今日の禁断 |
フィルハーモニー |
おとといの「N響アワー」・・・ではなくて、「クラシック音楽館」ですか、そこで、待望のオルフの「カトゥリ・カルミナ」と「カルミナ・ブラーナ」が放送されていましたね。「待望の」というのは、こういう曲をテレビでやるというのは非常に珍しいことだからなのです。特に「カトゥリ・カルミナ」の方は、CDは何種類か持っていますが、いまだかつて動く映像で見たことがありませんから、本当に楽しみでした。
やはり、音だけで聴くよりも映像の方が何倍もインパクトがありました。なんと言っても、面白いのはその楽器編成です。スタインウェイのD型を4台扇状に並べて、その後ろに打楽器奏者が10人以上控えているのですから、これは見ものですよ。楽器はそれだけですから、合唱は木管が座るあたりまで前に出てきて歌います。もっと後ろにはベンチもあるのですが、それは後半の「カルミナ・ブラーナ」でフル・オーケストラが入った時に座るためのものなのでしょう。実際、この作品では合唱は歌いっぱなしですから、ベンチなど必要ありませんし。
以前から、この「カトゥリ」は、「カルミナ」とよく似た作品だという印象がありましたが、こうやって改めて聴いてみると、ほんとにアイディアは全く同じですね。というか、オルフという作曲家は、かなり限られた素材しか使っていないのではないか、という気がしてきます。もっと言えば、アイディアが枯渇している、と。合唱団のレパートリーとしてはかなりあちこちでそれなりの作品が歌われているようですが、オーケストラに関しては「カルミナ」だけが突出して人気があるというまさに「一発屋」ですね。一応もう一つの作品「アフロディーテの勝利」と合わせて「トリオンフィ」とか言ってますが、本当は「カトゥリ」などはすでに自己再生産の結果だったのでは、などと思ってしまいます。
しかし、大半の人たちは、そんな珍しい作品を実地に味わう、というよりは、もっと別のことについての好奇心を満たすためにこのテレビのオンエアを見ていたのではないでしょうか。それは、この中で歌われている歌詞についての好奇心です。一体どんな歌詞かというのは、N響の定期会員に配られるパンフレットにその対訳が載っているのですが、それがこちらから見ることが出来ます。39ページあたりに、たくさん「mentula」という単語が出てきます。「O
tua mentula, mentula, mentula, mentula.」といった感じですね。これはラテン語で、「tua」は二人称代名詞ですから、「あなたのmentula,
mentula....」ということになるのでしょう。まあ、このパンフレットでは、なんか、かわいらしく訳しているようですね。実は、これが、テレビでの字幕ではどのように訳されるか、というのを確かめるためにこれを見ていた、という人が、おそらく大部分ではなかったか、と思えるのですね。そんな興味がなければ、誰がこんな退屈な作品なんか聴くものですか。
そして、待ちに待ったスーパーが出ました。
「なに?メントゥラって?」と、だれしもが思ったことでしょうね。うまく逃げたものです。
しかし、この合唱団は、もう終始楽譜にかじりつきで、ひたすら早口言葉と戦っていた、という感じでしたね。途中で入る笑い声の、なんとわざとらしいこと。一応プロの合唱団なのでしょうが、これだったら今のアマチュアの方がもっときっちりとした「合唱」を聴かせてくれるのではないか、などと不遜なことを考えていました。
でも、後半の「カルミナ」になったら、エキストラが少し増えたのでしょうか、見違えるように表情豊かな合唱に変わっていましたね。テノールのソリストが、最初に椅子から飛び上がって歌い始めた、ってのがいいですね。ニューフィルで演奏した時のテノールも、歌う前から役になりきってましたっけ。 |
aventure number : 2243 |
date : 2014/4/15 |
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