今日の禁断 |
トゥナイト |
40年以上も前に作られた「ウェスト・サイド物語」が、「ニュープリント・デジタルリマスター」として蘇ったという噂を聞いて、わざわざ東京まで見に行ったのは、去年の末のことでしたね。結局、画面には見苦しいノイズが出ているし、音も、会場のせいで(映画館ではない、普通のホール)サラウンドが全く味わえず、がっかりしたものでした。それこそ、各種のメディアで伝えられる情報がいかに無責任で、良心のかけらもないものかを、身を以て体験させられたものです。「広告表現の可能性」などと言うものは、情報を間違いなく伝えた上でしか成り立たないことを、その方面に携わる人は知るべきです。
その映画が、利府のMOVIXで上映されていたのは、だいぶ前から知っていました。ここだったら、少なくとも音に関しては問題がないはずですので、ぜひ見に行きたいと思っていましたが、なかなか時間が取れないでいるうちに、とうとう今週いっぱいで終わってしまうことになってしまいました。そこで、今日の午後、仕事をやりくりして行ってくることにしました。なんといっても、月曜日は「メンズ・デー」で1000円で見れますし。さすがに、そんなに人が殺到するようなものではありませんから、上映されていたのは9番シアターという、利府では一番小さいシアター、それでも90人ぐらいは入りますし、スクリーンも大きすぎず、良い感じです。時間になったので入ったところ、私が一番乗り、ど真ん中の音の良さそうな所に座ります。ところが、後に続くお客さんがいつまで経っても現れません。下手をすると、私(達)だけで貸しきりかなと思い始めた頃、ぼつぼつ入ってきました。結局その回に集まったのは、全部で11人、そのうち二人連れは3組だけ、あとの5人は1人で来ていましたね。これだけだと、果たして私に連れがあったのかどうかというのは分かりませんが、その辺はご想像に任せましょう。
期待していたとおり、音は、東京の「ル・テアトル銀座」とは比べものにならないほど見事なものでした。これでしたら「デジタルリマスター」と言っていたのも納得です。最新の映画館の音響に対応できるだけのクォリティは十分確保できるものに仕上がっています。もちろん、最初からクォリティの低いトゥッティでのひずみなどは仕方がありませんが、細かいソロ楽器の音が、とてもはっきり浮き上がって聞こえてきたのは、ちょっと感激ものでした。序曲でのハープとか、「マンボ」でのトランペットのハイ・ノートなど、なんだか初めて聴いたような気になった部分も何カ所も。もちろん、サラウンドもきっちり決まっています。それから、びっくりしたのは、東京で最も我慢の出来なかった画面のノイズが、全く見えなかったこと。ドクのキャンディストアで、決闘の相談をしているシーンに、ほとんど1リール全てに渡って、画面中央に現れていた見苦しい数多くの点々が、本当に全然見えなかったのです。これがどういうことなのかは、知るよしもありませんが、全く思いがけなく、音だけではなく画面も素晴らしく(多少の褪色はありましたが)蘇った「ウェスト・サイド」を見られて、またまた幸せな思いに浸っているところです。 |
aventure number : 0161 |
date : 2003/5/19 |
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