2401(15/2/28)-2420(15/4/5)

今日の禁断 エンペラー


 ちょっと前に、今年の11月にゲルギエフがミュンヘン・フィルと一緒に仙台にやってくるという、最近の仙台の音楽事情(というか、コンサートホール事情)ではありえないようなニュースを聞いて、とても興奮してしまいました。こんなメジャーな指揮者やオーケストラが来るなんて、もしかしたら2008年のノリントンとシュトゥットガルト放送響以来ではないでしょうかね。いや、もしかしたらもっと来ていたのかもしれませんが、あくまで私が聴きに行ったアーティストの中では、ということですので。まあ、それも当然のことでしょう。何しろ仙台にはまともなコンサートホールが一つもないのですからね。
 しかし、その曲目とソリストを見たときには、ちょっと手放しで喜ぶわけにはいかないな、と思ってしまいました。ピアニストとして共演する方が、あまりに有名すぎる人だったからです。確かに、その人は間違いなく素晴らしいピアニストですし、私もラフマニノフの協奏曲を聴いたときは本当に感動に近いものをおぼえたことがありましたが、あまりにも人気が先行しすぎていて、せっかくの才能がちょっと無駄な方向に行ってしまっているような気がしているのですよね。この方がソロでコンサートを開けば、そのチケットは即日完売するそうですが、そんな過剰な人気はかなり異常ですよ。
 ですから、私としてはあくまで「生」ゲルギエフを聴いてみたいと思っているものの、そのコンサートは間違いなくそのピアニスト目当てのお客さんが殺到するという、ちょっと私の趣味としては許しがたいものになってしまうと思うと、なんか行ってもしょうがないような気がしてしまうのですよね。
 でも、そんな半年以上も先のことですから、それに関してはじっくり考えようと思っていたら、その決断を迫られる事態は、意外と早くやってきてしまったのです。そろそろチケットの発売時期に関して何か情報が出ているのではないかと主催者のサイトを覗いてみたら、一般発売は4月末ですが、なんとその前に「先行発売」があるというではありませんか。それが今日、2月28日だというのですよ。そこには、主催者である放送局の9時半からのローカル番組でその案内が述べられる、というのですね。それがどの程度のものなのか、例えば何枚ぐらい売るのかとか、どこに申し込むのかというのが知りたかったので、その放送局に電話をしてみたら、あくまでも「番組を見てください」の一点張りでした。となると、その番組を見るしかありませんよ。
 そこでは、チケットぴあの電話番号が紹介されていました。そして、なんでも発売枚数は200枚なのだそうです。一般発売ではまず買えるわけはないと思っていますから、こんなチャンスは逃せないと、もうすぐにダイヤルし始めましたよ。そもそも、電話がつながることすらないと思っていましたからね。
 でも、意外なことに電話はあっさりつながり、チケットもなんということはなしに取れてしまいました。そこでもらった番号で、すぐにセブンイレブンでチケットの現物を買うことができました。そこで初めて座席番号がわかることになるのですが、なんとそれは前から3列目、オーケストラを聴くには最悪のポジションですよ。そういえば、さっきのアナウンサーは「1列目から順番に受け付けていく」と言ってましたね。ということは、会場の座席表を数えてみると、私は70番目ぐらいに買ったということになりますね。一人4枚まで買えるそうですから、人数はもっと少ないでしょうね。でも、試しに今電話をかけてみたら、まだ席は取れるみたいですね。まだ200枚は売れていないのでしょうか。
 こんなことなら、一般発売まで待って席を選んで買った方がよかったかな、などと思ってしまいますが、それはあくまで結果論、まあ、ちょっと拍子抜けはしたものの、まずはゲルギエフを足元から見られることにはなったので、喜ぶことにしましょう。
 そんなゴタゴタが片付いたので、この間買ったタキシードを受け取りに行ってきました。「お直し」があったのですよね。さっそく着てみたら、ウィングカラーに蝶ネクタイをなじませるのにちょっとてこずりましたね。やはり、初めてのものは慣れておかないとまずいですね。本番前にこんなことをやっていたら大変なことになるところでした。そこで一応、記念写真を。
Aventure Number : 2401 date : 2015/2/28


今日の禁断 パトナ


 この週末は、結構あちこち走り回ってました。土曜日は東の方にある○山でタキシードを受け取った後、この際だからチラシやポスターをまだ配っていないところにまとめて行ってみようと思いました。どうせ車ですから、まずは思いっきり西にある広瀬文化センター、そして私の担当では一番南になる富沢市民センターと、もう仙台市内を縦横に走り回って、割り当て分をすべて配り終えてしまいました。走行距離は全部で70キロ、かなりの長距離ドライブでしたね。
 途中で、西公園とか川内を通ったら新しい地下鉄の駅舎が出来ていました。いつの間に、って感じです。というか、もう少しすると国際会議かなんかがあるというので、ここがその開催の中心地となりますから、それに合わせて外観だけはきれいにした、という感じでしょうか。今までの工事中の現場からしたらまるで別の世界が広がっていましたよ。何でも、この会議は「防災」に関してのもので、当然「地元」ならではのアピールのためにわざわざ誘致したという経緯があるのだそうですから、是が非でも「復興」の姿を「世界に発信」したいのでしょう。まあ、それはそれで重要なことですが、できないものは出来ないままで示す、というのも重要な「発信」の在り方ではないでしょうかね。さらに、本気で「災害の教訓を発信」したいのであれば、何をおいても語るべきことが、ここでは全く議題に挙がっていないような気がするのが、とても残念です。
 日曜日は、同じ日にあちこちで行ってみたいコンサートがありました。その中で、私が選んだのは「森の都合奏団」です。私自身が旗揚げコンサートに参加していましたが、今回は弦楽器のみの編成、それが宮城野区のとても音の良いホールで聴けるというのですから、まずはファースト・チョイスでしょう。何かとお手軽ですし。これにはニューフィルの団員がたくさん出演しますから、「かいほうげん」のネタにもなりますしね。それで、まずはリハーサルからお邪魔して、写真を撮ってみようと、10時前には出かけてみました。できればリハーサルが始まる前に会場に着いて、チケットを受け取ろうと思っていたら、予定より早く始まっていたので、すぐに写真を撮り始めます。
 ステージの裏からも忍び込んで、指揮者の前に立ったら、なんだかずいぶんびっくりされていたようですね。前もってFacebookでメッセージを送っていたのですが、気が付かなかったのでしょうか。写真を撮るついでに、チケットをお願いした人からもらえたので、まずは一安心です。駐車場はタダでした。最初の30分ぐらいは、料金は取られないのでしょうか。
 それからいったん家へ帰って、今度は愚妻を連れてまた同じところに向かいます。さっきはさすがに早朝で駐車場はガラガラでしたが、本番前は満車になることがあるので、待つのを覚悟で早めに行っておかなければなりません。幸い空車でしたが、停めたところは一番奥、ホールからははるか遠くの場所でした。
 ホールの前には、開場の15分前なのに、まだ誰もいませんでした。でも、そのうち何人かが並び始めたので、一応後ろに並んで、受付の人にプログラムに何を挟み込んだのか聞いてみました。なんだか、見た目、ニューフィルのチラシが入ってなかったようなので。そうしたら、やはり入っていたのはホール主催のコンサートのチラシだけでした。そこに、ちょうど指揮者がやってきたので、車にチラシが積んであるので、これから持って来たらそれも一緒に渡してほしいとお願いして、駐車場まで走ります。そんな遠くに置いた車ですから、チラシを持って戻ってきたら、もう開場時間になっていましたよ。そこで指揮者は、「会場を2分だけ遅らせてください」と並んでいるお客さんに言って、その場にいたメンバーに手分けしてチラシを挟むように指示を出しました。とんだハプニング、本番前にゴタゴタに巻き込んでしまいましたが、これも広報の仕事の一環なので、許してくださいね。
 このホールでオーケストラを聴くのは、確かこれで2回目でしょうか。1回目も同じようなアマチュアの団体でしたが、その時にはそんなに「音」については特別な感じはしなかったのに、今回はとてもみずみずしい音が聴こえてきたのには、本当に驚きました。高音はきれいに伸びているし、低音も充実、重心が低いのに、音色はさわやか、という素晴らしい音でした。おそらく、メンバーの音色がこのホールに見事にマッチしたのでしょう。7月には、私もこの中に入って、このホールで演奏できるはずですからとても楽しみです。
 指揮者の熱い指揮にも、メンバーはとてもよくついて行っていましたね。
 お疲れ様でした。
Aventure Number : 2402 date : 2015/3/2


今日の禁断 メロドラマ


 今ニューフィルで「カルメン」を練習しているので、この際だから「版」の問題をきちんと調べてみたいな、と思い立ちました。昔から「オペラ・コミーク版」とか「原典版」とか言われていましたが、それをきちんと特定できるぐらいのスキルを身に着けたいと。なんたって「版マニア@TENSEI」ですから。
 そこで、まずはその基礎資料である楽譜を入手するところから始めます。一番手に入りやすいのがドーヴァー版にもなっているギロー版。これはアマゾンですぐ買えました。値段は3987円。いくらPDだからといっても、分厚い大判フルスコアがこんな値段なんて、申し訳ないぐらいです。
 そして、もう一つ、これは絶対に必要な「アルコア版」です。これはさすがに日本のアマゾンにはありませんでしたが、ドイツのアマゾンにはありました。しかし、結構高いですね。167ユーロ、それに送料を加えたらドーヴァー版とは一桁違ってしまいます。いくらなんでも、単なる趣味の問題にそこまで使うのはどうか、と思いましたが、考えてみればいまどきちゃんとしたオーケストラのコンサートに行けば、ちょっといい席だとそのぐらいかかることを思えば、そんなに気にすることはないようにも思えてきます。さらに、もう少し安いところはないか探したら、アメリカのSheet Music Plusが、168.95ドル、送料込だと194.9ドルでしたので、これで手を打ちましょう。そこに注文したのが2月8日でした。もちろん、送料は一番安いランクですからそんなにすぐに送られてくることは期待できません。
 そして、2月18日に「発送しました」というメールが来ました。
 でも、この送料だと、宅急便みたいな「追跡」は出来ないんですね。あとはひたすら荷物が届くのを待つだけです。
 そしておととい、ついに荷物が届きました。注文して3週間ですね。まあ、こんなもんでしょう。
 右がアルコア版、布張りの表紙で、厚さが5センチもあります。
 「カルメン」というオペラ、今でこそ何の疑いもなく「オペラ」という呼び方をされていますが、そもそもは「オペラ・コミーク」というジャンルの作品でした。つまり、歌の間にセリフが入るという「歌芝居」ですね。それこそ、今回序曲を使うモーツァルトの「魔笛」と全く同じ形態だったのです(「魔笛」も、本当は「ジンクシュピール」と呼ばれるべき作品です)。そして、初演もパリのオペラ・コミーク劇場で行われたのです。しかし、この初演の直後に、ビゼーは亡くなってしまいます。そこで、ウィーンでの初演に際しては、友人のエルネスト・ギローが、セリフの部分をすべてレシタティーヴォに直して(ということは、歌手の歌うメロディとバックのオーケストラの部分を「作曲」して)「オペラ」として上演、これがフランスのシューダンス社から出版されることになります。ドーヴァー版は、そのシューダンス版を元に出版されたものなのですね。
 しかし、1964年に、フリッツ・エーザーの手によって、あくまでビゼーが書いた楽譜に忠実なものを再現するというコンセプトの「原典版」が作られ、ドイツのアルコア社(現在はベーレンライターの傘下にあります)から出版されました。これが「アルコア版」です。
 ざっと眺めてみましたが、ほんとにびっくりするほど違っているところがありました。何しろ、セリフの量がハンパではありません。ギローがレシタティーヴォにしたのは、そのうちのほんの少しだということがわかります。かなり重要なプロットが省かれたりしていますから、まるでCMでカットされた映画を見ているみたいですね。音楽もあちこちカットされていますし。
 それと、NMLで見つけた「オペラ・コミーク版」と銘打った音源が、単にギロー版のレシタティーヴォをセリフに変えただけというお粗末なものであることも分かってしまいました。というか、ナクソスのスタッフのやることなんて、そんなもんだという、あきらめの材料がまた一つ増えた、というだけのことですが。情けなさすぎます。
 このあたりのトピックスを、とりあえず「かいほうげん」用にまとめてみるつもりです。と思っていたら、演奏会のプログラムの原稿を頼まれてしまいましたよ。そんな予感はあったのですが、別にそのために楽譜を注文したわけではありませんよ。でも、まさにグッド・タイミング、引き受けてやろうじゃないですか。
Aventure Number : 2403 date : 2015/3/4


今日の禁断 コーヒー


 遠い遠い親戚が亡くなったという連絡が入りました。でも、全然連絡も取りあっていない間柄なので、まあ諸般の事情を鑑みて、お通夜に行って香典を置いてくるというあたりが妥当な線なのでは、ということになりました。その会場が「若林典礼会館」だというのでネットで場所を調べてみると、その住所にあたる場所には、そんな会館らしい建物が見当たらないんですよね。なんたって、そのサイトで「現地」という意味で表示されているストリートビューの画像がこれですからね。
 「ドイト」ですって。なんてなつかしい。というか、仙台にドイトがあったなんて。その昔、埼玉県に住んでいた時にこのお店の名前を聞いて本当にショックを受けましたからね。なんでも、ここは日本で初めてのホームセンターなのだそうですが、要するに「Do It Yourself」という「日曜大工」の英訳の「Do It」をそのままローマ字読みして「ドイト」ですからね。冗談ではなく、本気でそんなダサいことをやっていることにあきれ果てたというか。
 しかし、仙台に来てからはそんな名前を聞くこともありませんでした。あんなへんてこな名前ですから、もうお店そのものがなくなっているかもしれないな、とか思っていましたね。そうしたら、そのお店の画像が、しかも仙台市内の地図の中にあったなんて。
 あまりに堂々とした画像の露出だったので、最初は、このホームセンターのテナントとして、葬儀会館がこの建物の中に入っているのでは、と思ってしまいましたね。ところが、同じところをグーグル・アースで見てみると。
 なんと、更地になっているではありませんか。まあ、グーグルの場合はかなり古い画像が残ったりしていますから、決して今の姿が見れるものではないということは知っていましたが、こんなに現状と違っているなんて。典礼会館のサイトにあった現在の写真で、ストリートビューとほぼ同じアングルのものがこれですからね。
 実際に行ってみたら、確かにそこには「ドイト」でも更地でもなく、広い駐車場を備えた立派な葬祭会館がありました。後で調べてみたら、この若林典礼会館は、2014年7月にオープンしたのだそうですね。この全国チェーンの葬祭会館は、2012年8月に「泉」と「青葉」、2013年7月に「宮城野」、10月に「太白」と次々に新しい会館をオープンさせていますから、たった2年半で市内の5つの区すべてに「店舗」を作ってしまったことになります。この業界のことはほかの人よりは良く知っているつもりですが、何でも、ここに行くと前に別の葬儀会社で働いていた人を頻繁に見かけるのだそうですね。オープンにあたっては、同業他社から大量の人材を引き抜いているのだそうです。きっと、待遇もいいのでしょうね。でも、結婚式と同じことで、費用が当初の見積もり通りで収まることはまずないようですね。
 さっきのドイトも調べてみましたが、ドイト仙台若林店は、かつての長崎屋の建物をそのまま使って、2010年8月11日にオープンしたそうです(長崎屋もドイトも、ドンキホーテの子会社だとか)。これが宮城県で初の出店だったんですって。ただ、翌年の震災で被災して、結局閉店してしまったそうです。オープンから半年で閉店なんて。そういえば、あの写真には「廃墟」という雰囲気が漂っていますね。その閉店の経緯が、こんな映像になっていました。「前は漁師をやっていた」という店長さんが、ユニークですね。

Aventure Number : 2404 date : 2015/3/6


今日の禁断 イーハトーブ


 この間書いた「カルメン」のアルコア版が届くのが思いのほか早かったので、新しい「かいほうげん」を来週発行することになりました。と、なんだか「風が吹けば桶屋がもうかる」みたいなロジックですが、要するにこれが届いたことによって、いずれは書いてみようと思っていたネタがすぐに出来そうな気がしたからです。それさえあれば、チビチビと溜まっていたトピックスを集めて1号作ることができますからね。
 とりあえず載せるべきネタを集めてページ割をしてみると(この時点では実際のページは全くできていません)、「カルメン」関係には3ページ使えることがわかりました。それだったら、原稿は2000字ぐらい書いておけば、あとは画像で埋めて作れそうです。書くことは大体決まっていますから、まあ半日あれば完成するでしょう。ですから、それまでの残りのページを作ってしまえば、楽々来週の練習には間に合います。
 ほぼ予定通りに、指揮練(+宴会)の写真とか、毎回やっている団員の自己紹介などを仕上げます。思惑通りちょうど残りが3ページになったので、おもむろに原稿の執筆に取り掛かりましょう。しかし、その時点でもはや職場での仕事ができる時間はほとんどなくなっていました。まだ時間はたっぷりあると思って、ほかの仕事をやっていたら、そんなことになってしまったのですね。その日はお通夜に行かなければならなかったので、5時前には自宅に帰っていなければいけないのでした。仕方がないので、そこまでできた分をフォルダーごと持って帰ることにしました。
 その晩と、土曜日の午前中いっぱいを使って、ようやくその3ページ分のファイルは出来上がりました。説明のために、アナリーゼではありませんが曲の構成を比較する図を作るのに、意外と手間取ってしまったのですね。自宅の新しいPCには「Word 2013」が入っていたので、何かと使い勝手が違っていて、それに慣れるまで時間がかかってしまったというか。
 いずれにしても、そんな感じでそれぞれ1ページから3ページ分のファイルが揃ったので、それを16ページのフルサイズのファイルにまとめることにしました。今回の最新号関係のファイルはすべて同じフォルダーに入っていますから、これは簡単な作業・・・のはずでした。ところが、1ページ目からつなぎ始めていくと、12ページから始まるはずのファイルが見当たりません。確かにフォルダーを丸ごとコピーしたのに、なぜ入っていないのでしょう。一つ思い当たることはありました。こういう連載物(これは、末廣さんの雑誌の連載記事)は、前の号で作ったファイルをそのままテキストだけ差し替えて次の号に使っているのですが、その保存をするときにファイル名は変えないで保存先のフォルダーだけ別にするというやり方を取っています。ですから、その時に間違って今回のフォルダーではないところに保存してしまった可能性があるのですよ。いや、最悪の場合、元のフォルダーに、そのまま上書きされて保存してしまったということもあり得ます。
 ですから、今日「ヴァチカン」の練習に行く前に職場に寄ってPCの中を見てみたら、やはり新しい文書が元のフォルダーに上書きされていました。まあ、「かいほうげん」の全ファイルはバックアップがありますから、それは後で入れ替えることにして、そのファイルだけを自宅に持ち帰り、やっと16ページのファイルを完成させることができました。いろんなことがあるものですね。
 それはそうと、今朝の「題名のない音楽会」で、震災がらみで盛岡で収録したものが放送されていましたが、そこで冨田勲のちょっと前の新作が演奏されているのを聴いたら、ラフマニノフの交響曲第2番の第3楽章のテーマと全く同じもの(キーは違うかもしれません)が聴こえてきたのにはびっくりしてしまいました。何かの引用ではなく、大真面目にオリジナルのつもりだったので、とても悲しくなりましたね。冨田自身も出てきましたが、かつての精悍さは全くうかがえないただの年寄りでした。こんな風にはなりたくないものです。それと、これの指揮をした佐渡裕は何の抵抗もなかったのでしょうか。この人の音楽家としての良心を疑うようなことに、またお目にかかれるとは。 
Aventure Number : 2405 date : 2015/3/8


今日の禁断 ホワイトデー


 私の車が車検の時期を迎えました。もうかなり乗っているので、ディーラーの担当者は、「車検を機会に、新しい車に」と熱心に勧めてくれます。もういったい何度見積書やらカタログやらを持ってきたことでしょう。でも、私としてはまだもう少し乗っていたいので、今回の車検はきっちり受けますよ、と伝えたら、その仕事熱心な担当者は別にがっかりした様子も見せずに、「まあ、いつでも気が変わったら言ってください」と、タフなところを見せ付けます。
 それで、代車に、と持ってきたのが、軽の「デイズ」です。それに乗ってみたら、いったいこれが軽なのか、と思えるほどの大きさ、運転席の広さなんかはいま乗っているノートとそんなに変わらないですよ。いや、天井なんかはずっと高いですね。そこで、担当者が言ったのが、「アラウンドビューモニターもついていますから、試してみてください」というセリフです。確かに、この車だと嵐が盛んにCMに出てアピールしてますよね。二宮君が屋根の上に乗って周りを見回しているというやつですね。あれは、なかなか便利なものなのでは、と、いつも思っていましたよ。
 それで、さっそくそれを試してみます。ギヤをバックに入れると、ルームミラーの中にその「アラウンドビュー」と「バックモニター」の映像が並んで表示されます。確かに、これだと真上から見下ろしている感じですから、車庫入れなんかは楽ですね。
 でも、バックモニターは車体の後ろにカメラが付いているのだろうな、というのはわかるのですが、このアラウンドビューはいったいどこから撮った映像なのでしょう。最初に想像したのが、例のストリートビューのカメラです。
 こんな感じで屋根の上に360°のパノラマカメラを乗っけて、あの画像を集めているのですが、車の上を見てみても、そんなものはどこにもついていませんよ。もしかしたら、衛星画像?とか思ってしまいましたが、これは外でなく、屋内の駐車場でも表示されますから、それはあり得ません。それとも、建物を透過する衛星カメラ、とか。
 結局、ネットで解答を見つけてしまったのですが、カメラはやはり車体についていました。後ろと前はエンブレムの下。
 横は、なんとドアミラーの下にカメラがあったんですね。
 それにしても、エアコンはタッチパネルになってますし、いつの間にか車の内装はずいぶん様変わりしているようですね。車なんて本質的なものはそんなに変わるはずはないと思っていましたが、別の方面でいろいろ工夫が進んでいるのですね。そういえば、今日の練習を終わって帰ってくるときに、いきなりブザーが鳴って、モニターに雪のマークが出てきましたよ。確かに雪が降ってきたのですが、そんなマークを出されてもいったいどうしたらいいのかわかりませんよ。運転に注意しましょう、みたいな気遣いをしてくれているのでしょうか。なんか、いらぬおせっかい、という気がしませんか?あとは、車庫入れなんかの時にはシートベルトを外したいのに、そうすると警報が鳴りっぱなしになってしまうんですよね。そんな煩わしいものが付いているんだったら、ずっと今の車のままの方がいいな、と思ってしまったのでは、担当者の目論見は見事に外れてしまったことになりますね。でも、いつの間にか前にもらったカタログを取り出して、眺め始めている私。
Aventure Number : 2406 date : 2015/3/10


今日の禁断 ピアス


 きのうは、3月11日、これを「さんいちいち」と言う人は信用しないことにしています。深い意味はありませんが、まあ「ハクチョウコ」とか「モツレク」という言い方を忌み嫌うのと同じところに起因しているのかもしれません。
 そんな「モツレク」、いや「モーツァルトの『レクイエム』」の演奏会が、なんとWOWOWで生中継されていたではありませんか。もちろん、きのうの「5回忌」のための特別番組、それを無料で加入者以外の人も見られるという大盤振る舞いです。
 その演奏会は、今私が練習しているのと同じ企画の中で、京都で開催されるものです。たまたまその日だったからなのか、最初から決まっていたのかはわかりませんが、同じ演奏会を全国各地で行うことになっています。もしかしたら、私がこれから出る演奏会が全国中継されていたかもしれませんね。ただ、この京都公演には、仙台からも合唱団員が参加しています。全部で15人ぐらいでしょうか、以前練習の時に、京都で仙台からの「助っ人」を募集していて、旅費や宿泊費も全部持ってくれるという話があったので、よっぽど行ってみようかなと思ったぐらい、こちらも太っ腹な話ですね。結局行ったのは高校生と大学生だけでしたが、放送の時にWOWOWのアナウンサーが言っていたのは「被災地からの参加」でしたね。
 実は、仙台で練習している我々は、一応高校生のヴァイオリン・ソロがある、とか、オーケストラがロッシーニの序曲を演奏するとか、断片的なことは聞いてはいたのですが、その演奏会が全体としてどんなものになるのか、ということは一切知らされていませんでした。チラシにも何も書いてありませんから、もちろん聴きに来るお客さんも何もわからないはずですね。ですから、この京都公演で初めて、我々としてはその全貌を知ることができるということになります。
 それにしても、下手にあるスポンサーボードとか、曲目をいちいち紹介しているMCさんとか、普通のクラシックコンサートとはずいぶん様子が違っています。でも、そんなものは別に演奏される音楽には何の邪魔にもなりません。いい演奏さえ聴ければそれでいいのですからね。もちろん、そのために私たちは長い間熱心に練習を重ねてきているのですから。そこで気になるのが、一度も聴いたことのないイタリアのオーケストラがどんなものか、です。物見遊山気分でやってきていい加減な演奏をされたのでは目も当てられませんからね。一応、このオーケストラの素性は、ペーザロのロッシーニ音楽祭のオーケストラだ、という情報はありました。ただ、その音楽祭は年に1回しか開催されませんから、オーケストラが常設のわけはないので、その時期だけに集まるいわば「寄せ集め」のはずですし、演奏するのはロッシーニの作品だけでしょうから、それがモーツァルトではどうなのか、とても気になります。
 しかし、それは全くの杞憂でした。これは、とてもしなやかな音色と音楽性を持った、素晴らしいオーケストラでした。ただ、コンサートの前半にはロッシーニの序曲が3曲演奏されましたが、指揮者がなんだかもたもたしているので、ロッシーニらしさがあまり伝わってこなかったのが残念でしたね。そのあと高校生(仙台の白百合学園)のヴァイオリン・ソロがありましたが、そのバックの弦楽器は絶品でしたね。
 後半の「レクイエム」は、同じ指揮者でもう少しすると歌うことになるので、なんだか緊張します。しかし、オケは素晴らしいのに(ちゃんとクラリネット奏者がバセット・ホルンに持ち替えていました)いまいち合唱に「力」がありません。なんか、小さくまとまっている感じ、この指揮者が仙台に来て指導していったときにはもっとイキイキとした音楽をやりたかったはずで、仙台の合唱団もそれにかなりこたえられるようになっていたのに、そういうポイントがほとんど伝わってこないのですね。
 あと、ちょっと気になったのが、ソリストのルックス。ソプラノとテノールが日本人でしたが、ソプラノはつけまつげが、テノールはモヒカン刈りが今でも目に焼き付いていますよ。そのテノールの方が、今回のコンサートのすべてのプロデュースをなさっているそうですね。お忙しくて、あまり本業の練習ができなかったのでしょう、ちょっとつらい演奏でしたね。
 仙台での演奏会は、来週の金曜日、、20日の7時から、泉パークタウンの白百合学園の敷地内の「レジナパーチスホール」で行われます。当日券もあるはずですから、ぜひいらしてみてください。合唱は、このオーケストラに見合うだけの演奏をするために、残った練習は本気で頑張るはずですから、きっと満足していただることでしょう。
Aventure Number : 2407 date : 2015/3/12


今日の禁断 ケンタッキー


 この間までは「カルメン」と格闘していました。いや、前から欲しかった楽譜を手に入れたら、いろいろ面白いことが見つかったので、それを「かいほうげん」用に読み物としてまとめていただけのことですけどね。別にネタを探しながら生活しているわけではないのですが、こんな風にちょっとしたことで深く追求してみたいことが出てくると、結果が出るまでとことん調べまわる、というのがなかば習慣と化しているみたいです。
 それは、1日おきに書いている新譜CDのレビューでも同じことで、普通は1回聴いたらば、1時間ぐらいあれば原稿は出来上がってしまうぐらいのノリで書いているのですが、たまに、資料を集めてとことん読み込まないとできあがらないないような面倒くさいものにぶつかったりすることもありますね。きのう聴いていたCDが、そんなものでした。全く初めて聴く曲だったので、まずは参考のために一番身近な「帯原稿」を読んでみますが、それがかなりいい加減なものであることはすぐにわかりました。それは「受難オラトリオ」というジャンルの作品だったのですが、まずはそのジャンルそのものに対する説明がいい加減、時代的な認識にまるで欠けています。それと、そのオラトリオの歌詞を作った人に関する説明も、えらく抽象的です。さらに、音楽に対する説明もただの「感想文」で、何の役にも立ちません。こんなものは使えないと、ネットを検索してみても、出てくるのは代理店から販売店に送られた、その帯原稿と同じ文章ですから、何の意味もありません。というか、たとえば「使われている詩は聖書のものではなく、カール・ヴィルヘルム・ラムラーの詩という点でも独創的」という、もう腹が立ってしまうようなフレーズがあちこちからネズミ講のように出てくるのですから、もう気が滅入ってしまいます。
 ところが、これは手元に格好の資料があったことに気づきました。もう15年ぐらい前に聴いたこの詩人が作ったテキストに別の作曲家が曲を付けた受難オラトリオのCDを引っ張り出してみたら、そのブックレットに、そのあたりの経緯がとても詳細に記載されていたのですね。ただ、もちろん日本語ではないので全部読み通すのは大変でしたが、そのおかげでさっきの帯原稿なんかよりははるかに中身のある原稿が出来上がったのでは、という気がします。これは明日アップする予定、本当はその帯原稿の全文も一緒に載せようと思いましたが、もしそれを書いた人が読んだりしたら立ち直れないのでは、と思って、それはやめました。まあ、そこまで考えることもないのでしょうが、なんせネットですからね。
 そのネットの情報で、近所の本屋さんが閉店するというのが最近見つかりました。そこは商業施設が集まったエリアで、私のお気に入りの「味の民芸」(その後「むぎの里」と店名が変わります)といううどん屋さんもあったのですが、そこが震災で被害が大きくて閉店した後建物も取り壊され、更地のままになっていたので、なんか変だな、とは思っていたら、そんなことになっていました。ということは、やはりエリア内のファミレスも閉店になるのかな、と、今日の合唱の練習が終わってから愚妻と行ってみました。そうしたら、やはりこんな案内が貼ってありましたよ。
 窓際の席に座ったら、向かいにあるその本屋さんも見えたので、一緒に写真を撮ってみました。看板に「本」の文字があるのが・・・わからないか。
 この本屋さんも、ひところはマンガが充実していたのでよく来たことがありますが、こういう「ちゃんとした」本屋さんがなくなってしまうのはさびしいですね。跡地は再開発されるのだそうですが、いったい何ができるのでしょう。かなり広い敷地なので、コンサートホールなんかが出来たらすごいのですが、それはあり得ませんね。
Aventure Number : 2408 date : 2015/3/14


今日の禁断 オートグラフ


 「ヴァチカン・レクイエム」の仙台勢の練習は、きのうですべてのスケジュールが終了しました。あとは木曜日の指揮者練習と金曜日の本番を迎えるばかりです。
 私は、モーツァルトの「レクイエム」については、CDは集めるは、いろんな種類の修復稿は集めるはと(たぶん、全部揃ってるはず)、聴くことに関してはかなりの経験を積んできたつもりですが、実際に自分で歌ったことはずっとありませんでした。オケをやっていると、自分が演奏したことのある曲では、その曲に対する聴きどころがそうでないものとは全然違ってしまうことを何度も経験してきましたから、私にとってとても身近になっているモーツァルトの「レクイエム」でも、自分で歌えば(この曲の場合は、楽器での参加は無理ですから)さらにもっと細かい次元でのおつきあいができるのに、と、ずっとチャンスを待っていたのですが、3年前にやっとその願いがかないました。ただ、それは仙台フィルとの演奏会で、最初からハイレベルの合唱が必要とされていましたから、出演するのは市内の「一流の」合唱団の団員に限られていました。しかも、そのいくつかの合唱団の選抜メンバーが集まって一緒に練習する機会はほんの数回しかありませんし、もちろん、全員がすでに歌ったことがあるというのが大前提だったので音取りはすでに終わっているものとして練習が進められるはずでした。でも、私はたまたまその中の合唱団に「籍」があったものですから、まあ必死に準備をして混ぜてもらうことにしましたね。
 思った通り、そんな高いハードルではもう音を取るだけで精一杯で、とても音楽を自分で体験するというところまではたどり着くことはできませんでした。ですから、今回の企画は、そのリベンジには格好のものだったのですね。
 こちらの方は練習もたっぷり時間が取られていましたし、指導してくれた方々も本当に基本的なところから「育てて」くれていたので、私にとっては大変有意義な経験となりました。長年、楽譜やCDと付き合ってきていても、それがいかに上っ面しかなぞっていなかったことが、このようなきちんとした練習によって痛感されることになるのですね。やはり実際に声を出しながらほかのパートの声を聴くという、自分で音楽に参加することが、どれだけ楽譜の理解につながるかがよくわかります。さらに、指導者の方々は、とてもしっかり楽譜を研究されていて、そのアナリーゼはまさに目から鱗の事柄がてんこ盛り、どんだけ役に立ったことでしょう。この経験は、これからの私の音楽生活に、とても大切なものを与えてくれました。感謝の言葉もありません。
 私の方も、できることがあればぜひお手伝いしたいものだと、ちょっとマニアックな情報を提供させたりしてもらいました。というか、それも結局は私にとって役に立つ情報を得ることになったのですが。例えば、この間の京都の演奏会の前に、指揮者の要求で「Rex tremendae」のテナーの最後の音を、今使っているベーレンライター版のヴォーカル・スコアとは違う音に直して歌った、ということがありました。ですから、仙台でもそれと同じように直そうという指示が伝わっていたのですが、そんな間違いがこの楽譜にあったなんて、全然知りませんでしたよ。ところが、同じベーレンライターのスコアを見てもそれはヴォーカル・スコアと同じ音(D)です。でも、指揮者が使っているのは確かドーヴァー版だったような記憶がありますから、それを見てみたら、確かに別の音(F)になっています。こうなったら、ほかの楽譜ではどうなのか、気になるじゃないですか。そこで、手元にあるすべての楽譜を調べてみましたよ。その結果、それらはすべてDだったことがわかりました。ことのついでに自筆稿(といっても、アイブラーの書き込みが入っていますが)を見てみたら、これもDでしたね。この楽譜、ベース以外はハ音記号、テナーは「第4線」がCです。
 しかしこの部分、最後の小節はモーツァルトが書いているはずなのに、弦の音が楽譜によって微妙に違っているのは、なぜなんでしょう(この件は解決しました。ファースト・ヴァイオリンだけがモーツァルトの自筆だったんですね。)。こんなことも、実際に歌うことがなければ絶対に知ることができなかったはずです。ほんとに「現場」での実践の大切さを思い知らされます。何の演奏経験もなくCDの帯解説などを書いているような人に、きちんとした原稿が書けないのは当たり前の話です。
Aventure Number : 2409 date : 2015/3/16


今日の禁断 イラディエル


 ニューフィルのスプリングコンサートもだいぶ練習が進み、来週末にはソリストも来てさらに本番へ向けての仕上げに近づいていきます。チケットなども、私の事務局サイドからの担当である「友の会」への発送も終わり、個人的にいつも送っている人からも、お礼の電話なども届くようになっています。あとは、もう少ししたらFacebookのイベント経由でご招待をさせていただきますので、その時にはぜひ「ご厚意に甘えて」いただければいいかな、と思っています。
 そして、私のこの時期のミッション、プログラムノーツの執筆も、いよいよ佳境に入ってきました。私の担当は前半の曲目、「魔笛」序曲と「カルメン」です。「魔笛」は簡単に書けましたが、「カルメン」の方はなかなか大変ですね。この場合は単に音楽の解説をするだけではなく、オペラとしての「物語」にも関連付けて書かないことには、全然片手落ちになってしまいますからね。ところが、ここで一つ問題が発生しました。その物語を説明するときに、普通はストーリーに従って演奏される順番に書いていけばすんなりいくはずなのに、このコンサートでは全くそんな流れは考慮しないで、もっぱら音楽的な起伏を重視した配列になっているものですから、曲順に書いていこうとすると、時間軸が全くでたらめになって収拾がつかなくなってしまうのですね。かといって解説だけ物語の順番に書いたりしたら、聴いている人にはとても不親切なものになってしまいます。この矛盾をどのように乗り越えるか、これが、私に課せられた最大の難問になってくるのです。
 ということで、解説の中ではドン・ホセが営倉から釈放された後、カルメンの縄を緩めて逃げられて営倉に送られてしまう、みたいなシュールな時間経過が描かれるようになっていますが、これは言ってみれば映画のカット・バックの手法だと思って読んでもらいたいものです。そのために必要な工夫も、できる限り施してありますから、おそらくそんな不自然なものにはなっていないとは思うのですが、どうでしょうね。
 ですから、そういう時間経過とその間の登場人物の変化については、かなりきちんと調べてみました。というか、私自身がそれぞれのキャラクターについてしっかりした知識がないことには、どこからぼろが出るかわかりませんからね。今、東野圭吾の新刊の文庫を読んでいるところですが、今まで一度も登場したことのない名前の人が急に犯人として捕まっていたので、ちょっとびっくりしてしまいました。確かに、もう1度最初から読み直してみたら、本当に目立たない形で登場はしていたので別に作者の中では何の抵抗もなく犯人にすることができたのでしょうが、読んでいる人がそれにきちんと気づいていないと「この人だれ?」みたいなことになってしまいますね。この人は伏線の張り方が巧みなのは知っていましたが、その辺の手加減が時としてうまく読者に伝わらないこともあるのでしょう。そう、私は無謀にも東野さんを超えるクオリティを、このプログラムノーツに込めようとしているのですよ。
 というのはウソですが、そのために台本だけではなくDVDなども見てみると、今まで知らなかったことがわかってきます。例えば、第2幕の舞台となっている「リリャス・パスティアの酒場」の「リリャス・パスティア」っていったいだれ?というようなことですね。この名前は第1幕の「セギディーリア」の歌詞の中に出てきますが、それは単なる店の名前のような感じですね。実際、このキャラクターはセリフだけの登場人物ですから、ギロー版では出てきません。アルコア版になって初めて、一人の「人物」として登場するのですね。しかも、台本を読む限りではそれは男性なのですが、ある演出ではそれが女性になっていましたね。
 さらに、いろいろ調べているうちに、「ハバネラ」が盗作だったということがわかった時には驚きましたね。ついでだから、それも盛り込みました。知ってました?結構有名な話のようですが、その元ネタを作った作曲家の出版社から訴えられて、裁判になったのだそうですね。その結果、
 こんな「但し書き」が楽譜に掲載されるようになったんですって。はっきり「パクリです」と書かれてますね。
 こちらでは、実際にその「元ネタ」を聴くことができます。楽譜も出版されてます。
 赤線の部分は「ハバネラ」そのものですね。
 結局、こんな感じでとりあえず原稿が出来上がりました。3000字ぐらい、ちょっと長すぎたかも。
Aventure Number : 2410 date : 2015/3/18


今日の禁断 アンコール


 いよいよ「レクイエム」の本番です。いつもは会場のホールでそのまま練習をやっていましたが、今日はまず別の控室に待機しているという指示でした。そのために「登校口」という、懐かしい言葉のところから校舎の中に入るように、とのことでした。行ってみると、ちゃんと合唱団用の「げたばこ」が用意されていて、そこに番号札のついたスリッパが置いてあります。靴を入れたらその番号札を一緒に持って行って、間違えないようにするためなのでしょう。至れり尽くせり、この学校が全校挙げてこのコンサートのために力を注いでいるのがよくわかります。
 待合室に行ってみると、こちらも至れり尽くせりのケータリング、この後で、食べきれないほどのサンドウィッチも運ばれてきましたよ。
 まずは、そこで発声練習をしてから、ホールに向かいます。そこでは先にオーケストラだけの曲のリハーサル、という話でしたので、合唱団は客席で待機です。私は、さっそく後ろの方に座ってD-100をセットします。きのうも同じところでピアノリハを録音したのですが、聴いてみるといまいち音が濁っていたので、その時の16/44.4ではなく、ハイレゾの24/96で同じ場所から録音しようと思ったのですね。
 最初にオーケストラがロッシーニの序曲を演奏し始めましたが、それはなんだか今日演奏する曲とは違うような気がしました。プログラムには「セヴィリア」と「チェネレントラ」と「アルジェ」とあるのに、今練習しているのは「タンクレディ」ではありませんか。カラヤンみたいに、別のコンサートのリハーサルをやっているのでしょうか。ちょっと不思議。もっと不思議だったのは、ゲネプロだというのにソリストが来ていないということ。一緒に聴いていた、こういうオケやソロと一緒の曲には造詣の深いMさんなどは、「ありえない!」と言い切ってましたね。ほんとに、この演奏会に照準を合わせて一生懸命練習してきた合唱団とは、なんだかずいぶん温度差があるような態度が、ちょっと気になりますね。
 ですから、レクイエムのゲネプロはソロのパートは省略して、きのうみたいな練習、まあ彼らは何回かの同じ曲目の中の一つですからほかに重要なことがあればこちらを犠牲にすることは何とも思わないのかもしれませんが、だったら合唱団はなんなんだ、と言いたくなりますね。「現地調達」ってやつですか?
 まあ、そんなことには煩わされずに、この1回限りの演奏に全力を注ぐという気概を、この合唱団は持っていますから、そんな不思議なGPも全力で務めます。あとで録音を聴いてみたら、出だしはオケには負けていなかったのに、Kyrieのフーガではコラ・パルテのトロンボーンがちょっとうるさすぎて、合唱が見事に消されてしまっていましたね。こんなにトロンボーンがはっきり聴こえるオーケストラは、ちょっと珍しいのでは。でも、それ以外では合唱はしっかり聴こえてきましたし、リズムなどはオケよりちゃんとしていたところもありましたね。本番ではどうだったのでしょうね。ただ、録音はハイレゾにして音は緻密になりましたが、合唱の濁りまでは治りませんでしたね。機械は正直なんでしょう。
 リハーサルが終わると、出番までには3時間もの待ち時間があります。そこで、サンドウィッチだけではとても全曲歌いきるだけの力はつけられないので、近くのタピオまで歩いて行って、前に食べたときにとてもおいしかったフードコートのカツ重を食べてみることにしました。ところが、それは肉はまずいし、味付けは全然違うしで前に食べたのとは全くの別物になっていましたよ。がっかりです。
 それでもまだまだ本番までには時間があって、いい加減待ちくたびれたころにやっと出番になりました。客席はほぼ埋まっていましたから、1000人以上は入っていたのではないでしょうか。それが、レクイエムが終わったらスタンディング・オベーションで喜んでくれていましたよ。
 でも、7時に始まったコンサートが終わったのが9時40分、それから着替えて駐車場に行ったら、出る車がものすごい渋滞です。校内の駐車場だけではなく、向かいにある別の駐車場も使っていたみたいで、それが一斉に車を出すとこんなことになってしまうんですね。道路に出るまでに15分以上かかってしまいましたよ。交通整理で、学校の人が何人も出ていたようですが、本当にご苦労様でした。
 そんな、あちこちに不思議なところがあった本番でしたが、ここまでやってきた練習は本当に楽しいものでした。前からの近い年代の知り合いだけではなく、現役の学生さん(院生?)とも仲良くなれたのが、とてもうれしかったですね。また、同じようなメンバーで一緒に歌えるのを楽しみにしています。
Aventure Number : 2411 date : 2015/3/20


今日の禁断 メモリー
 もうだいぶ前に発表になったようなのですが、あの「あまちゃん」の再放送が決定したそうですね。昔の朝ドラの再放送はずっとNHK-BSで毎朝7:15からやっていましたから、今はその時間に「梅ちゃん先生」を見て、そのまま「マッサン」の初回放送を見る、というのが日課になっています。この再放送の時間帯では最近はそんなに昔のではなく割と新しめのものが放送されるようになっているので、そんなに遠くない将来には「あまちゃん」もやるはずだけど、とりあえず「梅ちゃん」の次はなんだろう、と検索してみたら、こんなうれしい結果が見つかってしまいましたよ。そんな早朝の日常の中に、また「あまちゃん」が戻ってくるんですね。
 逆に、こんなにすぐにまた「あまちゃん」が放送されるという事態に、まだまだ心の準備が整わないというのが本心です。果たして、私は4月までに「あまちゃん」と立ち向かえるだけの心構えができるのでしょうか。まずは、この際ですからすべての回を録画してBDに焼いてしまうことだけは考えています。たぶん13枚ぐらいあれば全部BD化できるはずですから、そんなに大変なことではありません。それさえきちんとやっておけば、あとはいつでも「あまちゃん」のすべてのシーンをいつでも見ることができるようになりますよ。一応私は何回か放送された総集編だけは録画してありました。でも、そこでは私が一番見たかったシーンがカットされていたんですよね。それは、ミズタクが「一般男性、ルパン三世」と言うところなんですけどね。
 でも、こんなに早く再放送が始まることになって、公式のBDボックスを買ってしまった人は怒り狂っているのではないでしょうか。たしか、全部買うと4万円以上になるはずですからね。
 しかも、今回は毎日の放送以外に、土曜日には1週間分まとめて放送されるんですって。再々放送ですね。こんな大盤振る舞いなんて、さすがは「あまちゃん」です。でも、これが、最近何かと評判のよくないこの国営放送が、そんな批判の矛先をそらそうという薄汚い魂胆があって企てた「サービス」だったとしたら、そんな単純に喜んではいられないのかもしれませんがね。
 放送と言えば、先日の「バチカン・レクイエム」の模様が、やはりBSのBS朝日で放送されるのだそうですね。とは言っても、その前のWOWOWのようにコンサートを丸ごと放送するのではなく、この企画の全国ツアーの模様をダイジェストでお伝えするもののようです。ON AIRは30日の午後6時からのようですが、確かに仙台の会場にもBS朝日のクルーが来ていましたね。でも、録画していたのはリハーサルの時だけでしたから、仙台の本番の様子などは見たり聴いたるすることは出来ないでしょうね。
 実は、そのリハーサルの間にD-100を回しっぱなしにしていたのですが、クルーはそのすぐそばにいたので、演奏している間もなんだか大声で話をしているのがそのまま録音されていましたよ。ま、別にステージの我々に届くほどの声ではなかったので演奏には何の支障もなかったのですが、そういう無神経な仕事ぶりにはちょっと腹が立ってしまいます(そもそも、プログラムが広告で埋まっているというのに、コンサートの場でさらにスポンサーの名前を読み上げる、という神経も理解不能です)。
 その音源を、せっかく録ったので関係者にはぜひ聴いてもらいたいと、こっそりネットにアップしてあります。オリジナルは24/96のハイレゾで録ったものなのですが、そのままでは1.3MBもあるのでとてもアップできませんから、mp3に圧縮して、それを曲ごとに分割してアップ、そこへのリンクのページを作ってそのURLをFacebookの「友達」だけに教えました。それと、ブログのコメントを探すと、同じURLが見つかるかもしれません。いずれにしても今月いっぱいしか公開しないつもりですから、聴きたい方はその前にどうぞ。
 そのあと、オリジナルのwavファイルもそのままアップしてみました。これは、本来はそれをダウンロードして、ハイレゾ対応のDACなどを通して聴く、というのがきちんとハイレゾとして再生できるものなのですが、一応PCでもストリーミングで再生できないことはないのですね。そんな聴き方でも、mp3とは全然違う音が聴こえるようですから、試してみてください。 
Aventure Number : 2412 date : 2015/3/22


今日の禁断 デッカ


 きのうの「おやぢ」で「Tuba mirumと白松がモナカが似てる」と書きましたが、それを「似てる」と思える人はそんなに多くはないはずです。そもそも、「白松がモナカ」などというローカルなアイテムを知っている人自体が極めて稀ですからね。でも、この和菓子屋さんのCMというのは、仙台市民であればまず間違いなく一度は聴いたことがあるはずなんですよ。つまり、CMとは言っても別にテレビで流しているわけではなく(かつては流れていたのかもしれませんが)、市の中心部の商店街では1日中BGMとしてかけているので、そこに買い物に行ったりすれば必ず耳にするようになっているのですね。「あの人も持ってる、白松がモナカ」という歌詞ですから、どんな人でも贈り物用に買ったものを持っている、という意味なのでしょうが、私にはこれが「あの人も待ってる」と聴こえてしまって、そんなおいしいものをぜひ貰いたいものだ、と待っている浅ましい人のことが頭に浮かんでしまいます。
 でも、ほかの地方の人がそんなものを聴けるわけはありませんから、その音源を用意しました。「白松がモナカ」という歌詞の部分が、これです。
 それに対して、モーツァルトの方は、こちらです。
 まあ、人それぞれですから「似てない」といわれればそれまでですが、私はもうだいぶ前からこの部分を聴くと「モナカ」を思い出して、一人でニヤニヤするようになっていました。ですから、この間の「バチカン・レクイエム」でも、ここは合唱が休みですから、オケがここを演奏するのを「生」で聴いて、イタリヤ人も「白松がモナカ」を演奏している、と、ひそかに笑いをこらえていましたよ。ちなみに、あの部分は実際にモーツァルトが書いていますから、どの版で演奏しても、これが聴こえてきます。
 そのモーツァルトのレクイエムだったら全ての版のCDは持っていますし、その他のものでも手当たり次第に買いあさっていたら、そろそろ収容限界を超えるような事態になってきました。そこで、いらないCDなどを処分することにしました。そのきっかけは、何度も利用している中古CDの買い取り屋さんが送ってきたこんなパンフレットです。
 ESOTERICという音響メーカーが出しているSACDは、常に限定発売で、売り切ったらもう入手できなくなってしまいます。ですから、欲しいと思ったら中古CD店を頼るしかないので、ものによってはかなりのプレミアがついて、発売された時よりも高値で販売されています。その最たるものが、この「指環」全曲のSACDです。確か、限定1000セットしか販売されなかったはずですが、その後いろんなところで褒めまくられていましたから、欲しがっている人はたくさんいるのでしょうね。ですから、元は5万円ぐらいだったものが、なんと10万円で買い取り出来るというのですね。
 実は、このSACD、発売された時にはまるで夢のような商品(つまり、当時はこれがSACD化されることはありえないと思っていましたから)だと思い、ちょっと高めの価格設定ではありますが、思い切って買ってしまいました。しかし、その後なにかと疑問点が多くなってきましたし、そもそも音が期待していたほどではありませんでした。しばらくして、こういうちょっと胡散臭いメーカーのSACDではなく、オリジナルのレーベルからBD-Aが出た時には、私にとってはもうすっかりこのSACDの価値はなくなってしまっていました。ですから、それを買った時の値段の倍で買い取ってくれるのであれば、売りに出すのは当たり前のことです。
 そのほかにも、音を比較するだけのための買ったSACDとか、買ってはみたけれど封も空けていないボックスなど、この際まとめて買い取ってもらうことにしたのです。いやあ、ワインガルトナーの交響曲ボックスなんて、なんで買ったんでしょうね。これが、ゲルギエフのショスタコーヴィチの交響曲と協奏曲のBDボックスなんかだったら、絶対に手放したりはしないんですけどね。
Aventure Number : 2413 date : 2015/3/24


今日の禁断 ユニオン


 この間の破格のCD買い取り価格に反応して、ついに具体的に行動を起こしました。まずは、この前に買い取ってもらってからかなり年月が経っているので、システムなどが変わっていないかどうかを確認です。そうしたら、やはり、かなり変わっているところがありました。一番の違いは、発送するときのやり方です。大量のCDですから、当然梱包して送ることになります。以前はその荷物をコンビニに持ち込んで着払いで宅急便などで送っていたのですが、今ではそうではありません。「荷物は必ずご自宅から発送してください」というのですね。要は、確かに本人が本人の所有物を送っているのだ、ということを確認するということなのでしょう。盗品を本人に成りすまして換金するという人がいたんでしょうね。きっと。
 ですから、そのためには自宅に宅急便のスタッフに来てもらわなければなりません。職場ではだめなのだそうです。面倒ですね。大体、そういうのに来てもらう時間は遅くても7時ですから、普通の会社員だったら自宅にはいないでしょうし、休日に来られても困る人もいるかもしれませんね。でも、そういう規則なのでは仕方がありません。最後の時間指定が5時から7時までというので、5時までには家に帰っていなければいけないというのはちょっと厳しいところがありますが、何とかしましょう。
 その日にちと時間を、まずメールで送ったら、折り返し「梱包してお待ちください。記入済みの伝票を持ってお伺いします」という返事が来ましたね。では、いよいよ梱包です。なにしろ「指輪」はかなり大きな箱に入っていましたから、まずそれが入るだけの箱を探さなければなりません。それはすぐに見つかりました。この間フルートを修理に出した時にメーカーが入れてよこした箱が、結構大きいし緩衝材がいっぱい入っていたのでうってつけ。「指輪」を入れてもスカスカですから、あとは手当たり次第にもう絶対に聴くことはないようなCDを詰め込みます。驚いたことに、全く同じものを2枚買っていた、というのが結構あったのですね。それでもまだまだ隙間がありますから、そこには緩衝剤をたっぷり詰め込んで、出来上がりです。
 ついさっき、時間通りに宅急便が来て持っていきましたから、もう後へは引けませんね。もっとも、見積もりが届いてからでも売りたくないものは返してもらえるので、いいんですけどね。
 でも、そんな箱ひとつ送ったというのに、CD棚には相変わらず全然隙間はありません。空いたところに、今までは棚以外の所に置いてあったものを入れたので、それは当たり前のことなのですが。
 そんな一件が終わったので、職場のHPに載せるのに何かいいものはないかと社内を散策していたら、大きな桜の木の上の方の枝に、なんだか鳥の巣みたいなものがくっついているのが見つかりました。
 そこで、望遠レンズを持ってきてアップにしてみたら、これはどうやら「ヤドリギ」らしいことが分かりました。話には聞いたことがありますが、こんな風に実物を見るのは初めてです。
 ネットで調べると、結構縁起のいい植物のようですね。これがあるからと言って、本体の樹木が痛むようなことはないそうなので、まずはこの木の桜が咲いたときにはどんなことになるか、定点観測でもやってみましょうかね。
Aventure Number : 2414 date : 2015/3/26


今日の禁断 ソプラノ


 今日と明日は、ニューフィルの指揮者練習です。大体本番までの間に1か月おきに土日の練習が3回入るというのが、いつものスケジュール、大体最近は、きっちりそのスケジュール通りに来ていただいている指揮者がほとんどです。ところが、指揮者はスケジュールが取れているのに、最近は練習会場がなかなか取れないのが、深刻な悩みです。今回も、ほかの2回は何とか公共の会場が取れたのですが、この3月の分だけはどこも空いていませんでした。そこで使うことになったのが、
 こんなところです。私の家からちょっと行ったところにある女子大のキャンパスです。今回の指揮者がここの講師を務めていたので、その伝手で借りることができました。実はこの学校、私にとっても縁がないわけではなく、ひところは毎週のようにここに通っていたことがあります。言ってみれば、「学生」だったのですがね。いえ、ここの音楽科のフルートの先生のレッスンを受けるために、もぐりこんでいたんですけどね。音楽科はずっと奥の方ですが、今日つかうのは正門を入ってすぐの大講堂、真ん中の建物です。
 私が行ったときにはまだ誰も来ていなくて、照明もついていませんでした。でも、上の方に窓があって、外光が入ってきます。ホールの扉も二重扉ではなく、横の扉なんかは開けるとそのまま外に出られるようになっています。広いキャンパスだから、別に防音などは必要ないのでしょうね。
 ステージにはちゃんと反響版も用意されていました。かなり広いステージですので、悠々とオーケストラが乗ります。音も結構響いているようです。実は先週も別の女子高の、同じようなホールで本番があったのですが、そちらはステージは奥行きがこれほどありませんでしたし、音もあんまり響かなかったような気がします。でも、2週続けて女子高や女子大に縁があるなんて、なんか不思議。
 今日は、「カルメン」の時の歌手の方が、一部参加してくれました。メインのカルメン役は東京の人なので本番の前日しか来ませんが、ほかの2人は仙台在住なので、何回も来てくれるそうです。お一人は、カルメンの代わりを歌ってくれましたし。このお二人、プロフィール写真ではいかにも「オペラ歌手」という華やかな感じがしていたのですが、今日は普通の格好でやってきたので、その辺のお姉さん、といった感じでした。指揮者が面白いことを言ったらゲラゲラ笑いだして、それにすっかりハマってしまって歌えなくなったりしてましたね。なんか、とても楽しいお二人でした。
 やはり、実際に歌手の方が入ると、オケの合わせ方が微妙に変わってきますから大変ですね。「ハバネラ」などはフルートがピッタリ寄り添っていますからね。でも、写真を撮るのに熱中していたら、そこで丸々落ちてしまいましたね。だれも気が付かなかったようですが。
 次の「白鳥の湖」は、私は降り番なのですが、今日と明日は別の演奏会でその担当がお休み、私は1番の代吹きをやらなければなくなりました。そのことはだいぶ前に分かっていたので、十分に練習していたつもりなのですが、実際の合奏になるといろいろまずいところが出てきましたね。本当に難しくて、みっちりやっていたところは案外何とかなったのですが、ちょっと油断してそれほどさらってなかったところがダメでしたね。これは、明日リベンジです。しかし、丸6時間吹きっぱなしというのは、さすがに疲れるものです。
Aventure Number : 2415 date : 2015/3/28


今日の禁断 コーラ


 指揮練は無事に終わりました。いつも笑いが絶えない、とても楽しい練習でしたね。中でも最後の「13」は最高に笑えましたね。何のことか、とお思いでしょうが、「カルメン」の「衛兵の交代」で途中から返すときに、マエストロが練習番号を使って「『13』から」とおっしゃったのですよね。でも、パート譜には小節番号しか書いてないので、ちょっと「どこ?」という空気になりましたが、ちょうど区切りのいいところがすぐにわかったので、みんな迷いもなくそこから始められました。そうしたら、誰かが「そこ、『B』じゃないですか?」と言い出しました。マエストロもそれを認めて「ちょっと隙間の空いた『B』ね」ということで、みんなで大笑いです。
 あとで、その「Bでしょ?」といった人がネットに画像を載せていましたが、それは手書きで「B」でしたから、確かに「13」に見えてしまいましたね。私の手元にも、それと同じ楽譜をこっそり作ってもらったものがあるので、よくわかります。
 でも、これは日譜のスコアのコピー(ページ数も同じ)なのですが、そのオリジナルにはそんな記号はないんですよね。
 つまり、この手書きの「B」を入れたのと同じコピーを、マエストロが使っていた、ということですから、なんという偶然としか言いようがありません。
 そこでソリストさんたちと「カルタ」を練習しているときに、マエストロとソリストの楽譜が違っていることが分かりました。マエストロはドーヴァー版でこちら。
 ソリストが使っていたのはシャーマー版だということですが、どうやらそれはアルコア版と同じになっているようで、これがアルコア版です。
 フラスキータ(上段)とメルセデス(下段)が完全に入れ替わっていますね。あとでドーヴァー版をよく見てみたら、とても不思議なことに、このような一人だけで歌うところと、二人一緒に歌うところとでは、パートが完全に上下逆になっているのですよ。つまり、デュエットで上のパートを歌っていたフラスキータが、ソロになると突然低い方のパートに変わっているのですね。シャーマー版ではそこが直っていたのでしょうし、歌う方でもその方が自然ですからそのまま歌っていたんですね。もちろん、アルコア版もそういう「正しい」形になっています。結果的に、このソリストが取った形で本番も歌うことに決まったようなのですが、そうなるとちょっとした問題が出てくることになりました。プログラムに載せる歌詞対訳には、ギロー版のCDについてきたものを使っているので、その配役が「間違って」いるのですよ。まあ、まずいないとは思いますが、これを見ながら聴いていて、おかしいなと思う人がいないとも限りません。そこで、その部分の配役を直してもらうことにしました。
 しかし、なぜか、「アルコア版に準拠」しているはずの音友の対訳本が、しっかりギロー版の配役になっているのですよね。これは不思議、というか、今まで気づいた人は誰もいなかったのでしょうか。さらに、アルコア版で録音したはずのラトル盤のCDの対訳でも、やはりギロー版になっているのですよね。それだったら別にうちのプログラムを直す必要もなかったような気もしますが、もしかしたらこれが日本で最初の「正しい」対訳になってたりして。
 ところで、日曜日はお昼が間に入るので、当然お昼ご飯をそこで食べることになるのですが、私は急いで家を出てすっかり昼ご飯を買うのを忘れてしまいました。そこで、みんなが芝生の周りでのんびり食べているのを尻目に、外に出てコンビニに行こうと思って歩き出しました。確か、ちょっと遠いけど道沿いにセブンがあったはずですから。
 しかし、どうやらそのセブンはつぶれてなくなっていたようでした。その先は行けども行けどもコンビニなんかありません。とうとう、桜ヶ丘の生協まで来てしまいましたよ。帰りも歩いてきたので、ホールに着いた時にはもうチューニングが始まっていました。
Aventure Number : 2416 date : 2015/3/30


今日の禁断 トヨタ


 いよいよ4月に入りました。4月1日です。ニューフィルのスプリングコンサートも、本番まであと3週間ちょっととなってしまいましたね。きのうはもうコンサート前では最後となる分奏の日でした。普通だと木管だけで集まってパート間の細かいところの調整、みたいなことをやるのでしょうが、いつも演奏会後の反省では「管楽器全体の分奏を1回はやってほしかった」という希望が出されますので、急遽そういう形でやることになりました。その前まではきちんとトレーナーをお呼びするなどのスケジュールが決まっていましたからね。ですから、会場も前もって金管分奏のためにとってあった青文の練習室を使うことになりました。これは私にとってはラッキー、木管のいつもの会場だと、後半に出番がなくなってしまうので終わるまで待っていなければいけないところでしたから。
 そんなわけで、久しぶりの管分奏、なかなか新鮮なチェックポイントが見つかったりと、実のある練習となりました。
 今回のコンサートはいつもとはちょっと内容が違っているので、多分お客さんはたくさん入るだろうな、という予感はありました。というか、逆に集客を期待してこういうプログラムにした、というところもありますから、入ってもらわなければ困ります。思った通り、チケットの売れ行きは好調のようですね。この間の指揮者練習の時にメンバーそれぞれが売った(渡した)枚数をチェックしていましたが、みんないつもより明らかに多めのようでした。さらに、プレイガイドの売れ方がちょっとすごいことになっている、というのですよ。実は、私が担当している、演奏会場である県民会館からは、「チケットが残り1枚になってしまったので、追加してほしい」という連絡があって、先週末に追加分を置いてきたところなんですよね。いつもなら30枚(大人)預けても売れるのはせいぜい15枚程度、という感じですが、今回は15枚追加したので、うまくいけばいつもの3倍は売れるのではないか、ということになりますよ。
 これは、単に県民会館だけのことだと思っていたのですが、さっきの売れ行き調査の時に他のプレイガイドでもやはり追加があったということが分かりました。これは明らかに尋常ではない売れ方です。もしかしたら、さらに追加する必要が出てくるかもしれませんね。
 しかし、そんな好調な売れ具合に喜んでばかりもいられません。このまま行ったら、ひょっとして県民会館の収容人数である1590人を超えてしまうことがあるかもしれません。実際、過去にはなんと1877人ものお客さんがいらっしゃったという実績があることが、ニューフィルの歴史をひもとくとわかります。確か、この頃は座席数が今よりも200ぐらい多かったはずですが、それでもこの時のパニックぶりは、大変なものだったようです。さるお客さんに聞いた話では、休憩時間にトイレに行こうと思って席を立ったら、戻ってきた時にはもうそこは別の人が座ってたそうですからね。つまり、このぐらいの人が入ると、おちおちトイレに行くこともできず、「白鳥の湖」を聴いている間はずっと我慢をしていなければならなくなってしまいます。下手したら、座席が「湖」になってしまうかもしれません。それよりも、そういう状況は消防署が黙っていませんから、もし立ち見のお客さんがいるような中でコンサートを敢行したりしたら、次からはもう県民会館は貸してもらえなくなってしまうかもしれません。これは別のもっと小さなホールでの話ですが、完全に席が埋まって立ち見が出てきた時に、「消防法の規定により、お立ちになっているお客様にはロビーに出ていただきます」という場内アナウンスがあったと思ったら、係員が出てきて通路にいる人たちは強制的に外に連行されてしまいましたからね。
 そんな状況ですので、今度のコンサートでは限りなく県民会館のキャパシティをオーバーするという予測データが揃ってしまいました。となると、取るべき道は一つ、もっと広い会場に変更することです。幸い、キャパが2710席という仙台サンプラザが奇跡的に空いていたので、急遽そちらに変更することになりました。
 もうすでに、チラシやポスターも変更後のものが出来上がっています。お間違えの無いように会場にいらしてください。繰り返します。4月1日です。
Aventure Number : 2417 date : 2015/4/1


今日の禁断 マンダリン


 きのうの「禁断」は、お分かりのように「エイプリル・フール」ネタでした。あまりこういうことはやらないのですが、なにか「降りてくる」ものがあったものですから。ですから、当然あそこに書いたことは真っ赤なウソですので、間違ってもサンプラザなんかには行かないでくださいね。
 そして、これも異例ですが、2日連続の「禁断」です。ぜひとも今日書いておきたかったもので。それは、来年春の定期演奏会、つまり、次の次の演奏会の指揮者が篠崎靖男さんに決まったというニュースです。
 普通の指揮者でしたら、別になんということはないのですが、今回は特別。なんたって、16年越しのラブコールが成就したんですからね。そんな前に篠崎さんがニューフィルにいらっしゃったのは、たまたま先に決まっていたチェロのソリストの知り合いだったから、というだけでした。当然誰も知りません。写真を見るとまるで仁王様みたいな顔ですから、どんだけおっかない人なのかと、ビクビクでした。
 でも、いざご本人が現れると、なんともあったか〜い雰囲気で、とっても楽しい練習が始まりましたよ。終わってからの宴会も楽しかったですね。
 ちょうど演奏会のためのリハーサルが繰り返されている間を縫って、篠崎さんはフィンランドにシベリウス国際指揮者コンクールを受けにいってました。そして見事第2位を獲得されました。まさにニューフィルとの練習の間に、篠崎さんはワンランク上がってしまったんです。その時の審査員だったサロネンに認められて、当時サロネンが音楽監督だったLAフィルの副指揮者に就任しますが、その間になんと本番の指揮者の代役で定期演奏会で指揮をする、なんという大チャンスもつかんでしまいます。新装なったLAフィルの本拠地、ウォルト・ディズニー・コンサートホールでも完成早々コンサートを指揮なさいました。そんな折々の出来事を、篠崎さんは逐一私を通してニューフィルのみんなに伝えてくれていたのですよ。
 こんな感じで、毎年の「年賀状メール」も、ずっと続いて送られてきます。今まで色々な指揮者とご一緒させていただきましたが、こんなに一介のアマオケに気を使ってくれる指揮者の方なんて、いませんでしたよ。もちろんお世辞でしょうが、ことあるごとに「ニューフィルさんとのコンサートは忘れられません。ぜひもう一度一緒に音楽をしたいですね」と言ってもくれていましたしね。
 ですから、それを真に受けてまたニューフィルに来てもらいたいな、と思っているうちに、篠崎さんはどんどんステップアップして行ってしまいました。なんせ、本拠地をロンドンに移されてしまったので、おいそれと仙台のアマチュアが呼べるような指揮者ではなくなってしまったのですね。
 しかし、最近お子さんのことを考えて日本に家を手に入れたということを聞いて、少しは望みが出てきたかな、と思うようになりました。でも、前回は別の指揮者がもう当然という空気だったのでボツ、今回も、やっぱりお忙しそうな気がして私はエントリーしませんでした。指揮者の候補者を決める会議で、各パートからの希望を取りまとめても篠崎さんの名前はありませんでしたね。もうみんな忘れてしまっているのでしょう。と思ったら、出席出来なかったパートからのメールが団長のところに届いていて、そこには篠崎さんの名前があったのですね。それでその場にいた委員たちでほかの候補者も交えて決を取ったら、篠崎さんがトップになってしまいました。ですから、当然最初に交渉にあたることになったのですよ。それで、まず私が連絡を取ってみる、ということになったのですが、私は実現の可能性はないだろうと思っていました。あれだけ世界中で活躍されているのですから、気持ちはあっても時間を取ることはできないはずですからね。
 ところが、私が「お忙しいことは重々承知の上で・・・」とメールを送ったら、翌日にはもう返事が届きました。そこには「嬉しいメールありがとうございました」という書き出しで、ちゃんとご都合のいい日程まで書き込んでありましたよ。こちらこそ、うれしくてたまりませんでした。ただ、その時点ではまだ会場の確保が出来ていませんでした。1年前の月初めでないと、申し込めないんですよね。祈るような気持ちでその結果を待っていたら、夕べ団長から「無事会場が取れました」という連絡が入りました。これで決定です。篠崎さんが指揮をする仙台ニューフィルの第61回定期演奏会は、2016年4月24日(日)、東京エレクトロンホール宮城で開催されます。
Aventure Number : 2418 date : 2015/4/2


今日の禁断 サントリー


 「オランジーナ」の後継品として「レモンジーナ」というのが出た、というのを聴いたときにはびっくりしましたね。いったいこのネーミングはなんなんでしょう。「オレンジ」だから「オレンジーナ」という語尾変化になるのはわかりますが、「レモン」から「レモンジーナ」って、変じゃないですか?単純に語尾を変化させれば「レモニーナ」になるのではないでしょうか。なんたって、「オランジーナ」こそは本家でのきちんとした名前ですが、「レモンジーナ」の方は日本で開発されたものなのでしょうから、こんないい加減な名前になってしまったのでしょう。
 こんなネーミングから思い出されるのは、ひところ日本中でほとんど流行語といっても構わないほどの使われ方をした「アベノミクス」という、あの薄汚い言葉です。元ネタは「レーガン」+「エコノミクス」、正確には「レーガン」と「ノミクス」のそれぞれの単語の最後と最初に共通している「n」という文字でつなげて一つの単語にしたという由緒正しいものなのですが、「アベ」の最後の文字は「e」ですから、本来は全くつながりようがありません。このように、本来つながらないものをさもつながってみせるという、いわば「詭弁」を弄して作られた言葉が、この「アベノミクス」なのですよ。そんな「詭弁」の末に作られたのが、やはり「レモンジーナ」だと言えば、この言葉の胡散臭さがはっきりすることでしょう。
 さらに、この製品は、出荷数に生産数が追いつかなくなってしまったために、一時出荷を停止した、というようなニュースが伝わってきました。まあ、CM的にはかなり盛り上がっていたようなので、やはりそのぐらいのすごい売上があったのでしょうかね。でも、それはどうやら単に「出荷数」が多かっただけで、売り上げがそんなにあったわけではなかったそうなのですね。現に、近くのスーパーに行ってみたら、朝のうちは売り場の棚はほとんど空っぽになっていましたが、夕方にもう1回行ってみたら品物が増えていましたからね。メーカーも販売店も、さも品薄になってしまったかのような噂を上手に利用して、巧みに消費者の購入意欲をそそっていたのでしょう。
 私も、そんな風に煽られた一人。3本も買ってしまいましたが、はっきり言って「オランジーナ」のような魅力のある味ではありませんでした。こんな策を弄さなければ、到底多くの人に買われることはないでしょう。それというのも「アベノミクス」にも通じる欺瞞的な「レモンジーナ」という名前をこの商品に付けたせいなのでは、というのは考えすぎでしょうか。
 そういえば、そのスーパーではもうタケノコが売られていました。いよいよ季節到来ですね。職場のタケノコは今年はどうなのかは全くわかりませんが、立ち枯れしている竹だけは除いておきたいと、整理を進めているところです。そのことを書いただいぶ前の「禁断」の写真では、その枯れた竹を切ったものがこんなに積まれていました。
 それを、最近までにこれぐらいになるまでに処分しました。
 それだけの量の竹が、最終的にはこのぐらいのものに変わってしまいました。
 このぐらいにすれば、処分も楽ですね。
Aventure Number : 2419 date : 2015/4/4


今日の禁断 ナチュラル


 きのうの皆既月食、東京あたりでは見えなかったそうですね。どうやら仙台とか北海道だけで全部見ることが出来たようで、そんなんだったら、私のへたくそな写真でも少しは価値が出てくるのではないか、と、アップすることにしました。
 なんせ、自宅のベランダの真正面で見えましたから、たまに外に出て写真を撮っていればいいのですから、楽なもんです。ただ、月食が始まる時間になっても結構雲が厚くて、なかなか月全体の姿が見えないな、下の方に雲がかかってるな、と思っていたら、それが実は月食だったことに気が付いたのはちょっと間抜け。
 ですから、撮り始めた時点でもうこのぐらい欠けていました。いちおう200oの望遠を使いましたが、今まで月なんか撮ったことがないので、なかなかはっきりした画像が撮れなかったのですが、結局マニュアルで感度を落として何とかこんな感じになりました。


 このあたりになるとほとんどバルブに近くなるので三脚が必要になってきました。でも、うちにあるのはちゃちなやつで、シャッターを押しただけでブレてしまいます。これだけ、やっとまともに撮れました。
 下から欠けてきたので、出てくるときも下からかと思っていたら、左側から明るくなってきましたね。
 結局、終わりごろには雲はすっかりなくなって、きれいな月が撮れましたよ。
 そして今日は、盛岡までモーツァルトの「レクイエム」を聴きに行ってきました。メインの合唱が盛岡バッハ・カンタータ・フェラインですが、そこの代表の方(東北大混声のOB)とこの間の「バチカン・レクイエム」とかその前のヴェルディで知り合いになって、チケットをいただいたものですから。
 会場は、盛岡市民文化センターという、盛岡駅から歩いてすぐのところに割と最近できたホールです。山形交響楽団がずっと続けてきたモーツァルトの交響曲全曲の演奏会の最後として山形で演奏された「レクイエム」を、その時の合唱団の指揮者と同じ方が指揮者を務めているこの盛岡の合唱団が加わって盛岡で演奏する、というもののようです。
 その前に、「ジュピター」がオーケストラだけで演奏されました。このシリーズでは指揮者の徹底したピリオド・アプローチが実践されていて、金管とティンパニがピリオド楽器、弦楽器もガット弦にノン・ビブラートというやりかたです。正直、弦の人数も少なく(8.8.6.5.3)あまり響かないホールの上にそのようなストレスの多い奏法ですから、ちょっと指揮者の方向性がいまいちつかめなくて退屈してしまいました。
 しかし、「レクイエム」で合唱が入ってきたときには、もう「腰が抜ける」ぐらいの衝撃を味わってしまいましたよ。なんというスケール感。ただ人数が多いだけではなく、ピッチもしっかりコントロールされていますから、人数以上のものすごいエネルギーが伝わってきます。それがそのまんま見事なピアニシモまで表情を変えられるのですから、たまりません。なんか、とんでもないものを聴いてしまったな、という感じです。「Lacrimosa」での「Huic ergo parce Deus」のピアノなどは、涙が出てくるほどの美しさです。
 日ごろよく聴いている、コンクールで全国金賞、というような合唱団とは全然違うベクトルを持ったこの合唱団が放つエネルギーには、圧倒されっぱなしの1時間でした。ただ、その合唱に対して、このオーケストラの方向性が全くかみ合わなかったというのも、痛感されてしまいました。かたくなにピリオドの様式を貫いていたら、このせっかくの合唱の魅力が半減してしまいます。
 それと、プログラム・ノーツには痛恨の誤記が。その前にきちんと「ジュスマイヤーはアイブラーの編曲を破棄」と書いておきながら、そのあとの解説ではしっかり「オーケストレーション:アイブラー」となっているのですからね。
Aventure Number : 2420 date : 2015/4/5

15/4/8-15/5/14