今日の禁断 |
シンコー |
今日は私の誕生日。Facebookのタイムラインには暖かいお祝いの言葉が並んでいました。本当にありがとうございます。珍しいことに、その日がちょうどニューフィルの練習日と重なったものですから、あちこちで直接お祝いを言ってくれたり、中にはわざわざプレゼントまで用意して下さる人まで。もっと凄いのは、箱いっぱいにクラッカーを用意して、サプライズで一斉に鳴らそうと企んでいた人がいたことです。結局それは実現しなかったので、私が自分でクラッカーを鳴らして、盛り上げてやりましたがね。まあ、なんにしても、そんな風に気にかけてもらえるのはうれしいことです。
いくつになっても、知らないことは世の中にたくさんあることにも、気付かされます。新聞の書評で、なんだかすごく面白そうなミステリーが紹介されていたので、その、かなり昔に出版された本を読んでみることにしたのですが、全然面白くありません。なんか、展開がもたもたしていて、ミステリーに必要な緊張感がまるでないのですね。文章も、なんとなく切れがありません。それでも、せっかく読み始めたのだからと、とにかく我慢して最後まで読んでみたら、そこには、今までのつまらなさを根底から覆すものすごい仕掛けが施されていたのですよ。これには驚きました。つまらないのには、それなりのわけがきちんとあったのですが、それは信じられないほどのすごさなのですからね。もちろん、これは作者が「決して他人には教えないでください」と最初に書いているので、教えるわけにはいきません。
楽譜に対する認識がガラリと変わってしまうようなこともありました。今やっている「展覧会の絵」は、昔買ったBoosey
& Hawks版が最も権威のあるものですが、他の人は手に入りやすいEulenburg版の日本語版を持っていたりします。この出版社はなんとも胡散臭いというイメージが、たとえばフォーレの「レクイエム」などで染み付いているものですから、こんなものは使い物にはならないだろうと思って、見てもいませんでした。ところが、ちょっとピアノ譜との違いなど、B
& Hでは不可解なところがあったので、隣の人が持っていたEulenburgを見せてもらったら、なんと、そこに書いてあるピアノ譜は、B
& Hとは違って、ちゃんとした「原典版」ではありませんか。当然、ラヴェルのスコアとは違うところがあちこちにあるのはすぐ分かります。そこで、実際に買ってみて、校訂報告などもきちんと入っているのに感激しているところです。これをもっと早く入手しておけば、かなりの疑問が解けていたのに、と、今さらながら残念に思っているところです。しかも、このスコアでは、ラヴェル版の決定的な間違いがしっかり直されています。確かに、そこはラヴェル版以外の編曲では正しい音になっているのに、ラヴェル版の録音で直されているものは、今のところ見つけられていません。これは結構すごいこと、でも、田中さんもおそらく間違ったまま演奏させるのでしょうね。
いずれにしても、私のB &
H版は、綴じがボロボロになってページがバラバラですから、使い物にはなりません。
残念な楽譜に出会うこともあります。楽器屋さんで「フルートで吹くジャズ」という、いかにも初心者向けの曲集があったのですが、その中にチック・コリアの「スペイン」が入っていました。見てみると、なんだかかなり忠実にコピーしてあるみたいです。実は、この曲はいつかはフルートパートを完コピして吹いてみたいと思っているのですが、いまだに果たせてません。もしかしたら、これでかなり近いものが吹けるのでは、という気がしました。
家へ帰ってその楽譜を吹いてみると、確かに「スペイン」そのものです。複雑なリズムも、きちんと取れてます。でも、音は違っていないのになんだか簡単すぎます。こんなにすんなり吹けるなんて、ちょっと拍子抜け・・・と思ってオリジナルを聴いてみたら、なんと、この楽譜はキーを5度下げて採譜してあることが分かりました。だから簡単だったんですね。というか、編曲者の名前も、オリジナルのキーも書いてないような楽譜だという時点で、ダメなものであることに気づくべきでした。
|
aventure number : 2201 |
date : 2014/1/21 |
|