0081(02/12/7)-0100(03/1/13)

今日の禁断 シネコン

 今年の「角田第九」は、角田市の隣町、大河原町で開催されます。「えずこホール」というのがその会場、だいぶ昔に近くを通った事はありましたが、中で演奏するのは初めて、楽しみです。何しろ、今までは体育館だったのですから、どんなホールでも「ホール」と名前がついていさえすれば、それだけで大満足です。
 仙台からの道のりは、最初は角田に行くのと同じ。途中で別な道に入らないで、ひたすらバイパスを走っていくと、しばらく殺風景な田舎道が続きますが、ちょっとにぎやかになったかと思うと、右手にそれらしい建物が見えてきました。緑青が良い具合になじんで、なかなか貫禄があります。近くで見るとこんな感じ。
 「えずこ」というのは、赤ん坊を中に入れておく保育器みたいなものだそうですが、どちらかというと「竪穴式住居」と言ったほうがふさわしいようなたたずまいです。すぐそばに「フォルテ」という、音楽用語を名称にしたショッピング・モールや映画館があって、この一帯はそれまでの寂しい風景がうそのような活気を見せています。
 ホールは600人程度のキャパの中ホール。ステージが狭く、とても「第九」などを演奏するスペースはないと聞いていたのですが、行ってみると、客席の最前列4列を取り払って、そこまでステージを拡張していました。ですから、オケの弦楽器の人は、ほとんどその延長部分に乗っかっている事になります。合唱とオケが全員揃うと、ホールのほとんど3分の1ぐらいを占領しているほど、本番ではお客さんが入り切らないのではないかと心配になってきます(このあたりの写真はいずれ公式ページに掲載される事でしょう)。というわけで、この大所帯のはじめての合同演奏が始まります。最初の歌伴は2階の客席で聴いてみましたが、言われていたほど残響があるわけではなく、程よい響き具合でした。オケが前に出てきているのが原因なのでしょうか。コーラスもなかなか厚みがあって、やはりちゃんとしたホールで聴くのは良いものです。しかし、何しろ初めての合わせですから、いろいろ不具合もあって、時間はどんどん押して行きます。結局、合唱の入る「第九」の4楽章までやって休憩になったのですが、ほんの15分ぐらいの時間でお弁当を食べなければいけないことになってしまいました。これは管楽器にとってはちょっと辛いものがあります。しかし、みんなでワイワイ言いながらの食事は楽しいもの、しできさんのこんな薀蓄を聞かされれば、それはなおさらです。「かつて、この近隣では3つのホールを作る計画だったんだよ。名前がそれぞれAずこ、Bずこ、Cずこ。結局計画は縮小されて、Aずこだけが実現したってわけ。」
aventure number : 0081 date : 2002/12/7


今日の禁断 川井郁子

 やっと終わりました。角田の第九演奏会、ではなく、私にとってはそれよりも大切な、「かいほうげん」の編集がです。きのうとおととい写真を撮りまくり(いえ、別にパツキンのズラをだれかれとなくかぶせて撮っていたというわけではなく)、公式レポートにふさわしい体裁を整えて2ページ分をレイアウトし終わったということです。これで、予定通りあさっての練習には最新号をお届けできるはずです。さらに、もうひとがんばりして、公式サイト用のコンテンツも作ってしまいました。こちらにアップしたばかり、見てください(しつこいようですが、パツキンは登場しません)。こんなタイトなスケジュールですから、もちろん「Magi」の原稿なんか取り掛かってもいません。
 今日は朝の9時半に大河原集合でした。きのうの帰りは一時間以上かかったので、余裕を見て8時ちょっと過ぎには出発です。でも、日曜日ということもあって道は空いており、一時間かからないで例の右手に青い屋根の「竪穴式住居」が見える交差点に到着してしまいました。お茶を飲んだり、ゆったりしているうちに、リハーサルが始まります。寿一さんにしてみれば、私たちときちんとしたホールで演奏するのは初めてのことになります。そのせいかどうかは分かりませんが、いつか言っていた「市民オケで、段々うまくなっていくオケは珍しい」ということを再度繰り返していたのは私たちにとっては誉め言葉と受け取っておきましょう。もしかしたら、寿一さんの考える「市民オケ」というものは、とてつもなく向上心のない親睦団体のことなのかもしれませんが。
 開演時間になると、予想通り、会場はほぼ満席になってしまいました。私は、降り番の第一部は写真を撮るために2階席へ。演奏開始間際まで、お客さんはどんどん入ってきて、座るところはほとんどありません。子供合唱団用に確保してある席にまで、ちゃんと表示してあるにもかかわらず見えない振りをしてちゃっかり座る人もいるほどです。さすがに、体育館みたいに走り回っている人はいませんでしたが。
 出番の「第九」では、久しぶりに大変な思いをしてしまいました。何しろ暑い。きのうに続いてしできさんがいみじくも「暖気の歌」(「寒気の歌」じゃないってことです。念のため。)と名づけたように、汗が止めどもなく流れ出してくる暑さです。もちろん、コンディションは最悪のはずですが、それほどひどいことにはならなかったのは、私自身の進歩でしょうか。特に、前はこんな状態では絶対吹けなかった第3楽章がとても気持ち良く吹けたというのは大収穫。これは、オーボエのなおこさんとの相性が良かったせいかもしれません。
 帰り際に駐車場へ向かう途中、ホールとそっくりの緑青の屋根の建物がありました。そばにいた1号さまはすかさず「これがBずこホール」ですって。こんな、不思議な感性の持ち主がいなくなるのは、かなり寂しいものがあります。
aventure number : 0082 date : 2002/12/8


今日の禁断 一つ振り

 東京あたりで大雪が降って大騒ぎをしているというのに、肝心の仙台ではさっぱりだと思っていたら、今朝は一面の銀世界、やっぱりもう冬だったのですね。お昼頃まではかなり降っていましたが、道路にはまだまだAずこホールの暖気が残っているようで、交通の障害になるようなことはありませんでした。駐車場も、雪が溶けて濡れているだけ。
 さて、「第九」も終わって待望のマーラーが始まります。今回は私は少し楽をしようと、シンフォニーの頭はあっちゃんに任せて、「リュッケルト」のほうに専念しようと思っていました。だから、シンフォニーは主に3番のパートをさらっていたのです。ところが、練習場に現れたあっチャンは、「わたし、リュッケルトがやりたいの〜」と、甘ったれた声でおねだりをしてきました。私としては、かわいいあっチャンが望むことなら何でもかなえてあげたいと、常日頃心に決めていますから、「うん、別に、構わないよ」と明るく答えます。ただ、とりあえず今日は1番を吹くテンションではないので、あっチャンに1番を吹いてもらいましょう。
 久しぶりに練習指揮者に復帰した和紀クンの指揮で、初見大会が始まりました。冒頭のトランペットの葬送行進曲に続いてのトゥッティ、きちんと打楽器も入って、いかにもマーラーらしい響きが出たのにはうれしくなってしまいました。和紀クンも、心なしか陶酔の境地にでも入っているような雰囲気です。しかし、フルートが出てくるまでの長いこと、スコアを見ていないと今どこなのか分からなくなってしまうほどです。特に3番ともなると、吹いている場所はほんとに少ないもの、これは楽が出来ます。このまま3番で無理をせずに終わるか、果敢に1番に挑戦するか、思案のしどころですね。とりあえず、途中少々止まりはしたものの、しっかり最後まで通せてしまったのですから、こんな、演奏会の2日後の練習にしては上出来です。「アダージェット」では、誰が手配したのだか、しっかりハープの代奏のピアニストも来てましたし(バスクラ奏者とピアノ椅子の奪い合いをしていたのは、ご愛嬌)。金管あたりは、終楽章の最後のコラールは、実に気持ちよさそうに吹いていましたね。それに比べたら、プルートのパートはとても地味で、ちょっと「役不足」のような気がします。クラあたりに比べると、パート譜が5ページくらい少なくなっていますし。
 1回通し終わったら、後半は、このたび初めて練習指揮者に就任したしげちゃんの出番です。ちょっとほかの人とは違った指揮ぶりに、団員からは一様に戸惑いの声があがっていたようですが、まあこれは場数を踏んだ後にどうなるかということで、しばらくは暖かく見守ってあげましょう。
 「かいほうげん」は無事完成、休憩時間に配っていたら、9号が「1号さまに渡すので、1部下さい」と言ってきました。楽器に封印をしてしばらくは静養にハゲむ1号さまが練習場にいないという現実を、私たちはどう受け止めたら良いのでしょうか。帰りの駐車場では、溶けた雪がすっかり凍りついていました。
aventure number : 0083 date : 2002/12/10


今日の禁断 RCA

 おとといの練習のとき、私は得意がってみんなの前である提案をしました。それは、「かいほうげん」に掲載した「リュッケルト」のCD購入の仲介をしても良いというものでした。仙台ではなかなか手に入りにくい輸入盤ですし、紹介した手前、一応言っておかなければと思ったのです。ですから、実際に「買いたい」という人が10人以上も現れてしまったのには、一瞬あせってしまいましたよ。本心では、せいぜい4〜5枚の注文だろうと踏んでいたのです。そのぐらいだったら何とかなるだろうと。というのは、私が当てにしている「伝手」というのが、憶えてらっしゃる方もいるでしょうが、前にガッティのマラ5を手配してもらったところなのです。思い出すのも苦々しいことですが、あの時は20枚以上すぐ手に入るようなことを言っておいて、いざ頼んだら有るのは6枚きりということで、散々な目に遭いましたっけ。ですから、10枚も注文を受けても、とても全部は入手できないと思っても当然でしょう。事実、この枚数を伝えられた「伝手」は、一瞬絶句したものでした。そして、「入るかどうかわかんねーけど、一応メーカーにオーダーを出してみらぁ」という情けない返事。結果は今日分かるということでした。
 前例がありますから、もう私は心配でたまりません。いい気になって注文を取ったはいいが、物が入らなかったら、なんと言い訳しよう。そんなことを考えると、夜も眠られませんでした。大体、あんなマイナーなアイテム、そもそもメーカーにだってないかもしれませんし。不安は募るばかりです。
 「伝手」から電話があったのは、今日の午前中。しかし、予想を裏切って、こともなげに「全部入ったよ」ですって。良かったですね〜。これで、来週の練習日には全員の方に現物をお渡しできますよ。話ではまだいくらでも倉庫に有るみたい。まだ他に希望される人がいたら、再度オーダーしますので、申し出てください。ただし、100%保証は出来ませんから、その時は代替品を用意しましょう。
 さて、毎月恒例の「Magi」ネタですが、今月のレビューの中に私の大好きなジェームズ・ゴールウェイのベストアルバムが入っていたのにはうれしくなってしまいました。今日サンプルが届いたのですが、曲目を見ただけでどんな演奏だったか即座に思い浮かべることが出来るものばかり。ですから、音を聴かなくても原稿は書けてしまいます。何よりも本心から好きなものですから、筆の進みの速いこと、あっという間に出来あがってしまいました。ちょっと前まで、どうしようもないアーティストのレビューを苦心惨憺してでっち上げていたところですから、その反動もあって、普段の原稿にはまず登場しない、ちょっと常軌を逸した表現の大安売り、結局、本気で誉めるとここまでなるということでしょうか。調子に乗っての書きたい放題、最後の部分は、もしかしたらカットされるかもしれませんね。
aventure number : 0084 date : 2002/12/12


今日の禁断 ガッツ石松

 だいぶ前になりますが、「何はともあれ」ということで「ハリー・ポッターと秘密の部屋」を見てきました。たしか、公開が始まったその週に一度行ってみたんですよね。そうしたら、すぐ見れる回はほぼ満員、一番前か一番後ろなら空いているというのです。そこで、一番後ろならと思ってチケットを買おうとしたら、○OVIX利府のカウンターのおね〜さんは、「どの席が取れるかは買ってみないと分かりません。前になることもあります」と言うのです。そんな理不尽なことってありますか。「次の回でしたら、良い席がありますが」と言っていましたが、そんなに待つ時間もありません。仕方ないので、せっかくきたのだからと「たそがれ清兵衛」を見てきましたよ。まあ、これはこれで、ツボを押さえた秀作でしたね。田中泯ひとりが、見事に浮いていましたが。
 そんなわけで、「ハリポタ」を見れたのは次の週でした。そのころになると客席は7割程度の入りでした。評判通り、映像的にはとても手間がかかっていますが、はっきり言って疲れました。かなり後ろの席だったのですが、あまりの動きの激しさに目が追いつきません。こんなものを一番前で見たりしたら確実に体に良くないですよ。ほとんどジェットコースターのノリですね。だから、そういう感覚的なものを求めて見にきた人は大喜びでしょう。しかし、これをまともなストーリーが伴ったお話であると期待して見にきた人は、確実に失望感を味わうことになります。ほとんど物語としての体をなしていないプロットからは、ハリウッドの映画の作り方の根本的な過ちを、またもや思い知らされることになります。ですから、途中からはもう筋を追うのは放棄して、とことんサウンドとヴィジュアルを楽しもうと開き直るのが、賢い鑑賞法です。そうすれば、最近のサウンドトラックのクオリティの高さを心ゆくまで味わえるというものです。その点では、この映画館はとても満足の行くものです。
 そういう、上映環境の格段の進歩に合わせて、昔の映画を新たに修復するという作業もさかんに行われていますね。「スター・ウォーズ」とか「E.T.」とか。そんな流れで、1961年に作られた名作「ウェスト・サイド・ストーリー」も、「デジタルリマスターバージョン」というのが出来たそうです。試写を見てきた人は、決闘の前の「トゥナイト」という、ジェット団、シャーク団、アニタ(アニータ、ではない)、マリア、そしてトニーという5つのパートがそれぞれ独立した声部になっている、音楽的にもとても高度な五重唱の場面で、それぞれのパートがちゃんと別々の場所から聞こえてきたと、びっくりしていたそうです。さすが、デジタル技術は凄いものだ、と普通は思うのでしょうが、かつて「テアトル東京」でシネラマ版のこの映画を見て、すでに同じような体験をしている私にとっては、そんなにびっくりするようなことではありません。ところで、シネラマって知ってます?スクリーンが3枚、少し角度が付けてあって、そこに映写機を3台使って左、中央、右の画像を映すのです。これが380°(?)にわたってつながると、昔東京ディズニーランドにあった「ビジョナリア」になるのでしょう。シネラマもビジョナリアも今では絶滅してしまったようですが、確かに迫力はあっても、スクリーンのつなぎ目が目立って、笑えましたね。
aventure number : 0085 date : 2002/12/14


今日の禁断 グロッケン

 きのうは更新がなかったので、不審がった方も多かったことでしょう。実は、夕べは久しぶりの新作ファイルのための原稿を書いていて、とうとうこちらまでは手が回らなかったというわけです。そのぐらい頑張った甲斐があって、今日の午後には完成、すでにアップしてありますから、見てください。このファイル、はっきり言って手間と金がかかっています。そもそも構想を練り始めたのは1ヶ月ぐらい前で、簡単に仕上げるつもりだったのですが、たとえば、「手紙」を探したり、CDを買いあさったりと、思いのほか時間と出費がかさんでしまいました。でも、きちんと聴きこんだおかげで思いもかけない収穫があったりして、満足の行くものが作れました。資料も揃っていたので、夕べ実際に書き始めたらとても楽に筆が進みます。本当に好きなことを、十分に時間をかけて準備すれば、後は何もしなくても文章が出てくるという、とても楽しい体験でした。いつも、意に添わないアーティストのCDのレビューを苦心惨憺してでっち上げているのとは大きな違い、ほんの2時間ほどで、4000字ぐらいの原稿が出来てしまいましたよ。
 と、得意になっていたりすると、別のところで恥をかくことになります。前に作ったマラ5のドイツ語の対訳ですが、裕史サンのお陰でとんでもない間違いがあったのに気づくことが出来て、PDFのほうはすでに直しておきました。見比べて、配ったペーパー版を訂正しておいてください・・・というのでは、あまりに不親切ですね。要するに、スコアにあった「singend」と「Griffbrett」という2つの単語が、つながって一つの言葉になっていると勘違いしたのが敗因でした。ですから、その2つの単語を別々にして解説してあります。よしなに。
 さて、マラ5の2回目の通しです。今日は私はあっチャンとパートを入れ替えてみました。うーん、どちらもあまり魅力がありませんね。どのパートを吹こうが、フルートにとってはマラ5はつまらない、という結論で今日はお開きということに・・・。いえ、そんな冷たいことを言ったら、指揮の和紀クンに怒られてしまいます。2回目にして早くもマーラーの真髄を極めようという熱意がキラリ。ただ通すだけではない、こだわりのセッションとなりました。
 ところで、この写真は、このところ練習を見学に来ておられた外国人の方。オーボエののりえちゃんがエル・サルバドルに行っていた時のお友達で、現地のオケでファゴットを吹いているそうなのですが、なんと、彼のお国の作曲家のオーケストラの曲をプレゼントしてくれたのです。和紀クンが抱えているのがその譜面、一体どんな曲なのでしょう。彼はスペイン語しか話せないので、挨拶をりえちゃんが通訳などという、国際色豊かな光景が繰り広げられたひとときでした。
aventure number : 0086 date : 2002/12/17


今日の禁断 看護婦さん

 某民放で「猿の惑星」の特集をやっていましたね。1日「猿」ばっかしという、すごい企画、去年公開された最新作はまだ見てなかったので、見てみました。公開当時はかなり大騒ぎになったような思い出がありますね。「結局第1作を超えることは出来なかった」結末だということで、見てきた人の意見は一致していたようですが。ですから、まあ、過度の期待はやめようというスタンスで見始めたわけです。しかし、さすがはティム・バートン、楽しませるツボは心得ています。そして、このSFを、見事にお得意のおとぎばなしのフィールドに引き込んで、ファンタジー豊かなものに仕上げてくれました。こうなってくれば、数ある矛盾点などまったく気にはなりません。要は最後まで付き合える魅力があるかどうか、それが無いことには、いくら大掛かりなシーンを盛り込んでも無駄です。それで、肝心の「謎解き」ですが、まだかなり時間が残っているのに早々とわかってしまったのにはちょっとびっくり。だから、逆にもう一ひねりあるだろうと期待することになります。これが大正解、多少インパクトには欠けますが、確かに満足のいく結末、十分納得できました。と、こちらのほうは、ルールにのっとって何一つ具体的なことを書かなかったので、読んでいる方には何一つ伝わらないという、お約束の結末になってしまいました。
 しかし、ヘレン・ボナム・カーターが、「猿」役で出ていたのには、最初は気づきませんでした。この人、「ファイト・クラブ」での衝撃的な演技を見てから、すっかりファンになってしまったのですが、今回は(メークが)あまりにかわいそうな役。中途半端に人間臭さを出すくらいなら、いっそのこと特殊メークをやめて、「地」の顔でやってみても、この監督の作品の中ではあるいは許されてしまうかもしれません。そう、この物語の中で唯一違和感があったのが、旧態依然とした「猿顔」、これがバートン流のぶっ飛んだものであったなら、もっともっと楽しかったことでしょう。
 もう1本、印象的だったのは「ベティ・サイズモア」。いやぁ、レニー・ゼルウィガーってかわいいわ。これも大好きなレベッカ・デモーニーをそのまんま若くしたという感じ(といっても、もう33なのですが)、もう、顔を見ているだけで癒されます。ちょうど、映画の中のモーガン・フリーマンと同じような気持ちになれてしまう、と言えばわかるでしょう。グランド・キャニオンで幻を相手にダンスをする気持ち、分かるなあ。お話はまったく無駄のない見事なもの、ちょっと結末に物足りないものもありますが、ここまで楽しめれば大満足です。
 そろそろお正月映画も出揃いますね。中でも、ネバーランドに行ってきたウェンディの娘が、母親に代わって冒険をするというディズニーの最新アニメは見逃せません。なんたって、タイトルからしてインパクトがあります。「ピーター・パン2(ツゥ)」って言うんですから。もっとも、タイトルだけなら「ウルトラマン・コスモス」には負けますが。
aventure number : 0087 date : 2002/12/19


今日の禁断 未年

 今度の月曜日は祝日ですから、今日から3連休となった方も多いことでしょう。私もその予定だったのですが、月曜日に急に仕事が入って休めないことになってしまいました。これはよくあること、なんと言っても前もって分かる事ではないので、2〜3日前に急に、という事が多くなります。年末は何かと多忙で、この日には大事な予定を入れていました。それは「年賀状の印刷」。仕方がないので、急遽、今日の午前中にやってしまう事にしました。去年までは自宅にプリンターがなかったので、家では出来なかったのですが、今年からは大丈夫です。
 妻の分と一緒に、名簿を直したり、喪中の人を削除したりと、まず印刷用のファイルを作ります。それさえ出来ればあとは放っておくだけで表の宛名は印刷されてしまいます。このあたりは、職場で1桁大きいスケールの仕事をいつもやっていますから、なんということはありません。あとは裏の文面を印刷するだけ、これは去年のものをそのまま、画像だけ差し替えれば出来あがりですから、簡単なものです。もうこうなると失敗などは考えられません。ほとんど名人の仕事ですね。横で見ていた妻も、見る見るカラフルな年賀状が出来てくるのを感心し切って眺めています。ちょっと時間はかかりますが、セットしておけばあとはやることはないので、マーラーでもさらっていましょうか。
 そうこうしているうちに、妻の分の印刷は、ほとんど終わりに近づいていました。出来映えはなかなか、インクジェットの葉書も、いい色を出しています。「2002・1・1」、そうか、来年はもう2002年なんだ。この間21世紀になったばかりなのに・・・ええ〜っ!今年が2002年じゃない。そんなあ〜っ!・・・そうです。去年のファイルをそのまま使ったのはいいのですが、年号を直すのを忘れていたのですよ。ここまで出来あがっていたのが55枚、なんということでしょう。名人なんてそんなものです。
 気を取り直して、県民会館でやっている、劇団四季のミュージカル「壁抜け男」を見に行きました。例によって妻のお供。曲を作ったのが、あのミシェル・ルグランですから、あまり期待はしていませんでした。何しろ、もっとも有名な「シェルブールの雨傘」というのは、私にいわせれば愚作の極地。特にバックのオケの陳腐さときたら、ほとんど致命的です。期待にたがわず(って言うのかな)、この「壁抜け」の音楽は退屈極まりないものでした。全てのナンバーが、独特の決まったコード進行(クリシェ)によっていて、エモーションとか、カンタービレといったものとは完璧にかけ離れた世界、聴いていてつらくなるものばかりです。ただ、今回のPAにだけは、文句なしに感心させられました。スピーカーなどは本当に小規模なものなのですが、その音の素晴らしいこと、いまだかつて、これほど自然な音のPAを聴いたことがありません。やれば出来るんですね。
 こんなつまらない音楽なのに、終わってみればスタンディング・オベーションの盛り上がりですから、ほんとにこういうものが好きな人もいるのだなということにも、感心させられましたが。
aventure number : 0088 date : 2002/12/21


今日の禁断 清水脩

 きのうに続いて、今日もコンサートに行ってきました。といっても、これは本来「行ってくる」ものではなく、「出てくる」べきものだったのですが。去年も今ごろ、こんなことを書きましたが、東北大学男声合唱団が創立50周年ということで、去年と今年にわたって記念事業を展開、その一環としてのOBも参加しての合同ステージが、今年も実現したのです。今年は、なんと、わざわざこのために新しい曲を委嘱して、その作曲家による指揮で初演(もちろん世界初演)するという大イベントが実現しました。もちろん、私もOBとして、参加する意向はあったのですが、その練習日がことごとくニューフィルの予定とぶつかっていたので、ステージに立つのは断念しました。なんせ、最後の練習が角田の本番の日だったのですから。楽譜も全音から出版されて、手許に送られてきていましたが、結構難しそう。とてもゲネプロだけで参加するのははばかられますし。
 ということで、今年はコンサートの全ステージを客席で聴かせていただきました。川内の記念講堂は超満員、おそらく去年以上の入場者があったことでしょう。現役だけのステージでは、明らかに去年よりレベルが下がっており、ちょっとがっかりさせられてしまいます。もともと人数が少ない上に、毎年メンバーが変わる学生合唱団の宿命なのでしょうが、トップテナーあたりにはもっと人材が欲しいところです。そして、いよいよ合同ステージ。メンバーは総勢144人とのこと、これだけの人数の男声合唱を体験できる機会などそうそうあるものではありません。しかも初演曲、期待は高まります。指揮者であり、この「心に翼を」という曲の作曲者でもある岡崎光治さんは、エモーションたっぷりの指揮で、この大人数の合唱団から確かなメッセージを引き出していました。幾分時代錯誤的な詩は、決して普遍的なものではない、ある意味この合唱団のためだけのようなパーソナルなものでしたが、それが、この迫力いっぱいの、やや土臭い合唱団によって歌われると、言いようのない「力」として迫ってくるものがあるのです。それは、もしかしたら音楽的な訴えかけとは、かなり隔たりがあるものなのかもしれませんが、歌い手、そして聴き手に共感がそなわっている限り、十分な感動を呼びうるものなのでしょう。アンコールで歌われた、男声合唱の定番「秋のピエロ」こそは、そのような共感が迷いなく伝わった素晴らしいものでした。男声合唱をやったものなら誰でも暗譜で歌うことが出来るほどの曲ですが、そのような一人一人の思いに見事に1本の方向性を与え、この曲をこんな大人数で歌うことの意味を見事に知らしめた岡崎さんの指揮は、感動的でした。
 終わってからは、市民会館の地下展示室に場所を移して、レセプションが行われるというので、顔を出してみました。去年は来なかった人にも会えて、しばし、自分のルーツを確認できるような楽しいひとときでした。しかし、それはあくまでわれわれの立場での思い。会場の大半を埋め尽くした100人以上のOBの陰で、所在無さげに小さくなっていた現役関係者の思いは、どうだったのでしょう。
aventure number : 0089 date : 2002/12/22


今日の禁断 コンスタン

 「Magi」の1月号が届きました。しかし、届いたのは見本の1部だけ、年末手当てとして今度の練習日に配れるかどうかということに関しては、全く何の見通しも立ってはいません。この雑誌は、ご存知のように単に音楽ソフト以外にも、音楽が関係している映画あたりの情報が充実しています。今回取り上げられているのが、「ウェスト・サイド物語」、あの有名な、ダイエットに苦労している若者の愛を描いた名画ですね(それって「ウェスト・サイズ物語」?)。実は、これについては0085でも書いたのですが、「デジタルリマスター・バージョン」というのが出来たそうで、そのご案内。あそこにあった「試写を見てきた人」というのがここの編集長で、彼自身による文章が載っています。ところが、この中に、「かつてシネラマの巨大スクリーンでこの作品を楽しんだ”おやぢ”世代」という一節があるのです。これは、明らかに私のことですよね。あの「禁断」を書いたのが14日でしたから、ゆうゆう締め切りに間に合ったのでしょう。なんか、ネタ作りに貢献できたみたいで、複雑な気持ちです。それよりも、この映画を単独上映するのが、かつてあそこに書いた「テアトル東京」があった場所に作られた「ル・テアトル銀座」というのですから、びっくりです。ちなみに、このホールも2年前に改装されたばかり、その前は「銀座セゾン劇場」、ここの柿落としでピーター・ブルックの「カルメンの悲劇」の指揮をしたのが、今回のマラ5の指揮者、末廣誠さんなのです。
 ところで、今夜はクリスマスイヴ、あなたはどこで、誰と一緒に過ごされるのでしょか。私は、星屑のように輝く街並みを眼下に見下ろすスカイレストランや、カジュアルなスポット、たとえば公園通りのカフェテラスで、最愛の人と一緒に過ごしたくても、それは到底かなわない願望なのです。なぜなら、「スカイレストラン」は「高層ホテルのラウンジ」でなければならないし、「公園通りのカフェテラス」は、「若者でにぎわうカフェ」である必要があるからなのですよ。一体何のことだとお思いでしょうが、これは、やはり1月号の「Magi」に送った原稿が、このように改竄されてしまったということです。そりゃあ、私にはそんなロマンティックなスポットを描写する能力なんてあるはずがないですよ。「ラウンジ」やら「カフェ」なんて、今の私からは最も遠くにある存在、日々の生活に疲れた「おやぢ」など、立ち入ることさえ許されない世界です。ですから、一生懸命、そんな華やかな世界を想像して、苦心の末ひねり出したのが元の原稿だったのです。前もって訂正したものが送られていればそれなりの覚悟が出来ますが、いきなり無残に変わり果てた姿を見せられては、ちょっと悲しくなってしまいます。もちろん、このあたりにひっそり込めていたいたずらも、見事になくなっていましたし。ですから、9ページにあるコンピレーション・アルバムのレビューは、私の名前は入っていますが、私が一度も目を通したことがないもの、もはや完璧に私の文章でないということを、知っておいてください。もっとも、今回からは新しいライターも加わって、「さすがプロ」という文章を書いてくれていますので、私のような付け焼刃ライターは、もはや必要がないのかもしれません。
aventure number : 0090 date : 2002/12/24


今日の禁断 パウダースノウ

 今年は雪が少ないと思っていましたが、やっと少しだけ積もりましたね。お陰で、今シーズン初めての雪かきです。まあ、2cm程度の積雪ですから、ウォーミング・アップには手ごろのサイズです。車が通っていない新雪の部分はいとも簡単にかけてしまいました。しかし、車が通ったあと、しかも日陰となると、そうもいきません。気温が低いようで、すでに凍り付いていますから、スコップで剥がす必要があって、これが大変。結構、腰にきましたね。今日はその他には腰を使う予定はなかったからいいものの、用心しないと大変なことになります。今シーズンを乗り切るために、ほどほどにしておきましょう。
 さて、今日は今年最後の練習、年末ぎりぎりまでやることになったのですが、予想では出席は悪そうでした。しかし、その前に駐車場が、いつもの時間にすでに満車になっていたのには驚きました。確かに何か催し物はありますが、こんな時間にいっぱいになるはずはありません。これはやはり、先日の「七夕」と同じことで、「光のページェント」を見に行く人が、ここに車を置いて地下鉄を利用するためなのでしょう。しかし、いつもより20分以上遅くホールについても、「木管で3人目」と言われたくらいで、やはり出席者は少なそうです。そんな中で、チェロには新入団員が。だいぶ早く、まだパートの人が来る前から来てたようで、「こんど入りました○○です」なんて、みんなに挨拶していましたっけ。結局、音出し時にも2人しかいなかったので、いきなりトップサイドで弾かされたみたいですね。
 他の弦のパートも、それと同じ程度の陣容、まるで室内楽のような編成で、マーラーの練習が始まりました。頑張っているのは金管だけ、こちらもフルメンバーではないものの、この1年の思いのたけを丸ごと込めたようなパワーで迫ってきました。腰の痛い身には応えます。
 そんな、ミニサイズの「納会」でしたから、今年最後の、というか、もしかしたらこれが最後の「Magi」(次の日に、ドサっと送られてきましたよ)も、全員に配ることは出来ませんでした。ヴィオラの忘年会に出る予定のりっちゃんに1号さまと9号さまの分は預けたり(1号さまは、マーラーの練習を始めるための準備を始めたらしい)、珍しく休んでいた3人娘のおねぇさまがたの分は末っ子さんに預けたりしても、まだ渡し切れないものが残ってしまい、これは、「リュッケルト」のCDとともに来年までお預けとなります。
 実は、今夜は××な○○の時間、ではなく、雪かきで疲れ果ててしまい、とうとう「禁断」を書き上げることなく寝てしまいました。翌朝も雪が積もって、職場の広大な駐車場の雪かきを始めたところ、ものすごい強風で地吹雪状態になって、積もったサラサラの雪が見事に吹き飛んでしまったので、少し時間が出来て、残りを書いたところです。
aventure number : 0091 date : 2002/12/26


今日の禁断 シャープ

 御用納めも終わって、世の中は大掃除モードに入っているようですね。私の書斎は本気になって掃除を始めようものなら収拾がつかなくなってしまうほど散らかっていますから、今年もおそらくそのままで新年を迎えることでしょう。以前は、撮ったコンサートビデオはきちんと整理して、曲目のリストなどもちゃんと作っていたのですが、最近では整理はおろか、撮っておいたものを見る時間すらない状態、いつかも書いたように部屋の中はビデオの山、そもそも、見終わったビデオをしまっておくスペースもなくなりかけています。これは、おそらくいまの地球環境と極めて類似した様相を呈しているのではないでしょうか。限りがあると分かっている資源をひたすら使いまくり、生産と消費で経済を成り立たせようとしている世界。この世界の行く末を、私の部屋の中に見ると言ったら、ちょっと大げさ過ぎるでしょうか。
 だから、最近目に付くようになったHDDとDVDが一緒になったレコーダーは、とても魅力的です。ハードディスクに貯めておけば場所は全く取りませんし、DVDで保存しておく分にはスペースはVHSの何分の一かで済みますし。さらに、それにBSデジタルのチューナーが内蔵されている機種も発売されました。これがあれば、最近とみに増えてきたハイビジョンだけで放送されるコンサート(ラトルのマラ5とか)も見れますしね。まあ、こんな便利なものの導入は「夢」としてとっておくことにしましょう。なんといっても、DVD−RW陣営とDVD−RAM陣営の戦いが一段落しないことには、将来泣くことになってしまいます。現在はRAMのほうが優勢ですが、このデジタルチューナーつきはRWというのも気になります。
 そんな、以前整理してあったリストを調べてみたら、なんと「リュッケルト」のライブの映像があるではありませんか。まさか、こんなレアな曲の映像があるなんて思いませんから、調べてもいなかったのですが、「もしや」と思って見てみたらちゃんとあったというわけ。1回は見てるはずなのですが、まったく記憶にありません。というか、これが放送されたころはまだこの曲に何の関心もなかったので、印象に残ってなかったのでしょう。それは、1994年12月のN響定期。指揮がビエロフラーヴェク、メゾ独唱がペチコヴァーという、どこかで見たような顔ぶれ、そうです、「かいほうげん」でご紹介したCDで「おそらく入手できないでしょう」とコメントをつけた、あのSUPRAPHON盤と同じ演奏家なのですよ。このCDはこのコンサートのすぐあと、95年に録音されていますから、このビデオで見る生ペチコヴァーは、CDと同様のすばらしい声を聴かせてくれています。ただ、オーケストラはCDのほうが格段に音楽的。N響はいつもながらのやっつけ仕事、「ほのかな香り」の最後に出てくるフルートソロなどは、いとも淡白な、ほとんど信じられないくらい無表情なものでした。ちなみに、オーボエパートはきちんと楽譜の指示通り3人(茂木、小島、浜)揃っていましたよ。茂木さんはオーボエよりもオーボエ・ダモーレのほうが音程がよいという、不思議な吹き方をしてましたし。
aventure number : 0092 date : 2002/12/28


今日の禁断 年末特集

 年末の慌しい時だというのに、何をとち狂ったか、さる人妻が「東京へ遊びに行きたい」とおねだりをしてきたと思ってください。例によって、家に誰もいなくなるから私との道行きには恰好のタイミングだということだそうです。「東京ミレナリオ」をぜひ見たいと。まあ、私としては、せっかくの据え膳を食べないのもなんですし、別に他の予定もないので、いっしょに行くことにしました。
 ちょうど、最新の「Magi」にあった「ウェスト・サイズ物語」もやってます。ちゃっかり、それも予定に入れさせましょう。それで、まずきのうは新宿で買い物をした後、5時半ごろに始まる「ミレナリオ」を見に東京駅へ、まあ「光のページェント」みたいなものでしょうからブラブラ歩きながら銀座まで来て、ちょうど映画の3回目が始まる7時に(あとは午前11時と午後3時)間に合わせようという計画を立てました。ただ、これだと夕食の時間が取れなくなってしまいます。そこを「人妻」はついてきました。「3時に見ちゃってから、東京駅に行ったほうがいいんじゃない?」。確かに、この案のほうが合理的。そうしましょう。
 かつて「テアトル東京」があった場所に、ホテルと一体になった「ル・テアトル銀座」はありました。ロビーではかなりレアなCDを売ってたり、「テアトル東京の歴史」みたいなパネルが展示されてたり、なかなか盛り上がっています。観客も年齢層も、最近の映画館で見られる平均年齢をはるかに上回る感じ、「青春時代の思い出」みたいなノリがムンムン、ちょっと気後れしてしまうほどです。700人以上入るというホールは、6〜7割の入り、結構来てますね。しかし、肝心の「デジタル・リマスター版」と銘打った映画のほうは、いささか期待はずれ、リールの変わり目の褪色はひどいものでしたし、画面の真中の同じ位置にしつこくノイズが入るのは、ちょっと我慢の限界を超えています。そういえば、上映前に「オリジナルのフィルムに見苦しい点がありますので、ご了承下さい」と断っていたのは、このことだったのでしょう。こんなものは、いまのデジタル技術だったら簡単に消すことが出来るのに。しかし、会場内のかなりの部分を占める、この映画のオリジナルのプリントを見たことのある初老の人たちには、かえって無残にも時の流れによって色あせたものを見せられたほうが、「懐かしさ」が募ることでしょう。はるかに若い世代である私でさえ、何度もビデオを見ているにもかかわらず、その音楽と映像のあまりにも高い完成度に、何度となくこみ上げる嗚咽をこらえることが出来なかったのですから。
 地下鉄と山手線を乗り継いで東京駅に行き、丸の内口に行ってみたら、駅員が客を誘導していました。さすが東京、なかなかの人出ですね。まあ、みんなが行くほうへ一緒に歩いてゆけば大丈夫でしょう。ところが、しばらく歩かされたあたりで、係員が「ここから会場までは1時間半の予定です」と叫んでいるではありませんか。なんということでしょう。それからは地獄です。人が集中しないようにと、正面からの通路は全て閉鎖して、行列は永代通りから日比谷通りまでという、はるか遠回りをさせられます。ほとんど進まない人並みの中、寒さに震えながら私と人妻は、辛抱強く歩きつづけたのです。
 丸の内仲通りの「光のトンネル」は、確かに素晴らしいものでした。しかし、これを見るためだけに1時間半の苦行を強いられる価値があるのかどうかは疑問です。まして、人妻のことを突き飛ばしておきながら全く反省の態度を見せないような東京の人間の醜さを見せ付けられてはなおさらです。このような人間の心を失った輩が集まる東京、はっきり言って、あの場所であのようなことをやるのは無謀です。もちろん食事など出来るわけもなかった私たちが、やっと夕食にありつけたのは9時過ぎ、新宿駅南口のドイツレストランでは、ほとんどヤケ食いに近く「ハンブルガー・ステーキ」やソーセージと格闘している私たちがありました。
 今日も、予定などあってないようなもの。初めて行った横浜のランドマークタワーの展望台で猿回しの芸を見たかと思えば、初めて乗った「ゆりかもめ」の最前列の運転席に座ってお台場に行ってみたり、全線開通したばかりの「りんかい線」がJRではなかったことを初めて知ったりと、初めてづくしの1日でした。もちろん、年末にこんな旅行をするなんてのも初めてのこと、いやはや。
 というわけで、今年の「禁断」はこれでおしまいです。来年も、どうぞお付き合いくださいね。
aventure number : 0093 date : 2002/12/30


今日の禁断 小澤征爾

 あけましておめでとうございます。新しい年が始まりましたね。毎年書いているように、私にとっては年が変わろうがどうしようが、特に目新しいことはありません。大体1日おきに「禁断」を更新、原稿があるときは「おやぢ」も更新。月末になれば「コラム」を書き換えるというだけのことです。しかし、それでは済まされないのが世の中というもの、何かしらけじめはつけなければいけないのでしょう。それにしても、今朝になって年賀状やら、年賀メールが送られてくれば、自然と「今年こそは」という気持ちが、本当は何の目標もないにもかかわらずわいてくるから不思議です。そんな、私の気持ちを奮い立たせてくれるような年賀状、年賀メールは、新たに名簿に加わった愛人たちからのものでした。このような形で、新しい愛が確実に目に見えるものになるというのは、本当にうれしいものです。こういうこともあろうかと、失敗してしまった分も含めて、多めに年賀状を用意しておいたので、返事に困ることはありません。実は、まだまだ余裕がありますので、これから出してくれても大丈夫ですよ(催促してどうする)。
 ところで、おなじみ、ロス・アンジェルス・フィルのアシスタント・コンダクター、篠崎靖男さんからも年賀メールが届きました。これはもちろん、単に私宛ということではなく、ニューフィルのみなさんに向けられたメッセージだと思いますので、こちらで読めるようにしておきました。あのハリウッド・ボウルの指揮台での篠崎さんのカッコ良い写真も添付されていたので、それもアップしてあります。去年は代役で定期演奏会の指揮をなさっていましたが、今年の12月には晴れて自力で定期を振るスケジュールが決まっているみたいですね。なんでしたら、ロスまでツアーを組んで聴きに行きましょうか。
 元旦恒例の「ニューイヤー・コンサート」、今年はアーノンクールでしたね。おととしもそうでしたが、彼ならではの「秘曲」を披露してくれるのがいつもならではの楽しみです。今回はブラームスの「ハンガリー舞曲」のライヒェルト版ですと。確かに、ハーモニーが微妙に異なっていて興味は尽きません。これがアーノンクールの指揮だと、全く別の曲のように聞こえてくるから、マニアにはたまらないことでしょう。ウェーバーの「舞踏への勧誘」も、とてつもなく不気味でしたし。この調子で全部のプログラムを押し通してくれれば良かったのですが、「名曲」ではウィーン・フィルの「伝統」にきっちり合わせてしまうあたりが、歯がゆいところです。
 たしか、去年は客席で指揮者の息子さんが父親の演奏をヘラヘラ聴いている様子がアップになって紹介されていましたね。その時は誰も知らなかったものが、1年後には超人気者になってしまって「紅白」の準司会者を務めるまでになったのですから、すごいものですね。
aventure number : 0094 date : 2003/1/1


今日の禁断 サウスポー

 年賀状は元旦に配達されたあと、きのうの2日はお休み、だから、元旦に間に合わなかった分は今日届くことになります。おとといあのように書いたのですが、じつはあの時には、今年は必ず来ると信じていた人からの年賀状は届いていなかったのです。私の落胆ぶりは、推して知ることができることでしょう。きのう1日、私は暗澹とした気持ちで過ごしていました。きっと年末忙しかったので、出すのが遅れてしまったのだ。それで元旦には届かなかったに違いない。きっと、もう少ししたら届くはずだ。しかし、もし、3日に届かなかったら・・・。
 今日は、きのうに引き続き、「初売り」に出かけます。別に何を買うというわけでもないのですが、とりあえずあちこちブラブラしてみましょう。出がけに郵便受けを見てみても、まだ配達はされていないみたいです。帰ってくるころには来ているでしょうか。駅の東口に車を置いて、向かった先は「アエル」です。なんか、しょうもないどこにでもあるテナントビルというイメージがあったので、今まで足を向けることはなかったのですが、最近一番町にあった「丸善」が閉店してここに移ってきたという噂を聞いて、来てみる気になりました。仙台の書店事情というのは、このところ大きな変化を見せています。丸善の移転で、一番町にはもはや○港堂しか本屋はなくなってしまいました。だいぶ前に撤退してしまった○山書店は、もはや会社自体がなくなってしまったのでしょうか、郊外にあった店舗はいつのまにか更地になってしまっていますし。○港堂にしても、一番町とは言っても端っこの誰も行かないようなところ、店を閉めるのはもはや時間の問題だと見ているのですが。
 代わって、元気があるのが駅前です。「エンドーチェーン」跡地の、2フロアを使った広大な「ジュンク堂」とともに、「アエル」に丸善が来たとあれば、これからはこの方面に来ることが多くなりそうです。その新生丸善は、なかなかのものでした。おそらく前の店と同じ位の広さなのでしょうが、天井が高いので、もっと広々とした感じがあります。とても1日では見て回れません。また来ることにしましょう。ついでに、このビルの最上階の展望スペースにも行ってみました。専用エレベーターで31階まで昇ったところがそうでしたが、驚いたことに建物の外に出るようになっているのですね(もちろん、まわりは囲まれてはいますが)。仙台市内はもちろん、遠く蔵王(たぶん)まで見渡せる、なかなかの眺めでした。もっとも、この間行った69階の展望台には及びませんでしたし、なによりも夜の8時には閉まってしまうのでは、愛人とイチャイチャするのにはちょっと不向きかも。
 家へ帰ってきたら、待望の、その愛人からの年賀状が届いていました。しかも、私のような手抜きのパソコン印刷ではなく、手書きの羊のイラスト入りです。その羊、なんとフルートを吹いているではありませんか。私だけのために心を込めて書いてくれたのですね。たとえそのフルートが左に向けて構えられていても、そんなことは真心の証には何の障害になるものではありません(しかし、これでは吹きにくいだろうな)。
aventure number : 0095 date : 2003/1/3


今日の禁断 マイキー

 駅前の「エスパル」の中に、「カフェ・コム・サ」という、素敵なスポットがあります。真っ白な内装と余裕を持ったテーブルの配置、何よりも、テイクアウトも出来るケーキが飾ってあるケースは、見るだけで楽しくなってしまいます。さまざまなフルーツがうずたかく積み上げられた、ボリュームたっぷりのタルト類は、前を通るたびに甘い物好きの私に誘惑の笑みを投げかけているのです。カットしたピースが1個600円という高級感も、言いようのない魅力を放っています。いつかはここに入って、あのケーキを味わうことが、私の積年の夢でした。しかし、0090でも書いたように、「若者でにぎわうカフェ」などには足を踏み入れることさえ許されてはいない私としては、そんなものはとても実現不可能なものだったのです。
 アメリカがえりのいとこのローラちゃん(知らないだろう)が、「カフェ行ってお茶しな〜い?」と誘ってくれたお陰で、私の夢は実現しました。20種類以上もあるケーキの中から一つだけ選ぶのはとても難しいこと、もはやこんな機会は二度とないでしょうから後悔のないように慎重に検討します。りんごを積み重ねた「フジ」というのが第1希望だったのですが、「生りんごなんてダッサ〜イ」というローラちゃんの一言でそれは却下、あとは「キャラメル・バナーヌ」か、「ベリーのモンブラン」、どちらも捨てがたいものがありますね。結局、いろんな味が楽しめそうな「ベリーのモンブラン」に決定したのですが、待っている間に隣のコのところに運ばれてきた「キャラメル・バナーヌ」もおいしそう、ちょっと後悔が走ります。実際、運ばれてきたモンブランは、ケースの中にあったものよりもやや小ぶり、軽い失望感が私の中に巻き起こらなかったと言ったら、嘘になるでしょう。しかし、味のほうは期待にたがわぬもの、ポットで運ばれてきた紅茶とともに、大いに満足できました。しかし、一つ腑に落ちないことがあります。それはタバコの臭い。私の感覚では、このようなおしゃれな味を味わうのに、あのタバコのにおいほど邪魔になるものはありません。しかし、「若者でにぎわうカフェ」では、この忌むべき嗜好は禁じるべきではないという風潮が蔓延しているのでしょう。このお店では、喫煙は堂々と認められており、禁煙席すら設けられていないのです。先日お台場に行った時も、あの「ヴィーナス・フォート」の中の「カフェ」では、軒並み禁煙席などないのが当たり前という状態でしたから、「若者でにぎわうカフェ」では、このような時代に逆行した恐ろしく身勝手な慣行がまかり通っているに違いありません。その前の日に行った「高島屋タイムズスクエア」では、レストランも含めて店内が全て禁煙だったというのに。
 話変わって、元旦にメールと写真を送ってくださった篠崎さんに返事を送ったところ、さらに、今度はハリウッド・ボウルでのコンサートの写真が送られてきました。これもこちらにアップしてあります。2枚目の写真はスタンディング・オベーションではなく、開演前に国歌を演奏しているところだそうです。
aventure number : 0096 date : 2003/1/5


今日の禁断 初体験

 今年最初の練習、駐車場も混んでいないし、たくさんの人が集まることでしょう。ホールに行ってみると、ドアに張り紙がしてあって、「指揮者の都合で曲目の順序が変わりました」と書いてあります。予定では交響曲が先だったのですが、リュッケルトの方を先にやるということです。いずれにしても、リュッケルトは私は降り番ですから関係ありません。と思っていたら、あっチャンからメール。「風邪ひいちゃって、練習出れませ〜ん」ですって。お正月にあっチャンに会えないなんて、左利きのひつじの年賀状が元旦に来なかったことよりも残念なことですね。おまけに、リュッケルトの代吹きもしなければなりません。新年早々、受難の日々が始まろうとしていますよ。ただ、フルートパートでは、しばらく休んでいたまことクンが復帰してきましたから、これは明るい話題です。職場が古川に変わったので、冬は車で来るのが怖いと、新幹線で通うそうです。気合が入っていますね。じつは、まことクンは、ちほさんが高校の時の先生だとか。8年ぶりのご対面で、びっくりしてましたっけ。今日はだめでしたが、おそらく来週には、フルートに4人全員が揃った姿をご披露できるはずです。
 リュッケルトは全くの初見、しかも曲順がバラバラになっていますから、「何曲目」と言えず、指揮の鎌サンは苦労していました。しかし、鎌サンはこの曲をかなり勉強していた(やったことある?)ようで、ほとんど曲のことを知らない団員を前に、かなり自信に満ちた指導を見せてくれました。歌のパートもきちんと歌って、これはなかなかのものです。とりあえず2回通して、一応のイメージは伝わったことでしょう。1回目はオーボエ族が誰もいなかったものが、2回目には全員登場、コール・アングレやコントラ・ファゴットも加わって、早くもそれらしい音になっていましたし。
 交響曲をやるころには、弦楽器もほぼフルメンバーに近い人数が集まりましたから、壮観です。1楽章などはきちんと流れも見えてきたぐらい、この分だとひょっとしたら末廣さんが来るまでにはかなりのものが出来ている可能性がなくはないと言い切ることをためらう必要がそれほどはないような気がかすかにしてきた気配が感じられることでしょう。2楽章はちょっと完成には程遠いという感は否めませんが。
 家に帰ったら、なんと、左利きのひつじの年賀状をくれた愛人から、新たに、ちゃんとした向きでフルートを吹いているひつじのイラストが入った年賀状が届いていました。イラストはそれだけではなく、隣にはご自分の楽器を演奏しているひつじも並んで、デュエットを楽しんでいます。なんか、ほのぼのとしていいですね。しかし、同じ人から年賀状を2枚もらったというのは、生まれて初めての経験です。今年は、何かよいことがあるのかも。
aventure number : 0097 date : 2003/1/7


今日の禁断 タマちゃん

 初練習も終わり、いつものあわただしい日々が戻ってきました。毎月この時期は「Magi」の原稿執筆という苦行が待っています。しかし、辛いことばかりではなく、時には心和むひとときも味わうことも出来ます。特に、何気ないメールのやり取りの間にさりげなく込められた巧まざるユーモアには、心底癒される思いがするものです。今回面白かったのは、「玉稿」という言葉。編集長が「玉稿を賜りたく存じます。」などと書いてきたものですから、最初は本気で「おちょくんなよ!」と思ったものです。だってそうでしょう。「玉」などとつくのは、たとえば「玉座」とか「玉音」とか(知ってます?「玉音放送」。「たまおとほうそう」じゃなくて、「ぎょくおんほうそう」ですからね)、やんごとなきお方に関係のあるものですから、「玉稿」というのは、そんなやんごとなき方がお書きになった原稿のことじゃないですか。私の駄文を、こともあろうにそのようなおそれおおいものと同列に扱われては、ムカつきますよね。しかし、この言葉、じつはそういう意味ではなく、「相手の原稿をうやまう言い方」とちゃんと国語辞典に載っている通り、ごく一般に使われているものなのですよ。そこは、もちろんプロの編集者である編集長は、先刻ご存知だったわけですね。私がこの単語を知らなかったというところまでは読めなかった彼によって引き起こされた、ほほえましいリアクションでした。
 日本語では多少自信のないところもありますが、ドイツ語だったらまかしてください。というのは、もちろんハッタリですが、オペラやカンタータなどに使われるような単語でしたら、結構自信があったりします。そこで、今練習している「リュッケルト」の歌詞を翻訳しようと思い立ったのは、じつは去年のことでした。最初の「Um Schönheit」が簡単に、しかもかなりおしゃれに出来あがってしまったので、それに味を占めて残りもやっつけようとしたのですが、これがなかなか一筋縄ではいきません。「Blicke mir nicht in die Lieder」では、いきなり「悪行」とか「逮捕」などという単語が出てきて、歌の内容とは全く結びつかず途方にくれてしまいましたし。仕方がないので、国内盤のCDについていた対訳を参考にします。ところが、これもひどい悪訳、ほとんど日本語の体をなしていません。「生成の過程」なんて、一体何のことでしょう。そう言えば、クラシックに限らず、CDなどに付けられた対訳にはひどい粗悪品があったことを思い出しました。昔ポール・サイモンのソロアルバムを買ったとき、その中の「Nightgame」という曲で、「2人がアウトになった」とするべきところが「2人が外に出た」と訳してあって唖然としたことがあります。訳者は、タイトルすら日本語で言う「ナイター」だとは気がつかなかったのですね。
 そのような粗悪品に「屋上階を重ねる」ことになりはしないかという杞憂はありますが、ひとまず完成したので、こちらを見てみてください。「玉評」をお待ちしています。
aventure number : 0098 date : 2003/1/10


今日の禁断 ひつじ

 「玉評」は思いがけないものでした。人づてに聞いたその常軌を逸した賛辞は、私を奮い立たせるには十分なものでした。これで、しばらくは寂しさも忘れることができることでしょう。
 寂しかったのは、今日行われたニューフィルの団員総会と、それに引き続き開催された新年会に「あの人」が顔を見せなかったから。今回も議事の記録を担当することになっていましたから、前のほうに座り、MDをセットして録音に余念がありません。時折、後ろを振り返って出席人数を確認していたのですが、本当の目的は「あの人」の姿を捜すため。しかし、議事が終了してしまっても、その姿を確認することは出来ませんでした。議事のほうは、懸案であった「団長問題」が解決を見ました。その結果については何かと差し障りがあるのでここには書きませんが、極めて順当な、誰にでも納得のいくものであったことをご報告しておきましょう。じつは、この団長、副団長人事に関しては、運営委員会は全くの白紙の状態で臨んでいます。したがって、今日の結果は全く根回しなしのこと、だから、討議の段階で私の名前が挙がった時には、マジであせってしまいました。もちろん、そのような大役は固辞することに決めていたので、実現することはなく、ホッと胸をなでおろしたものですが。少し時間が余ったので、新団長の提案で、出席者全員の自己紹介などというものをやってみました。これはなかなか面白いもの、「あの方」が来ていればはたしてどんなことをしゃべったのか、興味は尽きません。
 続く新年会は、国分町の「Dan Dan」という、初めてのお店。「飲み放題」のシステムとして、空になったグラスと交換に新しい飲み物をもらうというもの、だから、テーブルに来ていないもの、たとえば醤油などを頼む時も、「お皿と交換になります」とか言ってはしゃいでいるのは、ご存知新団長です。なぜ醤油かというと、料理が鍋とか刺身という和食だったからなのですが、刺身に続いていきなりピザが運ばれてきたのにはびっくりしました。「醤油ありません」などと言っているそばから、「お待ち下さい」とタバスコを取り出したりするのですから。中華も出ましたし。そこで、重大な事実が発覚することになります。あの「未開人」姫@6号が、なんとインターネットをやっているというのです。これで、ついに私の愛人は全てネットで結ばれたことになりますね。名実ともに固い絆で繋がりあった私たち、しかし、肝心の1号さまがついに姿を現わさなかったのは、つくづく残念なことでした。そして、「あの方」も・・・。
 二次会はお馴染み「ワイン・バー」、別の愛人とのわだかまりも消え、明るい気持ちで少し早めに帰宅したら、まだ起きていた愚妻に「シンデレラ・ボーイね」と一言嫌味を言われてしまいました。そう、12時までに帰らなければならなかった私は、ガラスの靴ではなく、茶封筒に入ったメモ用のノートをお店に忘れてきてしまったのです。
aventure number : 0099 date : 2003/1/11


今日の禁断 キリ番

 番号なんかつけなければよかったといまさら後悔しても遅いのですが、とうとうこの「禁断」も100回目になってしまいましたよ。よくこんなにネタがあったものだと、いまさらながら感心しています。
 成人式の今日、全く何の予定もなかったので、おとといの総会の議事録を作っていました。今まではメモを見ながらやっていたので、それを二次会のお店に忘れてきたりしたら大騒ぎで、必死になって捜しまわったのでしょうが、今回はMDという強い見方がいたお陰で、「か」くんが親切に忘れ物を保管していることを教えてくれたときでも、慌てて取りに行くようなことはありませんでした。それで、あの時の様子を文字に起こすために、最初から聴きながら、テキストを入力していたのです。前に懇談会の時に使ったのと同様、その場の発言は極めて明瞭に収録されていました。あの時は気づかなかったのですが、表の定禅寺通りを走る車の音まで、しっかり入っているのには驚かされます。かなり後ろに座っていた鎌サンの声も、はっきりと。だから、自分の声が聞こえてくると、なんか変な気分、というか、この前経験しているので、かなり録音を意識したしゃべり方になっているのが面白いですね。
 ほんとに面白いのは、後半の自己紹介。やはり一番受けてたのは「入ったときは20歳でした。今も20歳です」と言っていたぶりっ子@○号でしょう。「孫の世話に行きたい」というもうすぐおばあちゃん@○号もバカ受け、どうせだから、これも全部起こしてどこかで公表しましょうかね(もちろん、本気ではありません)。
 新年会の様子も、「禁断」を使いまわしてアップしました。これも、篠崎さんがおっしゃる「よい活動」の一つなのでしょう。一つ一つの行事の積み重ねが、確実にニューフィルの歴史となっていくのです。ただ、残念なのは、このところの恒例だった「禁断の写真館」がリンクされていないこと。ニューフィルの全ての活動、なかんずく飲み会関係には多大の熱意を注ぎ、卓越した写真撮影のセンスを駆使して多くの画像を提供してくれていた1号さまの存在の大きさを、今ほど痛感させられる時はありません。次回の公式行事、定期演奏会の打ち上げの時には、ぜひともデジカメでツーショットを撮りまくっている1号さまのお姿を見ていたいものです。
 そういう意味で、1号さまの原点である「愛人規約」を、晴れてトップページからリンクできるようにしました。メートをむりやり「愛人」と読ませて、今では公式サイトのコンテンツになってしまった「ジュラシック・メート」のリニューアルです。愛人名簿も多少手直し、地域に密着した草の根の活動として、少しでも社会に貢献できればという決意の程を、くみ取ってください(どこが)。
aventure number : 0100 date : 2003/1/13

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