセリフ(ご存じのように、これは「ジンクシュピール」という、セリフのはいる音楽劇のスタイルで作られています)は日本語でしゃべるという点です。確かに、日本人がしゃべるドイツ語のセリフなんて聞きたくもありませんから、これは適切な措置でしょう。ほんと、日本人がしゃべっているドイツ語に日本語の字幕が付いて、それを見て日本人のお客さんが笑っているなんという場面はちょっと耐えられないかも。ただ、「音楽」では、下野さんの持ち味である見晴らしの良さがあまり感じられなかったのがちょっと残念でした。というか、歌手の人たちがおしなべてコンディションが悪かったのか、アリアの後半までスタミナが持たなくて総崩れという状態でしたから、それに足を引っ張られたのかもしれませんね。ただ、嬉しかったのは、きちんと「グロッケンシュピール」を使っていたことです。そういえば、前にこのネタを作るときに、この会場(新国立劇場)にはこの楽器が備わっていることを何かの資料で知ったことがありましたっけ。まさか、私のネタのせいではないでしょうが、もはやチェレスタで「代用」する時代は終わったということなのでしょうか。これはなかなか良い傾向です。
 「魔笛」は、このような演出であれば別に時代や国籍が障害になることはありませんが、もう一つの演目はそうはいきませ。「パリの社交界」というれっきとした設定は動かせないものですから、そこに日本人の歌手が乗り込むというのは相当な勇気が必要とされます。にもかかわらず、「それらしい」雰囲気を作ることに成功した例を、私は知りません。もちろん、この公演でも最初から最後まで違和感のてんこ盛りだったのは、いってみれば当たり前のことでしょう。いくらイブニングドレスで着飾ろうが、その上に紛れもない東洋人の顔が乗っていれば、そこは決して「パリ」にはなり得ないのですから。もっといけないのは、それを演じている人が一生懸命「それ」になりきろうと「努力」していること。なりきろうとすればするほど、彼(彼女)らはどつぼに嵌っていくのです。これは、さっきのドイツ語云々より耐えられないことなのかもしれません。そして、さらにいけなかったのが、広上淳一の指揮。歌手のことを全く考えないで、自分一人で音楽(それも、かなりくさい音楽)を作ろうとしている人には、オペラは振れません。
aventure number : 0558 date : 2005/5/17


今日の禁断 トリビア

 本当に久しぶりですが、「まちがい音楽用語辞典」に新しいコンテンツをアップしました。その更新をしたのはきのうのこと、こういうものが出来るとトップページの「更新記録」のバナーの字がが変わることになっているのですが、なんせ4ヶ月も同じものが出ていたので、まさか変わるわけがないと思いこまれていたことでしょうから、これに気が付いた人はおそらくいなかったはずです。やはり、更新だけはきちんとしておかないと、見放されてしまいますよね。ただ、本編のコンテンツの場合、毎日の「禁断」や「おやぢ」のように、ネタさえあればすぐ出来るものとは違って、ある程度の「学術的な価値」とか「資料としての価値」が備わっていないことには公開に耐えるものにはならないというハードルがありますから、なかなか完成させるまでには時間がかかるということを、ご理解下さい。とか言ってますが、今回の「Take」は、ただ「生きていくためには全く必要のない・・・」というフレーズを使いたいがためだけに作ったようなもの、そんな「価値」はあまり期待できませんが。
 さて、今週はなぜか木曜日が練習日です。ただ、曜日とは関係なく風邪をひいてしまった人がいたために、「ウィンザー」の初見大会は降り番の私が1番を吹かなければなりませんでした。この曲、10年以上前にやっていますが、その時は2番を吹いていたので、1番は初めてです。もしかしたらやらされるかもしれないという予感はあったので、けっこうさらっていたつもりでしたが、いざやってみると出来ないところだらけ、こんな大変な曲だったとは。特に難しいのは、オリエンタルなテーマが出てくるところ、パート譜を見てみたら、フルートとオーボエでは装飾音を付ける場所が違っていて、それがさらにスコア(音友のウニヴェルザール版)とも違っているのを発見、早いとこ、どれかに統一して、一通りだけでさらえるようにしてもらいたいものです。
 交響曲の方は、1、2楽章ですから、フルートにとってはそんなに大変なところはありません。なんといっても第4楽章の大ソリは、かなり手こずることが予想されますし、第3楽章の16部音符も、きちんとやるにはかなり大変なはず、これは次回に身をもって体験することになるのでしょう。しかし、前から気づいてはいましたが、この曲の1番はひょっとしたら2番より吹く時間が短いのかもしれません。そのぐらい、1番が休んでいる間に2番が吹いているという場面が多くなっているのが、ちょっと面白いですね。しかも、1番とは言ってもソロらしいソロはなく、ひたすら縁の下で頑張っているという感じ、なんか「渋さ」が要求される曲ですね。
 先週書いたことが功を奏したわけではないのでしょうが、ヴァイオリンには入団希望者のような感じの若い人が来ていました。そういえば、他のパートにも若いコが入ったようですから、少しは平均年齢が下がるかもしれません。でも、ニューフィルの団員の平均年齢って、分かります?
aventure number : 0559 date : 2005/5/19


今日の禁断 ハウリング

 田植えの済んだ田んぼになみなみとたたえられた水、その水面に映っている爽やかな五月晴れの青さを横目で見ながら、ひたすら高速を走る私の車がありました。2週間前も同じ道を走ったばかりなのですが、今日の目的地は河南町(というか、石巻市)に新しくできたばかりの「かなんホール」です。この前見つけた案内板のところを左折すれば、あとはやはり新しくできた道路に沿っていけば、自動的そこへ着いてしまいます。実物は、写真で見たよりかなり大きなものでした。とりあえず、周りの駐車場や建物の外観などをチェックして、中に入ります。天井から案内の垂れ幕がたくさん下がっていて、ホールと言うよりは展示会場のような雰囲気があります。少し早めに着いたので、中を探検してみると、ここにあるのはホールだけではなく、図書館や調理室、さらに茶室とか、奥の方には体育館と温水プールがあるのも分かります。パソコンを10台ぐらい並べたOAルームみたいなものも、最近は欠かせない設備なのでしょう。そして、建物の中央に鎮座しているのが、パイプオルガンです。
 一応柵はありますが、その気になれば手を触れることだって出来そうな身近さを装い、自動演奏の設備が付いていて、適宜係員がスイッチを入れて、「平均律」(今度は間違えないぞ)かなんかを演奏させるというサービスも。問題は、きちんとした演奏家がきちんとした演奏を聴かせたいと思っても、それを聴衆がきちんと聴くことが出来る環境がないことでしょうか。
 そうこうしているうちに、ホールの方では演奏会が始まります。フルートの瀬尾さんのフル・リサイタル、曲は全て、今まで彼の演奏では聴いたことのないものですから、期待は高まります。そして、その演奏はまさに期待以上のものでした。音はますますなめらかに、高音から低音まで全くムラはありません。そして、作り出される音楽は、ますます深みを増したものになっていました。特に素晴らしかったのが、ライネッケの「ウンディーヌ」。この曲からこれほどの「翳り」を感じさせてくれる演奏は、かつて聴いたことがありません。そして、何よりも完璧なテクニックの冴え、全く安心して聴いていられる超絶技巧には、心から身を任せられるものがあります。ほんと、瀬尾さんのフルートを聴いていて、「幸せ」と感じられる瞬間が何回あったことでしょう。わざわざ遠い道のりをやってきた甲斐がありました。無い物ねだりになるのでしょうが、これで、ピアニストがもう少しセンスのある人であれば、その「幸せ」はもっと大きかったのでは、と思える瞬間も何回もあったことが、ちょっと残念でした。それに比べれば、ホール内で1回とステージ上で1回起こった「事故」などは、些細なことです。
 このホール、変な響きはなくてなかなか良い感じ、終わってから瀬尾さんにご挨拶がてらステージ裏に行ってみたら、いつも指揮練で使っているホールより一回り小さい感じで、ちょっと窮屈ですが充分使えそうな広さはある、と見ました。問題は仙台からの距離、高速を使えば1時間ちょっとで着くとはいうものの・・・。
aventure number : 0560 date : 2005/5/22

05/5/24-6/30