2461(15/6/25)-2480(15/8/1)

今日の禁断 エンペラー


 うちでとっている朝日新聞には、こんな広告が連日のように載っています。ゲルギエフの指揮するミュンヘン・フィルの東京でのコンサートの広告です。東京だけで何回か開かれるコンサートの中で、ピアノ協奏曲が入っていないプログラムのこの日だけが、なかなか売れないようですね。つまり、この一連のコンサートの目玉は、そこで協奏曲を共演する某人気ピアニストだったのですよ。その人のリサイタルなどはもう発売と同時に売り切れてしまうという、超売れっ子ですから、プログラムにピアノ協奏曲が入っている日の分はかなり高額なチケットにもかかわらずすぐに売り切れたようですね。ただ、オケだけの日はほんの少しお安くなっていたようですが、こんな風にいつまで経っても在庫の山、という状態が続いているのです。最近は世界中からほんとに超一流の指揮者やオーケストラが毎日のようにやってきてコンサートを行う、というのが今の東京ですから、私から見たらかなりすごい顔ぶれではあっても、やはりなかなか売れないようになってしまっているのでしょうね。それで、主催者はそのピアニストをカップリングすれば売れるだろうと考えて、こんなコンサートを企画し、それは確かにピアニストがらみのところではうまくいったものが、オケ単品では完全な誤算となって売れ残った、という状況なのでしょう。
 なんて、よそのことを笑ってはいられないのが、この「事件」の困ったところです。実は、このオーケストラは「ピアニスト付き」で、なんと、外国のオーケストラなんかは決して寄り付かないド田舎の仙台でもコンサートを開くのですよ。最初それを知った時には、これは大変なことになったと思いましたね。ただでさえ、外国のオーケストラに飢えているこの地で、あの人気ピアニストまでがくっついてくるとなると、もうチケットなんかは絶対に手に入らないと、本気で思ってしまいました。ですから、本番は11月ですが、チケットの先行発売があるという2月末には、電話予約をしてしまいましたよ。でも、なんかあまり手ごたえがなくて、電話は一発でかかってしまって簡単にチケットも手に入ってしまったのには、ちょっと拍子抜けしてしまいましたね。しかも、座席が前から3列目なんてとんでもないところでしたからね。まあ、そういう発想なんでしょう。あくまでお目当てはピアニストですから、そのお姿がよく見える舞台に近い席が、「いい席」と認識されているのですからね。
 しばらくして、一般発売も始まりましたが、まあ、もうチケットは手に入っているのでそれは全く興味はありませんでした。そして、発売されてからかなり経ってから、たまたまプレイガイドの近くに行ったので、果たしてどのぐらい売れたのか見てみました。そうしたら・・・
 いやあ、びっくりしましたねえ。チケットはほとんど売れていなかったのですよ。オーケストラを聴くにはベストだと思えるようなところでも、まだまだたくさん残っていましたよ。これは全くの予想外の展開、こんな事だったら、あせって先行で買う必要は全くなかったではありませんか。それよりもはるかにいい席が、こんな時期にまだまだ選び放題で残っているのですからね。
 やはり、売れなかった原因は、あまりのチケットの値段の高さでしょう。おそらく、その金額は、そのピアニストのコンサートだったら少しぐらい高くても行くわよ、というような熱心なファンでさえ、一線を越えてしまったと思えるほどのものだったのでしょう。物事には限度というものがあるのですね。主催者はそれを完全に読み誤っていました。ざまあみろ、です。
 それにしても、仙台ではちゃんとしたオーケストラを聴くことが出来ない、という状況は、どんどんひどくなっています。全国に「ちゃんとした」コンサートホールがたくさん出来ているのですから、わざわざそういうものが1つもない仙台でコンサートを開く理由はない、というのが、その原因なのは明らかです。一時盛り上がった、コンサートホールを作るという話はどうなったのでしょう。まあ、あれはかなり胡散臭い企画でしたから、実現できなくてよかったのかもしれませんが。
Aventure Number : 2461 date : 2015/6/25


今日の禁断 マンボ


 梅雨に入ると同時に雨が降り続いている仙台地方ですが、例の「おと休パス」が使える期間中を狙って、劇団四季でやっている「アラジン」を見に東京まで行ってみたら、あっちは雨なんか降ってませんでした。同じ梅雨だというのに。なんでも、この新作ミュージカルはものすごい評判で、もうすでに劇団四季の持ち分はすべて売れてしまっているのだそうです。チケットを買った時でも、まず初日は完全に抽選でしか手に入らないようになっていて、当然うちの分は落選でした。それでも、先行発売の時に、その「おと休」がらみの休日を狙ったら、何とか取れたというレアものです。それも、座席指定はできなかったので、思い切りはじっこの席しか取れてませんでした。
 原作はもちろんディズニーのアニメ、それを、やはりディズニーがミュージカル化するという、「美女と野獣」(秋に仙台でロングランがありますね)とか「リトル・マーメイド」と同じ手法のプロダクションです。それを、演出からなにからまとめて「輸入」するというのも、最近の日本のミュージカルの定型ですね。
 アニメはもちろん見ていましたが、「A Whole New World」以外の音楽は全く記憶にありませんし、ストーリーももうすっかり忘れていました。でも、なんだかアニメにはあったのにミュージカルにはない役とか、その逆のケースなんかは結構気になりましたね。要するに、アニメでは動物だったものを、さすがに「ライオンキング」みたいなことはできないと人間のキャストに置き換えたのでしょう。でも、ジーニーはしっかり登場していましたから、うれしかったですね。確かアニメではロビン・ウィリアムズが声を担当したはずですが、おそらくロビンのアドリブをそのまま録音して、それに合わせて絵を付けたのでしょう、とても面白いキャラに仕上がっていましたね。それが、このミュージカルでもしっかり決まっていたんですね。正直、最初の方はちょっとかったるい進行ですし、セットもなんだかチャチで、なんでこんなのが評判をとったのか理解できなかったのですが、ジーニーが登場するやいなや、ステージが俄然面白くなってきましたからね(実は、彼は最初に登場していたのですが、あれがジーニーだとは気が付きませんでした)。最初のジーニーが客席に向かって突っ込むあたりは、もろ、オリジナルの演出をそのままなぞっているのでしょうが、とっても上手に消化していましたね。そしてそのあとのダンス・シーンが圧巻。前半のモヤモヤを吹っ飛ばして、グイグイとステージに引き込まれてしまいます。この中で、バーンスタインの「ウェストサイド・ストーリー」からの引用があったのも、うれしかったですね。そのことに気が付いた人は、満席の劇場の中には私以外に何人ぐらいいたのでしょう。
 そうなったら、もう細かいところ(いかにも「劇団四季」というダサいセリフまわしとか)なんか全然気にならなくなって、ストーリーの進行にどっぷりつかってしまいます。そこで出てくるのが「A Whole New World」ですから、たまりません。魔法のじゅうたんはしっかり空を飛んでるし、月をバックにした夜空は美しいし、もうすっかり「アラジン」の虜です。確かに、これだったらあれだけヒットしたことがよくわかります。機会があったらぜひ見てみることをお勧めします。チケットはなかなか手に入らないかもしれませんが。
 席は、PAのスピーカーの真ん前だったので、それこそこの間の「駅コン」みたいなひどい音を聴かせられるのかと覚悟していたら、そんな近くでも全然うるさくない、とてもクオリティの高い音だったのにはびっりしました。ヴォーカルも、ソロの時などは完璧です。さすがにアンサンブルになって声がたくさん重なると、かなりの歪は出てきますが、それでもそんなに気にならないほどです。確か、同じ劇場(「海」)でやった「ウィキッド」の時に、音響的に大幅な進歩があったように言われていますから、そのあたりからこんな素晴らしい音が実現できるようになっていたのでしょうね。
Aventure Number : 2462 date : 2015/6/27


今日の禁断 チューバ


 この週末は、あちこちで関係者の参加するコンサートが行われていたのですが、合唱もオケも、行くことはできませんでした。なんせ、「アラジン」のチケットを買った時には、まだそういう予定はチェックできるほどのものではありませんでしたからね。でも、パリンカの場合は青文コンサートホールで入場者数が900人ですってね。ホールに入りきらないお客さんはロビーでモニターを見ていたのだとか、すごいですね。次の日は市民響とシンフォニエッタが重なっていたので、どっちに行っても恨まれたでしょうし。
 ということで、私の場合は「おと休」パスの消化にいそしんだ週末でした。きのうは、念願の鉄道博物館に行ってきましたよ。いつも新幹線で東京に行くときに、大宮の手前でその建物が見えるので、いつかは行きたいと思ってました。
 鉄道博物館に行くには、大宮駅で「ニューシャトル」に乗り換えるのが一番便利。こんな大々的な表示がありますから、間違えることはありません。実は、私は2005年にやはりニューシャトルに乗りに来たことがあったのですが、その時はこんな立派な表示はまだありませんでした。そのあと、2007年に開通したんですからね。その時は、いかにもマイナーな乗り物、といった感じ、車体は汚いし、何より駅舎がほんとにみすぼらしいのにはがっかりしましたが、いまは、鉄道博物館駅に関してはそんなことは全くありませんでした。というか、2005年の時には別の駅名でしたからね。
 入場券を買うのではなく、スイカで直接入場するというシステム、さすがJRですね。そういうのを記念に集めている人のために、出る時にスタンプ用紙が渡されました。
 「博物館」とは言っても、自由に中に入ってみることができる車両がたくさんあったのには、感激です。
 こんな車両、これは乗務員室ですが、確か同じ形でトイレになっているのもあったはず、このあたりは実際に本物に乗ったことがありますからもうたまりません。
 こんな、木製の椅子が向い合せになっているのが標準のレイアウトという列車は、小さいころの定番でしたね。
 そして、なんと特急「ひばり」ですよ。しばらく大宮に住んでいましたから、仙台に帰ってくるときにはいつもこれに乗ってましたね。
 ちゃんと「仙台行」って書いてありますし。
 ちょっと硬めのシート、今の新幹線より大きな窓は、とても快適でしたね。
 これがごみ箱。指定席が取れなかった時なんか、ここに座っていたこともありましたね。
 これは水飲み場です。右に折りたたんだ紙コップが入っていて、それを広げてコップにして水をくむんですよね。よく冷えた水だったような気がしますが、本当はどうだったんでしょう。
 そんな、「鉄道」というよりは、それにまつわる思い出がぎっしり詰まった博物館、とても楽しめました。最後はちょうど時間になったので、2階からターンテーブルが回るのをしっかり眺めてしまいましたよ。もう少しすると、増築されるそうですね。その時は、また来てみたいものです。
 今日になったらなんだかいやなニュースが。ネットには顔写真まで掲載されてましたね。明日の練習や、そのあとの選曲会議では、どんな話がでるのでしょう。
Aventure Number : 2463 date : 2015/6/29


今日の禁断 デュリュフレ


 週末の2回に続いて、きのうも東京まで行ってきました。まっ、たまには一人で中古CD屋さん巡りなんてやってみたかったものですから。こんなに「おと休」を使い切ったのも久しぶり。
 そんな東京での行き来の中で、ちょっと珍しい体験がありました。地下鉄の半蔵門線に乗った時に、そこのエスカレーターには、でかでかと「エスカレーターは2列になってご利用ください」という貼り紙が、いたるところにあったのですよ。つまり、東京ではほとんど「掟」と化している、「エスカレーターには片側に寄って立ち、反対側は空けておいて、急ぐ人はそこを歩くべし」というエスカレーターの乗り方に、真っ向から反旗を翻しているのですよ。安倍晋三の横暴なやり方に立ち向かう市民デモ、みたいな感じですね。もちろん、正しいのはこの半蔵門線のやり方です。駅のホームから降りてくるときに、この「掟」に縛られて片側にしか立たないために長蛇の列ができるという、本当に無駄で意味のない習慣には、常日頃腹が立っていたところでしたからね。そもそも、エスカレーターというのは歩きながら上り下りするには非常に危険な乗り物なのだ、ということは常識なはずなのに。
 残念なのは、これがあくまで半蔵門線のエリア内のエスカレーターでしか見られない、ということです。少し行った銀座線のエスカレーターでは、相変わらずの片側空けが野放しの状態になっていますからね。同じ東京メトロで、なんでこんな風に対応が違うのでしょう。この「半蔵門線方式」が全地下鉄、いや、すべてのエスカレーターに広まってもらいたいものです。
 逆に、東京の電車でうれしくなったのは、座席の手すりの配置です。
 ふつう、こういう車両の座席は7人掛けですが、一人で1.5人分ぐらいのスペースを使って座っている人は(デブは仕方がありませんが)本当に困ったものです。ちょっとつめればもう一人楽々座れるのに。しかし、この手すりは、まさに感動ものですね。もう、しっかり2人、3人、2人と分けられているのですから、きっちり人数分座るしかないようになってます。これを考え出した人は天才ではないかと思うぐらい、満員電車でも少しでも座れる人を増やそうとしている担当者には、頭が下がります。
 それをマネしたのでしょう。仙台市の地下鉄でも、今までなかった手すりを付け始めました。それまでは、シートの色が真ん中だけ変わっていて、それに合わせて座っていればちゃんと7人座れるのに、守らない人が多かったのでしょうね。ところが、
 なんと、仙台市の地下鉄では、その真ん中の座席のど真ん中に手すりがあるではありませんか。最初これを見たときは、冗談だと思いましたよ。真ん中に座る人は、股間に手すりが来てしまいますよね。それより、1回座ったら、混んでるときには立ち上げれなくなってしまいませんか?
 でも、これはそういうものではなかったのですよ。この画像は仙台市の公式文書にあったものですが、それによれば、「座席の定員を7人から6人に減らす」というのですよ。信じられません。確かに、このスペースでは手すりの間に4人座るのは無理ですから、両側に3人ずつ、合わせて6人座っていますが、それはあまりにもスカスカに見えてしまいます。というか、この手すり1本のせいで、座れる人が間違いなく何十人かは減ってしまうのですからね。東京の7人掛けの座席に座った時には、全員座っても窮屈な思いは全然しませんでしたが、この「仙台方式」だと、あまりにまわりがユルすぎて、罪悪感が募るばかりです。というか、この真ん中の手すりがあまりにみっともなくて、とても恥ずかしいですね。
Aventure Number : 2464 date : 2015/7/1


今日の禁断 ツバメ


 この間「おと休」消化で一人で東京まで行ってきたときには、まず上野で降りてみました。新幹線が出来てからはすっかりご無沙汰ですが、その前にはとてもよく利用していた駅ですから、改めて最近の姿をきちんと見てみようと思ったんです。
 これが駅の正面。昔の写真を探してみたら、駅舎の形はそのままですが、文字が付いたり、ペデストリアン・デッキが出来たりしていますし、何より昔は正面入り口の前に車が通っていたんですね。このころの駅にも来たことがあるような気がします。
 その正面入り口が、こちら、もちろん、もうこの前には車はなく、カフェのテーブルなんかが並んでいましたね。
 そこを通って駅の中に入ると、こんな「ガレリア」という空間に出ます。
 昔は、この前から広々とした通路になっていたはずですが、そこにこんなものが張り出しています。「エキナカ」ってやつですね。
 ネットで画像を探したら、この空間では、毎年「駅コン」が開催されているようですね。仙台の駅コンとセットで、同じころにやっているようですが、上野ではこんな狭いところでやっていたんですね。だから、こんなちっちゃなアンサンブルがせいぜい、フルオケなんてとても入りませんね。つまり、毎年仙台駅で仙台フィルが演奏しているような空間は、東京ではとても確保できないということなんでしょう。まあ、当たり前の話ですがね。
 真ん中の通路を挟んで、反対側にもやはり「エキナカ」が広がっています。正面入り口は東側ですから、こちらはその反対側で「ウェスト」なんでしょう。
 ところが、このあたりもごく最近そんな名前に変えたばかりだということに、ストリート・ビューを見ていて気が付きました。2013年という日付の着いた全方位写真ですから、そんな前ではないのに、「イースト」はこんな名前。
 そして、こちらがかつての「ウエスト」です。テナントの配置も少し変わっていますね。
 前もってこのあたりをネットで調べてあったのですが、この「レトロ館」とか「七番館」といった「昔の名前」がこのエキナカの公式サイトでまだ使われていたのには、あきれてしまいましたね。そもそも、そのサイトのフロアマップがとんでもない出来そこないですから、やる気のなさはミエミエなんですけどね。
 そのあとは、中古CD屋さんや、普通のCD屋さんのハシゴです。そこで見つけたのが、こんな掘り出し物。やはり、ネットばかりで新譜をあさるのではなく、たまには「現場」を見に行く必要もあるようですね。
Aventure Number : 2465 date : 2015/7/3


今日の禁断 ラトル


 おなじみ、ナクソス・ジャパンの「帯解説」でよく見かける間違いが、「普及の名作」というやつです。別にこのレーベルのCDだけたくさん買っているというわけではないのですが、その帯に書いてある文章を読んでいると、これがよく見つかるんですね。もちろん、正しくは「不朽の名作」でしょう。どんなに年月が経ってもその価値が朽ちることはない、というぐらい本物の名作だ、という使い方です。でも、これだけ頻繁に「普及の」が続くと、もしかしたらそっちの方が正しいのかな、と思ってしまいますね。考えてみれば、「名作」が故に「普及」したのだ、という考え方でもいいんじゃないか、という気がしませんか?やっぱり、多くの人に聴いてもらえる、つまり「普及」してこその「名作」でしょうからね。現に、本当は「懇切丁寧」なのに、某家電店があまりに「親切丁寧」と連呼するもので、そちらの方が正しいと思っている人が出てくるようなこともありますからね。
 でも、まあ言葉なんてものは、長い間にはどんどん変わっていくものですから、こんなことに目くじらを立てることの方が、本当は間違っているのかもしれませんね。現に、恐ろしいことですが、以前は「まさか」のあとに否定形が来ない言い方にはものすごい抵抗があったものが、最近ではそれほど気にならなくなってしまっていますからね。とは言っても、他人が使っている分にはまあまあ許せますが、私が言ったり書いたりするときには絶対に使いませんけどね。同じように、絶対に使わないぞ、と決めているのが「真逆」と「世界観」という言葉です。あ、「世界観」というのは、本来の「世界の見方」という意味ではなく、「独特の世界観」みたいな形で使われる場合です。どう違うんだ、と疑問を持つような人には、そもそも説明しても分かるはずがありませんけど。
 結局、いくら頑張ってみても、いずれはそのような「間違った」ものが「正しい」ものとされてしまうのが、言葉というもの、それが端的に反映されているのが「国語辞典」なのでしょう。最近では、辞典というものは、そのように間違っていても次第に世の中に受け入れられていったような言葉まで取り込んで、どんどん変わっていくものなのですからね。
 そんな、変わっていく言葉に対応して、日夜改訂作業が継続されているのが国語辞典の世界だということを知らされたのが、最近文庫化されたので読んでみた「舟を編む」。です。それぞれの登場人物のキャラが非常に分かりやすくて、とても面白く読めました。
 そんな、言葉よりはもっと早いスピードで変わっているのが、世界のオーケストラや指揮者です。今まで、そういったものを広範囲に紹介した「辞典」的なものは、例えば音楽之友社のムックというような形で適宜出版されていましたが、そんなものはすぐに役に立たなくなるほど、今の指揮者のポストの異動は頻繁に行われています。たぶん、そのムックの一番新しいものは2009年に刊行されたもののはずですが、それから6年ぐらいしか経ってはいないのに、もうほとんどそこに書かれていたデータは使えないものになっていますからね。音友がそういうものをその前に出していたのが2002年でしたから、まあ7年ぐらいのサイクルで、それこそ国語辞典のように「改訂版」を出そうとしているのではないか、という気はするのですが、そうなるとおそらく今頃は来年あたりの発行を目指して、多くのライターさんが原稿を作っている最中なのでしょうか。
 しかし、そんな悠長なことをやっていたのではとても間に合わないのが、現実の世界です。何とかならないのか、と思っていたら、音友以外の月刊誌でこんなのが出ていました。
 これは、そんな、「今知りたい」最新の世界の指揮者の動向が、とても詳しく載っている、まさにムック以上に価値のあるものでした。これがあれば、とりあえずしばらくの間は世の中の動きから取り残されることはないでしょう。
 これは、例のベルリン・フィルの新しい指揮者を選ぶ選挙がうまく行かなかった直後に締め切られたものですから、そのあとに起こったことまではフォローできていません。しかし、その「結論」を知ったところでこれを読んでみると、とても興味のあることがたくさん発見できます。やはりペトレンコは選ばれるべくして選ばれたのですね。
Aventure Number : 2466 date : 2015/7/5


今日の禁断 モリヤ


 7月に入ると、何かと身辺が忙しくなってきます。なんせ、7月の20日には、ニューフィルのメンバーだけではなく、ほかのアマオケのメンバーも一緒になった室内オケの本番が控えていますからね。考えてみればもう2週間もなくなっていたんですね。週末にあと2回練習をして、GP、本番という予定ですから、かなり大変、まだ2回しか練習が行われていなくて、なかなか大変な状態だったのが、そのぐらいでどこまで完成品に近づけるか、まあ本番のテンションに頼れば、みんな実力はある人ばかりですからきっと大丈夫でしょう。再度、チラシを貼っておきます。
 ただ、私は、その本番の前に、お客さんに配る曲目解説の執筆を頼まれていました。これは去年も頼まれたので、その流れで私のところに来たのですが、来週中には完成させてくれと言われてますから、本当はもうできていなければいけないものが、まだ完成には程遠い状態です。私の場合、この前のモーツァルトなどはある程度の知識の蓄積があるのでそんなに苦労はしないのですが、今回のメンデルスゾーンでは、普通のレパートリーに関しては全くシロート同然の知識しかありません。ちょっとひねくれた、彼とバッハとの関係なんかであればスラスラ書けるのですが、そんなものですからなかなか筆が進まないのですね。でも、そんなことを言っていてはどうにもならないので、少し腰を落ち着けて原稿を書いてみることにしました。まあ、書いているうちにだんだんノッて来て、そこそこのものは出来そうになってきました。あとは、もう少し時間をかけて手を入れれば、何とか使い物になる原稿が出来上がることでしょう。これで、ひとまず懸案はクリアできそうです。
 そんなことをやっていたので、今日の練習の前はいつもの「フォレオ」にまで行って食事をしている時間が無くなってしまいました。仕方がないので、駐車場がある建物の中にあるスーパーで何か買って、そこのお食事スペースで食べていくことにしましょう。
 このスーパー、何か買い物をすると1時間分割引になるので、ここに車を停めた時には必ず何かを買うことにしているのですが、この前、レジに並んでいたら、ちょっと信じられないような光景に出くわしました。私が並んだレジには学生アルバイト風の若い男子が入っていたのですが、私の前の人が品物をスキャナーからちょっと離れた場所に置いていたんですね。そこは大体2人分の品物を置けるだけのスペースがあるので、前の人のレジが終わったらそれをスキャナーのそばに移動すれば、その空いたところに私の物を置けるのですが、そんな状態だったのでまだ手に持ったままです。まあ、レジの並び方も知らないシロートなのだな、と、ちょっと腹が立っていましたが、まさか私が「物を動かせ」なんて言えるわけがありませんから、黙ってそのままにしていましたよ。そうしたら、そのレジのお兄ちゃんが、いきなり「品物は、こっちに動かしておいてください」とその人に怒鳴りつけたのですよ。いったい何を勘違いしているのでしょう。確かに、後ろに並んでいる人はイライラするでしょうが、それを店員が恫喝するなんて、とても考えられませんよ。というか、こんな店員を雇っていたら、もうこのスーパーで買い物をする人がいなくなってしまいますよ。
 今日行ったときには、やはりそのお兄ちゃんはレジに入っていました。ですから、私は買ったお弁当は別の、やさしそうなお姉さんがいるところで会計してもらいましたよ。もちろん、その時には駐車場の駐車券も渡します。
 そして、その先にあるお食事スペースでお弁当をレンジで温めて、晩御飯です。食べ終わって、そういえば駐車券はどこにしまっていたのかな、と探してみると、どこにも見当たりません。いろいろ思い出してみると、どうやらレジで渡した後で受け取っていなかったのでは、という気がしてきました。そこで、さっきのお姉さんがまだいたレジに行ってみると、ちゃんと私の駐車券をレジの上に置いておいてくれていて、私が行くとすぐわかってそれを渡してくれました。よかったですね。もし、お兄ちゃんのレジで同じことをやったら、いったいどんな対応を見せてくれたのか、とても興味がありますね。きっと駐車券は破り捨てられていて、「弁当買ったぐらいで、割引を受けようなんて、生意気だ」とか怒鳴られたりするんですよ。
Aventure Number : 2467 date : 2015/7/7


今日の禁断 スヌーピー


 夕方、車で家に向かっていると、真正面の曇り空の中に飛行船が浮かんでいるのが見えました。最近あまり見かけないと思っていたら、まだちゃんとやっていたんですね。この方向だと、自宅の玄関前から写真が撮れそうだったので、急いでエレベーターを昇って行ったら、予想通り真正面にありました。カメラはいつも持っているので、まずスタンダードのデジタルズームで何枚か撮ってみたのですが、やはりデジタルでは物足りないので、家に入って200oの望遠レンズに交換して撮ったら、こんなにはっきりと撮れました。
 ちゃんと籠の中に人がいるのが分かりますね。それと、先っちょから長い紐が2本垂れているのも見えます。これは、たぶん着地するときに、地上にいる人がこの紐を引っ張ってどっかにしばりつけるのでしょうね。「もやい綱」ってやつですね。なんせ飛行「船」ですからね。
 この前に制作中だった、「杜の都 合奏団」のプログラム原稿は、めでたく納品が終わりました。実は、あれを書いた時点ではほとんど出来上がっていたのですが、それを少し寝かせておいてみたのですね。そうしたら、なんとなくマニアックなところが鼻につくようになってきました。なにしろ、メンバーがマニアックな人揃いですから、それなりに小難しいことをまず書いてみたのですが、やはり、これでは私が読んでもちょっと辛いな、と思えるようなものになっていたので、その部分だけちょっとフランクなものに直して、最終稿としてみました。それでも結構なマニアックぶりであることに変わりはないのですが。
 これでやっと肩の荷が下りたな、と思っていたら、今度はニューフィルの印刷担当のOさんから、またまた原稿を頼まれてしまいました。これは、一応Oさんが作ったものがあって、それを少し見栄えを良くするというだけの仕事、言ってみれば「マスタリング」みたいなことなのですが、やはり多くの人に見られるものですから(チラシは16,000枚印刷します)手は抜けません。これも、一旦送っては見たものの、何かと気になるところがあって、今朝になって改訂版を送ることになってしまいました。
 そこで問題になったのが、今回の曲目の中の、スメタナが作った「モルダウ」という曲のタイトルです。ご存じのように、これはチェコの国内を流れるエルベ川の支流「モルダウ川」の流域を描写した交響詩なのですが、その「モルダウ川」という名前はチェコ語ではなく、オーストリアに統治されていたころに由来するドイツ語での名前なんですよね。チェコがしっかり独立した今となっては、そんなよその国の言葉ではなく、チェコ語で「ヴルタヴァ川」と呼びたくなるのは当然のことです。ですから、この曲の名前も本来だったら「ヴルタヴァ」と呼ばれるべきものなんですよね。楽譜には、この2つの名前が両方とも印刷されています。最近では、CDでも最初から「ヴルタヴァ」と表記しているものもないわけではありません。
 しかし、やはりクラシックの世界では昔からなじんだものは、そう簡単には直せない、という頑固なところがいつまでたってもなくなりません。それこそ「杜の都」で今度演奏するメンデルスゾーンの交響曲だって、今つけられている番号はただの出版順のもので、決して作られた順につけられたものではないのですからね。そんなことはみんな分かっているし、現に「正しくはこういう順番ですよ」と言っている人はいくらでもいるのに、やはり「正しい」番号で呼ぶことにしましょう、という勇気のある人はなかなか現れません。シューベルトの、以前は「8番」と呼ばれていた「未完成」の交響曲が、「7番」と呼ばれるようになるまでには、いったいどんだけかかったことでしょう。それでも、やはり馴染みやすさを優先させてあえて「8番」と表記しているレーベルがいまだにありますからね。
 ですから、私としてはそれこそ勇気をもって「ヴルタヴァ」にしたかったのですが、やはりそれはまだ世の中的には早すぎるような気がして、今回は「モルダウ」で行こうじゃないか、と提案しているところです。ただでさえ認知度の低い「レニングラード」のカップリングが「ヴルタヴァ」なんて聞いたこともない名前だったら、お客さんも引いてしまいかねませんからね。
Aventure Number : 2468 date : 2015/7/9


今日の禁断 ニトリ


 今年の広瀬文化センターの前の田んぼでの「田んぼアート」は、たしか6月末に田植えを行っていて、その翌日に見に行っていました。その時の写真がこれです。
 その時には、まあ1週間おきぐらいに定点観測に行ってみようかな、などと考えていたのですが、それ以来ずっと週末に予定が入ってしまい、とてもここまでやってくることが出来なくなっていました。ですから、もう1か月以上経ったことになる今日こそは行っておかないとと、久しぶりに現地に行ってみました。
 今まではまだ見学用の駐車場は使えなかったので、いつも車は歩道に止めて見に行っていたのですが、今日はきちんと駐車場に入っていけるようになっていました。去年と同じ、愛子バイパスの文化センター前の交差点を錦が丘方面に上って行って、橋を渡ってすぐの左側に案内の看板があるので、すぐわかります。
 そこは去年よりも大幅に広い場所が駐車場として整備されていました。でも、見に来ていたのは私だけでした。
 これも去年はなかったものですが、こんなお願いと、デザインがが立札に貼ってありました。
 そして、田んぼはすっかり色がついて、はっきり「アート」が分かるようになっています。
 ところが、前に来た時にも気になっていたのですが、真正面から写真を撮ろうとすると、前にこんな邪魔者が入ってしまうんですよね。これは、ごく最近できたばかりの、この造成地の名前のどでかい看板です。文字の下には照明が設置されていましたから、おそらく夜間はライトアップされて、この文字が浮かび上がるのでしょう。
 それをバイパス側から見た写真がネットにあったのでお借りしてみました。矢印のあたりから、上の写真を撮ったんですね。まあ、確かにインパクトのある看板ですが、せっかくの「田んぼアート」を見るのにはとても邪魔になっているのはちょっと問題です。
 そうしたら、私が写真を撮っているすぐ横で、やはり熱心に写真を撮っていたおじさんが、私に向かって、「この看板、邪魔ですね」と話しかけてきたのですよ。それから少し話を聞いていると、どうやらその方はこのプロジェクトの関係者、それも、こんなサイトを作られている中心的な方であることが分かりました。そこでこの看板設置の経過を聞かせてもらったのですが、ディベロッパーからこの件について知らされた時には、ここが「田んぼアート」ではかなり重要な場所であることをしっかり説明していたにもかかわらず、最悪の形でこんな看板が出来てしまったというのですね。そこまで事情が分かっていながら、こんなことをするなんて、ちょっと悲しくなってしまいますね。ただ、現在の駐車場には近いうちに病院が建設されるのだそうで、それが出来たらどうなるのかも、その方は心配されていました。その病院の持ち主が、専用の展望スポットを建設してくれる、なんてことはないのでしょうかねえ。
 それから、愚妻のお供でさらに車を走らせ、将来必要になってくるオーダー・カーテンの下見などに3件ほどのお店を回ったら、もう夕方になってしまいました。せっかくSさんにお誘いいただいたコンサートも、あいにく行けなくて、ごめんなさい。
 そこで、ついでに私の部屋のカーテンも新しくしようと思って、こんなカーテンを買ってきました。
 これが今までの。少しゴージャスになりました。
 遠目には女の子の顔みたいに見えますが、近くで見ると・・・
Aventure Number : 2469 date : 2015/7/11


今日の禁断 フレンチ


 新しいカバンを買いました。いつも持って歩くやつです。私の場合、就職してもスーツとかとは無縁でしたから、財布なんかもポケットに入れずに、昔からショルダーバッグを使っていましたね。もう何十年も前ですから、かなり時代の先を行ってたな、と自負してるんですけどね。それからは、もう何個、いや何十個新しいショルダーを買ったことでしょう。しかし、気が付くと、いつの間にか世の中はショルダーであふれかえっていました。もう全く普通のアイテムという感じで、それこそどんな人でもこれを肩から下げているんですよね。どんなカバン屋さんに行っても、これは置いてありますしね。ある時、新幹線の中で大声でがなり立てながら缶ビールかなんかを飲んでいるあまり都会的ではない一団がいたので、ああいう人の仲間にだけはなりたくないな、と思っていたら、そのうちの一人がショルダーを斜め掛けしていたではありませんか。これでもう決定的です。もはやショルダーは都会的ではない人でも十分に釣りあいうるアイテムに成り下がっていたのですよ。
 実は、だいぶ前から、男性でもトートバッグをかっこよく持っている人には、ちょっと注目していました。少し大げさすぎるような気はしますが、あれだったらいっぱい物も入るし、何よりまだ実際にこれを肩にかけて颯爽と歩く男性の絶対数は少ないですからね。それと、最近はいつも持ち歩いているカメラも大きくなって、望遠レンズなんかを入れたら今のショルダーではパンパンになってしまっていましたから、もう少し大きなバッグはぜひとも必要でしたし。
 それから、あちこち探しまわって、こんなのを買ってきました。前にあるのが今までのショルダー、格段に収納は増えましたね。なんたって、A4の用紙をそのまま入れられますから。もう使い始めて1週間経ちますが、操作性も問題ありませんね。そういえば、本来女性の持ち物だったはずのショルダーも、この頃はあまり見かけないようになってません?その代わりに彼女たちが使い始めているのがトートバッグ、こんな使いやすいものを使わないのはもったいないですよね。
 このところ、このトートバッグに入っているのは、こんな文庫本です。
 この前一人で東京に行ったときに、新幹線の中で何か読んでいけるのはないかな、と、エキナカの本屋で表紙につられて買ったのが「タルト・タタン」でした。一応「ミステリー」と言ってますが、これがすごくおもしろかったんですよ。やたら専門用語が出てくるのに全く気にならないで、まずは人物描写が飛び切り素敵、そして、さりげなくミステリーの要素を絡ませるという、かなり高度なテクニックが使われています。それは一気に読んでしまって、続編があることを知って「ヴァン・ショー」も買いました。こちらは、さらに上を行く素晴らしさでした。全部短編ですが、最後の方では設定を変えてさらに深みが増しています。というか、とても巧妙に登場人物の素性が隠してあって、最後になって騙されたことに気づく、というとんでもないものもありましたからね。
 実は、この作家のほかのシリーズも、読み始めているところです。いずれ、トートバッグいっぱいに、いろんなジャンルの近藤史恵さんの文庫本があふれかえっていることでしょう。
 一つ、後悔していることがあります。ついうっかり、ネットで近藤さんの「近影」を拝見してしまったのですね。なぜ、二物を与えてくれなかったのかと天を呪ってしまいましたよ。でも、そんなことでテンションを下げていたのでは、せっかく見つけた宝物を楽しむことが出来なくなってしまいます。これは見なかったことにして、次は何を読もうかと、わくわくしているところです。
Aventure Number : 2470 date : 2015/7/13


今日の禁断 ヴルタヴァ


 ニューフィルの今度の演奏会、10月の第60回記念定期演奏会のチラシが完成、その画像が公開になりました。現物の印刷が出来てくるのは来週になりますが、例えば公式サイトからだと、表と裏の画像の大きいものがPDFでリンクされていますから、それをダウンロードして印刷すれば、紙のチラシが出来上がります。来週初め、20日の2時からの「杜の都 合奏団」の本番の時には、こうやって作ったチラシをプログラムに挟んでもらおうと思っています。レーザープリンターですから、四隅に空白が出来てしまいますが、それが一般の人が受け取る最初の紙のチラシになるはずです。そんなレアなものももらえますので、どうぞ、宮城野区文化センターのパトナホールへいらしてみてください。この暫定チラシ、もし持ってきていただければ正規のチラシ2枚と交換させていただきますから。
 こちらが表、
 そして、こちらが裏です。
 別に裏まで見せる必要はないのですが、一応この中の解説に少しかかわっていたものですから。前にもちょっと触れましたが、メインの曲がそれほど有名ではなく、いわゆる「名曲」には程遠いものなので、少しでも予備知識があれば、という、印刷担当のOさんの発案で、軽く解説文を添えてみよう、ということになりました。そこでOさんにざっと書いてもらったものに、私が少し手を入れた、というだけのものです。もちろん、もう一つの曲の「モルダウ」でも、一通りのことは書いてもらっています。
 そこで、そこまでやるのなら、この前の演奏会でもやったような、全体のコンセプトを言い表したようなキャプションも付けたくなるじゃないですか。前の演奏会ではOさんが作っていて、今回も、ショスタコーヴィチについてのキャプションは付けられていました。でも、やはり、一緒にやる「モルダウ」も、単に「時間が少し余るので、ちょっと有名な曲も一緒にやってみました」という、あまりにもな扱いではなく、しっかりとコンサート全体にかかわっているものなのだ、という気持ちを表すために、こんな、2つの曲をまとめた形でのキャプションを考えてみました。最初はストレートに「祖国愛」みたいな言葉を使おうかな、とも思っていたのですが、今の時代にその言葉はあまりにも重すぎます(いや、「軽過ぎ」ます)。そんな言葉に騙されて、この国がなんだかとんでもない方向に持って行かれそうな状況が、まさに作られようとしているときですからね。
 いろいろ考えあぐねていたら、Oさんが最初に持ってきた原稿の中に「郷土」という言葉が見つかりました。これだったら、変に捻じ曲げられる心配はあまりなさそうです。そして、そこに「ふるさと」というルビを振りました。もちろん、これは「こころざしを果たして/いつの日にか帰らん」という素晴らしい歌詞の付いたあの唱歌に由来しています。それは、国家のプロパガンダには踊らされない、誰しもが心の中に持っている、帰るべき場所、あるいは、帰ろうと思っても帰ることが出来なくなってしまった場所のことです。
Aventure Number : 2471 date : 2015/7/15


今日の禁断 ウィルキンソン


 暑いですね。連日30°を超える気温では、もう干上がってしまいます。こういう時にはやはり炭酸系の飲み物が欲しくなります。しかし、あまりがぶ飲みしすぎると、糖分の過剰摂取が気になってきます。そこで、今まで飲んでいた青リンゴ味のサイダーが終売になったのを機に、こんなのを飲んでみようと思いました。
 同じメーカーで作っている辛口ジンジャエールはもう飲み飽きるほど飲んでいたので、おそらくその味が受け継がれているであろう炭酸水、ということで、いいんじゃないかと思ったんですね。ただ、これはどうやらスーパーなどでは売ってなくて、Amazonでなければ手に入らないものなのだそうなのです。しかも、買えるのは一箱単位、24本買ってしまってまずかったらどうしよう、という気にもなりましたが、ジンジャエールがあれだけおいしかったのでそれを信じて一箱買ってみました。
 確かに、最初に飲んだ時にはちょっと失敗したかな、とも思ったのですが、次第にその味になじんでくると、とてもそれが気に入ってきました。糖分なんて全く入っていないのに、喉元でほのかに甘さが感じられるのですよ。
 とにかく何も入ってませんから、いくらでも気兼ねなく飲める、というのが最大のメリットですね。今年の夏は、これで乗り切るつもりです。
 そんな猛暑でエアコンを酷使したので、ファンベルトでもおかしくなったのでしょうか、きのうの朝、車のエンジンをかけたら、なんだか変な音が聴こえてきます。「キュルキュル」というような、何かが回転しているような音、それにしては、音がとてもリアル、エンジンルームのようなところではなく、すぐそばで鳴っているような感じです。それも左側で。調べてみたら、その音は左側のドアミラーから聞こえてくることが分かりました。開閉のスイッチを操作しても、ミラーが全く動かなくなっていますから、中のギアが壊れたのでしょう。まあ、ミラーは開きっぱなしでも問題はないのですが、この音はとても気になるので、その足でディーラーのところに持っていきました。音だけでも止めてもらいたいですからね。
 結局、部品を交換しなければ治らないことが分かって、修理は部品待ちなのですが、その時に、音を止める簡単な方法を教えてもらいました。というか、なんで気が付かなかったのか、という感じなのですが、スイッチを真ん中でとめればよかっただけの話なのですよね。「OPEN」と「CLOSE」だけではなく、その中間もあるのだ、ということを教わりました。
 一応解決出来たので、職場に行ってこれからの夏本番の行事の準備です。その中で、お土産用に使っている紙袋の準備に取り掛かったところです。だいぶ前にこれを始めた時には、白い袋に「プリントゴッコ」を使って印刷をしていました。ところが、この簡易印刷機は、最大の需要である年賀状の印刷がPCにとって代わられるようになると、あっという間に市場から姿を消してしまいました。一部ネットでは手に入っていた消耗品も、2012年には完全に供給が停止されてしまったのです。ですから、うちでもわずかに残っていた買い置きのマスターなどを使い切ってしまうと、もうこれを使って印刷することは出来なくなってしまいました。そのあとはただの白い袋を渡すことになるのです。
 ただ、最近になって、あて名シールのようなもので、もっと大きな面を使えるものもあるはずだ、と探してみたら、A4を全く余白なしに4等分したというちょうどいいものが見つかりました。印刷はもちろんプリンターで簡単にできます。ほんの数分で400枚のシールが出来てしまったのには感激ですね。プリントゴッコの時代には、こんな暑い中、大汗をかきながら一枚一枚ガッチャンガッチャンやっていたんですからね。しかも、だんだんインクが足らなくなってムラが出てきたりといいことがなかったのに比べれば、夢のようです。
Aventure Number : 2472 date : 2015/7/17


今日の禁断 ガストン


 あさっての「杜の都 合奏団」の本番に向けての集中練習が、朝の9時から始まってました。合奏は9時半からなのですが、その前からみんな集まって椅子を並べたり個人練習をしたり、盛り上がっています。
 お昼休みを挟んで、午後の部はコンチェルトのソリストを交えて練習するというスケジュールでしたが、私は1回通したところで早退けさせてもらいました。仙台フィルの「椿姫」で合唱に参加している人からどうしても来てほしいと言われて、チケットをいただいてしまったものですから。
 後ろ髪をひかれる思いですが、もう一人のフルートに任せて、とりあえず全乗りなので撮ることのできなかった写真を撮っておきました。
 なんせ、6000円のチケットですから、それ相応の花束などを送らねば、と、思いましたが、そんなものをもらったってじゃまなだけだと、もらってうれしいチョコレートに変更、いつかは買ってみたいと思っていた三越地下のジャン=ポール・エヴァンを奮発です。
 「椿姫」はコンサート形式、こんな風にソリストが前に並びます。その分オケが下がっているので、合唱はこんなところでした(この写真は仙台フィルのFacebookページからシェアさせていただきました)。ぜひ聴いてほしいと言っていた合唱は、本当にすごいものでした。「腰を抜かした」みたいな陳腐な言い方が現実になっていたのですからね。ソリストも、ヴィオレッタはとても素晴らしかったです。
 いろいろ「演出」も考えていたようで、ちょっと写真の右上にも入っているスクリーンに、そのシーンの写真や字幕を出していましたね。ただ、これがちょっと暗くて見にくいのですね。ステージの照明も、オケは譜面灯を使っていましたが、全体が暗すぎるので、合唱は大変だったでしょうね。もっとも、彼らはほとんど暗譜しているようでしたが。
 この、林立している譜面台が、カーテンコールの時には邪魔になったので、マエストロ自身が後ろに片づけたりしていましたし、合唱団員にも一部の人にハイタッチ、とか、とても気さくな一面が見られましたね。
 この写真をFacebookからダウンロードすると、Photoshopで編集するときにまず「RGBに変換しますか?」という表示が出ます。そんなのはただの社交辞令だと思って、いつも普通にRGBに変換していたのですが、最近、何でもかんでもそれをやってしまうのはちょっとまずい、ということに出会いました。
 それは、今度新しく出来上がったニューフィルのチラシ。印刷用に作られたものですから、オリジナルは「CMYK」で作られています。印刷の時の三原色である青(シアン)、赤(マゼンタ)、黄色(イエロー)のそれぞれの頭文字に、黒の「K」だと思ったら、「Key Plate」の頭文字だというのは、今回初めて知りました。PCでは、普通は同じ三原色でも「光の三原色」であるRed, Green, Blue(=RGB)が使われますから、今回もRGBに変換したデータが送られてきました。そこで、さっきの「杜の都合」で挟み込みを行うために、レーザープリンターでそれを印刷してみると、なんだか色が違ってるんですね。まあ、プリンターのトナーとか階調補正などの具合で、微妙に色が変わることはありますが、確か、全部「黒」だということだったのに、下の方は明らかに「茶色」になっているのですよね。データを見直してみると、確かに、印刷した時ほどはっきりはしてませんが、そんな傾向は見られます。ですから、いつの間にか色が変わってしまったのかと、例のOさんに聞いてみると、「茶色になんか見えない」というのですよ。うーん、もしかしたら、私の眼は色彩を感じる機能が老化してきているのかもしれませんね。
 でも、なんだか気になったので、そのデータをCMYKに変換してみました。そうしたら、全然別の色になってしまったではありませんか。
 左がRGB、右がCMYKです。右だったら、ちゃんと「黒」に見えますね。見えるでしょ?私も、職場でも自宅でも、どのPCでもちゃんと違って見えます。でも、どうやらMacだと、この差が出てこないようなのですね。だから、Macしか使っていないOさんも正しく、私も正しい、ということだったのです。まだ、そこまで老化が進んでいなかったことが分かって、ほっとしているところです。
Aventure Number : 2473 date : 2015/7/18


今日の禁断 メンデルスゾーン

 今朝は、いつもと同じように起きて、9時前には本番会場の宮城野区文化センターに向かいました。いよいよ私にとっての初舞台です。
 ここには、その前の日も最後の練習ということで、来ていました。6時からの練習だったので、その前に最後の個人練習をやってみようと、その3時間前に旭ヶ丘のパフォーマンス広場に向かいます。どうも、今までの合奏では私にとってはこのレパートリーに対しても絶対的な時間が足りてませんでした。国会の審議ではないので時間さえかければ強行採決をしても構わない、というようなものではないのですが、やはり合奏で一緒にやった時の時間がある程度以上でないと、満足のいく本番は迎えられません。今回は、その時間が全く足りてなかったのですよ。ですから、それを補ううために、個人練習でかなりの底上げをしておかないと、本番になっていろいろ不満なところが残ってしまうのですよね。
 この会場は、今まで聴きに来たことは何度もあったのに、まだステージに立ったことはありません。まずは、山台の設置から始めます。そんなに大きな編成ではないので、管楽器だけ軽く2段に組もうということだったのですが、なんか、ホールの係員とメンバーとの間でちょっともめているみたい、あちらはかなり高い山台にしようとしているようで、そんなパーツも用意しているようですが、我々はもっと低いものをイメージしていたはずなのですね。それを直してもらおうとすると、なんだかパーツを交換するのが面倒くさそうなのですが、これはやっていただかないとまずいので、少し強硬にお願いしました。なんかこのあたりが、去年使ったホールとは雲泥の差ですね。下手の扉もその人に開けてもらおうとしていたようですが、そんなことまでやる気は全くなかったようで、指揮者が自らドアを開けていましたし。
 今日のGPが始まると、私は大切なものを家に忘れてきたことを急に思い出しました。取りに帰る時間はなさそうなので、近所のコンビニにでも行って買ってこなければなりません。それをどのタイミングで敢行するか、なんてことを考えていたら、あまり合奏には集中できませんが、不思議なもので、個人練習の成果でしょうか、必要な音はそんな雑念があっても出せるようになっていました。
 今回のメンバーは木管ではかなり大幅に入れ替わっています。オーボエなどは大学生(院生)です。それで、もしかしたら、と思って、この前のヴェルディの「レクイエム」の時に乗っていなかったのか聞いてみたら、まさにあの時のメンバーだったそうです。私が合唱で参加したというと、それからは話がとても盛り上がってしまいましたね。何について盛り上がったか、という具体的なことはとてもここに書くことはできませんが、なんでも彼はあの演奏がトラウマになってしまっているのだそうです。かわいそうに。実は、私は当事者からそういう「正直な」声を聴いたのはこれが初めて、やっぱりそうだったんだなあと、あの時のことを思い起こしているところです。やはり、私があの時に感じたことは、誰しもが思っていたことだったんですね。それを真摯に受け取ることから目をそらしてはいけません。
 肝心の演奏は、まあ私としては最善を尽くした、と言っておきましょう。本番では何が起こるかわからないのですから、様々な事故は不可抗力だ、と思って片づけるのが一番楽な姿勢です。でも、やはりそれを未然に防げるだけの練習の「量」と「質」とを自らに課さないことには、進歩はないことを「真摯に」受け止めなければ。
 でも、念願だった「イタリア」を吹くことが出来たのは、とてもうれしいことでした。
Aventure Number : 2474 date : 2015/7/20


今日の禁断 アワビ


 私はニューフィルの広報係ということで、いろいろな広報活動を担当しています。最初のうちは団内の広報紙である「かいほうげん」の発行だけがメインの仕事だったものが、そのうち「ホームページも作りましょう」という声が出てきました。でも、その頃はまだ私はパソコンを使ったことがなかったのですね。とりあえず「かいほうげん」を作るために「ワープロ」は使っていましたけど、それ以上のことはできませんでした。それは、Win95がまで登場していなかった頃の話で、当時はまさかこんなにパソコンが一般的になるなんて、思いもしませんでしたからね。ですから、そのホームページの話は、それを言い出した、そっちの方面に詳しい団員にすべてお任せでした。私は、もちろんインターネットにアクセスも出来ませんでしたから、知り合いに頼んでそのページをプリントしてもらい、それを「かいほうげん」に載せて紹介する、という、何とも屈辱的なことしかできなかったのが悔しかったですね。
 でも、しばらくして、やはりパソコンが出来ないことにはもはや広報の仕事は出来ないのだと思い立ち、たしか1998年の3月に思い切ってパソコンを職場の備品として買うことにしました。一旦使い始めると、そのあとのことはもう驚くほどのスピードで進んでいきます。3か月後には、自分のウェブサイトを作ってしまっていましたからね。
 そのうち、今まであったニューフィルのホームページ(その頃は、ほとんど更新されない状態でした)も引き継いで、私が新たに構築して運営を始めるようになりました。そんな感じで、これまで主に私のサイトと、ニューフィルの公式サイトの運営をずっとやってくる間には、「ブログ」とか「Facebook」などというものも新たなツールとして広まってきたので、それも適宜取り入れつつの運営ですね。ですから、ニューフィルのFacebookページも、当然私が登録する、ということでスタートしています。
 その、ニューフィルFacebookページへの「いいね!」が、今の時点では236件になっています。これが多いのか少ないのかは分かりませんが、このところはポツポツと新しい「いいね!」が定期的に増えている、という感触がありますね。ただ、Facebookの仕様はどんどん変わっていって、この「いいね!」もかつてはすべての人(あるいは団体)の名前が分かるようになっていたのに、最近では管理者(つまり私)の「友達」の中のごく一部の人しかわからないようになっているみたいです。ですから、友達でない人が「いいね!」をくれても、それは「お知らせ」で知らせられるだけで、そのあとはもうわからないようになってしまうのですよ。なんで、こんなことになってしまったのか、全く理解できません。
 というのも、最近はこんなところがよく「いいね!」をよこしているのですね。
 登録者の名義として、不動産の案内をそのまま使ったFacebookページです。先方は広告媒体としてFacebookページを使おうとして、ニューフィルのFacebookページに「いいね!」をしているのでしょうね。でも、あいにく、いくら「JR仙石線・・・・」やら「JR仙山線・・・」とか一生懸命名前を付けて「いいね!」をよこされても、あいにくそれはどこにも表示はされないのですよね。ご苦労様なことです。というか、もしかしたらこういうものが出てきたから、Facebookの仕様を変えられてしまったのでしょうかね。なんたって、ここほど時代の動きに敏感なところもありませんからね。
 おとといのコンサートの打ち上げは、東口で行われました。少し時間があったので、今まさに工事中の東口の、どんどん変わっていく姿を撮ってみました。こうやって、ちょっと目新しいと思っていたものが、瞬時に古臭いものに変わっていくんですね。
Aventure Number : 2475 date : 2015/7/22


今日の禁断 パトナ


 今年の夏は最初から暑さをとばしてますから、大変ですね。でも、今年から私の伴侶となった「ウィルキンソン・タンサン・クリアジンジャ」のお蔭で、いとも爽やかに生きていられます。いくら飲んでもあとに残らないのがいいですね。
 この間のコンサートは月曜日に本番だったので、なんだか今週は早く過ぎてしまったような気がします。あの時N岡さんに撮ってもらった写真を見直していたら、すごい絶妙なシャッターチャンスを捕えたのが見つかりました。
 かわいいお嬢さんが、突然の知り合いに出会ってびっくりしているという瞬間ですね。
 彼女が手に持っているのが、当日のプログラムです。今回も私が曲目に関する原稿を頼まれたので、公開させてください。
演奏曲に寄せて
 本日の演奏会では、フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディの作品を3曲演奏します。交響曲が2曲と、ヴァイオリン協奏曲が1曲です。
 メンデルスゾーンといえば、おそらく結婚式の代名詞として、実際の結婚式だけではなく、テレビドラマなどでもまさに結婚式のシーンに広く使われている「結婚行進曲」の作曲家として有名なはずです。しかし、彼の作品全体が正当に評価され、今まで埋もれていた作品までが演奏されるようになったのは、ごく最近のことなのです。
たとえば、彼の「交響曲」というジャンルの作品についても、かなりの混乱があったようです。普通にCDなどで「メンデルスゾーンの交響曲全集」を買ってくると、そこには5曲の交響曲が入っていたはずです。確かに、いわゆる「交響曲」と呼ぶにふさわしい管楽器も入ったフル編成の作品はそのぐらいになるのかもしれませんが、そういう編成の「交響曲」を作る前に、彼は13曲ほど「シンフォニア(=交響曲)」というタイトルの弦楽器だけによる作品を作っているのです。
ユダヤ人の銀行家というお金持ちの家に生まれたメンデルスゾーンは、小さいころから両親が雇った家庭教師のもとでしっかりとした教育を受けますが、とりわけ音楽の才能を認められて、まずは母親から、さらには高名な音楽家から指導を受けることになります。「シンフォニア第1番」を作ったのは1821年、彼が12歳の時でした。それから3年にわたって、家庭内で行われるコンサートのために「シンフォニア」を作り続けます。そして、13番目の「シンフォニア」(これは楽章が1つしかない習作のようなものだったので、彼は番号を付けていません)を作った3か月後に、「シンフォニア第13番」というタイトルで、フル編成のオーケストラのための「交響曲」を作ります。出版された際にこれが「交響曲第1番」という名前で発表されたため、それ以後の「交響曲」も、出版された順に5番まで番号が付けられ、普通に「交響曲」という時にはその5つの作品を指すことになりました。それに対して、それまでの12曲(あるいは13曲)のシンフォニアは、「弦楽のための交響曲」と呼ばれるようになっています。
 ただ、その5曲の交響曲でも、その番号は単に出版順に付けられただけのものですから、「1番」以外は作曲年代とは全く無縁の番号になってしまっています。きちんと作曲順に並べ直すと、「1番」、「5番(宗教改革)」、「4番(イタリア)」、「2番(賛歌)」、「3番(スコットランド)」となるのですからね。
 そんな不都合を解消しようと、メンデルスゾーンの生誕200年の記念の年である2009年に刊行された全作品目録(MWV)では、「交響曲」として先ほどの「弦楽のための交響曲」も含めて、全部で19の作品(断片なども含む)がほぼ作曲順にカウントされています。もし将来「交響曲」の番号が、この作品目録に従って作曲年代順に付けられる日が来た時には、本日演奏される2つの交響曲のうちの「1番」は「13番」、もう一つの「4番(イタリア)」は「16番」と呼ばれるようになっていることでしょう。

交響曲第1番ハ短調(MWV N 13)
 1824年に作られたこの交響曲は、メンデルスゾーンにとってはそれまでに作っていた「シンフォニア」とは一線を画した、新しいジャンルへの挑戦という意味を持っていたのではないでしょうか。この曲からは、そんな15歳の若者の少し背伸びをしてでも先人たちの作り上げた偉大な「交響曲」に迫るものを作りたいという気概が存分に感じられます。ここからは、彼がモデルにしたであろうベートーヴェンやウェーバー、さらにはモーツァルトなどの作品に寄せる思いが痛いほど感じられます。そうして出来上がったものは、おそらくメンデルスゾーンは聴くことのなかったシューベルトの作品ととてもよく似たテイストを持っていました。
 第1楽章の短調によるメインテーマは、例えばモーツァルトのト短調交響曲(第40番)を思わせるような深刻なものです。このテーマ、この後の「ヴァイオリン協奏曲」の第1楽章で、最初のヴァイオリンのソロが終わった後にオーケストラだけで演奏される部分に現れる堂々としたテーマとよく似ていますから、注意して聴いてみてください。それとは対照的に、長調に変わってヴァイオリン→オーボエ→フルートと受け継がれるサブテーマは、何と屈託のない美しさを持っていることでしょう。
 第2楽章では、まさにシューベルトのような歌心に満ちたテーマが、様々な楽器によって朗々と奏でられます。個人的には、このテーマの2番目の音が減和音で彩られているところにノスタルジーを感じたりします。
 第3楽章のメヌエットは、まさにモーツァルトのト短調交響曲のテイストをそのまま借りてきた趣です。そしてそれは最後の楽章にも引き継がれています。さらに、後半に出てくる弦楽器だけによるポリフォニックなやり取りは、同じモーツァルトのハ長調交響曲(ジュピター)をも彷彿とさせるものではないでしょうか。

ヴァイオリン協奏曲ホ短調(MWV O 14)
 長い準備期間を経て、1844年という、メンデルスゾーンの早すぎる晩年に完成した、数あるヴァイオリン協奏曲の中でも間違いなく上位にランキングされる超名曲です。実は、この作品は彼の2番目のヴァイオリン協奏曲です。「第1番」のニ短調の協奏曲は1822年に作られていますが、当時の作曲家が作った協奏曲を巧みに真似たような「習作」で、オリジナリティや存在感は、このホ短調協奏曲には及ぶべくもありません。
 第1楽章は、たった2小節のオーケストラの序奏のあとに、いきなりヴァイオリン独奏がメインテーマを奏するという、まさに「直球勝負」のオープニングです。しかも、そのテーマが短調ならではの心の琴線に触れる魅惑的なメロディ(まるで「演歌」)なのですから、たまりません。今までどれほどの人がこのテーマに酔いしれ、この曲の虜になってしまったことでしょう。
 そんな、聴く人を飽きさせない工夫が、第2楽章のつなぎ目に設けられています。普通はここで一旦演奏が止まりますから、客席は少しざわついてそこで緊張感が途切れてしまうものですが、そこに「まだ終わってないぞ」と言わんばかりのファゴットとフルートのロングトーンが入れば、お客さんは耳をそばだてないわけにはいかなくなってしまいます。そして、それに導き出されて、波に揺られるようなリズムに乗って現れるのが、期待通りの甘美なメロディです。
 さらに、この楽章が終わるやいなや、間髪を入れずに現れるヴァイオリンのレシタティーヴォによって準備される最後の楽章では、浮き立つような軽快なソロが、木管楽器に絡み付かれて登場します。それはまさにジェットコースター、華やかなソロの技巧に聴きほれているうちに、曲は終わりを迎えます。

交響曲第4番イ長調(MWV N 16)
 1830年にイタリアを訪れた時から構想は始まっていた交響曲が、1833年に完成します。それは、間違いなくメンデルスゾーンでなければ作ることのできなかった機知にあふれた作品です。第1楽章のオープニング、弦楽器の明るい響きのピツィカートにはじき出されるように聴こえてくる管楽器のパルスは、まるでファンファーレを思わせるものです。それに乗って登場するヴァイオリンのテーマの、なんと軽快なことでしょう。しかし、この楽章の後半に現れる、装飾音符を伴った短調のテーマは、ポリフォニックな処理も相まってさらに深みのある側面を演出しているようです。
 第2楽章では、最初は重々しい低音の歩みに乗って、やはりちょっと深刻ぶったコラール風の旋律が歌われます。これはまさしく、メンデルスゾーンが愛してやまなかったバッハの世界です。しかし、しばらくして突然現れる、楽園を思わせるような光り輝く世界は、まるで夢の中のよう。最後にはまたコラールの断片が現れて、そのはかない夢は終わります。
 第3楽章は安らぎに満ちています。中間部で出てくるホルンのコラール、それにまとわり付くヴァイオリンとフルートのオブリガートは、深く心に染み入るものです。
 そして第4楽章では怒涛のような乱舞が始まります。それは、何もかも忘れて踊り明かすカーニバルの情景でしょうか。そんな華やかな音楽が、短調で作られているのが、とても意外な気がしませんか?
 この交響曲の出来については、メンデルスゾーン自身は満足していなかったようで、何度も改訂を試みていますが結局彼の生前に出版されることはありませんでした。現在出版されている楽譜は、改訂前の初稿をそのまま印刷したものです。最近では改訂後の楽譜も発見され、それを使った演奏を実際に聴くこともできます。それは確かに、ある意味整った形を持っているものではあるのですが、なぜかそこからは初稿にあった意外性のようなものが消え去っていて、音楽としての勢いがなくなっています。そんなところに、メンデルスゾーンの音楽の秘密があるのかもしれませんね。
 正直、メンデルスゾーンは私の守備範囲外、ということで、次回は3月にシューベルトですが、その時には、もっと的確なコメントが書ける人にお任せした方がいいような気がします。
Aventure Number : 2476 date : 2015/7/24


今日の禁断 サンクス


 暑い日が続くと、美容室が繁盛するんですってね。今日行った旭ヶ丘の美容室の店長さんが言ってました。確かに、私が行ったときには店内にある6脚ほどの椅子は全部埋まっていましたね。そもそも、水曜日に予約を入れた時にも、朝一番の時間帯は埋まっていて、そのあとからしか空いてませんでしたからね。
 もうすっかり、辞めてしまったかつての店長さんのことなんか忘れてしまって、おしゃべり好きな今度の店長さんのしょうもないおしゃべりに付き合います。その前に、シャンプーをやってくれたのが少し初々しさの残る男の美容師さんでした。「暑いですねぇ」などと愛想のよさそうなところもアピールしています。ところが、です、いざシャンプーが始まると、どんな時にでも必ず寄せられる3つの質問、「お湯加減はどうですか?」、「痒いところはないですか?」そして「流し足りないところはないですか?」という3種のフレーズを聞くことが出来ませんでした。いつも、これが楽しみでシャンプーしてもらっているんですけどね。特に、最後の「流し足りないところはないですか?」という、いったいどのように答えたらいいのか、真剣に考え始めたら大変なことになる質問には、常に喜ばされているものですから。実際、流し足りないかどうかなんて、洗われている本人には絶対に分かりませんよね。
 おそらく、この美容師さんも、彼らのマニュアルにはあるはずこんな質問のばかばかしさに気づいて、そんなことを言ってお客さんを悩ませるようなことはもうやめようと固く決心していたのではないでしょうか。美容師業界にも、新しい波が。
 実は、きのうの夜に、旭ヶ丘の小ホールで、新しく出来上がったニューフィルの演奏会のチラシとポスターを、それぞれの機関に配達するためにチラシは袋に詰め、ポスターは丸めて持ち運びしやすいようにする作業を行っていました。掲示板で呼びかけたら、私が今まで持って行っていたところを引き受けてくれた方がいっぱいいたので、私の担当は劇的に少なくなってしまいました。ですから、私が持っていくものを駐車場まで運ぶのも、かなり楽でしたね。
 それを、まずきのうの帰りがけに旭ヶ丘の市民センターに置いてきたのが、初仕事でした。そして、今日行った美容室も旭ヶ丘なので、その途中で青年文化センターにも置いてきました。さらに、美容室の2階にはイタリアン・レストランが入っているのですが、この間行ったときにレジの横にコンサートのチラシがいっぱい置いてあったので、飛び込みでここにも置かせてもらおうか、と思ったのですが、カットが終わってもまだお店は開いてなかったので、改めてランチを食べにやってきました。
 このお店、とてもおいしいのですが、いまだに全席禁煙にしていないという欠陥レストラン、今日も、一番端のテーブルに座ったのに、すぐ隣に座ったお一人様の女性がタバコを吸いだしたので、お店の人に言って、奥の丸いテーブルに移動させてもらいましたよ。さもわざとらしく、その女性の前をコップを持ったりして歩いて行ったのは、言うまでもありません。そこで、ちょっと恐縮している店員さんに「仙台ニューフィルですけど、チラシを置かせてもらえませんか?」と言ってみたら、快く引き受けてくれましたね。
 こんな感じ、これからも、ここに置いてもらうようにしましょうね。このお店には、音楽関係の人が良く来るはずですから、かなりの効果は期待できますよ。
 もう1か所、前回に次いで目立つところにも特大のポスターを貼らせてもらいました。ここは、なんとライトアップ用のライトまで付いていますから、夜でもしっかりポスターが見えるはずですから。
Aventure Number : 2477 date : 2015/7/26


今日の禁断 レンミンカイネン


 ニューフィルの演奏会のチラシやポスターを持って行く場所はリストアップしてあって、今日の練習の時にそれぞれの担当のところにお願いするように、その担当一覧のリストを渡しました。そうしたら、箱一杯に入っていたポスターなどは、もう残りわずかになってしまいましたよ。それだけのものが、確実にこれから町中にばらまかれる、ということになるのですね。
 ですから、私も、この間のような大きなものを貼りつけるだけではなく、もっとこまめに貼れるところを見つけてみようと思いました。そうして職場への行き帰りに道路わきを注意してみていると、ポスターを貼るには格好のボードが、かなり目立つところにあちこちに用意されているではありませんか。そこには何やら名前が書かれたポスターがたくさん貼られていますが、なぜか半分近くのスペースが空いています。ここを宣伝に利用しない手はありませんから、さっそくそのボードの一つにポスターを貼ってきましたよ。まわりのものが顔写真や名前だけを大きく書いただけの、デザイン的には何とも美しくない中にあって、このニューフィルのポスターはひときわ目立っていますね。
 なんて、実際にそんなことをしたら、公職選挙法違反で逮捕されてしまいますからね。本気にして貼ったりしないでくださいね。
 今日の練習は、来週はパート練習なので指揮者練習前の最後の合奏となっていました。「レニングラード」は通したらそれだけで終わってしまいますから、4楽章と1楽章だけでしたが、「モルダウ」はひとまず最後に全曲を通してみました。この曲は私の担当はピッコロ。これは最後にしか出てきませんから、それまではヒマ、そんな、「待っている時間」の過ごし方も、この通しでシミュレーションとなります。
 ところで、ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、このピッコロ・パートが、最近出版されたベーレンライター版では、今までのものとかなり違っているのですよ。
 このように、いたるところで、今までより1オクターブ高く吹くように変わっているのです。末廣さんも「ベーレンライター版も参照」というようなことをおっしゃっているので、もしかしたらここをそんな風に吹かされるかもしれないのですね。正直、私はピッコロは苦手ですから、これはかなりつらいところ、でも、一応「もしも」の時に備えて、今日の通しで試しに吹いてみました。まあ、微妙でしたね。末廣さんが今までどおりにやってくれることを祈るだけです。
 練習が終わったら、共同購入をした新田さんの本が届いたので、みんなに渡していました。私はとっくに買っていたので、この割引の恩恵にあずかることはできませんでしたが、いいんです。ほかの人より先に読めたというところで、優越感を持っていたいものですから。実は、きのうの「おやぢ」を書くにあたっても、この本を参考にさせていただいてましたからね。とにかく、ここではシベリウスに関しては最新の研究成果が反映されていますから、作曲や改訂の年などが、今まで、例えばWIKIなどに書かれていたものとは大幅に違っていたりします。もちろん、正しいのは新田さんのデータですから、ますますWIKIなどをあてにすると痛い目に遭うことも増えることでしょう。と思っていたら、同じ本の中でタイトルに要約されていた年代が、そのWIKIのようなデータで、本文とは違っていることに気づきました。おそらくこれは、著者の知らないところで誰かが気を利かして古いデータを加えてしまったのでは、という気がしたので、さっそく新田さんに聞いてみたら、やはりこれは本人が書いたものではなく、校正の際にも見落としていたのだそうです。さっそく正誤表を作るようなことをおっしゃっていたので、余計なおせっかいではなかったようですね。
Aventure Number : 2478 date : 2015/7/28


今日の禁断 ソニー


 「あまちゃん」の再放送も100回目を過ぎて、いよいよ話は佳境に入ってきましたね。段々と明らかになる春子の過去、それを知ったアキと太巻との関係は、どのようになっていくのでしょう・・・って、本当はもうわかっているはずなのですが、それをあえて知らないモードにしておいてまっさらな状態で見るというのが、再放送の正しい味わい方ですから。
 そして、今やすっかり売れっ子になった有村架純がいよいよレコーディングを行うシーンももう終わりましたが、やはりその声は小泉今日子でしたね。ということは、彼女は二重の意味での「影武者」を演じていることになりますね。そして、テレビの生番組でも吹き替えをやるときには、こんなシーンが出てきました。
 モニターに使っているヘッドフォンが、私が愛用しているMDR-CD900STなんですよ。
 さすがにメーカーのロゴは消してありますが。このころから、現場で使われていたロングセラーということになりますね。でも、ちょっと待ってください。このシーンは、確か1985年のことだったはず、
 しかし、このヘッドフォンが発売されたのは、実は1989年なんですよね。これは、時代考証の間違いです。でも、そんなことを言えば、後部座席のシートベルトの着用が義務付けられたのは2008年からですから、あのタクシーの中で二人ともシートベルトをするというのも、ほんとはインチキなんですけどね。
 その時の、「ザ・ベストテン」っぽい番組の中で、その週のランキングがボードに現れるところで、ガラガラ回っているところがありましたが、普通は早くて読み取れないのをコマ送りで一個一個キャプチャーしてみました。なかなか面白いですよ。
 ここから、一番上の欄だけが回っていきます。







































 こんなにあったんですね。スタッフが一生懸命考えたのでしょう。私のお気に入りは「ピンクのベートーベン」です。
Aventure Number : 2479 date : 2015/7/30


今日の禁断 シュトラウス


 いつもは冷房の効いた部屋でずっと仕事をしているものですから、休みの日に街中などに出てくると、世の中の暑さが実感できます。こんなに暑かったなんて、知りませんでしたよ。もう、交差点の横断歩道などは日陰も全くありませんからもろに太陽はあたってくるし、熱風は吹いてくるわで、この異常気象を身をもって体験することになりました。これでは、熱中症で倒れる人が続出しているのも納得です。もちろん、それはこんな暑い日が許容量を超えて続いたからなのですが、それを、原発が稼働していないせいにしている人がいたのには驚きましたね。まさに詭弁の極致、原発を再稼働させるためにそこまでのデマを考え付くなんて、なんかかわいそうになってきますね。
 そんな暑い中、少し時間が空いたので、このあたりのエリアにチラシとポスターを配ってくることにしました。1時間かけて5か所ほどに配ってしまったら、もうほとんど私の担当は終わってしまったのですから、今回はいかにほかのみなさんに手伝ってもらえているかがよくわかります。本当にご協力ありがとうございます。
 そして、一連の宣伝用のアイテムの最後を飾って、Facebook用のカバーも出来上がりました。これもすっかり手順の中に入ってしまって、常にチラシと同じクオリティの高いものが出来上がってくるのですから、本当にうれしくなります。最近、ほかのオーケストラ(プロオケも含む)でも同じように演奏会ごとにカバーを作るようなことをやっていますが、それらはもしかしたらうちがやっているのを見てマネをしているのかもしれませんね。
 今回も、チラシのモティーフを再構築して、もうこれしかないという完成度の高いレイアウトのものが出来上がりました。
 つまり、このように、実際にカバーをはめ込んだ時に、必要な文字情報が隠れてしまわないように工夫がされているのですよね。素晴らしいです。これは、何度も試行錯誤を繰り返さないことには、できないことです。つまり、「ad」の下にある「友達」というボックスが、自分のFacebookには現れないので、他人のFacebookまで見ていないとここまでのレイアウトは出来ないですからね。
 まあ、世の中は試行錯誤の積み重ねで成り立っているようなものですが、ある職種では過去の失敗から何も学んでいないというところもあるようです。ちょっと前に「おやぢの部屋」で指摘したことですが、曲の途中にとてもはっきりとわかる編集ミスがあったのですよ。要は、不良品が販売されていた、ということですね。まあ、それ自体はそんなに責められるべきものではなく、起きてしまったことは水に流して、新しく間違いのないものを提供してもらえれば、それで構わないことなのですが、どうもそのあたりがよくわかっていないメーカーやら販売店がいますから、ちょっと試してみることにしました。
 実は、以前も似たような不良品が見つかったので、その時にも各方面に連絡を取ったら何ともちぐはぐな対応だった、というのは、このあたりで書いていました。ですから、まずは手順として販売店に、「レビュー」という形でコンタクトを取ってみたのですね。前回はこれを受けて、そのままメーカーの知るところとなり、販売中止となったのですが、今回はちょっと様子が違います。なぜか、それがそのまま「レビュー」として掲載されてしまったのですよ。こちらに現物がありますが、こんなこと、ありえないですよね。いったいHMVは何を考えているのでしょう。
 ですから、今度は直接メーカーの代理店である「キングインターナショナル」のお問い合わせフォームで、この編集ミスの詳細を連絡してあげました。これを知れば、当然不良品の回収などのアクションを起こすのが、普通の代理店の姿勢ですよね。ところが、それからもう何日もなるのに、「キングインターナショナル」からは何の連絡もありませんし、この製品も普通に購入できる状態のままです。試行錯誤を怠った怠惰な組織は、早晩ダメになってしまうものですが、この「キングインターナショナル」の場合はどうなることでしょう。
Aventure Number : 2480 date : 2015/8/1

15/8/3-15/9/10