0301(04/1/28)-0320(04/3/3)

今日の禁断 ゴキブリ

 きのう練習が終わってからブラブラしていたら、「Y江さん、めっけ」としできさん。何事かと思ったら、「ロンドン版『キャッツ』のDVDあるんですが、見ますか?」ですって。前に、テレビで放送した「キャッツ」を録画してあったビデオが、どこを探しても見あたらないと書きましたが、このDVDはおそらくそれと同じものでしょう。確かに、あれを見た当時は退屈してしまったので、もしかしたらおそらく2度と見ることはないだろうと消去してしまったかもしれないビデオでしたが、ここに来てこれだけ「キャッツ」漬けになってしまうと、劇団四季以外のプロダクションも見たくなっていた矢先でしたから、本当に嬉しいプレゼントでした。
 中身は、やはり録画したものと同じ内容でした。しかし、かつてあれほどつまらないと思ったものが、まるで別物のように新鮮な魅力で迫ってきたのは驚きでした。画面もきれいだし。そんなものなのですね。第一印象などはあてにならないもの、逆に、最初は凄いと思ったものが、繰り返し味わううちに正体がばれてしまうということもありますし(例えば、アーノンクール。ちょっとした必要に駆られて「スラブ舞曲第2巻」の中の1番、2番、7番と、「水の精」を聴き直しましたが、こけおどし以外の何者でもないことが再確認されました)。
 そして、これは予想していたことですが、このロンドン版と劇団四季の演出は全く同じものだったのです。セットデザインも全く同じ、ちょっとした仕掛け、例えばバストファー・ジョーンズが腰掛けるのがシルクハットだなどというところまで、嫌になるほど瓜二つ。そう、ミュージカルがオペラと決定的に違うのは、そのようなショウビズとして細部まで取り決められた「契約」の重さなのです。「キャッツ」の場合、ロンドンで最初に上演した時のトレヴァー・ナンの演出を、そのまま継承することが、日本で上演する時にも求められるのでしょう。逆に言えば、成功したプロダクションをそのままの形で再生産するという、いわば品質管理が、プロデューサーのキャメロン・マッキントッシュの仕事、それと引き替えに莫大な契約金が彼の会社に転がり込んでくるのでしょう。「仙台キャッツ」のプログラムに「演出」とクレジットされているあの浅利慶太の仕事は、「オリジナルクリエイティブ・チーム」などという訳の分からない肩書きで、下の方に小さく書いてあるだけのトレヴァー・ナンの元の演出を、いかに忠実に再現するかという、ある意味大変困難なことだったのです。
 その「キャッツ」もしっかり二人で見に行ったきのうの写真の新郎新婦ですが、「あれは、元ネタがあるのではないか」という声がどこからともなく聞こえてきました。本当は内緒にしておきたかったのですが、確かにあの写真は、すでにあったものを合成して作ったものです。それが見られるように画像をアップしましたが、パスワードがないとリンク出来ません。まあ、頑張ってみて下さい。
aventure number : 0301 date : 2004/1/28


今日の禁断 シャム猫

 きのうの「禁断」を書く時点では、実は「キャッツ」のDVDは全部は見てはいませんでした。だから、あそこの印象は、最初の3分の1程度から全体を類推して書いたもので、更新はしたものの、書き終えたあとで全部見るまでは内容についてはちょっとハラハラものだったのです。果たせるかな、後半には四季版とは異なる部分がかなり現れてきました。まあ、しかし、大筋ではきのうの感想は当たっているので、まずは一安心。
 その、もっとも大きな違いは、年老いた楽屋ネコの場面、仙台で見られるのは、そのネコの回想ということで、かなり大がかりな劇中劇のシーンがあるのが、ロンドン版ではその部分が完全にカットされています。ロンドンの役者がジョン・ミルズという、当時90歳の俳優で、アップになると手が震えていたりしますから(これは演技ではない?)、そんな人に大立ち回りが要求されるシーンは無理だとカットしたのか、四季版が、オリジナルには無かったものを付け加えさせたのか、それは私には分かりませんが。しかし、そんなはっきりとした違いよりももっと大きな違いが、この2つのバージョンの間にあるのは、もちろんおわかりでしょう。それは、ここでもさんざん書いてきた「訳詞」の問題です。そもそもビデオをもう1回見たいと思ったのも、その違いを確かめたかったから。あんな醜悪な訳詞ではない元の歌詞を聴いてみれば、このミュージカルに対する考えが少しは変わるかもしれないと思ったからです。そして、それはまさに衝撃的なほどのインパクトを与えてくれるものでした。英語の歌詞の、何と美しいことでしょう。説明的で、全くメロディーから遊離したあのひどい訳詞が、きちんと韻を踏んだ歌詞で歌われただけで、メロディーそのものが全く違った印象になってしまうのですから、凄いものです。歌全体のイメージが変わってしまうもののありました。最後の方にある「夜汽車」のシーン、ステージでは必ず手拍子が入るナンバーで、わりとビート感が強調されているのですが、英語版はもっと淡泊なリズム、そもそもこの曲の頭は8分の13拍子というとんでもないリズム、手拍子など出来っこないのですが。
 エレーヌ・ペイジという、初演の時からグリザベラを歌っている人の「メモリー」は、それこそ仙台での中国や韓国の人の歌とは次元の違うものでした。この歌はこうでなくっちゃ、という、全てがツボにはまった完璧な歌、そしてここにも8分の10拍子という変拍子があるのですが、それもこの歌詞だからと納得できるものでした。
 カーテンコールのシーンでは出演者が、一人一人紹介されます。もちろん、日本語の字幕付き。そこで、「エヴァ・メイ」という人が出ていたので、びっくりしてしまいました。あのオペラ歌手エヴァ・メイが、ミュージカルの世界でもキャリアを築いていたのでしょうか。なんせ、あのメークですから、顔も似ているようなそうでないような。そこで、あちこちのサイトを調べてしまいましたよ。しかし、オペラのレパートリーは山ほどある彼女でも、「キャッツに出演」という記述はどこにも見あたりませんでした。さっきもう1回見直してみたら、「エヴァ・メイ」さんは「Aeva May」というスペル、「Eva Mei」とは別人でした。
aventure number : 0302 date : 2004/1/29


今日の禁断 カラヤン

 「かいほうげん」を先週発行したばかりなのに、もはや私の中では次の号への準備が始まっています。そもそも、このサイトの「ジュラシック・トーク」などは、その時に練習していた曲に関する話題を提供して、実際の練習だけではなく広い視野からのアプローチをはかるための一助となるように、という意図の元に作られたものでした。それは、このサイトを始めるずっと前からやっていたことなのですが(「掲載日」というのを見て頂くと、それがだいぶ昔のものであることが分かります)、最近では、サイトの方が好評なのに気を良くして、多少調子に乗り、練習曲には何の関係もないものをどんどん作るようになってきました。もちろん、このサイトをご覧になってくれている人に対しては何の問題もないのですが、「かいほうげん」の読者にしてはたまったものではないはずです。ですから、ここらで初心に帰って、きっちり真面目な仕事をしないことには、編集長をクビにされてしまいます。
 そこで、今の曲目にふさわしいネタは何かないかと考えてみたら、思い切りふさわしいものがあるではありませんか。今やっている曲はR・シュトラウスの「ドン・ファン」。シュトラウスといえば、「ツァラ」、「ツァラ」と言えば「2001年」ですよ。なにしろ、「2001年」と言えば、去年の5月頃に大騒ぎしていたことがあったではないですか。あれだけ資料を集めておきながら、肝心の所でイマイチ納得のいく成果が得られなかったのでほったらかしておいたのですが、あれを「ツァラ」を主体にまとめ直せば、何とか1本の原稿が出来あがるはずです。
 前もって、あの頃の「禁断」にメモを忍ばせておいた甲斐があって、テキスト作りはどんどんはかどります。材料はすでに全部出揃っていますから、それを並べ替えてきちんとつじつまを合わせるのが今回の仕事、画像さえ取り込めば、こんな楽なことはありません。資料集めに協力してくれたCD屋さんが、こちらが言ったことをすっかり忘れてバカなことを聞いてきたことに腹を立てている間に、目新しさこそありませんが、おそらくこの件に関しては最新の情報が盛り込めたなかなかのものが完成しましたよ。もちろん「かいほうげん」が出るのはずっと先になりますから、その前にこちらにアップしておきましょう。実は、これはきのうすでにアップしてあったものなのですが、今日になって少し付け加えたいことが出てきたので、一部加筆してあります。書き終わってから直したいところが出てくるのはいつものこと、適当なところで折り合いを付けないと、いつまで経っても完成させることは出来ません。
aventure number : 0303 date : 2004/1/31


今日の禁断 国民年金

 ニューフィルがいつも練習に使っている市民センターは、もちろんニューフィルの専用の施設ではありません。基本的には、使う機会は誰にでも平等に解放されていることになっています。それでも、今までは長年(ここが出来てからずっと)使わせてもらっていたという実績の重さが、ほぼ毎週火曜日は使用を可能にしてきました。「火曜日はニューフィル」という既成事実がある程度定着しているため、他の団体は最初からそこを避けて申し込むようになっているのかも知れません。しかし、最近こういう市の施設の利用予約のやり方が変わって、必ずしも希望した日が取れるとは限らないという状況になってしまいました。それは、「公平感」という大義名分を貫くために、窓口を訪れなくても、インターネットなどで誰でも申し込むことが出来るようになり、もし希望が重複した時は「公平」に、というか、全く無作為に機械的な抽選を行うというもの。大体、こういうお役所というか公的機関が「公平」などと言い出すと、ろくなことはありません。先日のこと、さる公的機関に車で行った時のこと。そこは道路の反対側にあるので、右折で入ろうと思ったら、駐車場がいっぱいでその前に何台か止まっていて、とても入れそうにありませんでした。そこで、少し先まで行ってUターン、その、並んでいた列の最後に並んだのです。ところが、駐車場の整理をしていた女の職員は、その列から1台入れたあとで、こちらが並んだずっと後にやってきて向かい側で右折しようと待っていた車に、中に入るように指示を出したのですよ。これにはキレましたね。車を降りて、「何であとから来たやつを先に入れるんだ!」と大声で叫びましたよ。そうしたら、その女、なんと言ったと思います?「公平に、両側から入って頂いています」ですよ。誰が見ても「割り込み」以外にはあり得ない行為が「公平」ですと。公的機関が考える「公平」なんて、こんなものです。
 さいわい、6号の努力が実って、今まで3回「抽選」があったにもかかわらず、旭ヶ丘に関しては全て希望の日が獲得出来てきました。これからも、この運が継続するよう、皆さん、祈っていて下さいね。
 取れさえすれば、これほど便利なシステムもありません。パスワードさえ知っていれば、抽選の結果は即座に知ることが出来ます。しかも、1ヶ月分まとまって分かりますから、結果的には今まで(毎回、2ヶ月前に予約)より1月近く早く予定が決まることになるのですから。そのお陰で、ニューフィルの日程表は、もうすでに定期演奏会が終わった次の「懇談会」がある日までの予定が確定してしまいました。まだ指揮者練習が一度も行われていないし、通しの練習すら全くやったこともない今の時点で、すでに予定の上では無事演奏会が終わって、その反省をしているなんて、何か不思議。そういえば、1号様が「チケット、もう出来ましたか?」と掲示板に書き込んでいましたね。そう、考えてみれば、あと2ヶ月ちょっとで本番なのですよ。
aventure number : 0304 date : 2004/2/2


今日の禁断 ソラブジ

 「おやぢの部屋」のカウンターが4万を超えましたね。「おやじ」グループ(ファイルが70!以上)にカウンターを設置してから8ヶ月で達成と言うことは、1月5000、1日の平均アクセスが160ということになります。他のサイトのことはよく知りませんが、CDレビューのサイトとしては、これはかなり上位に位置する数字なのではないでしょうか。ほぼ2日おきに更新という新鮮さが、受けているのも、見逃すことは出来ませんが、それを可能にしているのはライター陣の能力の高さ。数人で分担しているとはいえ、これだけの量の原稿を書く前には、まずCDを聴かなければならないわけですから、よっぽど好きでなければ出来ないことです。しかも、要求される原稿のクオリティときたら、ハンパではありません。なにしろ、あまりにもテンションが低いと判断されれば、容赦なくボツにされてしまうのですから。しかし、そんな苦労も、これだけのファンがいることを知れば、報われるにちがいありません。ただ、レビュー原稿はある程度の能力があれば書けますが、その中の「おやぢギャグ」だけは、並大抵の才能では生み出すことは出来ません。ですから、これに関しては私が、ほぼ全部担当することになるのです。1つのファイルが10件ですから、今までに作った「おやぢギャグ」は700以上、その他に、ファイルのタイトルおやぢも作ってきたのですから、われながら凄いものだと思ってしまいます。「ノーブラ・ボニー」とか「バストアル協奏曲」といった、いかにも「おやぢ」という巨乳系がお気に入り。
 ただ、ライターの好みもあって、聴いたこともないようなピアノ曲とか、突拍子もない現代曲など、レパートリー的にはかなりの偏りが見られるのは、致し方のないことでしょう。お陰で、普通のレビューだと必ず登場するような、特にシンフォニーあたりは極端に少なくなっていますので、CD購入の参考にはあまりならないだろうな、というのが自慢です。
 ニューフィルの曲目は、そんなヘンなものはまず選ばれることはありません。半年かけて練習し、それをフツーのお客さんに聴いてもらうのですから、自ずと相応の曲が準備されることになります。今度の秋の演奏会も、指揮者の下野さんが最初に提案してきたものはそんな「名曲」プログラムでした。ただ、シンフォニーは「6番から9番までの間の1曲」というあたりが、結果次第によってはマニアックだったかもしれません。しかし、序曲として指定してきた「謝肉祭」に難色を示した時点で、選曲状況はとんでもない混迷へ向かってしまったのです。それならばということで呈示されたのが、「オセロ」、「フス教徒」、「水の精」などという、かなりの音楽愛好家でも、もしかしたら一生聴かないで終わってしまうかもしれないと言うほどのマイナーな曲。さらに、メインの交響曲が「7番」というやはりマイナーなものに決まったにもかかわらず、これらの曲に食指を動かすというのが、アマチュアの怖いところです。結局スラブ舞曲から3曲という穏健なところに落ち着いたので一安心ですが(それなら、「ハチャコン」はどうだったのだという声が聞こえてきそう)。
【禁断崩し・・・304国民年金】
 行ったのは、仙台北社会保険事務所。学生の間は、支払いを猶予してもらおうという届け出のため。しかし、あんな理不尽な実態を見てしまったら、卒業してもとても払う気にはならないでしょう。
aventure number : 0305 date : 2004/2/4


今日の禁断 月光とピエロ

 「冬ソナ」が、ついに総合テレビでも放送されることになったそうですね。4月からのスタートですから、放送されるのは春から初夏、季節的にはちょっと違和感があるかもしれません。それよりも、あのドラマの主題歌が何かによく似ているのが、ずっと気になっていました。そもそも、聴いていて恥ずかしくなるように単純なコード進行ですから、ありふれているといえばありふれているのですが、サビのメロディーは確かにどこかにあったような・・・・。その謎は、ある時ラジオを聴いていて解決しました。それは雅夢という男性デュオの1980年のヒット曲「愛はかげろう」。切なく歌い上げる感じも、とてもよく似ています。はっきり言って、雅夢というのは一発屋、この曲にしても、この当時の音楽シーンだから受け入れられたもので、今の日本でこんな甘ったるい歌を作ったって、売れるわけはありません。それと、殆ど変わらない曲が、韓国で大ヒットしたということは、あの国の音楽状況は日本より20年以上は遅れているということになるのでしょうか。しかし、決して新旧だけでは片づけられないのがこの世界の掟、逆に、複雑になりすぎた今の音楽にはついて行けない層には、こういうベタなテイストが歓迎されるのでしょう。
 50年以上前に作られた合唱団のOBが、東京で演奏会を開くことは、前にも書きましたね。私が学生時代を過ごしたこの男声合唱団の晴れ舞台が、もうすぐそこまで迫ってきました。といっても、別に、私はそれに出るわけではありません。これも前に書いたように、納得してステージに乗るためには練習の機会があまりにも少ないので、良心的に出演を辞退したというわけです。だから、何も予定がなかった本番だけは聴きにいこうかとは考えていました。ただ、なぜか男声だけではステージが持たないということで、東京初演を行う委嘱曲の作曲者(当日は指揮をします)の、混声合唱のための曲も演奏することになったので、それを歌ったことのある愚妻がかり出されることになって、状況は俄に変わってしまいました。ニューフィルの予定と重ならなかった練習が東京であるので、それについて来いというのです。仙台から一人で東京に行ったのでは、目的地まで行くことが出来ないのだと。もちろん、そこまで送り届けたあとは、私は何もすることがありません。一人気ままに東京の喧噪の中をさまよい歩くことになるのでしょう。
 それは、あさっての日曜日のこと。9時から始まる練習に間に合うようにするためには、朝1番の新幹線に乗らなければなりません。その前の日の岩村さんの飲み会に出ていたら、寝る暇もなくなってしまいます。そうでなくても、おそらく更新している時間など無いことでしょう。ですから、明日と、東京に泊まるあさっては、更新はないものと思っていてください。
 その、22日に開催される、岡崎光治指揮の東北大学男声合唱団OBのコンサート、最初は東京オペラシティのコンサートホールなどという大きな場所が果たして満員に出来るのかと心配していたものですが、フタを開けてみればチケットの売れ行きは想像をはるかに上回るもので、慌てた実行委員から「これ以上は売るな」という連絡がまわってくる始末。私が持っているチケットは、とんだ貴重品になってしまいました。
aventure number : 0306 date : 2004/2/6


今日の禁断 渡辺謙

 前回書いたとおり、土曜日からの怒濤の3日間が過ぎ去りました。まずは岩村さんの練習から、でしょうね。岩村さんは、前回ニューフィルと共演してから3年半の間に、いったい何があったというのでしょう。もちろん、あの時でも自信を持って音楽を作っていく態度と、その出来上がったものの素晴らしさは傑出したものではありましたが、今回はそれよりも一ランク上の、ほとんど別の人と言っても構わないほどの変容が見られたのには、正直言ってびっくりしてしまいました。実際のところ、本当にその外観まで変わっていたのですから、それはなおさら分かりやすかったわけですが。どのように変わっていたかというと、あっチャンに言わせると「顔の下半分の毛が増えて、上半分の毛が減った」ということ。その精悍なあごひげは、アカデミー賞にもノミネートされたというあの俳優にも似た風貌とも相まって、以前には見られなかった迫力みたいなものを前面に押し出していたのです。それだけではありません。指揮をしている時も、指揮棒を一切使わない、まるでゲルギエフのようなスタイルに変わっていたではありませんか。そのしなやかなアクションは、棒を持っていた時と比べて、岩村さんの中にあるパッションがストレートに伝わってくる分、確実に多弁なものになっていました。
 そして、そんな外面的なことなど問題にならないほど、決定的に違っていたのが、その求めている音楽の完成度の高さ。もちろん、それは、岩村さんの中での完成度とともに、それを私たちに伝える際の的確さ、という点での完成度まで含めてのもの、言ってみれば、より高度の表現を備えた音楽を、より高度の伝え方で演奏者に要求する、というもの。世界的な指揮者を間近に見ながら数多くの経験を積み、ご自身でも決定的な体験となられたであろう、数々の大きな演奏会を成し遂げたと言うことで、殆ど3年半前とは細胞が全て入れ替わってしまったかのような、確実に大きくなった岩村さんの姿が、私たちの前にはあったのです。
 そんな岩村さんの指導の元、ブラームスも、シュトラウスも、そしてモーツァルトも、まるで考えてもみなかったような側面からの光が当てられて、少なくとも意識の点では、全く別物の様になってしまいました。中でも、予想されたことではありますが、シュトラウスではちょっとパート間の役割を指摘されて、注意深く合奏を再構築しただけで、今までやってきたものとガラリと様子が変わってしまったのには、驚くしかありません(といっても、それまでにやっていたことはあまりにも少なかったのですが)。これを本番の成功に導くのは、もう少し先になって指揮練の間隔が空いた時に、どうやってそのテンションを維持するかということと、そして、この日、某パートに向けて放たれた、「静かにしてください」という、まるで子供が叱られているような低次元の苦言に、そのパート(だけではないのかもしれません)がどれほど真摯に向き合うか、ということの2点にかかっていると言っても、言い過ぎではないでしょう。
 練習後の飲み会には、多数参加したようですが、その詳細と、写真でもありましたら、ぜひご提供を。次の日、岩村さんと同じ列車で(もちろん、あとで知ったのですが)行った先の話は、また後日。
aventure number : 0307 date : 2004/2/9


今日の禁断 道玄坂

 普段は風邪などまずひくことのない私ですが。たまに喉の調子がおかしくなることがあります。鼻の奥が少しヒリヒリするのが、その兆候、でも、喉がイガイガする程度のことで、熱などは出ませんから、殆ど「風邪」という認識のないまま、収まってしまうのが、いつものパターンです。ですから、今回も火曜日の練習のときにかなり喉が痛くても、すぐ回復してしまうだろうと思っていました。しかし、次の日の朝には声の具合がおかしくなり、指揮練のあった土曜日には、殆ど声が出ないほどのひどい状態になってしまったのです。ただ、例によって熱が出ていないので、日常の生活には全く支障はありません。楽器を吹くのも、少し喉が痛くなりますが、音自体はいつもと何ら変わりはないはずです。それでも、東京行きをあてにしている愚妻は、「練習、休んだら」と、私の体を心配して、ではなく、あくまで荷物持ちと道案内がいなくなることだけは避けたいという思いからの提案をしてきますが、もちろん私がそんなことを受け入れるはずはありません。
 その指揮練は、きのうも書いたような大変充実したものでした。全曲乗り番になってしまった私は、1日吹き詰めでかなりのくたびれよう、でも、それは喉が痛くない時でも同じこと、心地よい疲労感です。ただ、私が誰かとコミュニケーションを取ろうと思って口を開くと、一瞬まわりの空気が変わるのが分かります。いくらさりげない振りをしていても、明らかに重病人を相手にしているような態度が、はっきり私には伝わってくるのですよ。それほど、私の声は普段とは全くかけ離れたものだったのです。
 そんな声のまま、東京へ行ってきました。日曜日は下丸子まで愚妻を送り届ければ、あとは私の自由時間、ホテルへ荷物を預けたら、まず渋谷タワーへ直行です。新譜コーナーに所狭しと並べられた、とても仙台では見ることのないCDの数々、そのそれぞれに、このお店特有の手書きのコメントが付けられています。細かい字でびっしり書き込まれた、多少分かりづらい(というか、書きなぐりの)そのコメントを読んでいるだけでも、商品に対する店員さんの思い入れが伝わってくるようで、見飽きることはありません。しかし、喉が痛いというのは、やはり体調は本来のものではないのでしょう。タワーを出てから渋谷の雑踏の中をさまよっていると、思いのほか疲労感が募ってきます。結局、早めにホテルへ帰って、3時間ばかりベッドに横になって、ひたすら体力を温存するしかありませんでした。
 次の日は、愚妻のお供で、新宿のデパート巡りです。南口の高島屋、西口の京王と小田急、そして、東口の伊勢丹。なぜか「三越」だけはパスですが、バッグをひとつ買うのに、これだけの店を見て回るという根性には、ほとほと圧倒されるというか、あきれてしまうというか。私としては、新しい高島屋はともかく、外見は全く昔のままなのに、内部は見事にリニューアルを遂げていた伊勢丹が、最も印象的。それに対して、西口陣の落ちぶれようときたら。京王など、店員はばあさんばかり、いつ潰れてもおかしくないような荒れ方でした。
aventure number : 0308 date : 2004/2/10


今日の禁断 赤塚不二夫

 今日、2月11日というのは、なんか祝日だったみたいですね。しかし、そもそも2月には「節分」と「バレンタインデー」という大きな行事が目白押し、スーパーあたりでは、この2大行事のためのグッズ(というのかな)である「落花生と鬼のお面」と、「チョコレートの詰め合わせ」は大々的に売り出すことはあっても、この日のために「日の丸の旗と金色の玉の付いた旗竿」の特売をするというようなことはあり得ません。そんなわけですから、この日がいったい何のお祝いの日なのか、殆ど知られないまま、ただの休日としてありがたく過ごさせて頂くことになるのでしょう。それでいいのです。
 土曜日に続いての、指揮者練習は、そんな、得体の知れない地味な休日に行われました。最初は弦分奏ということで、我々は少し遅めに着いても大丈夫、休日の主夫としての努めを十分果たした後でも、楽々間に合うスケジュールです。着いた時には、その、1時間半予定されていた弦分奏がそろそろ終わろうとしていました。岩村さんは、ブラームスの第2楽章を、ユーモラスな話を交えながら、丁寧に仕上げています。少し時間が残っていたので、そのまま第3楽章を少しやって、予定されていた11時半かっきりに終了、このあたりの、時間を精一杯使い切るというやり方も、以前はこれほどシビアではなかったような気がしてなりません。もはや分刻みのスケジュールで仕事をこなしている多忙な指揮者となってしまった今では、このぐらいの厳しい時間の管理の能力が、自然に身に付いてしまっているのでしょう。
 午前中はそれから少し「魔笛」の合奏、そして、1時間も無い短めの食事休憩を挟んだだけで、午後からはブラームス。それも、帰りの列車の都合で、練習が出来るのは2時45分までという、まさに超過密スケジュールです。そんな限られた時間の中での練習は、まさに高密度、片時も息を抜けないような中身の濃いものになっていました。無駄な時間は全くない、全ての指示に深い意味が込められたこのリハーサルは、まさに「一級品」の指揮者としての貫禄を見せつけてくれています。第4楽章の弦のテーマについて、岩村さんが「デジャヴ」というキーワードで的確な息抜きの話をしたあとには、最初に演奏したのとはまるで別物のグレードの高い響きが現れたなどというのは、そのほんの一例。聞くところによると、岩村さんのリハーサルは「1時間いくら」方式だとか、それも納得です。
 これに比べると、去年の秋にやってきた方などは、かなり?が飛び交います。やはり、全く共演の経験が無い人というのはキケン。こういう私たちとの実績のある指揮者を選んで、得るものの多い練習を味わうというのが、あるべき姿でしょう。もちろん、指示された内容をしっかり私たちの表現として消化するということがなければ、いくら良い指揮者が良い練習を行っても何もならないのはいうまでもありません。もしかしたら、指揮者の選択よりも、そちらの方がずっと重要なことなのかもしれませんね。
aventure number : 0309 date : 2004/2/11


今日の禁断 伊藤博文

 バレンタインデーの前の日が13日の金曜日だというのは、偶然にしては出来過ぎだとは思いませんか?完全に練習日の谷間となってしまった今年は、私にチョコが巡ってくることはないでしょう。
 そんな不吉な日に見に行ったのは、三谷幸喜の芝居です。愚妻が入っている生協の「鑑賞会」の例会で、東京ボードヴィルショーが「その場しのぎの男たち」というのをやるというので、私も一緒に見に行くことにしたものです。三谷幸喜の作品を生で見たことなど無かったので、これは結構楽しみにしていました。そもそも、オペラやミュージカルはしばしば見に行っていますが、ストレートプレイを見るなどというのは、いったい何年ぶりのことでしょう。考えてみたら、最後に生で見た芝居は、20年以上前、当時の西武劇場でのアガサ・クリスティの「スリー・ブラインド・マイス」以来ではないでしょうか。
 実は、何を隠そう、私は中学校時代は演劇部に所属していたのですよ。しかも、それまでは別の部活だったのが、演劇部の顧問の先生のたっての願いで、わざわざ部長がスカウトにやってきたというのですから、その頃から私の演劇の才能は光るものがあったのでしょう。というか、その顧問の先生の国語の授業で、私が小説の鑑賞かなんかで気の利いたことを言ったのが、えらくハマってしまったようなのですね。
 三谷幸喜の方は、こういう会ですから客層はおばちゃんが中心。舞台に対しては非常に分かりやすいリアクションを示す方々ばかりです。開場前に「おしゃべりはご遠慮ください」というアナウンスがあっても、そんなものに従う人は誰もいなく、「あっ、B作さんだ」などと堂々と喋りまくっています。笑うツボも、実に単純です。「アッハッハ」と笑ったあと「あ〜あ」と続けられては、よその家のお茶の間にお邪魔させて頂いているような気分にもなってしまいます。作品の方も、そんなお茶の間の期待を裏切らない、とことんツボを心得たものです。ひたすら笑いを取ることに腐心している、ギャグの応酬は、複雑な伏線などを考える必要のない、極めて心地よいもの。クールな切れ者というキャラクター設定だった人が、ある瞬間からガラリと変わってひ弱な甘えん坊になってしまうというのも、三谷作品には良く登場するものです。
 やはり、彼の持ち味は、このような軽妙さがのびのびと発揮出来る場でこそ、生かされるものなのでしょう。そういう意味で、毎週日曜日の1年枠というのは、いかにも場違いな感じがしてしまいます。事実、「新撰組」を今まで見た限りでは、三谷の魅力は殆ど発揮出来ないまま、進行しているようです。たまに出てくるいかにもとってつけたようなくすぐりも、見ていて辛くなるような唐突なものでしかありません。そんな中途半端な台本を助長しているのが、あの音楽です。特に、新味を狙ったとしか思えない合唱のショボいことといったら。あんな、やっつけ仕事としか思えないソリスト崩れを集めた少人数の合唱など、ない方がよっぽどマシ、それに続くえせテノールも、悲惨という他はありません。
aventure number : 0310 date : 2004/2/13


今日の禁断 3番

 先週東京に行った時、渋谷タワーで買い物をしました。もちろん買ったものはCDなのですが、あのお店にはCD以外にも書籍なども置いてあって、音楽関係の本はかなり充実しているし、珍しい楽譜もあるので、だから、ここへきた時にはこのコーナーを覗くのも楽しみ。例の「パーフェクト・オペラ・ガイド」も、コメント付きで面陳されていましたし、さすが、注目アイテムはきっちりと紹介されています。そんな中に、何と、あの「のだめカンタービレ」までが、しっかり平積みで置いてあったのですよ。いくらあちこちで評判の作品とは言っても、たかがマンガにこれほどの待遇とは、さすがタワー渋谷です。と言うより、こういうお店でまで扱われているということは、この作品はもはやクラシックのアイテムとして、CDや音楽書同様の需要が見込まれるほどの商品となっているのかも知れませんね。
 もちろん、普通の書店のように立ち読みが出来なくなるような加工は施されていませんから、第1巻を手に取ってみて、堂々と立ち読みをしてみます。奥付も見てみると、これはもはや13刷、今年の1月に増刷されたもののようですね。ということは・・・。実は、「のだめ」に関してはかなり情報通になってしまっている私の許へは、「増刷の際に楽譜を差し替えたい」という作者の言葉が届いていたのです。そこで、早速以前から気になっていたその「楽譜」を見てみたら、見事に変わっていましたよ。いくらなんでもこれはないだろうと思っていた「ブラス版青きドナウ」のスコアが、きちんとしたオーケストラのスコアに置き換わっていたのです。これだったら、まあ指揮者志望の学生が持っていてもおかしくはないものでしょう。しかし、そのスコア、どうやら古典派、あるいは初期のロマン派のものであることは分かるのですが、どうもきちんと特定することが出来ません。いわゆる「名曲」は殆ど演奏した経験がありますから、フルートパートを見ればまずそれが何の曲であるかは分かるはずなのに、皆目見当が付きません。そこで、ちょうどそこにいた店員さんに、「この曲、なんだと思います?」と聞いてみました。ここの店員さんはかなりマニアック、中には音大を出た人とか、アマオケに入っている人もいるそうですから、もしかしたら分かるかもしれないと思ったのです。しかし、彼も「確かに、ベートーヴェンやブラームスではありませんね」とは言うものの、はっきりは分からない様子。そのうち、「もしかしたら」などと、そこにあったスコアを引っ張り出して調べ始めましたよ。そう、そこは参考資料に関しては何不自由のないところ、私も真似をして、あたりを付けたスコアを見比べさせてもらいました。
 結局、私の方が先にその曲を見つけて、そのスコアは持っていたので買いませんでしたが、せっかくですから新しくなった「のだめ1巻」はお買いあげさせていただきました。そして、それをネタにして、「まちがい音楽用語辞典」の最新号をさっきアップしたところです。そのスコア、作曲家の名前をパスワードにして遊んでみましたから、挑戦してみてください。
aventure number : 0311 date : 2004/2/15


今日の禁断 東昌寺

 前からおかしな兆候があったカウンターですが、やはりダメでした。今回の、アクセス解析も出来るタイプのもの、確かに最初のうちは便利な機能満載でとても重宝していたのですが、段々付き合っているうちに、初めは気付かなかったような欠点が目に付くようになってきたのです。これはカウンターの画像がリンクされているのですが、たまにサーバーの調子がおかしくなると、そのカウンター自体が表示されなくなってしまう時があったのです。ま、しばらくするとまた復活するのであんまり気にしてはいなかったのですが、段々その頻度が高くなってきました。それと、肝心のアクセス解析のサイトが、非常につながりにくいということ。特に、2週間ぐらいログがたまると、処理にとんでもない時間がかかるようになります。スペックでは「1年分」の日ごとのアクセスが表示出来ると言っているのに、とてもとても、そんな能力はありません。「料理は得意よ」と言っていたのを信用して付き合ったら、彼女のアパートで出されたものはレトルトパックだった、みたいな不当表示ですね。それが、このごろになると、もっとひどいことになります。その、日ごとのアクセス表示が、全く出来なくなってしまったのです。前はコンスタントに200とか250とかいってたものが、「5」とか「7」しか出ないのですから、がっかりしてしまいます。カップ麺にお湯も入れないで出されるようなものですよ。
 結局、こういったレンタルのカウンターというもので、長く使えたものは一つとしてありませんでした。私のサイトのようなアクセス数の多いものには元々対応出来ないものなのか、別の理由があるのかは分かりませんが、もしかしたらこのようなカウンターの仕組み自体に、根本的な問題があるのかもしれません。いずれにしても、カウンターがないのは困るので、ここは一つ面白味には欠けるけど性能は信頼出来そうな、プロバイダーのカウンターを使ってみることにしました。実は、最初に設置したのはこのタイプ、ただ、デザイン的にいかにもダサかったので、もっとユニークな表示が出来るものを探したところから、私のカウンター遍歴が始まるのです。
 何年かぶりにASAHIネットのホームページでカウンターを調べてみたら、それは昔とは全く違った高い機能を持ったものに変わっていました。数字のデザインも何種類かの中から選べますし、かなり細かい表示の指定も可能、さらに、スタート時の数字もきちんと設定出来ます。それと、クッキーは使っていませんから、どんな環境でもきちんと表示されるはず。昔は、グズで融通の利かない女だと思っていたものが、しばらくぶりに会ったら見違えるほど垢抜けた美人になっていた、という感じでしょうか。こんな、常に自らを高めようとしている人は、私は好きです。
 そんな、向上心の持ち主が多く集まっているニューフィルの、今日はパート練習でした。久しぶりの木管だけの練習、「ドン・ファン」の、ほぼ100%のメンバーが揃っていたのですから、やはり向上心は健在です。
aventure number : 0312 date : 2004/2/17


今日の禁断 新星堂

 ことさらショスタコオタクではない私でも、ゲルギエフが演奏したショスタコーヴィチの5番と9番のCDだったら、ぜひ聴いてみたいと思ってしまいます。メーカーであるユニバーサルもその辺は心得ていたのでしょう、ホームページなどを見るとかなり大規模なキャンペーンを張っていることが分かります。凄いのは、全国のCD屋さんにサンプルを送りつけて、発売前から現物の試聴が可能になっているということ。こんな、輸入盤もまだ出ていない(なんでも、国内大幅先行発売とかで、輸入盤は5月にならなければ出ないのだとか)うちから試聴出来るなんて、メーカーがこのCDにかける意気込みがいかに凄いかが分かります。
 仙台でも、そんな、試聴が出来るところがあるというので、さるお店へ行って聴いてきましたよ。普通はちょこっと頭だけしか聴かないのですが、これはさすがメーカーが力を入れているだけあって、なかなか凄い演奏です。聴き始めたら、最後まで聴き通さずにはいかないようなインパクトがあります。ちょうど時間があったので、5番も9番も、とうとう最後まで聴いてしまいましたよ。特に9番の方は久しぶりに聴いたものですから、ちょっと忘れているようなところもあって、しんみり聴けましたし。なにしろ、この曲が5楽章まであったのもやっと思い出したぐらいですから。それと、曲の構成が、第3楽章(トラック7)の最後に出てくる金管のテーマが、第4楽章(トラック8)の頭でまた繰り返されるなどと、ちょっと今まで憶えていたのとは違っていたのも、新鮮な驚きでした。ショスタコはこんな斬新なことをやっていたのですね。
 そのお店にはスコアも置いてあったので、その部分を確認してみようと思って、第4楽章を見てみました。ところが、スコアではそんな風に同じテーマが2つの楽章に渡って使われているということはなかったのです。第4楽章というのは、2回繰り返される金管のファンファーレの1回目から、きちんと始まるものだったのですよ。もう1度、今度はスコア片手にリスニングで聴いてみます。やはり、トラックの頭は、スコアの第4楽章の真ん中、2回目のファンファーレが始まるところに付いていました。要するに、これはマスタリングのエンジニアが、曲をよく知らないために同じような箇所に間違ってトラックを打ち込んでしまった、極めて初歩的なミスだったのです。これは、明らかな不良品です。
 早速、そのことを店員さんに教えてあげましたよ。もちろん、彼女はそんなことは気付いてはいませんでしたが、スコアを見せて現物を聴かせたら納得、早速「メーカーに連絡します」と言ってくれました。それは、おとといのことでした。
 このCDの発売日は明日ですが、慣例として今日にはもう一部のお店には出回ります。そこで、そのお店に電話を掛けて聞いてみたところ、一旦入荷したものの、メーカーから回収の指令が回ってきて、全て返品したそうなのです。どうやら、あまり急だったので、出荷を差し止めることは出来なかったようですね。なんでも、輸入盤の発売も延期になるそうですから、このミスは国内ではなく、大本のPHILIPSで起きたもののようですね。私の指摘で全世界のCDの販売が延期になったなんて、ちょっと凄いと思いません?
aventure number : 0313 date : 2004/2/20


今日の禁断 HMV

 新しく、というか、改めて、というか、今度採用したカウンターはなかなか安定した作動を見せているので、まずは一安心ですね。なによりも、アクセス数がグンと跳ね上がったのは、大きな収穫でした。複数のページに設置してあるということもあるのでしょうが、同じ設置方法でも前に使っていたレンタルよりも多くなっているのですから、やはりプロバイダで直接カウントする方が確実なのでしょうか。今までのところ、「ジュラシック・ページ」全体で1日300、「おやぢ」が1日200というのが平均のアクセス、これが本当の実力だとしたら、トータルのカウントも、もう30万以上にはなっているのでしょうが。まあ、アクセスカウンターなどは、ほんの目安に過ぎないわけで、それだけのためにあくせく細工をしていたのでは、アクセクカウンターになってしまいますけどね。
 と書いても、常連さんでしたら、「またいつものおやぢ」と軽く受け流すことが出来ますが、なんせ1日300人も訪れる中には、こういうのに慣れてない人もたくさんいらっしゃるわけです。そんなわけで、検索などで偶然ここにたどり着いた時には、ちょっと面白いリアクションを示す人が出てきます。先日届いたアンケートで、「ダウランドは、リュート歌曲を1000曲も作ったはずはない。何か根拠があれば教えてくれ」という趣旨の問い合わせがありました。確かに、私はこの近辺、ルネッサンスの音楽は大好きですが、ダウランドに関して特別に勉強したこともないし、彼がどんな曲をどのぐらい作ったかなど、全く知識として持ってはいません。しかし、他の作曲家、フォーレやモーツァルトについてはかなり突っ込んだことも書いているので、その関係で質問してきたのかな、と、最初は思っていました。しかし、よくよく考えてみると、前に1000=サウザンドで、「おやぢ」を作ったことがあったのですね。これがそうですが、「ダウランド」と「サウザンド」とは非常に似ていることから(誰がなんと言っても、似てます!)、「ダウランドは、リュート歌曲を1000(サウザンド)書いた」という、傑作(自分で言うな!)を生み出していたのです。
 しかし、これを真に受けて「1000曲も作ったはずはない」と思いこむ人が現実にいるのですから、こういうことに関しては、つくづく自分の感覚だけで判断してはいけないということが分かります。おそらく、これだけ説明しても、この「サウザンド」の意味が分からない、と言う人は確実に存在するのでしょうから。
 同じように、きのうの「禁断」あたりでは、タイトルにさるお店の名前が書いてあるので、あそこに書いたことがそのお店で起こったことだと思いこんだ人はいるでしょうね。じつは、あれは全くの引っかけ。事実をそのまま書いたのでは、ちょっとまずいことになるので、同じことを全く別の設定で書いて、その事実の面白さだけを伝えようという、かなり高度なテクニックを使って書いたのがあの「禁断」なのですよ。長年の読者であれば、おそらくそのあたりは分かってくれるはず、という甘えのもとに、このサイトは成り立っています。
aventure number : 0314 date : 2004/2/21


今日の禁断 カルピス

 東京は、春を通り越して殆ど初夏の陽気でした。道行く人もノースリーブは当たり前、タンクトップも珍しくありません。それどころか、中にはトップレスもいたりするので、田舎者は戸惑うばかり(願望、入ってます)。例の東北大学男声合唱団のOBの演奏会の本番が今日の2時からなので、「はやて」でやってきた私は、開演までおきまりのCD漁りです。愚妻は練習があるので一足先にきのうから東京入りしていますので、荷物も何もない身軽なスタイル、コートなど着ないで、春物のジャケットにしておいて、本当に良かったと思いながら渋谷の街をうろついていました。
 なんせ田舎者ですから、新宿の駅では乗り換えにしっかり迷ってしまいましたよ。なまじ知った振りをして地下道などに潜り込んでしまったからいけません。「京王新線はこちら」という表示があるので、改札を通ろうとしたら、ゲートが閉じて通れなくなってしまいました。駅員に聞いたら、隣の改札を指さして、「そこ通って、ホームの中をずっと行ってください」ですって。いわれるままにホームを端から端まで歩いたら、その先が京王新線だったという、2度と同じ道は通れないような経路で、やっと電車に乗れました。
 オペラシティのある初台では、たくさんの人が降りました。仙台の大学の合唱団の演奏会に、東京の人がこんなに来るなんて、ちょっと不思議。しかし、前もって混雑するかもしれないので、開場は1時間前という連絡があった通り、そんな風に手間取ってしまったため、1時15分に着いた時点では、1階席や、バルコニーの正面は殆ど満席になっていましたよ。この合唱団のOBの力は偉大です。もっとも、私は最初からステージのすぐそばのバルコニー席に座ることにしていましたから、そこはまだセーフ。しかし、結局、開演時には3階のバルコニーまで満席、空いていたのはオルガンの前の席だけというのですから、やはりすごいものです。
 演奏は、最初にやった清水脩の「月光とピエロ」が本当に素敵でした。5列に並んだ総勢100人の男声合唱は、指揮者のOさんの絞り出すような熱い指揮のもと、鳥肌の立つような重みのある演奏を繰り広げていました。それは、一昨年の暮れにこの曲の一部が仙台でアンコールとして演奏された時にも感じた、歌っている人全員の共感がそのまま伝わってくるような「力」のこもったものだったのです。
 そして、第2ステージで演奏されたOさんの作曲した混声合唱を歌った(愚妻は、このために参加)女声も交えてのアンコール「虹につづく道」が始まった時には、思わず胸が熱くなって涙が出てきてしまいました。というのも、これは男声合唱というよりも、その当時Oさんが指揮をして私も参加していた仙台放送合唱団の思い出につながるものだったからです。話せば長くなりますが、これは私のほとんど「青春」につながる曲なのです。といっても、これは大半の男声OBには関係のないこと。ですから、この演奏会でこれを持ってくるのは本当は反則なのですけどね。
 もし、今日のメインであるOさんの男声合唱曲、そして、その前に演奏された混声合唱曲の歌詞が、ほんの少しでも「虹につづく道」の岩谷時子の様に音楽的なものであり、Oさんの曲が「ピエロ」のように共感を呼ぶものであったならば、このアンコールを聴いた時点で、この演奏に参加しなかったことを、心から悔やんでいたことでしょう。
aventure number : 0315 date : 2004/2/22


今日の禁断 抗生物質

 喉の具合がおかしいのに気付いたのは、ちょうど3週間前の練習の時でした。それからの経緯はご存じのとおりですが、今でもまだ少し咳が出たりします。こういう症状は今までに何度かあったのですが、こんなに長引くのはちょっと経験がありません。そこで、愚妻が騒ぎ出しました。「放って置いて、気管支炎や肺炎になったら、どうするの。私たちにも伝染るじゃない。」私の体を心配して言っているのではないことは、明らかですね。あくまで、伝染されたくないと。「早く病院に行ってちょうだいよ」と言われれば、仕方がありません。そんな必要はないのですが、一応病院に行くことにしましょう。
 案の定、私が良く行く(といっても、最近はご無沙汰)内科のお医者さんは、軽く聴診器を当てただけで、「大したことありませんね。お薬出しておきましょう」と言うだけでした。さすがに、あまりに手応えがなかったので、「気管支炎の心配はないのですか」と食い下がってみたら、「じゃ、念のため、レントゲン撮っておきましょうか」と言う程度のリアクション。結局それも異常はなく、お隣の薬局で山ほどの薬をもらって帰ってきました。
 薬は食後に飲めとのことだったので、昼食後にその4種類の薬を飲んでみました。薬局の人が「これは眠くなるので、車の運転には気を付けてください」と言っていた顆粒も、車に乗るのは夕方なので、そのまま飲んでしまいました。しかし、これがほんとに眠くなるもので、午後は殆ど居眠りのしっぱなし、誰かから電話がかかってきたみたいですが、なんだか夢の中で話しているようでした。夕方にはだいぶ醒めてはきたものの、車を運転すると何か変な感じ、ちょっと注意力が散漫になっているのが分かります。私は経験がありませんが、酔っぱらい運転というのは、こんな感じなのでしょうか。普段殆ど薬などは飲まない分、効き目も強いのでしょうね。ですから、練習が始まっても、なんだかボーっとして、あまり力が入りません。もうこれからは、昼間にはこの顆粒を飲むのはやめることにしましょう。
 ところで、先日のゲルギエフのCD、もう買ってしまった人のために、こんな「お詫び」が出ています。「全曲を通してお聴きいた(だ)く場合は、なんら支障なくお聴きいただけます。」と言う言い訳が、なかなかですね。こんな手間を掛けさせたのは、全て私が欠陥を発見したから、「余計なことをしやがって」というメーカーの声が聞こえてきそうですね。ただ、私がもう1日早く気付いていたら、製品が店頭に並ぶことはなかったことでしょう。結果的には、絶妙のタイミングでほんのわずかの不良品が出回ってしまったわけですが、こんな「珍品」、タダで良品に交換してくれると言っても、マニアだったら手放したくはないでしょうね。いずれ、それこそネットオークションで高値で落札した人が、送金しても物が届かないと嘆いたりすることがあれば、それも私のせいなのでしょうね。
 きのうの夜6時頃、26万のキリ番をゲットした方は、いませんか?
aventure number : 0316 date : 2004/2/24


今日の禁断 テオフィル

 もはや、国民的な番組となった「トリビアの泉」ですが(なにしろ、某国の大使までが「銀の脳」とか言っているそうですから)、最近はさすがに深刻なネタ切れに陥っているようですね。ひところのように、心から「へぇ」と言えるようなものには、なかなかお目にかかれなくなっています。そんな中で、最近音楽のネタが良く見られるようになったのは、そのあたりにまだ「役に立たない知識」の鉱脈があるという目論見からでしょうか。
 実際、先々週の「指揮棒を・・・足に刺して死んだ人がいる」というトリビアは、我々クラシック・ファンにとってはお馴染みの出来事ですが、普通の人には確かに新鮮な驚きとなったことでしょう。この程度のものが十分トリビアとして成り立つということからは、はからずも、この国ではクラシック・ファンというものがいかに少ない、絶滅寸前の人種であるかが明らかになってしまいます。
 先週の、「モーツァルトには・・・『俺の○○をなめろ』という曲がある」に至っては、正直「何でこんなのが?」という気持ちは隠せませんでした。なにしろ、こういったモーツァルトの性癖を赤裸々に描いて、アカデミー賞まで獲得した「アマデウス」という映画が公開されたり、没後200年を機会にさんざん話題に上ったりと、その実像はかなり大衆の間に浸透しているはずだと思っていたから。ですから、そんなモーツァルトがこういうタイトルで曲を作るのが、そんなに意外なのか、と、普通は思ってしまうでしょう。もちろん、私はこのK 231のカノンのCDは持っていますし、さらに、K 233が、「俺の○○をしっかりなめろ」という、さらに過激なタイトルであることも知っています(正確には、K 233の方は偽作であることが確実視されているそうですが)。それは、決して特別なことではなく、平凡なクラシック・ファンであれば誰でも持っているはずの知識なのですよ。それが一般社会ではさも特別なことのように扱われるというのは、やはりクラシックというジャンルがいかに特別なものであるかの証になるわけです。
 今週の「鼻笛」だって、ごく当たり前の知識、この楽器を演奏している映像こそ初めて見ましたが、楽器の存在やそれを吹いて(fuiteではなく、huiteと書けば、何か鼻から息を出してるように見えません?)いる絵は、ごく日常的なものです。
 そんな私でさえ知らなかったことに、最近遭遇しました。これだったら、文句なしの「金の脳」でしょう。それは、
 「モーツァルトは・・・アマデウスという名前ではなかった」
 このネタは、近々「おやじ」で披露する予定。もしこれが「トリビアの泉」に投稿されたとしたら、それはこのサイト、ひいてはその元ネタのパクリです。
aventure number : 0317 date : 2004/2/26


今日の禁断 エオンタ

 この2、3日、私にとってはとても気の重いことがありました。だいぶ前、0266でちょっと書いたことがあったピアニストの方が、いよいよ仙台にやって来ることになったのです。このスーパー・ヴィルトゥオーゾ・ピアニスト、私の大好きなクセナキスやリゲティ、メシアンなどにかけては、おそらく世界で1、2を争うテクニックと表現力を備えている人として、私の中では殆どアイドルと言って良いほどの存在になっていました。実は、あの時のひろこさんの伝手をたどって、図々しくも、密かにメール、なども出させて頂いていたのです。その人が、仙台フィルの定期に出演して、韓国の現代作曲家の曲を初演すると言うではありませんか。間近で彼の演奏が聴けるなんて夢のよう、早々とチケットを入手して、この日が来るのを指折り数えて待っていたのですよ。もちろん、演奏を聴くだけではなく、出来たら本人に会ってもみたいじゃありませんか。ですから、やはりひろこさんを通して食べ物の好みもリサーチ、お土産を用意して、楽屋を訪問する準備に、余念がありませんでした。しかし、果たして、あの世界的なピアニストが、私のような一介の素人になんか会ってくれるのでしょうか。はたとそのことに気付くと、楽しみよりは不安の方が大きくのしかかってくるようになってしまいました。そもそも、私は極端な恥ずかしがり屋、見知らぬ人と話をすることなど、もっとも苦手としていたはずでした。
 そんな、暗澹とした気持ちで、コンサートの会場を訪れます。行ってみると、受付に「出演者への花束はこちら」みたいな表示がありました。そうだ、今日のところはまず確実に届けられるように、こちらに預けた方が良いだろう、そうすれば、気持ちだけは伝わるはずだ、と悟った私は、「仙台駄菓子」が入った袋に名前を書いて、そっと、その机の上に置いたのでした。
 彼の出番はコンサートの前半、そのコンチェルトが終わったら、私は曲の素晴らしさと、圧倒的な演奏にすっかり打ちのめされてしまいました。そして、こんな凄い人がすぐそばに居て、もしかしたら会って話が出来るかもしれないのに、何もしなかったらもはやこんな機会は一生ないかもしれない、そう思ったら、いつの間にか自然に楽屋へと足が向いていたのです。
 彼は、まだ楽屋へは戻って居らず、ピアノ倉庫のあたりで誰かと話していました。遠慮がちに近づいて、おずおず自己紹介をしたら、何と、すぐ私のことを分かってくれたではありませんか。何とも気さくに、まるで昔からの知り合いのように、どんどん話しかけてくれます。お陰で、シャイな私も乗せられてごく自然に受け答えが出来るという、信じられないような展開です。さらに信じられないことが起こりました。ステマネの人が、出番の終わった彼にホテルへ帰るのか、そのまま聴いているのか聞いてきたら、「ほな、客席で聴きますわ(京都弁)」と言って、タキシードを着たまま、客席の中を、たまたま空いていた私の隣の席まで、一緒に歩いてきたのです。たった今ソロを弾いたばかりのピアニストと並んで座って残りのシンフォニーを聴けるなんて、ほんと、夢のようでした。
aventure number : 0318 date : 2004/2/27


今日の禁断 一つ振り

 予想されたことですが、きのうの指揮者練習の会場に行ったら、定期を聴きに来ていた人から、「前からのお知り合いだったのですか?」と聞かれてしまいましたよ。そのぐらい、あのピアニストは気さくな方だったということ。ヒレカツ先生も、やはり同じように会場に来てらしたようで、早速いつもの格調高い批評を寄せてくれました。ご高齢なのですから、余りご無理なさらないようにお願いしたいものです。せっかくですから早速きのう練習に行く前にアップさせて頂きました。
 その岩村さんの練習会場は、青年文化の交流ホール、同じ時間にコンサートホールで仙台フィルの定期の2日目ですから、彼が演奏している間に、私はオケの練習をしているということになります。なんか不思議な巡り合わせ。それよりも、実は、この方と岩村さんは、ちょっと前に一緒に仕事をなさったことがあるのですよ。そのことを前日に話してありますから、もしかしたら出番が終わってひょっこり顔を出したりするかもしれませんね。
 岩村さんの方は、なにしろ多忙ですから、6時から9時まで予定されている練習のために、仙台に着くのは新幹線が5時半、それから地下鉄で旭ヶ丘に着くのは5時50分ですって。帰りも、最終の新幹線(9時半)に乗るために、ギリギリまで練習をしてまた地下鉄に乗り込むのですから、スリルがありますね。そんな、本当に貴重な時間を使った練習は、いやが上にも集中力のみなぎった、無駄のないものになります。「ドン・ファン」は後半だけを練習しましたが、これも確かに合理的、普通は最初から始めますから、どうしても後の方は時間が足らなくなって充分に出来なくなってしまうのですよね。そんなところを見越して、全体を考えての時間配分、さすがです。その代わり、おそらくもう2度とはやらないと思われるような丁寧な練習が繰り返されました。特に、木管が難しくて苦手だと思っていたところが、容赦なくつつかれます。つまり、ここでやったことは、決して忘れてはいけない、次に来た時にちゃんと出来なければなんの意味もないという、ある意味大変シビアな練習だったわけです。その時出来て「ブラヴォー」と言われても、それはこれからも完璧に出来るという約束をさせられたようなものなのですから、決して安心することは出来ませんよ。
 ブラームスも、3楽章まできちんと仕上げるという、奇跡のような時間配分で、タイム・アップ、岩村さんはそのまま地下鉄へ直行です。と、その時、私の携帯が鳴りました。それは例のピアニストの方。きのう名刺を渡してあったので、番号は分かったのでしょう。実は、少し前も呼び出し(バイブ)があったのは知っていたのですが、演奏している最中だったので出ることは出来ませんでした。「たった今、お帰りになったところです!」と言ったら、「岩村さ〜ん」とか叫びながら、地下鉄の改札の方へ走って行かれたようですね。それからどうなったのかは、私には分かりません。
aventure number : 0319 date : 2004/2/29


今日の禁断 ○コー

 今回の「かいほうげん」は、作り始めた時から障害の連続でした。例の瀬尾さんにこの間の写真を送ったところ、折り返し、近々パリで行われるリサイタルのチラシを送って下さいました。ちょうど1ページ分中身が決まらないスペースがあったので、喜んで使わせて頂きましょう。その版下が出来上がったので、一応瀬尾さんにはメール添付でご報告です。まさか「載せないで下さい」なんて言うわけはありませんから、その間に、印刷を始めてしまいます。いつも手順として、最初は一番内側に来る「おやぢの部屋」が入った4ページ、その中に、この瀬尾さんのページも入っています。
 瀬尾さんから「OKです。しかし、名前が違います」という返事が届いた時には、一瞬目の前が真っ暗になってしまいました。確かに、瀬尾さんの共演者の方の名前の漢字が、1字違っていたのです。その時には、130枚全部の印刷が終わっていました。前にも、同じように印刷が終わってからミスが分かったことがあって、その時は、別なページに訂正記事を載せたのですが、出来ればそんなかっこわるいことは避けたいもの、幸い時間に余裕はありますから、刷り直しです。
 きのうは、順調に2枚目の印刷にかかっていました。少しほったらかして、その間に事務局まで行って、企画書と一緒に発送するチケットを受け取ってきます。あ、そんなわけでチケットが出来ましたから、チケットプレゼントを始めましたので、奮ってご応募下さい。それはともかく、そのチケットを持ち帰って、印刷の傍ら宛名を貼り付けたり袋詰めをしたり、印刷が終わってから郵便局に行っても充分間に合うでしょう。ところが、そのあたりから、今まで何でもなかったコピー機におかしなそぶりが現れます。「トナー交換」のサインが出たので交換しようと中を開けてみたのですが、トナーはまだ半分以上残っているのです。そのまま元に戻してフタを閉めると、今度は別のトナーが「交換して下さい」。結局、全てのトナーが、まだ充分残っているにもかかわらず「交換が必要」ということになってしまったのです。仕方がありません。私の手には負えませんから、サービスを呼びましょう。もう遅いので、来るのは明日でしょうから、郵便を出してきましょうか。ところが、郵便局から帰ってきたら、勤勉なサービスマンが、もう来ているではありませんか。結局、感光ドラム交換など結構手間取って(バイク便で部品を届けてもらったり)、帰ったのが7時、それから練習に向かったら、完全に遅刻してしまいましたよ。もっとも、管パートとは言え、フルートパートでは私が最初だったのですが。
 今日になって、表紙や裏表紙も完成、チェックのため事務局に送ったら、今度はものすごいニュースが転がり込んできました。またまた団内結婚を成就したカップルが現れたというのです。これで、3号連続で団内カップルのご紹介が出来ることになりましたよ。といっても、あまり急だったので、今回ばかりは写真も、そしてスペースも全くありません。あと1日早ければ、充分なレイアウトで展開出来たのに。
aventure number : 0320 date : 2004/3/3

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