2441(15/5/16)-2460(15/6/24)

今日の禁断 ケーキ


 「あまちゃん」の再放送は、朝の7時15分という早朝にもかかわらず、今までに1回も欠かさず見ることが出来ています。これをきちんと見ることができるように、起床時間も今までより20分ほど早くしてありますから、この時間には一応一息ついてテレビの前に座ることができるような「習慣」がしっかり出来上がっているんですよね。もちろん、これはすべて録画してありますから、見逃してもあとで見ることはできるのですが、やはり、「朝ドラ」として、毎日の「朝」に定期的に見てこそ、ドラマとしての流れにしっかり乗ることができるはずですからね。ですから、録画はあくまでちょっとうっかりして聞き逃してしまったセリフを確認するためだけのもので、毎日の1回1回を積み上げていって、初回と同じ時間の中での「追体験」を味わいたい、というのが、今回の再放送を見るにあたっての私の基本的なスタンスなのです。その意味で、1週間まとめて続けて放送される「再々放送」を見ることも、私にとっては邪道と言わざるを得ません。
 それにしても、1度見ていたはずなのに、毎回が本当に新鮮に味わえているのは驚きです。思えば初回放送の時には第1回目からしっかりなじんで見ることが出来たような記憶がありますが、改めて見ていると本当に流れや絡みが自然に運んでいることがよくわかります。さらに、初回には気づかなかったような「小技」を新たに発見できた時の喜びときたら、たまりません。今日の放送分でも、ミサンガを「お揃いだべ」と海女クラブのメンバーが頭に巻いたり眼鏡のストラップにしていたのを見せたのなんて、初めて気づきましたよ。きっと、初回は新聞かなんかを読んでいて見落としたのでしょう。
 その今日の分の後半は、あきちゃんの誕生日のシーンでしたね。そこで出てきたバースデー・ケーキも、今回は録画をポーズしてしっかり見ることが出来ました。ざっと映ったときに、ちょっと違和感があったのでそれを確かめたかったんですよね。
 そうしたら、やはり「HAPPY」の文字が「BIRTHDAY」より前に置いてありましたね。作った人は前から読んでもらおうと思っていたのでしょうが、普通は画面の上、つまり「BIRTHDAY」を先に読んでしまいますよね。普通はこうでしょう。
 そしてこの回には、初めて「潮騒のメモリー」が登場するという重要なシーンがあるんですよね。これから何度も何度も聴くことになるあのイントロが流れてきたら、思わず目頭が熱くなりましたよ。つまり、われわれはこれがどういうものなのかはもうすでに知っているから、そのようなリアクションが起こることになるのです。でも、これを初回で聴いたときにはどうだったのか、ちょっと思い起こしてみると、これもやはり「君に胸キュン」とかと同じように、あのころのヒット曲の中の何かかな、と思ったような気がします。それにしては、私だったらあのころの曲はほとんど分かるはずなのに(愚妻は「胸キュン」を知りませんでした)、これは聴いたことがなかったので、「私が知らないこのころのヒット曲」が出てきたので、ちょっと変だな、とも思っていたようでしたね。
 あとは、この曲をこの後あきちゃんが初めてビデオで聴いたときに、春子の声だと気付かなかったのはなぜか、という観点から、そのときの音源をしっかり聴いてみたいと思っています。それと、これのレコーディングの時の声は小泉今日子なのか、あるいは有村香澄、じゃなくて架純なのか、というあたりも、しっかりチェックするつもりです。今からわくわくしますね。
 前も書きましたが、これが終わると、続いて放送される「まれ」はもう全然見る気がしないので、洗い物などの仕事に取り掛かります。時たま聞こえてくる、意味もなくハイテンションな主人公のセリフは耳障りですし、何よりも、音楽が全くの「勘違い」としか思えない気持ちは、日ごとに増殖していきます。もう、あの4度→5度という不自然なモティーフの主題歌を聴いただけで、いや〜な気分になってしまうのですから、困ったものです。あ、繰り返しますが、これはあくまで私の「個人的な感想」ですから。
Aventure Number : 2441 date : 2015/5/16


今日の禁断 アナ


 この間のニューフィルの本番が終わった時は、解放感がどっと押し寄せてきましたね。やっぱり、あまり気にしてはいなかったのですが相当のプレッシャーがかかっていたせいなのでしょう。あのときの最大のプレッシャーは、意外にもどソロの「間奏曲」ではなく、「衛兵の交代」でした。私は、実はピッコロは超苦手、もう、音が全く出ないようになってしまう夢を何度見たことでしょう。
 ですから、そのあとの連休には、もう何の心配事もなくなったので、思い切り羽を伸ばせましたね。いや、単に気分の問題なのですが、ちょっとでも心に引っ掛かるものがあるうちは、何をやっても本気で楽しめませんからね。そんな時に、WOWOWで「ぜひ映画館で見たかったのだけど時間が取れなくてつい見逃してしまった映画」と、「絶対に映画館では見たくなかったので、放送になったら見ようと思っていた映画」がON AIRされたので、しっかり見てしまいましたよ。
 最初の方のやつは、「ウォルト・ディズニーの約束」でした。あまり内容は知らなかったのですが、やたらまわりの評判がよかったのでぜひ見たかったのですね。最初に、原題が「Saving Mr. Banks」というのだとわかった時は、ちょっと意外でした。この映画が「メリー・ポピンズ」が作られた時の実話に基づいているというのはうっすら知っていましたから、「Banks」というのが「メリー・ポピンズ」に出てくる銀行員のお父さんの名前なのだな、というのはすぐわかったのですが、その「バンクスさん」を「救う」というのは、いったいどういうことでしょう。でも、この映画を見ていくと、その意味が次第に明らかになってきます。「メリー・ポピンズ」のテーマは、実はそういうことだったのだと、まさに「目から鱗」でした。「バンクスさん」は、この映画での主役である「メリー・ポピンズ」の作者の父親の姿が投影されているのですね。その二人のシーンがカットバックで登場するのは、まさに映画ならではの手法です。そんな流れで「Let's Go Fly a Kite」が流れてくれば、もう号泣ものですよ。やられました。
 そして、もう一方の映画は、テーマ曲はどこへ行っても流れていますし、映画は大ヒットだし、そのあおりで声優までが注目されるという大騒ぎになっていましたから、もうそんなものをお金を出して見に行くなんて考えられません。どうせWOWOWでやるのですから、それまで待つことに何の不都合もありませんからね。
 こちらも、邦題がとんでもないものになっていましたが、まあそれが大ヒットの一因でもあったのでしょうから仕方がありません。売るためだったら何でもする、というのがこの世界の常識ですからね。これも、原題の「Frozen」は意味が深いですね。ただ、そんな意味を与えたからと言って、やはりこれはかなり無理のあるストーリーだったことは否定できません。素朴な疑問ですが、王国と北の山との距離関係はいったいどうなっているのでしょう。ハンスがいつの間にかお城に帰っていたのが、とても不思議なんですが。エルサがたどりつくまでには何日もかかったというのに。
 いや、本当にわざわざ見に行くのを拒んだのは、最近のディズニーのアニメのキャラの表情が、いつのころからかすっかり変わってしまったからなんですよね。彼女たちは、いつでも眉間にしわを寄せているような眉の形で演技をしているように見えるのですよ。これが、私にとってはとても不自然な表情に感じられます。今回も、やっぱりそんな表情で通していましたね。これは、もしかしたらアニメの「お約束」なのかもしれませんが、私にはそれを受け入れるだけの寛容な心はありません。ディズニーのキャラがこんな変な表情になったのは「アラジン」あたりからでしょうか。白雪姫やオーロラ姫のような素朴な表情は、もう戻ってくることはないのでしょうか。
Aventure Number : 2442 date : 2015/5/18


今日の禁断 アルト


 ニューフィルの練習が昨日やっと再開されました。「やっと」というのは、普通だと演奏会が終わった次の週には始まるものが、今回は会場が取れなくて、1週間お休みが長かったということです。これだけ休むと、なんかもうすっかりやる気がなくなってしまって、きのうも練習に行くのにちょっと気が重くなってたりしましたね。というのも、今回のメインの曲はまだ1度も演奏したことがない上に、分量がやたら多いものですから、いまだに譜読みが完全には出来ていなかったのですよね。とりあえずソロの部分は重点的にさらってみようと思っても、そのソロが無駄に長いものばかりで、なかなか最後まできちんと吹けるようにはなりませんし、トゥッティときたらもうほとんどイジメに近いほどの高音だらけ。しかも譜面は手書きなので、加線が何本なのかが即座には分からないようになっているのですよ。これが印刷譜だったら初見でも吹けるのに、これだといちいち覚えてしまわないと、スラスラ吹けるようにはなりません(私の場合はそうです)。とりあえずCDに合わせて吹いてみても、とても完璧には程遠い出来ですから、落ち込みますね。
 ですから、最初の練習で合奏が始まった時にも、果たしてこの程度の譜読みでついていけるかどうかが不安で、足が重くなってくるんですよね。
 少し早目にホールに行ってみたら、もう全部の椅子並べが終わっていました。普段だとこの時間でここまではなっていないはずなので、やはり気合が入っている人がいるようですね。もう練習したくてウズウズしているというか。ただ、その椅子がなんだかずいぶん多いような気がします。というか、いつもだと管楽器は3列で、その後ろにティンパニ、その横にさらにトロンボーンが1列という配置だったものが、その4列目が異様に長くて、ティンパニが入る隙間がなくなっています。ティンパニは、ヴァイオリンパートの後ろにセットされていましたね。これは、今回の曲目のための特別な配置、なんせトランペットとトロンボーンが6本ずつ、ホルンは8本必要なんですからね。もちろん、団員はそんなにいませんから、エキストラが必要なのですが、なんと、ホルンとトロンボーンにはそのエキストラさんがすでにやってきていましたね。初回から参加するなんて、すごいですね。いや、前にブルックナーをやった時にもホルンはしっかりほぼ毎回来てくれていましたね。頼もしい限りです。
 さらに、今回は指揮者の希望でいつもは木管の前にはヴィオラが座っているのに、代わりにチェロが来ています。これも、結構「風景」が変わりますね。
 まさかと思ったのに、ショスタコの「レニングラード」を最後まで通すことになってしまいました。確かに、最初のところなどはとても初練習とは思えないほどの、すでに完成された姿がありましたよ。でも、やはり変拍子が頻繁に出てくると指揮者も振り間違えたり、ソロも入れなくなって止まってしまいましたね。まあ、これが自然の姿です。それからは、「適宜」止めながらの全曲通しが始まります。
 しかし、フルートなどは休みも長いしそんなに疲れないのだろうと思っていたら、こうして通してみると結構スタミナが必要なことが分かってしまいました。高音続きのトゥッティのあとにくる長いソロが、もう後半はボロボロになっていたのが悔しかったですね。まだまだやるべきことが残っているということ、まあ、何度かやっていれば力の配分が分かってくるでしょうから、大丈夫でしょう。
 何とか最後までたどり着いて、一休みしたら、楽器と譜面台をどかしていつもの「懇談会」です。「通し」が延びていつもより時間が短くなってしまったので、みんなの発言はあまりくどくなかったのがよかったですね。おかげで、議事録はもう出来上がってしまいました。その中では、やはり予想通り今回のポスター・チラシの素晴らしさが多くの人から挙げられていました。団長がやはりそんなことを言った後に「〇〇さん(私のこと)のご協力もあって」などと続けたので、一瞬ドキッとなりましたが、「特大ポスターを」となったのでまずは一安心。真相は依然闇の中です。
Aventure Number : 2443 date : 2015/5/20


今日の禁断 エクセル
 

 この間のニューフィルの久しぶりの練習の後の「懇談会」での発言を録音していたものを起こして議事録を作る作業は、予想通り簡単に終わってしまいました。本当は、その勢いで新しい「かいほうげん」を来週出してもいいかな、とも思っていたのですが、練習の時に写真を撮ろうと思っていた新入団員の方がお休みだったので、それは不可能になってしまいました。でも、もし作るとしたら、かなり忙しい思いをしなければいけなかったはずで下から、まあ先に延ばして正解だったのかもしれません。
 というのも、今週は次の次の演奏会に向けての選曲の資料を作らなければいけなかったのですよ。締め切りが火曜日だったのに、その前に希望曲を送ってきたところはほとんどなくて、みんなギリギリで送ってきましたから、作業は水曜日からでなければ始められないので、それと同時に「かいほうげん」を作るのはほとんど不可能でしょうからね。でも、その資料作りは意外と簡単に終わってしまいました。一番大変なのは、その曲の楽器編成を調べることだったのですが、今まで何回も同じことをやっていると、ほとんどのものがすでにデータとして残っているので、それを探してきてコピーすれば済んでしまいます。
 そうなってくると、もっと楽なやり方はないかと思ってしまいます。つまり、データはその時にまとめたものがあるだけですから、それをいちいち引っ張り出してきて、必要なものを持ってくるという作業になるのですね。ですから、いっそのこと、それを全部同じファイルにまとめてテンプレートにしておけば、作業ははるかに楽になるはずです。もうこのぐらいやっていると、全くの新しい曲というのはほとんどありませんから、まず希望曲はそのファイルの中にあるので、それを残して、その時に希望がなかったものだけを削除すればそれだけでリストが出来上がってしまいます。
 「かいほうげん」がなくなったので、さっそくその作業を始めてみました。まあ、3時間ぐらいで完成しましたかね。全部で200曲ぐらいになりましたね。ニューフィルには「10年ルール」というのがあって、同じ曲を10年以内にまたやることは避けることにしているので、それに該当するものは除いた結果ですから、本当はもっとあったんですけどね。これで、次回からは1時間もかからないでリストが完成するはずです。ほかのオーケストラで使いたいときには、喜んで提供しますよ。
 練習を始めたばかりのショスタコーヴィチのすべての交響曲と協奏曲のライブ映像を集めたボックスが出たというので注文したら、もう発売になっているはずなのにずいぶん待たされてやっと入手できました。バカ売れしていたようですから、きっと在庫がなくなっていたのでしょう。
 ボックスを包むように日本の代理店、ナクソス・ジャパンが作った「帯」が付いていました。大きさが揃っていないのが、まずみっともないですね。
 普通のボックスは蓋が簡単に開くようになっているのに、これはなんだかものすごく開けにくい箱でした。
 いや、これはほんとに「弁当箱」みたいな形の箱なのですが、蓋に取っ手も何もないので、開けるのがものすごく大変です。
 そして、開けてはみたものの、中に入っているブックレットを取り出すのにまず一苦労です。箱に密着しているので、取り出すための隙間が全くないのですね。
 やっと取り出してみると、その下にDVDサイズのケースが積んであります。これはいったいどういうことでしょう。目的のディスクを取り出すためには、箱の中身を全部ぶちまけなければいけないことになりますよ。使う人のことを全く考えていないデザインですね。
 そして極めつけは、この「帯」のミスプリントです。ショスタコーヴィチの15曲の交響曲と6曲の協奏曲をたった「70分」で聴けるなんて、どうかしてます。実は、これは同じテキストが使われているネットのインフォではちゃんと「970分」になっていたのに。同じようなものをにもご紹介しましたが、そっちも単なるコピー・ミス、いったいこの会社のチェック体制は、どうなっているのでしょう。なにしろ、上に書いてある曲目も全くのでたらめなんですからね。
Aventure Number : 2444 date : 2015/5/22


今日の禁断 マグリット


 暑い日が続きますね。今日なんかは仙台の方が東京よりも暑かったという予報でしたから、いっそ国立新美術館あたりに一人で行ってこようかなとも思っていましたが、あいにくほかの用事が入ってしまいました。
 きのうは市役所前の駐車場に車を入れたら、広場がすごいにぎわい、どっかの放送局のお祭りだったようですね。色んな屋台が出ている中で、こんなのがありました。
 ご存知、定義山の三角油揚げですが、現地に行って揚げたてを買えば120円で食べられるものが、それを鉄板で温めなおすだけでこんな値段になるなんて不思議ですね。
 だいぶ前ですが、広瀬文化センターに貼ってあったチラシに「田んぼアート」の田植えは連休中」とあったので、連休の最後の先々週に現地を見に行ったことがありました。でも、まだやっと田起こしが終わったところで、まだまだ田植えは始まらない様子なのでがっかりしたことがありました。
 その後、ネットで「田植えは30日」という情報が見つかったので、その1週間前なら「もしや」と思って、もう1回行ってみました。
 予想は的中、ちょうど、「アート」の下絵を描いているところでした。とは言っても、田んぼに線を引いたりは出来ないので、前から実際はどうやるのか興味があったのですが、どうやらたくさんの「杭」を埋めているようですね。
 ちゃんと測量の人がいて、1本1本杭の位置を決めて埋めていくのでしょう。大変な作業ですね。その杭に沿って苗を植えていくのでしょうから、杭はたくさん使った方がきれいな仕上がりになるはずです。ここにある杭は全部使ってしまって、残ることはないのでしょうね。そうすれば、後悔することはありません(悔いは残りません)。
 今年はこういうデザインになるのだそうです。
 もう1か所、徐々に姿を変えている現場も写真に撮れました。長命が丘の交差点、「ビッグボーイ」や「ブックス湘南」はもう跡形もありませんが、「鐘埼」なんかはまだ残っていますね(9月に取り壊すそうです)。
 ネットを探したら、壊す前の写真が見つかりました。そういえば、ビッグボーイの前の赤い擁壁が、現場にはごろごろ転がっていましたね。跡地には何ができるのでしょう。まさか、パチンコ屋ではないでしょうね。
Aventure Number : 2445 date : 2015/5/24


今日の禁断 バッハ


 今練習しているショスタコーヴィチの「交響曲第7番」のパート譜は、もちろんレンタル譜ですが、それは「手書き」で作られたものでした。同じショスタコーヴィチでも、需要の多い「5番」などではちゃんとPCで浄書したものが出来ているのですが、「7番」ではそれほどの手間をかけてもコスト的に合わないのか、手書きのコピーが提供されています。それでも、一応日本での販売権を持っている全音が作ったものなので、オリジナルのパート譜よりはかなりきれいなものにはなっているのでしょうね。
 しかし、なんせ手書きですから、ミスプリントは避けられず、あちこちのパートから「間違い」が指摘されています。チェロでは拍子記号が間違っているとか、ヴィオラでは音符が1拍分余計に書かれているといった、ほんとにしょうもないミスです。もちろん、フルートにもかなり間違いがあって、いくつかはすでに直しておきましたが、実際に合奏で吹いていると、隣のオーボエとユニゾンのはずなのに、音が一つ違っていたりしたので、あわててスコアを見てみたらフルートにだけ余計なナチュラルが付いていましたし。
 このパート譜を実際に作ったのは、「東京ハッスルコピー」というところだというのは、しっかりパート譜に印刷してありますから分かります。そこで、どんな会社だろうとそのサイトに行ってみたら、写譜業界ではかなり実績のあるところであることが分かりました。PC浄書ももちろんやっているのでしょうが、放送の現場などで、パート譜がすぐ欲しいようなところでは、やはり手書きの方が断然早いので、まだまだ需要があるのでしょう。
 そこに、こんな「お知らせ」が掲載されていました。あの一連の「名作」を残した作曲家の作品も、ここが一手に引き受けていたのですね。何でも、最近外国のオーケストラが日本で「HIROSHIMA」を演奏する予定だったものが、別の曲に差し替えられたということがあったのだそうですが、そもそも楽譜が使えない状態なのでは、演奏は無理だったのでしょう。
 そんな「事件」のもう一人の当事者、新垣隆さんは、このところバラエティ界から引っ張りだこの「タレント」になった感がありますね。きのうなどは、なんとメインキャストとして1時間持たせるという、もはやその辺の「お笑い」顔負けの存在感を示していましたよ。その中では、あの1年ちょっと前の記者会見の映像なども出てきましたが、もはやあの時とは別人のように客観的にそれを見ている新垣さんの姿を見ていると、この方は外見以上のしたたかさをもった人なのではないか、という気がしてきます。きのうの番組の「テーマ」は、「頼まれたら断れない人」ということで、新垣さんはあたかもそのような「弱い」人間であったために、つい流されてあのような「ゴーストライター」稼業に手を染めることになってしまったかのような印象を与えるようにふるまっていましたが、それが露見して逆に周辺が好意的な態度を示し、ごくフツーにメディアに露出するようになってくると、おそらく新垣さん自身も喜んでそれに対応し始めたのでは、という経過が見事に透けて見えるのですね。結局、今のメディアに求められるのは「楽しませてくれる人」なのですから、今までそれを一手に担ってきた「お笑い」に替わって、新垣さんのようなプロの「エンターテイナー」が台頭してくるのは、当然のことなのです。そう、作曲家という職業は、かつては雇い主を「楽しませる」ためのものでした。しかも、彼らはそれを達成させるために血のにじむような修練を積み重ねてきているのですから、単なる「一発芸」だけでその場限りの芸を披露するだけの「お笑い」とは素養がまるで違います。新垣さんの「タレント」としての人気は、しばらくは続くのではないでしょうか。もちろん、彼が飽きられたと誰しもが認めるようになったころには、見事にメディアから姿を消していることでしょうが。
 彼は、「ゴーストライター」業にある種の喜びを感じていたようですね。自分の名前は出ないものの、自分が作ったもので世の中の人が喜んでくれたことがうれしかったのだそうです。その気持ちは、実際に何度かゴーストライターに手を染めたことのある者としては、とても共感できるものです。
Aventure Number : 2446 date : 2015/5/26


今日の禁断 ノヴァーク


 「レニングラード」を2回全曲通してみて、やはりなかなか手ごわいやつだな、という思いが募ります。まあ、個人練習をやっている分にはそこそこ吹けるのですが、こうやって全員で合奏すると、そうはすんなりいかないんですよね。なぜそうなるかというと、この曲にはやたらと「変拍子」が出てくるからなんですよ。「5拍子」や「7拍子」、ひどいのになると「13拍子」なんていうのもありますからね。いや、その変拍子がずっと続くんだったら別に何拍子でも構わないのですが、それが不規則に続くんですよね。そこには法則性がなく、全くのデタラメの並び方なので、本当にしっかり一つ一つ数えていないとどうにもならないんですよね。さらに、ひどいのはたまに「分母」が変わってしまうことがあるのですよ。2/2、3/2・・・と来ていきなり3/4が現れる、といった感じですね。「合奏」というのは、100人(そんなにはいませんが)の演奏家が、そういう拍子をベースにしてそれぞれの音を出す、ということです。ですから、その拍子を100人全員が「正しく」数えていないことには、全体が「合う」ことは決してないのです。
 ニューフィルのメンバーは、日頃そういうことはしっかり叩き込まれていますから、普通の曲だったらまず1回か2回やっていれば合ってくるのですが、それも限度問題で、このショスタコーヴィチでは、明らかにその「限度」を超えているのですよ。つまり、正しく拍子を数えられている人もいる中で、どうしても数えられない人(それは私かもしれません)がいたりすると、何が正しいのかわからなくなってしまうのですね。ただ、どこかで本当に正しい人がいて、なんとなくきちんと元に戻るというのが、ニューフィルならではのレベルということなのでしょう。もちろん、指揮者がやってくるころには、こんなことは完全にクリアできているはずです。
 そして、おとといの練習のあとには選曲のための会議があって、各パートから挙げられた希望曲から、次の次の演奏会の指揮者の篠崎さんに送るための曲を絞り込むという作業が行われました。それは、全部で6曲ほどになったのですが、団長がその結果を送ったところ、さっそく翌日には返事が届きましたね。まあ、どれが選ばれてもそれが決まるという流れだったので、おそらくこの曲でメインは決定でしょう。まさか、こんなに早く決まるとは思っていませんでした。
 そうなると、やはり「かいほうげん」の発行を少し遅らせたのは正解ということになりました。これで、今回の「目玉」が出来たことになって、表紙を飾ることが出来ます。それまでは、「満員御礼」を使おうと思っていたのですが、いまいちインパクトがないというか、今更、という気がしていたので、まさに「渡りに船」でした。でも、それもちゃんと表紙に入れますからね。
 それで、篠崎さんの曲をお知らせするにあたってその楽譜の画像でも入れようかと思ったのですが、その曲にはいくつかの「版」があって、篠崎さんがどれを使うのはまだわからないのですね。いずれ、正式決定すればわかることなのですが、もしや、どこかでそんな情報が見つからないかと思って、ネットで検索をかけてみました。いろいろ探したのですが、結局ヒットはありませんでした。でも、その途中で篠崎さんのCDのレビュー記事なんてものが見つかってしまいました。CD、出していたんですね。
 これがそのジャケット、5年ぐらい前に発売になったものなので、もう売ってないだろうと思ったら、まだ取り扱っていたのでとりあえず注文してみました。でも、なんせこれを扱っているのがあの〇クソス・ジャパンですから、まあ手に入らないことは確実です。しかし、NMLには入っていましたね。これは一度入れてしまえばあとは何もすることはありませんから、まだ生きていたのでしょう。ですから、さっきの注文はキャンセルして、こちらで全曲聴いてしまいました。こんな感じでCDになっているものが、まだほかにもあるかもしれませんね。
Aventure Number : 2447 date : 2015/5/28


今日の禁断 アサヒ


 今日は職場でのイベントです。毎年この時期に行っている、まあ言ってみれば顧客の親睦会の年次総会ですね。そして、そこでのアトラクションとして「かやの木コンサート」という催しが、やはり毎年行われています。これは基本的には屋外のコンサートで、敷地内にある国の天然記念物「マルミガヤ」という大きなカヤの木の前が会場になるので、いつとはなしにそんな風に呼ばれるようになりました。
 そのコンサートに、ニューフィルの金管セクションのアンサンブルをお呼びしたのはおととしのことでした。それが好評だったので、今回も再度お願いすることになりました。とは言っても、メンバーはトランペットのHさん以外は全員入れ替わっています。それだけ、層が厚いということになりますね。しかも、おととしはノーネクタイのワイシャツ姿だったものが、今回はなんとお揃いの蝶ネクタイとカマーバンドという「おしゃれ」ないでたちですよ。
 まずは、このコンサート恒例の、社長の前説です。今回のテーマは「楽器紹介」、トランペットはうるさいので、ペットは飼えないとか、チューバは何か楽器が足らない時に呼ばれることが多い「ちゅうば(急場)しのぎ」の楽器だとか、とてもためになるお話なのに、それを聴いているメンバーたちからは何か笑いをかみ殺している表情が感じられるのが不思議です。
 クラシックの名曲など、Hさんの軽やかなMCに乗って、プログラムは進みます。前回も演奏した「七夕おどり」では、Hさんが「ご一緒に手拍子を」と言ったのを受けて盛大な手拍子が入っただけでなく、しっかりあの懐かしい歌を歌っている人もいたのにはびっくりですね。でも、ここに来ている大多数の世代の人たちにとっては、この歌は完全に愛唱歌として体に染みついているはずですから、これも当然のことなのでしょう。
 今回もとっても楽しんでいただけたようで、最後に総代さんからお礼の金一封をいただいたときには、つい口が滑って本音が出たのでしょう、「ヘタなお経を聴くよりも、よっぽどよかった」と、立場をわきまえない、でも、とてもうれしい発言も聞けました。しかし、なんということをおっしゃるのでしょう。受け取ったHさんのその時の複雑な苦笑は、見ものでしたね。ちゃんと写真を撮ったのですが、ここにはとても載せられません。
 それにしても、今日は暑かったですね。私の仕事としては扇風機をかけながらいらっしゃった人にお土産を配るという受付を建物の中でやっていたので、その時にはそんなに暑い気はしなかったのに、セッティングや撤去の時に外に出たらもうたまりませんでしたね。コンサートの写真もテントの中で撮っている分にはそこそこ風もあって涼しかったのに、全景を撮ろうと外に出たらやはりかなりのダメージを感じましたね。
 ですから、もう全部の仕事が終わった時にはのどが渇ききっていて、お客さんのために用意した冷えた麦茶をがぶ飲みです。「脱水症状」ですかね。家に帰っても、このところのお気に入りの「三ツ矢フルーツサイダー青りんご」ばっかり飲んでます。
 この「青りんご」最近はスーパーやコンビニでは全然売ってないので、ネットで箱買いしているのですが、最近のものは賞味期限がえらく短いので、調べてみたら、この500mlのタイプはすでに終売になっていたのですね。1.5lのはまだ売っているようですが、そんなのを一人で飲めるわけもありませんし。ですから、このストックがなくなった後には何を飲めばいいのか、本気で心配しているところです。
Aventure Number : 2448 date : 2015/5/30


今日の禁断 ガーデンガーデン


 週末は忙しかったですね。土曜日はご存じ「かやの木コンサート」。これは毎年のことなので、なんということはないのですが、実はその前の日の金曜日に、ちょっとやんごとない用事(たとえば、裁判員になったので裁判所に行った、みたいな・・・うそですよ)があったもので、職場を早退しなければいけなかったものですから、その分の仕事が全部土曜日にずれ込んでしまっていました。お客さんに渡す「お土産」を前もって注文してあったものが、業者の勘違いで間に合わなくなってしまって、あわてて代替品を注文してもそれが届くのが金曜日の夕方だったのですよ。ですから、土曜日は少し早出、さっそくそのお土産の袋詰めから始めます。
 あとは会場のセッティング。テントも椅子も金曜日に届いていたので、これは細かいところを修正するだけで済みました。ただ、間際になってコンサートを録音しようと思って、マイクスタンドを使ってレコーダーをセットしようと思ったのですが、職場のものもレンタルのものもネジのサイズが違っていて使えません。こんなことなら三脚を持ってくるんだったと思いましたが今更間に合いません。急場しのぎ(チューバしのぎ)で脚立を持ち出してそこに乗せようとしましたが、これもちょっと不安定で心配です。そこで、テントの支柱にでもぶら下げようと思ったのですが、なかなかいい場所がありません。と、テントのつなぎ目になんだか袋のようなものが付いているのを発見。今回は3つのテントをつなげてあるのですが、雨が降った時にその境目から水がもれてこないようにと、そこに帯状の「雨除け」がしばりつけてあるのですよ。お天気はとてもよかったのでそんなものは必要ありませんから、それの紐を外して、その上にハンモックのようにレコーダーを設置しました。あとで聴いてみたら場所は問題なかったのですが、用心して入力レベルをかなり低くしてあったので、ちょっと入力不足でしたが、まあこれは修正できるでしょう。
 そして昨日は、夕方から練習を控えていたので、昼間のうちにこまごまと買い物などを済ました後に、愛子の「田んぼアート」の現場に行ってみました。土曜日に田植えを行っていたはずなので、それがどうなっているのか見てみたかったんですよね。このイベントの公式ブログなんかもあるのに、そちらには何の情報も載ってなくて、それに関しては私のこのページの写真が最も新しいという変なことになっているみたいなんですね。逆に、私が写真を撮らないとネットには誰もアップしないのではないかというような変な責任感が出てきてしまって、まあ写真だけでもきちんと撮っておこうと思って。
 田植えの翌日は、こんな感じになっていました。この前打っていた杭に紐をつけて、それぞれのエリアをきちんと分けて、そこに色が違う苗を植えていったのでしょう。
 でも、その稲の色がちゃんとわかるのはもう少し成長してからでしょうから、今はなにが描かれているかは全然わかりませんね。これからも、定期的に見に来ることにしましょう。実は、ここからちょっと行ったところに愚妻がお気に入りの大きな花屋さんがあって、そこに連れて行きさえすれば文句は言われませんからね。
 そのあとは、練習に備えて、久しぶりに同じ建物の中の交流ホールで個人練習をやってみました。すでにホルンとかバスクラとかサックスの人がそれぞれに場所を取って練習に励んでいたのに、私がいつも使っている真ん中の円形のスペースは誰もいなかったので、悠々とメンデルスゾーンをさらいます。なにしろ、シンフォニーは1回もやったことがないので本当に合奏が心配、特に4番の終楽章などは、普通のテンポではいまだに完璧に吹けたことがありませんから、入念にさらいます。全曲しっかりやったら1時間半ぐらい経ってましたね。
 これが本番のチラシ、きのうが初めての合奏でしたが、今回の木管のメンバーはみんな頼りがいのある人ばかりなので、すごくいい手ごたえです。これから1か月間が空いて、7月になったら集中的にまた合奏です。きっといいものが出来るはずですよ。
Aventure Number : 2449 date : 2015/6/1


今日の禁断 サギ


 日本〇金機構へのハッキングで大騒ぎになっていますが、そんなところでアドレスを手に入れたのでしょうか、怪しげなメールは後を絶ちません。最近こんな、ちょっとドキッとさせられるようなメールが届きました。

タイトル:解約手続きが完了しておりません。
本文:
平素より格別のお引き立て、誠にありがとうございます。
いつもご利用頂き誠に有難う御座います。
この度、当社提携サイトより2014年7月6日ご利用のサイト利用料金のご請求をさせて頂くことになりました。
現在、解約手続きが済んでおりませんので、契約サイトにて至急解約手続きをおすすめ致します。
解約手続きが済みませんと延滞利息金が増え続けますので、当社サポートサービスセンターへご連絡下さいませ。
【お客様問い合わせ窓口】
平日10:00〜20:00《定休日:土日》
プライムエー株式会社 サポートサービスセンター
未納金担当 西(にし)、松本(まつもと)
TEL 03−6907−0647
〒160ー0022 
東京都新宿区新宿6丁目29−8 福智ビル
通知番号【No.0667】
※お客様が多数いらっしゃいますので、番号を通知してご連絡下さい
当メールの送信アドレスは送信専用になるため、必ずお電話で連絡頂きますよう宜しくお願いします
下記、現在ご利用金額の内訳になります。
・ご利用日時
2014年7月6日 
・ご請求額内訳
ご利用料金  198,000円
延滞利息金   27,720円 年利14%
消費税     18,058円
合計ご請求額 243,778円
ご連絡をいただけない場合はご利用履歴を元に5月25日、民事裁判にてご請求の場を設ける事に至ります。
しかしながら訴訟にての決着にはさらに貴方様に裁判費用等の費用がかかり、
時間をようするため、最後通告としてご連絡をさせていただいております。

お客様ご利用サイト一覧(当社ご請求委託元)
(略)

上記、内容にて身に覚えがない場合は当社へご連絡下さいませ。確認も含めご説明させて頂きます。
プライムエー株式会社 サポートサービスセンター
TEL 03−6907−0647

 そもそも、こういう書類には欠かせない「〇〇様(殿)」という宛書がなかったので、これは怪しいと決めつけてしまいましたよ。かなり幼稚な手口ですね。でも、なんとなく「民事裁判」なんて言葉や具体的な金額、さらにはどこかにありそうなヘンタイサイトのドメインなどがあれば、気になる人はいるでしょうね。最後に「身に覚えがない場合はお電話を」というのが、この文書の目的なのでしょう。電話をかけると同時に、相手の術中にハマるという仕組みです。
 ただ、気になるのが、この文面の特徴的な単語で検索すると、簡単にこれと全く同じものが出てくるのは当然のことなのですが、それが掲載されている「こういうメールが来たらご相談を」というサイトがそろいもそろってそこで使われている説明がほとんど同じ、というのが、なんだかヘン。
 もしかしたら、さっきのメールは単なる餌で、本当はこちらのサイトの方が怪しかったりして。恐ろしいですね。
Aventure Number : 2450 date : 2015/6/3


今日の禁断 ボヘミアン


 去年の秋の定期演奏会で共演したピアニスト、ヤスィンスキイさんのヨーゼフ・ホフマンの作品を集めたCDがリリースされました。録音した時には「NAXOSに(ヤスィンスキイさん)」ということだったのですが、発売されたのは「GRAND PIANO」という、普通のNAXOSよりはハイ・グレードのレーベルになっていました。それだけ、NAXOSとしても気にかけている、ということの表れなのでしょうか。
 このCDは、ドイツでは5月の初めにリリース、ヤスィンスキイさんもご自身のFacebookで5月5日に「僕のCDがリリースされたよ!」と書き込んでいましたね。ただ、日本国内でのリリースは少し遅れて5月27日の予定になっていました。それこそ「帯」を付けたりするので手間がかかるのでしょう。もちろん、私は発売日よりもかなり早め、4月24日にHMVに予約をしました。こういうものは、そもそも仕入れの枚数が少ないので、発売日を過ぎてしまうと入手できなくなることもありますからね。ところが、発売日になってもCDは送られてはきません。サイトの注文履歴を見ると、「入荷待ち」となっていますね。ということは、メーカーからまだ品物が入ってきてないのでしょうか。こういうこともよくあります。いきなり発売予定が延期になってしまう場合は数知れず、ただ、そういう時にはサイトでのこのアイテムの発売日も変更されているのが普通なのですが、そこにはちゃんと「5月27日」のままですから、ちょっと変です。
 そこで、代理店であるナクソス・ジャパンに聞いてみました。そうしたら「5月には出荷済みです」という返事があったではありませんか。ちゃんと予定通りに国内でもリリースされていたのですよ。それを、予約までしていたのに入手できなかったというのはどういうことでしょう。まあ、あまりに予約注文が多かったためにHMVでは全員の予約には対応できなかったのだとしても、ナクソス・ジャパンにバックオーダーをかければ即座にまた入荷するのではないでしょうかね。それが、1週間たってもまだ「入荷待ち」というのは、明らかに異常です。というか、これまでにもこの2つの会社には煮え湯を飲まされてきましたが、単にそのような体質は全く変わっていなかった、というだけのことなのでしょうね。お客さんに新しいCDを届けるという基本的なことも出来ない代理店やら販売店は、そもそも企業としての最低の使命を果たしていないことにはなりませんか?
 もちろん、私はジャケットやライナーノーツ(場合によっては間違いだらけの「帯」)までも含めたフィジカルな媒体としてのCDは持っていたいので、いつ届くかわからないCDは待ち続けることにはなるのですが、ただ、音だけだったらすでにNMLで聴くことはできるので、それをちょっと聴いてみました。とりあえず、ニューフィルで「パガニーニ・ラプソディ」(こちらにヤスィンスキイさんがアップしたニューフィルとの映像があります)のアンコールとして演奏された「ホフマンのマズルカ」が何曲か収録されているので、それはどの曲なのか特定してみましょう。
 それは、すぐに「イ短調 Op.16-1」であることが分かりました。これで、ニューフィルのサイトにも詳細を書き込むことが出来ます。ついでにそのニューフィルのコンサートでの録音と今回のCDを聴き比べてみると、やはりライブでは少し早目のテンポで演奏しているのが分かります。ただ、それにしては演奏時間があまりに違いすぎます。ライブでは3分20秒なのに、CDでは4分51秒もかかっているのですよ。いくらテンポが違っても、こんなに差が出ることはあり得ません。一応A-B-Aという「三部形式」の曲なので、それぞれの部分の差を調べてみたら、17秒、54秒、20秒でした。つまり、Aの部分はテンポの差で説明できる範囲内ですが、Bの部分が違い過ぎるのですよね。そこで、たまたまIMSLPにこの曲の楽譜があったので確かめてみたら、Bの部分の後半がリピートになっていました。CDではここをきちんと繰り返していますが、コンサートでは、なんせその前にもアンコール(ドビュッシーのエチュード)をやっていたので、この繰り返しは省いていました。その違いだったのですね。
 CDの現物はいつになったら届くのでしょう。
Aventure Number : 2451 date : 2015/6/4


今日の禁断 ハッシュドビーフ

 前から行ってみたかったマグリット展に行ってきました。
 開催されていたのが国立新美術館、本当に「新」ですから、まだ行ったことがありません。とりあえず千代田線の乃木坂駅から直結というので、東京駅からまず丸ノ内線に乗り、霞が関で千代田線に乗り換えようと思いました。しかし、これがものすごいもの、上がったり下りたり、別の線のホームを横切ったりと、まるで迷路のような感じでしたね。まあ、案内をたどっていけば間違いなくたどり着けるのですが、いったいどこまで行けば着くのか、というのが分からないから初めての人は不安になりますね。
 美術館も巨大な建物、前もってちゃんと調べておいたので迷いはしませんでしたが、これも初めての人にはつらいでしょうね。でも、マグリットは今まで見たことのなかった作品が見られたので、行った甲斐がありました。というか、今まで抱いていたマグリット観がちょっと変わってしまいましたね。全然混んでなかったので、しっかり見ることが出来ましたしね。ただ、照明がとてもプロとは思えないようなひどさだったので、ものによっては変な風に反射して鑑賞の妨げになっていたのは残念でした。
 そのあと、こちらもまだ行ったことのないサントリーホールまで歩いてみようと思いました。
 出発地は美術館。そこから、Google Mapを頼りにひたすら歩きます。途中の六本木通り沿いのビルの中に「丸亀製麺」があったのには驚きましたね。食事は美術館の地下のカフェテリアで済ましてあったので、寄れませんでした。
 でも、このあたりはビルの陰にこんな坂があるのが、面白いですね。江戸時代からの名残の地名なのでしょう。
 そして、アークヒルズの中のエスカレーターを上ったところにあったのが「カラヤン広場」です。
 この先が、サントリーホール。もちろん、私はまだ中に入ったことはありません。というか、そもそもワインヤードタイプのコンサートホールには、どこにも実際に行ったことがないという初心者です。
 そこからは、今度は溜池山王から銀座線を使って銀座に向かいます。ヤマハで、「イタリア」の新しいスコアを見てみたかったものですから。でも、それは古い楽譜と同じだったので、買うのはやめました。その代わりに同じ銀座の山野楽器で、HMVに注文しても手に入らなかったヤスィンスキイさんのCDを見つけることが出来たのですよ。こんなところに出回っていたなんて。
 それも含めて、これが今日の「獲物」です。「イメージの裏切り」にはクッキーが入ってます。あとは、図録と、ファイルと絵葉書。
 でも、CDの帯が・・・。
Aventure Number : 2452 date : 2015/6/6


今日の禁断 ソングズ


 「かいほうげん」の発行日を、練習の都合で2週間延ばしてあったので、それだけ時間があったらもう余裕で出来上がってしまうのかと思っていたら、意外と大変なことになってしまいました。やはり、人間、変にヒマになると本当に怠けてしまうものなのですね。
 最初のころは1日1ページぐらいのペースでやっていれば楽勝のはずだったものが、ついほかのことをやり始めたりしていると、もう先週の時点でまだ手を付けていないところが6ページぐらい残ってしまっていましたよ。もうコンテンツは全部そろっていて、あとはきちんと版下にまとめるだけなので、いつもならそれは土日で持ち帰って仕上げることはできるのですが、その週末はご存じのとおり東京に遊びに行ったり、もう1日は別のことで丸1日つぶれてしまったので、今日中に6ページを仕上げないと明日の発行日には間に合わないという、ひどいところまでに来ていたのですよ。
 でも、きのうと今日でかなり重要な連絡事項が伝わってきて、最終的には今日にならないと完成はしなかったのですけどね。とにかく、毎回綱渡りの編集作業は続いています。
 結局、今日は一日中版下作りをやっていたのですが、完成することはなく、家に持ち帰って作業を続行、ついさっき終わったところです。しかし、今更ながらWordの欠陥には、イライラさせられますね。私の場合、2ページか3ページのそれぞれのテーマを作って、最後にそれを「連結」させて印刷用の16ページのファイルにするのですが、その作業をすると必ず連結したファイルが「壊れて」しまうのですよ。せっかく念入りにレイアウトを考えてテキストの書式などを決めたのに、連結(つまり、コピー)した途端、その書式が微妙に変わってしまって、部分的にテキストがはみ出したりしてしまうのですよ。フォントが丸ごと別のものに変わってしまうなどという不思議なことも起こります。今までに何度もやり方を変えたりして試行錯誤してみたのですが、どんなことをしてもこれは治らないので、これは間違いなくWordそのものの欠陥以外にはありえないという結論に達したのです。「最後の仕上げ」だと思って作業を進めると、そこで発生する考えられないような「事故」の処理をいちいちやっていかなければいけないのですから、本当に嫌になります。
 いつも、月曜日に職場に行くと、日曜日に「留守録」してあった山下達郎のラジオ番組をまず聴きます。1週間の活力をもらう、みたいな。それと、そのきのうのON AIR分に関しては、ちょっと楽しみなこともありました。今年は、達郎がデビューしてから40年ということで、その記念企画で最初のアルバムがリイシューされることになっているのですが、それが、最初の告知にあった仕様とはちょっと変わったことになった、と、最近の番組では言っていたのですね。その詳細が、きのう正式に発表される、ということだったのですよ。
 そのアルバムはもう何回もリイシューされていて、そのたびにリマスターをされていたのですが、その「仕様の変更」というのは、そんなものではなくもっと大幅なものだ、というようなことを言っていたものですから、私は「もしかしたら」という気になっていました。それは、いよいよ達郎も「ハイレゾ」に手を染めるのではないか、ということです。ロックやポップスのジャンルでも最近はハイレゾ化されるものは多くなっていますから、音にうるさい達郎であれば、この機にハイレゾのパッケージ、SACDとかBD-Aによるリイシューを行うのでは、と思っても、そんなに的外れではないはずです。
 でも、実際は「リマスター盤」と一緒に「リミックス盤」も一緒にした2枚組になる、というだけのことでした。ちょっとがっかりです。せめてヴァイナルでも出してくれればよかったのに。
Aventure Number : 2453 date : 2015/6/8


今日の禁断 ホフマン


 この前の職場の行事の時に、お土産が間に合わなくて急遽ほかのものを取り寄せた、ということがありましたね。結局、その最初に注文したものが今頃やっと届きました。2週間近くも遅れるなんて、どうしようもないですよね。普通だったらそんなものは送り返してやるのですが、そんな業者にもチャンスを与えようと、それをそのまま、今度はお盆のイベントの時のお土産にたらいまわしすることにしましたよ。
 現物はこんなもの、ボールペンのお尻の部分がLEDになっているという、いわゆる「ペンライト」です。しかも、キャップの先を見てください。そこがなんと「タッチペン」になっているではありませんか。これをもらったお客さんの喜ぶ顔が目に浮かぶようです。ところで、このイベントが行われる日は毎年8月9日と決まっています。この時には、人によってはお金を収めるということもあるので、それぞれの人に対して領収書を発行したりこのお土産を渡したりと、とても複雑な作業が、受付を行う人には要求されます。そして、それを統括するのが私の役目、早い話が、私がいないことにはこのイベント自体が成り立たないぐらいの、重大な役割を、いつの間にか担うことになってしまっていました。ということで、もしこんな日にオーケストラの練習があっても、とても出席できるわけがありません。と思っていたら、今年はもろにその日は日曜日で、しっかり指揮者練習が入っていましたね。ですから、今のうちからこの日だけは私がいなくてもパートがなくなったりしないように、万全の策を講じているところです。
 まあ、このペンライトの場合はクライアントが寛容だったので業者は事なきを得ましたが、普通の商取引ではそんなことはまずありえません。約束の期日までに商品が手元に届かないことには、その業者はもろに信用を無くしてしまいます。この間中大騒ぎしていたヤスィンスキイさんのCDがそんないい例ですね。かなり早めにお店に注文してあって、発売日になって確かに代理店から物は出ているのに私のところには届かなかったという、あれです。それに関して、その後各方面に問い合わせた結果、業者には業者なりの言い分があることが分かりました。あのような輸入CDは、外国のメーカーに発注して、それが小売店に届くまでには、輸送とか税関などの関係で2か月ぐらいの期間が必要なのだそうです。ですから、発売予定日の2か月前には日本全国で必要な枚数をまとめて、メーカーに連絡しなければいけません。売れることが期待できるアイテムでしたら大目に取っておけば済むことなのですが、今回のCDのようなはっきり言って「地味」なものは、多く取りすぎて余らせてもしょうがないので、発注した時に小売店から集まっていた注文分しか注文しません。私が小売店に注文したのは1か月前ですから、それはもう「締め切り後」だったのですね。ですから、品物が入荷しても、それは2か月前に注文が入っていたところにしか行きませんから、私の注文分は当然バックオーダーとなって「お取り寄せ中」という扱いになってしまったのですね。クラシックのCDなんて、そんなものなのだそうです。下手をしたら枚数が2桁にも届かないこともザラなのではないでしょうか。
 つまり、発売日に入手したかったら、ネットにインフォが出てすぐに注文しなければいけない、ということです。でもねえ、私の場合は「マルチバイ割引」という、何枚かまとめると3割引きみたいな制度を愛用しているので、なかなかそうもいかないんですよね。
 結局、この間東京に行ったときに、そんな、小売店にかろうじて渡っていた何枚かのうちの1枚をゲット出来たので、まあラッキーには違いないのですが、もちろん割引はきかないので少し高いものを買わされましたね。でも、それに付いていた「帯」には、ヤスィンスキイさんが生まれたのが「1998年」なんていう間違いがありましたね。いくらなんでもこれでは若過ぎひろし。これは代理店に文句を言ってありますので、きっと次回分の帯では直っていることでしょう。ですから、今回はとてもレアな「帯」が入手できたのだと、素直に喜ぶことにしましょうね。
Aventure Number : 2454 date : 2015/6/11


今日の禁断 ビクター


 最近は、「レコード」が再評価されているようですね。いや、今では「レコードってなに?」というような世代も増えていますから、そもそもこの言葉に対する説明が必要になってくる時代ですけど。もちろん、これは「record」という動詞が名詞として使われている言葉です。「記録する」という意味を持っていますが、このあたりの文脈では「音を記録する」、つまり「録音する」という意味に限定して使われます。その中でも、特に「音楽」を録音するときにもっぱら使われるのではないでしょうか。ですから、「recording」といえば、音楽を記録する作業のことになります。そのように記録されたものが、様々な工程を経て「音楽を再生する」物体に変わった時に、その物体は「レコード」と呼ばれることになります。
 しかし、歴史的には、「レコード」と呼ばれる物体は、平らな円盤に溝を掘って音の信号を刻んだ形で「記録」したものに限られています。同じ溝で記録するものでも、もっとも初期の形の円筒に記録するものは「シリンダー」とは呼ばれますが「レコード」とは呼ばれませんし、ごく最近(といっても、30年以上前)発明された、音の信号をデジタル・データに置き換えて、そのデータを「穴」として円盤に刻んだ「コンパクト・ディスク」も、やはり「レコード」と呼ばれることはありません。
 その「レコード」は、材質の違いにより、2つの種類に分けられます。初期のものは「シェラック」という天然成分の樹脂が使われていました。これが「SPレコード」です。78rpm(revolutions per minute/1分あたりの回転数)という高速で回転させるため、演奏時間が短く、割れやすい材質でした。
 それが、材質をポリ塩化ビニールとポリ酢酸ビニールの共重合体に代えることによって、音の溝を細くすることができ、低速の回転数でもSPレコードをしのぐ音質が確保でき、割れたりすることもないという革新的なレコードが誕生しました。その最初のものはSP(standard play)に対して「LP(long play)」と命名されています。それは、直径が12インチ(30p)、回転数が33 1/3rpmという規格でした。
 それに対して、競争会社が、直径が7インチ(17p)、回転数が45rpmという別の規格を提唱、それを「EP(extended play)」と称して、LPに対する覇権争いが始まります。これは、例えば後のVHS vs ベータのような、規格の独占を狙う不毛な戦いの始まりでした。幸いにも、LPとEPは、より長時間の演奏が可能なLPは「アルバム」、コンパクトなEPは「シングル」と、それぞれに適したフォーマットとして、共存することになります。この2つのフォーマットは、材質に由来する「ヴァイナル(vinyl=ビニール)という名称で統括されています。
 このあたりの用語に関しては、誤解が多いのですが、このようにEPというのはあくまで7インチ/45rpmという規格のレコードに対する名称です。片面に7分以上の音楽が収録できますから、当初は「ミニアルバム」的な使い方が想定されていました。この流れで、現在のCDでも「ミニアルバム」的な収録時間の短いものを「EP」と呼ぶ習慣が、アメリカあたりではまだ残っています。ただ、レコードとしてのEPの用途が、以前のSP同様ほとんど片面に1曲だけを収録するものだったために、「シングル・レコード」という言い方が定着します。さらに、これはジュークボックスなどで使われるように中心の穴が大きく開けられていましたから、「ドーナツ盤」とも呼ばれていました。つまり、「シングル盤」と「ドーナツ盤」は同義語、そしてそれらは「EP」の一つの形態、というのが、用語としての正しい使い方です。
 もう一つ、混乱しているのが「12インチ」という呼び方です。実はLPには標準の12インチのほかに、少し小さめの10インチのものもありました。ですから、「12インチヴァイナル」と言った場合は単に「標準的なLP」という意味しかなかったのですが、最近になって少し事情が変わってきています。かつては存在していなかった「クラブDJ」の出現により需要が生じた、最も音がよい最外周だけに1曲だけを収録した、いわば「シングルLP」、さらには、もっと高音質の45rpmで演奏する「12インチEP」のことを特化して「12インチヴァイナル」、または単に「12インチ」と呼ぶ習慣が出来つつあるのです。
 「ヴァイナル」の再評価が高まっている昨今、このぐらいの基礎知識があれば、困りません。
Aventure Number : 2455 date : 2015/6/13


今日の禁断 レールガン


 最近、よく愚妻をガーデニングのお店に連れて行きます。いや、私は特段ガーデニングには詳しくないのですが、愚妻に言わせればそこはこの近辺では一番品物が多いというものですから。そこは愛子バイパスを、広瀬市民センターに入る交差点を少し過ぎて、車線が少なくなったあたりを降りたすぐのところにあります。ですから車でないと絶対に行くことが出来ないので、私の休みの時には使われることになります。
 私は、行ってしまったら別に花を見てもしょうがないので(選ぶのは愚妻)、時間をつぶしています。そういう場所がちゃんとあるのですね。敷地内にアイスクリーム屋さんがあって、その一角にアウトドア用のいすや机が置いてあって、お客さんはそこでアイスやランチ(ランチもやってます)を食べられます。その椅子の中に、必ず空いている席があるんですね。まるで私のためにあるように、いつ行ってもその席だけ誰も座っていないんですよ。ちょっと狭いけど風通しが良くて、読書なんかをするにはもってこいのスペースです。本当はアイスを買って座っていれば文句はないのでしょうが、別にこれは花屋さんに来たお客さんのためなのだから、と、まあ一応そばの自販機で買ったオレンジーナを飲みながら、座って本を読む、というのがいつものスタイルです。なんだか、アイス屋さんのおやじも私の顔をおぼえたようで、「ご苦労様です」とか言って話しかけてきますから、別に問題はないんでしょう。私が座っているためにほかのお客さんが座れない、というケースもありませんでしたから。
 そこで読んだのが、この新刊です。
 右の方はだいぶ前に読んだのですが、左は出たばかり。ただ、同じ「ガリレオ」シリーズでも、「虚像〜」は短編集ですが、「禁断〜」の方は長編でした。しかも、これはなんだか「文庫オリジナル」のようなことが言われていますから、ちょっと訳が分かりませんでした。そもそも「虚像〜」の帯には「単行本2冊が1冊に」なんて書いてありますし。それと、単行本ではこの2つのタイトルの本は短編集だったはず。
 この作者のものでは単行本は読まない私ですから、その辺の事情がよくわからなかったのですが、調べてみたら単行本の時点ではそれぞれ4編、計8編の短編だったものが、文庫化の「虚像〜」に7編を収録したというのですね。だから「2冊分」なのでしょう。それで、余った1編(タイトルは「猛射つ」)を、短編から長編に直してもう1冊の文庫本にした、ということなのです。ですから、文庫しか読まない私は短編としての「猛射つ」だけは読んでいないということになりますね。確か、「秘密」もそんな風に短編から長編に書き直されたものでしたよね。短編の方はお笑いのつもりで書いたのに、長編になったらシリアスになっていたとか。
 これも、一気に読んでしまえるほどの、いつもの彼の作品の魅力が満載でした。というか、短編は読んでませんが、その成り立ちを知っているとその「膨らませ方」がなんとなくわかってきて、要は東野さんが小説を書くときのやり方みたいなものが見えてくるような気がしてきます。骨子は基本的にごくシンプルなものに、いかにして有機的なつながりを持ったエピソードを付け加えていくか、ですよね。それが成功すると、すべての登場人物の行動が見事に意味を持って最後には収束するというとてつもない快感が与えられるのですが、中にはそれが必ずしも読む者にとっては作者が思ったほどには機能していないのではないか、みたいなものもあると感じられることもあります。ただ、これだけ彼の著作に接してきていると、そんなちょっと無駄だと思えるようなところでもしっかりカバーして読んであげたいという気持ちが湧いてきますね。結果的に、どれを読んでも楽しめる、という、私にとっては幸せな作家なんですね。でも、ここでは、最後に由里奈ちゃんがもう1度登場してくれれば、確実に泣けたな、という気はします。
Aventure Number : 2456 date : 2015/6/15


今日の禁断 グランクラス


 最近のお天気は、なんだかヘンですね。まるで真夏のような暑い日が続いたかと思ったら、局地的に豪雨が降ったり、きのう今日あたりは小雨模様のちょっと肌寒いぐらいのお天気ですから。そんな中途半端なお天気では、いつもは6月に入ればまず入っていた市民センターの冷房も、入れてもらえることはありません。ほぼ予想はしていたのですが、きのうその大ホールに行ってみたら、早めに来てた人たちは窓を開けて少しでも室内を涼しくしようという作業に明け暮れていました。そして練習が始まれば、近隣に騒音が漏れないようにすべての窓は密閉されます。そうなると、いかに涼しげな外気だとしても、そんな密閉空間はほどなく蒸しぶろ状態になるのは明白なこと、シャツなどを羽織っていた人も下着一枚になったりするわけです。涼しい部屋で練習できるようになるのは、いつのことでしょう。
 そんなヘンなお天気のせいでしょうか、今年は職場の天然記念物「マルミガヤ」の実が、ちょっとヘンなことになっています。
 もうほとんど実り切った大きな実がある中で、ほとんどのものは実とはわからないほどのとても小さな「実のもと」なんですね。こんな風に実によって発育度合いが違うというのは、初めて見たような気がします。ところが、実はこの写真は先月末に撮ったものなのですが、今日同じ枝を見てみたら、この状態がほとんど変わっていないんですよね。普通だったら小さかった実がそれなりに大きくなっているはずなのに、全然大きくなってませんでした。
 さらに、この木全体を見渡してみると、枝全体にたわわに大きな実が付いているところが見つかりました。それは、木の北側に面した枝でした。逆に南側の枝では、さっきの写真のような変な状態の実の付き方になっているんですよね。これは全くの推測ですが、今年はあまりに暑かったので、南側の枝には必要以上の日光があたった結果、ちょっとした問題が起こって順調に実が育たないということになってしまったのではないでしょうか。確かに、今まではどの向きの枝にもたくさんの実がなっていたような気がしますからね。本当のことはわかりませんが、何か重大な変化が起きていることだけは間違いないのではないでしょうか。
 別にお天気のせいにするわけではありませんが、ネットを見ているととても理解不能なおかしい書き込みに出会うことがあります。まあ、そもそもネットの世界自体がかなり異常なところですから、どんなことが書かれていても驚くことはあってもそんなに気になることはありません。しかし、最近見た「新幹線の中では靴を脱ぐことを禁止しろ」という書き込みには、そんなことを言ってはいられなくなりましたよ。いくらネットがおかしいからと言って、こんなわけのわからないことを書くような人がいるなんて、そもそも想定外、こんな人もいるんですねえ。
 私がこの間東京にマグリットを見に行ったときには、帰りの新幹線に乗ったらもう歩き疲れて足はパンパンになっていました。そこで、椅子に座るなり靴を脱いで、床に足を触れさせたら、靴下を通して伝わってきた床の冷たさは本当に気持ちいいものでした。まさに生き返った感じ、せっかく座って疲れを取っているのですから、足を締め付けていた靴からも解放されたいと思うのは、ごく自然の願望です。確か、グリーン車だとスリッパのサービスもあったはずですからね。それを「禁止しろ」などというのは、例えば暑い時でも上着を脱ぐな、とか言って難癖をつけるのと同じことですよ。
 どうやら問題は「におい」らしいですね。靴を脱ぐと足のにおいがくさい、と。うーん、私は嗅覚に関してはかなり敏感な方ですから、タバコのにおいなんかはかなり遠く方でもわかりますが、長いこと新幹線に乗ってきて、足のにおいで不快な思いをしたことは1回もありません。いや、この間などはすぐ隣のおやぢが、やはり靴を脱いでいましたが、何の不快臭も感じませんでしたからね。それだったら、上着を脱いだ時の汗のにおいの方が、よっぽど気になりますけどね。あとはむせ返るような香水とか。
 その人の書き込みは文章もとてもむちゃくちゃです。「靴を脱ぐのは未開人」ですって。そもそも未開人は靴なんか履かないでしょう。あとは、「オリンピックの時は外人に恥ずかしい」ですよ。私は、その「外人」が映画やテレビで靴のまま足を机の上に投げ出したり、ひどい時には靴を履いたままでベッドに横たわっている方が、とても恥ずかしいものを見たような気になってしまいますけどね。そもそも、「オリンピックだからいいかっこをしよう」という半世紀前の「国是」を持ち出した時点で、その人は終わっている、と思いましたね。異常気象が続く間は、こんな不愉快な書き込みも続くことでしょう。
Aventure Number : 2457 date : 2015/6/17


今日の禁断 ロボット


 最近、わが社の社長は昔のテレビドラマの主題歌にハマっているようなんです。だいぶ前にこんなLPを買っていたそうなんですが、それを見つけ出して、昔はよく聴いていた主題歌を改めて聴きながら懐かしんでいるみたいですね。
 ある時、「『ヨク・ハモル』という合唱団、知ってるか?」と私に聞いてきました。なんでも、そんな懐かしい主題歌を歌っている人の中に、そういう名前の男声合唱があったのだそうです。まあ、私はそういうことには詳しいので知っていると思ったのでしょう。でも、そんな名前の団体は私も全く聞いたことがありません。まあ、あのころの主題歌などはそれだけのために人を集めて、それらしいクレジットを付けたものがありましたから、まあそんなものだろう、とは答えておきましたけどね。
 そうしたら、社長はこのレコードを持ってきて見せてくれました。
 確かに、ライナー(ジャケットの裏側)にはさっきの名前とは微妙に違ってますが、いかにもその場しのぎのような名前の「コーラス」のクレジットがありますね。「ヨーク・ハー・モール」ですって。ヨークベニマルの社員が「ロ短調ミサ」を歌うために作った合唱団ですかね。
 ところが、これを聴いてみると、そんないい加減なものではなく、とてもしっかりとしたコーラスでした。でも、逆に音がよすぎます。しかもステレオ。確かこんなのが放送されていたのは60年代でしたから、もっとしょぼい音を予想していたのに。そこで、このレコードをよく見てみると、1983年にリリースされたものでした。どうりで、音がいいはず。これはドラマの主題歌のオリジナルではなく、それこそ80年代にはもう大人になってしまったかつてのそんなドラマのファンをターゲットにしたカバー・アルバムだったのですね。でも、このジャケットや帯コピーを見れば、普通はオリジナルが入っていると思ってしまいますね。
 となると、このコーラスの正体も分かります。いや、これは聴いてすぐにデューク・エイセスによく似ているな、しかしオリジナルはデュークのはずはないし、と思ったのですが、間違いなく80年代のデュークですよ。途中には谷さんと谷口さんのソロも出てきますし。
 こちらも、毎日テレビで見ていたドラマですから、主題歌はよく知っていますし、「主題歌:ダーク・ダックス」というテロップが出ていたのも覚えています。しかし、このコーラスはもちろんダークの声ではありません。もっとメリハリのきいた、デュークそのもののコーラスでした。
 これは、メインヴォーカルが三橋美智也だったはずですから、聴こえてきたのが全く別物の張りのあるテノールだったので、カバーなのはすぐわかります。それよりも、この名前に見覚えがありました。飯野さんといえば、この後谷口さんが亡くなった時に、新メンバーとしてデュークに加入した方ではありませんか。もうこの時点でデュークと飯野さんはつながりがあって、だからすんなりメンバーチェンジが出来たのですね。なんか、歴史の裏側を垣間見た思いです。
 このLPを出したのは「ユピテルレコード」というところでした。デュークはずっと「東芝レコード」の専属でしたから、ほかのレーベルで仕事をするときには「本名」を出すわけにはいかず、こんなふざけた名前を付けていたのですね。
 このレコードには、こんな「シール」がおまけとして同封されていました。まあ、これも懐かしさをくすぐるグッズではありましたね。これを目当てに買った人もいたのではないでしょうか。こんなシールがあれば、当然「エイトマン」や「鉄人28号」の主題歌も入っているだろうと、普通は思うでしょうが、このレコードにはそのほかの「スーパージェッター」や「宇宙少年ソラン」、そして「鉄腕アトム」も含めて、シールのキャラが活躍するアニメの主題歌は、全く入ってはいませんでした。
 そんないい加減な商売をやっていたせいでもないのでしょうが、このレコード会社はこの翌年、倒産してしまいます。
Aventure Number : 2458 date : 2015/6/19


今日の禁断 カンディンスキー


 きのうの「おやぢ」で取り上げた新垣さんの本については、まだまだ書きたいことがありました。ざっと書いた「初稿」ですでに2300字にもなっていたので、一応基本と定めている「1500字台」からは大きくはみ出してしまいます。それからどんどん削って、あれだけにするのは大変でした。それだけ突っ込みどころが多かったということですね。ですから、その削った分を復活させてもう1本書いたらいいと思うでしょ?でも、私はそんな姑息なことはしません。使えなかったものは捨てるだけです。
 「おやぢ」のために書いた下書きでは、あの本の真ん中以降のところからしか扱っていません。そこに行く前にたくさんのネタがあったのですが、その部分に入ったら、やはりどんどん書くことが出てきたものですから、そこだけであんだけの字数になってしまいました。ですから、あのあたりに関する書き込みはあれでおしまい、ここでは、「その前」の部分での突っ込みです。
 年代的にはかなり離れているようなのですが、彼の学生時代などの話を読んでいると、なんか、私が経験していたこととかなり重なっているところがありました。まずびっくりしたのが「アール・ヴィヴァン」なんて名前が出てきたことです。知ってますか?今ではもうなくなってしまったはずですが、池袋の西武デパートの別館にあったお店です。そこは、「〇〇やさん」と一言で片づけることが出来ないほどの、いろいろなジャンルをカバーするものであふれていました。それらは主に、現代美術と、そして「現代音楽」に関するアイテムです。音楽に関しては書籍や楽譜、そしてレコード、中には楽器っぽいものもありましたね。そういうものが大好きな私にとっては、そこはまさに宝物だらけのお店でした。とは言っても、実際に買ったものはあまりなく、あくまでお店の中を見て回って、ひたすら「現代」の息吹に触れるという「場」だったのですね。
 そこは、そもそも、デパートの最上階にあった「西武美術館(のちにセゾン美術館)」との関連でオープンしたお店で、現代美術を主に扱っていたその美術館での展示に伴って、グッズなどを扱っていたのですね。もちろん、私は西武美術館にもたびたび足を運んでいましたよ。
 このころの「西武」の文化的な貢献は、ちょっとすごいものがありましたね。もう一つ、そんな現代芸術の先頭で機能していた「場」が、渋谷の「西武劇場」です。これも、今では「PARCO劇場」と名前が変わってしまいましたね。ここでは、やはり新垣さんも通ったという「ミュージック・トゥデイ」という現代音楽の連続コンサートが毎年開催されていました。これをプロデュースしていたのが武満徹。ここでは、彼が厳選した同時代の作曲家の作品が演奏されていたのですが、その作曲家たちは、それまでの「現代音楽」とは一味違うところから出てきた人が揃っていました。それは、あくまで西洋音楽の流れの中で複雑化して行ってその結果行き場を失ってしまった「現代音楽」には、ある種冷ややかな視線を注いでいる人たちですね。そこで出会った高橋悠治に、私は夢中になってしまったのですよ。
 その高橋悠治が中心になって作られた作曲家集団が「トランソニック」、そして、そこから同じタイトルの雑誌も発行されていました。これも、新垣さんの本には登場します。スティーヴ・ライヒという名前はその雑誌で初めて知りました。
 そんな感じで、私が東京まで電車で1時間もかからないで行けるところに住んでいた間に入り浸っていた「アール・ヴィヴァン」、「西武美術館」、「西武劇場」といった場所が、今の私の音楽的な嗜好の根っこになっています。もはや今では完全になくなったか、全くの別物になってしまったところですから、まだ元気に機能していたそれらの場所に出会えたのは、本当に幸せなことでした。そんな、懐かしい場所を新垣さんの本の中に見つけて、すこし思い出に浸っているところです。
Aventure Number : 2459 date : 2015/6/22


今日の禁断 マーメイド


 最近、今までずっと使われていたスコアで、その作曲家がもともとはカットした部分を、後の人が元に戻した「修復版」というのが出版されて、それを使って世界で初めて録音されたCDが出たということを知りました。まあ、正直その作曲家は私の守備範囲外で、ほとんど、というか、全然聴いたことはなかったのですが、そんな貴重な「版ちがい」のものが発売されたとあれば、何を置いても聴かないわけにはいかないじゃないですか。
 その曲は、3つの楽章からなる交響詩みたいなものでした。問題の修復された部分は第2楽章で、その量はライナーノーツを読むと14ページ分もあると言いますから、結構な分量です。確かに、同じ曲で今まで録音されたものの演奏時間が書いてあるサイトがあったので比べてみると、今回のCDはそのどれよりも演奏時間が長くなっています。念のため、楽章ごとの演奏時間まで載っているサイト(つまりNML)で見てみると、確かに1、3楽章ではほとんど同じぐらいなのに、第2楽章だけが4分から5分は長くなっていましたね。楽章全体で15分ぐらいですから、これは相当の違い、おそらくその長い分が、新たに加わったものなのでしょう。
 そんな風に、間違いなく違っているところがあるのだということがはっきりしていると、調べるのも楽しくなってきます。やはり、やみくもに調べるのではなく、きちんと目標があれば、なんだってやる気が起きるものですからね。でも、なんせ初めて聴く曲ですから、はっきり違いが分かるのかは正直自信はありませんでした。その第2楽章を、まずは新しいCDで聴いた後、NMLで今までの楽譜による演奏を聴いてみます。そうしたら、なんとなく、NMLではCDにはあったものがなくなっていることは分かりました。ちょっと全体のテストと極端に違っている楽器の使い方が、CDだけにはあったのですね。ですから、そこに狙いをつけてもう1度CDを聴いてみると、その部分の前後に、調は違いますが全く同じ金管のフレーズがあることが分かりました。おそらく、その間をカットして、つなげたのが、今までの楽譜だったのではないか、という気がしました。確かに、その部分は4分ちょっとありますからね。
 それで、まず違っている場所ははっきりしたのですが、ここまでくればやっぱり楽譜を見て確認してみたいじゃないですか。「答え合わせ」ってやつですよね。そこで、スコアがないかと思って、まずはIMSLPを覗いてみました。ここに行けばたいていの楽譜は見ることができるだけではなく、場合によっては「よくぞこんなものまで」という、とんでもなくレアなものにもお目にかかれるので期待したのですが、あいにくそこにはまだ用意されてはいませんでした。そこで、次にその楽譜を出版している会社のサイトに行ってみました。よく、スコアのサンプルなんかを見れることがあるんですよね。それは大当たり、なんと、そのサイトにはスコアが最初から最後まで、完全に見られるようになっていたではありませんか。もちろん、前書きや校訂報告まできちんと読めますよ。そこには、2013年に出版されたばかりの原典版、ということまで書いてありました。校訂者は、もちろんCDにクレジットされている人と同じですから、これではその「修復」された部分もちゃんと見ることができるはずです。
 と、意気揚々とCDをかけながら、そのスコアの第2楽章の部分を読んでいきます。しばらくして、さっきの目印となる金管のフレーズが出てきました。「ここだ」と思っていると、なんと音楽はスコアとは全く違うものが始まりましたよ。そういうことなんですね。やっぱり売り物ですから、見せられるのは古い楽譜だけだったのでしょう。まあ、それが当たり前の話ですね。
 がっかりしながら、もう1度前書きを読んでみると、「このスコアでは、第2楽章を修復後のものと今までのものの2種類が続けて掲載されている」と書いてあるではないですか。もう1度「ページ」をめくっていくと、確かに、さっき見た第2楽章のあとに「第2a楽章」というのがありましたよ。なんだ、ちゃんとあったじゃないですか。もちろん、そこにはCD通りの音楽がありましたし、修復された部分では別の小節番号が付けられていて、今までのものとの違いがはっきり分かるようになっていました。それは、確かに私が音で聴いて探し出したところとおんなじところでしたよ。
Aventure Number : 2460 date : 2015/6/24

15/6/25-15/8/1