今日の禁断 |
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夏休みに入って最も夏らしい日曜日となりました。こんな日には、子供を連れて海やプールに出かけるというのが、正しいお父さんお母さんの過ごし方なのでしょうが、ニューフィルの団員になってしまった人には、そのような楽しい家庭生活というものはちょっと犠牲にしていただかなければならないのでしょう。事実、「今日は瀬尾さんがニューフィルと初めて一緒に練習する、歴史的な日なのだ」という極めて説得力に富む夫の主張も、日々の暮らしに埋没した愚かな妻には通じるはずもありません。
そんな後ろ髪を引かれる思いで向かったのは、岩沼市民会館でした。思いのほか道がすいていたので、1時間もかからないで着いてしまったのですが、私には、会場へ行く前に寄っていくところがあります。それは、練習のアフターで(ちょっと嫌な言い方)行くことになっているお寿司屋さんの場所の確認です。地図までアップしてあるのに、その場になってアタフタするのはみっともないので、まず下見をしておくのが、幹事のつとめです。なかなかきれいなお店で、一安心。
市民会館に着いたら、シューマンの1楽章を丁寧にやっています。結局、1時間かけてその楽章だけで休憩となりました。残りの1時間であとの楽章を全部やるのでしょう。そのあとが、いよいよ瀬尾さんの出番です。もう今頃は瀬尾さんが着くはずだと言うことで、シューマン降り番の私は駐車場を見渡して、車のチェックです。普通、初めていらっしゃる指揮者とかソリストは、何らかの形で空港とか駅にお出迎えなどをするものですが、瀬尾さんの場合はご自分で車を運転して来るという、前代未聞のケースです。しかも、ニューフィル内で知っている人は私しかいないのですから、最初のご対面は、どうしても私のつとめです。そうこうしているうちに、奥さんを助手席に乗せた瀬尾さんの車が到着しました。ナンバープレートには「北九州」の文字が。ご実家の北九州から、八ヶ岳のコンサートを経由して、はるばる岩沼まで運転してきたというわけです。サングラス姿の瀬尾さんというのも、初めて見てしまいましたよ。すぐさま、良く冷房の効いた楽屋にご案内です。
シューマンの練習は、やはり全ての楽章をやったので、予定よりも少し遅れて休憩となりました。そこで、団長、コンマス、技術委員長、事務局長という、ニューフィルのVIPを引き連れて、瀬尾さんとのご対面です。これで、ひとまず私の役目は一段落、前回同様、休み時間がまだ終わっていないのに、指揮台にスタンバイしている森口さんを横目に、私にとっては初めて楽器の音出しです。今までちょっと落ち着きのない行動をしていたので、なかなか楽器を演奏するというモードにならなくて困ってしまいます。あと5分もすれば、瀬尾さんがステージに現れて、いよいよハチャトゥリアンの初合わせが始まるというのに。(次回へ続く) |
aventure number : 0201 |
date : 2003/8/3 |
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