0201(03/8/3)-0220(03/9/7)

今日の禁断

 夏休みに入って最も夏らしい日曜日となりました。こんな日には、子供を連れて海やプールに出かけるというのが、正しいお父さんお母さんの過ごし方なのでしょうが、ニューフィルの団員になってしまった人には、そのような楽しい家庭生活というものはちょっと犠牲にしていただかなければならないのでしょう。事実、「今日は瀬尾さんがニューフィルと初めて一緒に練習する、歴史的な日なのだ」という極めて説得力に富む夫の主張も、日々の暮らしに埋没した愚かな妻には通じるはずもありません。
 そんな後ろ髪を引かれる思いで向かったのは、岩沼市民会館でした。思いのほか道がすいていたので、1時間もかからないで着いてしまったのですが、私には、会場へ行く前に寄っていくところがあります。それは、練習のアフターで(ちょっと嫌な言い方)行くことになっているお寿司屋さんの場所の確認です。地図までアップしてあるのに、その場になってアタフタするのはみっともないので、まず下見をしておくのが、幹事のつとめです。なかなかきれいなお店で、一安心。
 市民会館に着いたら、シューマンの1楽章を丁寧にやっています。結局、1時間かけてその楽章だけで休憩となりました。残りの1時間であとの楽章を全部やるのでしょう。そのあとが、いよいよ瀬尾さんの出番です。もう今頃は瀬尾さんが着くはずだと言うことで、シューマン降り番の私は駐車場を見渡して、車のチェックです。普通、初めていらっしゃる指揮者とかソリストは、何らかの形で空港とか駅にお出迎えなどをするものですが、瀬尾さんの場合はご自分で車を運転して来るという、前代未聞のケースです。しかも、ニューフィル内で知っている人は私しかいないのですから、最初のご対面は、どうしても私のつとめです。そうこうしているうちに、奥さんを助手席に乗せた瀬尾さんの車が到着しました。ナンバープレートには「北九州」の文字が。ご実家の北九州から、八ヶ岳のコンサートを経由して、はるばる岩沼まで運転してきたというわけです。サングラス姿の瀬尾さんというのも、初めて見てしまいましたよ。すぐさま、良く冷房の効いた楽屋にご案内です。
 シューマンの練習は、やはり全ての楽章をやったので、予定よりも少し遅れて休憩となりました。そこで、団長、コンマス、技術委員長、事務局長という、ニューフィルのVIPを引き連れて、瀬尾さんとのご対面です。これで、ひとまず私の役目は一段落、前回同様、休み時間がまだ終わっていないのに、指揮台にスタンバイしている森口さんを横目に、私にとっては初めて楽器の音出しです。今までちょっと落ち着きのない行動をしていたので、なかなか楽器を演奏するというモードにならなくて困ってしまいます。あと5分もすれば、瀬尾さんがステージに現れて、いよいよハチャトゥリアンの初合わせが始まるというのに。(次回へ続く)
aventure number : 0201 date : 2003/8/3


今日の禁断 承転結

 チューニングも終わり、いよいよ、瀬尾さんの登場です。団長に導かれて指揮者の脇へ。「瀬尾和紀先生です」という、正しいご紹介、指揮者の森口さんも、「先生はどんなテンポで・・」とか、ちょっと他人行儀な言い方。もしかしたら、案外シャイな方なのかも知れませんね。とりあえず、全曲通してみると言うことで、いよいよハチャトゥリアンの初合わせのスタートです。実際、始まってみると、瀬尾さんは我々の方を向いて吹いているのですが、肝心のフルートの音は殆ど聞こえてきません。しかし、オケの合間合間に聞こえてくる輝かしいパッセージは、同じもの(これを果たして「同じ」と言ってしまって良いのかと、誰しも思うことでしょうが)を吹いたことがある私には、全てが驚きの連続です。瀬尾さんが吹けばこれほどまでに美しく、華麗なものになるのですね。しかし、ただ聞き惚れているわけにはいきません。というか、きちんと一つながりのフレーズとして聴くには、あまりに距離が遠いのと周りがうるさいのとで、オケとソリストはかなりずれている様子。そこで頼りにするのが指揮者なのですが、ソリストの細かい揺れを完全に伝えるほどの阿吽の呼吸など、もちろん初対面では持っているはずもありません。実際、オケの中のフルート(私)とソロフルートとの絡みも、そうとうずれているようです。この辺を、録音しておいたMDでチェックしてみると、基本的に瀬尾さんはスラスラ行きたいのに、オケがもたついているのがはっきり分かります。3楽章では、逆にソリストの呼吸を完全に無視してオケが突っ走っていましたし。
 しかし、圧倒的なテクニックの冴えを見せて、瀬尾さんは軽々と全曲を吹き終えました。終わった瞬間森口さんは、「吹き詰めなんですね」と心底感服した様子。少し休憩を取って、細かい返しとなりました。先ほどのズレは、やはりかなりのもの、結局、「私は間に入って邪魔はしませんから、お互いに聴きあって合わせて下さい」という、私にしてみればまるで夢のような提案となるのでした。もちろん、こんな嬉しいことはありませんが、実際にはかなり苦労しそうな気配は濃厚です。これはもう、練習あるのみですね。
 予想通り、「もうこれで終わりたくなった」という森口さんの言葉を受けて、次の「はげ山」の前に予定されていた1時間の休憩は大幅に短縮され、練習は1時間近く早く終わってしまいました。これで、少しは早く会食を始めることが出来ることでしょう。
 いよいよ、その会場「蓑寿司岩沼分店」へ向けて、出発です。もちろん、出番が終わって、一旦お帰りになった瀬尾さんにも時間は連絡済み、現地集合と言うことです。着いたのは我々の方が先、駐車場も上手い具合に空いていて、一番入れやすそうなところを瀬尾さんのために準備できるほどの余裕です。程なくして瀬尾さんが到着、お店の前で、まさにVIPのお出迎え、といったシチュエーションを作ってしまいました。
 お店に入ると、ちゃんと一部屋完全に独立したお座敷が、我々のために準備されていました。参加者は全部で8人、男性4人、女性4人という、まさに理想的な合コンのセッティング、そんな男女がひとときの歓楽に耽るのには、これほど相応しい場所もないのではないでしょうか。型どおり、自己紹介をし合ったあとは、お互いの親睦を深めるべく楽しい語らいが・・・もちろん「合コン」は冗談ですが、特に、こういう場を盛り上げるのがとても上手な瀬尾さんの奥さんのリードで、会話がとぎれることはなく(8人というのは、みんなが同じ話の輪に入れるちょうど良い人数ですね)夜は更けていきます。料理のお寿司とお刺身は、絶品でした。もちろん瀬尾さんたちにも大好評、追加でなにか頼む必要もないほど、充実したラインナップでした。頃合いを見計らって、「ニューフィルはいかがでしたか?」という、核心に触れる質問をすることも、忘れません。それに対して瀬尾さんは、「アマチュアのことはよく知らないのですが、とてもアマオケの音には聞こえませんでした。アインザッツはきちんと揃っているし、テンポが乱れないのも良かったです」と、かなり嬉しいことをおっしゃってくれました。さらに、「ヘタなプロオケよりよっぽど良いです。ジュネーヴ国際コンクールの伴奏をしたスイス・ロマンドはひどかった」と、あのスイス・ロマンドよりもニューフィルの方が良いみたいな発言まで。ある程度の外交辞令と、ビールの酔いも加わっているのでしょうが、励みにはなりますね。でも、今日になって届いたメールでも同じことを書いてられましたし、さらに「アマ・オケとの共演は、皆さんの気持ちがこちらにも伝わってくる分、とても楽しいものです。」と、まんざらではないようなので、素直に受け取っても構わないのではないでしょうか。この第一印象を壊すことのないように励むのも、もちろん必要なことですが。
 2時間半ほどの楽しい時間を過ごした後、合コン、ではない、会食はお開きとなりました。「また10月にはよろしくお願いします」と言い合って、実りの多かった今回の共演は終わりを告げたのです。ひとつ残念だったのは、話に夢中になっていて、写真を撮るのをすっかり忘れていたこと。楽しさに紛れて仕事を忘れるなんて、こんなことでは、編集長失格です。
aventure number : 0202 date : 2003/8/4


今日の禁断 タウン情報

 いよいよ明日からは仙台七夕、その前の晩の今夜は、恒例の花火大会が開かれます。しかし、何の因果か、この日が練習日とぶつかってしまいました。いつかと同じように、日々の暮らしに埋没した愚かな妻の仕打ちには、あらかじめ覚悟をしておかなければならないでしょう。
 夕方、仕事も一段落してメールをチェックしてみると、団長からメールが入っていました。それは、「企画書」の催促メール。今度の定期演奏会では、マスコミ向けに「企画書」なるものを作成して大々的に宣伝してもらおうというのが団長の作戦、そのために実際にその企画書を作るのが私のつとめでした。ただ、時期的には「お盆過ぎ」ということだったので、ぼちぼち取りかかってみようかな、ぐらいのモードでした。ところが、月刊誌あたりに送るには、もうそろそろ出来ていなければまずいタイミングだというのです。仕方がありません。急いで作ることにしましょう。もっとも、内容はすでに頭の中に出来ていましたから、あとはテキストを書き下ろすだけ、そのほかの資料も手元にあったので、それを貼り付ければ、6ページ程度の企画書など、1時間足らずで出来上がってしまいます。時間に追われて原稿を書いていた経験が、思わぬところで役に立ったというわけ、まあ、無駄な経験など世の中にはないということなのでしょう。
 そんなこともあって、ちょっと出遅れて旭ヶ丘に着いたらば、なんと駐車場が満車、待っている車が5〜6台あるではありませんか。うっかりしていましたが、花火大会にも、車をここにおいて地下鉄で出かける人がたくさんいたのですね。駅の周辺には、殆ど似合っていない浴衣姿のコがうじゃうじゃいましたっけ。おかげで、待つこと30分、何とか時間前には駐車場には入れましたが。見ると、私のあとにもニューフィルの人が乗った車がたくさん続いています。案の定、ホールは弦楽器を中心にまばらな出席者、ちょっと定時には始まりそうもありません。団長はもう来ていたので、出来たての殆ど走り書きのような企画書を見せたら、ちょっと眺めて、「うん、これでいいっちゃ」ですって。いくらなんでも、私としてはもう少し手を入れたいので、そのままというわけにはいきませんが、結局こんな感じで、あと1週間ぐらいかかるつもりでいた仕事が、見事に片づいてしまいましたよ。
 練習の方は、前半が降り番だったので、その時間に企画書の校正、これで、明日には完成品が出来上がることでしょう。
aventure number : 0203 date : 2003/8/5


今日の禁断 ボブ・サップ

 どうやら、青空の下の七夕は望めそうもないような雲行きですね。大雨こそ降らないものの、真夏には程遠い曇り空、おまけに、なんと台風まで近づいているというではありませんか。まあ、しかし人出は例年よりも多めだとか、何よりですね。この時期、野外ロック・コンサートが市内で開催されますが、それに出演するために来仙した「キンモクセイ」の伊藤君は、「ここでは2回七夕をやるんですか?」と、多くの日本人が抱いているであろう疑問を、見事にラジオの前で披露していました。だから、七夕は8月にやるのが本当なんだってば!
 実は昨日、日々の暮らしに埋没してばかりはいられない愚妻とこの七夕を見に地下鉄の駅を通ったとき、駅の構内にあるポスターをまざまざと観察してみました。というのも、今度の定期演奏会にかける団長の意気込みはとみに激しいものがあって、なんと、この地下鉄駅にポスターを張り出すといういまだかつて試みたことのなかった宣伝活動を仕掛けるというのです。今申し込んでも、すでに希望の時期の一部は埋まってしまっているというほど申込者が多いということで、団内の細かい手続きを省いて決裁をしたそうですが、それは正しいことでしょう。細かいことは聞いていませんが、1週間貼ってもらって3万円というのですから、おそらく沿線の全ての駅に貼り出されるのでしょうね。ポスターの原稿もすでに見せてもらっていますが、あの、瀬尾さんの写真を大々的にフィーチャーしたポスターが仙台中に貼られるのだと思うと、なんかワクワクしますね。
 地下鉄のポスターと同様、今回新たに始めるのが、マスコミ向けの活動です。そのために作ったのが前回書いた「企画書」です。あれからさらに練り上げた企画書は、結局8ページの構成、「かいほうげん」と同じように、両面印刷できちんと製本された美しいものに仕上がりました。もちろん、カラー印刷です。
 この完成品を団長に送ったところ、折り返し作戦の詳細が送られてきました。それによると、10社を超える在仙のマスコミに、この企画書と、「読者プレゼント」用のチケットをパックにして送りつけるということです。つまり、早々と企画書を作ったのは良いが、チケットの印刷が終わるまでは身動きが取れないという状態なのですね。まあ、それも良いでしょう。そもそも、私が何かするときには、全ての可能性を想定して準備をすることが当たり前になっています。ですから、今回の事態も十分予測の範囲内のもので、多少段取りが狂ったとしてもそれで腹を立てるなどということは全くあり得ません。善意に基づくフライングなど笑って許せるだけの心の広さが、私には備わっているのですから。
 ですから、本当に怒るのは、相手が嘘をついたときと、明らかな悪意が感じられたときだけ。その悪意も、なまじ信念を持っている場合(本当の意味での「確信犯」)には、本人が気づかない分、ちょっとやっかいですが。
aventure number : 0204 date : 2003/8/7


今日の禁断 施餓鬼

 西日本や北海道に大きな被害をもたらした台風は、私が住んでいるあたりでは、予想されたほどのものすごい「大嵐」状態にはならずに済みました。何せ、その台風に直撃された昨日というのは、私の職場の年に一度の催し物(なんか、そんなのがいっぱいあるみたいですが)、300人以上の人が集まるという大イベントが行われる日だったので、気が気ではありませんでした。結局、雨も風もそれほどではなかったため、来訪者は2割程度の落ち込みで済みました。半分以下になることを予想していたので、これは意外な数字、いかに天候が悪くとも、大切な年中行事は欠かさないというのが、善男善女というものなのでしょう。
 そんなあわただしい中、注文していたCDが届いたので、仕事も早々に片づけて無理矢理時間を作り、聴いてみました。それは、あのハチャトゥリアンのフルート協奏曲の最新録音。しかも、演奏しているのが、今をときめくカリスマフルーティスト、エマニュエル・パユですから、それほどまでに万難を排して聴きたくなるのも納得でしょう。
 そのCD、関係者の間では発売日などを巡ってさまざまな憶測が流れていたものでした。国内盤は結局1ヶ月発売が延期されたり、輸入盤も国によって発売日が違っていて、どこを経由したものが早いとか、製造国によってはCCCDではない仕様のものが手にはいるのではないかとか、曲目と演奏者が特にフルート関係者にとっては思い切り魅力的でしたから、盛り上がり方も尋常ではありません。もちろん、私がこのCDを心待ちにしていたのは、申すまでもないことでしょう。何しろ、今回の定期演奏会のメインプログラム(と言っても過言ではないでしょう)、しかもほんの1週間前には実際に瀬尾さんの演奏を聴いたばかりの、今まさに私たちが取り組んでいる曲に、人気、実力とも世界最高と言われているベルリン・フィルの首席フルート奏者が、どのような光を当てているのか、興味がわくのは当然のことです。
 CDを聴き終えた私がどのような感想を持ったのか、その一端は昨日アップした「おやぢの部屋」で窺い知ることができることでしょう。「パユってこの程度なの?」というのが正直なところ。そこで、先週録音した瀬尾さんの演奏のMDをもう一度聞き返してみましたが、音の輝き、テクニック、この曲に不可欠な躍動感など、どれをとっても瀬尾さんの方が数ポイント上回っているものばかり。しかも、瀬尾さんというのは本番間近に思い切りテンションが上がるタイプだとか。本番2ヶ月前のリハーサルでこのレベル(あ、もちろん、ソロパートが、ですが)なのですから、完成された姿はどれほどのものなのでしょうか。私たちがいま共演しようとしている方は、メジャーレーベルから数多くのCDをリリースしているサンタさんの知り合い(クリスマスフルーティスト)など及びもつかない力を持った、とんでもないフルーティストなのですよ。
aventure number : 0205 date : 2003/8/10


今日の禁断 ウィルキンソン

 毎週火曜日は、ご存じニューフィルの練習日です。もちろん、今日も、世間はお盆休みなどと言っていますが、練習は休みになることはありません。ただ、会場がいつもの旭ヶ丘ではなく、もっと中心部になるということで、前もって掲示板などで連絡を徹底するのには、抜かりはありません。しかし、何せ急な会場変更ということもあって、出席の方は芳しくないという点は、まあ仕方がないとあきらめることにしましょう。それにしても、Vnは2人、Vaは、大幅に遅刻した人が1人だけ、Vcにいたっては誰もいないというのは、あまりにも寂しすぎます。Cbが3人いたのが、救いと言えば救いでしょうか。一方の管楽器はと言うと、Fl、Hr、Tpがそれぞれ2人ずつという、何ともアンバランスな布陣です。いったいこんな編成で、何を練習しようというのでしょうか。
 ご安心下さい。実は本日は、だれ1人として楽器は持ってきてはいなかったのですよ。楽器がなくて練習できることといったら、そう、「打ち上げ」の練習しかないではありませんか。演奏会を2ヶ月後に控えて、最も重要なイベントである「打ち上げ」を滞りなく遂行するための予行演習という、いまだかつて試みたことのなかったアクションを仕掛けたのは、「か」クンでした。そのために準備した会場が、今まで実際の打ち上げでも使ったことのない「厨(くりや)」というお店(「厠(かわや)」ではありません)、もちろん、メンバーのだれ1人として訪れたことのない場所だったのですが、なぜか私には見覚えがありました。エレベーターで3階まで上ってみると、その確信は現実のものとなります。そこは、「あの人」と2度ばかりランチを食べに来たことがあるお店だったのです。昼間は店内はオープンになっていましたが、今はコーナーがカーテンで仕切られて、ちょっとしたシークレット・スペースになっているのが、ちょっとアダルトな雰囲気ですね。
 私たちは大人数ですから、中央の大テーブルに陣取ります。冷えたビールが、かわいらしいピッチャーから焼き物のグラスに注がれると、全く本番通りに、副団長の仁サンの乾杯の音頭で、いよいよ練習の開始です。みんなの息は、見事に揃っています。これだけのものが本番でも発揮できれば、「打ち上げ」の成功はもはや約束されたようなものです。ランチで食事のクオリティは知っていましたから、次々に運ばれてくる料理には大いに期待が高まります。もちろん、その期待を大幅に上回るその仕事ぶりには、出席者全員から感嘆の声が上がります。「豚トロの塩焼き」などはまさに絶品、このような素敵なお店を見つけ出した幹事の「か」クンをねぎらいつつ、練習は定刻まで盛り上がるのでした。
aventure number : 0206 date : 2003/8/12


今日の禁断 トリビア

 とてもお盆の最中とは思えない涼しい一日でした。おまけに朝から降り続く雨、いかに善男善女といっても、こんな日にわざわざお墓参りに出かける人はいないようで、各地の墓地は人影もまばらだったことでしょう。それにしても今年の夏は・・・、大量に仕入れた自販機用のドリンク類は、果たして売りさばかれることはあるのでしょうか。
 お盆に合わせるかのように(まさか)出版されたのが、音友ムック「弦楽器・管楽器のソリスト2004」です。国の内外を問わず、今のクラシック音楽シーンの移り変わりにはめまぐるしいものがありますから、「ムック」という形で最新の情報を反映した名鑑が出版されるのは、大変好ましいことです。同じシリーズでほんの少し前に出たばかりだと思っていた「指揮者とオーケストラ2002」というのですら、すでに内容的には古さを隠せないものになってしまっていますし(最近の世界のオーケストラの音楽監督を全て把握している人など、いないのではないでしょうか)。
 ここで紹介されているのは弦楽器と管楽器(+打楽器、オンド・マルトノ)のソリストたち、特に、近年ソリストとして一本立ちしている人材が多くなっている管楽器部門で、これだけまとまったデータが掲載されているというのは、大変意味のあることです。管楽器やブラスバンドの専門誌ではそれほど珍しいことではありませんが、一般的なクラシックファンを対象にした出版物でこのようにきちんと取り上げたという所に、意義を見出したいわけで(52回・・・へぇ)。しかし、中にはライターの勘違いでとんでもないコメントがあったりするのには笑えます。ベルリン・フィルの首席フルート奏者、アンドレアス・ブラウがもう定年退団しているとか。まあ、それはそれとして、さすが音友ムックと言えるのは、演奏家の取り上げかたに、きちんと実力の伴ったクラシックの演奏家という基準が貫かれていることです。ヤクザな販促誌では大々的に表紙を飾ったりすることもある、葉加瀬太郎、高嶋ちさ子、川井郁子、三村奈々恵といった、セールス的には間違いなく高い売り上げが期待されるアーティストであっても、「クラシックの演奏家」でない限り潔く切り捨てるという小気味よさが、ライトユーザーに媚びることの決してないこの出版社の「重み」となって伝わってきます。
 したがって、ここでフルートの瀬尾和紀さんが取り上げられているのは、まさに一流の演奏家としてきちんと認知されていることの証でしょう。しかも、彼の場合、「いま注目の新人ソリスト」という特別枠で1/6ページ、例えばジュリアス・ベイカーあたりの1/10ページよりも多くの字数で紹介されているのですから、その注目度は極めて高いことがうかがえます。清水信貴、森圭吾、中野富雄といった有名オケの首席奏者である実力派が選に漏れているのですから、その感はさらに強まります。
aventure number : 0207 date : 2003/8/14


今日の禁断 ゲルギエフ

 毎日大まじめに、まるで翌日のお天気が予言できるかのように振る舞っている気象予報士たちの言動がいかに欺瞞に満ちたものかは、この週末の天気を見れば明らかです。しかし、とても夏とは思えない肌寒さの中でも、定禅寺通のけやき並木の中では、大勢の蝉たちがけなげにも鳴き声を上げていましたよ。
 ロシアでは蝉は鳴いているのかどうかは知りませんが、ちょっと前に、サンクトペテルブルク建都300年記念ガラコンサートの模様が、教育テレビで放送になりました。マリインスキー劇場で行われたそのコンサートの客席には、ロシアのプーチン大統領やイギリスのブレア首相らの姿も見えたように、これは単なるコンサートではなく、政治的なイベントでもあったのです。政治といえば、さっきテレビで言っていたのは、小泉純一郎が近々ドイツを訪問して、バイロイト音楽祭を見物するということ。METが来日したときにも「サムソン」を見に行って、ドミンゴたちと記念写真を撮っていたぐらいですから、彼のオペラ好きは有名な話なのでしょうが(同時にX−ジャパンのファンだったりするので、その正体はバレています)、これもなにやらドイツ政府とバイロイト当局がからんだ政治的な思惑もあるようで、簡単に見過ごすわけにはいきません。まあ、しかし、かつてこのバイロイトがさらされた政治の荒波に比べたら、何ともちっぽけな「事件」でしかないわけで、小泉某には大いに「感動」してきていただきましょう。それよりも、チケットを求めて何年も手紙を出し続けているヴァーグナーファンにとっては、たかが一国の首相であるというだけですんなり入場券が手にはいるということの方が、大問題なわけでして。
 ロシアの話ですが、そのテレビは教育ということもあって(音が悪くて)ビデオも撮らないで片手間に見ていました。キーロフのオケは、CDに録音するときほどは熱が入っていないと見えて、かなりガタガタな演奏をしていましたし。しかし、劇場のセットをそのまま使って「オネーギン」や「スペード」の一部分を演奏したあと、緞帳の前で、緑の(青、だったかも知れません)タイトなドレスに身を包んだ一人のソプラノ歌手が歌い始めたとき、それまでのダレた空気が一変したのを感じました。それはオペラではなく、グリエールの「オーケストラと歌手のための協奏曲」という、初めて聴く曲だったのですが、ヴォカリーズで歌っていたそのソプラノの凄かったこと。まるで金管楽器のように芯の通った声、心のツボを直接刺激するような歌いまわし、完璧なソルフェージュ。もちろん、その歌手の名前などそれまでに聞いたことはありませんから、すぐ忘れてしまいましたが、ロシアにはとてつもない才能がいるのだなと、心底感じ入ってしまいました。
 そんなことを、何かの折に「おやぢ」担当の渋谷さんに話したら、どうしてもその名前を教えてくれというので、記憶を頼りにNHKの番組表を検索して、アンナ・ネトレプコという名前を探し当てました。それをネタに先方がまとめたのが、今日の「おやぢの部屋」です。やはり、大変な人だったんですね。
aventure number : 0208 date : 2003/8/16


今日の禁断 エロイカ

 小泉純一郎は、バイロイトで「タンホイザー」を観たのだそうですね。日程の点でそれしかなかったのでしょうが、プレス的にはこれは妥当な選曲だったようです。ギリギリこの辺までは、「オペラ見物」の範疇に入りますから、その道のマニアに茶々を入れられる恐れもないわけでして。これが「パルジファル」あたりでなくて、本当に良かったですね。しかし、ヘリコプターでバイロイトに乗り込んだなんて、戦車を連ねて入場した「あのお方」よりももっとカッコよいではありませんか。
 一生バイロイトなどには縁がない庶民としては、日々の暮らしを地道に生きるしか方法はないわけですが、今日の忙しさはそんな日々には幾度とはないほどのものでした。「かいほうげん」の印刷が、土壇場になってまたもやのコピー機の不調、とりあえずは動いているのですが、いつ大事にならないとも限らないので、1枚分の印刷を残してサービスを呼んでしまったのです。それで1時間半のロス。そのほかに日程表も印刷しなければならないし、例の企画書に添えるご挨拶も、今日の練習の時にハンコを押してもらうことになっていますから、宛名を変えたものをきちんと作っておかなければなりません。それはニューフィル関係。それだけではなく、本来の仕事での発送しなければならない印刷物が、封筒に詰めてみたら数が足らないことが分かり、追加で作らなければなりませんし。そのほかに、施設のセキュリティの点検の立ち会いと、自動車保険の集金のアポも入っていますよ。実は、午後には外出する予定もあったので、まさに仕事は分刻み、最悪「かいほうげん」は出席した団員の分だけ作って、あとは次の練習に回そうとまで考えていました。
 しかし、その外出の予定が、先方の都合で突如キャンセル、時間の余裕は出来たのですが、なんか緊張が抜けてしまって、そこからは仕事(紙を折ったり、ホチキスで止めたり)の速度がグンと落ちてしまったのですから、皮肉なものです。
 やるべきことは全てやり終えて、いよいよ練習に向かいます。今日はあっチャンが休みだというので、シューマンの代吹きもしなければなりません。音出しをして、しばらく吹いていなかったシューマンを見てみようとしたら・・・なんと、他の印刷物や書類はきちんと持ってきたのに、パート譜を持ってくるのを忘れていたではありませんか。いかに、私の仕事の許容量が少ないか、分かろうというものです。「かいほうげん」に載っていたJAOのレポートの原稿と一緒に、渡された資料を見てみましたが、もし私があんな仕事をやらされたら、パート譜ではなく楽器を忘れるぐらいにパニクってしまうことでしょう。
 終わってからは、場所を変えての技術委員会。次回の岩村さんの演奏会のプログラムの話し合いです。どうやら「オーソドックス」路線がひとつ貫かれた、有名な曲が決まりそうな雰囲気が、その場を支配していたにもかかわらず、ブルックナーの5番などが候補曲になるのですから、面白いものです。
aventure number : 0209 date : 2003/8/19


今日の禁断 高見山

 22万のカウンターは、だれが踏んだのか、今となっては調べようがありません。夕べ8時頃開いたときには219996、リロードがきかない悲しさで、細工のしようがありませんし、ログもトップページへのアクセスしかたどれませんから、「禁断」や、「おやぢ」直には対応できません。ここはひとつ、マーキーが出たら常にカウンターをチェックすることを習慣にしてみて下さい。そして、そこそこ近い人はメールや掲示板でエントリーしていただければ、その中で一番キリ番に近い人に賞品が行くということになるかも知れませんよ。さすがに220014では、ちょっと遠すぎますが。次回は222222です。よろしく。
 おとといハンコをもらったのを受けて、きのう企画書を印刷、招待券などを同封した「完パケ」を作って、発送しました。そうしたら、さっそく今日(!)反応がきてしまったというのですから、驚きです。事務局の話では、それは「ぱど」という媒体。具体的に「9月の○日」に掲載したいという連絡があったそうなのです。なかなか幸先がいいですね。発送したのは全部で13通、果たして、何件が取り合ってくれることでしょう。もちろん、言うまでもないことですが、このような宣伝活動は演奏会を多くの人に知ってもらうための単なる手段に過ぎないわけで、演奏会自体が充実していなければ何にもならないのは分かり切ったことです。しかし、この分かり切ったことを理解していない人の、何と多いことでしょう。ちょっとランク的に低い所にあるメーカーなどが、「テレビCMでお馴染みのこの商品」などという言い方をすることがありますが、これなどは、そんな誤りの最たるもの。商品自体の価値とCMをやっているかどうかと言うのは全く無関係なはずなのに、そこに関連性を見いだせるかのようなこんな言い方を、お年寄りなどはよく本気にするものです。
 それが昂じると、広告というものをひとつの表現として芸術的な追求の対象に出来ると勘違いする人が現れます。というか、現実には「広告による自己表現」というものは、もはや殆ど市民権を得てしまっているのですよ。悲しいことに。なんでもそうですが、ひとつの目的を持った社会の中に埋没していると、その目的のためだけに突き進んでゆくことになり、外の社会を見渡す余裕が全くなくなってしまうものです。私が、それをはっきり確認できるのがシンクロナイズド・スイミング。まともな美意識を持った人間ならば、奇妙としか感じようがないあのような所作を、「美しいもの」として、それを日夜磨き上げている人がいるのですから。だから、今の広告のあり方がいかに本道をはずれているかという事実は、当事者には決して理解することは出来ないのです。それでも、例えば「エッセイスト」などという職業を虚構と感じることが出来れば、まだ救いはあるかも知れませんが。「エッセイ」とは、他に職業を持つ人が気軽に書くもの、それ自体を専門に書く人などあり得ないというのが、一般の人の感覚だと思うのですが、どうでしょう。
aventure number : 0210 date : 2003/8/21


今日の禁断 サラ・ブライトマン

 一月以上前、0192でCCCDについてちょっと触れましたが、それについての新たなネタを仕入れてきましたので、ちょっとご紹介を。それは、0205でも取り上げたパユの最新アルバムについてです。私が入手したのは、ワールドリリース盤として、一般の大型店で購入したもので、あそこに書いたようにCCCDです。ところが、イギリス国内で販売されているCDは、品番がそれとは違っていて、さらにCCCDではない通常盤だという噂が伝わってきました。そして、実際にネットで現物を入手した人が、「CCCDロゴがついていないから、間違いなく通常盤だ」と報告してくれたのです。ここで確認。「通常盤」いうのは、きちんとCDの企画(規格、ですね。ATOKは最近頻出した「企画書」のクセが抜けませんでした)にのっとって生産されている、このようなロゴ(CDロゴ)がついたもの。
 一方、輸入盤のCCCDには、このような「CCCDロゴ」が印刷されています。
 前にも書いたと思いますが、CCCDというのはCDの規格を大きく逸脱したものですから、「CDロゴ」をつけることは許されてはいません。ですから、輸入盤の場合、上記のどちらか一方のロゴが、印刷されているはずだ、ということになりますよね。ところが、その通常盤だとされているパユのCDには、「CDロゴ」がついていないというのです。つまり、「正規のCD」であることも表示していないのですから、CCCDであるという可能性も出てくるわけなのです。現に、某人気ソプラノのアルバムでも、イギリスローカルの商品にはCCCDロゴは印刷されてはいなくて、ジャケには下のようなシールが貼付されています。
 分かりづらいかも知れませんが、白抜きのロゴとそのしたの6行の文字が、丸い透明なシールに印刷されています。つまり、全く中身は一緒なのに、イギリス国内ではロゴはつけず、外国向けに出荷する場合にだけこんなシールを貼っているということは、ロゴの有無だけではCCCDかそうでないかは判断できないことになりません?
 しかも、そのパユの「通常盤」には、CCCDロゴはないが、CDロゴもついていないというのです。ますます怪しくなりますよね。ところが、です。ちょっと参考にしてみようと最近の別のEMIのCDを見てみたところ・・・なんと、CDロゴがないのです。家中にあるEMIの輸入盤を調べてみたら、早いものでは1998年あたりから、CDロゴのない、つまり、全く何の表示もされていないものに変わっていたのですよ。知らなかったでしょう?そうかと思うと、CAPRICCIOというレーベルなどは、CDロゴとCCCDロゴが両方とも印刷されているという、訳の分からないことになっています。もしかしたら、この会社は「CCCD」のことを、「SACD」とか「HDCD」の仲間だと思っているのかも知れませんね。全く逆の発想のものなのに。しかし、EMIほどの大会社が、これらのロゴの意味を知らないわけはありませんから、そこには何か秘められた意図があるのでしょう。少なくとも、ジャケはシールでもCDの盤面には「CCCDロゴ」が印刷されていましたから。
 しかし、実際にパユの「通常盤」があるのならば、ぜひ比べて聴いてみたいものです。
aventure number : 0211 date : 2003/8/23


今日の禁断 DN

 きのうはまさかの雷雨、外でやろうと思っていた仕事が、また出来なくなってしまいました。それで、今日は束の間の晴れ間をつかまえて、たまっていた不要物の整理です。心地よい汗をかきながら、蚊に刺されるのもものともせず、いかにも「夏」という感触を楽しみました。しかし、もはやこのあたりではトンボなども見かけます。早めの秋の訪れの中に、意地でも夏の名残を主張しようという自然界の妙味を肌で(ほんと、痒かった)味わえるのですから、なかなか得難い環境ではあります。
 今日のパート練習は、そんな自然の息吹がまだ残っている界隈で行われました。木管だけのパー練、ちょっと出席には不安があります。事実、いつもの旭ヶ丘の定刻に会場にいたのは私だけ、しばらくだだっ広い大広間で音出しをしていたら、やっとあっチャンが現れて2人になることが出来ました。そうしたら、オーボエのりえさんから、「道がわからなくなっちゃいました〜」という電話。真っ暗な中にお墓しかない道でちょっと不安になったそうです。何せ、自然の中ですから。
 そんなわけで、7時半頃には一応全パートが揃ったので、予定通りハチャトゥリアンから始めます。思った通り、パートでやることが出来るのはそんなに多くはありません。特に2楽章は、殆ど合奏がないので、最初から無視、1楽章あたりも、あのソロの長さに比べたら木管が参加している部分はほんとに少なくて、あっという間に終わってしまいました。それでも3楽章は難所が待っています。そこをきちんとやっただけでも収穫でしょう。
 後半はシューマン、私は出番がないので、スコアを見ながらキュー出しなどをしてみましょう。と、しばらくするとあっチャンの様子がおかしくなりました。楽器の調子が悪いようで、演奏をやめてしきりにキーをいじっています。演奏を止めて、聞いてみると、連結の紙がはがれてしまったのだそうです。これは私も何度か経験していますが、調整ネジがついていないタイプの楽器では紙を挟んで微妙な調整を行っているため、簡単に直すことは出来ないのです。それでも、私は多少の心得はありますから、「直してあげるよ」と大口を叩き、例によって私の楽器を貸してやって、修理を始めました。あっチャンの楽器は、カバードのオフセット、Eメカ付で、GとG#の間に連結が入っており、そこの紙がはがれたのです。しかし、私の楽器はリングのストレート、Eメカもありませんから、構造的にはかなり異なっています。そのことに気が付いたのは、GとG#だけ独立したポストに付いているので、それを先に外そうとしたとき。ところが、それだと、ネジがキーにあたって、抜くことが出来ないのです。つまり、本体の方のキーを先に外さないと、ダメだったのです。一瞬、このまま楽器を元に戻すことが出来なくなってしまうのではないかと本気で考えてしまったぐらいでしたが、あきらめることを知らない不屈の精神は、この困難な修理作業を見事完了させることに成功したのです(なんて。しかし、焦ったな〜)。
aventure number : 0212 date : 2003/8/26


今日の禁断 なかにし礼

 「タイムスリップ・グリコ」の新シリーズで、昔のシングル盤をシングルCDで復刻したものがオマケについているチョコレート、知ってますか?実は、オマケなのはチョコレートの方で、これを買う人は間違いなくCDが目当てに決まっているのですが、その現物を初めて手にすることが出来ました。6月頃に、某スーパーで大々的にディスプレイしているのを見かけて、ちょっと惹かれたものの、いずれ買おうと思っていたら、気がついたときにはもう店頭には見かけられなくなっていました。コンビニでバイトをしている愛人に聞いても「あれ、もう終わってしまいましたわよ」ということだったので、もはや、この辺では終売になっていたのでしょう。あきらめていたら、最近東京で発売になったということ、そこで、東京にいる知り合いが送ってくれたというわけです。
 開けるまで中身は分からないのですが、開けてみてびっくり。それは、私が一番欲しかった「ザ・ピーナッツ」の「恋のフーガ」だったのです。ジャケットの紙袋まで忠実に復元した仕事ぶりにびっくりですが、音を聴いてさらにびっくりです。録音されたのは1967年、ギリギリ4チャンネルのマルチトラックが現場に入ってきた頃でしょうか。しかし、オケは基本的に「一発録り」、ストリングスも入ったビッグバンドは、コンサートのように同時に音を出して録音していたのでしょう。これが実にノリのよいオケ、今の打ち込み主体のオケからは決して得られない見事なグルーヴ感を生み出しているのです。トロンボーンのペダルトーンなど、まるで涙があふれるほどのエネルギーに満ちています。このアレンジを担当した宮川泰(曲も宮川だとずっと思っていたのですが、これはすぎやまこういちが書いていたのですね)の才能にも、改めて脱帽です。ティンパニのリズムがガタガタなのはご愛嬌。
 そのコンビニの愛人と同棲しているのですが、彼女のマシンはXP、ネットで何かの曲をダウンロードしていたら、見事にブラスター・ワームに感染してしまいました。さっそく、新聞にあったマイクロソフトの広告を見て、ワームの手動駆除と修正ソフトのインストールです。もちろん、こんなことをやったのは初めて、コマンドを打ち込んだりとかやったことのないことばかりでしたが、作業自体は簡単なもの、ダウンロードも含めて20分ほどで完了してしまったのには、正直言って拍子抜けです。しかし、きのうは楽器、今日はパソコンと、愛人のためならばとは言え・・・。
 チケットプレゼントは、もっと簡単な作業で完了しますよ。ここから住所を記入して「送信する」をクリックすれば、それで終わりです。
aventure number : 0213 date : 2003/8/27


今日の禁断 EP

 こんなサイトをやっているからなのか、あるいはそのような資質があるから、こんなサイトが出来るのか、その判断には難しいものがありますが、どんなものに対しても素直に見ることが出来ない私の性格に対して、各方面から非難の声が上げられているのは、よく知られたことです。素直に「ヴァイオリン」と言っておけばよいものを、「リラ・ダ・ブラッチョ」だなどと、なまじほんとのことを言ってしまうために、「何で、そんな些細なことで、あたしの好きな○だめを貶めるの?」と、ヨヨと泣き崩れている軟弱な人を知っていますから。
 そんな、おのれの醜さが、今回も頭をもたげてしまったのですから、因果としか言いようがありません。ターゲットとなった○リコ関係者の悲しい顔が今から目に浮かぶようですが、「それがいいのよ」と言ってくれる人がいることをひたすら信じて、我が道を行くしかないのでしょう。
 きのうご紹介した「タイムスリップ・グリコ」、まるでかつてのシングル盤(ドーナツ盤というやつですね)そのもののような、凝りに凝った造りには敬服を禁じ得ませんでした。なんと言っても、アナログ盤特有の音溝まできちんと印刷されているのですから。
 もちろん、本物の溝はもっと細かいものですが、雰囲気は良く出ています。何よりも、いわゆる「無音溝」という、最も外周に近い部分とレーベルに近いところに刻まれている、幅の広い溝まできちんと刻まれているというのが、感激ものです。最近はなかなか現物を見ることは出来ないでしょうが、一番内周にある溝は丸く閉じられていて、演奏が終わっても針がはずれないようになっている様子まで、よく分かりますよ。
 ところが、良くみてみると、音が入っている部分からその内部の無音溝に入るところが、ちょっと変なのです。
 当然ですが、レコードの溝というのは、最初から最後まで1本で書かれた「一筆書き」になっています。ところが、この部分、線路のポイントみたいに二股に分かれていません?これに気が付いてよくよく調べてみたら、この溝の印刷は、このように模式化されることが分かりました。
 なんということでしょう。音が入っている部分の溝は、「同心円」だったのです。これでは、いつまで経っても音楽は終わりませんね。さらに、最外周の無音溝は、向きが反対。これでは、針を下ろすと外側に飛び出してしまいます。
 オタクというか、マニアックというか、このような「揚げ足とり」をついつい行ってしまう自分の性には、ほとほと嫌気がさします。しかし、あれほどまでに細かい神経を使って作られたものが、こんな初歩的なミスを犯しているなんて、だれもチェックする人はいなかったのでしょうかね。
aventure number : 0214 date : 2003/8/28


今日の禁断 くずもち

 4日連続で更新だなんて、「禁断」始まって以来ではないでしょうか。ネタがあるうちは出し惜しみをしないでどんどん書いておこうという、「貧乏人」根性のなせるワザなのでしょう。しかも、きのうの中身を少しふくらましたら、久しぶりの新しいコンテンツ、「まちがい音楽用語辞典 Part17」などという思いがけない副産物が出来てしまうのですから、たまりません。さらに、定期演奏会のチラシを、わざわざ事務局のヤマジさんに持ってきていただけたので、東京にあるフルートのメーカー宛に発送してしまいました。きのう、さるメーカーの知り合いに「チラシを置かしてもらえませんか?」とメールを出したら、「もちろん!」という活きの良い返事が戻って来たので、勢いのあるうちにと、そこを含めて5つのメーカーに送ったというわけ。これで、東京の瀬尾さんのファンが、大勢来てくれることでしょう(皮算用)。
 ところで、きのうまで、毎回楽しみにしている「BSマンガ夜話」が放送されていました。今回の最大の収穫は、なんと言ってもおとといやった「杉浦茂」。しかも、ゲストがあの「ホモホモセブン」の作者みなもと太郎というのですから、まさに夢のような布陣です。期待通り、それはとても充実した1時間でした。なんと言っても、杉浦茂という人は、本質的にマンガの楽しさをとことん、殆ど本能的に追求した人です。そこから伝わって来るメッセージといったら、少年の心を有無を言わせず暖かくするもの、リアルタイムでそれを体験した出演者の、幸福そうな様子といったら。「コロッケ5円の助」を共通のアイドルとして彼らと共有できる私も、幸せだったのはもちろんです。
 番組の中で明らかになったのは、「少年西遊記」の完全オリジナル復刻版が発行されていると言うこと。実は、この作品は10年以上前にペップ出版から一度発行されているのですが、それは最初に連載されたもののオリジナルではなく、発行の際に作者自ら新たに書き下ろしたものが混ざっていたのです。なんでも、彼の原稿というものは出版社には残っていなくて、単行本を出すときには別に書き直していたというのですね。確かに、ペップ版の後書きには、「後半は書き下ろし」とちゃんと書いてありました。そういえば、線の感じが変わって少し違和感があったことを思い出しました。ところが、今回の河出の復刻版は、全て、最初に連載されていた雑誌から版を起こした、文字通り完全な復刻版だというのです。杉浦茂の作品は全て入手したいと思っている私は、たちどころにAmazon.co.jpにアクセスして、「西遊記」全3巻、「児雷也」全2巻、それに、番組の中で紹介されていた、最近発行された「自伝」と、現時点で手に入るものを全て注文していましたよ。みなもと太郎が「47年経ってやっと昔見たものと同じものを見ることが出来た」と語っていた感激を、もうすぐ私も味わえるのです。
aventure number : 0215 date : 2003/8/29


今日の禁断 ソバージュ

 9月になると同時に秋を通り越して冬になってしまいました。ラジオのCMで「エネオス灯油ホッカホカ・・・」とやっていたのですから、本当ですよ。テレビやラジオは、いつだって決して嘘をつくことなどありませんから、これは確実なことです。しかし、秋物ビールぐらいだったら分かりますが、灯油とはね〜。
 だいぶ前になりますが、山本直純がやった昔のコンサートのライブ盤のレビューを書いたことがありました。実は、これが発売された直後に、実際にこの「宿命交響曲」やらを演奏した追悼コンサートが開かれていたのです。その模様がテレビで放映されたのですが、やっと時間が出来て、そのビデオを見ることが出来ました。結構長いコンサートだったようですが、結局、昔のコンサートを再現したのは、その「宿命」と、ピアノ狂想曲「ヘンペラー」の2曲だけ、そのほかには、直純自身の曲とか(含「男はつらいよ」)、いかにも直純が好きそうな軽い曲(「天国と地獄」)などで構成されていました。指揮者が4人で持ち回り、その中には榊原栄さんもいました。彼は直純の作曲の弟子だったんですね。番組ではその指揮者たちのインタビューも挿入されています。そこで気になったのですが、話に出てくるのが「オーケストラがやってきた」だけ、このコンサートの元になっているはずの「日本フィル・ウィットコンサート」に関してはだれ1人として触れていないのです。確かに「ウィットコンサート」は実際に見た人など殆どいないマイナーなイヴェントだったには違いありませんが、「オーケストラ〜」とは全くコンセプトが違うのですから、これはちょっと違うような。だから、インタビューを聞いただけでは主催者自らがコンサートの趣旨をはき違えているという印象に強くとらわれてしまいます。
 「宿命」は、榊原さんの指揮、あの風貌ですから、一瞬直純の再来か、みたいな感じにとらわれたのは、もしかしたら主催者の計算もあったのかも知れません。しかし、曲の方は、オリジナルにかなり手が入っているようでした。もちろん、今では全くネタにはなりえない「東京オリンピック」のファンファーレが聴かれるはずもありません。ちょっと、消化不良の感じにとらわれてしまいましたよ。しかし、次の「ヘンペラー」はすごかった。これは、直純の編曲というよりはピアニストの藤井一興の功績でしょう。なんせ、あのデタラメな編曲を全て暗譜で弾ききっていたのですから。「エンペラー」を下敷きにして間に突拍子もない曲を挟み込むというスリリングな曲、一歩間違えば訳が分からなくなってしまうものを、完璧に最後まで軽々と弾いていたのは、本当にすごいものでした。演奏という面では、確実にオリジナルを超えたものです。
 ただ、特にオケのメンバーの生真面目な演奏のせいでもないのでしょうが、確実にネタと思える場所でも客席からは全く何の反応もなかったのにはびっくりしてしまいました。「おまえら、いったい何を聴きに来たんだ」と突っ込みたくなるようなお行儀の良さ、40年近く前に直純が育てたいと思っていた音楽ファンとは、決してこのような醒めた聴衆ではなかったはずです。
aventure number : 0216 date : 2003/9/1


今日の禁断 ダーク・ダックス

 222222は、Jamesクンのところへ行きました。今朝の早朝、1時か2時頃のことでしょう。厳密には2ポイントばかり早いのですが、おそらくちゃんとしたキリ番の人は気が付かなかったのでしょうから、何の問題もありません。久しぶりのキリ番の記念品、だいぶ前から用意していたカラヤンとアルゲリッチのサイン入りコースターが、やっと役目を果たしてくれました。こんな感じで、毎日のアクセスが200前後(ですよ。あがつまさん)、しかも、必ずしもトップページにアクセスした人がゲット出来るものでもないので、少しの誤差でしたら大目に見させていただきますから、これからのキリ番もお楽しみに。
 今日の練習のお楽しみは、掲示板にもあったコタケッチです。5年前に就職のため京都に引っ越したため、ニューフィルを退団したオーボエ奏者が帰省しているので、楽器を持って遊びに来るというのです。いつもの時間に練習場に着いたら、彼はもう楽器を出して音出しをしてましたっけ。お互いに「久しぶり!」というわけで、積もる話もそこそこに、一緒に椅子を並べたりして、すっかり昔のままの団員モードです。いつものオーボエのりえさんは、実はドイツに旅行中で今日はお休み、上手い具合にコタケッチが来たものですが、そのほかにオーボエにはもう2人、エキストラの女の子が来ていて、スタート時にはいつもと全く違うメンバーが3人座っているという、面白いことになっていました。最初のシューマンは私は降り番だったのですが、せっかくですからアシを吹くことにしましょう。そうなると、木管は全て3人になって、かなり豪華、最初のうちは貧弱だった弦とは、見事な対比を見せていたものでした。チューニングの音も、ごく自然にコタケッチが。まるで、そこにいるのが当たり前のようなさりげなさ、かつての仲間は、音を出すだけですぐ昔の関係を作り出すことが出来ました。
 シューマンは早めに切り上げて、今日はハチャトゥリアンをしっかり。コタケッチと並んで吹いていると、5年の空白などすっかり飛び越えて、何の違和感もなくアンサンブル出来ているのですから、すごいものです。彼も京都ではオケに入っているとか、結局ハチャトゥリアンを全曲初見で吹き通してしまったぐらいで、腕は全く衰えていません。昔の相棒と、こんな風に呼吸を思い出しながら一緒に吹いているなんて、何か、とても貴重な体験をさせてもらった感じがします。終わってからしみじみ「みんな、やっぱり良く合ってるよねえ。腕も上がってるし。」と、普段文句ばかり言われている身にはとても嬉しくなるようなことを言ってくれたので、さらに得難い経験だったとも。「また5年後に」なんて言っていましたが、確実にもっと早く再会出来るような気がします。
 ところで、0211で「聴いてみたい」と書いていたパユの通常盤が入手できました。その感想は、あしたの「おやぢの部屋」で。
aventure number : 0217 date : 2003/9/2


今日の禁断 ビール園

 0214でそのまちがいを発見し、それをネタに新しいファイルまで出来てしまったグリコの「青春のメロディーチョコレート」ですが、せっかくいいことを見付けたので、ぜひ作った人にもお知らせしようと、「お客様相談室」に、「こんなサイトがありますよ」とメールを出してみました。別に返事は期待はしていなかったのですが、ほんの数日したらこんなメールが届いてしまいましたよ。
(前略)お知らせいただきましたサイトを担当者にて拝見させていただき、以下のような返事が戻ってまいりましたので、ご案内させて頂きます。
同心円についてにつきましては、溝がスパイラルでなく同心円なのは、ミニュチュア化した際にこちらの方がイメージがよかったので、ディフォルメした形で「同心円」を採用しました。
外周の向きの件は、ご指摘の通り、向きが反対になっております。おもちゃの生産はかなりの部分を既に終了しておりますため今回の企画での修正は困難な状況でございます。次回の企画においては、今回のお申し出を参考にさせて頂き、「外周の向き」の修正を検討し、より高い完成度の商品作りを目指したいと考えております。
貴重なご意見ありがとうございました。今後ともご意見やご感想がございましたらお知らせくださいますようグリコの商品をご愛用くださいますようお願い申し上げます。
江崎グリコ(株)お客様相談センター ○○
 なかなか、誠意あふれる返答ではありませんか。CDのことを「おもちゃ」と言い切ってしまう感覚が、さすがグリコ。これを読むと、あらかじめ生産量が決まっているようで、売れたからと言って即増産するようなことはしないみたい、そのあたりもマニア向けの心配りなのでしょうか。だから、東北地方で売り切れてしまったのも納得です。同心円についてはきちんとした理由があったのですね。聞いてみなければ分かりません。次回、「より高い完成度の商品」が出来た暁には、もちろん試作品が届くのでしょうね。今から楽しみです。
 ところで、単身赴任中の1号様は今回も聴衆として演奏会に参加するようで、チケットプレゼントに応募してきました。例によって「び」と一言、そのあとに「2枚下さい」ですって。いったいどなたと一緒に来られるのでしょう。8年前と少しも変わらずお美しい奥様とでしょうか。それとも・・・(隣のオトコはモトカレ?)。
aventure number : 0218 date : 2003/9/4


今日の禁断 喫茶店

 すっかり「青春のメロディーチョコレート」にハマってしまった私は、こんなに熱心になる前に目にしたある雑誌のことを思い出していました。それは、小学館の「ラピタ」という月刊誌、その9月号でこのチョコレート、ではないCDのことを特集していたのです。それを店頭で見付けたときは「ああ、これがそうか」ぐらいの軽い気持ちで、立ち読みをしただけ、付録として同じようなシングルCDが付いていましたが、買ってみようという気にはなりませんでした。
 しかし、ここまで深入りすることになって、他のサイトなどを見回っているうちに、この雑誌は、同好の士にとってはまさにマストアイテムであることが分かってきたのです。「青春の〜」シリーズのCDを手にした人は分かるでしょうが、公式のカタログは全部で18種類、もちろん、この手のもにはつきもののお約束の「シークレット」が4種類あって、この22種類を全部集めるのがマニアには求められています。しかし、真のマニアになるためには、この「オマケ」だけではなく、さらにその「ラピタ」の付録である、吉田拓郎の「青春の詩」を欠かすわけにはいかないのです。
 もちろん、私は全部のCDを集めようなどという野望は、最初から放棄しています。箱を開けない限り、中身は絶対に分からないようになっているのですから(色々調べてみましたが、パッケージから中身を推理することは不可能です)、まだ入手できないものが出てくるまで買い続けるなどというのは、まさにグリコの思うつぼ、そこまでのめり込むつもりなど毛頭ありません。しかし、この雑誌の付録だったら、確実に入手できます。もっとも、最初に見かけたのはもうだいぶ前、もはや店頭には残っていないかも知れないという、一抹の不安を抱きながら訪れた「丸善」では、しかし、かなりの部数が平積みになっていました。
 CDとともに、晴れて入手できた「ラピタ」を読み返してみたら、このチョコレートの発売計画が載っていました。やはり、東北地方では6月に発売されたものは完売、現在は東京地区での売り出し、そして、秋に近畿地方で売り出して、このシリーズは終わってしまうのです。ということは、きのうのグリコのメールにあった「今回の企画」というのは、この、秋の分までも含めてのものなのでしょう。このシリーズの中で、「外周の向き」が修正されたCDが出ることはおそらくないのでしょうね。ちなみに、「近畿」ということは、四国や九州では発売はされないのでしょうか。やはり、徳島あたりのイナカでは、このCDを間違えてレコードプレーヤーにかける人がいるかも知れないという危惧が先に立つのでしょう。
 ところで、この拓郎のCD、グリコとの共同企画となっていますが、最初と最後にわざとスクラッチノイズを入れるなど、細かいところで独自性が追求されています。しかし、グリコとの最も大きな違いは、「外周の向き」が正しく印刷されているということです(「同心円」は同じですが)。この1点を確認できただけでも、わざわざ「ラピタ」を買った甲斐があったというものです。
aventure number : 0219 date : 2003/9/5


今日の禁断 鬼太郎

 1ヶ月ぶりの指揮者練習、スケジュールは、午後2時から8時まで全曲をやるために、たっぷり6時間とってあります。いつもならシューマンは降り番なので、途中から行けばよいのですが、きょうはちほさんがご結婚式のためお休み、だから、2番を吹くために最初から行かなければなりません。少し軽めのお昼ごはんを食べたら、早速愛子にある広瀬文化センターへ向かって出発です。
 ご近所の3号を拾って会場に着くと、29号と31号が乗った車が、駐車場とは反対の方へ走っていくのに出会いました。私が車を入れているとこちらに戻ってきましたから、場所がよく分からなかったのでしょうね。ホールに入ろうとすると、先に来ていた6号が扉を開けてくれました。その服装は、半袖のセーターにタイトなジーンズ、なかなか・・・。そういえば、小雨が降って肌寒い天気だったので、長袖のTシャツで来たのですが、意外にも半袖の人が多くて(8号とか)、「冷房を入れますか」という声に私が真っ先に「お願いします」と言ったら、多くの人がちょっと迷惑そうにこちらを振り向きましたっけ。もっとも、冷房はステージ上はそれほど利かず、最後まで暑い思いに苦しむことになるのですが。
 最初は、3時間以上かけて、シューマンをみっちり。特に、この前は流すだけだった4楽章を重点的にやりました。どうやら、私たちも森口さんも、お互いの呼吸が何となく分かってきたようで、なかなか実りの多い練習が展開されていました。森口さんという方は、相手の出方を少なからずうかがうというやり方のようですね。そして、最初から確固たる指導をすることはせず、色々試行錯誤をしているうちに最もそのオケに適したものを見つけ出していくのでしょう。そんなキャラクターが、ここに来てやっと形になってきたようで、ある程度自信のある指揮ぶりが見えてきたのは、喜ばしいことです。色々な指揮者がいるものですが、こういうタイプの方も、慣れさえすれば得るものは多いことでしょう。
 シューマンが終わる頃になって、お昼が軽かったせいでかなりお腹がすいてきました。少し長い休憩を期待して、その間に近くのコンビニにでも行ってみようと思っていたら、その休憩は何と技術委員会で殆どなくなってしまいました。途方に暮れた私がロビーに出て行くと、29号たちが一団となって何か食べているので、恥を忍んで「何か食べるものはありませんか?」と哀れっぽく迫ってみました。そしたら、後ろにいた15号が「これ、どうぞ」と、マドレーヌを手渡してくれたではありませんか。地獄で仏とはこのことです。15号のおかげで空腹から救われた私は、それ以後のハチャコン(森口さんは、瀬尾さんについて「音もでかいし、あの音色はまさに国際レベルですね」と言ってましたね)とはげ山を、心おきなく吹くことが出来たのです。特にはげ山は、懸案の最後のF#も、まずは無難に決まって、恥ずかしくない演奏が出来る見通しが立ちましたし。
aventure number : 0220 date : 2003/9/7

03/9/9-03/10/12