0181(03/6/26)-0200(03/7/31)

今日の禁断 ランキング

 カウンターが21万になってしまいました。私の緻密な予測によると、キリ番になるのは今日の深夜のはずだったので、ついさっき覗いてみたら「210001」になっているのを見て大慌て。たぶん、6時半頃にアクセスした方がキリ番をゲットしていたはずですよ。先日、カウンターを変えたということを書きましたが、最近さらに手直しをして、ちょっとややこしいことになっていたので、そのあたりをちょっと説明しようと思っていたら、予想外に大量のアクセスがあったため、間抜けなことになってしまいました。まあお許しを。
 アクセス数は多い方が良いに決まっていますから、前に使っていたカウンターはリロードもきちんとカウントしてくれるものでした。しかし、それがダメになったので取り替えたものは、使いやすい反面しっかりリロードはオミットされる厳密な数え方をするものでした。当然、カウント数は今までより少なくなってしまいます。そこで、私は策を弄して、少しでもカウントが上がるようにしたのです。このカウンターは、トップページにタグを貼り付けるのですが、そうするとトップページだけではなく、配下の(この言い方、ちょっと面白いですね)ページへのアクセスも、きちんとカウントしてくれるようになっているのです。もちろん、リロードできませんから、トップページから配下の他のページへ移ってもカウントはされません。そうではなく、トップページを経由しないで、直接どこかのページにアクセスした場合に、カウントされるようになっているのです。さらに、トップページがあるディレクトリだけではなく、もっと下層にあるページでも、タグさえ貼り付ければカウントが計上されます。実際、1層下のkindanとかoyajiというファイルのタグを貼ったところ、カウンターはしっかりリロードされた場合と同程度のものが確保されるようになりました。つまり、このサイトの人気ページである「禁断あばんちゅうる」や「おやぢの部屋」には、トップページを通さないで直接アクセスしている人が結構いるということになりますね。ですから、サイト全体としてのアクセスを見るためには、これは姑息な手段などではなく、まさに王道だったのです。
 そういうわけで、21万をカウントしたカウンターは、トップページだけではなくあちこちに設置されています。「おやぢ」あたりは、おやぢグループ独自のカウンター(少し小さめ)もついていますし。ですから、例えば「おやぢ」や「禁断」に最初にアクセスしても、キリ番を取ることはできるということになるのです。そういうことを一言断っておこうと思ったのですが、もはや後の祭りでしたね。まあ、取った方は申し出て下さい。
 テレビを見ながらダラダラ書いていたら、書き終わるまで1時間以上かかってしまいました。今カウンターを見てみたらもうこんなに上がっていましたよ。
aventure number : 0181 date : 2003/6/26


今日の禁断 トーマス

 週末は、殆どが愚妻の用事のつきあいで終わってしまいます。日用品の買い物などですが、何かと手間取ることが多いので、大体1日まるまるつぶれてしまいます。今週は、明日の日曜日には何か合唱団関係の催し物があるとかで、今日、そのような用事を片づけてしまう必要がありました。そんなわけで、前々からご招待を受けていたヴィオラのパート練習は、泣く泣くパスせざるを得ませんでした。
 まず、ランチを食べにいったのが、以前愛人といった「Café de Bois」。「私も連れてけ!」という本妻の切なる訴えを聞かないわけにはいきませんから。お店はいつも通りの繁盛ぶりで、やはり少し待たされました。待っている間、奥の方からはステーキのにおいが漂ってきます。今日のおすすめメニューは期間限定の「ステーキ丼」、席に案内されてまわりを見回すと、それを食べている人がたくさんいます。私も、この前とは違うメニューにしようと、その「ステーキ丼」を注文しました。しかし、「見習い中」というタグを付けた店員さんは、本当に済まなそうな表情で、「申し訳ありません。たった今、ステーキ丼は終わってしまいました」ですと。残念ですが、ないのでは仕方がありません。もう一度「アジアカレー」を賞味することにしましょう。
 食べ終わって、これも本当においしいコーヒーを堪能していると、後ろのテーブルに座っていたグループが席を立ちました。その中の1人が、通りがけに「Y江さん」と声をかけたので、びっくりして振り向くと、それはチェロのゆりさん。一応店の中はチェックしたつもりでしたが、全く気づきませんでした。あちらは店に入ってきたときから分かっていたそうです。いやぁ、そうだったのか。すぐ隣のテーブルでしたから、話なんかも聞こえていたかも知れませんね。サラダに梅ドレッシングをかけて「うめ!」なんて言ってたとか。
 それから、THE MALLの渋滞を経由して一番町に行ったら、HMVでは愚妻といるところを3号にも見られてしまいましたよ。そういえば、パート練習の開始時間は4時半、会場はすぐそばのフォーラス地下ですから、そこへ行く前に寄ったのでしょうね。案の定、幹事の9号から「ちゃんと本妻さまと・・・」というメールが、懐かしい1号様の写真とともに届きました。
 家へ帰ったら、「こんなのあるよ」と、きのうNHKの「スタジオパーク」に生出演した工藤重典とシャロン・ベザリー(晴れてバールの本妻に)のビデオなどを見せてくれました。たまたま見ていて撮ったのだそうですが、私はほかの掲示板で知ってぜひ見たかったもの、パー練のキャンセルに見合うだけのことは、してくれていました。しかし、この2人のデュエット、音程が工藤さんは低めでベザリーは高め、とても気持ちの悪いものでした。
aventure number : 0182 date : 2003/6/28


今日の禁断 ブリーフ

 「チャーリーズ・エンジェル フルスロットル」は、きのうから、アメリカと同時上映が始まりました。配給会社がこの映画のために仕掛けたプロモーションは、素人の私が見てもなみなみならないものが感じられたものです。映画館には、だいぶ前から主役3人の等身大の切り抜きが立てられ、場所によっては、ロビー内は全てこの作品のポスターというところもあったぐらいですから。ですから、今日1日フリーの身となった私が利府に向かっていたときは、果たして駐車場に無事車を入れられるかというのが、最も心配されるところでした。なんと言っても公開2日目の日曜日です。これだけあおられれば、お客さんが殺到するのは目に見えています。とても車など停められないでしょう。ところが、普段の日曜日だと通路まで車で埋め尽くされているはずの駐車スペースは、あちこちにスペースが目立ちます。こんな「入れ放題」状態は、逆に久しぶり。チケットカウンターも、並んでいる人は誰もいないという空きよう、いったいどうしたというのでしょう。3つのシアターをフルに使って1時間刻みに上映するというシフト、おそらく、2、3回先でないと良い席はないと思ってきたのに、10分後に始まる回でもまだ「良いお席が残っています」という有様です。他の映画の空席を見てみても、満席に近い「△」マークなど、ひとつもありませんでした。やはり、仙台地区にシネコンが4つもあるというのは、明らかな供給過剰なのでしょうか。
 映画の方は、前作同様、考え抜かれたアクションで、大いに楽しめました。意外でしょうが、私はアクションものが結構好き。これみたいにプロットはどうでも良いというのが最初から分かっているものは、徹底して大画面と大音響を楽しむようにしています。それこそ「マトリックス」で確立されたスローモーションなど、完璧に使いこなして見応えがありました。それに加えて、3人の美女のはち切れんばかりのプロポーションを楽しむことも出来ますし。さらに、今回はデミ・ムーアの惜しげもない水着姿も堪能できました。ちょっとマッチョっぽいのが気になりましたが。それよりも、期待していたキャメロン・ディアスの容姿の崩れは、いささか失望ものでした。彼女のようなブロンドで青い目の女優は昔から好きで、レベッカ・デモーネイあたりはまさにアイドルでした。ディアスも殆ど追っかけ状態でいろいろ見てきましたが、「ヴァニラ・スカイ」でちょっと「年を取ったな」という印象が。それが今回まざまざと見せつけられてしまったのは、本当に残念です。これからは、やはりキルステン・ダンストでしょうか。
 ところで、エンジェルたちが鑑識官に扮して殺人現場に踏み込んだところで、何か聴き慣れた音楽が始まったと思ったら、それは「CSI」のテーマ、「Where Are You?」でした。さすが、全米1の視聴率を誇る人気ドラマだけあって、しっかり「だれでも知っている曲」という扱いで使われていたのでしょうね。日本では、どうなのでしょう。知ってます?「CSI」。
aventure number : 0183 date : 2003/6/29


今日の禁断 ビレバン

 休憩時間には、新しい「かいほうげん」を配ります。2週間待った甲斐があって、きちんと最新の情報が盛り込まれたものになっていました。実を言えば、先々週の段階では、あまりにネタがないので、こちらにはアップしてもまだ掲載してなかった「ヒレカツ」を2本、つまり、今回掲載した下野さんの分と併せて、全部で3本の「ヒレカツ」という、いくらなんでも、という状態になりかねませんでした。しかし、これから何回かは、自動的に原稿が潤沢に集まるというシステムが機能しますから、そんな苦労の必要はなくなることでしょう。それは、「JAO」のレポート。殆ど冗談で言った「2000字以上」というノルマがなぜか運営委員会で承認されてしまったのですから、5人だと10ページ以上がまかなえる原稿が揃うことになりますよ。これで5回は・・・。
 後半のシューマンは降り番だったので、早めに家へ帰ったら、1号様から手紙が届いていました。同封してあったのは土曜日のパート練習の写真のCD。開けてみたら、なんと129枚もありました。せっかくですから、厳選した1枚を。
aventure number : 0184 date : 2003/7/1


今日の禁断 ギャツビー

 今朝、ラジオをかけながら車を走らせていたら、いきなり聴き慣れた曲が流れてきました。それは、昔大ヒットしたジェリー・ウォレスの「男の世界」です。歌っているのが日本人、歌詞も日本語ですが、オリジナルのカバーというよりは殆ど完コピに近いオケ、ブラスのアレンジや、途中で半音高く転調するところなど、寸分違わない仕上がりになっています。民放FMでフルコーラスをかけるなんて珍しいこともあるものですが、どうやらこれは近々発売になる新曲のプロモーションだったようです(民放FMで、プロモーション以外のエアプレイなどあるのか、という疑問はさておいて)。あとで調べてみたら、これは東芝EMIから7月30日に発売される「Keison」というアーティスト(もちろん日本人)の新譜、タイトルも、オリジナルと同じ「男の世界 ★ MANDOM ★ LOVERS OF THE WORLD ★」 というものです。
 このタイトルを見てピンと来た方もいらっしゃるでしょう。そう、この曲は、ヒット曲としてよりは、男性化粧品のコマーシャルソングとして広く知られていたものです。チャールズ・ブロンソンという映画俳優を起用したこのコマーシャルは大当たり、「う〜ん、マンダム」というフレーズは流行語にもなったのを憶えてらっしゃる方も少なくない(?)ことでしょう。そもそも、この曲が作られた経緯を見てみると、そのあたりははっきりします。1970年、男性化粧品市場で「ヴァイタリス」や「MG5」に遅れを取っていた某化粧品メーカーが社運を賭けて発売した新製品が「マンダム」です。この商品の売り出しに対するメーカーの心意気はハンパではありませんでした。ブロンソンのような現役のハリウッド・スターをキャラクターに起用しただけでなく、コマーシャルソングのために、わざわざフルサイズのシングル曲をアメリカで作らせたのです。これは、今でいう「タイアップ」みたいな軟弱なものではなく、全くCMだけのために、ウェスト・コーストのカントリー畑の作家とシンガーによって作られたもの、もちろん、歌詞には商品名がきちんと入っていたのは、言うまでもありません。これだけのお膳立てを整えて、メーカーはすさまじいキャンペーンを張ります。その甲斐あって、「マンダム」は大当たり、そのヒットぶりは、かつて「丹頂株式会社」だったこのメーカーの社名が、翌年には「株式会社マンダム」と改められたことでも分かります。実は、当時知り合いが薬屋さんでバイトをしていて、実際にこの時のコンヴェンションに行ったことがあるのです。その時に持ち帰った資料にはブロンソンをフィーチャーしたパンフレットとともに、この曲の楽譜も入っていました。今だったらCDぐらい付けるのでしょうが、当時はそれが精一杯、もちろん、まだレコードは発売になっていませんでしたし。メロディーとコードネームだけの楽譜でしばらく親しんだあと、原曲を聴いてそのノリのよいアレンジにはびっくりさせられましたが。
 その後、シングルとして発売された「男の世界」は、3週間連続オリコンチャートの1位を獲得するという、大ヒットとなったのです。もちろん、洋楽でありながら、日本国内だけのヒットではありますが。その曲の、33年ぶりのカバー、歌っているKeisonは76年生まれといいますから、「マンダム」当時は6歳、オリジナルの記憶はあるのでしょうか。それにしても、サウンドとはあまりにかけ離れたこの曲の日本語の歌詞のつまらなさには、がっかりさせられます。
aventure number : 0185 date : 2003/7/4


今日の禁断 バーバー

 去年の今頃、「マタイ受難曲」の圧倒的な名演を聴かせてくれた合唱団、「グリーン・ウッド・ハーモニー」のコンサートに行ってきました。あの時に体験した確かな感動をもう1度味わってみたかったほかに、このコンサートに行きたかった訳があります。それは、田中利光という人が作った「青猪(あおじし)の歌」という曲がプログラムに予定されていたから。この曲、今では混声合唱の名曲として、多くの合唱団に取り上げられているものなのですが、実は私はこの曲の日本初演を演奏したことがあるのですよ。当時「芸術祭参加作品」ということで、毎年新しい曲を委嘱し、それを放送していたNHK仙台放送局が、仙台放送合唱団を使ってこの曲を録音したときに、男声が足らないということで、指揮者のつながりで私がいた大学の男声合唱団がトラを頼まれたのです。それは、私にとっては混声合唱の初体験の場、その後、結局その合唱団にも入ることになった記念すべき曲なのです。
 初演してから○年以上経ったというのに、この曲を他の人の演奏で聴くのは、これが初めてでした。会場には作曲者の田中さんも来ておられたようで、指揮の今井さんのもと、合唱団は真に共感に満ちた演奏をしていました。この今井さん、プログラムにも書いてありましたが、やはりこの曲の初演で歌ったメンバーだったのです。もしかしたら、会場の青年文化センターの客席と、そしてステージにいた人々の中で、初演を体験しているのはこの今井さんと私だけだったのかも知れません。この曲のステージは、このコンサートの中で最も歌い込まれていたと感じたのは、或いはそんな感傷的な思いがあったからなのでしょう。しかし・・・。
 全体は4つのステージで構成されていたコンサートですが、冒頭のパレストリーナとシュッツの宗教曲のステージでは、最初の音が出た瞬間、耳を疑ってしまいました。女声は声に伸びがないし、男声はまるで素人のような発声、これが、「マタイ」を歌ったのと同じ団体だとは、とうてい信じられませんでした。確か、合唱コンクールの全国大会でも金賞をもらっていたはず、いったいどうしたことでしょう。次のステージが「青猪」、休憩を挟んで林光の「鳥のうた」、これは、ピアノ伴奏のジュゼッペ・アンダローロが素晴らしく、合唱はそれに助けられたという感じです。このアンダローロ君、ソリストとしてだけではなく、伴奏者としてあれだけセンスのよい演奏が出来るなんて、やはりただ者ではありません。最後のステージは、そのアンダローロ君の作品とかシュニトケの曲でしたが、まさに目を覆いたくなるようなひどさでした。おそらく練習不足のせいなのでしょうが(シュニトケはロシア語に挑戦)特に男声パートの悲惨さといったら。いくらコンクールでよい成績をあげたとしても、有料入場者を前にしたコンサートでこんなみっともない演奏しかできないのでは、演奏家としての合唱団の姿勢が問われてしまいます。これは非常に残念なことです。
aventure number : 0186 date : 2003/7/5


今日の禁断 プラチナ

 以前、私のサイトの内容がさる楽器メーカーのサイトに無断転載されたという「事件」について書いたことがありますが、最近、やはり私の書いたものが知らないうちに別の人が作ったサイトに掲載されているということが分かりました。亀山哲司さんという方が、「海蛍」という名義で開いているサイト(http://www.medianetjapan.com/2/17/music_audio/sealaunpirin/index.html)がそれ。「Enter」から入っていくと「惑星に出てくるアルトフルート」というメニューが出てきますが、その文章をここに「無断転載」してみましょう。
「土星」と「海王星」にだけ登場する低音用のフルートです。下の図を見てください。上段がアルトフルート、下段が普通のフルートですが、長さが約3割増になっています。そのため、同じ運指で普通のフルートより4度低い音が出るので("G管"といいます)、但し、管が長いため、よほど腕の長い人が演奏するならともかく、普通は頭部管にU字管を使います。楽譜は4度上に移調して書いてあります。「惑星」のスコアでは"Bass Flute in G"という表示になっていますが、これはアルトフルートのことです。ちなみに、「バスフルート」というのはアルトフルートのさらに5度下、つまり普通のフルートの1オクターブ下の音が出る楽器です。アルトフルートは近代のオーケストラ曲ではかなり頻繁に使われており、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」やストラヴィンスキーの「春の祭典」などでは堂々としたソロも披露しています。「惑星」では、フルート族だけで形成するハーモニーの最低音を受け持ち、幻想的で神秘的な響きの立役者としての仕事にひたすら専念しているように見えます。しかし、曲の最後の最後には、女声合唱の「アルト」のパートをなぞってオケの中ではただ一人メロディーを奏でるという晴れ舞台も待っているのです。
 これはもちろん、私が作った「惑星に登場する不思議な楽器」というコンテンツの中の文章の一部ですね。最後の文など、書いた本人でも恥ずかしくなるようなクサい表現ですから、すぐ分かります。画像もそのままコピーしてますし。しかし、亀山さんはこれを丸ごと写すのはさすがにためらわれたのでしょう、赤字の部分を独自のご裁量で追加してくれました。内容は・・・うーん、私は公開の場でU字管のアルトを使っている人を見たことがないので、何とも言えませんが、これはちょっと違うような。それよりも、この文を挿入した場所の方に興味があります。本来ならもっと後の「。」の次に入れるべきなのでしょうが、敢えてこの位置にして違和感を持たせたところに、亀山さんの原文に対するリスペクト、或いは、剽窃行為に対するためらいといったようなものを感じることは出来ないでしょうか。
 お暇があったら、このサイトを隅々までご覧になってみて下さい。特に「練習日記」が秀逸、亀山さんは千葉県のオーケストラでフルートを吹いているそうですが、最近演奏した「春の祭典」の練習の様子が活き活きと描かれています。凄いのは、実際に千葉県でそんなコンサートが開かれた形跡など全くないにもかかわらず、その筆致にみなぎる逞しいリアリティ。これは完璧にイッてますよ。それと、早く見に行かないと、サイトが閉鎖されてしまうかも。
aventure number : 0187 date : 2003/7/6


今日の禁断 酔い覚まし

 ここ数日の寒さはいったい何なのでしょう。おかげで、昨日の、いわゆる「七夕」も雨の中、星を見ることなど出来なかったことでしょう。「七夕に雨が降らなかったことはない」と、沖縄のあがりはんたさんが嘆いていましたが、これは、いつも今頃ネタにしているように、ある意味当たり前のこと。旧暦の7月7日をそのまま新暦に置き換えてしまったのですから、現実の季節感とは1ヶ月のずれがあるという、このサイトの常連の方でしたら先刻ご承知の現象なのですから。もちろん、正確な季節感にのっとった七夕を開催している我々仙台人にとっては、昨日などは全く何の意味も持たない日であるのはいうまでもありません。
 そんな寒さの中、なぜか一番乗りで事務所に鍵を借りにいったりしてしまった私は、ホールに入るなり、何かなま暖かいものを感じてしまいました。外はそんなに寒くても、閉め切っていた室内はかなりムンムンしますし、これから人が入れば、間違いなく暑くなってしまうでしょう。そこで、ためらわず、冷房を入れてもらうように、事務所に電話をしました。ところが、電話口の職員は「冷房・・・ねぇ」と、いかにも投げやりな態度、こんな寒いのに冷房など必要ないだろうという態度が、ありありと口調に出ています。「これからここに50人以上の人が集まって、閉め切った中で練習するんですよ」と言ったら、やっと「50人ねぇ・・・それじゃあしょうがないか」ですって。何人の人がどういう目的で使用するのかは前もって分かっているはずなのに、この態度。困ったものです。
 そんな、曲がりなりにも快適になった環境で、指揮者練習直前の練習は始まります。前半はシューマンなので、私は降り番、楽器倉庫の中にこもって、同じ降り番仲間の3号と一緒に、個人練習です。あ、もちろん、楽器の練習ですよ(他に何があるというのでしょうか)。今日はこのあとハチャトゥリアンの2楽章と3楽章をやるというのが、この前のお約束、ですから、1楽章をさらうなどという無駄なことはしないで、もっぱら2、3だけをさらいます。
 しかし、前回ご紹介したサイトを見てからというもの、こんな風に書いたものをあとで呼んでみると、まるで、全てが作り話のように見えてくるから、困ったものです。なんて、ほんとは彼みたいに全部でっち上げてたりして。
aventure number : 0188 date : 2003/7/8


今日の禁断 マジメル

 「禁断」が始まって、今日で1周年です。おめでとうございます。ほぼ、2日に1回書いてきたことになりますね。最近はトップページから1階層下がったところで、お馴染みさんのためだけにひっそりと展開しています。一見さんにはちょっと見付けにくいロケーション、もし、たまたま来てしまったのならば、それもご縁ですので、末永くおつきあい下さい。
 ちょっと前の映画ですが、「ピアニスト」をテレビで見ました。クラシックの名曲がちりばめられる中、年上のピアノ教師と、若い男の愛を描いたフランス映画です。といわれれば、たいがいの人は甘く切ないラブ・ストーリーを思い浮かべることでしょうし、おそらく、そういう先入観を持って映画館に足を運んだ人もいたことでしょう。ちょっと濃厚なベッドシーンぐらいはあるのだろうから「R15指定」だと。しかし、おそらく、その人が映画館を出る頃には、こんな映画を選んでしまったことを大きく後悔しているはずです。何たって、イザベル・ユベールが演じる主人公のピアノ教師というのが、コンプレックスの固まり。過保護な母親の元で、40過ぎてもオトコを知らず、唯一の楽しみが個室ビデオですよ。その描写がすごい!個室に入った彼女は、前の客(もちろん男性)が捨てていったティッシュペーパー(どういうものかは、分かりますね?)の匂いを、陶酔しきった表情で嗅いでいるのですから。性格も良いわけがありません。シューベルトのピアノ三重奏曲を練習しているシーンがあるのですが、チェロの人に「そこのトリル、上から入って」と言われたので、次にその部分が出てきたときには、いかにも当てつけのように、そのアポジャトゥーラを強調して弾いているのです。もっとも、これは私のように、ある程度の音楽の素養がないと分からないことなので、単なる偶然なのかも知れませんがね。フランス語のセリフなので、最初はパリあたりが舞台だと思っていたら、実はそこはウィーン。なんと、彼女は国立ウィーン音楽院の教授だったのですね。そんな彼女になぜか 若いオトコが惚れるのですが、彼が自分の生徒の譜めくりをしたのに嫉妬して、彼女のコートのポケットに割れたガラスを入れて指をけがさせたり、その彼とも肝心の時にはうまくいかなかったり、およそ純愛ものにはほど遠いシナリオです。有名なコンツェルト・ハウスが出てきたのにはびっくりしましたが。トイレで抱き合っている写真がよく付いてきますが、あれがコンツェルト・ハウスのトイレ。スッピンのユベールの醜さは、絶品です。
 醜いといえば、昨日の朝青龍の反則負けほど醜いものはありません。この人の相撲には、以前から気品というものがまるでありませんでした。勝ちさえすればかまわないだろうという、格闘技根性丸出しの髷つかみは、絶対故意にやったものです。だから、どうせ反則で負けるのなら、あの有名な若秩父ぐらいのことをやってもらいたいもの。まわしがずり落ちたのを、NHKのカメラはアップでとらえ、国技館の照明はスポットライトを当て、行事は軍配で叩き、そして、奇しくも当時若秩父の弟子だった、朝青龍の師匠朝潮は、毛布で隠そうと土俵に上がったところ、つまずいてしまい、「何かつかむものはありませんか」と・・・。っと、これは元ネタを知らないと、分かりませんよね。
aventure number : 0189 date : 2003/7/11


今日の禁断 白玉
 1973年にリリースされた元ネタのシングル盤を持っているなんて、Jamesさんっていったい何歳なんでしょう。それはともかく、昨日の森口さんとの初顔合わせ、皆さんどんな印象を持たれたことでしょう。初めて実物を拝見して私が感じたのは「矢崎滋に似てるな」ということでした。次第に感情が高ぶって、何とも言えないオーバーな表情になると、その印象はさらに強まります。だから、例えば今まで末廣さんとか國分さんあたりから受けた「厳しさ」といったものとはちょっと違う、なんか親しみやすいお兄さんのような感じがしてしょうがありませんでした。今までニューフィルにいらっしゃった指揮者の中でその印象に一番近い人と言えば、そうですね、ブラ1をやった林道さんでしょうか。あの時も、あふれるばかりの情熱を託したその指揮ぶりに、私たちはある種のとまどいを憶えたものです。しかし、今の私たちは「こんな風に弾いてください」と、具体的な奏法ではなく、抽象的なイメージで語られても、十分対応できるだけの力を備えています。森口さんのエモーションを受け止めて、音として表現するのは私たちの仕事、こまごま言われたことを逐一改善していくというやり方とはひと味違った努力が、今ほど求められている時はありません。
 数多くのアマオケと仕事をなさっているだけあって、アマオケの人たちの気持ちはよく分かっているのはさすがでした。初顔合わせの緊張感を和らげようとわざと「はげ山」のスコアを忘れてきたあたりは、心憎い配慮です(林さんも、確かそんなことがありました)。そして、何よりも重要なのは相互の親睦、予定よりも30分も早く練習が終われば、懇親会が始まる時間には十分間に合います。スタート時こそ、むさい男たちに囲まれて話題も途切れがちだったようですが、やがて、女性団員の数が増えてくるのと、アルコールの摂取量に正確に比例して、見違えるように陽気な姿を見せてくれたのには一安心。私は、愚妻との無意味な諍いを避けるために一次会で帰らせていただきましたが、その後の二次会でもかなり盛り上がったようですので、次回の練習が楽しみです。一次会の締めとして、何かご挨拶をとお願いしたら、「言いたいことは全部練習の時に言ってあるので、こんなところでさらに言う必要はありません」と軽くいなされてしまいました。そう、こと森口さんに関しては、他のあまたの指揮者に対するような腹のさぐり合いなど、全く無用なのですよ。
 指揮者練習は今日もあったのですが、私はまるまる降り番なので行く必要はありませんでした。しかし、昨日うっかり忘れてしまったことがあったので、練習が始まる前にそれをやりに行くという間抜けなことに。そのあとは、新しい味を求めて「ザ・モール」の少し南にある評判の和食屋さんへ。ランチ1500円の食べ放題を良いことに、殆ど吐き気を催すほど食べ過ぎるのは、ちょっと考え物ですが。
aventure number : 0190 date : 2003/7/13


今日の禁断 八ヶ岳

 予想されたことですが、今回の森口さんに関しては、恒例の「語録」やら「通信」やら「便り」は作らない、ということです。確かに、森口さんの場合、その場その場においての生の反応というか、実際に音を出しての真剣勝負といった趣の強い指導ポリシーのようですので、ある瞬間の言動を固定化してしまう「語録」とは、馴染まないものなのでしょう。つまり、こういうタイプの指揮者をお迎えしたときの普段の練習のあり方というものが、まさに私たちには問われているのです。
 今日のフルートパートは、珍しいことにちほさんがお休み。ですから、私はシューマンの2番という、全くの初体験のパートを吹くことになってしまいました。そもそも2番を吹く機会があまりないような生活を送っていますから、これは久々に新鮮な体験でした。やったのは第2楽章。1番のあっチャンにぴったり寄せて吹くというのも、なかなか楽しいものでした。指揮は、シューマンは確か初めての和紀クン。バーンスタインが最初にPMFに来たときにこの曲を演奏したものが印象に残っているようですが、それは私も同じこと、大体、シューマンの2番なんて、ほとんどその時初めて聴いたようなものですから。この曲のライブで、2楽章が終わったときに拍手があったのを聴いて、「さすがバーンスタイン」と思ったそうなのですが、私はその映像をたまたま見ていたので、「あそこでは、ファーストを全員立たせて演奏していたんだよ」と教えてあげました。そう、その時に、さすが、全世界から集まった精鋭の演奏は違うと感心したものですが、実は、今のニューフィルのヴァイオリンだってそれに近いことをやっているのですから、たいしたものなのですよ。きっと、立って演奏しても立派に弾きこなせることでしょう。
 ところで、私の予言がまたまた的中してしまいましたよ。0187でご紹介した愛すべきサイトが、ものの見事に削除されてしまったのです。以前からあった「亀山」名義のものも、同時に削除されていました。ネットという仮想現実を利用して、現実の自己とは全くかけ離れた理想の人格を構築しようとした試みは、もろくも頓挫してしまったのでしょうか。誹謗中傷にも耐え、さらなる虚構のサイトを開設しようというモチベーションは、もはやついえてしまったのでしょうか。
aventure number : 0191 date : 2003/7/15


今日の禁断 スクラッチ
  「おやぢの部屋」で、先日、某サイトの指摘でCDの発売を一時見合わせたという話を紹介しましたが、それと同じか、或いはもっと深刻な事態を経験してしまうとは。今日の「おやぢ」を見ていただくと分かりますが、私の大好きな(というのは、なにかしらネタを提供してくれるので捨てがたいという意味ですが)フルーティスト、エマニュエル・パユの最新のアルバムを聴いたところ、あちこちノイズだらけで、とてもまともに聴いていられない状態だったのです。それは、「コピー・コントロールCD」、略して「CCCD」と呼ばれている仕様のものでした。違法コピーを防ぐために、パソコンでコピーすることが出来ないようになっているCDで、ポップスではかなり前から導入が進んでいましたが、クラシックではちょっと実行が遅れていました。しかし、東芝EMIというメーカーは、いち早くこれを採用、パユはEMIのアーティストですから、必然的にこの仕様になったわけです。これについては、今まで漠然と「音に影響がある」ぐらいの話は聞いていましたが、まさかこれほどひどいとは思ってもみませんでした。今日私が体験したところでは、ちゃんとした、かなり信頼の置けるプレーヤー(ソニー)の場合だと、それは「ノイズ」という形で、はっきりだれにでも分かる音となって現れてきます。ところが、ちょっと精度の悪い、例えばDVDプレーヤー(パイオニア)では、そのノイズは発生しません。だから、一見何の異常もないように思ってしまうのですが、ノイズが出ていたあたりのフルートやハープの音には、明らかに歪みが生じているのです。これは、ソニーとパイオニアで楽器の音を比較した場合、はっきり分かります。おそらく、ソニーの場合も、普通のCDと比較すれば(それは全く不可能なことですが)明らかに歪んでいることでしょう。
 ポップスの場合、CCCDに対応するためにわざわざマスタリングを変えているアーティストもいるというぐらい、「音が変わる」というのは周知のことと見なされているのです。ですから、クラシックの場合、CCCDにするというのは、今まで長い時間かけて積み重ねてきた音を良くするための努力など根本から無視してしまうような、暴力的な作業に他ならないのです。東芝EMIのように、クラシックの制作に携わる人がクラシックに対する愛着を全く持ち合わせていない場合は、なんの抵抗もなく平気な顔をしてCCCDを出してしまえます。しかし、他のメーカーが、未だ積極的にCCCDを出そうとしないのは、そこにまだ良心のかけらが残っているのだ、と信じたいものですが。
 CCCDは、音が悪いだけではなく、プレーヤーにも悪い影響を与えるとされています。プレーヤーの寿命を縮めるような危険のあるCD(「おやぢ」のリンクにあるように、これはCDですらありません)を、お金を払って買う理由など、どこにもありません。発泡酒が、増税した途端に売上が激減したように、こんな欠陥商品を買わないようにすれば、メーカーも目が覚めることでしょう。
aventure number : 0192 date : 2003/7/17


今日の禁断 エルガー

 「のだめカンタービレ」の第6巻が出ました。今回の表紙はホルン、ちょっと3Dのデッサンが狂ってますが、まあ許しましょう。それよりも、各エピソードのタイトルの「Lesson〜」のデザインが、ト音記号とハ音記号が混在した五線という方が、気になってたまりません。しかし、5巻から、扉の楽譜がそれまでの「ボレロ」から「ラプソディ・イン・ブルー」に変わったということは、大学院に進んで自分のオーケストラを作ろうとしている千秋のもとで、のだめはガーシュイン(彼女にいわせれば「ガシュイン」)に挑戦するのでしょうか。楽しみですね。
 と、なんの脈絡もありませんが、前から見たかった「アイ・アム・サム」を、やっと見ることが出来ました。これはもう、有無をいわせぬ名作です。出来れば、きちんと映画館で見ておきたかった作品、今回ビデオで見て、映画館に行かなかったことを心底後悔しました。エンドクレジットが流れる頃には、顔中涙でしょっぱくなってしまう、そんな爽やかな体験が確実に味わえたはずなのに。そんなわけで、ルーシーはとことんかわいいし(ああいう男とああいう女の間に、こんな子が生まれるというのが、いってみれば奇跡です)、ミシェル・ファイファーは超かっこいいしで、これだけ非現実が重なれば、安心してストーリーに入って行ける心地よさがあります。そして、一番いいとこを取ったのが、ローラ・ダーン。ちょっと唐突ですが、彼女が最後に見せる「いい人」ぶりには、悔しいけれど泣かされてしまいます。私が最初に見たこの人の出演作というのが「ジュラシック・パーク」だったため、なかなか普通の役に対する違和感がぬぐえないというハンディを乗り越えての、健闘ぶりでした。
 もちろん、この作品に期待していたのはそれだけではなかったのは、おわかりでしょう。そう、サウンドトラックで使われているビートルズのカバーを聴きたかったのが、本当の目的だったのです。ビートルズのカバーのサントラというと、大昔、ビー・ジーズやピーター・フランプトンが出演した「サージェント・ペパー〜」がすぐ思い出されます。ジョージ・マーティンがプロデュースとアレンジで参加した豪華なものでしたが、その派手な作りはちょっと「違うな」と感じたものでした。今回は、後期の作品が中心、わりとシンプルなものが集められていますし、何よりも、各アーティストのオリジナルに寄せる共感が素直に表れているものばかりで、とても気に入りました。ですから、しっかりCDも買ってしまいましたよ。一番のお気に入りは、サラ・マクラクランの「ブラックバード」、それと、映画では使われていないニック・ケイブの「レット・イット・ビー」が、オリジナルの力みがすっかり消えていてナイス。ただ、ミシェル・ファイファーが「4人の中ではジョージが一番好きよ」と言っていたにもかかわらず、そのジョージの曲が1曲も使われていないのは残念でした。しかし、ジョージの場合、オリジナルを超えるカバーに出会ったことがありませんから、そこまで見越しての選曲だったのかも知れませんね。ハウイ・デイの「ヘルプ」みたいなことをやられたら、ちょっと悲しくなってしまうでしょうし。
aventure number : 0193 date : 2003/7/18


今日の禁断 コルネット

 今月号の「レコード芸術」の表紙に使われていた写真が、ヴィオラ・ダモーレだと気が付いた人が、いったい何人いたことでしょう。かなりの音楽ファンでも、普通は「チェロ」とか「ヴァイオリン」だと思ってしまうはずです。確かに、一見ヴァイオリンのような、弦が張ってある駒のあたりがアップになった写真なのですが、弦の数が7本、しかも、駒の下に穴が空いていて、そこにもスチールの弦が張ってあるのです。さらに、よくよく見ると、F字孔の形がちょっと異様です。もちろん、私はこの楽器のことはよく知っていますから、たちどころにヴィオラ・ダモーレだと答えましたし(だれに?)、さらに、こんなマイナーな古楽器を表紙に使ったレコ芸編集者のセンスをちょっと見直したものでした。余談ですが、私の中ではこの楽器のように現在の音楽シーンではまず普通には使われない、ということは、過去のある時代のみに活躍した楽器が「古楽器」。同じような言葉で「オリジナル楽器」という言い方がありますが、それは、例えばモダン・ヴァイオリンに対するバロック・ヴァイオリンのように、現在でもバリバリ使われていて、昔は別な形だった楽器のことを言います。これは、あくまで私の定義、しかし、もちろん何も考えずこの2つの言葉を同じように使っている人は山ほどいますがね。つまり、このような鼻持ちならない知ったかぶりな態度には、少なからぬ嫌悪感を抱く人も山ほどいらっしゃるわけで、そんなねちねちした女々しい反応などは笑って聞き流すのが、大人というものです。
 そんな態度を貫きつつ、ふぐりはんたあ(だったかな)さんお気に入りの「のだめカンタービレ」が、いかに深い音楽的素養に支えられているかということを検証してみようというのが、実は今日のテーマ。というのも、単行本の「目次」のページには、さまざまな楽器が壁紙として描かれているのですが、その中に、とんでもないものを発見してしまったからなのですよ。それは、一見、それこそヴァイオリンだと思って見逃していたのですが、よくよく見ると糸巻きの部分がヴァイオリンとは微妙に違っています。さらによく見ると、指板からはずれたところにも弦が張ってあるではありませんか。これはどうやらドローン弦、ということは、これは「リラ・ダ・ブラッチョ」などという、真の古楽器マニアしか知ることのない珍しい楽器ではありませんか。それだけではありません。同じページには、「オフィクレイド」という、今のようにオーケストラで普通にチューバが使われるようになる前に低音を担当していた管楽器が描かれているのです。最近は「幻想交響曲」を、本来の姿であるこの楽器で演奏することも行われてはいますが、普通に生活している私たちは、まず一生実物を見る機会はないだろうというほどの珍しい楽器です。
 あれほど音楽の心をリアリティあふれる筆致で描ききっている二ノ宮先生(あるいはアシスタントの方)のことですから、これらの楽器は、確かな必然性をもって、この場のカットとして選ばれたに違いありません。間違っても、その辺にあった楽器図鑑からなんの考えもなしにただ写しただけだなどと考えることは、許されませんよ。
aventure number : 0194 date : 2003/7/20


今日の禁断 パッセージ

 車に乗っているときは、ラジオをつけっぱなしにしています。ちゃんとCDプレーヤーもあるのですが、なぜか聴く気にはなれません。最初のうちは面白がって色々CDをセットして聴いていたのですが、一回りして同じ曲が出てくるのがいやだったのと、基本的にカーステレオというものはSNが悪いものですから、やはりCDはちゃんとしたリスニング環境で聴きたいということで、遠ざかってしまいました。クラシックに限らずロックでもなんでも、音楽は音楽以外の音のないところで聴きたいもの。車の中というのは、音楽を聴くにはもっとも適さないところです。ですから、車の中で聴くのは、もっぱら地元のDate fm、何よりも、民放FMというのは朝から晩までレコード会社のプロモーションをやっているようなものですから、最新のギョーカイの動きが手に取るようによく分かるという面白さがあります。
 番組の進行を担当している人のことを、かつてはDJとかパーソナリティ(ふ、古い)とか言っていましたが、最近ではナビゲーターというのが普通の言い方みたいですね。きっと口が大きいからなのでしょう(それはアリゲーター)。その時のナビゲーターは二瓶由美というフリーのアナウンサーでした。それはお祭りかなんかの話題だったのでしょうが、「けいないでは」と言ったのには驚いてしまいました。漢字で書けば「境内」、もちろん、普通の日本人だったら小学生でも 「けいだい」と発音するのが当たり前の単語をです。この二瓶由美という人、ちょっと前に「のっけから、素晴らしい曲をお送りしました」(正確な言い方は忘れましたが)みたいな言い方をしたので、すでに私の中には「言語感覚が狂っている人」、というイメージが刷り込まれていたのですが、まさか「けいない」とは思ってもみませんでした。分かりますよね。「のっけから」と言えば、次に続くのはどちらかと言えば否定的な表現です。「のっけから、ひどい目にあった」みたいに。しかし、彼女の中には単純に「のっけ=最初」という連想しかなかったのでしょう。まさか、プロのアナウンサーがそんな間違った言葉を使うはずはない、というのは、だいぶ前から実体のないテーゼと化しています。
 ところで、この文章では、ここまでに、「まさか」という単語が2回登場していました。これも、あくまで私の中でですが、最近この単語について居心地の悪い使い方を良く耳にすることがあります。「まさか、犯人が吸ったたばこの吸い殻でしょう」(だったと思います)というセリフが「本池上署」の中で使われていたくらいですから、こういう使い方はかなり蔓延しているのでしょうが、私は気持ち悪くてしょうがありません。この「禁断」の中では、「まさか〜思ってもみない」や「まさか〜使うはずはない」のように、「まさか」のあとには必ず否定形が来ています。それが普通の使い方だと思っている私の言語感覚は、もしかしたら二瓶由美のように狂ってしまっているのでしょうか。
aventure number : 0195 date : 2003/7/22


今日の禁断 根本要

 山手線の駅名を全部言うことが出来ますか?時計回り、つまり「廻り」だと、こうです。東京、有楽町、新橋、浜松町田町品川、大崎 、五反田、目黒、恵比寿、渋谷、原宿代々木、新宿、新大久保、高田馬場、目白、池袋、大塚巣鴨駒込、田端、西日暮里日暮里鶯谷、上野、御徒町、秋葉原、神田。これは、だれでも知ってますよね。案外、全部の駅名を暗唱できるなどという人も多いかも知れませんね。しかし、「飯田線を豊橋から中部天竜まで」暗唱できる人などは、殆どいないことでしょう。しかし、私はそれをやったのです。いいですか。豊橋、船町ふなまち)、下地(しもじ)、小坂井こざかい)、牛久保うしくぼ)、豊川三河一宮みかわいちのみや)、長山江島えじま)、東上(とうじょう)、野田城のだじょう)、新城しんしろ)、東新町ひがししんまち)、茶臼山ちゃうすやま)、三河東郷みかわとうごう)、大海(おおみ)、鳥居(とりい)、長篠城ながしのじょう)、本長篠ほんながしの)、三河大野湯谷ゆや、現在は「湯谷温泉」)、三河槙原柿平かきだいら)、三河川合みかわかわい)、池場いけば)、東栄とうえい)、出馬いずんま)、上市場かみいちば)、浦川うらかわ)、早瀬はやせ)、下川合しもかわい)、そして中部天竜(ちゅうぶてんりゅう)。どうです・・・といっても、これでは暗唱かどうかは分かりませんが。
 まあ、たとえ、これがなにかを見て写したものであるにせよ、ある時期、確かに全部暗記していたことは確かにあったのです。それは、私の小学校時代、その最後の駅、中部天竜(そこの人たちは、昔からの呼び名で「なかべ」と言っていました)のそばに住んでいたことがあるのです。このひとつ先の駅が「佐久間」、ドロップではなく、ダムで有名なところです。ですから、当然すごい山の中で、まともなお店などありませんから、休みの日に親子揃って飯田線に乗って豊橋まで買い物に出かけるのが何よりの楽しみでした。何回も乗っていれば、自然に駅名も憶えてしまいます。「ゆや」とか「いずんま」なんて、なんか楽しい名前ですし。
 と、なんか滑舌の悪い今日の「禁断」ですが、これには訳があります。お馴染み、全文検索をやってくれている「お助けマン」から、「あと40で、サイトのキーワードが10万になります」というメールが届いたのです。つまり、今日の朝9時4分の時点で、合計キーワード数が99,960だというのです。彼の言葉を借りれば、私は「10万近くの言葉を知っている」ということになるのだそうで、個人のサイトとしては、これはかなりすごいことらしいのですね。もちろん、サイト内には私以外の人が書いたものもありますので、全部私というわけではありませんが。しかし、ここまで来たら、ぜひ私の手で10万を達成したいもの。そこででっち上げたのが、固有名詞のかたまりである「駅名」の羅列です。ボールドが、検索で引っかからなかった言葉。どうです、これで10万になったでしょう?
(7/26 00:10追記)
 今、ログが送られてきました。それによると合計キーワード数は100,047、今回のアップはこれだけですから、この「禁断」の中には87個の新しいキーワードが含まれていることになりますね。それにしても、今の地震は。
aventure number : 0197 date : 2003/7/25


今日の禁断 レオン

 いつから降り続いていたかも思い出せないほどの雨、まるでこのまま一生やむことがないかと思い始めた矢先、まるで奇跡のように見ることができたその青空は、まるで秋の空のようでした。今年は、梅雨が明けたら、夏をすっ飛ばして秋になってしまうのでしょうか。
 それでも、お天気が良くなったのは、きのうの地震の被害者の方にとっては、何よりのことだったのではないでしょうか。一昨日の夜、「禁断」を書き上げて12時過ぎにメールをチェックしたところ、全文検索キーワードがついに10万を超えたという知らせが「あ」さんからもたらされました。そんな遅くまで私のサイトのために会社に残ってダウンロードと解析をやっていたなんて、頭が下がる思いです(あ、ご自宅で出来るんですか)。ですから、早速、その日の「禁断」の成果を書き込もうとエディターを立ち上げた直後、あの地震の第一波が襲ってきたのです。正確に2ヶ月前の地震とよく似た揺れ方、私の部屋の例のビデオの山は、大きく揺れて今にも崩れそうでした。パソコンを離れて、とりあえずビデオを支えてみましたが、支えきれなかった一山はやはり見事に崩壊してしまいました。とにかく、書きかけの「禁断」をアップして、あとはテレビで情報収集です。BSですら、それまでやっていたラトルの現代音楽のコンサートを中断して、地上波と同じ地震情報を流し始めましたから、やはりかなり大きな地震だったことはすぐに分かりました。ただ、全国中継のアナウンサーが、松島かどこかの人に電話でインタビューしてて、その人が「にがいにいだもんだから」と答えたのに「へっ?」と意味不明の意思表示をしていたのが印象的だったくらいで、それほど大きな被害はなかったようでとりあえずは一安心。
 そして、次の日の朝は、やはり大きな揺れでたたき起こされることになるのです。これが2度目の地震。NHKはもとより、民放でも一日中地震関係の報道が流されるという、異例の体験を味わうことになる一日の始まりでした。幸い、私の住んでいるところはなんの被害もありませんでしたが、同じ県内では、この地震による被害は甚だしいものであったことが、次第に明らかになってくるのです。「矢本」とか「広淵」といった地名が頻繁にアナウンサーによって語られます。そう、今回大きな被害にあった宮城県北部というのは、私の妻の実家のそば、いつも車で行くときに通っていたまさにその道に面していた建物たちが、無惨にも変わり果てた姿で画面に登場していたのです。不気味に繰り返される余震に怯えながら、天災の前での人間の営みのちっぽけさに思いを巡らしたものです。
 地球外生命体によるアブダクトなどというものが、このような天災と比較したときにどれほどの位置づけがなされるのか、という議論はさておき、放映が始まったスピルバーグのドラマ「テイクン」はなかなか見応えがありそうな感触です。ナレーションを担当しているのが「アイ・アム・サム」のルーシー役の名子役ダコタ・ファニング、後半には実際の姿も登場しますから楽しみです。この子がこれからどのように成長していくかも興味が持たれるところ、ナタリー・ポートマンのようにだけはなって欲しくはありませんが。
aventure number : 0198 date : 2003/7/27


今日の禁断 エクスタシー

 今日の練習は、管分奏です。このところ、管分奏というと「パルシティ」がお馴染みですが、今回はいつも合奏をやっている旭ヶ丘が会場です。もちろん、練習の日程表は私が作っているのですから、そんなことは分かっていたはずなのに、先週の練習の時に金管パートの人がエキストラに人に「来週の分奏はここだから、間違えないでね」と話している声が聞こえてきて、初めて気がついたという始末です。習慣というものは恐ろしいですね。ですから、あっチャンが「今日は旭ヶ丘ですよねぇ」と電話をかけて来たとき、同じような心配をしている人がいるものだと思ってしまいましたよ。ところが、中には、なんの疑いもなくパルシティに行ってしまった人もいたのですね。本人の名誉のために、敢えて実名の公表は差し控えますが、それ以外の人は間違えなく来ていたので、この方だけ特別パルシティへの思い入れが激しかったのでしょうね。
 そうこうしているうちにあっチャンが到着しましたが、なんと、「楽器を忘れた」ですって。まだ若いのに・・・・。と、最近は本当にちょっとしたことを忘れることの多い私には、人のことは言えません。私の場合、「やったことを忘れる」というパターン。まだやっていなかったと思って手をつけてみると、それはもうすでに出来上がっていた、という場面の多いこと。だから、仕事に支障が出ないというだけ、まだ良いのでしょうが。楽器の話ですが、フルートは忘れたのに、なぜかピッコロだけは持ってきたという不思議な状態だったので、フルートは、ちょっと寄り道して遅くなったちほさん(と言ってしまえば、先ほどの配慮がなんにもなりません)に借りれば、全く問題はなくなるはずでした。ところが、ちほさんの楽器はリングキー、あっチャンはカバードしか使ったことがないので、私に「例のもの」をおねだりです。それは、ポリ袋に入った小さな錠剤、これを飲むと、運動機能が高まって、キーの穴など難なく押さえることが出来るようになります。もちろん、気分は高揚して、音楽的なイマジネーションもどんどん湧いてくるという・・・・・ちがいますっ。確かに、外見は昨日テレビでやっていた麻薬の錠剤とそっくりですし、それをピアノの上でひっそり受け渡している姿にはある種異様なものがありますが、これはリングキーの穴の中をふさぐ詰め物だったのです。一時、左手の4の指が自信がなかったので買ったものが、役に立ちました(今はもう使っていません)。
 「はげ山」と「ハチャコン」をみっちりやったのですが、ハチャコンでは一応確認したつもりのパート譜とスコアとの違いがまた見つかってしまいました。実は、今日やらなかった2楽章のフルートパートには、スコアとパート譜で音が違っているところもあるのです。CDだと、スコアの音(B)が3種類、パート譜の音(Bb)が2種類、これでは、どちらが正しいのかは分かりませんね。もっとも、掲示板にあるように、明らかに間違っているものを正しいと信じている人は論外です。自分の間違いに気づかず他人を非難するというのは、もっとも恥ずべき行為です。
aventure number : 0199 date : 2003/7/29


今日の禁断 蓑寿司

 瀬尾さんとの練習を控えて、ニューフィルの中では慌ただしさが増してきています。といっても、それはもっぱら裏方でのことなのですが、なんと言っても終わってからの懇親会に関心が行くのは、当然のことでしょう。お忙しい中(八ヶ岳でのコンサートの直後岩沼入り、これが終われば直ちに北九州へ)せっかく時間を割いてくれた瀬尾さんの身になって(ご本人が言うわけはありません)いろいろ考えてみたことが、なかなか実現しなかったという歯がゆさは残りますが、なにはともあれ具体的な形が出来ましたので、公式掲示板をご覧になって、早めに出席の意志を伝えてください。実は、昨日、たまたま6号から10月の練習場についての緊急の問い合わせがあったので、瀬尾さん本人に電話をしてしまったのですよ。日本に来るたびに番号を変えていたので、去年教えてもらった番号ではつながらないだろうと思ってかけてみたのですが、見事に瀬尾さんが出てきたもので、一瞬焦ってしまいました。とりあえず10月の予定を確認したあと、今度の練習は瀬尾さんの分が終わっても我々の練習が終わるまではかなり時間があることを伝えたのですが、快く納得してくれたのには、ほっとしました。その優しさに甘えることだけは、あってはなりませんが。
 ところで、先日の地震があったまさにその時、横浜に行ってJAOのフェスティバルに参加していた人たちの先陣を切って、「か」くんから報告書が届きました。これから書く人を怖じ気づかせようというつもりは毛頭ないのですが、5000字を優に超すそのレポートは、とても読み応えのあるものでした。克明に綴られた練習や練習以外の様子は、まさに実際に参加しなければ分からないものです。中でも、春の指揮者に決定した岩村さんの最新の情報は、私たちにとってとても役立つものになるはずです(もう一人の指揮者の情報も、別の意味で役立ちます)。これぐらいのものが(だから、別にプレッシャーをかけているわけではありません)あと4本来るなんて素晴らしいことですね。編集長としてはどれを次号に載せてどれを次に回すかなどという、嬉しくてしょうがないことで悩まなければならないのですから。といっても、今度の発行はお盆明け、この報告書(原稿とも言う・・・どこかで使ったな)を早く読みたいのでネットにアップしてくれと言う声があれば、それに応じるのにやぶさかではありません。もちろん、ご本人の承諾は得て、ですが。
 編集長といえば、私がかつて原稿を送っていた相手の正体が分かって愕然としているところです。こんな男(気味悪さと女々しさという点では、「男」ですらありません)のために骨身を削って仕事をしていたなんて、悔しさしか残りません。その世界に引きずり込んだ者も含めて、もはやその周りの人間と関係を持つことはないでしょう。
aventure number : 0200 date : 2003/7/31

03/8/3-03/9/7