0241(03/10/13)-0260(03/11/17)

今日の禁断 鉛筆

 最後の指揮者練習の2日目は、そんな内輪の(団扇の)セレモニーで始まりました。しかし、合奏が始まるまでには、もう一つのセレモニーをこなさなければなりません。この前の技術委員会で保留になっていた中曲の最後の結論を出すための話し合いが、トイレへの通り道である、小学校の教室の前の廊下で行われたのです。結局、予想されたとおり、「ドン・ファンで頑張りましょう」ということになりました。大変なことになりましたね。ニューフィルに入ったからには、もはや楽をして演奏会を迎えようなどという甘い考えは、きっぱり捨てなければいけないのです。
 ところで、きのう、「のだめ」の7巻を3号に貸してあげたら、早速読み終えたということで、休憩時間に返してくれました。そばにいたヘビーユーザーのせつこさんが、最近禁断をにぎわしているネタの現物に興味を示されたので、早速そのまま貸してあげました。これで、また一人「のだめ」ファンが増えれば、「あ」の思うつぼなのでしょう。その席で、私は大変なミスを犯してしまいました。昨日いらっしゃった瀬尾さんから「お土産」というか「お礼」という感じでチョコレートをいただいたということを、うっかり口にしてしまったのです。その事実を知ったフルートパートの2号と4号の憤りは、尋常なものではありませんでした。「何で私たちのところに持ってきてくれなかったんですか!」。6号に言わせれば、「今ニューフィル内で最もまとまりがあるパート」であったフルートパートは、女性心理への心配りがほんの少し不足していた私のせいで、猜疑心と妬みの渦巻く伏魔殿になってしまったのです。まるで、映画かドラマみたい。
 というのは、新しいコンテンツ、「禁断もおしょんぴくちゃあ」のプロモーションのための「振り」ですから、ご安心を。「禁断」や、その前の「日記」の中で、映画についてコメントした部分へのショートカットを作ってみました。アップしたのは昨日なのですが、あまり目にとまらなかったようなので。
 紙面がつきてしまい、肝心の練習のコメントが書けませんでした。すみませんね。
【禁断崩し・・・240ビートルズ】
 瀬尾さんの奥さんというのは、大のビートルズ・ファン。きのうの車の中でも、ニューアルバム(!)についての熱い思いを語ってくれました。「スペクターが・・・」とか「アンソロジーで・・・」とか、ファンと言うよりはフリークです。
aventure number : 0241 date : 2003/10/13


今日の禁断 うさぎ

 指揮者練習を終え、本番前の会場練習まで、何もない日が3日も続きます。もちろん「何もない」とは言っても、それは単にオケとしての練習がないというだけであって、各個人が最後の仕上げの練習を黙々とこなすのは、言うまでもありません。頑張ってください。ということで、本番までのテンションを下げないためにも、きのう書ききれなかったネタで行ってみましょう。
 きのうは、午前中は弦だけの分奏だったので、私が体育館に着いたのはお昼過ぎでした。そうしたら、体育館のあちこちではこんな光景が。
 最近の指揮者練習では、お昼休みは1時間しかないので、各自食べるものを持ってくるのがほとんど習慣になっています。ですから、弦楽器の人たちはそれぞれ仲良しグループが思い思いの場所に陣取って、まるでピクニックのような楽しいお昼ごはんの時間を楽しんでいたのです。ほとんどの人はコンビニで買ってきたパンなどですが、中にはかわいらしいお弁当を作ってきたりした28号なども。6号はもちろん、いつものコーヒー。
 ちょっとかわいそうなのは、床に座ったり、階段のようなところに腰掛けたりと、ちょっと食事の雰囲気とはかけ離れたセッティング。今度からは、せめてシートでも持ってきてその上に座るようにすれば、少しは楽しさも増すことでしょう。もちろん、そのシートはキティちゃんやプーさんが描いてあるものがよいでしょう。建築用のブルーシートでは、まるでホームレスみたいですから。
 そんな中に、団員と同じように体育館で食事をしている指揮者の森口さんの姿を発見しました。きちんと専用の椅子と机を使ってはいましたが、特に指揮者だからといって格別のおもてなしを受けているわけではありませんでした。そのあたりが森口さんの気さくなところなのでしょう。今までの、ちょっと近づきがたい印象を持っていた指揮者に慣れた目には、とても新鮮に感じられます。そんな森口さんに率いられた今度の演奏会、私たちの力を全面的に信じてくれている指揮者の下で、全力を尽くせば、自ずと結果は現れることでしょう。
aventure number : 0242 date : 2003/10/14


今日の禁断 テレキャスター

 練習の日程表を作るために、会場が確保できた時点で連絡が入るのは、毎週の決まり事になっています。「○日の旭ヶ丘、取れました」というFAXによって、2ヶ月先の予定が6号から届くのは、もう何年も続いた習慣です。そのFAXが、今日も届きました。いつもは用件しか書かれていないのですが、今日は、そのあとに「それでは、後ほど・・・」と書かれています。別に、今日はデートの約束はしていなかったはず(多分)、練習で顔を合わせるのは明日ですから、「後ほど」というのはちょっと意味が分かりません。
 不審な気持ちを引きずりながら、メールチェックです。例によって、ほとんど英文のタイトルのいたずらメールが山ほど来ているので、これらは即削除、残ったのが、見慣れない差出人からの「Y江さ〜ん」というタイトルのものです。でも、なんだかその差出人、6号の本名に似ています。いや、まさに6号の名前そのものではないですか。だいぶ前にパソコンを買ったと言うことは聞いていました。インターネットにつないで、ホームページを見ているということも、風の噂に聞きました。しかし、メールに関してはかたくなに導入を拒み続けてきた6号。そうです。そのメールは、まさにその6号が私に出した初めての、歴史的なメールだったのです。そして、そのことは、とりもなおさず、全ての愛人が初めてメールによって結ばれたという事実を物語っています。おめでとうございます。この次は携帯電話でしょうか。
 ところで、「禁あば」もたまには間違ったことを書くことがあります。それは0235の達郎ネタ。竹内まりやのニューアルバムについて、「プロデュースは達郎」と書いたのですが、その後の「サンソン」で、プロデュースはまりや自身であることが分かりました。ここに謹んで訂正させて頂きます。そこで、その裏を取るためにあそこでリンクしたサイトに行ってみたら、新しく「プロモーション用資料」というのがアップされていました。その名の通り、いわば私が作った企画書のように、このアルバムのことをマスコミで紹介する時の参考のために用意されたものです。しかし、これを読んで頂ければ分かりますが、その内容はなかなかのものがあります。この文章は、おそらく達郎自身が書いたものでしょう。カヴァー・アルバムを作る際の、並々ならぬ決意というか、志の高さを感じないわけにはいきません。私は、すでに実際の音をラジオで聴いていますが、確かにその限りなくオリジナルに近い仕上がりには、最初はある種のとまどいを感じてしまったものです。しかし、このような制作意図を読んでしまうと、逆にその仕事の緻密さに圧倒される思いに駆られます。翻ってクラシックの世界を眺めてみると、果たしてこれほどの信念を持ってアルバムを作っている人がいるのか、という素朴な疑問が生まれるのを、押しとどめることは出来ません。というか、次回はこのぐらいの企画書が書けたらいいな〜・・・、とか。
【禁断崩し・・・242うさぎ】
aventure number : 0243 date : 2003/10/16


今日の禁断 居眠り

 いよいよ待ちに待った定期演奏会を明日に控えて、本番の会場である県民会館でのリハーサルです。ステージの山台組みなどがあるので5時半の集合、少し早めに出ようと車に乗ったら、瀬尾さんから電話がかかってきました。今日は、午後から別のところでコンサートがあったのですが、それが終わってもう近くまで来ているので、駐車場のことなどを聞いてきたのです。やはり、私は頼られていますね。それで、私もすぐ行くと答えて、楽屋口から入るように教えてあげました。
 県民会館に着いたら、ちょうど楽器が着いたところ、まだ人はあまり来ていないので、山台は人が揃ってからでしょう。それより、きちんと楽屋も本番同様に用意してあるというので、瀬尾さんが来たら案内できるように、入り口近くの「受付」で待機していましょう。しばらくして29号が、「今、駐車場で先生とお会いしました」と言いながら入ってきました。もう駐車場に入ったんですね。だったら、もうすぐ現れることでしょう。しかし、しばらく経っても瀬尾さんが来る気配はありません。楽屋口を入る人は必ずこの前を通るはずですから、見逃すわけはありませんし。あまり遅いので、楽屋のそばに行ってみたら、中からフルートの音が聞こえます。早速ノックして入ってみると、やはり瀬尾さんご夫妻。どうやら楽屋口が分からなくて、正面から入ってしまい、私の目にはとまらなかったのですね。それからしばらく今日やってきたコンサートの話とか、楽屋にステージのモニターがあったので、これを見て適当なタイミングで登場してくれなどという打ち合わせをすませて、私は練習開始です。
 何回も書いていますが、「はげ山」の最後のソロと、それに続く高い音の伸ばしは、今まで満足に吹けたためしがありません。この間の指揮練も、1勝2敗という悲惨さ。このところは、そこをクリアするためのコンディション作りだけに専念していました。しかし、コンディションなどというものは、ちょっと油断をしているとすぐ変わってしまいます。せっかく上向いてきた調子が、いつ崩れるかは、誰にも分かりません。幸い、今日のところは大きな崩れはなく行けそうです。最初にやった「はげ山」の通し、どうやらうまくいったみたいです。しかし、今までソロに関しては何も言ったことがなかった指揮者は、最後の最後に注文を出してきました。それで、そこをもう1度。出来は、あまり良くありません。しかし、森口さんは親指を立てて「良かったよ」というジェスチャー、後ろの方からは拍手なども聞こえます。まあ、それよりも、明日の本番でどうなるか。気は抜けません。
 続いてのコンチェルト、瀬尾さんは、ほとんど暗譜でハチャトゥリアンを吹ききってしまいました。さっきは「今日試してみてどうしても無理だったら譜面を見る」みたいな自信のない振りをしていましたが、これだったら明日は完璧なものが出来上がっていることでしょう。今日初めて披露されたカデンツは、やはり予想通りガロワのもの、2つの音を同時にならす「重音」などもきちんとコピーしていました。瀬尾さんの力強い、それでいてまろやかな音は、広い県民会館の隅々にまで響き渡っていました。
 コンチェルトが終わると、すぐお帰りになって練習すると言うことなので、休憩時間にフルートパートの3人で楽屋におじゃまして、少しおしゃべり。モニターを見ていたようで、「はげ山のソロ、難なく吹いていましたね」と奥さん。他人が聴くと、そんなに苦労しているようには見えないのかも知れませんね。そのままお見送りをして、最後のシューマンの練習です。と、3楽章の途中で瀬尾さんからの電話。アシはちょうど休みのところだったので、あわてて舞台の袖まで行って電話を受けたら、明日のスケジュールについての変更の連絡でした。練習が終わったところで、それを私が指揮者に伝えるという段取りを任されて、とことん頼りにされていることを改めて実感したのでした。
aventure number : 0244 date : 2003/10/17


今日の禁断 張り子の虎

 瀬尾さんの演奏の心地よい余韻を、どのように表現したらよいのでしょう。定期演奏会のコンチェルトだけではなく、その翌日のサロンコンサートでも、至近距離で目のあたり(耳のあたり)にしたとても人間技とは思えない華麗なテクニックとフルート1本で吹いているとは到底思えない豊かな音は、今も耳の中で響いています。
 定期演奏会の本番、ゲネプロはあっさりしたものでした。シンフォニーを先にやって、少し休憩を挟んでからの合わせ、客席には、仙台フィルのY田さんの姿も見えました。この方は瀬尾さんの奥さんのかつての恩師、客席でご挨拶している姿もステージからはよく見えました。瀬尾さんは譜面すらも持たないで現れます。もうすっかり暗譜は完了しているのでしょう。いかにも自信ありげな風情、何か余裕すら感じられます。それにしても、森口さんは、なぜ第3楽章を瀬尾さんに合わせようとしないのでしょう。何か一途なポリシーでもあるのでしょうか、はたからはムキになってインテンポという我を通しているようにしか見えません。最後に「はげ山」ですから、もちろん前の日のようなコンディションはどこかへ行ってしまって私のソロは最悪。嫌な予感がします。
 なにはともあれ、夕食のお弁当が出ていますから、出来れば瀬尾さんたちと一緒に食べたいと楽屋へ行くと、瀬尾さんは「モスが食べたい」ということで、奥さんが買いに行くところでした。帰ってくるのを待って、フルートパートの3人と一緒に、楽屋で会食です。なんの話からか、奥さんが瀬尾さんの失敗談などを話し始めたものですから、こちらも調子に乗って本番でピアニストを待たせてしまった私の伝説的なラフマニノフの事故を自慢げに話したりします。「こんな話、本番の前にするものではありませんね」と、大笑い。そんなことをやっている内に、もう開場1時間前になってしまいました。コーヒーでも飲もうとロビーに行くと、もう外には入場者の列が出来ています。案の定、開場を5分繰り上げるほど、待っている人は多かったようです。
 ステージに出てみると、実際かなり入っています。前の方が少し空いている以外は3階までほぼ満席、やはり、瀬尾さん目当てのお客さんは多かったのでしょう。これでは、恥ずかしいことは出来ません。最上のコンディションとは言えませんが、きちんといつも通りの音が出ていることをチェックしながら吹いていれば、自ずと普段通りの演奏は出来るはずだと信じて、やるしかありません。その甲斐あって、何とかソロもクリア、あとはきちんと瀬尾さんのバックをつとめれば、今日の私の役割は終わりです。
 瀬尾さんが登場して、初めて、その「コシノ・ジュンコ」を見ることが出来ました。「きっとびっくりしますよ」を言われていたので、どんな奇抜なデザインか興味津々だったのですが、形としてはちょっと長めの丈の「貴族」といった感じの衣装、師ガロワが着ているものとよく似ています。しかし、その衣装は、全く予想も付かないことで、私たちを驚かせてくれました。なんと、前身頃とそで、そして後ろに、筋状にラメが入っていたのです。遠くから見ると、それは点ではなく、テープか何かを貼ってあるように見えます。思わず、「スパイダーマンだね」と、隣のあっチャンに話しかけてしまいましたよ。森口さんは普通の燕尾服でしたから、そのお洒落度はいやが上にも際立ちます。
 演奏は、きのうのものにさらに磨きがかけられていました。多少自信なげだった部分は見事になくなり、さも当然のごとく、確信に満ちたフレーズが次々に繰り出されていきます。その、あまりの完成度の高さと、みなぎる緊張感のせいでしょうか、1楽章が終わったところで盛大な拍手がわき上がりました。お客さんの気持ちは、実によく分かります。快調に進んでいったとき、3楽章の途中で、その事故らしきものは起こりました。しかし、そこでの森口さんの対応の見事だったこと。こればかりは、「さすが、プロの指揮者」と思わせられるもの、正直言って、彼にこれほどの力があるとは、その時までは全く思っていませんでしたから。こうなれば、あとは瀬尾さんの独壇場、その超絶技巧はいやが上にも輝きを増し、歴史的な、ハチャトゥリアンのフルート協奏曲の仙台初演は、華麗に幕を下ろしたのでした。
 そして、鳴りやまぬ拍手に答えてのアンコールです。それは、前もって「これしかないでしょう」とおっしゃっていたドビュッシーの「シランクス」。満員のお客さんを前にして、余裕を持って「タメ」の入った、深い演奏です。最後のDbの伸ばしのすごかったこと。もうすっかり音が無くなっているはずなのに、いつまで経ってもまだ聞こえているという状態が、いったい何時間(!)続いたことでしょう。
 袖に下がったら、瀬尾さんは花束を抱えて待っていました。「やったでしょう?」「ええ」などと、謎めいた会話。これもご愛敬です。そのうち、Y元さんなどもやってきて、瀬尾さんを囲んで話に花が咲きます。私は、アンコール用のピッコロを持ちに楽屋へ降りていきました。
 シューマンは、私としてはもはや余裕、しっかり指揮者の様子を見させて頂きましょう。今になって気づくのは、その雄弁なボディランゲージ、しかし、練習の段階でこれほど内容のある指摘が言葉でなされたことが果たしてあったでしょうか。私たちは、言葉ではなく、まさに仕草を通してこそ、彼のイメージを受け取るべきだったのではないでしょうか。しかし、この本番のステージで、メンバーは見事にそのイメージを音にしています。特に、弦楽器の表情豊かなことと言ったらどうでしょう。いったいいつの間にこんなにうまくなってしまったのでしょう。
 打ち上げは、なぜかいつもより参加者が少なめ、しかし、その分、密接な会話があちこちで生まれていました。瀬尾さんたちも今までフルートパートが半ば独占していたものが、ここに来て一斉に全団的なアイドルに。スコアにサインをねだったり、一緒に写真に収まったりと、大忙しです。実は、お客さんに販売するためにCDを持ってきていたのですが、それが実現しなかったので、この場でお店を広げたところ、用意していた7枚のCDは即刻売り切れてしまいましたし。それから二次会までしっかり付き合って頂いて、1時近くに次の日の本番に備えるためお帰りになりました。半年に渡った、瀬尾さんとニューフィルとの関係は、これでひとまず終了です。和紀クン(あ、これは瀬尾さんではなくて、うちの団員)に、「心労が多かったでしょう」と聞かれてはたと気づいたのですが、この半年間、普通こういう渉外に当たる人が感じるであろう重荷感を、私は全く感じることがありませんでした。自分自身でも、これは驚き、私はこんな面倒くさいことが大嫌いな人間だったはずなのに。結局、ほとんど「友人を仲間に紹介する」という程度の軽いノリで終始事を運ぶことが出来たのが、辛いはずの仕事をこんなに楽しく続けられた最大の要因だったのでしょう。そんな、得難い体験をさせてくれたニューフィルと、そしてもちろん瀬尾さんに、感謝です。
 一夜明けて、なぜか朝からマンションの防災訓練でバケツリレーの練習などをさせられたあとは、瀬尾さんが出演する「サロンコンサート」を聴きにいきました。限定18人という、まるで秘密クラブの会員の様なチケットを入手できたのは、ニューフィルではフルートパートの3人だけ、それに、私の身内を含め、4人で目指す「北山クラブ」へ。ちょっと広めのレッスン室という感じの部屋に入ってみると、参加者の半数以上は、実は知り合いだったということが判明、本当に和気あいあいとした雰囲気で瀬尾さんと、今ツアーで全国を回っているパートナー、ピアノのローラン・ワグシャルの演奏を、心から楽しみました。しかも、それは予想を大きく上回る内容だったのです。「サロン」などというから、あっさりしたものを想像していたのですが、実際に行われたのはまさにフルのリサイタル、普通に大ホールで行われるものと何ら変わらない濃厚なものだったのですから。前半はラヴェルの遺作のソナタ、もちろんヴァイオリンのためのもののトランスクリプション、いかにも瀬尾さんらしい選曲で始まりました。天井が低くて、瀬尾さんの強靱な音を余裕を持って響かせるのはちょっと困難なアコースティックスだからなおさら、フルートを超えた逞しい世界が広がります。次は定番のエネスコ。有名な曲ですが、いまだこれほどスリリングな、深みのある演奏を聴いたことがありませんでした。このフレーズはこんな意味を持っていたのかと、今さらながら気づかされることは数知れず。そして、そのあとのギーゼキングの変奏曲は、全く聴いたことのない曲。恐るべき壮大な内容を持った、最初に瀬尾さんで聴けたことが幸福だと感じられる作品、そして演奏です。
 休憩を挟んで、まずそれぞれのソロ。「シランクス」は前日聴いたばかりですが、聴衆のサイズに合わせての幾分コンパクトな演奏になっていたのが、興味深いところ。ワグシャルの「水の戯れ」は、このピアニストのセンスの良さが光ります。くさくなる一歩手前の「エスプリ」の心地よいこと。そして、やはり定番のデュティユー、これも、こんな事が出来るなんて考えもしなかった表現が随所に見られる恐るべき演奏です。続くメシアンは、このコンサートの主催者同様、私が最も期待していたものです。実は、生でこの曲を聴くのは確か初めて。フルートソロのカデンツを、楽器をピアノの中に入れて弦を共鳴させるというアイディア、これだけでもショッキングですが、瀬尾さんの揺るぎないテクニックで演奏されると、今まで聴いてきたものはいったい何だったのか、という思いに駆られてしまいます。最後の、やはりギーゼキングのソナタは、楽譜は持っていても音を聴くのは初めて、明日にでもさらってみようと言う気になります。
 アンコールはフォーレのシシリエンヌと、「クマバチ」。「クマバチ」はゴールウェイ版を、確実にゴールウェイより早いテンポで演奏するというものすごいものでした。
 終わったら、会場の真ん中にテーブルを据えて、「パーティー」の始まりです。サンドイッチと飲み物が用意されています。演奏者も交えての楽しい一時が始まるのでしょう。しかし、飲み物を注いで乾杯という時に、いきなり乾杯の音頭で私が指名されたのには、唖然としてしまいました。全くのお客様で訪れたはずのものが、いきなり全員の注目を浴びることになろうとは。もちろん、瀬尾さんがこのサロンにいるのは、元をたどれば私が瀬尾さんをニューフィルに呼んだことがきっかけになっているわけですから、あながち的はずれの人選ではないのでしょうが、私としては全く実感の伴わない役目、先ほどのようなノリも、世間的にはこのような立場に見られてしまうということなのですね。もちろん、しどろもどろの挨拶と、乾杯のご発声は有り難くやらせて頂きました。その頃になると、なんとしできさんがわざわざ瀬尾さんのためにビデオを届けに来たりなどという全く予想外の出来事、何ともめまぐるしく過ぎた2日間でした。
 というわけで、「禁断」史上最長の「あばんちゅうる」となりました。次回からは、普通のサイズに戻るはずです。
aventure number : 0245 date : 2003/10/19


今日の禁断 牛乳瓶

 きのうのサロンコンサート、お許しを得て本番中の写真を撮ることが出来ましたので、せめて画像だけででも、雰囲気を味わってみてください。
 フローリングのお部屋で、お客さんはスリッパですが、さすがに演奏者は靴を履いています。スリッパといえば、先週の指揮練の時に、体育館だということでスリッパが必要でした。私が名取まで瀬尾さんを迎えに行った時、一応瀬尾さんの分ということで1足スリッパを用意していったのですが、奥さんが一緒だということはうっかりして考えていませんでした。そこで、急遽、奥さんはご実家の携帯スリッパを借りて、それを体育館で使われていたのです。きのうのコンサートには奥さんのお母様もいらしていたのですが、休憩時間に瀬尾さんがお母様に何か手渡されています。どうも見覚えのあるもので、もしやと思ったら、やはり、先週お借りした携帯スリッパでした。瀬尾さんたちと一緒に西日本を一回りしたスリッパは、めでたくご自宅にお帰りになったことでしょう。
 パーティーの時には、主催者の求めに応じて、「他己紹介」というのをやらされました。私は主催者に紹介され、「ニューフィルの方をご紹介してください」ということで、ちほさんとあっチャンを紹介するという役目が回ってきたのです。ちほさんは「○田さん」とすんなり言えたのですが、あっチャンになってなぜか名字がすぐには出てきません。そこで口をついて出てきたのが、「□本さんです」という、あっチャンの名字に非常によく似た6号の名字でした。あわてて訂正したものの、こんな場で6号の名前が出てくるということの背景には、何か重大な秘密があるのかも知れませんね。
 ところで、こんなあわただしい毎日でしたので、公式ページのコンテンツ作りは遅々として進みません。一応マーキーをはずして、演奏会の案内を更新するのが精一杯、ご主人の方の○田さんが、まるで1号様が乗り移ったかのように精力的に撮りまくった写真も、したがって手つかずのままです。1号様の作品にはなかった、理性の片鱗がそこはかとなく漂うその写真たち、全世界へ向けて発信される日は必ずやってきます。
aventure number : 0246 date : 2003/10/20


今日の禁断 乾杯

 毎週火曜日は練習があるというのが、ニューフィルの習慣なのですが、さすがに3日前に本番があったばかりですから、今日はお休みです。そこで、映画でも見に行こうと、利府まで行ってきました。お目当ては「ジョニー・イングリッシュ」、アメリカあたりではかなりヒットしたようですが、日本での評判はイマイチ、公開されて1ヶ月も経っていないのに、今週いっぱいで終わってしまうというので、あわてて見に行ったわけです。「ミスター・ビーン」ことローワン・アトキンソンが主演のイギリス映画、しかもスパイもののパロディとくれば、面白くないわけがありません。モンティ・パイソンや、同じくイギリスの怪優ピーター・セラーズを思わせるようなブラックなギャグが見事に決まったお墓のシーンは最高!それを支える、手下役の人も、絶妙な突っ込みで笑わせてくれます。予告編でたびたび登場していた「ペン」や「回転寿司」は、もし予備知識なしで初めて見たらそれ以上に笑えたことでしょう。この辺が、予告編の功罪です。相手役のジョン・マルコビッチも、イギリス国王の座を狙うという、とんでもない設定、これなどは、いってみれば最大のジョークでしょう。こういう事をネタにして笑えるイギリス人は素敵です。日本でこんな事をやったら・・・。
 パーティーの会場では、なぜか「ボンド」が演奏していました。といっても、それはあくまでシーンのバックという感じのさりげなさ、これはタイアップなのか、もはや落ち目の彼女たちの最後のあがきなのかは、定かではありませんが。それよりもさりげなく、まるで最初から女優だったような顔をして登場していたのがナタリー・インブルーリア。「トーン」という大ヒット曲を持つオーストラリアのシンガーです。いかにも「謎の女」という、エキゾティックなマスクはなかなか魅力的、ハリウッド進出の予定もあるといいますから、楽しみです。すでにご存じのとおり、「禁断」の映画ネタへのショートカットを作っていますが、あのリストには私なりのこだわりが込められていることに、4号が気づいてくれたというのは、誰も気づかないだろうと思っていただけに、とても嬉しいことです。最後のキャストの欄に、必ずしも主演でない人が書かれているのが、その「こだわり」、そこには、私だけの選定基準が厳然と存在しているのです。したがって、この映画の場合は、迷わずインブルーリアが記入されることになるのです。
 最初の予定では、この映画は吹き替え版しか上映されないことになっていたみたいです。もちろん、ちゃんと字幕版を見ることが出来ましたが、マルコビッチの完璧なフランス訛りの英語の味は、吹き替えでは味わえなかったことでしょう。もちろん、「女王」のクイーンズ・イングリッシュも。
【禁断崩し・・・243テレキャスター】
 ご存じ、ストラトキャスターと並んで有名な、フェンダーのエレキギター。まりやのニューアルバムのジャケットに堂々と登場しているのが、彼女の愛器であるこのモデルです。
aventure number : 0247 date : 2003/10/21


今日の禁断 外山雄三

 前にもちょっと書いたことがありますが、自分が良く行くサイトを登録しておくと、代わりに見に行って更新してあれば教えてくれるという便利なサービスをやっている「はてなアンテナ」というところがあります。別に、私が登録しているわけではないのですが、たまたま検索して、この「禁あば」を登録している人を見付けてからというもの、そこを「お気に入り」にして、暇があれば覗きに行っています。その方が登録しているのは膨大な量のサイトなのですが、いくらかカテゴリーに分かれていて、その中の「クラシック」部門だけを抽出することが出来るので、見に行くのはもっぱらそこだけですが。
 好みが私とよく似ているようで、そこからは、N響のファンのサイトとか、お馴染み「フォルカー」や「クラシカ」がリンクされていて、更新がある度に、適当な長さのテキストと一緒に、上の方にのぼってきます。「禁あば」はさすがに全文は無理ですが、物によってはそこで全部読めてしまうので、わざわざ元のサイトまで行く必要もないぐらい。なかなか重宝しています。
 もっと役に立つのが、HMVのサイト。このショップは、ネットによるセールスにかなりの力を入れているようで、ちゃんと専任のスタッフを擁してものすごい速さで更新を行っていますから、いつ「はてな」に行っても新しい情報に変わっているのはさすが。ですから、そこで何か目を引く物を見付けたら、実際に行ってみて詳細を確認すればよいのです。これは便利。というのも、こういう小売店では、これから入荷するCDのインフォメーションがメーカーや輸入業者から送られてきて、それを元に注文するというシステムになっているのでしょうが、その、お店の人のための「虎の巻」であるインフォメーションがそのままサイトで見ることが出来るのですから。だから、これを読んでネタを仕入れておけば、その辺のレコード屋さんを相手に逆に蘊蓄をかますことだって出来てしまいますよ。「何でそんなこと、知ってんですか?」とびっくりされたりして。
 NHKのテレビの番組も、クラシックだけ抜き出してリンクされていますから、とても便利。雑誌には載っていない詳しい曲目や、直前で変更になった物をチェックすることも出来ます。それを元に、「ウィーン・フォルクスオーパー・モーツァルト・アンサンブル」などという、フルートの入ったカルテットを見付けたので、録画も出来ましたし。もっとも、その演奏はいかにも水準が低く、つい最近瀬尾さんの音を聴いた耳にはちょっとつらいものがありましたが。
 その「はてな」の登録者は、私のサイトを気に入ってくれているみたいで、「禁あば」の他に、「おやぢの部屋」と「更新情報」を登録してくれています。だから、私の楽しみは、更新したあとに「はてな」を見に行って、順位を確認すること。一番上に「禁あば」があったりすると、ちょっと嬉しくなってしまいます。ですから、これを読んだからといって、登録を抹消したりしないでくださいね。薗○さん。
【禁断崩し・・・247乾杯】
 アトキンソンとインブルーリアが回転寿司屋で出会った時、インブルーリアは日本語が出来るので「カンパイ」と言うと、アトキンソンはそれを受けて、おそらく悪戯好きの日本人にでも教わった片言の日本語を披露します。それは、「ムスメサンニチンチンガアリマスヨウニ」。これは、日本人向けのサービスギャグですね。
aventure number : 0248 date : 2003/10/23


今日の禁断 小野リサ

 あの怒濤の定期演奏会から1週間が経ちました。感動の余韻に浸っている間に、世の中はすっかり冬の装い、どこぞの山では初雪が降ったとか夜間は凍結の恐れがあるので通行止めとかといった情報がラジオから流れてくる季節になってしまいました。みなさま、それぞれに演奏会の総括をはかって、明日からの活動のモチベーションを高めることに余念がないことでしょう。そんな、いつもながらの緻密な作業の代表格が、しできさんの仕事。ビデオが演奏会の翌日に届けられたことはすでに書きましたが、しっかりジャケットの印刷まで出来上がったCDとDVDが昨日届けられたのには、改めて感激です。火曜日には皆さんのお手元にも届くことでしょうが、このジャケは瀬尾さんの写真が大々的にフィーチャーされたもの、指揮者は後ろの方に小さく、というデザインがなかなかです。
 早速DVDを見てみましたが、その指揮者が最後に見せたガッツポーズ、あれはいったい何だったのでしょう。まるで、あの粗野な朝青龍のような下品この上ないアジテーション、私たちは格闘技を見せているのでは決してありません。せっかくの演奏会の盛り上がりが、あれによって一気に異質な見せ物になったと感じたのは、私だけでしょうか。まあ、中には「あれが良いのよ」という人もいるかも知れませんがね。
 と、怒りつつも、私も演奏会後の仕事をやっと終らせることができました。それは、もちろんサイトのコンテンツの作成。公式サイトの定期演奏会の模様の完パケが、ついさっき出来上がったところです。実は、部分的には出来ていて、もうすでにアップはしてあったのですが、最も重要なパーツが出来上がっていなかったために公表は差し控えていたのです。そのパーツとは「禁断の写真館」。ご存じ、打ち上げや飲み会の時に「ツーショットの魔術師」と異名を取る1号様が撮りまくった写真を集めたページです。その1号様があんなこと(どんなこと?)になってしまって、このところ新しい作品が生まれていなかったのを一番悲しく思っていたのは、他ならぬ1号様自身ではなかったのではないでしょうか。宿願の「禁断の写真館」の再開を期して、演奏会の当日に向けての1号様の準備には、周到なものがありました。行ったのは郡山の「トイザらス」、インパクトを産む写真には欠かせない宴会小物の購入です。さらには、実際の撮影にあたる人材の育成。かくして、制作総指揮by「びよ乱」、撮影監督by「サンペイ」、編集by Jurassicという豪華なスタッフによる、珠玉のコンテンツが誕生したのです。1号様の熱意に報いるため、私も特別出演をさせて頂きました。ビデオに、いつものお楽しみのバックステージや打ち上げの模様の入ったボーナストラックがなかった分、楽しんでみてください。オフィシャルトップ→演奏会→過去の演奏会→38回定期→打ち上げ→きで行けますので。
【禁断崩し・・・246牛乳瓶】
 というわけで、このページをご覧になれば、謎が解けることでしょう。
aventure number : 0249 date : 2003/10/25


今日の禁断 アコーディオン

 きのうは、「禁断」を書き上げたのが12時過ぎ、ですから、いつも読んでくださっている方の中には、てっきりもう更新はないものと思って、パソコンをしまって寝てしまうなどという、ヘビーユーザーにはあるまじき不埒な行動を取ってしまった人もいたかも知れません。昨日これを書いている状況というのは、私の書斎ではなくテレビがかかっている居間。そこでかかっていたしょうもないドラマをついつい見始めてしまったからいけません。観月ありさもずいぶん年を取ったものだなどと思いながら書いていますから、一向に筆は進みません。それでも8割方は書き終えたので、書斎へこもって今度は映画を、たまにはビデオではなくリアルタイムで見ながら書こうなどと思ったから、これもいけません。その「スパイダー」という映画は、とても執筆の片手間に見るようなものではなかったのです。最初から思い切り緊張の連続、おそらくいくつもの伏線が張り巡らされていることは容易に察しが付きましたから、一刻も目を離すことなど出来ません。そして、そのようにきちんと見ていた成果は、最後のどんでん返しでめでたく報われることになるのです。これは全く予想外の展開、すっかり術中にはまってしまいましたよ。モニカ・ポッターなどという、笑顔のかわいいブロンドのことも、初めて知ることが出来ましたし。あと、「TAKEN」に出ていたエイリアンの息子役をやった子も出ていましたね。
 そんなわけで、結局「禁断」を仕上げたのは、映画をすっかり見終わってからのことになってしまい、ファンだと思っていた方の正体がしっかりバレてしまうことになるのです。
 さて、芸術の秋もたけなわ、今日は各地でコンサートの予定がありました。その一つ、中新田でのフルート四重奏には、だいぶ前からお誘いを受けていたのですが、この前瀬尾さんを聴いてしまってからというもの、とてもフルートのコンサートなどには行く気になれず、結局お約束は果たせませんでした(というわけです。○澤さんごめんなさい)。その代わりに、もっと気軽に聴けるものと、行ってきたのが小野リサです。きのうのしできさんが、「チケットが余ってるので、行きませんか?」と言うので、有り難く頂戴したものです(これが、249の禁断崩し)。会場は市民会館なので、一番町で少し早めに食事をして、西公園へ向かって歩きだしたら、なんだかたくさんの人が同じ道を歩いているので、チケットが余ったにしてはすごい人気だなと思ったら、その人たちは途中の県民会館に行く人たちでした。こちらは「ウェスタン・カーニバル」、往年の弘田三枝子や守屋浩が出るみたいで、こちらもなかなか、と言うか、客層は「そんな」年代の人たちばかりでした。
 小野リサの方は、最近出したフランスやイタリアの歌を彼女なりの味付けで聴かすもの。曲自体は知っているものばかり、それを5人編成のバンドをバックに、あくまで物憂げなボサ・ノヴァに仕上げたと言う、楽しいものでした。久しぶりに聴いた「サラダの歌」が素敵。生リサは初めて見ましたが、結構太っているんですね。それにしても、お客さんの行儀の良いこと、まるでクラシックのコンサートのように、身動きひとつせず聴いているとは。
aventure number : 0250 date : 2003/10/26


今日の禁断 魔笛

 10日ぶりのニューフィルは、ちょっと寂しい陣容でした。ヴィオラは最初は誰もいなくて、最終的には2人、やはり、1号様が復帰しないことにはこの現状は変わらないのでしょうか。ヴァイオリンは、一つの演奏会が終わるとローテーションでファーストとセカンドの人が一部入れ替わります。今日初めて明らかになったそのメンバーは、なかなか興味深いもの。今までセカンドだけしか弾いたことがなくて、私の席の前あたりが指定席、常に目の届くところにいると思われたさる愛人が、なんと、遙か遠くのファーストの席に座っているではありませんか。新天地で頑張ってください。ローテーションの結果、出席の良い人がファーストに移ったようで、これからはファーストは常にたくさんの人がいることになるであろう予感、これも楽しみです。さらに、エキストラで来ていたオーボエの人が、2人揃って入団するという願ってもないことが。これで、木管はしばらく安泰です。コントラバスのしげちゃんも、再々入団という今までかつてなかったユニークなニューフィルとの関わりを極められました。
 これだけやってくると、「第9」は私にとっては格好のスタンダードになっています。初めて吹いた時の体験と照らし合わせてみると、なんと楽に吹けるようになったことか。1年前と比べても、ぜんぜん違っているのですから、この1年間の変化がはっきり分かります。もっとも、去年出来たものが今年は出来なくなっているという部分もなくはありません。そのように、負の部分が進歩した部分を上まった時が、「引き際」となるのでしょう。そういう意味で、この「第9」は、気が抜けません。
 結局、懇談会が始まったのは9時、時間は30分しかありませんから、各パートの代表が感想を述べただけで終わってしまいました。私も、今回の演奏会については言いたいことが山ほどあったので、いつものようにその場のでまかせではなくきちんと用意をしていたのですが、そんな薄い空気を察知して、急遽方針を変更、ごく当たり障りのない発言でお茶を濁すという無難な作戦です。まあ、それはそれで良かったのかも知れませんが。
 この間、ちほさんに「のだめ」を全巻貸してあげたら、ご主人の方がハマってしまったというご報告とともに、返してくれました。ところが、終わってから選曲のための技術委員会とかでゴタゴタしていたら、その荷物を持って帰るのをすっかり忘れてしまいました。おそらく、次回の練習の時には、誰かが持ってきてくれることでしょう。
【禁断崩し・・・250アコーディオン】
 小野リサのバックバンドは、ピアノ、キーボード、ベース、ドラムス、パーカッションの5人編成。ただ、キーボードのプレーヤーがちょっとイモ。シンセの他にアコーディオンを弾くのですが、それがほんとにつまらないソロで、がっかりしてしまいました。
aventure number : 0251 date : 2003/10/28


今日の禁断 家族計画

 おととい練習場に忘れてきた「のだめ」は、無事、敬一郎クンに保護されたようでした。来週持ってきてくれるそうですから、それまでにはファンがもう一人増えていることでしょう。そういえば、ちょっと前に出た「サントラ盤」、なにやら初回限定と言うことで、関連の掲示板などでは「手に入らなかった」という嘆きの声が聞かれます。でも、ご安心下さい。某○ワーレコード○谷店に、1枚だけ残っているのを発見しましたよ。まだ間に合うかも。
 
 とは言っても、実は私、現物は持っているのですよ。と言うか、かなり「のだめ」のプロモーションに貢献したということで、その筋からサンプル盤をいただいてしまったのです。本当はそれで「おやぢの部屋」でも書けばいいのでしょうが、実物を見て「これではあんまりだ」と思ったものですから、敢えて、あのような人気サイト(最近のアクセス数はすごいですよ)で取り上げるのは見送ったわけです。一番ひどいのは、「R☆Sオーケストラ」のコンサートのメインプログラムであるブラームスの交響曲第1番の扱い。第1楽章の頭からちゃんと入っているのは良いのですが、序奏の最後の低弦のピチカートのあと、いきなり第4楽章の「ソド〜シドラ〜ソ」というヴァイオリンのテーマが始まったのには、驚いてしまいました。ふざけるな!(マジで怒ってます)。こういうのは、「連結クラシック」みたいなオバカサイトでやっているようなネタ。マンガの感動を、実際の音を聴いて追体験しようとしているいたいけなファンにこんな仕打ちをするなんて、あんまりです。しかも、ライナーで佐久間学が「天使ガブリエルのラッパが聴こえるかい?」と情熱を込めて書いている「ラッパ」というのは、第4楽章の序奏にあるトロンボーンのコラールのことだとしたら、その部分が丸ごと抜けているこの切り貼り細工自体にも、なんの意味もなくなってしまいます。こんなお粗末な編集を行った東芝EMIの担当者を、本気で軽蔑しています。おまえなんかに「クラシック」のCDを作る資格などない!
 結局、これをクラシックのアルバムだと思わなければ良いのかも知れません。メインはおまけに付いているピンナップと、4コママンガ、音は「とりあえず」入っていれば、それで構わないのでしょう。「そんなものに2500円(税込み)も払えるか」と思うのは、あくまでまっとうな社会人の感覚。この世界、とんでもないところに価値を見出して、後生大事に抱え込んでいる人はいくらでもいるのですよ。このアルバムが初回限定なのは、ひたすらそのようなマニアの特権意識を煽るため。決して、欠陥商品をこれ以上世に出すまいという良心の表れでは、あり得ません。マンガはあれだけ楽しめる作品だというのに、このアルバムはそれに泥を塗っているものだということに気付いて欲しいものです。それでも欲しいという方は、どうぞ○ワーへ走って下さいな。
【禁断崩し・・・251魔笛】
 「おやぢ」用に「魔笛」の新作DVDを見ていたので、なんとなく付けました(今日アップしてあります)。決して、今度の定期の序曲に「魔笛序曲」を持って来たいが為の裏工作ではありません(でも、「魔笛」はやりたいよね)。
aventure number : 0252 date : 2003/10/30


今日の禁断 オンキョー

 MDプレーヤーが壊れてしまいました。MDといっても、ポータブルではなく、デッキ。主にエアチェック用に使っているものです。買ったのは8年ぐらい前でしょうか、もちろんMDLPなどという、長時間録音モードなど存在していなかった時代のものですから、最新のポータブルMDで録った2倍モードの録音は再生できませんでした。壊れたのは、MDの出し入れをする機械的な部分なので、部品を交換すれば簡単に直るのでしょうが、やはりLPモードはあった方が良いし、何よりも、修理に出してしまったら日曜日の「サンデーソングブック」を録音できなくなってしまうので、この際ですから新しいデッキを買うことにしました。
 最初に、つい最近オープンしたばかりの「東北1の規模」を誇っている富谷の○ンコードーへ行ってみました。新しいお店にも興味がありましたから。ところが、そこにあったのはミニコンポ、しかも、MDプレーヤーとしては必ずしも有名ではないメーカー1社の製品だけだったのです。まあ、別に銘柄にはこだわらないのですが、最低の機能はないと困ります。裏の端子などを調べていたら、店員が寄ってきました。「MDをお探しですか?」などと馴れ馴れしいので、せっかくだから「これにデジタルアウトは付いていますか?」と付き合ってあげました。実は、デジタルインはあったのに、デジタルアウトはなかったのはすでに確認済み。彼は後ろの端子を指さして、「これ、デジタルですね、ありますよ」、「いえ、アウトなんですけど」、「あ〜、それはありませんね。MDでデジタルコピーは出来ませんから」。・・・一瞬、本気でこいつを殴ってやろうと思いましたよ。でもぐっとこらえて、「MDはですね、1回だけならデジタルコピーが出来るようになっているんですよ」と優しくさとす私。結局、こんなやつからは買いたくないし、デジタルアウトがないのではしょうがないので、ここでは入手できませんでした。そうなのですよ。この間新しいポータブルMDを買った時に、デジタル端子がすっかりなくなっているのでびっくりしたのですが、こんなミニコンポでも、デジタルアウトはもう付いていないのですね。もしかしたらこれはメーカーの戦略で、この店員はそのようにメーカーから教わっていたのかも知れません。せっかくコピーできる規格があるというのに。
 まともなMDデッキを買えるところは、○ドバシ以外にはないと悟った私は、富谷から東口までそのままドライブです。確かにそこにはLPモードで、デジタルアウトがあって、タイマー機能も付いている製品はありました。しかし、それが展示してあった場所はいかにもめだたない隅っこ、どうやら、MDをきちんとしたデッキで再生するなどというのは、もはや時代に取り残された使い方になってしまっていたということを、その時悟ったのでした。そういえば、そのあたりには「オルトフォン」などという、昔懐かしいMCカートリッジが展示されてましたっけ。
【禁断崩し・・・245張り子の虎】
 サロンコンサートに行った私の「身内」というのは、母親。何かお土産を渡したいというので、わざわざ瑞巌寺に行った人に頼んで買ってきてもらったのが、張り子の虎です(瀬尾さんは寅年)。先ほど瀬尾さんからメールが来て、「デスクに飾ってあります」と、老人が喜ぶようなことを書いてきてくれました。
aventure number : 0253 date : 2003/10/31


今日の禁断 テクニクス

 とうとう11月になってしまいました。今年も年末へ向けて、これからどんどん押し迫っていくことでしょう。1日と言えば、「映画の日」しかも土曜日の休日とあれば、見に行かないわけにはいきません。朝早くから、いつもの利府へ向かいます。本当はユアン・マクレガーとレニー・ゼルウィガーのミュージカル「恋は邪魔者」を見たかったのですが、着いたのが上映開始の2分後、他のものを探しましょう。こういうことが出来るのがシネコンの利点。と言っても、「キル・ビル」はちょっとヘビーなので、あまり気は進みませんでしたが「マッチスティック・メン」にしましょう。
 しかし、これは大当たり、素晴らしい作品でした。ニコラス・ケイジが演じるのは天才詐欺師、相棒のサム・ロックウェルと組んで稼いだ大金が、銀行の貸金庫に眠っています。しかし、異常なまでの潔癖さを持つという、精神的なアブなさから分析医のセラピーを受け始めるあたりから、その優雅な日常に変化が訪れることになります。離婚した時に身ごもっていた妻に分析医が連絡を取ったことで、14才の女の子がいることが分かり、その娘と一緒に暮らすことになってしまうのです。ここまでの間で描かれるのは、犯罪者だったケイジに娘と出会ったことによって父親らしい情感が生まれるという、何かほのぼのとしたもの。娘役のアリソン・ローマンもかわいいし、こんなのも良いな、という感じでした。ちょっと退屈ですが。ところが、そこから先が、実は見せ所だったのです。娘まで巻き込んで、大口の詐欺をはたらくあたりは、まさに息をのむ展開、そして、その先に待っていたとんでもないどんでん返し。もちろん、私には、分析医がただのサプリメントを「薬」として渡していたことが分かったあたりから、どうやらこのあたりに仕掛けがあることには気付いていました。ですから、最終的には詐欺師であったケイジが逆に騙されるだろうということは予想していたのです。しかし、それほど周到な見方をしていたにもかかわらず、この結末は全く予想外のものでした。元妻が一度も現れないというのは、そういうことだったのですね。
 その仕掛けは、タイトルにすでに込められていることに、気づくべきでした。「詐欺師」という意味だそうですが、「メン」と複数になっているのがミソ。もちろん、詐欺師はケイジだけではなかったのですが、もっと言えば、この映画を作った人こそが、全ての観客を騙した最大の「詐欺師」だったのです。
 「だまし絵」という手法で、とてつもなく大きな世界を広げた安野光雅の絵本「旅の絵本」の最新刊が、ついに発売になりました。第1巻が出たのが1977年、それから25年以上経って書かれたこの第5巻のスペイン編でも、その肌触りが全く変わっていないのには驚かされます。
【禁断崩し・・・252家族計画】
 のだめのCDを買わないと絶対に分からない究極の禁断。買った人にとっては、こんなに簡単なものもありませんが。
aventure number : 0254 date : 2003/11/1


今日の禁断 アンコール

 まだ申請が来ていませんが、今回のキリ番、「234567」に限りなく近い数字を踏んだ人は、果たして誰だったのでしょう。もう一度、このカウンターの仕組みをおさらいしておくと、「ジュラシック・ページ」全体のアクセスをカウントしているバナーのタグが貼り付けられているのは、「index.htm」、「kindan/kindan.htm」と、「oyaji/oyaji_59.htm」以降の「おやぢ」ファイルです。これらのファイルにアクセスすると、1日に1回だけカウンターが上がります。同じ人が再度同じファイルや別なファイルにアクセスしても、加算はされないという「リロード不可」ですから、その日のうちでしたら何回アクセスしても、カウンターに反映されることはありません。もちろん、他の人のアクセス分は増加しますので、しばらくして「更新」ボタンを押すとカウンターは上がっていますが、これは「リロード」とは異なる現象です。つまり、他人によってあげられたカウンターを、自分は上げないで見ることになるのです。従って、原理的には、全く同じ数字のカウンターを複数の人が見ているということになるわけです。ですから、今回のキリ番も、同時に何人かの人が踏んでいたかのように見えていた可能性があることになります。夕べの11時半頃でしょうか。
 と、サイトの方も一段落付いたので、スクロヴァでも聴きにいくことにしましょう。初来日のザールブリュッケン放送響が、あのスクロヴァチェフスキに率いられて来日、東京あたりではブルックナーを集中的に演奏するのですが、なぜか、今日のマチネはブラームスの1番です。会場の県民会館に入って、最初にプログラム売り場を探すのは、いつもの習慣。しかし、CDはレコライが出張販売をしていたのに、プログラム売り場はどこにも見あたりません。係員に聞いてみたら「扱っていません」ですって。これは困ったことです。私にとって、このような外国オケのプログラムは大切な資料、そのメンバー表を入手しないことには、演奏会に行った意味がありません。これは、主催者の宮城県文化振興財団、東日本放送、みやぎ生協の3者には声を大にして抗議したいところです。あなた方には演奏会を催す資格などありません。と、いくら言ってもなんの効果もないでしょうが。
 演奏は、とても素晴らしいものでした。「ドン・ジョヴァンニ序曲」は、どんな終わらせ方をするのかと思ったら、第2幕の最後を持って来るという大胆なアイディア。まるで、オペラ全曲を聴いたような気分になってしまいました。渋い音色のちょっと融通の利かない「ハフナー」に続いての「ブラ1」はまさに圧巻。半年後には、私たちがこの曲を演奏しなければならないなんて。あのフィナーレのような信じがたいほどの高揚感を、果たして作り出すことなど、出来るのでしょうか。スクロヴァはもちろん全曲暗譜、しかも、第2楽章でオーボエに事故があった時など、自ら「歌って」元に戻したほど、いったいあの年で、どうしてあれほどの集中力が維持できるのでしょう。
 メンバーには結構アジア系の人(フルートのトップも)もいたようですが、それを確認するすべは、もう一度繰り返すと、宮城県文化振興財団、東日本放送、みやぎ生協の3者によって、完璧に奪われてしまいましたよ。
aventure number : 0255 date : 2003/11/2


今日の禁断 ライヒ

 きのうのスクロヴァのコンサートは、会場の中や会場を出てから思いがけない人にさんざん出会えたという、不思議なものでした。私が買った席は、当然一番安い3階のバルコニー、そこからちょっと見上げると、なんと3階席の真ん中最前列には4号ご夫妻(これが、どれほど矛盾した言い方なのか、まさに「禁断」ならでは)が仲良く座っているではありませんか。終わってから出口でご挨拶。そこから定禅寺通りのスクランブル交差点で信号待ちをしていたら、前の方から見かけたことのある女性が近づいてきます。それは、元団員のあやちゃん。「皆さんによろしく」とおっしゃっていましたが、なぜ仙台にいるのでしょう。一番町で買い物をして、また市役所の方に歩いてくると、向こうから来たのは、やはり元団員の○松さん。かつて一緒に「ブラ1」をやったことがあったので、しばらく立ち話です。話し終わって後ろを振り返ると、なんと、そこには、さっき分かれたばかりの(いえ、愛人関係を解消したとか、そういうのではなく)4号ご夫妻。あまりの偶然に、一瞬よろけてしまいましたよ。
 そんなわけで、待望のヒレカツ先生の原稿も出来上がったようですね。なんだか私と同じことを書いていますから、もしかしたら、きのうの「禁断」をパクられたのかも知れません。まあ、先生と私の目の付け所はよく似ていますから、別に構いませんが。確かに、先生の書いたものというのは、正直な気持ちが表れているので好感が持てます。これは、私が目指しているものともよく似た視点。最後に頼るのは自分の耳だと言う自信みたいなものが、根底にあるのでしょう。ただ、もちろんこれは非常に難しいことではあります。所詮、人間の感覚などというものは絶対的なものではあり得ないのですから、本当に正しいかなんて、誰にも分かりません。それをふまえた上で敢えて言わせて頂くなら、日本の音楽シーンに於いては、あまりにも「権威」に頼りすぎる傾向が強いのではないでしょうか。例えば、夕べ教育テレビで放送していたアルゲリッチとフレイレのデュオ、2人の個性があまりにも強すぎて、「デュオ」としての体を全くなしていなかったという、いわば「ひどい」演奏だったわけですが、テレビで見る限り、お客さんはブーイングをするでもなく、ほとんど熱狂的に声援を送っていたのですから。仙台でも同じプログラムでやったそうですが、その時はなんとスタンディング・オヴェーションになったとか。もしかしたら、仙台では奇跡的にアンサンブルがうまくいったのかも知れませんが、あのテレビを見る限り、それはちょっとなさそうだし。これはもう、アルゲリッチが出てきて目の前で演奏さえすれば、中身はどうでも大声援を送るという主体性のなさの表れとしか言いようがないのでは。そういう意味で、現代音楽などの、あまり道案内のいない分野では、関連ライター(私もその中に入れてもらっていいですか?)の責任というものは非常に重たくなってきますよ。
 今日、愚妻のお供で、80歳のおばあさんだけの合唱というものを聴いてきました。そこで歌われた「里の秋」や「冬景色」の方が、アルゲリッチたちの「ハイバリ」よりはるかに素晴らしいと感じる心は、もしかしたら少し変なのかも知れませんが。
【禁断崩し・・・254テクニクス】
 ニコラス・ケイジ扮する詐欺師は、家にいる時はもっぱらフランク・シナトラやマントバーニのアナログ盤を聴いています。そこで使われていたターンテーブルが、テクニクスのDDプレーヤー。かなり、こだわっています。
aventure number : 0256 date : 2003/11/3


今日の禁断 VOW

 音楽とは、人の心を和ませるもの。しかし、音楽に携わる人が、必ずしものんびりとした心の持ち主だとは限りません。それどころか、音楽のような繊細なものを表現しようという人間には、どこか人と変わった感覚が必要なのかも知れません。アマチュアの音楽家の、ほんの隅っこに籍を置いているだけの私でも、私を含めた周りの人間に、そんな一面を気付かされる時があります。丸くなんかなってしまったら、良い音楽など作れないのかも知れませんね。
 ところで、しばらくご無沙汰している間に、サイトのアクセスがすごいことになっていました。ここ3〜4日の全体のアクセス数は連続して250前後、これは、今までには見られなかったアクションです。しかし、詳しく調べてみると、これは「おやぢの部屋」へのアクセスが増加しているのと正比例しているのです。このところ「禁断」はすっかりお留守にして、連日「おやぢ」を更新していた成果が、見事にカウンターの数字として現れてきたことになります。ということは、別に「禁断」をサボろうが何しようが、それほど影響はなかったということなのでしょう。ふん、グレてやる!
 今までになかったほど長期間サボっていたことから、中には「何かあって、おちんこでたのではないか」と心配していた方がいらっしゃったかも知れませんが、そのようなことは全くありませんので、ご安心下さい。実を言えば、「おやぢ」担当のライターが不調気味で原稿が書けず、その分のアイテムを全部送りつけてきたものですから、そのレビュー書きに時間を割いていたら、とてもこちらまでは手が回らなかったと言うことです。正直、気軽に書いているようで、言葉を選び、的確な仕掛けを仕込みつつ1本のものを仕上げるというのは、なかなか時間がかかるものです。別にそんなに手間をかけなくても良いじゃないかとおっしゃるかも知れませんが、そうは行きません。というのも、例の「Google」に「ジュラシック」と入れて検索すると、何とこのサイトが、本家である映画のサイトや、ユニバーサル・スタジオ関係のサイトを尻目に、堂々と一番最初に出てくるのですから。いったいどんなところが基準になって「1位」になっているのかは皆目分かりませんが、日付が付いているところをみると、更新の頻度も関係しているのでしょうか。「禁断」も、やはり日付付き、今書いている文章内の言葉が、2日後には全世界でデータベースとして検索の対象になるということですから、こんな恐ろしいことはありません。ですから、そのような待遇に見合うよう、十分に吟味して仕上げるためには、それなりの時間がかかると言うことなのです。
 そんな手間をかけたものを、あっさり削除したのはどうしてなんだ、という声が聞こえてきそうですね。まあ、あまり堅いことは言わずに、「そんなこともあるさ」と軽く受け流すのが、最近身につけた処世術です。
aventure number : 0257 date : 2003/11/12


今日の禁断 アビー・ロード

 今日14日は、「ザ・ビートルズ」の通算14枚目のオリジナルアルバムの発売日です。もちろん、現在、そのような名前のロック・バンドは存在していませんし、なによりも4人いたメンバーのうちの2人はすでに他界しているのですから、新しいアルバムなどは作りようもないのです。したがって、これはあくまでレコード会社がでっち上げた宣伝コピーに過ぎないわけですが。
 そもそもは「ゲット・バック」というタイトルでの発表を目指し、12枚目のアルバムの制作に入ったメンバーは、ポール・マッカートニーの提案によって、そのセッションの一部始終を映画として記録することにしました。しかし、すでに、メンバー同士の確執から、もはや共同作業で音楽を作り上げていく意欲を失っていた彼らが、そのプロジェクトを完成させられるはずもありません。録音済みのテープは、ポストプロダクションの手が入ることもなく、倉庫の奥にしまい込まれてしまうのです。
 現在手に出来る「レット・イット・ビー」というアルバムは、長年ビートルズのプロデュースをやってみたいと切望していたフィル・スペクターが、そのマスターテープに彼の持つノウハウを最大限につぎ込んで作り上げたもの、それまでのジョージ・マーティンのプロデュースになるアルバムとは、確実に異なった仕上がりとなって、メンバーの中には不快感を露わにしていた人がいたことは、有名な事実として伝えられています。
 今回の「ニュー・アルバム」は、「レット・イット・ビー・ネイキッド」というタイトルからも分かるとおり、そのスペクターの手垢をぬぐい去った「裸の」姿を初めて公にしようというもの。全世界のビートルズ・ファンにはたまらないものとなることでしょう。さらに、全世界に先駆けて、日本で1週間早く発売されるというのですから、今日のCD店の混雑ぶりはどんなにすごかったことでしょう。しかし、そのCD店のサイトをのぞいてみると、メーカーの思惑とは裏腹に、少し気になる事実が明らかになってきました。このサイトでは、リスナーが自由にレビューを書き込めるようになっているのですが、発売初日にもかかわらず、すでに200件以上のレビューが掲載されていたのです。ですから、その内容は実際に聴いてからの感想ではなく、それ以前の問題に関するコメントが大半を占めることになります。それは、例の「CCCD」に対する抗議の声。このアルバムは、CCCD仕様で発売することを社是としている東芝EMIの製品ですから、当然CCCD、しかし、クラシックではまだ少数派のこの規格も、ポップスではもはや大多数を占めているはずですから、この反応は正直言って意外でした。同時に、日本の洋楽ファンも捨てたものではないと、少し嬉しくなったものです。
 本家のEMIでは、UKやアメリカ向けには、訴訟をおそれて別に通常盤を出すという姑息なことをやっています。もはや、何のメリットもないCCCDを出し続けている東芝EMIのようなメーカーは、早晩消費者からは相手にされなくなることでしょう。なんと言っても、もう2、3日もすれば、通常盤であるそのUK盤が簡単に手に入るようになるのですから。
aventure number : 0258 date : 2003/11/14


今日の禁断 三矢サイダー

 お盆にもお彼岸にもお墓参りが出来なかったと言うことで、愚妻のお母さんの祥月命日を前にして、久しぶりに桃生町まで行ってきました。先日の地震があってから初めて、その被災地のそばを実際に走ったのですが、やはり、まだあちこちで被害の残っている様子を見かけることが出来ました。河南町の広渕あたりでは、未だに屋根の上がビニールシートで覆われたままの家が数多く見られます。古い瓦屋根は、軒並み被害にあったみたいですね。そんな中に、真新しいトタン屋根があちこちに。もう瓦屋根はこりごりと言うことで、トタン屋根に葺き替えたのでしょうね。家そのものを立て替えているというところも、かなりありましたし。
 それが、ちょっと走ると、かなり古い家でもそのまま何事もないものが見られるようになってきます。ほんのちょっとした地域の違いだけで、被害が出たところとそうでないところがはっきり分かれていたことが、実際に目で見て確かめられたというわけ、こればっかりは、ほんとに「運」としか言いようがないのでしょうね。
 桃生まで行ったのですから、帰りは当然利府で映画を見てきました。見たものは、愚妻の希望で「阿修羅のごとく」。24年前にNHKで放送されたドラマのリメークです。トルコ風のテーマ音楽とかはたびたび耳にしていたので、そのドラマを見たことがあるような気になっていたのですが、実際には全く見たことがなかったのは、この映画を見てはっきりしました。およそ、テレビドラマらしからぬ陰湿な内容、そういう面で、当時は話題になったのでしょうね。
 映画では、敢えて時代設定を変えないで、放送当時、つまり24年前の背景をそのまま継承しています。もちろん、原作の味を生かすためにはその方が良かったわけですが、そのことによって、ほんの24年というのが、ものすごい昔のような感じられてしまいます。一家の主人が家にいる時には和服を着ているとか、公衆電話は赤い色をしていたとか、細かいところでの懐かしさは、すでに歴史としての意味を持ち始めてることに、気付かされてしまうのです。ドラマでは娘役だった八千草薫が、映画では母親役になっているというのが、それを端的にあらわしています。向田邦子の原作は、女性でしか書きえない、女性の心の内面を描いたもの、正直言って男性の側からはあまり心地よいものではありません。夫の浮気に気付いていながら、何も知らない振りをして無邪気に振る舞う母や娘の姿に共感できるのは、間違いなく女性だけ。結局、男性は女性の手の中で泳がされているだけだという傲慢な視点は、一見新鮮なようで、その実鼻持ちならない奇策に過ぎないのです。というのは、○号から食事の招待を受けているという、脛に傷を持つ男の精一杯の虚勢なのですが。確かに、女は怖い・・・。 
aventure number : 0259 date : 2003/11/15


今日の禁断 銀だこ

 幸町に新しいジャスコが出来るという噂は、ずいぶん前から聞いていました。先日、お墓参りに行く時にそこのそばの鶴ヶ谷へ登る道との交差点にさしかかったところ、横断歩道に警官が立っているのが見えました。しかし、近づいて良くみると、それは警官ではなく、胸にゼッケンをつけたガードマンでした。ゼッケンには「ジャスコ」だか「イオン」だかいう文字が書かれています。確かに、そのあたりにはジャスコへの案内看板が立っていますが、そこには「22日オープン」とありますので、なぜガードマンがこんなところにいるのかは不明です。「工事の車の整理でしょう」というのは、愚妻の意見。
 しかし、夕方に同じところを通った時に、そのことが気になったので、そのジャスコが建っているあたりに寄り道してみました。そうしたら、何と、煌々とライトアップされたその建物の中は、全く普通のショッピングセンターのノリでたくさんのお客さんでごった返していましたよ。そうなのです。こういう大型店の場合、公式のオープン日、いわゆる「グランドオープン」の前に、ごく内輪のお客さんを相手に「プレオープン」という形で、通常と変わらない営業を始めるものなのです。別に客の入場を制限するということはないので、何の意味もないと感じるのは、その辺の微妙な気配りが理解できないからなのでしょう。
 かなり大きなものが出来るようなことを聞いていたのですが、中に入ってみるとそれほどの広さはありません。建物は3階建てですが、3階は駐車場になっているので、店舗は2フロアだけ、食事が出来るスペースも狭くて窮屈そう、富谷あたりのジャスコに比べたら、半分以下の広さでしょうか。しかし、婦人服売り場に足を入れた愚妻は、その値札に驚喜します。中山のジャスコに置いてあるのと同じものが、半額近くで売られているというのです。その探索には時間がかかりそうなので、私はテナントの本屋さんへ。
 「未来屋書店」で最新の音楽雑誌をチェックしてみると、案の定「ネイキッド」で特集を組んだものがたくさん見あたりました。どうせ時間があるのですから、一通り目を通してみましょう。しかし、それらの雑誌に書かれてあったことは、なぜか非常によく似た内容でした。もちろん、ライターそれぞれの持ち味は出てはいるのですが、元になった資料が全て同じものであることがはっきり分かってしまいます。もちろん、それは東芝EMIがライターを1ヶ所に集めて、発売前の音源を聴かせ(コピーが流れるのを恐れ、サンプル盤を配布するというようなことは一切行わないはず)、プレス用の分厚い資料(「企画書」ですね)を手渡しているのですから、当たり前なのですが。もちろん、「CCCD」について触れている記事など、1件もないのも、また当たり前のことなのは、言うまでもありません。
 クラシックのレーベルの中では、EMIと並んで、CCCDには熱心だったCAPRICCIOが、最近になって製品からそのロゴをなくしたという噂を聞きました。これは、明るいニュースと受け取っても良いのでしょうか。AVEXという伏兵がいるので、油断は出来ませんが。
【禁断崩し・・・258アビー・ロード】
 本当は「ゲット・バック」が12枚目のアルバムになるはずだったのですが、そんなわけでリリースされないでいるうちに、次に録音したアルバム「アビー・ロード」が先に出てしまいました。だから、「レット・イット・ビー」は13枚目になってしまい、「ネイキッド」が14枚目となるわけです。
aventure number : 0260 date : 2003/11/17

03/11/20-03/12/26