0321(04/3/4)-0340(04/4/8)

今日の禁断 ぽち

 調子が悪かったアクセス解析ですが、新しいところに乗り換えて、2週間ほどたって、どうやら使えそうな感触が得られてきました。これは普通の人でも見られるように公開されていますから、一度覗いてみて下さいな。お馴染み、トップページの「青虫」からリンクされています。これは今まで使ったどれよりも精密、機能も充実していますから、なかなか使い応えがあります。一番面白いのは、解析を行っているページに誰が何回訪れているのかが分かるという機能。もちろん、個人の特定までは出来ませんが、例えばこの「禁断」に初めてきた人が何人、2回目の人が何人というのが、たちどころに一覧表になって出てくるというすぐれもの。ですから、これによって、「禁断」を2回以上訪れているリピーターの数、言ってみれば「常連さん」の人数がかなり正確に分かってきました。ただし、公開されているものでは、解析を行っている個別のページを加算した結果しか見ることは出来ません。それぞれのデータは、IDとパスワードを入力してログインしなければ分かりませんので、そこまで知りたいという方は、ご相談に応じます。もちろん、なにがしかの代償は覚悟せい・・・ひっひっひ(悪代官気取り)。
 もちろん、リンクの「逆探知」も出来ますので、見慣れないリンクがあった時には、そのリンク元に行って確認するのはは日常的な作業です。ある日、今まで全く見たことのないサイトからのリンクが大量にあるのを見つけました。4日ぐらいの間に20件以上のアクセスが、「禁断」に向けてあったのです。早速元をたどったところ、それは私が在籍していた大学の合唱団の、私よりかなり上の世代の人たちが運営しているイントラサイトでした。おそらく、あの東京での演奏会の感想を書いた「禁断」(0315)が誰かの目にとまり、リンクを張ってくれた人がいたのでしょう。イントラですから、パスワードを入手して登録しない限り、その元の書き込みを見ることは出来ません。幸い、その年代と私たちの双方につながりのある人からパスワードを聞くことが出来たので、めでたくログイン、その「伝言板」を見ることが出来ました。そもそもの発端は、あの時書いたアンコール曲「虹につづく道」が演奏されている時に、客席で一心に合掌しながら聴いていた紳士がいて、あれは誰なのだろうということだったのです。そうしたら、その後に「禁断」をリンクした人がいて、「おそらくこの人だろう」ということになってしまったのですね。かなり思い入れが強い様なことを書きましたから、そう思われても不思議ではありませんね。結局、そのイントラでは私は「男声OBの和尚さん」ということになって、みんなが納得してしまいましたよ。まあ、当たっていなくはないのですが、私はいくらなんでも「合掌」はしてませんでしたよ。もちろん「紳士」でもありませんし。
 まあ、一度ネットに流れたものは、思いもよらないような解釈をされてもしかたがないということなのでしょうね。もちろん、私はそこまで見越して書いていますからなんと言われようが一向に構いませんが、その辺の加減が分からない方は、大変でしょうね。例えば、自分が音楽監督を務めるオーケストラの定期演奏会に出演したピアニストを、日記で口汚くののしった指揮者などは、いったいどのように思われてしまうのでしょう。穏健な私でさえ、その方の人格を疑ってしまったほどですから。
aventure number : 0321 date : 2004/3/4


今日の禁断 メート

 きのう書いたイントラ、とりあえず関係したところしか読んでなかったので、もう一度しっかり読み直してみました。そうしたら、ある方が、「リンクされたURLが開けない」と書いているのが見つかりました。つまり、別の方が紹介しているこの「禁断」へのリンクをクリックすると、「このページは削除された可能性があります」という、お馴染みの表示が出てしまうというのです。それに対して、お仲間がその疑問に答えていました。その方は会社のパソコンからアクセスしようとしたようなのですが、そういう場合、勤務中にエロサイトなどを見たりすることのないように、ネットの管理者が、あらかじめそれっぽいサイトを排除するために、フィルターを設定しているというのですね。小学生でもあるまいし、日本の企業人というのは、そこまで信用されていないのでしょうか。というか、おそらく、このようにIT化が盛んに推進されていた時期には、物珍しさも手伝って、仕事もそっちのけでそのようなサイトにのめり込んだおやぢが、各部署で続発していたのかもしれませんね。部長代理あたりが、机にふんぞり返ってにやにやしながら怪しげな写真や動画を見入っている姿には、なにか哀愁のようなものすら感じることが出来ることでしょう。しかし、そんな夢のような楽しみは、長くは続きませんでした。普段は、エクセルあたりをスタンバイさせて、他人が近づいてきたら即座にその画面に切り替えるようにしておくのですが、その女子社員がお茶を持ってきた時には、ついマウスを持つ手元がふるえて、そのあられもない写真がディスプレイいっぱいに広がってしまったのです。「きゃーっ!代理、やらしーっ!ありえない!」。もちろんそれは社長の知るところとなり、彼は左遷、以後、社員が2度とこのようなサイトを閲覧することがないように、怪しげなキーワードが含まれるURLにはフィルターがかけられてしまうことになってしまったのでした。
 本当かどうかは知りませんが、おそらくそんなことがあったのでしょう。その結果、どうやら、企業とか官庁のネットワーク管理者は、大まじめにそのようなことをやっているようですね。ですから、いかに真面目な内容が満載で、お子様にも安心してお勧め出来ると言ってみても、「禁断」とか「あばんちゅうる」といった、いかにも怪しげなタイトル、しかもURLに「kindan」などという単語が含まれるサイトには、まっとうな会社のネット経由では、たどり着くのは不可能に近いのでしょう。そういえば、「愛人」などという、普通の社会人が見たらかなりショッキングに違いない単語も、あちこちで見かけられますしね。残念なことに、大企業のネット管理者にとっては、この極めて有意義なサイトは、エロサイトとしか評価されないのですよ。
 その「愛人」、それぞれに幸せな安らぎの場所を見つけて、私の許から離れていくのは、ちょっと寂しいものです。春、というのはそういう季節なのでしょう。
aventure number : 0322 date : 2004/3/5


今日の禁断 花嫁

 予報通り、今朝の天気は大雪でした。駐車場の車はすっぽり雪に埋まって雪かきが大変、しかも、殆ど吹雪のような感じで、あとからあとから降り続いていますから、またすぐ雪に覆われてしまいます。今日、夕方の指揮者練習は、山沿いの広瀬文化センターが会場ですから、これは大変なことになってしまいました。と言っても、お昼頃にその雪の中を街まで出かけて、駐車場に車を置いて外に出てみたら、いつの間にか青空がでていましたよ。これも確か予報通り、積もった雪も、これではすぐ解けてしまうことでしょう。案の定、「ひな野」でたらふくバイキングを食べて出てきた時には、広瀬通の横断歩道は殆ど水たまりのようになっていました。
 街からの帰りに生協に寄ったら、待望の「青春のメロディーチョコレート」の第2弾が、やっと発売になっていました。なぜか、グリコのサイトではいまだにこの新商品の告知がないので、地域限定なのかどうかは分かりませんが、晴れて、ここ仙台では入手出来るようになったというわけです。
 今回のラインナップは、相変わらずツボを押さえたものになっています。個人的には矢野顕子の「春咲小紅」と、植木等の「ハイそれまでョ」でしょうか。もちろん、私の興味は、それだけではないことは、先刻ご承知のことでしょう。こちらに書いたように、前回の時の「まちがい」をメーカーに指摘したら、「次回は直します」と約束していたので、それが果たして守られていたかという確認が、もっとも大事な関心事なのですよ。確かに、あの時「おかしい」と言った外周の無音溝の向きは、正しいものに変わっていました。きちんと私の指摘を反映してくれていたのですね。でも、本当は、シークレットも含めた全アイテムを送ってきてくれるのが、まちがいを指摘した人間に対する礼儀ではないかと思っているので、そのようなアクションがまるで見られなかったのはちょっと残念な気はします。別にいいけど。同心円はそのままでしたし。
 夕方練習に出かける頃には、道路はすっかり乾いていました。しかし、駐車場はまだ雪だらけ、きっと帰る頃には凍っていることでしょう。会場に入ってみると、そこは何か華やいだ雰囲気。それもそうでしょう。なにしろ、つい最近、全く同じ日に結婚式を挙げたアツアツのカップルが、2組も揃っていたのですから。ともに、「愛人(メート)」として登録されている人たち、彼女たちの幸せは、私の幸せでもあります(何も知らない人が読んだら、きっと誤解するな)。かと思うと別の愛人(メート)は、転勤が決まったので今度の定期が終わったらお別れしなければなりません。それぞれの春、ですね。もう一人、「チャットを始めたから、宣伝してね」というおねだりをしてきた愛人1号も居たりして、ますますあわただしいことになっています。
aventure number : 0323 date : 2004/3/6


今日の禁断 行列

 前回の「青春のメロディーチョコレート」の続報です。と言うか、正確にはチョコレートではなく「おまけ」として付いているシングルCDのことなんですけどね。
 新製品を手にとって最初に見たのは、もちろん外周の無音溝、その他の部分は以前と変わっているわけはありませんから、別にそんなに注意はしていませんでした。と言うより、それはいともさりげない風情でそこにあったものですから、前からあったものと思ってしまったのです。しかし、改めて「第1弾」を見てみたところ、そこにはそんなものはありませんでした。それは、「マトリックス番号」。下の写真で分かると思いますが、内周の無音溝の溝の間に書いてあるアルファベットと数字が、それです。
 「マトリックス」という言葉、キアヌ・リーブスの映画で耳馴染みでしょうが、元々の意味は「鋳型」、LP、あるいはEPレコードを大量に成形する際に必要なカッティング・マスターに刻まれた番号が、「マトリックス番号」と言われるものです。この番号は、製品としてのレコード盤の品番とは別に、そのLPの素性を知る重要なデータとして、マニアの間では知られているものです。ですから、今回「第2弾」を出すに当たって、私に指摘されたまちがいを是正したとともに、本来のEPには必ず付いているはずのこの「マトリックス番号」をきちんと再現したのは、制作者のこだわりの現れなのでしょう。「お見事!」という他はありません。これで、同心円を、スパイラルにしてよりリアリティを高めれば、何も言うことはないのですが。
 話は変わって、0321の最後に書いたちょっと謎めいたコメントの続報です。と言っても、別に目新しい事実があるわけではありませんが、もう少し私の考えをきちんと書いておこうと思いまして。あの「ピアニスト」というのは、先日の仙台フィルの定期で、チン・ウンスクのピアノ協奏曲のめざましい演奏をなさった方。中には「訳が分からない」という人もいたようですが、私には非常に楽しめた演奏でした。もちろん古典的な作り方をされたものではありませんから楽しんで聴くためにはそれなりの感覚のシフトが必要、それも、出来れば日本の音楽大学の作曲科で教えているようなものではなく、もっと自由度の高い、個性豊かなものを受け入れる素地が不可欠になってきます。もっとも、とりあえず、クセナキスとリゲティ、そしてメシアンあたりを日常的に聴いていればそれはクリア出来ますから、そんな難しいことではありません。実は、このピアニストは、そのメシアンを、少し前に行われたN響定期で演奏していました。フォーレのレクイエムがメインのその定期、このメシアンは言ってみれば前座的な扱いでした。しかし、実際に聴きに行った人は、このメシアンに感動、CDは廃盤になっていて入手出来ないのに、CD店ににはこの曲を求める人が殺到したといいます。私もテレビで見ましたが、それはピアノパートに限って言えば、まさに今までのものとは次元の違う名演でした。ですから、私は自分の耳をとことん信じたいと思っています。高名な指揮者兼作曲家のこのピアニストに対するコメントは、したがって、私にとっては何の意味もない戯言でしかありません。
aventure number : 0324 date : 2004/3/8


今日の禁断 サンクス

 もう何回目になるのでしょう、今日も「キャッツ」です。ただ、いつもと違うのは、今回は例の生協の「文化鑑賞会」のための貸し切り、先月は三谷幸喜、今月は「キャッツ」、なかなか侮れないチョイスではありますが。ですから、客層としては、自分の意志で「キャッツ」を見に来る、という人よりは、「こういうスケジュールになっていたから、とりあえず来てみた」という人が多いはず、いつもとはかなり違っているのは十分予想されることでした。果たせるかな、すぐ後のおばちゃんたちは、まさに三谷幸喜の時のノリ、やはりお茶の間でテレビを見ている感覚でおしゃべりしあっている、という風情でした。
 もちろん、生協の会員とはいっても、若い人もいるのですから、一概に決めつけることは失礼極まりないことなのでしょうが、ミュージカルが進んで行くにしたがって、この観客は、いつもの観客とは明らかに異なった反応を示していることがはっきりしてきました。役者が観客のすぐそばに近づいてくるというような、分かりやすい演出には、思い切り派手なリアクションを示すのですが、肝心の拍手のタイミングなどが全く違っているのです。ですから、そこで拍手はないだろうというのがある反面、本当に必要なところで拍手が起こらないので、盛り上がらないことといったら。なにしろ、1幕の終わり、グリザベラの「メモリー」が終わっても、全く拍手が起こらないのですから、これは異常ですよ。
 そのグリザベラ、やっとまともな人が出てきてくれました。最低、このレベルは維持して欲しいという「メモリー」、今まで聴いてきた人は、いったい何だったのでしょうか。その他にも、しばらく来てなかったうちに別の人に変わっていた役が結構ありました。このように、同じ役でも別な人で味わえるというのが、ロングランの妙味なのでしょう。それがよいか悪いかは別にして。
 結局、必ず手拍子が入る「汽車の歌」でも全くおとなしいまま、そこで、常連ぶっている隣の愚妻は、意地になって一人で手拍子をすることになります。しかし、まわりが誰も乗って来ないのではただ浮いてしまうだけ、私としてはひたすら他人のフリをするしかありませんでしたよ。ほんと、恥ずかし。そんなノリですから、カーテンコールも最短のバージョン、今までだとしつこいぐらい繰り返して出てきたものが、いともあっさり終わってしまったので完全に拍子抜けです。しかし、この辺の判断はどの段階でなされるものなのか、聞いてみたいものです。拍手が何デシベル以上だとカーテンコールは3回を超えるとか。あるいは、「生協の貸し切り」というだけで、あっさり終わることが決まっていたとか。
 県民会館の帰り、コンビニによって、新発売の「辛口」ジンジャーエールを買ってみました。カナダドライの新製品、最初から期待はしてはいませんでしたが、確かに色は濃いものの、どこが辛口?という感じ。ウィルキンソンとは似ても似つかない味、あの「ブラックジンジャー」にすらはるかに及ばない甘ったるさでした。
aventure number : 0325 date : 2004/3/11


今日の禁断 ギター

 「のだめ」の第8巻が出ました。二ノ宮先生の日記では「13日発売」ということだったので、その日が来るのを指折り数えて待っていたというわけ(いつからそんなファンに?)。ところが、明日になるのが待ちきれなくて、帰りがけに本屋に寄ったら、「本日発売!」のコーナーに平積みになって置いてあるではありませんか。ラッキー。その本屋さんはいつも買っている大きなところではなく、個人商店のような小さなお店、マンガの品揃えも決して充実してはいません(「自虐の詩」は売ってませんでした)。そんなお店でも堂々と20冊ぐらい並んであるということは、もはやこの作品が「クラシック・ファン」という狭い世界の中だけのものではなく、広くメジャーな読者を獲得したという証なのでしょう。最初にこのマンガを我々に知らしめてくれた「はんた」さんの目は確かでした。
 「みなとみらい」そっくりのホールで開かれた千秋のオーケストラのコンサートがまさに始まるというところで、第7巻は終わっていました。というか、そんなことはもうすっかり忘れていたのですが、8巻はそこからの始まり。なんと言ってもメインはブラームスの1番、もちろん、「サントラCD」にあるようないい加減な演奏ではなく、きちんと全楽章カット無しで演奏されていましたよ。余談ですが、あの大顰蹙もののCDの汚名を晴らそうと、別のレコード会社が「2」を制作するかもしれないという噂をピロートークで夢うつつで聞いたという話を聞かされた知人のメールを転送してくれた友人がいたようないないような(結局、何の根拠もないただの噂だということですが)。
 話はいきなり飛びますが、その「1」を出した東芝EMI、その会社の社是ともいうべき「コピーコントロールCD」から撤退する意向を表明したようですね。これは、さっきの「2」の情報よりははるかに信憑性がありそうで、実際に最近の新譜ではもはや「コピーコントロール」仕様の製品はなくなっているといいますから、信じて良いのではないでしょうか。「不正なコピーを防ぐため」といっても、そのために音質を犠牲にするのでは何にもならないのは、最初から分かっていたこと。それを、例の「Let It Be...Naked」で、メーカーは骨身にしみて知ることになります。心あるユーザーはコピーコントロールの国内盤などには見向きもせず、ノーマルな輸入盤を購入したのでしょう。2000年に出たベストアルバム「1」(これはビートルズ)が国内盤で330万枚も売れたというのに、あれだけ大がかりなキャンペーンを張ったこの「...Naked」の国内盤は「たったの」80万枚しか売れなかったのですから。そもそも、このシステムでは相変わらずコピー自体が防げないということが分かってしまっては、何の意味もなくなってしまいます。コピーコントロールの最後の牙城エイベックスが陥落するのも、時間の問題でしょう。
 そのエイベックスがサントラを出すことはあり得ない「のだめ」に戻って、最後には何とのだめがコンクール(のだめ語だと「コンクル」)で本選まで進むという、それこそあり得ない展開、その結果は9巻にお預け(私は知ってますが)という絶妙の配分、二ノ宮先生は、単行本になるペースを考えつつ、連載を進めておられるのでしょうか。
aventure number : 0326 date : 2004/3/12


今日の禁断 牧師

 ビデオで撮っておいた映画やコンサートは、相変わらず増えるに任せています。DVDレコーダーなどという保管に場所をとらない便利なものもかなり普及してはいますが、結局見る時間がなくて放っておくだけでは、ハードディスクもすぐパンクしてしまうことでしょう。とりあえず時間があればまず映画を見るようにしていますから、オペラなどを見られるようになるのはいったいいつのことでしょう。誕生日のプレゼントにもらった「トリスタン」のDVDも、2幕まで見終わったところで中断しているぐらいですから。
 しかし、一昨日の深夜に放送されたオペラだけは、何としても早いところ見ておこうととりあえず半分ぐらい見てしまいました。それは、毎年のお楽しみ、「メルビッシュ音楽祭」。珍しいレパートリーですが、まず裏切られることがないので、こればかりは何を置いても見ることにしているものです。ご存じのとおり、湖の畔で行われる野外の公演ですから、当然PAが大々的に使われることになります。もしかしたら、客席で聴くよりも、テレビで見た方が音のバランスが良いのではないかという気にもさせられて、それも見たくなる理由なのでしょう。今年の放送では、映像の方でもさらに今までよりグレード・アップがなされているようでしたし。それは、ステージ上でステディ・カムを使っていたこと。もしかしたら今まで気が付かなかっただけなのかもしれませんが、歌手が歌っている後からカメラが近づいて客席を映し出したのにはびっくりしてしまいました。このステージだから出来ることで、普通のオペラハウスでは絶対できっこない、歌手のアングルからの映像を見ることが出来るのですから、これは凄いことをやったものです。しかも、もっと凄いのは、そのステディ・カム自体は絶対に他のカメラには入らない絶妙のスイッチングがなされていることです。私はこういう時のあら探しが大好き、余計なものが画面の中に入っている時は決して見逃さないだけの良い目を持っているつもりです。コンサートの映像でステージ上にカメラがある場合には、どんなことがあっても探し出そうとしている自分があります。その私が見つけられないというのですから、これは相当のものだと思わざるを得ないわけでして。
 その、レハールの「ジュディッタ」というオペレッタ、肝心の主役のジュディッタを歌った人が出来が悪くてちょっとガッカリしましたが、その他は問題はなく、いつものレハール節を存分に楽しむことが出来ました。
 映画で最近見たのは「サイン」。「シックス・センス」と「アンブレイカブル」の流れを期待したのでは見事に裏切られてしまうのは、公開時の批評で分かっていたのですが、まさかこれほどのものだったとは。というか、この裏切り自体が、シャマラン監督の狙いだったのでしょうね。タイトルの「サイン」が、実は複数形だったのも意味のあること、その裏の意味の「サイン」つまり、神の啓示にはたと気付いたメル・ギブソンが、一度は捨てた神への信仰を取り戻すというのがこの作品のテーマ、ミステリー・サークルやら宇宙人は添え物に過ぎないという、とんでもない世界でした。
aventure number : 0327 date : 2004/3/14


今日の禁断 ロンドン

 0324で書いた「マトリックス番号」の件は、早速「まちがい音楽用語辞典」の「グルーヴ」のページに「再追記」ということで書き込みを行いました。しかし、せっかくあそこまで「マトリックス」に関する蘊蓄を披露したのですから、この「禁断」の場だけにとどめておくのは惜しいと思い、やはり0313で書いた、今度はCDの原盤の違いのネタも織り交ぜて、一つのコンテンツを作ってしまいました。それがこちらです。ただ毎日ダラダラとしょうもないことを書き連ねている「禁断」ですが、こうしてちゃんとしたコンテンツになってみるとまたひと味違った風格が出てくるから、面白いものです。
 実際にLPレコードに慣れ親しんだ幼年時代を過ごしていますから、多分、普通の人よりはLPに関する知識はあるのではないか、と思っていたのですが、いざ、こういうまとまったものを作ろうとすると、肝心のLPの製造工程については、断片的な知識しか持っていなかったことが分かってしまいました。そもそも、カッティングしたものから最後のLPが出来るまでに、何回金型を作るのかというあたりからして、うろ覚え。これではとてもきちんとしたものは出来るわけはありませんので、ちゃんと調べてみましょう。ところが、ネットで調べてみても、あまりたいした知識は得られません。通り一遍のことしか書いてないものが殆ど、これではあまり参考にはならないな、と思い始めた時に、偶然、素晴らしいサイトに出会いました。そこでは、私が知りたかった製造工程が完璧に説明されていただけではなく、私が今まで全く知らなかったマトリックス番号の解読方法まで詳しく紹介されていたのです。早速、そのサイトの情報も織り込んで、ちょっとマニアックですが、かなり満足のいくものが出来上がりました。
 そして、このサイトも「参考サイト」ということで紹介して、リンクを張らせてもらいました。そこで、一応お断りをしておこうと先方にメールを出したところ、すぐ返事が来て、リンクされたことのお礼とともに、先方からもきちんとリンクを張ってくれたのです。そちらのリンクのページに行ってご覧になれば分かりますが、なかなか嬉しくなるような紹介文、バナーもきちんと作ってくれていました。今まで、いろんな方とリンクを張り合って来ましたが、こういうリンクは、私にとってまさに理想的なものです。お互いに相手の知識を参考にさせて頂きつつ、しっかり相互リンクでつながりを持つという、一つの信頼関係が、ネットを通して生まれたのですからね。醜い日記を見つけてしまったり、あらぬ疑いを掛けられて罵倒されたりと、最近、ネットに関して不愉快なことが多かったので、これは本当に嬉しくなる出来事でした。
 そんな、人を不愉快にさせるような人は一人としていないニューフィルの練習は、しかし、欠席者が極端に多くて、ちょっと拍子抜け。皆さんの手篤い看護(?)のおかげで、私の喉の調子もやっと普通の状態に戻ったというのに、今度は、あっチャンが風邪でお休みですって。久しぶりにブラームスを代吹き、「ドン・ファン」と一緒に吹くのがどれほど大変なことか、身をもって思い知らされた春の宵でした。
aventure number : 0328 date : 2004/3/16


今日の禁断 急告!

 今日の4時頃、私がテレビに出ていたようですね。仙台放送の「ヨジテレビ!」で、一番町を歩いている私の姿がアップになって映っていたと、教えてくれた人がいました。これで「とても素敵でしたよ」などという感想が一緒だったりしたら有頂天になるのですが・・・。確かに、土曜日に愚妻と一番町に行った時に、仙台放送のクルーがカメラの準備をしていましたね。帰り道に同じ場所を通ったら、そのカメラがスタンバイ、それだけではなく、女性レポーターが肩にCCDを乗っけて歩いていたので、ちょっと珍しげにそちらを眺めていたのかもしれません。別にインタビューされたわけではないので、まさかオンエアされるとは思っていませんでした。本人の知らないうちに、仙台中の人が私の姿を見ていたんですね(違うって)。
 これは別に私のイメージダウンになるものではないので、結構なことなのですが、最近のウィルスメールは困ったものです。他人のアドレスを騙ってウィルスを送りつけるメールがあるのは知っていましたが、まさか、本人のところに私からと思えてしまうメールが届くとは。誰かのアドレス帳から私のアドレスが流れたのでしょうが、皆さんも気を付けてください。そのメールはタイトルが「Re:product」というもの。このような返信を装ったもので、添付ファイルが付いたものは、即刻削除してください。私が出す時には、きちんと日本語でタイトルを付けますので。こういうことがあると、本当にやりきれない気持ちになります。コンピュータ社会というものは、確実に人間の良心を麻痺させていくものなのでしょう。
 ところが、知らないうちにとてもラッキーな目にもあったりしますから、まだ世の中、捨てたものではありません。実は、この間行ったばかりなのに、またまた「キャッツ」を見に行くハメに。つまり、殆ど中毒状態の愚妻がチケットを買ったはいいが、別の用事が入ってしまって行かれなくなり、私に代わりに行ってくれと言うのです。「質より量」ということで、買ってあったのは一番安いC席の、さらにマチネで、1枚2100円、これだったら別に無駄になっても良いようなものですがね。
 そこは、2階席の一番端のバルコニー、前列、内側から5番目の席でした。席を見つけて荷物を置こうとしたら、後から「○○さんですか?」と声がかかりました。振り向くと、それは劇団四季のスタッフの女性。何で私のことを知っているのだろうと思ったら、「○○、○子さん」と、愚妻の名前を告げました。つまり、会員である愚妻のIDでオンラインで買ったチケットだから、名前が分かったのですね。そして、「この席は視界が悪いので、別の席をご用意させて頂くことになりました」と言って、そのまま、2階席センターの一番前、11550円相当のS席に案内してくれたではありませんか。ここは、ステージを見る上ではまさにベストの位置ですよ。2100円でこんなところに座れるなんて。ところが、あとで、私が座るはずの席を見てみたら、別の人が座っていましたよ。と言うことは、おそらくダブルブッキングだったのでしょう。それで、席のそばにスタッフが待機していて、声を掛けたのでしょうね。こんなのも、「四季の会」の特典?
aventure number : 0329 date : 2004/3/18


今日の禁断 カナダドライ

 まるで冬のような冷たい風が吹くお彼岸の中日でした。それでも、私の職場は多くの人で賑わっています。しかし、私のちょっとした誤算のお陰で、その人たちは希望の飲み物が買えなくなって途方に暮れていたのです。つまり、そこに置いてある自販機の中身が、殆ど空っぽになってしまったのですよ。不景気の波はこのような業界にも及んでいて、今までは毎週定期的に電話で注文を聞いてきたものが、今年からは2週間に1回になってしまいました。冬場はそんなに売れるものではないので油断をしていたら、注文のタイミングを逃してしまってお彼岸には補充が間に合わなくなってしまったというわけ。今日のお昼には、倉庫にいっぱいあった在庫品もすっかりなくなってしまいましたよ。売れ筋の「○ろ茶」などはもはや1本もありません。いい機会ですから、こうなったら、もはや終売になってしまった「○コ」とか「ザ・○ィー」や、普段はあまり売れない「○健美茶」を一掃してしまいましょう。
 在庫管理は苦手でも、「おやぢギャグ」に関しては自他共に許す使い手だと思っていました。そんな私が、全く気が付かなかったなんて。あのテレビコマーシャル、損害保険のもので、パンダの着ぐるみの女の子がお店の中をウロウロしているというのがありますね。別のところに座った人が「あ、損保ジャパンだ!」というだけ、なぜここにパンダがいるのか、私には全く分かりませんでした。そのシュールなたたずまいからは、「不条理」などという言葉も、頭をよぎったものでした。しかし、最近これは「損保ジャパンだ」という、単なるおやぢだと知らされたのです。いやぁ、そんな簡単なことだったなんて。まさに目から鱗が落ちたという感じ、やられました。何か、盲点をつかれた思いです。おそらく、これを作った人は、ほんの軽い気持ちで、誰でもすぐ分かると思ってこのコピーを考えたのでしょうね。もちろん、それがすぐ通じた人もいたのでしょうが、私のようなある意味「達人」になるとそうそう素直には入ってこないのでしょう。実は、私のまわりでも、これを聞いて「ああ、そうだったのぉ」といっている人がいましたから、結構気が付かなかった人が多かったのではないか、と思っているのですが。
 これが、専門のCDのことなら、他の人が気付かないことでもすぐ発見してしまって、業界を混乱の渦に巻き込んでしまったりするのですけどね。今日発売になった「レコ芸」の○ニバーサルの広告の中に、前にネット版をご紹介した例のゲルギエフのショスタコの9番にあったトラックのミスのことが、「お詫び」という形で発表されていましたよ。「トラック8の位置が違っており、直接トラック8を選曲すると交響曲第9番第4楽章の途中からスタートしてしまう。なお、全曲を通してお聴きいただく場合は、何ら支障なくお聴きいただけます。」というもの。相変わらず後半の文が言い訳っぽくていいですね。こんな広告を出すことになったのも、全て私のせい(お陰)なのですが、もし気が付いていなかったら、どうなっていたのでしょうね。永久に誰も気付かなかったりして。
aventure number : 0330 date : 2004/3/20


今日の禁断 サンバ

 最近ニューフィル内は結婚ラッシュ、そのうちの一組の披露パーティーが、今日の5時から開かれることになっていました。いよいよ、というか、やっと、というか、このお二人のご結婚については前々から楽しみにしていましたから、嬉しさもひとしおです。ところが、こういうものには最近はとんとご無沙汰、数年前のしできさんの時の二次会に行ったきりですから、服装一つとってみてもどのようにすべきか、なかなか判断が付きませんでした。新婦は「いつも通りでいいですよ」と言ってくれてはいたのですが、やはりこういう場だと、普通はスーツ、いくらなんでもジーンズにセーターではまずいでしょう。しかも、会場は「アントレッフェン」という、格調高いお店、一度ランチを食べに行ったことがありますが、昼間ならいざ知らず、ディナーで平服というのは、ちょっと憚られます。
 着慣れないスーツにネクタイを締めてお店に入った途端、この服装にしてきて本当に良かったと、心から思いました。来ていた男性は、例外なくスーツ姿だったのですから。もっとも、あらかじめ覚悟はしていたのですが、しできさんあたりに「Y江さん、何ですか、ネクタイなんか締めて」と言われてしまうということは、普段見慣れている人にとっては私のこの格好がいかに浮いているかということになるのでしょう。仕方がありませんね。
 始まる前に、りっちゃんが来た人を一人一人ポラロイドで撮って、それにメッセージを書き込むということをやっていました。私は、たまたま地下鉄で一緒になった9号と一緒に撮ってもらい、「愛人をたくさん作ってください」と書き込みました。このぐらいのジョークは、もちろん新郎新婦には通じることでしょう。
 パーティーは、この二人を交えたアンサンブルなどを聴きつつ、おいしい料理に舌鼓を打つという楽しいもの、そして、本日のハイライト、ケーキカットの始まりです。最初、新郎のナイフの持ち方がなんだかぎこちなく見えました。見ると両手でナイフを持って、新婦がそれに手を添えるという感じ、これではなんだか不自然です。そこで思い出したのが、はるか昔、おそらくここにいるメンバーの中ではその時は3人ぐらいしか出ていなかったはずの、別の団員の、やはり団内結婚のパーティーです。今と全く同じことをやっていた新郎に向かって、結婚したばかりの別の団員が言ったのは、「片手で新婦の腰を抱いて、片手でナイフを持つんだよ」。それと全く同じことを、この私がやることになろうとは。
 お二人が選んだ招待客の中には、久しぶりに会う人もいて、とても素敵な一時でした。その後行った二次会も含めて、久しぶりに心から楽しむことが出来ました。実は、私にとって、こんなに自然に振る舞える飲み会というのはほんとに久しぶり、余計な気を遣わなければいけないような人など一人としていなかった会に参加できたのは、この温かいお二人のお陰です。
aventure number : 0331 date : 2004/3/21


今日の禁断 スマート

 けさがた、トップページのカウンターが遂に27万になりました。いやぁ、さすがに早いですね。カウンターの設置方法を少しいじったら、一月で1万行くようになってしまいましたよ。同時に、やはり今日、「おやぢの部屋」独自のカウンターも5万を超えてしまいました。同じ日にキリ番を迎えるなんて、何と素晴らしいことでしょう。プラスマイナス10カウントぐらいの方、いませんか〜。
 こうしてアクセスが増えるのは、もちろん結構なことなのですが、ここに来訪している方が、全部が全部楽しむためにやってくるのではないということは、十分注意しておく必要があるでしょう。そんなことはあり得ないのですが、私が何か悪意を持って書いていると信じ込んでいる人が、そのような記述がないか、重箱の隅をほじくるようにチェックするという、およそ楽しみとは全く反対の目的でチェックしに来る、笑うに笑えない状況があるわけでして。そんなことは時間の無駄でしかありませんから、やめた方がいいと思うのですがねえ。
 そんな、非生産的なこととはまさに正反対の、定期演奏会の本番まで、あと1ヶ月を切ってしまいました。来週の週末には岩村さんが来て、そのまま本番になだれ込むというモードに入ります。そこで、最後の管分奏が、今回は黒松の市民センターで行われることになりました。多目的ホールというその部屋は、確かにピアノが置いてあったり、壁に吸音材が貼ってあったりと、音楽の練習には適しているように見えますが、実際に音を出してみると、天井が低いせいかちょっと響きすぎて、大人数のアンサンブルにはちょっと辛いものがあります。なによりも、防音対策が何一つとられていないために、隣の部屋に音がまるまる抜けてしまいます。今日は、何とその隣の研修室という、ほんとにただの教室のような部屋で、別の管楽器のグループが練習していましたから、その音もこちらにそのまま聞こえて来るという、最悪のコンディションでした。こっちで「魔笛」をやっている時に、隣から「世界に一つだけの花」が聞こえてくるのは、何かシュール。余談ですが、私は、最近もっともヒットしたというこの曲が大嫌い。あの押しつけがましい歌詞には到底ついて行けません。近頃感じるのは、こういう歌での歌詞の醜さです。ただ言葉を並べれば歌が出来ると思いこんでいる人たちには、本当に美しいものを作ることは出来ません。・・・と、脱線してしまったのは、もう3ヶ月以上前のことなので、すっかり忘れていましたが、この会場を予約したのが、実は私だったから。あの時、会場係の6号が「ネットがつながらないの。私忙しいから、電話してくださる?」と言ってきたので、大して考えないで、木管だけでは使ったことのあるここを予約したのでした。
 なにはともあれ、特に「魔笛」をじっくり合わせられたのは、なかなかの収穫だったのではないでしょうか。
aventure number : 0332 date : 2004/3/23


今日の禁断 ピンクパンサー

 今や、「ボンド」も真っ青なエレキヴァイオリンのソリストとしてデビューした1号様から、突然メールが届きました。「エーデルワイスの英語の歌詞を教えてくださいませんか」という、なんとも唐突なお願いです。なんでも、お仕事でぜひ必要なのだとか。しかし、私にとって、このお願いは大して難しいものではありませんでした。彼女は私が何か参考資料を見てくれることを期待したのでしょうが、そんなものがなくても、私はこの曲の英語の歌詞を完璧に憶えていたのです。自分でも驚いてしまうのですが、こんな、何年も前に憶えたものがすぐ出てくるなんて、ちょっと凄いですね。ただ、得意になってその歌詞を送ったあとも、ちょっと最後の行に違和感があるのが気になっていました。そうしたら、それから2時間ほどしたら、その正しい歌詞をすんなり思い出してしまいましたよ。それで、その訂正を送ってあげたら、彼女は「2番も教えてくださる?」ですって。確か、この歌は1番の歌詞を2回繰り返して歌っていたはず、それを確かめるために、家にあった「サウンド・オブ・ミュージック」のビデオをチェックです。「エーデルワイス」が歌われる場所は分かっているので、その2箇所をすぐ探し当ててみてみたら、やはり私の記憶は正しく、歌詞は1番の分だけしかありませんでした。2コーラス歌っていますが、歌詞は繰り返しているだけです。
 思いがけず、ビデオを出してみたので、ついでにその部分の前後もちょっと見てみました。最初に公開された時から見ている作品、その頃から、ちょっと胡散臭いところのある映画だとは思っていたのですが、それ以後の本当に素晴らしい映画や、ミュージカル、オペラなどを体験してしまったあとでは、もはやその欠点は覆い隠すことは出来ません。何回も書いていますが、そもそもオリジナルのミュージカルからして、極め付きの駄作、「エーデルワイス」こそ良くできた曲ですが、「ドレミの歌」の投げやりな歌詞、「私のお気に入り」のとんでもないメロディー(コルトレーンが愛用したのは、その不自然な跳躍にモチーフとしての未熟さを感じたからに過ぎません)・・・。映画化に当たって、ロケがザルツブルクで行われたのは有名な話です。そのオープニングのアルプスの空撮から、ジュリー・アンドリュースにクローズ・アップしていく、「感動的」といわれているシーンも、私にいわせればロバート・ワイズがその前に作った「ウエストサイド物語」の完全な二番煎じ、いくら気に入ったアイディアでも、同じことを2回繰り返してしまっては、鬱陶しいだけです。
 ジュリー・アンドリュースのわざと音を外す見え透いたウケ狙いの歌にも、腹が立ったものでした。今年のアカデミー賞の授賞式で、夫ブレイク・エドワーズの特別賞受賞を見守るために臨席していたアンドリュースその人の前で、司会のビリー・クリスタルは、見事にこの歌い方をパロっていましたっけ。
 その「エーデルワイス」の歌詞、果たして1号様のお仕事のお役には立てたのでしょうか。いくらなんでも、宴会の余興なんかに使われた、などということはないですよね。
aventure number : 0333 date : 2004/3/25


今日の禁断 カジモト

 回転ドアというのは、昔は人が押して動かしていたものですよね。大きなホテルとか、かなり格式の高いホールなどの入り口がこれになっていて、ちょっと気後れするような、というか、「貧乏人は通るな」みたいな堂々たる貫禄がありました。私が最初にこれに遭遇したのは、日比谷の日生劇場、このドアを通るだけで、何か上流階級への世界へ踏み込んだような気になりました。確か、ホール内のスタッフもきちんと白手袋に礼服で出迎えていたはずです。もちろん、この頃の回転ドアは取っ手が付いていて、人が押して通るもの、機能性ではなく、あくまでも格調の高さを演出するものだったのでしょう。
 一昨年、初めて東京オペラシティに行った時、その回転ドアが一人で動いているのを見て、びっくりしてしまいました。人が押さなくても動くなんて、いつの間にこんなに進歩してしまったのでしょう。と同時に、そんな大きなドアが回転しているスペースの中に入っていくのには、少し勇気がいりました。まるで、あのエスカレーターに初めて乗った時のよう、田舎者にはかなりショックなものです。もっとも、いまだに下りのエスカレーターで最初の一歩を踏み出す時には、右にしようか左にしようか一瞬ためらってしまいます。ただ、最近の回転ドアが自動なのは、ビル内の気密を保つという、別の目的もあるのだそうですね。いずれにしても、オペラシティで私が感じたある種の恐怖感が現実のものになろうとは。文明というか、科学というものは、決して手放しで喜んではいけないことは、実はかなり以前から分かっていたことなのですが。
 科学によって大量の観衆を動員することを可能にした映画の場合も、ビジネスとして必要以上に多くの興行収入を上げなければいけなくなった時から、物語の質は二の次、とにかく客を集める方策に走るという道を突き進むことになりました。今日テレビで見た「13ゴースト」などでは、そのためにとことん仕掛けにこだわって、見るものを決して飽きさせることはありません。舞台となった幽霊屋敷のセットが、とにかく手がかかっています。機械仕掛けで屋敷全体がさまざまな動きを見せるのも、大半はCGなのでしょうが、圧巻です。ただ、あまりにリアリティがありすぎて、肝心のホラーとしての「怖さ」には欠けていましたっけ。弁護士がガラスで体を2枚におろされるシーンも、残酷というよりは、なにかユーモラス。
 この中で、この屋敷を造った人として出演していた「幽霊ハンター」の顔が、どこかで見たことがあると思っていたら、「アマデウス」でサリエリを演じていたフランク・マーリー・エイブラハムだったのですね。あの時アカデミー主演男優賞を取ったにしては、それ以後あまり私の目には止まってはいなかったので(1本ぐらい見ましたが)どうしたのかと思っていたところでした。そういえば、モーツァルトのトム・ハルスは、今は何をしているのでしょう。この人も、「ノートルダムの鐘」での声優としての仕事ぐらいしか、私には思い当たりません。
aventure number : 0334 date : 2004/3/28


今日の禁断 泉ヶ岳

 いよいよ「天花」が始まりましたね。NHKの朝の連ドラ、楽しみです。なんて、普段はこんなもの見向きもしないのですが、やはり仙台に住んでいるとなにかと露出が多いものですから、ついつい気持ちが向いてしまって。そうなのですよ。このドラマは仙台が舞台、他の地方に住んでいる方には殆ど想像できないかもしれませんが、地元でのこのドラマに対する盛り上がりには、ちょっと異常なほどの熱気がこもっているのです。もう半年以上前から、街には大量のポスターが張り巡らされていましたから、このタイトルの文字面はしょっちゅう目に入っていました。しかし、この読み方が「てんか」だったなんて、思いもしませんでしたよ。「てんはな」か「てんばな」あたりだと思いこんでいたのは、「てんか」と言ったら「天花粉(てんかふん)」がすぐ連想されてしまうからです。知ってます?天花粉。赤ちゃんのおしめを替える時に、ムレないようにあのあたりにはたきつける粉、つまりベビーパウダー、確か「シッカロール」という名前でも呼ばれていたものです。今ではもはや誰も使わない天花粉と同じ読み方なんて、いくらなんでもダサいとは思いません?
 それはともかく、放映が近づくにつれて、この地方には徹底した番宣攻撃がかけられます。そこで知ったのは、七夕のシーンを撮影するために、わざわざ一番町の商店街の一角に七夕飾りを作ったのだということ。七夕の開催中にロケをするのなら分かりますが、10月に、この撮影だけのために例の吹き流しやらの竹飾りを、町内総出で設置したというのですから、すごいものです。そして、極めつけは放映開始の前日、日曜日の「新撰組!」の前の時間枠40分を使い切っての特集(もちろんローカル)番組です。そこでは、ロケに参加したエキストラの人々が、実に嬉しそうにドラマへの期待を語っていましたね。しかし、それで驚いていてはいけません。なんと、放映が始まった月曜日には、定時のニュースで「『天花』が始まりました」と、真面目な顔で「報道」しているのですから。そう、これはもはやドラマなどではなく、地元の期待を一身に集めたイベントなのですよ。とても無関心ではいられない事情、分かるでしょう?
 しかし、目的はひたすら地元の紹介、ドラマとしての内容などさらさら考えられていないのは、1回目の放送を見るだけで分かります。あの二人は、根白石の竹藪から定禅寺通りまで、切った竹を歩いて運んできたようですが、その道のりを車で行ったことのある私には、それはとてつもない苦行のように思えてしまいます。
 などとしょうもない突っ込みを入れたりすると、「天花」のファン(天花ファンだ)が多いニューフィルの中では石をぶつけられそう。でも、年度の変わり目で出席者が少ないため、管にはかなりの代吹き(だいぶき)が入っていましたが、それをネタにして「代吹き・・・だいぶ、気になりますね」などと、あっチャンでさえ全く気付かないようなおやぢをかますぐらいの指揮者だったら、あるいは喜んでくれるかもしれませんが。
aventure number : 0335 date : 2004/3/30


今日の禁断 4月1日

 吉田秀和先生は、私にとって殆ど神様のような存在でした。音楽を聴き始めた時から、その深い洞察に裏付けられた評論には、多くのことを教えられてきたものです。なによりも、テレビやFMで何かをおっしゃっている時の明晰な語り口は、まるで深い教えを説く高僧のようなたたずまいだったことは、今でもまざまざと思い起こされます。特に、ドイツ語の発音の素晴らしかったこと。そこには、確かに本場ドイツでの音楽を身をもって体験してきた人だけが持つ、真の共感を呼ばずには置かない説得力が宿っていたのです。このような、ある種知的なひらめきを感じられる評論家というのは、最近は全く見られなくなってしまいました。いたずらにデータを並べるだけで、美しさを伝えるすべを知らないK氏や、自身の主観だけで全ての人を納得させられると信じて疑わないU氏などは、その両極端の代表、主観と客観をバランス良く配し、なおかつ深みのある文章で読むものを楽しませることの出来る人など、もはや出てこないのかもしれません。
 大学生の頃、先生のお姿を間近で拝見する機会がありました。それは、先生の解説で進められるレコードコンサート。会場はヤマハの6階ホール、そこに最新のオーディオ機器を持ち込んで、出たばかりのレコードを聴くという会です。しかし、開演時間になって、お客さんが待っているのに、なんでも東北線(その頃、新幹線はまだありませんでした)が遅れているとかで、先生は到着しません。時間つなぎに、ヤマハの人がその時に使う装置の説明を始めました。レコードプレーヤーが、その頃発売されたばかりのマランツのリニア・トラッキング・アームを持つ製品。トラッキング・エラーが発生しないということで画期的な発明のようにもてはやされたものですが、結局昔ながらの長いアームに取って代わることはありませんでしたね。もしこれが主流になっていたならば、今のヒップ・ホップのシーンも少し変わっていたかもしれません。なんて、そんなことで間を持たせているうちに、先生が到着されたという知らせがもたらされました。そこでヤマハの人が言ったのは、「先生はたった今こちらに着かれましたが、旅の埃を落とすために、ちょっとお顔を直されています」。うーん、さすが、一流の評論家は、まるで芸能人のように身だしなみにも気をつかうのだな、と、その時変な感心をしたことを今でも憶えています。
 私が先生のお名前をもじって、「吉田ヒレカツ」というペンネームで演奏会のレビューを書き始めたのは、もちろん先生の影響です。名前だけではなく、文体も似せて書けば、少しは先生の持つ格調の高さが込められると思い、「似てない」といわれるのを承知で、極力精神だけは真似をしてみようと試みました。「型より入って、型よりいでよ」という境地に達することは、果たしてあるのでしょうか。
 昨年奥様を亡くされてからは、新聞や雑誌の連載を全てやめられていたので、心配はしていました。しかし、朝日新聞では待望の復帰を果たされ、最近は新国でかくしゃくとした姿を目撃したという情報も得ていたので、ホッとした矢先です。先生はかぞえで92歳でした。
aventure number : 0336 date : 2004/4/1


今日の禁断 ウィーン

 ニューフィルで昔一緒だった仲間から、メールが届きました。Oさんというそのヴァイオリン奏者は、ニューフィルの創立時からのメンバー、ただ、お仕事の都合で、私が入った時にはもう退団していたのですが、しばらくしてまた入団して、数年間一緒だったでしょうか。彼が中心になって、毎年暮れに「忘年パーティー」というものを開催していたのが、一番の思い出です。旭ヶ丘のホール内にオードブルや、もちろん飲み物なども持ち込んで開かれるパーティ、そこでの目玉は団員のアンサンブル合戦でした。色々な楽器の組み合わせで、気の合う仲間同士がアンサンブルを組んで、即興で(中には、しっかり仕込んでいたグループもありましたが)演奏を披露するというものです。自分の楽器だけではなく、確か、ハンドベルの合奏などもありましたね。弦楽合奏の指揮者をかってでた人が、老マエストロの真似をして盛り上がったり、なかなか楽しい会でした。結局、Oさんがニューフィルからは遠ざかってしまったため、この催しは立ち消えになってしまいましたが、オーケストラの団員ならではのマニアックな側面もあったこんな和やかな試みが、今では企画の話さえ起こらないというのは、ちょっと寂しい気もします。おそらく、あの頃のニューフィルと今のニューフィルとは、全く別の性格の団体になってしまっているのでしょう。
 Oさんは、「かいほうげん」にも頻繁に投稿してくれました。この会報の意義というものを深いところで理解してくれていて、団員同士のコミュニケーションを深めるために、自らの体験談などを積極的に披露してくれていたのでしょう。その趣旨は、今も受け継がれ、「かいほうげん」にはしばしば(?)団員からの貴重な投稿が掲載(?)されているのは、ご承知の通りです。
 そのOさん、メールに添付してくれたのは、膨大な量の旅行記でした。ニューフィルに顔を見せなくなって、もう何年になるのでしょう(彼のことを知る団員は、かなり少なくなってしまいました)。しばらくぶりに投稿の虫がうずいたのか、それはとても「かいほうげん」に収まりきるようなものではありませんでした。しかし、彼がいた頃にはまだ存在していなかったウェブサイトという投稿メディアが、今ではとても立派に成長しています。こちらでしたら、長さなど全く関係なく、掲載できますよ。あとしばらくしたら、彼の原稿が公式サイトで公開されることでしょう。
 しばらくぶりのメールでしたし、そもそもそこにはローマ字の表記しかなかったので、彼の名前の漢字表記に、一瞬自信がなくなってしまいました。手元に古い名簿もなかったので、とりあえず昔からいた団員に聞いてみようと、今日の広瀬文化センターでの指揮者練習の前に、6号にたずねてみました。「カツヒコさんのカツは、『カツ』という字、ヒコは『ヒコ』という字でいいんですよね?」私の中では『』の中はきちんと漢字のイメージがあったのですが、こうやって口に出してみるとそのまんま、というか、すごいお間抜けな言い方になってしまうことに、言ってから気が付きました。私が気が付く前に、当の6号や、そばにいた28号は大笑い。「なにヘンなこと言ってんですかあ!」と、しばらく笑われ続けてしまいましたよ。
aventure number : 0337 date : 2004/4/3


今日の禁断 ドイツ語

 ヨンさまが初めて来日したそうですね。「アバンチュール」ではない、「スキャンダル」という映画のプロモーションということですが、もちろん「冬ソナ」が地上波で放送が始まったのに合わせての、絶妙のタイミングです。今まで殆ど聞くことのなかった「生」の声を聞いて、新たな魅力にとりつかれてしまった人もいるようですが、確かに吹き替えのあの声とは微妙に違ったトーン、というか、吹き替えではかなりイメージが変わってしまっているのがよく分かります。これだけの盛り上がりを見せているのですから、もう1クールぐらいはブームは続くことでしょう。ですから、今の放送が終わったら、今度は字幕版での放送が始まるのではないか、というのは、かなり自信を持っている予想なのですが。
 土曜日の練習から帰ってきて、「禁断」を書きながらその第1回目の放送を見ようと思ったのですが、結局、ドラマを見ている間は1字も書くことが出来ませんでした。色々新鮮な発見があったりもして。一番びっくりしたのは、チュンサンがすでに「ミニョン巻き」をしていたこと。これから彼は交通事故で死んだことになり、そこに、このマフラーの巻き方だけが取り柄の、瓜二つのミニョンが現れることになるのですが、この二人が同一人物であることは、すでにこの第1回の時点で明かされていたのですね。もう一つ、やはり前には気付かなかったのですが、高校の放送室にはLPだけではなく、ほんの少しですがCDも置いてあったのですね。オープンリールのテープデッキがあるぐらいですから、まさかと思ったのですが、確かに棚の上に10枚ぐらいのCDがありました(だからなんなんだ、と言われそうですが)。「キャッツ」でさえ6回も見てもまだまだ新しい発見があるのですから、1度見ただけではかなりの見落としがあるのでしょうね。そういえば、「天花」も1週間分のビデオがありますから、これを見直したらもっとすごいデタラメが見つかるかもしれませんね。
 1回見直しだけで、もう充分に楽しめてしまったのは、この間書いたOさんの「ウィーンごきげん日記」です。使い慣れた「ワード」ではなく、「エクセル」に書いてきてくれたものですから、ちょっと勝手が違っていましたが、そこは柔軟な対応性のある私のことです、HTMLに移し替えるのには何の困難もありませんでした。問題は、その量がハンパではなかったこと、しかし、手順さえ定まれば、あとはひたすら繰り返すだけですから、忍耐さえあればいつかは終わる仕事なのです。出来上がったものは、テキストだけで33KB、これは、「おやぢの部屋」の1ファイル(10回分)よりも大きいのですから、いかに膨大な量であるかが分かります。読みやすさを優先させて、あえてファイルを分けることをしませんでしたから、順を追って読んでみてくださいな。あのはちゃめちゃな「オバタワールド」(あ、書いちゃった。別にいいよね。)に浸れること請け合い、もう1度読み返してしまったら、取り返しのつかないことになるのでは、という思いに駆られることでしょう。
aventure number : 0338 date : 2004/4/5


今日の禁断 リサイタル

 「かいほうげん」作りは佳境に入っています。今度の土曜日に発行予定、指揮者練習の時に配ると、人数が多いので必然的に配りもれがなくなって、みんなに行き渡るようになります。最近なんだか残りが多くなってきたような気がするので、こういう機会は逃さず、多少無理をしてでも発行するようにしています。確かに、今回はこれといった目玉はなかったので、かなり水増しのようなものになってしまう危惧はありました(っと、まるでいつも中身が充実しているようなことを言っていますが)。しかし、いつも、印刷する段になると何とか様になってくるのですから、不思議なものです。
 そんな中で、今回「目玉」に考えていたのが、「結婚パーティー」です。普段は「指揮者練習」とか「団員総会」などと、堅苦しいモチーフを扱うことが多いので、こういう楽しい出来事があった時は何を置いても大きく取り上げようとしています(他のカップルの時は、取材にいけなくて済みませんでした)。ですから、ここでは2ページに渡って、写真を8枚ほど取り込んだ贅沢なレイアウトをさせていただきました。入り口に置いてあった「パーティーがあるので、貸し切りです」という看板の前で9号にポーズをとってもらったものから始まって、最後は二次会のりえさんのパフォーマンスまで、楽しさが伝わることだけを心がけて作ったつもりです。本当は、これも公式サイトにアップしたいのはやまやまなのですが、最近は何かと差し障りが多く、あとで嫌な思いをするくらいなら、最初からやめておこうと考えてしまうネガティブな自分がそこにいるのが、情けなくなってしまいます。こんな私に誰がした。
 それはともかく、実は、いつもながらの手順で、すでに印刷が始まっています。というか、このぐらい早めに、多少見込みでスタートしないと土曜日には間に合いません。ただ、最初に印刷にかかったのが、そのパーティーの写真がふんだんに入ったページと、もう一つ、大きなチラシの画像が入ったページが一緒になったもの。綴じの関係でそうなってしまった、おそらく今回最も重いファイルでした。その裏側も、やはりそこそこの重さ、半端なところで終わらせたくないので、このまま全部終わらせてしまいましょう。幸い、昨日の練習はブラームスと「魔笛」だけ、どちらも私は2番ですから、ギリギリに飛び込んでも何とかなります(1番を吹く時はそうはいきません。かなり前からウォーム・アップをして、特にメンタルな準備が完全でないと、必ずうまくいきません)。結局、印刷が終わったのが、6時45分、ほんとに「飛び込み」になってしまいました。予想通り、まわりの人、特にさっきまで何度となくその写真を見ていたあっチャンは、私の顔を見るなり「珍しいですネ」と、普段例外なく定時には来ているものだけに許される疑問を投げかけてきましたよ。
 もっとも、これからの印刷作業はほぼ楽勝の予感。というのも、今回の私の原稿は「のだめ」なのですが、楽譜を印刷する時にはカラーではなく白黒の方がうまくいくので、これもページの綴じを工夫して、白黒になっても構わないページを組み合わせてあります。これだったら印刷は一瞬で終わってしまいますから、たとえまたサービスを呼ぶ事態になったとしても、余裕を持って対処できるという、完璧のスケジュールなのですが・・・。
aventure number : 0339 date : 2004/4/7


今日の禁断 再販制度

 最近、輸入CDについて、とんでもない動きがあるのを、「か」くんから届いたメールで教えてもらったサイトで知りました。なんでも、著作権法の改正案が、国会に提出されているそうなのです。このサイト、ちょっと扇情的なところがあって、というか、肝心のトップページのコメントがウソっぽいのでちょっとひいてしまうのですが、FAQなどを見てみるとかなり緻密なことも書かれているので、あながちデタラメではなさそう。これだけでは不安なので、ちょっと見かけた他の人の日記からリンクされていた読売新聞の記事なども読んでみると、問題点がかなりはっきりしてきました。
 この改正案、これが原文です。表向きは日本のメーカーがアジアあたりの国の現地メーカーにライセンス生産させているCDが、逆輸入で日本に入ってきて販売されるのを禁止するということになっています。確かに、現地の所得水準に合わせて売られているものは日本のものに比べれば破格の値段ですから、それを日本で売れば運賃をかけても十分に利益が出るはずで、それをやられては純正の国内盤は辛いでしょうね。しかし、国内盤のCDの方が、実は価格体系を無視したべらぼうに高いものであるというのも、紛れもない事実です。1枚のCDに3000円も支払う感覚は、普通に考えたら常軌を逸しているものだとは思いませんか?
 ですから、国内盤と同じものが、2000円以下で買えてしまう輸入盤が売られていれば、そちらを選ぶのは消費者としては実にまっとうな感覚なのですよ。今回の法案の怖いところは、そのような消費者としての当然の権利をも奪いかねないものだとしたら、それに反対するのは至極当然のことです。国内盤が、安い輸入盤によって存在を脅かされる事態になった時には、さっきのアジアの逆輸入盤に限らず、アメリカやヨーロッパから輸入されるCDについても適用される可能性がある、というのが、リンクのサイトや新聞記事の趣旨なのですから。それに、大体国内盤と輸入盤を同時に発売するようなメジャーは、ちまちま輸入盤を売るよりは、国内盤で一本化させてそのライセンス料を受け取る方が、はるかに利益が大きいということになれば、この法案にはそのようなメジャーの思惑も絡んでいるのでは、とも勘ぐらずにはいられないではありませんか。
 そういう事態になれば、最も影響を受けるのは輸入CDを専門に扱っているお店です。さぞや危機感を抱いているのでは、と、普通は思うことでしょう。ところが、知り合いの関係者に探りを入れてみたところ、全くそんなことは心配していなかったのには、びっくりしてしまいました。考えてみれば、彼らのお店では、もちろん国内盤も一緒に販売しているわけですから、何も困ることはないのですよ。彼らの正体を見た思いがしました。これがこの国の現状、メーカーと結託して販売店が何の抗議もしなければ、この法案は難なく国会で承認されてしまうことでしょう。
aventure number : 0340 date : 2004/4/8

04/4/10-04/5/14