30回定期(99/4/24)の打ち上げにて

 みなさんお疲れさまです。エキストラの皆さん、合唱の皆さんどうもありがとうございます。何回目の演奏会かもう忘れちゃいましたが、ステージに山路さんがいらっしゃらないというのはちょっとやっぱり寂しいことだなあと思いました。早く復帰されることを祈っておりますが、何回もみなさんと一緒にやって、なんか、何十周年記念とかやると呼ばれて、お祭り男みたいににぎやかな曲ばっかり「あなたも好きですねえ。」と毎回言われて、わたしは別に好きなわけではなくて、(笑)たまにはモーツァルトとかハイドンとかそういうものもやりたいなあと思いますけど。
 でも、今回は練習がすごく少なかった感じがして、やりのこしたことばっかりあるような気がして、終わりました。で、初回の練習からいらした方はご存じの通り、わたしも帰ってしまおうかと思ったぐらい、正直言って。本番これだけ良くなってくると、みなさんとっても気持ち良く演奏されたでしょうし、わたしも気持ち良かったです。で、こうやっていい思いをすると、忘れちゃうんですね。こういったことをね。(笑)いい気持ちのところですから、あまりしつこくは言いませんが、大事なのはやっぱり日頃の練習ですし、で、それを大事に大事にしていかないと、やっぱり本番、本番これだけできるんだったら、もっと早くからこれができているずなんですよね。そうするともっと違うことが出来るんですよ。いろんなことを追求できて、何もしないままに実は終わってしまっていることがすごく残念で、なんとか無事に終わって、まあ、ほっといても、もういやでも、だれが弾いても盛り上がって終わる曲ですから、マーラーは、(笑)白けて終われない曲ですからね。終わったという満足感というか、充足感は最高じゃないですか。こんな面白い曲はないですよね。でもね、みなさん。でも、ときどきいい音していましたよ。(爆笑)わたしちょっと感心したのはね、あの練習、少ない回数の中で、あれだけドビュッシーが弾けたのにはちょっとおどろきましたね。ハーモニーを決めるのはとても難しいので、特にやっぱり「雲」みたいな曲はもっと違うことをたくさんやらなきゃいけないので、これは練習が重ならなきゃ出来ないですよ。顎が3センチはずれたようなハーモニーが出てきますでしょう。ああいうのをもう少しピチッとはまるような、それでも、あんだけの練習回数でしたから、みなさんもっとすごくひどい出来になってしまうんではないかと思っていたんですが、なかなかそれは良かったですね。
 コーラスがとても良かったですね。(拍手)手前味噌でほめるんじゃなくて、わたしはもうこれ2、3回やっているんですけども、どこでやってもあんなに聞こえてはこないですよ。女声合唱は。やっぱりすごく素晴らしかったです。(拍手)3楽章のあのかきみだすような、入り乱れて音の洪水のようになるハープのグリッサンドがわたし大好きで、美しいですね。(拍手)
 やっぱりもうちょっと考えると、今日やったプログラムみたいなやつは、実は、理想状態、なんですよね。すっごくオーケストラの機能が必要だし、技術的にもむずかしいし、マーラーみたいにガーッと盛り上がって終われるような曲じゃない曲がドビュッシーの中にあって、その中ですごく音色を大事にして、いろんなニュアンスを細かく出そう出そうとすることの追求に時間をかけて、で、マーラーではやっぱりもう少し骨太な、おっきい、なんか盛り上がるものをドーッとやってみんなで終わると、いまみなさんがすごく気持ちが良いように、演奏会が終わるために、日頃の練習をもう少し基本にもどってですね、やられたらどうかなとおもいます。
 もうわたし、みなさんとお会いすること、ないかもしれませんけれども、(ブーイング)例えばひとつ提案があるのは、全くエキストラを入れない演奏会をやられるといい。たとえば、マーラーやブルックナーやショスタコーヴィチやそういう曲ばっかりじゃないです。モーツァルトやるのだってすごく大変だし、ベートーヴェンでもそうだし、そういったことが日常的にいつも出来るようなオーケストラになられるといいなと思っています。やはり数が揃っているということが響きを作っていきますから、それは昨日今日でやっと人数が揃ってという状態では、本当はよくないんですよ、みなさん。こんだけ揃った時に「ビオラ・ビオラ・ビオラ・・・・」も、この状態で1ヶ月前に揃っていれば、もっと違うニュアンスがつけられる、それをもう捨てなければいけなかった。これはとっても残念です。今回はとっても残念です。いろんなこといっぱい出来るし。
 こないだチャイコの4番やった時に、あの時にマーラーやるやるって盛り上がってたので、みなさんさぞやすごく準備をされてるだろうと、実は期待して来たんですよ。ですから、1回目のときにああいう風に言いましたけど、まあ、演奏会は良かったです。これね、けっしてわたしたち本番が強いなんて思わないように。本番弱いオーケストラって見たことないですから。(笑)本番は出来て当たり前なんですよ。テンション高いし、力もあるし。だから、そういったことを誇らないで、いつも、日頃が今日みたいな演奏が出来るような、オーケストラになられることを、わたし、草場の陰から(笑)お祈りいたしております。一刻も早く山路さんも復帰なさって、みなさんもっと中身の充実した良いオーケストラになることを、ほんとに祈っています。どうもありがとうございました。